説明

車両接近通報装置

【課題】1つのスピーカにて接近通報音とバック警報音の発音を行いつつ、発音させる音の音圧が弱まることで歩行者に自動車の動き出しを認識させる効果が低下することを抑制できるようにする。
【解決手段】スピーカ出力レベルモニタ部24によってスピーカ3から発音される音の出力レベルをモニタし、そのモニタ結果に基づいて、接近通報音波形生成部21aで接近通報音波形を補正すると共に、接近通報音バック警報音波形生成部21bでバック警報音波形を補正している。具体的には、接近通報音波形やバック警報音の音圧やバック警報音の位相を変化させるように補正する。これにより、音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように接近通報音およびバック警報音を制御でき、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から音声を発生させることにより、車両が接近していることを周囲に通報する車両接近通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV車)やハイブリッド車(HV車)などでは、その構造的に発生騒音が小さく、これらの車両の接近を歩行者が気付き難いということから、歩行者などの周囲に車両が近くにいるという認知度を上げるために擬似走行音を発生させる車両接近通報装置が搭載されつつある。
【0003】
このような車両接近通報装置として、例えば特許文献1に示されるものがある。この車両接近通報装置では、車両の外側各方向に発音する複数のスピーカ、例えば、フロントバンパーに車両前方に発音するスピーカ、リアバンパーに車両後方に発音するスピーカをそれぞれ取り付け、車両の走行方向に当たるスピーカから発音することで、歩行者に車両の走行方向を認識させるという方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−322403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に示される車両接近通報装置では、スピーカが複数必要でコストアップとなる。このため、フロントバンパーに車両前方に発音するスピーカを一個のみ取り付け、車両後方への発音時にもそのスピーカから発音することで車両前方への発音と車両後方への発音の両方の機能を実現するケースが多い。
【0006】
この場合、スピーカが車両前方に向いているため、車両後方への音圧が低くなり、特に、運転者から見え難い、車両の後ろの近傍にいる歩行者に対して、車両の動き出しを認識させる効果が低下してしまうという問題があった。
【0007】
これに対して、車両接近通報装置と別に、バックブザーを取り付け、バック時にはチャイム音(例えばポーン、ポーン、ポーンという音)などのバック警報音を発音させ、車両の後ろの近傍にいる歩行者に対して、車両の動き出しを強く認識させることが考えられる。
【0008】
しかし、車両接近通報装置から発音させる音は、バックブザーから発音させる音と同様、人間の耳の構造上、最も聞こえ易い同帯域の周波数成分で生成されるため、接近通報音と同時に発音させると、音の干渉により、意図せず音圧が弱まったり強まったりしてしまい、特に弱められた結果、車両の動き出しを認識させる効果が低下してしまうという問題を発生させる。このため、スピーカとバックブザーを別々に設けたからといって、的確に車両の後ろの近傍にいる歩行者に対して車両の動き出しを認識させる効果を発揮できるわけではない。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、1つのスピーカにて接近通報音とバック警報音の発音を行いつつ、発音させる音の音圧が弱まることで歩行者に自動車の動き出しを認識させる効果が低下することを抑制できる車両接近通報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両が低速走行中に当該車両に搭載された発音体(3)から接近通報音を発音すると共に、車両がバック状態のときにも同じ発音体(3)からバック警報音を発音する車両接近警報装置であって、車両の低速走行中に、接近通報音を発音するための接近通報音波形を生成する接近通報音波形生成部(21a)と、車両がバック状態であるときに、バック警報音を発音するためのバック警報音波形を生成するバック警報音波形生成部(21b)と、接近通報音波形生成部(21a)が生成した接近通報音波形とバック警報音波形生成部(21b)が生成した接近通報音波形とをミキシングしたミキシング波形を生成するミキシング部(22)と、ミキシング部(22)が生成するミキシング波形に応じた電圧もしくは電流を発音体(3)に出力し、発音体(3)からミキシング波形に対応する発音を行わせる出力手段(23)と、発音体(3)で発音される音の出力レベルをモニタするモニタ部(24)とを有し、バック警報音波形生成部(21b)には、モニタ部(24)でのモニタ結果に基づいて、バック警報音波形を補正するバック警報音補正手段が備えられていることを特徴としている。
【0011】
このように、車両接近通報システムでは、モニタ部(24)によって発音体(3)から発音される音の出力レベルをモニタし、そのモニタ結果に基づいて、バック警報音波形生成部(21b)で生成されるバック警報音波形を補正している。これにより、音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるようにバック警報音を制御でき、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにできる。例えば、請求項2に記載したように、バック警報音補正手段は、バック警報音波形に表される音圧と位相の少なくとも一方を補正することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、接近通報音波形生成部(21a)には、モニタ部(24)でのモニタ結果に基づいて、接近通報音波形を補正する接近通報音補正手段が備えられていることを特徴としている。
【0013】
このように、バック警報音補正手段によってバック警報音波形を補正するのに加えて、接近通報音補正手段によって接近通報音波形を補正することによって、音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるようにできる。例えば、請求項4に記載したように、接近通報音補正手段は、接近通報音波形に表される音圧を補正することができる。
【0014】
また、請求項5に記載したように、モニタ部(24)は、出力手段(23)が発音体(3)に出力するミキシング波形に対応する電圧もしくは電流をモニタすることにより、発音体(3)で発音される音の出力レベルをモニタすることができる。
【0015】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車両接近通報装置を含む車両接近通報システムのブロック図である。
【図2】バック警報音の補正を行っていない状態での接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。
【図3】バック警報音の音圧(振幅)を補正したときの接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。
【図4】接近通報音やバック警報音の音圧(振幅)およびバック警報音の位相を補正したときの接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかる車両接近通報装置を含む車両接近通報システムのブロック図である。この図を参照して、本実施形態にかかる車両用接近通報装置を含む車両接近通報システムについて説明する。
【0019】
図1に示すように、車両接近通報システムは、車速センサ1a、バック検出部1b、車両接近通報装置2およびスピーカ3を有した構成とされている。車両接近通報システムでは、車両接近通報装置2が発音体であるスピーカ3からの発音を行うことで、車両の接近を周囲の歩行者などに通報する。この車両接近通報システムでは、スピーカ3を例えばフロントバンパーに取り付けることで車両前方に発音するようにしているが、車両後方に発音するためのバックブザーも兼ねている。なお、ここでは、車両接近通報装置2をスピーカ3と別体としているが、スピーカ3を車両接近通報装置2と一体化した構成としても良い。また、スピーカ3の位置は、フロントバンパーに限るものではない。
【0020】
車速センサ1aは、車両の走行状態を示す信号として車速検知信号を出力する。この車速センサ1aの検知信号が車両接近通報装置2に入力されることで、車両接近通報装置2は、低速走行状態を検出し、低速走行中に車速に応じた車両接近通報音を発生させる。バック検出部1bは、車両がバック(後進)状態であることを示す信号をマイコン21に入力するものであり、例えばバックランプ信号やシフトレバーが後進方向(Rレンジ)に入っていることを示す信号をマイコン21に入力している。
【0021】
車両接近通報装置2には、マイコン21、ミキシング部22、パワーアンプ(以下、AMPという)23およびスピーカ出力レベルモニタ部24が備えられている。
【0022】
マイコン21は、接近通報音波形生成部21aとバック警報音波形生成部21bなどを有した構成とされている。
【0023】
接近通報音波形生成部21aは、車両の動き出しから所定車速以下の間である低速走行状態において、擬似エンジン音または擬似モータ音などの擬似走行音からなる接近通報音を発生させるための接近通報音波形を生成する。接近通報音波形生成部21aは、車速に対応して音圧の振幅制御、つまり音圧レベルを制御しており、図示しないメモリを有していると共に、デジタルアナログコンバータ(以下、DACという)もしくはPWM出力器などを有した構成とされる。メモリには、発音の制御プログラムやPCM(パルス符号変調)のデータ、つまり音声の大きさをデータコードに変換して符号化したものなどが記憶されていると共に、車速検知信号が示す車速に対応付けた音圧レベルの演算式もしくはマップなどが記憶されている。接近通報音波形生成部21aは、このメモリに記憶された制御プログラムに従って、車速センサ1aからの車速検知信号が入力されると、車速に応じた音圧レベルを演算式もしくはマップを用いて演算し、PCMのデータを演算した音圧レベルに設定したものを所定のサンプリング周期毎にDACもしくはPWM出力器などにセットして出力することで、接近通報音波形に対応する発音出力を発生させている。例えば、車速が大きいほど音圧レベルを大きくすることで、歩行者などへの車両接近の認知度の向上を図るようにしている。また、接近通報音については、人間の耳の構造上、最も聞こえ易い周波数帯域成分(例えば2kHz前後)を含む100〜4kHz程度としている。
【0024】
また、接近通報音波形生成部21aは、スピーカ出力レベルモニタ部24でのモニタ結果に対応して音圧の振幅制御を行う接近通報音補正手段を備えている。具体的には、後述するようにスピーカ出力レベルモニタ部24でモニタされる音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように、接近通報音補正手段にて接近通報音の音圧(振幅)を変化させている。これにより、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにしている。
【0025】
バック警報音波形生成部21bは、車両のバック状態において、ブザー音(ピーッ、ピーッ、ピーッという音など)またはチャイム音(例えばポーン、ポーン、ポーンという音)などのバック警報音を生成する。バック警報音については、フロントバンパーに取り付けられたスピーカ3にて発音しても、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れるよう、人間の耳の構造上、最も聞こえ易い周波数帯域成分(2kHz前後)としている。
【0026】
また、バック警報音波形生成部21bは、スピーカ出力レベルモニタ部24でのモニタ結果を入力し、そのモニタ結果に基づいてバック警報音を変化させるというバック警報音補正手段を備えている。具体的には、後述するようにスピーカ出力レベルモニタ部24でモニタされる音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように、バック警報音補正手段にてバック警報音の音圧(振幅)を変化させたり位相をシフトさせている。これにより、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにしている。
【0027】
ミキシング部22は、接近通報音波形生成部21aで生成された接近通報音波形およびバック警報音波形生成部21bで生成されたバック警報音波形をミキシングし、ミキシング後の波形(以下、ミキシング波形という)をAMP23に出力する。すなわち、接近通報音は車両がバック状態の際にも、低速走行状態において出力される。このような場合には、接近通報音とバック警報音が両方同時に出力されることになるため、ミキシング部22によって接近通報音波形とバック警報音波形をミキシングしたミキシング波形がAMP23に出力されるようにしている。勿論、車両が前進走行中において低速走行状態のときやバック状態において低速走行中ではないときには、接近通報音とバック警報音の一方のみが出力される状態となる。このため、これらの場合にはミキシング部22は、接近通報音波形とバック警報音波形のいずれか一方をそのままAMP23に出力することになる。
【0028】
AMP23は、電源からの電力供給に基づいてマイコン21の出力と対応する電圧をスピーカ3に印加する出力手段に相当する。AMP23は、図示しない定電圧源からの電圧印加に基づいてミキシング部22の出力と対応する電圧または電流をスピーカ3に出力する。スピーカ3が発音する音圧は、AMP23が出力する電圧もしくは電流の大きさ(振幅)に応じて決まり、AMP23が出力する電圧もしくは電流の大きさは、ミキシング部22の出力波形によって決まる。このため、マイコン21の接近通報音波形生成部21aおよびバック警報音波形生成部21bの出力波形がミキシング部22でミキシングされると、そのミキシング波形に応じてAMP23が出力する電圧もしくは電流が変化させられる。このAMP23が出力する電圧もしくは電流の変化に基づいて、スピーカ3から発音される音が変化させられ、それに対応した接近通報音やバック警報音が発音される。
【0029】
スピーカ出力レベルモニタ部24は、スピーカ3から発音される音の出力レベルをモニタするものである。ここでは、スピーカ出力レベルモニタ部24は、スピーカ3から発音される音の出力レベルと対応するものとして、AMP23の出力する電圧もしくは電流をモニタしている。そして、スピーカ出力レベルモニタ部24は、このモニタ結果をバック警報音波形生成部21bに入力している。
【0030】
以上のような構成により、本実施形態にかかる車両接近通報システムが構成されている。このように構成された車両接近通報システムは、以下のように作動する。図2〜図4を参照して、この車両接近通報システムの作動を説明する。
【0031】
車両接近通報システムは、ロードノイズが小さな低速走行時に発音体であるスピーカ3から擬似走行音を発音する。まず、車両接近通報システムを搭載した車両が停止していた状態から走行を開始して所定車速に至るまでの期間中は、ロードノイズが小さな低速走行中となるため、車両接近通報システムから発音が行われる。この低速走行中における車両接近通報システムから発音は、車両が前進状態のときだけでなく、バック状態のときにも同様に行われる。そして、バック状態のときに行われる接近通報音の発音の際には、同時にバック警報音の発音も行われ、これらの発音が1つのスピーカ3を介して同時に行われることになる。
【0032】
このとき、人間の耳の構造上、最も聞こえ易い同帯域の周波数成分で生成されるため、接近通報音とバック警報音を同時に発音させると、音の干渉により、意図せず音圧が弱まったり強まったりしてしまう。そして、弱められた結果、車両の動き出しを認識させる効果が低下してしまうという問題を発生させ得る。
【0033】
しかしながら、本実施形態の車両接近通報システムでは、スピーカ出力レベルモニタ部24によってスピーカ3から発音される音の出力レベルをモニタし、そのモニタ結果に基づいて、バック警報音波形生成部21bでバック警報音の音圧や位相を変化させるように補正している。具体的には、スピーカ出力レベルモニタ部24で出力される音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように、接近通報音やバック警報音の音圧(振幅)を変化させたり、もしくは、位相をシフトさせている。そして、ミキシング部22によって接近通報音波形と補正後のバック警報音波形がミキシングされ、そのミキシング波形に基づいてスピーカ3から発音が為される。
【0034】
これにより、音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように接近通報音およびバック警報音を制御でき、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにできる。
【0035】
図2は、バック警報音の補正を行っていない状態での接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。図3は、接近通報音やバック警報音の音圧(振幅)を補正したときの接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。図4は、接近通報音やバック警報音の音圧(振幅)およびバック警報音の位相を補正したときの接近通報音波形とバック警報音波形およびミキシング波形を示した図である。
【0036】
図2に示すように、バック警報音の補正を行っていない状態のときには、接近通報音波形とバック警報音波形を同時に発音させると、音が干渉してしまい、ミキシング波形の振幅(つまり最終的に出力される音の音圧)が弱まっていることが判る。
【0037】
これに対して、図3に示すように、接近通報音の音圧やバック警報音の音圧を補正して大きくし、弱まっていたミキシング波形が所望の音圧での振幅となるようにすることで、最終的に発音される音の音圧を調整することが可能となる。また、図4に示すように、接近通報音の音圧やバック警報音の音圧および位相を補正して、強まっていたミキシング波形が所望の音圧での振幅となるように、最終的に発音される音の音圧を調整することも可能である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の車両接近通報システムでは、スピーカ出力レベルモニタ部24によってスピーカ3から発音される音の出力レベルをモニタしている。そして、そのモニタ結果に基づいて、接近通報音波形生成部21aで接近通報音波形を補正したり、バック警報音波形生成部21bでバック警報音波形を補正している。具体的には、接近通報音波形に表される接近通報音の音圧やバック警報音波形に表されるバック警報音の音圧、位相を変化させるように補正している。これにより、音圧レベルが車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れると想定される所定のしきい値となるように、もしくはそれを超えるように接近通報音およびバック警報音を制御でき、車両の後ろ近傍にいる歩行者が確実に聞き取れる発音が行われるようにできる。
【0039】
(他の実施形態)
上記実施形態では、接近通報音の音圧の設定を車速に応じて行う場合について説明したが、車速に限るものではなく、車両の走行状態に応じて接近通報音の音圧を制御することができる。例えば、アクセル開度のようなアクセル操作状態に応じて接近通報音の音圧を制御することもできる。
【0040】
上記実施形態では、スピーカ出力レベルモニタ部24により、AMP23が発音体であるスピーカ3に出力するミキシング波形に対応する電圧もしくは電流をモニタすることにより、スピーカ3で発音される音の出力レベルをモニタするようにしている。しかしながら、スピーカ3で発音された音の出力レベルそのものをモニタ部24によって検出するようにしても良い。
【0041】
上記実施形態では、接近通報音波形生成部21aで接近通報音の音圧を補正すると共にバック警報音波形生成部21bでバック警報音の音圧、位相を補正するようにしているが、少なくともバック警報音波形生成部21bでバック警報音の補正を行うことで、バック警報音が所望の音圧となるようにすればよい。例えば、バック警報音の音圧と位相の少なくとも一方を補正すれば良い。
【符号の説明】
【0042】
1a 車速センサ
1b バック検出部
2 車両接近警報装置
3 スピーカ
21 マイコン
21a 接近通報音波形生成部
21b バック警報音波形生成部
22 ミキシング部
23 AMP
24 スピーカ出力レベルモニタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が低速走行中に当該車両に搭載された発音体(3)から接近通報音を発音すると共に、前記車両がバック状態のときにも同じ発音体(3)からバック警報音を発音する車両接近警報装置であって、
前記車両の低速走行中に、前記接近通報音を発音するための接近通報音波形を生成する接近通報音波形生成部(21a)と、
前記車両がバック状態であるときに、前記バック警報音を発音するためのバック警報音波形を生成するバック警報音波形生成部(21b)と、
前記接近通報音波形生成部(21a)が生成した前記接近通報音波形と前記バック警報音波形生成部(21b)が生成した前記接近通報音波形とをミキシングしたミキシング波形を生成するミキシング部(22)と、
前記ミキシング部(22)が生成するミキシング波形に応じた電圧もしくは電流を前記発音体(3)に出力し、前記発音体(3)から前記ミキシング波形に対応する発音を行わせる出力手段(23)と、
前記発音体(3)で発音される音の出力レベルをモニタするモニタ部(24)とを有し、
前記バック警報音波形生成部(21b)には、前記モニタ部(24)でのモニタ結果に基づいて、前記バック警報音波形を補正するバック警報音補正手段が備えられていることを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項2】
前記バック警報音補正手段は、前記バック警報音波形に表される音圧と位相の少なくとも一方を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両接近通報装置。
【請求項3】
前記接近通報音波形生成部(21a)には、前記モニタ部(24)でのモニタ結果に基づいて、前記接近通報音波形を補正する接近通報音補正手段が備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両接近通報装置。
【請求項4】
前記接近通報音補正手段は、前記接近通報音波形に表される音圧を補正することを特徴とする請求項3に記載の車両接近通報装置。
【請求項5】
前記モニタ部(24)は、前記出力手段(23)が前記発音体(3)に出力する前記ミキシング波形に対応する電圧もしくは電流をモニタすることにより、前記発音体(3)で発音される音の出力レベルをモニタすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両接近通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49312(P2013−49312A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187356(P2011−187356)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)