説明

車両を車に搭載するための装置および搭載方法

【課題】 自力移動出来ない車を搭載する場合には、クレーン等の重機荷揚げ装置が必要となるので、自動車等の移動に起重機が必要となるため簡易に車の移動が出来ないという課題がある。本発明は、自力走行できない自動車や車両であっても、重機荷揚げ装置を用いることなく、トラック等の荷台への搭載を可能とすることを目的とする。
【解決手段】 トラック1の荷台2に搭載する車載用デッキ3と、被搭載車両4を固定するためのワイヤWと、トラック1が乗り上げることで、地面5とトラック1のタイヤ6により保持される所定長の固定板7とを用いる。車載用デッキ3は、中央部においてピボット軸Pを備え、ピボット軸Pを中心にしてトラック1の荷台2後部に装着されている。車載用デッキ3は、荷台2からは着脱でき、中空状の荷台側支持部8と、中空状の荷台側支持部8に収納可能な踏み板9とにより構成され、ピボット軸Pを中心に伸縮可能な構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等へ車両を搭載するための装置および搭載方法に関するものであり、主として自動車等の搭載を対象とするが、その他の船や荷物を運ぶ車両の搭載も可能とするものである。
【背景技術】
自動車等をトラックに積み込む場合には、クレーン等を用いるか、トラックの荷台と地面とを連絡する斜めのデッキを用いて行っている。搭載する自動車等が自力走行可能な場合には、斜めのデッキを用い、搭載する自動車が自力でトラック荷台へ移動すれば搭載が可能となる。自力移動出来ない車を搭載する場合には、クレーン等の重機荷揚げ装置を用いてトラックへの搭載が行われる。
【先行技術文献】
【0002】
【特許文献1】特表2006−512254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自力移動出来ない車を搭載する場合には、クレーン等の重機荷揚げ装置が必要となるので、自動車等の移動に、搭載用のトラックと起重機が必要となるため簡易に車の移動が出来ないという課題が生じる。
また、搭載する自動車等が自力走行可能な場合には、斜めのデッキを用い、搭載する自動車が自力でトラック荷台へ移動すれば、搭載が可能となるが、搭載した後、使用した斜めのデッキをトラックに収納するスペースが必要なので、トラックが大きくなり、自動車搭載能力が制限され大型トラックが必要となるという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、自力走行できない自動車や車両であっても、クレーン等の重機荷揚げ装置を用いることなく、トラック等の荷台への搭載を可能とする車両を車に搭載するための装置および搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記従来の課題を解決するために、本発明の車両を車に搭載するための装置および搭載方法は、トラックの荷台に搭載する車載用デッキと、被搭載車両を固定するためのワイヤと、トラックが乗り上げることで、地面とトラックのタイヤにより保持される所定長の固定板とで構成され、車載用デッキは、後端部(伸張したときにほぼ中央部に位置する。)にピボット軸を備え、ピボット軸を中心にしてトラックの荷台後部に装着され、中空状の荷台側支持部と、中空状の荷台側支持部に収納可能でピボット軸を中心に伸縮可能な踏み板とにより構成され、踏み板は伸張された状態でピボット軸を中心に一体に揺動可能な構造を有し、ワイヤは、その一端が被搭載車両に固定され、他端が固定版に固定される構成を備える。
【0005】
また、前記従来の課題を解決するために、本発明の車の搭載方法は、トラックの荷台に搭載する車載用デッキと、被搭載車両を固定するためのワイヤと、トラックが乗り上げることで、地面とトラックのタイヤにより保持される所定長の固定板とを用い、車載用デッキは、後端部(伸張したときにほぼ中央部に位置する。)にピボット軸を備え、ピボット軸においてトラックの荷台後部に着脱可能に装着され、さらにこの車載用デッキは、中空状の荷台側支持部と、中空状の荷台側支持部に収納可能で後端部から出し入れして伸縮可能な踏み板とにより構成され、踏み板は伸張された状態でピボット軸を中心に一体に揺動可能な構造とし、トラックの後方に被搭載車両を配置し、トラックと被搭載車両との間に固定板を配置するステップと、ワイヤの一端を被搭載車両に固定し、ワイヤの他端を固定版に固定するステップと、踏み板を伸張した状態でピボット軸を中心に一体に揺動させて後端部を地面に接地させるステップと、トラックを後進させて固定板に乗り上げるとともに踏み板後端を被搭載車両のタイヤと地面との間に入れ込むステップと、さらにトラックを後進させ、トラックが固定板に乗り上げた状態を維持しつつ、ワイヤを介し被搭載車両の後退を阻止した状態で被搭載車両を相対的に踏み板上で移動させてピボット軸よりトラック荷台前方側に被搭載車両の重心が移動するまで移動するステップと、被搭載車両の重心の移動により、ピボット軸を中心にして車載用デッキと車載用デッキ上の被搭載車両を水平状態に回動させるステップと、中空状の荷台側支持部に踏み板を収納するステップ、により構成される。
前記踏み板の後端部は、地面との摩擦を低減するローラをさらに備えたものでもよく、さらにワイヤは長さ調節が可能なものであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の、本発明の車両を車に搭載するための装置および搭載方法によれば、被搭載車両が自力移動出来ない車両であっても、クレーン等の重機荷揚げ装置を用いることなく、トラック等の荷台への搭載が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a),(b),(c)本発明の実施の形態に係る車両を車に搭載するための装置の各状態における動作を示す略側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両を車に搭載するための装置の車載用デッキの部分側断面。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態を図1により説明する。図1(a),(b),(c)は、実施の形態に係る車両を車に搭載するための装置の各状態における動作を示す略側面図であり、本発明の車両を車に搭載するための装置および搭載方法では、トラック1の荷台2に搭載する車載用デッキ3と、被搭載車両4を固定するためのワイヤWと、トラック1が乗り上げることで、地面5とトラック1のタイヤ6により保持される所定長の固定板7とを用いる。車載用デッキ3は、後端部にピボット軸Pを備え、ピボット軸Pがトラック1の荷台2後部に軸受付固定板(図示せず)等により荷台2から着脱できるように装着固定されている。車載用デッキ3全体は、中空状の荷台側支持部8と、中空状の荷台側支持部8に収納可能な踏み板9とにより構成され、後端部3a側から出入れし、伸縮可能な構造である。
【0009】
図2において、詳細に説明すると、車載用デッキ3の荷台側支持部8には、中空部10が設けられ中空となっており、中空部10に収納可能な状態で踏み板9が収納され出し入れ自由に伸縮(矢印X)する。踏み板9の後端部の両側部には、地面との摩擦を低減するローラ11が回転自在に設けられている。踏み板9は伸張された状態でピボット軸Pを中心に一体に揺動可能な構造となっている。荷台側支持部8と踏み板9とは、中空部10で所定の寸法(約1メートルから50センチメートル)で重なっており、中折れせずに常に平面を保って一体になり、ピボット軸Pを中心に回動するよう構成されている。
【0010】
次に、本実施の形態における車両を車に搭載するための装置を用いた、車の搭載方法を説明する。まず、トラック1の後方に被搭載車両4を配置し、トラック1と被搭載車両4との間に固定板7を配置する。次に、ワイヤWの一端を被搭載車両4に固定する。この場合の固定ポイント12は、トラック1から最も遠い位置にする。ワイヤWの他端を固定版7に固定する。車載用デッキ3から踏み板9を引き出して伸ばし、ピボット軸P中心に一体に揺動させて、後端部のローラ11を地面に接地させる。次にトラック1を後進させて、固定板7にタイヤ6を乗り上げるとともに、踏み板9の後端を被搭載車両4のタイヤと地面との間に入れ込む。ワイヤWの一端が被搭載車両4に固定され、ワイヤWの他端が固定版7に固定されているため、被搭載車両4は後退せず、トラック1を後進させても、固定板7にタイヤ6を乗り上げている状態では、踏み板9の後端が被搭載車両4のタイヤと地面との間に入り込んで行く(図1(a)の状態)。
【0011】
ワイヤは長さ調節が可能なものであってもよく、ワイヤWの緊張は保たれて、さらにトラック1を後進させ(矢印Y)ると、トラック1が固定板7に乗り上げた状態を維持しつつ、ワイヤWを介し被搭載車両4の後退を阻止した状態で、被搭載車両4が相対的に踏み板9上を移動して、被搭載車両4の重心がピボット軸Pよりトラック1の荷台前方側に移動する(図1(b)の状態)。
【0012】
トラック1を後進により被搭載車両4が相対移動して、被搭載車両4の重心の移動により、ピボット軸Pを中心にして車載用デッキ3と車載用デッキ3上の被搭載車両4が回転して水平状態になる。この状態で、中空状の荷台側支持部8の中空部に踏み板9を収納する(矢印Z)。(図1(C)の状態)。これによりトラック1への被搭載車両4の搭載が完了する。水平状態では、被搭載車両4の移動は用意なので、トラック1の荷台2での位置は適宜手動でも可能である。また、トラック1から被搭載車両4を降ろす場合には、被搭載車両4をサイドブレーキ等で動かないようにした上で、トラック1の前部を枕木等に乗り上げてトラック1後方に向かって低くする。この後、車載用デッキ3の踏み板9を引き出した上で、被搭載車両4のサイドブレーキを緩めると、トラック1の傾斜により被搭載車両4は徐々に後進する。被搭載車両4の重心がピボット軸Pよりわずかに後ろに来ると、車載用デッキ3がピボット軸Pを中心に回転し揺動して、踏み板9の後端部が地面5に着地する。被搭載車両4をさらに徐々に後進することで、被搭載車両4の降ろしが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の車両を車に搭載するための装置および搭載方法によれば、トラックに搭載可能な装置のみで、被搭載車両が自力移動出来ない車両であっても、重機荷揚げ装置を用いることなく、トラック等の荷台への搭載が可能となるためバッテリー切れとなったバッテリー駆動自動車等を移動でき、高速道路のレスキュー他移動が望まれるあらゆる分野での適用が可能となり、自動車産業のサービスに広く適用できる。
【符号の説明】
【0014】
1 トラック、2 荷台、3 車載用デッキ3、4 被搭載車両、W ワイヤ、7 固定板、8 荷台側支持部、9 踏み板、P ピボット軸、10 中空部、11 ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台に搭載する車載用デッキと、
被搭載車両を固定するためのワイヤと、
トラックが乗り上げることで、地面とトラックのタイヤにより保持される所定長の固定板とで構成され、
車載用デッキは、後端部にピボット軸を備え、前記ピボット軸を前記トラックの荷台の後部に装着可能とし、中空状の荷台側支持部と、前記中空状の荷台側支持部に収納可能で、前記後端部から出し入れして伸縮可能な踏み板とにより構成され、
前記踏み板は伸張された状態で前記ピボット軸を中心に一体に揺動可能な構造を有し、前記ワイヤは、一端が前記被搭載車両に固定され、他端が前記固定板に固定される構成を備えた、車両を車に搭載するための装置。
【請求項2】
前記踏み板の後端部には、地面との摩擦を低減するローラが設けられている、請求項1に記載の車両を車に搭載するための装置。
【請求項3】
トラックの荷台に搭載する車載用デッキと、
被搭載車両を固定するためのワイヤと、
トラックが乗り上げることで、地面とトラックのタイヤにより保持される所定長の固定板と、を用い、
前記車載用デッキは、伸張時の中央部においてピボット軸を有し、前記ピボット軸がトラックの荷台後部に装着可能とし、中空状の荷台側支持部と、前記中空状の荷台側支持部に収納可能で、前記後端部から出し入れして伸縮可能な踏み板とにより構成され、
前記踏み板は伸張された状態でピボット軸を中心に一体に揺動可能な構造とし、
トラックの後方に被搭載車両を配置し、トラックと被搭載車両との間に固定板を配置するステップと、
ワイヤの一端を被搭載車両に固定し、ワイヤの他端を固定版に固定するステップと、
踏み板を伸張した状態でピボット軸を中心に一体に揺動させて後端部を地面に接地させるステップと、
トラックを後進させて固定板に乗り上げるとともに、踏み板後端を被搭載車両のタイヤと地面との間に入れ込むステップと、
さらにトラックを後進させ、トラックが固定板に乗り上げた状態を維持しつつ、ワイヤを介し被搭載車両の後退を阻止した状態で被搭載車両を相対的に踏み板上で移動させてピボット軸よりトラック荷台前方側に被搭載車両の重心が移動するまで移動するステップと、
被搭載車両の重心の移動により、ピボット軸を中心にして車載用デッキと車載用デッキ上の被搭載車両を水平状態に回動させるステップと、
中空状の荷台側支持部に踏み板を収納するステップ、により構成される、
車両を車に搭載する方法。
【請求項4】
トラックの荷台に搭載する車載用デッキであり、
伸張時の中央部においてピボット軸を備え、前記ピボット軸において前記トラックの荷台の後部に装着され、中空状の荷台側支持部と、前記中空状の荷台側支持部に収納可能で、前記後端部から出し入れして伸縮可能な踏み板とにより構成され、
前記踏み板は伸張された状態で前記ピボット軸を中心に一体に揺動可能な構成を備えた、車載用デッキ。
【請求項5】
前記踏み板の後端部には、地面との摩擦を低減するローラが設けられている、請求項4に記載の車載用デッキ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−95410(P2013−95410A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251082(P2011−251082)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【特許番号】特許第5080680号(P5080680)
【特許公報発行日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【出願人】(505124074)