説明

車両存在通報装置

【課題】車載電源の出力電圧が低下しても、車両の存在を周囲に知らせる。
【解決手段】車両存在通報装置は、バッテリ寿命や温度低下などによって、電源電圧が低下した際、発生する通報音を、うるささを抑えた通報音から、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めた通報音に切り替える。人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めることで、車両の存在を周囲に知らせる能力の低下を防ぐことができる。あるいは、電源電圧が定格電圧より低下した際に、うるささを抑えた通報音から、ホーン部の共鳴周波数の音圧レベルを高めた音に切り替えて音圧低下を防ぐ。この結果、スピーカ搭載数を増加させることなく、車載電源の出力電圧の低下に伴って通報音が気づかれなくなる不具合を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報音を車外に発生させて車両の存在を周囲に知らせる車両存在通報装置に関するものであり、特に、電気自動車、燃料電池車両、ハイブリッド車両など、静かな車両に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の存在を車両の周囲に知らせるために発生する通報音は、車両用ホーン(車両用警報器)の発生する警報音(警笛音)とは異なり、人にうるさく感じない音(擬似エンジン音、和音、音声、音楽など)が要求される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、車両存在通報装置は、車載電源(バッテリ)を用いてスピーカを駆動し、スピーカから通報音を発生させるものであるため、スピーカの出力(通報音の音圧)は、車載電源の電圧に依存する。
車載電源は、温度や寿命などの要因によって変動する。具体的には、車載電源の定格電圧が12Vの場合、正常時であれば12V〜16Vであるが、温度や寿命などの要因によって12V未満(例えば、10V〜12V)に低下する可能性がある。
【0004】
このため、車載電源の出力電圧(車両存在通報装置への入力電圧)が定格電圧(12V等)より低下すると、スピーカの出力が低下し、規定の範囲に通報音を発生させることができなくなり、車両の存在が気づかれ難くなる。
なお、電源電圧が低下した際であって車両の存在を周囲に知らせるためには、車両に搭載するスピーカの数を多くすることが考えられるが、車両搭載性の悪化を招くとともに、コスト上昇を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−148433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載電源の出力電圧が低下した状態であっても、車両の存在を周囲に知らせることのできる車両存在通報装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔請求項1の手段〕
請求項1の車両存在通報装置は、電源電圧が低下した際に、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めた通報音を発生させる。
人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めることで、通報音が気づき易くなる。このため、電源電圧が低下しても、車両の存在を周囲に知らせる能力の低下を防ぐことができる。
即ち、スピーカの搭載数を増加させることなく、車載電源の出力電圧の低下に伴って通報音が気づかれなくなる不具合を回避することができる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2の車両存在通報装置は、電源電圧が低下した際に、音響管の共鳴周波数の音圧レベルを高めた通報音を発生させる。
これにより、音響管の共鳴周波数の音圧レベルを効率的に高めることができる。このため、電源電圧が低下しても、車両の存在を周囲に知らせる能力の低下を防ぐことができる。
即ち、スピーカの搭載数を増加させることなく、車載電源の出力電圧の低下に伴って通報音が気づかれなくなる不具合を回避することができる。
【0009】
〔請求項3の手段〕
請求項3の音響管は、警報音を発生させる車両用ホーンのホーン部を利用したものである。
このため、音響管を用いるコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両存在通報装置の概略図である。
【図2】(a)圧電スピーカを搭載した車両用ホーンの正面図、(b)圧電スピーカを搭載した車両用ホーンの断面図である。
【図3】一定の音圧レベルに対して人が感じる音圧を示す等感曲線(ラウンドネスカーブ)である。
【図4】圧電スピーカを単独で再生した際の周波数特性図および圧電スピーカをホーン部(音響管)を介して再生した際の周波数特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施形態を説明する。
車両存在通報装置は、車両の存在を知らせる運転条件が成立した際に通報音を車両の外部に発生させるものであり、
・通報音を発生させるスピーカ1(後述する実施例では圧電スピーカ1)と、
・車載電源から供給される電源電圧を用いてスピーカ1を通電制御する制御回路2と、
を備える。
【0012】
そして、実施形態1の制御回路2は、車載電源から供給される電源電圧をモニターし、検出される電源電圧が低下した際に、通報音を成す周波数信号のうち、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高める電圧低下対策手段(図1中:電圧判定手段)3を備える。
【0013】
また、実施形態2の制御回路2は、車載電源から供給される電源電圧をモニターし、検出される電源電圧が低下した際に、通報音を成す周波数信号のうち、音響管4(後述する実施例では車両用ホーン5のホーン部4)の共鳴周波数の音圧レベルを高める電圧低下対策手段3を備える。
なお、実施形態1、2を組み合わせて用いても良い。
【実施例】
【0014】
以下において本発明が適用された具体的な一例(実施例)を、図面を参照して説明する。以下で説明する実施例は具体的な一例であって、本発明が実施例に限定されないことはいうまでもない。
なお、以下の実施例において、上記「発明を実施するための形態」と同一符号は同一機能物を示すものである。
【0015】
[実施例1]
車両存在通報装置は、通報音によって車両の存在を知らせるものであり、例えば、エンジン(内燃機関)を搭載しない車両(電気自動車、燃料電池自動車等)、走行中および停車中にエンジンを停止する可能性のある車両(ハイブリッド車両等)、停車中にエンジンを停止する可能性のある車両(アイドルストップ車両等)、あるいはエンジン車両であっても走行音が静かなコンベ車などに搭載されるものである。
【0016】
ここで、車両は、警報音を発生する車両用ホーン5を搭載している。
車両用ホーン5は、乗員によってホーンスイッチ(例えば、ステアリングのホーンボタン)が操作された際に警報音を発生する電磁式警報器であり、例えば、車両前部に設けられるフロントグリル(走行風の取入口に設けられるグリル)と熱交換器(空調用熱交換器、ラジエータ等)との間に固定配置されるものである。
【0017】
車両用ホーン5は、図2(b)に示すように、
・通電により警報音を発生させる警報音発生部6と、
・この警報音発生部6の発生した警報音を増強して外部へ放出するホーン部4と、
を備えて構成される。
【0018】
警報音発生部6は、周知なものであり、
・通電により磁力を発生するコイル7と、
・コイル7の発生磁力により磁気吸引力を発生する固定鉄心8(磁気吸引コア)と、
・振動板9(ダイヤフラム)の中心部に支持されて固定鉄心8に向かって移動可能に支持される可動鉄心10(可動コア)と、
・コイル7が通電を受けた際にコイル7の通電回路を断続する電流断続器11と、
を備えて構成される。
【0019】
ホーン部4は、音響入口(ホーン入口)から音響出口(ホーン出口)に向けて音道が拡大するラッパ部材を渦巻状に設けた渦巻ホーン(トランペット部)である。
そして、警報音発生部6は、ホーン部4の一方の側面(渦巻中心を通る軸線に対して垂直な面:例えば、車両に搭載された際のホーン部4の熱交換器側の面)に取り付けられ、ホーン部4の中心部の音響入口内に警報音を発生するように設けられている。
【0020】
一方、車両存在通報装置は、
・可聴音よりなる通報音を発生させる圧電スピーカ1と、
・車載電源(バッテリ)から供給される電源電圧を用いて圧電スピーカ1を通電制御する制御回路2と、
を備えて構成される。
【0021】
圧電スピーカ1は、可聴帯域の音波を発生するために設けられた可聴音発生用であり、振動系(ピエゾ素子12+振動板13)の1次共振部(1次共振周波数)が可聴帯域内(例えば、約2kHz等)に存在するものである。
具体的な一例を示すと、この実施例の各可聴音発生用の圧電スピーカ1は、車両乗員に対して聴覚(音声や警告音等)により車両情報を提供するために設けられたものを流用したものであり、印加電圧(充放電)に応じて伸縮変位するピエゾ素子12と、このピエゾ素子12の伸縮によって駆動されて空気に疎密波を生じさせる振動板13とを用いて構成される。
【0022】
圧電スピーカ1は、車両用ホーン5のホーン部4に取り付けられ、圧電スピーカ1が発生した通報音をホーン部4の中心部に放出するように設けている。
具体的に、圧電スピーカ1は、警報音発生部6の対向位置に搭載される。即ち、圧電スピーカ1は、ホーン部4の他方の側面(渦巻中心を通る軸線に対して垂直な面:例えば、車両に搭載された際のホーン部4のフロントグリル側の面)に取り付けられ、ホーン部4の中心部の音響入口内に通報音を放出するように設けられている。
このように、圧電スピーカ1の放出する通報音が、ホーン部4を介して車両の外部に放出されることにより、圧電スピーカ1の発生した低音成分(通報音の低音成分)をホーン部4によって増幅させて放出することができる。
【0023】
制御回路2は、ECU(エンジン・コントロール・ユニットの略)等から車両の走行状態(車速等)の車両情報が入力されるものであり、通報音を発生させる運転条件が成立した際(例えば、車速が所定速度以下の走行時等)に、圧電スピーカ1から通報音を発生させるものである。
【0024】
また、制御回路2は、図1に示すように、
(a)メモリ(図中:音データ保持)14に記憶された音データに基づいて「通報音を成す周波数信号(可聴音信号)」を発生させる通報音生成手段15(図中:音、合成手段)と、
(b)この通報音生成手段15から出力された「通報音を成す周波数信号」を増幅して圧電スピーカ1を駆動する駆動アンプ16と、
(c)車載電源から供給される電源電圧をモニターし、検出された電源電圧が、車載電源の定格電圧より低い値に低下した際に、通報音を成す周波数信号のうち、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高める電圧低下対策手段(図中:電圧判定手段)3と、
を備えて構成される。
【0025】
通報音生成手段15は、制御回路2のマイコンに設けられた通報音生成プログラム(音響ソフト)であり(限定されるものではない)、通報音を発生させる運転条件が成立した際に、デジタル技術によって「通報音を成す周波数信号(可聴周波数の電気信号:所謂オーディオ信号)」を作成するものである。
また、通報音生成手段15は、人に気づかれ易く、且つ人にうるさく感じない通報音(うるささを抑えた通報音)を発生するように設けられている。
【0026】
具体的にこの実施例の通報音生成手段15は、「人に気づかれ易い周波数信号」と「その周波数の不快感を和らげる周波数信号」とを含む「周波数信号」を発生するものである。
理解補助として具体的な一例を開示すると、この実施例の通報音生成手段15は、
・人に気づかれ易い4kHzの周波数信号と、
・この4kHzの周波数信号の半分の2kHzの周波数信号と、
・この2kHzの周波数信号の半分の1kHzの周波数信号と、
・この1kHzの周波数信号の半分の500Hzの周波数信号と、
からなる「低音を含む和音の周波数信号」を発生するものである。
【0027】
駆動アンプ16は、通報音生成手段15の発生した「通報音を成す周波数信号」によって圧電スピーカ1を駆動する増幅手段(例えば、B級アンプ、あるいはD級アンプ等)であり、圧電スピーカ1の印加電圧(ピエゾ素子12の充放電状態)を制御することで、圧電スピーカ1から「通報音を成す音波(可聴音)」を発生させるものである。
【0028】
電圧低下対策手段3は、制御回路2のマイコンに設けられた制御プログラムであり(限定されるものではない)、車載電源から供給される電源電圧が「予め設定した閾値(車載電源の定格電圧より低く設定された値)」より低下した状態(例えば、11Vより低い状態)であるか否かを判定する電圧判定手段を有し、この電圧判定手段が低電圧(電源電圧が閾値より低い)と判断した場合に、通報音生成手段15の作動を変更させて、「人の耳に付き易い周波数」の音圧レベルを高めるものである。
【0029】
具体的に、「人の耳に付き易い周波数」は、図3の音圧曲線に示すように、特に3kHz〜5kHzの範囲で顕著であり、3.6kHz付近(図中、破線α参照)で最大となる。そしてこの実施例では、電圧低下が判定された場合に、通常時(例えば、11V以上の場合)に比較して4kHzの周波数信号の出力信号を高めるように設けられている。
【0030】
(実施例1の効果1)
この実施例の車両存在通報装置は、バッテリ寿命や温度低下などによって、電源電圧が低下すると、うるささを抑えた通報音ではなく、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めた通報音を発生させる。
人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高めることで、「うるささを抑える技術」が犠牲になるが、通報音を気づき易くできる。このため、電源電圧が低下しても、車両の存在を周囲に知らせる能力の低下を防ぐことができる。
即ち、圧電スピーカ1の搭載する(通報音を発生させるスピーカの搭載数)を増加させることなく、車載電源の出力電圧の低下に伴って通報音が気づかれなくなる不具合を回避することができる。
【0031】
(実施例1の効果2)
この実施例の車両存在通報装置は、通報音を発生させるスピーカの一例として圧電スピーカ1を採用するものであるが、車両用ホーン5のホーン部4を利用することで、低音の音圧を、大型のダイナミックスピーカ(ウーファ等)を用いた場合と同様に、高めることができる。
そのため、低音(具体的には、低音成分を含む通報音)を発生可能な車両存在通報装置のコストを抑えることができる。
【0032】
このことを具体的に説明する。
所定電圧のサイン波のスイープ信号(低音周波数から高音周波数への可変信号)を、単体の圧電スピーカ1に与え、圧電スピーカ1が直接空気中に放出した再生音の周波数特性(再生可能周波数)を図4の実線Aに示す。
この図4の実線Aから読み取れるように、圧電スピーカ1は、小型のダイナミックスピーカであるため、空気の疎密波を低い周波数で発生させることが困難であり、低音の発生音圧が低いものになってしまう。
【0033】
しかるに、この実施例では、図2に示すように、圧電スピーカ1を車両用ホーン5のホーン部4に取り付け、圧電スピーカ1の放出する通報音をホーン部4の音響入口に放出するように設けている。
このように設けることにより、圧電スピーカ1の放出する通報音は、ホーン部4を介して車両の外部に放出される。これにより、圧電スピーカ1の発生した低音成分をホーン部4によって増幅させて放出することができる。
【0034】
具体的に、所定電圧のサイン波のスイープ信号を、ホーン部4に取り付けた圧電スピーカ1に与え、ホーン部4から空気中に放出した再生音の周波数特性を図4の実線Bに示す。
この図4の実線Bから読み取れるように、圧電スピーカ1が小型であっても、圧電スピーカ1の発生した空気振動をホーン部4が制動し、低周波の空気振動が空振りすることなく低音(音波)としてホーン部4の外部に放出するため、低音の音圧を高めることができる。
【0035】
(実施例1の効果3)
この実施例では、小型のダイナミックスピーカの一例として、可聴音発生用の圧電スピーカ1を用いた。圧電スピーカ1はコストが低いため、結果的に車両存在通報装置のコストをより低く抑えることができる。
また、圧電スピーカ1は、コーンスピーカに比較して小型、軽量に設けることができるため、車両用ホーン5に対する搭載性に優れる。
さらに、圧電スピーカ1が搭載された車両用ホーン5の大型化、重量化を回避することができるため、車両に対する搭載性を向上できる。
【0036】
[実施例2]
上記の実施例1では、電源電圧が低下した際に、電圧低下対策手段3が「人の耳に付き易い周波数」の音圧レベルを高める例を示した。
これに対し、この実施例2は、電源電圧が低下した際に、電圧低下対策手段3が「ホーン部4(音響管)の共鳴周波数」の音圧レベルを高めた通報音を発生させるものである。
【0037】
車両用ホーン5のホーン部4を用いた再生音は、図4の実線Bに見られる複数のピーク(山部)に示すように、可聴範囲内において複数の共鳴周波数が存在する。
このことを具体的に説明すると、ホーン部4の再生音には、音色を決定するための1次共鳴周波数が300〜600Hzの範囲内に存在するとともに、この1次共鳴周波数の倍数関係の周波数においても共鳴が発生する。
【0038】
そこで、この実施例2の電圧低下対策手段3は、電源電圧が低下した際に、「人の耳に付き易い周波数」で且つ「ホーン部4の共鳴周波数」の音圧レベルを高めた通報音を発生させる。
具体的な一例として、この実施例2の電圧低下対策手段3は、電源電圧が閾値より低下した際に、図4の実線Bに示す複数のピークのうち、「人の耳に付き易い周波数」に最も近い3kHz(ホーン部4の共鳴周波数の1つの例)の音圧レベルを高めた通報音を発生させるものである。
【0039】
(実施例2の効果1)
この実施例の車両存在通報装置は、バッテリ寿命や温度低下などによって、電源電圧が低下すると、うるささを抑えた通報音ではなく、ホーン部4の共鳴周波数の音圧レベルを高めた通報音を発生させる。
ホーン部4の共鳴周波数であれば音圧レベルを効率よく高めることができる。これにより、電源電圧が低下しても通報音のうちの局部的な周波数の音圧レベルの低下を防ぐことができる。このため、「うるささを抑える技術」が犠牲になるが、車両の存在を周囲に知らせる能力の低下を防ぐことができる。
即ち、スピーカの搭載数を増加させることなく、車載電源の出力電圧の低下に伴って通報音が気づかれなくなる不具合を回避することができる。
【0040】
(実施例2の効果2)
この実施例の車両存在通報装置は、音響管として車両用ホーン5のホーン部4を利用する。このため、圧電スピーカ1の専用の音響管を設ける必要がなく、コストを抑えることができるとともに、車両への搭載性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上記の実施例では、電源電圧が低下した際に、一部の周波数信号(人の耳に付き易い周波数や音響管の共鳴周波数)の音圧レベルを高める手段として、通報音生成手段15を直接操作する例を示したが、限定されるものではなく、通報音生成手段15が発生した後の信号(通報音を成す周波数信号)をパラメトリックイコライザー等で操作したり、所定の周波数信号(人の耳に付き易い周波数や音響管の共鳴周波数)を追加するように設けても良い。
【0042】
上記の実施例では、通報音の一例として和音を発生させる例を示したが、限定されるものではなく、擬似エンジン音、音声、音楽など、他の通報音を発生しても良い。即ち、電源電圧が低下した際に一部の周波数信号(人の耳に付き易い周波数や音響管の共鳴周波数)の音圧レベルを高めるものであれば良い。
【0043】
上記の実施例では、電源電圧が閾値より低下した際に一部の周波数信号(人の耳に付き易い周波数やホーン部4の共鳴周波数)の音圧レベルを高める例を示したが、電源電圧の低下レベルに応じて一部の周波数信号(人の耳に付き易い周波数やホーン部4の共鳴周波数)の音圧レベルを徐々(連続的または段階的)に高めるように設けても良い。
【0044】
上記の実施例では、1つの圧電スピーカ1を音響管(実施例ではホーン部4)に取り付ける例を示したが、複数の圧電スピーカ1を音響管(車両用ホーン5のホーン部4等)に搭載するものであっても良い。
【0045】
上記の実施例では、ダイナミックスピーカの一例として圧電スピーカ1を用いる例を示したが、圧電スピーカ1に限定されるものではなく、可聴音を直接放出する他のスピーカ(例えば、小型のコーンスピーカ等)であっても良い。
【0046】
上記の実施例では、ダイナミックスピーカ(実施例では圧電スピーカ1)のみによって通報音を発生させる例を示したが、パラメトリックスピーカを搭載し、ダイナミックスピーカが音響管(実施例ではホーン部4)を介して発生する通報音と、パラメトリックスピーカが発生する通報音の両方を車外に放出するように設けても良い。
【0047】
上記の実施例では、圧電スピーカ1の音響管として車両用ホーン5のホーン部4を利用する例を示したが、車両用ホーン5から独立させて圧電スピーカ専用の音響管を設けても良い。
【0048】
上記の実施例では、通報音を発生させるスピーカの具体例として車両用ホーン5とは独立したダイナミックスピーカ(実施例では圧電スピーカ1)を用いる例を示したが、警報音発生部6から通報音を発生させるように設けても良い。即ち、車両用ホーン5から警報音と通報音をそれぞれ発生可能に設けても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 圧電スピーカ(ダイナミック型のスピーカ)
2 制御回路
3 電圧低下対策手段
4 ホーン部(音響管)
5 車両用ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の存在を知らせる運転条件が成立した際に、車載電源より供給される電力を用いてスピーカ(1)を駆動して車両の外部に通報音を発生させる車両存在通報装置において、 この車両存在通報装置は、前記車載電源から供給される電源電圧が低下した際に、人の耳に付き易い周波数の音圧レベルを高める電圧低下対策手段(3)を備えることを特徴とする車両存在通報装置。
【請求項2】
車両の存在を知らせる運転条件が成立した際に、車載電源より供給される電力を用いてスピーカ(1)を駆動して車両の外部に通報音を発生させる車両存在通報装置において、 前記スピーカ(1)は、音響管(4)を介して通報音を放出するものであり、
当該車両存在通報装置は、前記車載電源から供給される電源電圧が低下した際に、前記音響管(4)の共鳴周波数の音圧レベルを高める電圧低下対策手段(3)を備えることを特徴とする車両存在通報装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両存在通報装置において、
前記音響管(4)は、警報音を発生させる車両用ホーン(5)のホーン部(4)を利用することを特徴とする車両存在通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−82394(P2013−82394A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225020(P2011−225020)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】