説明

車両周辺監視装置

【課題】 撮像範囲を拡張する機構を設けるにあたり、構成を簡単にすることで装置を安価に構成でき、かつ、運転者にとって使い勝手のよい車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】 車両周辺の所定範囲〔200(A)〕を撮像する撮像手段(11)を有し、当該撮像手段(11)からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置において、前記撮像手段(11)は、前記撮像範囲〔200(A)〕を車両直前から車両遠方側の所定範囲とするよう車両(100)の上方部に下向きに取り付けられ、撮像領域変更手段(12)は、車両上方〔200(D)〕、車両側方〔200(S)〕の少なくとも一方に設定された前記撮像範囲〔200(A)〕外の特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像を前記撮像手段(11)の画像上における周縁領域に入射する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の後方あるいは運転席と反対側の側方といった視認が難しい車両周辺の領域を撮像し、モニタなどの表示手段を利用して、車両周辺に存在する物体、例えば人間、障害物に関する情報を運転者に知らせる車両周辺監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両周辺監視装置は、乗用車、バスあるいはトラックなどの車両において、運転者による視認が難しい車両側方並びに車両後方といった車両周辺を監視する装置として構成されている。例えば、CCDカメラやビデオカメラといった撮像装置を車両に取り付け、このCCDカメラやビデオカメラにより上述した車両周辺領域を撮像し、その撮像画像をモニタ等により表示することにより運転者などに車両周辺の情報を与える装置として構成されている。
【0003】この車両周辺監視装置において、撮像領域を拡張することにより監視対象領域を広範囲とすることは安全性を高める上で有用である。そして、このように監視領域を拡張した装置としては、例えば実開昭59−104677号公報に記載された装置(以下、第1の従来装置という)があった。
【0004】この第1の従来装置では、バスあるいはトラックといった大型自動車の車体の後方の上部すなわち天井部に撮像装置としてのビデオカメラを旋回可能に配設し、このテレビカメラを旋回させることによりビデオカメラによる撮像領域を車両の後方斜め下領域と前方領域とに切り換えるように構成している。そして、車両の進行方向を検出するとともにこの進行方向に応じてビデオカメラを旋回させ、車両が後方に進行する場合にはビデオカメラによる撮像領域を車両の後方斜め下領域とし、また車両が前方に進行する場合にはビデオカメラによる撮像領域を車両の前方領域とする。すなわち、この第1の従来装置は、撮像手段としてのビデオカメラ自身を旋回させることにより撮像領域を拡張している。
【0005】また、他の装置としては、実開昭62−157642号公報に記載された装置(以下、第2の従来装置という)があった。この第2の従来装置では、大型自動車の天井部に複数台のビデオカメラを位置を違えて配設し、各ビデオカメラにより互いに異なる監視領域上を撮像するようにしている。そして、コントローラにより、各ビデオカメラからの監視領域の撮像画像を1つの表示器に分割して表示する。すなわち、この第2の従来装置は、撮像手段としてのビデオカメラを複数用いることにより撮像領域を拡張している。
【0006】また、他の装置としては、実開昭62−72245号公報に記載された装置(以下、第3の従来装置という)があった。この第3の従来装置は、車両の後部に載置され、この車両の後方を撮像するビデオカメラと、このビデオカメラにより撮像された車両後方画像を映し出すビデオカメラと、上記ビデオカメラレンズの直前位置に固定的に配設され、下側領域を撮像する下側部分の板厚を、下方に向かって次第に厚くされた板ガラス(即ちプリズム)とを有している。そして、上記板ガラスにより、ビデオカメラにより撮像される画像の内、下側領域すなわち車両近傍領域を超広角画像とし、より広い領域の撮像すなわち撮像領域の拡張を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した第1及び第2の従来装置においては、ビデオカメラの旋回機構(第1の従来装置)あるいは複数台のビデオカメラ(第2の従来装置)を必須としているので構成が複雑になり、装置が高価になってしまうといった問題点を有していた。
【0008】また、第3の従来装置は、板ガラス(プリズム)を配設するものであるので、その構成を簡素にすることができ、装置を安価に構成できるといった利点を有している。しかしながら、この第3の従来装置においては、上述したように、車両の近傍領域を超広角画像としているので、運転者が最も注意を払うべき車両の近傍領域が歪んだ画像となってしまうため、当該領域の視認性が損なわれ使い勝手の悪いものとなってしまう可能性があった。また、この第3の従来装置では、板ガラスがビデオカメラレンズの直前位置に固定的に配設されているので、常時この歪んだ画像が存在し、この点においても装置の使い勝手を悪くしていた。
【0009】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、撮像範囲を拡張する機構を設けるにあたり、構成を簡単にすることで装置を安価に構成でき、かつ、運転者にとって使い勝手のよい車両周辺監視装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本発明によりなされた車両周辺監視装置は、図1乃至図3R>3に示すように、車両周辺の撮像範囲〔200(A)〕を撮像する撮像手段(11)を有し、当該撮像手段(11)からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段(11)のレンズ(11a)により規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段(11)に入射させることにより前記撮像手段(11)の撮像範囲〔200(A)〕を拡張する撮像領域変更手段(12)を有する車両周辺監視装置において、前記撮像手段(11)は、前記撮像範囲〔200(A)〕を車両直前から車両遠方側の所定範囲とするよう車両(100)の上方部に下向きに取り付けられ、前記撮像領域変更手段(12)は、車両上方〔200(D)〕、車両側方〔200(S)〕の少なくとも一方に設定された前記撮像範囲〔200(A)〕外の特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像を前記撮像手段(11)の画像上における周縁領域に入射するように構成されていることを特徴としている。(請求項1)
【0011】また、図3、図11及び図12に示すように、前記撮像領域変更手段(12)は、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a、12f、12h)と、前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズム(12)であり、前記屈折部を前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕に対応する撮像手段(11)の画角範囲内における周縁位置に配設したことを特徴としている。(請求項2)
【0012】また、図1乃至図5に示すように、車両周辺の撮像範囲〔200(A)〕を撮像する撮像手段(11)を有し、当該撮像手段(11)からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段(11)のレンズ(11a)により規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段(11)に入射させることにより前記撮像手段(11)の撮像範囲〔200(A)〕を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕に拡張する撮像領域変更手段(12)を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段(12)は、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a)と、前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズム(12)であり、前記プリズム(12)を前記レンズ(11a)による撮像範囲内に挿抜自在に位置付ける駆動手段(13)を設けたことを特徴としている。(請求項3)
【0013】また、図1、図4及び図5に示すように、車両(100)と前記特定監視領域に存在する物体との相対距離(L)を測定する相対距離測定手段(21)を設け、前記駆動手段(13)は、前記相対距離測定手段(21)により測定された相対距離(L)が規定距離以下となった場合に、前記撮像領域変更手段(12)を前記レンズ(11a)にて規定される撮像範囲内に位置付けることを特徴としている。(請求項4)
【0014】また、図12に示すように、車両周辺の撮像範囲〔200(A)〕を撮像する撮像手段(11)を有し、当該撮像手段(11)からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段(11)のレンズ(11a)により規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段(11)に入射させることにより前記撮像手段(11)の撮像範囲〔200(A)〕を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕に拡張する撮像領域変更手段(12)を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段(12)は、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a、12f、12h)と、前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズム(12)であり、前記プリズム(12)を構成する前記第1の光屈折面(12h)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を、頂角が異なる複数の短冊状平面(12h1 、....、12h3 )からなる構造とし、両者により形成される角度が、前記上底部側(12d)に向かう程、段階的に広角に変化するように構成したことを特徴としている。(請求項5)
【0015】また、図7及び図15に示すように、車両周辺の撮像範囲〔200(A)〕を撮像する撮像手段(11)を有し、当該撮像手段(11)からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段(11)のレンズ(11a)により規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段(11)に入射させることにより前記撮像手段(11)の撮像範囲〔200(A)〕を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕に拡張する撮像領域変更手段(12)を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段(12)は、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a、12f、12h)と、前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)と、前記第1の光屈折面(12a、12f、12h)及び第2の光屈折面(12b)により所定角度の頂角として形成された下底部(12e,K)とを有する屈折部を備え、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズム(12)であり、通常の非屈折画像と前記プリズム(12)による屈折画像との境界に相当するプリズム(12)の下底部(12e、K)を、前記レンズ(11a)の歪曲収差に応じた放物線状に湾曲させたことを特徴としている。(請求項6)
【0016】また、図7に示すように、前記プリズム(12)を構成する第1の光屈折面(12a)と第2の光屈折面(12b)をともに平面とし、両者により形成される角度がレンズ周縁部方向である前記プリズム(12)の上底部側(12d)に向かう程、連続的に広角となるように構成したことを特徴としている。(請求項7)
【0017】また、図15に示すように、前記プリズム(12)を構成する前記第1の光屈折面(12f)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を曲面構造とし、両者により形成される角度が、レンズ周縁部方向である前記プリズム(12)の上底部側(12d)に向かう程、連続的に広角に変化するように構成したことを特徴としている。(請求項8)
【0018】また、図12及び図15に示すように、前記プリズム(12)を構成する前記第1の光屈折面(12h)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を頂角が異なる複数の短冊状平面(12h1 、....、12h3 )からなる構造とし、両者により形成される角度が、前記上底部側(12d)に向かう程、段階的に広角に変化するように構成したことを特徴としている。(請求項8)
【0019】上記請求項1の構成において、撮像領域変更手段(12)は、撮像手段(11)のレンズ(11a)により規定される撮像範囲内における遠方領域側の光軸を部分的に屈折させる。そして、この撮像領域変更手段(12)により、撮像手段(11)には、前記撮像手段(11)の撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像が入射される。このとき、撮像領域変更手段(12)は、特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像を撮像手段(11)による撮像画像上における周縁領域に入射する。
【0020】すなわち、この請求項1の構成においては、撮像手段(11)の光軸を部分的に屈折させ、撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像を撮像画像の周縁領域に入射する撮像領域変更手段(12)を設けたので、撮像領域変更手段(12)を配設するだけで撮像範囲を拡張することができ、装置構成を簡単にすることができる。また、拡張された撮像領域の撮像画像上における位置が、撮像画像上における車両の遠方側領域(周縁領域)となっているので、車両の近傍領域の画像は歪むことがなくなり、その使い勝手を向上させることができる。
【0021】そして、この撮像領域変更手段(12)の具体的構成としては、請求項2に示すように、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a、12f、12h)と、前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズム(12)であり、そして、このプリズム(12)の屈折部が前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕に対応する撮像手段(11)の画角範囲内における周縁位置になるように配設している。
【0022】従って、この請求項2の構成においては、プリズム(12)の屈折部による屈折作用により特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像が撮像手段(11)に入射されるので、この特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像は反転のない正画像となるとともに撮像手段(11)の画角範囲内における周縁位置になる。これにより、運転者による車両近傍領域の視認が容易となり、使い勝手を向上させることができる。
【0023】また、請求項3の構成において、駆動手段(13)は、上述した撮像領域変更手段(12)としてのプリズムを前記レンズ(11a)による撮像範囲内に挿抜自在に位置付ける。
【0024】すなわち、この請求項3の構成においては、撮像領域変更手段(12)を作用状態(挿入状態)/非作用状態(退避状態)に切り換える手段を設けたので、撮像領域変更手段(12)を所望のタイミングで作用させることができ、また必要な場合についてのみ作用させる構成としたので、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0025】また、請求項4の構成において、相対距離測定手段(21)は車両(100)と前記特定監視領域に存在する物体との相対距離(L)を測定し、駆動手段(13)は、前記相対距離測定手段(21)により測定された相対距離が規定距離以下となった場合に、前記撮像領域変更手段(12)を撮像範囲内に位置付ける。
【0026】すなわち、この請求項4の構成においては、特定監視領域に存在する物体との相対距離を測定する測定手段を設け、撮像領域変更手段(12)の作用状態/非作用状態の切り換えをこの測定手段からの距離情報に基づいて行うように構成したので、特定監視領域に存在する物体が規定の近距離範囲内に存在した場合に撮像領域変更手段(12)を選択的に作用させることができ、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0027】また、上記請求項5の構成においては、撮像領域変更手段としてのプリズム(12)に関し、その屈折角度を規定する第1の光屈折面(12h)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を、前記上底部側(12d)に向かう程、段階的に広角に変化する頂角とされた複数の短冊状平面(12h1 、....、12h3 )構造としている。
【0028】この請求項5の構成によれば、その屈折角度を規定する第1の光屈折面(12h)と第2の光屈折面(12b)の頂角を段階的に変化させるように構成しているので、プリズムによる死角を分散させ、拡張された領域の全域を撮像することができるとともに画像をシャープなものとでき、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0029】また、上記請求項6の構成においては、撮像領域変更手段としてのプリズム(12)に関し、前記特定監視領域〔200(D),200(S)〕側に対峙する第1の光屈折面(12a、12f、12h)と前記撮像手段(11)側に対峙する第2の光屈折面(12b)とにより所定角度の頂角として形成された下底部(12e,K)を、前記レンズ(11a)の歪曲収差に応じた放物線状に湾曲させている。
【0030】このようにプリズム(12)の下底部(12e、K)を湾曲させることにより、撮像手段(11)に入射された画像において、プリズム(12)が作用した画像と他の画像の境界が直線状になる。従って、この請求項6の構成においては、プリズム(12)の下底部(12e、K)をレンズ(11a)の歪曲収差に応じた放物線状に湾曲させているので、プリズム(12)が作用した画像と他の画像の境界が直線状となり、運転者はプリズム(12)が作用している領域と他の領域とを視認により区分することが容易となり、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0031】そして、この請求項6に示された構成における屈折部としては、請求項7に示すように、前記プリズム(12)を構成する第1の光屈折面(12a)と第2の光屈折面(12b)をともに平面とし、両者により形成される角度がレンズ周縁部方向である前記プリズム(12)の上底部側(12d)に向かう程、連続的に広角となるように構成された屈折部、請求項8に示すように、前記第1の光屈折面(12f)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を曲面構造とし、両者により形成される角度が、レンズ周縁部方向である前記プリズム(12)の上底部側(12d)に向かう程、連続的に広角に変化するように構成された屈折部、請求項9に示すように、前記プリズム(12)を構成する前記第1の光屈折面(12h)と第2の光屈折面(12b)のいずれかの面を頂角が異なる複数の短冊状平面(12h1 、....、12h3 )からなる構造とし、両者により形成される角度が、レンズ周縁部方向である前記プリズム(12)の上底部側(12d)に向かう程、段階的に広角に変化するように構成された屈折部などが適用される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の具体例の装置構成を示すブロック図である。同図において、10は車両周辺の画像を撮像する画像入力部、20は各種操作情報などを取得する信号取得部、30は各種演算処理を実行するデータ処理部、40は障害物の位置などを表示したり、警報音などを発生する表示警報部である。
【0033】画像入力部10は、レンズ11aを備え、撮像手段として作用するCCDカメラ11と、プリズム12と、このプリズム12を駆動するプリズム駆動部13とから概略構成されている。上記CCDカメラ11のレンズ11aは、より広範囲な領域を撮像するため、短焦点レンズとして構成されている。
【0034】上記プリズム12は、アーム13aを介してプリズム駆動部13に支持されている。そして、このプリズム駆動部13は、データ処理部30(後述するCPU31)からの制御信号に基づいてプリズム12を移動させ、CCDカメラ11のレンズ11aにより規定される撮像範囲内すなわち視野内に挿入あるいは退避させる。
【0035】このプリズム12がCCDカメラ11の視野内に挿入されることにより、この視野内の光軸が部分的に屈折される。そして、このプリズム12によりCCDカメラ11には、通常状態においてこのCCDカメラ11の撮像範囲外となっている周辺領域の画像が入射される。
【0036】すなわち、このプリズム12は、CCDカメラ11の撮像範囲外の領域の画像をCCDカメラ11に入射する撮像領域変更手段として作用し、プリズム駆動部13は、このプリズム12をCCDによる撮像範囲内に挿抜自在に位置付ける駆動手段として作用する。
【0037】そして、上述したCCDカメラ11により撮像された画像情報は、CCDカメラ11に付設されたフレームメモリ11bに一時的に保持され、データ処理部30にて読み出される。
【0038】信号取得部20は、上述したように、各種操作情報などを取得する機構として構成されている。より詳細には、この信号取得部20は、検出対象となる物体との相対距離を測定する距離センサ21と、不図示の変速機構に設けられ、この変速機構のギアポジションが車両が後退する際に使用されるバックギアであることを検出し、検出信号を出力するバックギア検出センサ22と、車両内部に配設されるとともに運転者などにより操作され、プリズム12をCCDカメラ11の視野内に挿入させるための制御信号を送出する操作スイッチ23とを有している。
【0039】データ処理部30は、動作プログラムに従って動作するCPU31と、この動作プログラムが格納されたROM32と、CPU31の動作時において必要な情報を一時格納するRAM33とを有している。そして、CPU31は、上述した画像入力部10及び信号取得部20と信号線で接続され、これらの画像入力部10及び信号取得部20と信号の授受を行う。
【0040】表示警報部40は、スピーカ41と、ディスプレイ42を有し、データ処理部30のCPU31から出力されたブザー音信号あるいは音声ガイダンス信号に基づいて、スピーカ41からブザー音あるいは音声ガイダンスを出力するとともにCPU31からの表示画像信号に基づいて、物体の車両との相対位置を表示したりあるいは運転者に対するメッセージを表示したりする。
【0041】次に、図2を参照して上述した画像入力部10及び信号取得部20の距離センサ21の取り付け態様について説明する。同図は、CCDカメラ11、プリズム12及びプリズム駆動部13により構成した画像入力部10と、距離センサ21の取付態様を説明する図で、自動車100(同図では大型車両としてのバスを例示する)の後部において地面の法線に対し俯角θA で固定した場合の設置の一例を示す。
【0042】すなわち、画像入力部10(CCDカメラ11)は、車両100の後方中央部に、後方下向きに取り付けられている。これにより、このCCDカメラ11は車両後方の監視領域200(A)を撮像する。そして、距離センサ21は、車両100の後方中央部に画像入力部10に隣接して取り付けられている。なお、この距離センサ21は、後方水平方向に向けて取り付けられており、車両上方を含む後方領域における物体との相対距離を測定する。
【0043】また、この距離センサ21に関し、この距離センサ21を複数設け、その一つを上述したように後方水平方向に向けて取り付け、後方領域における物体との相対距離を測定させ、他の距離センサ21を同図に符号200(S)の点線で示す監視領域200(A)の側方領域に向けて取り付け、この側方領域における物体との相対距離を測定させるように構成してもよい。なお、このように構成する理由については後で説明する。
【0044】次に図3を参照して、撮像領域変更手段としてのプリズム12の形状及び作用について説明する。このプリズム12は、直角三角形状の断面を有する三角柱として構成されている。
【0045】より詳細には、このプリズム12は、図3(a)に示すように、方形状の面として構成された第1の屈折面12a、第2の屈折面12b、上底面12dと、直角三角形状の面として構成された側面12cとを有し、第2の屈折面12b及び上底面12dが互いに直交する面として構成され、第1の屈折面12aがこれらの第2の屈折面12b及び上底面12d間の斜面すなわち側面12cにおける斜辺として構成されている。そして、第1の屈折面12aと第2の屈折面12bの交差部分は、頂角θB の下底部12eとして構成されている。
【0046】上述したように構成されたプリズム12は、光軸を屈折させる作用を有する。すなわち、図3(b)に示すように、集光点x´に集光する光をプリズム12の第1の屈折面12a側から入射させると、この光の光軸Lxは、第1の屈折面12a及び第2の屈折面12bにて角度αだけ屈折する。その結果、この光は集光点xにて集光する。
【0047】このようなプリズム12を、CCDカメラ11のレンズ11aの直前位置すなわちCCDカメラ11のレンズ11aにより規定される撮像範囲内に、その下底部12e側から挿入すると、このプリズム12により光軸が屈折して撮像範囲外の画像情報がCCDカメラ11に入射される。
【0048】より詳細には、図3(c)に示すように、プリズム12をレンズ11aの撮像範囲に相当する角度範囲A内にその下底部12e側から挿入すると、プリズム12を透過する光は屈折し、角度範囲Bの画像に代えて撮像範囲外である角度範囲Dの画像がCCDカメラ11に入射される。また、プリズム12が作用していない角度範囲Cの画像については変わることなくCCDカメラ11に入射される。
【0049】従って、プリズム12を上方から挿抜するように構成した場合、プリズム12をこの角度範囲Aから退避した状態(非作用状態)とすることによりCCDカメラ11は車両後方の監視領域200(A)を撮像する(図2参照)。一方、プリズム12をこの角度範囲A内に挿入した状態(作用状態)とすることによりCCDカメラ11、図2に符号200(B)の点線で示す監視領域200(A)中の遠方側領域の画像に代えて角度範囲Dの画像すなわちさらに遠方の車両上方を含む後方水平方向の領域を撮像する。
【0050】また、同様に、プリズム12を側方から挿抜するように構成した場合、プリズム12をこの角度範囲A内に挿入した状態とすることによりCCDカメラ11は、図2に符号200(S)の点線で示す監視領域200(A)の側方領域を撮像する。以上のように、プリズム12を上方あるいは側方から挿抜するように構成することにより、CCDカメラ11には、遠方領域すなわち車両上方を含む後方水平方向の領域あるいは監視領域200(A)の側方領域の画像が入射される。このように、CCDカメラ11の光軸を部分的に屈折させ、撮像範囲外に設定された特定監視領域〔200(D),200(S)〕の画像をCCDカメラ11による撮像画像の周縁領域に入射するプリズム12を設けたので、このプリズム12を配設するだけで撮像範囲を拡張することができ、装置構成を簡単にすることができる。また、拡張された撮像領域の撮像画像上における位置が、撮像画像上における車両の遠方側領域(周縁領域)となっているので、車両の近傍領域の画像は歪むことがなくなり、その使い勝手を向上させることができる。
【0051】また、このように、プリズム12の屈折作用により、撮像範囲外の画像がCCDカメラ11に入射されるので、この撮像範囲外の画像は反転のない正画像となる。これにより、運転者による視認を容易なものとすることができる。
【0052】次に、図4のフローチャートを参照して、上述した構成を有する具体例の動作すなわちプリズム12の挿抜動作を含む画像取得動作について説明する。この具体例においては、まずステップS110にて変速機構のギアポジションがバックギアであるか否かについて判定する。このギアポジションの判定処理は、信号取得部20のバックギア検出センサ22からの出力に基づいてなされる。
【0053】すなわち、このステップS110では、バックギア検出センサ22からの信号を取得し、この信号がバックギアを示す信号であった場合に「Y」と判定してステップS111に移行する。また、この信号がバックギア信号以外のギアポジションであった場合に「N」と判定してステップS113に移行する。そして、このステップS113では、CCDカメラ11をOFF状態にして再度ステップS110の判定処理を実行する。
【0054】一方、ステップS111に移行した場合には、このステップS111にてCCDカメラ11を撮像可能なON状態とした後、引き続くステップS112にて距離センサ21を測定可能なON状態としてステップS120に移行する。
【0055】ステップS120では、距離センサ21からの出力に基づき、車両の後方水平方向の領域内であってこの距離センサ21(すなわち車両100)から所定距離範囲内に上部障害物があるか否かを検出する。そして、このステップS120にて障害物が検出された場合(「有」)には、ステップS121に移行し、このステップS121にてプリズム12をCCDカメラ11の撮像範囲内に挿入する。すなわち、このステップS121では、図3(c)に示すようにCCDカメラ11のレンズ11aの直前位置すなわちCCDカメラ11のレンズ11aにより規定される撮像範囲内に、その下底部12e側から挿入し、これにより光軸を屈折させCCDカメラ11に後方水平方向の領域の画像を入射する。
【0056】一方、上記ステップS120にて障害物が検出されなかった場合(「無」)には、ステップS122に移行し、このステップS122にてプリズム12をCCDカメラ11の撮像範囲外に退避させる。すなわち、このステップS122では、プリズム12をCCDカメラ11の撮像範囲外に位置付け、CCDカメラ11に車両後方の監視領域200(A)を撮像させる(図2参照)。
【0057】そして、上述したステップS121あるいはステップS122の処理が終了するとステップS130に移行する。このステップS130では、撮像画像表示処理、すなわち上記ステップS121あるいはステップS122にてCCDカメラ11により撮像された画像を表示警報部40のディスプレイ42にて表示する。そして、このステップS130の表示処理が終了すると、一連の処理を終了し、再度上記ステップS110からの処理を実行する。(RTS)
【0058】次に、図5の模式図を参照して、この具体例の動作について説明する。この場合、まずギアポジションの判定処理によりギアポジションがバックギアとなっているかを判定し、ギアポジションがバックギアとなっていた場合には、次いでCCDカメラ11及び距離センサ21をON状態とする(ステップS110乃至S113)。
【0059】そして、距離センサ21により、車両の後方水平方向の領域であって車両から所定距離範囲内において、上部障害物が存在するか否かを判定する。例えば、同図においては、符号200(D´)で示す車両の後方水平方向の領域内であって、距離L以内に上部障害物としての歩道橋300が存在するか否かについて判定する(ステップS120)。
【0060】そして、距離L以内に上部障害物としての歩道橋300が存在した場合には、プリズム12をCCDカメラ11の撮像範囲内に挿入し、このCCDカメラ11に後方水平方向の領域の画像を入射する(ステップS121)。これにより、CCDカメラ11には、車両上方を含む後方水平方向の領域画像が入射される。
【0061】すなわち、このプリズム12をCCDカメラ11の撮像範囲内に挿入することにより、このCCDカメラ11には、監視領域200(A)中の遠方側領域200(B)に代えて、後方水平方向領域200(D)が入射される。従って、CCDカメラ11は、この後方水平方向領域200(D)に存在する歩道橋300と車両後方であってこの車両付近の領域すなわち後方近傍領域200(C)の路面を撮像する。
【0062】このように、上方領域と後方近傍領域の画像を同時に撮像する構成としたことにより、人間あるいは障害物が存在する確率が高い領域の画像情報を取得することができ、運転者に対し、安全性を高める上でより適切な情報を提供することができる。
【0063】そして、プリズム12を作用状態(挿入状態)/非作用状態(退避状態)に切り換えるプリズム駆動部13を設け、このプリズム駆動部13を距離センサ21からの相対距離情報に基づき駆動させ、相対距離が近くなった場合にプリズム12を作用させるように構成したので、プリズム12を必要なタイミングで作用させることができ、撮像領域の拡張が必要な場合についてのみ作用させる構成としたので、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0064】また、この具体例においては、操作スイッチ23の操作が設けられており、この操作スイッチにより任意のタイミングでプリズム12を作用させるように構成しているので、撮像領域の拡張が必要な場合についてのみ作用させる構成としたので、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0065】また、以上は歩道橋300を例示し、上方領域200(D)に存在する障害物(歩道橋300)に対する検出・撮像動作について説明したが、図2及び図3R>3で説明したように、監視領域200(A)の側方領域200(S)に対する検出・撮像動作も同様にしてなされる。すなわち、この場合には、ステップS120及びS121にて、図2で説明したように、側方領域200(S)における物体との相対距離を測定する測定距離センサ21からの測定信号に基づき障害物の有無を判定し、距離L以内に側方障害物が存在した場合に、プリズム12を側方からCCDカメラ11の撮像範囲内に挿入し、このCCDカメラ11に側方領域200(S)の画像を入射させればよい。また、この構成において、この側方領域200(S)と上方領域の200(D)とは必ずしも別個に測定する必要はなく、両方設けるように構成してもよい。
【0066】ところで、上述した具体例におけるプリズム12は、図3にて説明したように、三角柱状に構成され、その挿入側の端面すなわち下底部12eが直線状とされている。これに対し、上記CCDカメラ11のレンズ11aは、一般に歪曲収差を有している。従って、直線状の下底部12eを備えたプリズム12と歪曲収差を有するレンズ11aを備えたCCDカメラ11とを組み合わせた場合、このプリズム12が作用する境界領域がレンズ11aの歪曲収差により湾曲してしまう。例えば、上記レンズ11aが樽状の歪曲特性を有していた場合には、図6(a)に示すように、プリズム12が作用する境界線H1(下底部12e)がこの撮像画像上において上方側に突出するよう湾曲する。
【0067】このように、上記境界線H1が湾曲した場合には、撮像画像の中心領域と下底部12eの延長方向(同図における水平方向)の端部領域では、プリズム12が作用した領域(同上方領域)の画像の占める割合が異なってしまうので、運転者にとって視認し難い画像となってしまう。
【0068】このような境界線H1の湾曲についての問題は、レンズ11aに歪曲収差のないものを用いることにより解決することができる。しかしながら、この歪曲収差のないレンズは一般に高価であるため、装置に組み込んだ場合には、装置のコストアップを招いてしまう。そこで、このような境界線H1の湾曲に対する問題を解決するプリズム12の形状について以下説明する。
【0069】図7は、このプリズムの形状を説明する図である。なお、同図におけるプリズムは、図3で説明したプリズム12と区別するため、プリズム12Aとして説明することとする。そして、図7(a)は、このプリズム12Aの全体構造を示す斜視図、図7(b)は、このプリズム12Aの全体構造を示す三面図、図7(c)は、図7(b)におけるZ−Z断面図である。
【0070】これらの図に示すように、このプリズム12Aは、図3で説明したプリズム12と同様に、第1の屈折面12a、第2の屈折面12b、側面12c、上底面12d及び下底部12eを有しており、上記側面12cは直角三角形状の面として構成されている。
【0071】このプリズム12Aと上述したプリズム12Aとの差異は、その幅方向すなわち側面12cの直交方向における形状にある。すなわち、このプリズム12Aは、正面側(第1の屈折面12a側)から見た場合にその中央部が下底部12e側に放物線状に湾曲した形状を有している。すなわち、その上底面12d及び下底部12eが放物線状に湾曲した形状となっている。さらに、このプリズム12Aの断面は、図7(c)のZ−Z断面図に代表されるように、側面12cと同形状の直角三角形状面、すなわち第1の屈折面12aと第2の屈折面12bにより形成された頂角θB の下底部12eを有する直角三角形状面となっている。
【0072】次に、図8を参照して、このプリズム12Aの上底面12d及び下底部12eの湾曲形状について説明する。上述したように、CCDカメラ11で撮像された画像は、レンズ11aの歪曲収差により湾曲した画像となっている。従って、この歪曲収差を逆補正するようにプリズム12Aの上底面12d及び下底部12eを湾曲させることにより、図6(a)にて説明した境界線H1を図6(b)にて示すように直線状にすることができる。以下、この逆補正について説明する。
【0073】例えば、図8(a)に示すように、歪曲収差が無い時の点P(x0 ,y0 )が歪曲収差によって点P′(x,y)に結像したものとすると、その収差量Dabは次式(1)により表すことができる。
Dab=[(x0 −x)2 +(y0 −y)2 0.5 ・・・(1)
【0074】そして、上述したように、このような歪曲画像において、その収差量Dabは光軸からの距離の3乗に比例すなわちレンズの中心点より点Pまでの距離の3乗に比例するので、上記式(1)の右辺は、次式(2)により表すことができる。
[(x0 −x)2 +(y0 −y)2 0.5 =k1 [(x02−y020.5 3 ・・・(2)
上記式中、k1 はレンズによって定まる収差係数
【0075】従って、レンズに歪曲収差が存在する場合は、例えば次式(3)の演算を行うことによりこの歪曲収差を補正することができる。
0 ≒x(1−k1 (x2 +y2 ))
0 ≒y(1−k1 (x2 +y2 )) ・・・(3)
【0076】以上より、上式(3)の収差係数k1 として実際に使用するレンズ11aの収差係数を、上記yとして下底部12eの挿入深度をそれぞれ代入し、さらに上記xをCCDカメラ11内の撮像素子(フレームメモリ11dと同義、ここではフレームメモリ11dで説明することとする)の幅方向の変数として可変代入すれば、図6(a)にて説明した境界線H1を直線状にするための上底面12d及び下底部12eの湾曲形状を算出することができることが判る。
【0077】例えば、図8(b)に示すように、プリズムの下底部12eを撮像領域の1/4まで挿入した場合、すなわち512画素×512画素のフレームメモリ11dに対し、同図に符号y(1/4) で示す位置まで挿入した場合について考えると、この挿入深度y(1/4) が値「128」として与えられる。
【0078】さらに、CCDカメラ11のレンズ11aが収差係数k1 「−3.3×10-5」のレンズであったとすると、上式(3)にこれらの定数すなわち収差係数k1及び挿入深度y(1/4) を代入することにより、挿入深度1/4における湾曲形状を示す計算式、すなわち次式(4)を導くことができる。
0(1/4)≒3.3×10-5 +1.541x y0(1/4)≒4.224×10-32 +197.2 ・・・(4)
【0079】また、撮像領域の1/3すなわち図8(b)に符号y(1/3) で示す位置までプリズムの下底部12eを挿入した場合について考えると、この挿入深度y(1/3)は値「85」として与えられる。そして、レンズ11aの収差係数k1 が「−3.3×10-5」であったとすると、先と同様に、これらの収差係数k1 及び挿入深度y(1/3) を上式(3)に代入することにより、挿入深度1/3における湾曲形状を示す計算式、すなわち次式(5)を導くことができる。
0(1/3)≒3.3×10-5 +1.238x y0(1/3)≒2.805×10-32 +105.3 ・・・(5)
【0080】そして、図9に示すように、プリズム12Aの上底面12d及び下底部12eを上式(4)あるいは式(5)で与えられる座標値x0 ,y0 にて規定される曲線に沿って湾曲させることにより、図6(b)にて示すように境界線H1を直線状にすることができ、運転者による視認性を向上させることができる。なお、図9から判るように、プリズム12Aにおいて、境界線H1を直線状とするよう作用しているのは下底部12eであり、上底面12dは境界線H1に対して何等作用していない。従って、このプリズム12Aにおいては、下底部12eを上述した湾曲形状とすればよく、上底面12dについては必ずしも上述した湾曲形状とする必要はない。
【0081】また、図3にて説明したプリズム12は、同図(a)にて説明したように三角柱状に構成されており、そして、同図(c)にて説明したようにこのプリズム12の頂角である下底部12eをCCDカメラ11のレンズ11aの撮像範囲(角度範囲A)内に挿入することにより、撮像範囲を拡張するすなわち後方水平方向領域(角度範囲D)の画像を撮像するように構成していた。従って、プリズム12をレンズ11aの撮像範囲(角度範囲A)内に挿入した場合には、図5からも判るように、監視領域200(A)中の遠方側領域200(B)が監視対象領域から外れ、死角となってしまう。
【0082】このため、上述した具体例においては、まず拡張する撮像範囲〔監視領域200(D)及び監視領域200(S)〕内に障害物が存在するか否かを判定し、この拡張撮像範囲〔200(D)及び200(S)〕内にて障害物が検出された場合に、プリズム12あるいは12Aをレンズ11aの撮像範囲内に挿入するように構成し、上記拡張監視領域の撮像期間を短時間にするように構成していた。
【0083】そして、この構成の場合、プリズム12あるいは12Aを駆動させるためのプリズム駆動部13が必須となる。しかしながら、この種の車両周辺監視装置は、車両の付属機構として設けられているので、より安価な構成の要望もある。次に、上述したプリズム駆動部13を省略することができ、装置を簡素に構成できるプリズム12の形状について説明する。
【0084】図10は、このプリズムの形状を説明する図である。なお、同図におけるプリズムは、図3及び図7R>7で説明したプリズム12及び12Aと区別するため、プリズム12Bとして説明することとする。そして、図1010(a)は、このプリズム12Bの全体構造を示す斜視図、図10(b)は、このプリズム12Bの全体構造を示す三面図である。
【0085】これらの図に示すように、このプリズム12Bは、図3で説明したプリズム12と同様に、互いに直交する面として構成された第2の屈折面12b及び上底面12dを有している。そして、図3で説明したプリズム12との差異は、第2の屈折面12bの反対側に対向する面(プリズム12における第1の屈折面12aに相当)の形状にある。
【0086】この面すなわち第2の屈折面12bの対向面は、より詳細には、同図に符号12gで示す第2の屈折面12bと平行な方形状の平面と、同じく符号12fで示す曲面とから形成されている。そして、曲面12fと第2の屈折面12bにより屈折部12B1が、平面12gと第2の屈折面12bにより平板部12B2が構成されている。
【0087】そして、屈折部12B1の曲面12fは、平板部12B2の平面12gに対して、双方の面により形成される角度すなわち第2の屈折面12bとにより形成される頂角θc がその上底部12d側に向けて連続的に広角となるように形成されている。すなわち、この曲面12fと第2の屈折面12bにより、透過する光の光軸の屈折角が連続的に変化するプリズム面を構成している。また、この構成においては、屈折部12B1と平板部12B2との境界Kが、図3で説明したプリズム12の下底部12eと同様な屈折作用の境界部となっている。
【0088】次に、このような構成を有するプリズム12Bの作用を図11を参照して説明する。今、同図に示すように、CCDカメラ11のレンズ11aにより規定される視野が角度範囲Aであり、この角度範囲Aを覆うとともに曲面12f及び平面12gがレンズ11a側に面するように、プリズム12Bをレンズ11aの前方に配設した場合について考える。
【0089】この場合、角度範囲A中の平板部12B2(平面12g、第2の屈折面12b)を透過する光すなわち光軸Lx1と光軸Lx2間の角度範囲Eの光は、屈折することなくこのプリズム12Bを透過する。一方、角度範囲A中の屈折部12B1(曲面12f、第2の屈折面12b)を透過する光すなわち光軸Lx2と光軸Lx4間の角度範囲Fの光は、この屈折部12B1にて屈折する。より詳細には、この角度範囲Fの光であって光軸Lx2に近接した位置を透過する光の屈折角度は極めて僅かなものであり、これに対し光軸Lx4に近接した位置を透過する光の屈折角度は大きな角度とされる。
【0090】従って、光軸Lx2に近接した位置を透過する光の屈折角度をβ0 、光軸Lx4に近接した位置を透過する光の屈折角度をβ2 、これらの光軸Lx2及び光軸Lx4の略中間位置を透過する光の屈折角度をβ1 とすると、次式(6)の関係が成り立つ。
β0 (≒0)<β1 <β2 ・・・(6)
そして、この屈折角度β(β0 乃至β2 )に関し、この屈折角度βは角度範囲Fにおいて、上底面12dに向かうほど連続的に増加する(すなわち広角とされる)。
【0091】そして、このように、プリズム12Bの屈折部12B1についてその屈折角度βを上底面12dに向かうほど連続的に広角となるように構成したことにより、CCDカメラ11に入射される画像は、その撮像範囲が拡張されると同時に連続した画像となる。これにより、図5にて説明した監視領域200(A)中の死角〔遠方側領域200(B)〕をなくすことができる。さらに、監視領域200(A)中の死角をなくしたことにより、このプリズム12Bをレンズ11aの前方に固定的に配設して常時作用させることができる。以上より、このプリズム12Bを用いることにより、プリズム12あるいは12Aを駆動させるためのプリズム駆動部13を省略することができる。
【0092】次に、上述したプリズム駆動部13を省略することができ、装置を簡素に構成できるプリズム12の他の形状について、図12を参照して説明する。そして、図12(a)は、この他の形状を有するプリズム12Cの全体構造を示す斜視図、図12(b)は、このプリズム12Cの形状及び作用を示す側面図である。
【0093】これらの図に示すように、このプリズム12Cは、上述したプリズム12Bと同様に、互いに直交する面として構成された第2の屈折面12b及び上底面12dを有している。そして、このプリズム12Bとの差異は、屈折部(プリズム12Bにおける屈折部12B1に相当)の形状にある。
【0094】すなわち、このプリズム12Cは、上述したプリズム12Bと同様に、境界Kを境にして分割された屈折部12C1及び平板部12C2とから構成されている。そして、この平板部12C2は、プリズム12Bと同じく平面12gと第2の屈折面12bとから構成された平板状部材として構成されている。一方、屈折部12C1は、複数の短冊状平面12h1 、....、12h3 を有する多段プリズム面12hとして構成されている。
【0095】より詳細には、この多段プリズム面12hは、図12(a)に示すように、プリズム12Cの幅方向(側面12cの直交方向)に延長された方形状の短冊面として形成されている。そして、図12(b)に示すように、これらの短冊状平面12h1 、....、12h3 は、段階的に第2の屈折面12bとの頂角が広角となるように形成されている。すなわち、平面12gに隣接する第1の短冊状平面12h1 は、例えば第2の屈折面12bとにより形成される頂角が4.3度、この第1の短冊状平面12h1 に隣接する第2の短冊状平面12h2 は頂角が8.5度、この第2の短冊状平面12h2 に隣接する第3の短冊状平面12h3 は頂角が12.5度と、上底部12d側に向かう程、広角となるように形成されている。
【0096】そして、上述したようにプリズム12Cを構成したことにより、このプリズム12Cを透過する光は、段階的にその屈折角度が大きくなる。すなわち、図1212(b)に示すように、平板部12B2を透過する光は屈折することなくこのプリズム12Cを透過し、屈折部12B1の第1の短冊状平面12h1 を透過する光は小さい屈折角度で屈折してこのプリズム12Cを透過し、第2の短冊状平面12h2 を透過する光は中程度の屈折角度で屈折してこのプリズム12Cを透過し、そして第3の短冊状平面12h3 を透過する光は大きな屈折角度で屈折してこのプリズム12Cを透過する。
【0097】この場合、平面12g及び各短冊状平面12h1 乃至12h3 の境界において死角が生じる。例えば、CCDカメラ11が有するレンズ11aの視野が93度であったとすると、同図に示すように、平面12gと第1の短冊状平面12h1 の境界には4度の死角が生じる。同様に、第1の短冊状平面12h1 と第2の短冊状平面12h2 の境界には2度の死角が生じ、第2の短冊状平面12h2 と第3の短冊状平面12h3 の境界には6度の死角が生じる。
【0098】そして、このプリズム12Cによれば、その撮像範囲内に3つの死角が生じることになるが、そのそれぞれが狭い角度となるので、実質的に不具合を生じることはない。例えば、図13に示す頂角12.5の1段プリズム12´と比較した場合には、この1段プリズム12´においては、境界Kにて9度の死角が生じてしまう。
【0099】そして、図14に示すように、このプリズム12Cによれば、図5にて説明した監視領域200(A)中の死角〔遠方側領域200(B)に相当〕が同図に符号200(B´)で示すように分散するので、この死角を実質的になくすことができる。さらに、監視領域200(A)中の死角をなくしたことにより、このプリズム12Bをレンズ11aの前方に固定的に配設して常時作用させることができる。以上より、このプリズム12Cを用いることにより、プリズム12あるいは12Aを駆動させるためのプリズム駆動部13を省略することができる。
【0100】そして、このプリズム12Cにおいては、上述したプリズム12Bと比較して先鋭(シャープ)な画像が得られる。これは、各プリズム面(各短冊状平面12h1 乃至12h3 )が平面により形成されていることに起因している。このようなプリズム12B及び12Cは、その用途に応じて使い分けることができる。すなわち、死角を完全になくす必要がある用途にはプリズム12Bを用い、よりシャープな画像が要求される用途にはプリズム12Cを用いるようにすればよい。
【0101】なお、例示したプリズムは12Cは、3つの短冊状平面12h1 乃至12h3を有していたが、この短冊状平面の数についてはこれに限定されるものではなく、例えば5つ、7つなど任意に設定することができる。
【0102】ところで、以上説明したプリズム12Bあるいは12Cにおいても、屈折部12B1及び12C1と、平板部12B2及び12C2の境界Kに対応する画像上の境界領域(上述した境界線H1に相当)については、レンズ11aの歪曲収差により湾曲してしまい、このため運転者にとって視認し難い画像となってしまう。
【0103】次に、上記プリズム12Bあるいは12Cにおいて、このような境界線H1の湾曲に対する問題を解決するプリズム12の形状について説明する。図15は、このプリズムの形状を説明する図で、全体構成を説明する三面図である。例示したプリズムは、プリズム12Bを改良した例を示したものである。なお、同図におけるプリズムは、上記プリズム12Bと区別するため、プリズム12Dとして説明することとする。
【0104】同図に示すように、このプリズム12Dは、図10で説明したプリズム12Bと同様に、互いに直交する面として構成された第2の屈折面12b及び上底面12dと、この第2の屈折面12bとの対向側の面としての曲面12f及び平面12gとを有している。そして、上記曲面12fと第2の屈折面12bにより屈折部12D1が、平面12gと第2の屈折面12bにより平板部12D2が構成されている。
【0105】そして、このプリズム12Dにおけるプリズム12Bとの差異は、その幅方向(側面12cの直交方向)における形状にある。すなわち、このプリズム12Dの屈折部12D1は、図7で説明したプリズム12Aと同様に、その正面側(曲面12f及び平面12g側)から見た場合にその中央部が境界K(プリズム12Aにおける下底部12eに相当)側に放物線状に湾曲した形状を有している。この湾曲形状は、上式(3)乃至式(5)で説明したように、レンズ11aの歪曲収差に基づきこの歪曲収差を逆補正する形状として規定されている。また、このプリズム12Dの屈折部12D1の断面は、同形状の曲面形状となっている。
【0106】このように屈折部12D1を湾曲した形状とすることにより、このプリズム12Dで撮像された画像は、図16に示すように、上記境界Kに対応する境界線H1が直線状に補正された画像となり、運転者による視認性を向上させることができる。
【0107】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、次の効果を奏する。すなわち、撮像手段の光軸を部分的に屈折させ、撮像範囲外に設定された特定監視領域の画像を撮像画像の周縁領域に入射する撮像領域変更手段を設けたので、撮像領域変更手段を配設するだけで撮像範囲を拡張することができ、装置構成を簡単にすることができる。また、拡張された撮像領域の撮像画像上における位置が、撮像画像上における車両の遠方側領域(周縁領域)となっているので、車両の近傍領域の画像は歪むことがなくなり、その使い勝手を向上させることができる。
【0108】また、撮像領域変更手段として、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と、前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズムを適用し、当該プリズムの屈折部が前記特定監視領域に対応する撮像手段の画角範囲内における周縁位置になるように配設しているので、プリズムの屈折部による屈折作用により特定監視領域の画像が撮像手段に入射され、この特定監視領域の画像は反転のない正画像となるとともに撮像手段の画角範囲内における周縁位置になる。
【0109】また、撮像領域変更手段(プリズム)を作用状態(挿入状態)/非作用状態(退避状態)に切り換える手段を設けたので、撮像領域変更手段を所望のタイミングで作用させることができ、また必要な場合についてのみ作用させる構成としたので、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0110】また、特定監視領域に存在する物体との相対距離を測定する測定手段を設け、撮像領域変更手段の作用状態/非作用状態の切り換えをこの測定手段からの距離情報に基づいて行うように構成したので、特定監視領域に存在する物体が規定の近距離範囲内に存在した場合に撮像領域変更手段を選択的に作用させることができ、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0111】また、撮像領域変更手段(プリズム)に関し、その屈折角度を規定する第1の光屈折面と第2の光屈折面の頂角を段階的に変化させるように構成しているので、プリズムによる死角を分散させ、拡張された領域の全域を撮像することができるとともに画像をシャープなものとでき、その使い勝手を一層向上させることができる。
【0112】また、撮像領域変更手段としてのプリズムに関し、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面とにより所定角度の頂角として形成された下底部を、前記レンズの歪曲収差に応じた放物線状に湾曲させているので、プリズムが作用した画像と他の画像の境界が直線状となり、運転者はプリズムが作用している領域と他の領域とを視認により区分することが容易となり、その使い勝手を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】具体例の装置構成を示すブロック図である。
【図2】画像入力部10及び距離センサ21の取付態様の説明図である。
【図3】プリズム12の形状及び作用を説明する図である。
【図4】具体例の動作を説明するフローチャートである。
【図5】具体例の動作を説明する模式図である。
【図6】プリズム12及びプリズム12Aにより撮像された画像を説明する図である。
【図7】プリズム12Aの形状を説明する図である。
【図8】プリズム12Aの湾曲形状を算出する処理を説明する模式図である。
【図9】プリズム12Aの湾曲形状について説明する模式図である。
【図10】プリズム12Bの形状を説明する図である。
【図11】プリズム12Bの作用を説明する図である。
【図12】プリズム12Cの形状を説明する図である。
【図13】プリズム12Cの作用を説明する図である。
【図14】プリズム12Cの作用を説明する図である。
【図15】プリズム12Dの形状を説明する図である。
【図16】プリズム12Dにより撮像された画像を説明する図である。
【符号の説明】
10 画像入力部
11 CCDカメラ
11a レンズ
11b フレームメモリ
12、12A、12B、12C、12D プリズム
12B1、12C1、12D1 屈折部
12B2、12C2、12D2 平板部
12a 第1の屈折面
12b 第2の屈折面
12c 側面
12d 上底面
12e 下底部
12f 曲面
12g 平面
12h 多段プリズム面(短冊状平面12h1 、....、12h3
13 プリズム駆動部
20 信号取得部
21 距離センサ
23 操作スイッチ
30 データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両周辺の撮像範囲を撮像する撮像手段を有し、当該撮像手段からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段のレンズにより規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段に入射させることにより前記撮像手段の撮像範囲を拡張する撮像領域変更手段を有する車両周辺監視装置において、前記撮像手段は、前記撮像範囲を車両直前から車両遠方側の所定範囲とするよう車両の上方部に下向きに取り付けられ、前記撮像領域変更手段は、車両上方、車両側方の少なくとも一方に設定された前記撮像範囲外の特定監視領域の画像を前記撮像手段の画像上における周縁領域に入射するように構成されていることを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項2】 前記撮像領域変更手段は、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と、前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズムであり、前記屈折部を前記特定監視領域に対応する撮像手段の画角範囲内における周縁位置に配設したことを特徴とする請求項1記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】 車両周辺の撮像範囲を撮像する撮像手段を有し、当該撮像手段からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段のレンズにより規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段に入射させることにより前記撮像手段の撮像範囲を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域に拡張する撮像領域変更手段を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段は、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と、前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズムであり、前記プリズムを前記レンズによる撮像範囲内に挿抜自在に位置付ける駆動手段を設けたことを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項4】 車両と前記特定監視領域に存在する物体との相対距離を測定する相対距離測定手段を設け、前記駆動手段は、前記相対距離測定手段により測定された相対距離が規定距離以下となった場合に、前記撮像領域変更手段を前記レンズにて規定される撮像範囲内に位置付けることを特徴とする請求項3記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】 車両周辺の撮像範囲を撮像する撮像手段を有し、当該撮像手段からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段のレンズにより規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段に入射させることにより前記撮像手段の撮像範囲を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域に拡張する撮像領域変更手段を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段は、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と、前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面により構成される屈折部を有し、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズムであり、前記プリズムを構成する前記第1の光屈折面と第2の光屈折面のいずれかの面を、頂角が異なる複数の短冊状平面からなる構造とし、両者により形成される角度が、前記上底部側に向かう程、段階的に広角に変化するように構成したことを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項6】 車両周辺の撮像範囲を撮像する撮像手段を有し、当該撮像手段からの画像情報に基づいて前記車両の周辺に存在する物体に関する情報を運転者に与える車両周辺監視装置であって、前記撮像手段のレンズにより規定される画角範囲内に位置付けられ、当該画角範囲内における光軸を部分的に屈折させて前記撮像手段に入射させることにより前記撮像手段の撮像範囲を当該撮像範囲外に設定された特定監視領域に拡張する撮像領域変更手段を有する車両周辺監視装置において、前記撮像領域変更手段は、前記特定監視領域側に対峙する第1の光屈折面と、前記撮像手段側に対峙する第2の光屈折面と、前記第1の光屈折面及び第2の光屈折面により所定角度の頂角として形成された下底部とを有する屈折部を備え、当該屈折部により透過する光軸を屈折させるプリズムであり、通常の非屈折画像と前記プリズムによる屈折画像との境界に相当するプリズムの下底部を、前記レンズの歪曲収差に応じた放物線状に湾曲させたことを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項7】 前記プリズムを構成する第1の光屈折面と第2の光屈折面をともに平面とし、両者により形成される角度がレンズ周縁部方向である前記プリズムの上底部側に向かう程、連続的に広角となるように構成したことを特徴とする請求項6記載の車両周辺監視装置。
【請求項8】 前記プリズムを構成する前記第1の光屈折面と第2の光屈折面のいずれかの面を曲面構造とし、両者により形成される角度が、レンズ周縁部方向である前記プリズムの上底部側に向かう程、連続的に広角に変化するように構成したことを特徴とする請求項6記載の車両周辺監視装置。
【請求項9】 前記プリズムを構成する前記第1の光屈折面と第2の光屈折面のいずれかの面を頂角が異なる複数の短冊状平面からなる構造とし、両者により形成される角度が、レンズ周縁部方向である前記プリズムの上底部側に向かう程、段階的に広角に変化するように構成したことを特徴とする請求項6記載の車両周辺監視装置。

【図5】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図9】
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【図4】
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【図11】
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【図14】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図16】
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【図12】
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【図15】
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【公開番号】特開平9−142206
【公開日】平成9年(1997)6月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−300237
【出願日】平成7年(1995)11月17日
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)