車両用としての特にコンテナ段積みクレーン(RTGクレーン)向けの電流コレクタシステム
本発明は、車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンに締結するための電流コレクタシステムに関し、車両は、線(T)に沿って動かすことができ、線(T)側には少なくとも1つのバスバー(S)が配設されており、電流コレクタシステムは、少なくとも1つの電流コレクタ(AB)を有するコレクタ・トロリー(W)を有し、少なくとも1つの電流コレクタ(AB)はバスバー(S)と接触させることができる。本発明は、車両が、電気接続を作り出すために水平方向に挿入すること及び/又は引き込むことができる腕部(1)を備え、コレクタ・トロリー(W)が、垂直方向に変位可能となるように腕部に取り付けられており、電流コレクタ(AB)は、位置付け及び挿入装置(TE)によって、線のバスバーへ挿入することができることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレクタ・トロリーと、走行線と、車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンと、を使用する電流及び/又はデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ段積みクレーン全体の約99%はディーゼル駆動式である。ディーゼル燃料の価格のひっきりなしの上昇のせいで、また騒音関連や環境的な理由から、コンテナ段積みクレーンを電化する試みがなされている。使用されているコンテナ段積みクレーンには様々なものがある。この様な中、欧州で使われているものに、細い空気タイヤ式のストラドルキャリアがあるが、それらは幅が狭いためコンテナを一列に積むことしかできない。その様なストラドルキャリアと共に導体バーを使用するのは、どちらかといえば非経済的である。また、クレーンレール上を滑るクレーンで、今日では既に導体バーを用いて運転されている、かなり幅広のレール取り付け式ガントリークレーンもある。これらの他にも、既に広く製造されているゴムタイヤ式ガントリークレーンがあり、それらは1列より多い段積みコンテナ列に噛ますことができ、段積みされたコンテナの列に沿って主に通路を走行する。これらのクレーンは、コンテナの積み重ねによって形成されている通路を入れ替わらなくてはならないことが多いため、空気タイヤを有している。ゴムタイヤ式ガントリークレーンが、並列式に配設された導体バーによって電気エネルギーの供給を受ける試験システムは既に導入されている。導体バーは、この事例では、電流コレクタ・トロリーが走行する走行線側に配設されており、電流コレクタ・トロリーは、各々の電流収集体及び滑動式カーボンパッドで導体との接点を作り出す。電流コレクタ・トロリーは、差し込み式コネクタが配設されている電気ケーブルでクレーンに接続することができ、こうしてクレーンはその電気エネルギーを導体バーから得ることができる。ゴムタイヤ式ガントリークレーンは、短縮してRTGクレーンとして知られており、ディーゼル生成器を有する電気的な駆動機構を有している。通路を入れ替わる場合、RTGクレーンは、この「ディーゼル駆動機構」に切り替わる。ひとたびクレーンが通路に進入してしまえば、運転者は助手作業員に、電流コレクタ・トロリーのケーブルをRTGクレーン側のソケットに差し込む必要があることを伝える。更に、電流コレクタ・トロリーはRTGクレーンへ鎖を使って引っかけられており、それが意味するところは、RTGクレーンが進むと、電流コレクタ・トロリーが引っ張られてゆくが、それは鎖によってであり、電気ケーブルによってではないということである。
【0003】
上述のシステムの不都合は、助手がコンテナ段積みクレーン(RTGクレーン)を電流コレクタ・トロリーに手作業で電源ケーブルを用いて接続しなくてはならないことであり、この目的のために電気ケーブルをRTGクレーンに差し込むだけではなく、更に鎖をそれに引っかけなくてはならない。もう1つの不都合は、要求駆動電流が最初にディーゼル生成器によって生成され、次いで電気駆動機構がそれを供給されるという点での効率の悪さ、ひいてはエネルギーの損失である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンと走行線の間に電気接続を作ることを単純化すること、具体的には自動化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴を有する電流コレクタシステムによって実現される。更に特許請求の範囲に記載されているものは、請求項16の特徴及び当該請求項16に帰する請求項の特徴を有する走行線、並びに電流及び/又はデータ伝送システムである。
【0006】
電流コレクタシステム、車両、走行線、及び伝送システムの好都合な実施形態は、事例毎に参照される従属請求項の特徴から理解することができよう。
本発明によるシステムは、一般に、コンテナ段積みクレーンのみならず、対応する走行線に沿って走行しなくてはならない車両及び電気エネルギー及び/又はデータを供給されなくてはならない車両における如何なる所望の車両にも適している。
【0007】
本発明の裏にある基本的な考えは、車両によって、走行線に沿って敷かれている少なくとも1つの導体バーとの接点を自動的に作ることが、電流コレクタシステムを用いて実施できるということである。この場合の厄介な問題は、自動プロセスによる途方もない公差を補償することである。これらの公差は、車両、具体的にはクレーンが、水平方向位置及び垂直方向位置において、導体バーシステムから極めて不正確に離間された位置に在ることから生じる。これに対処するため、コレクタ・トロリーは導体バーに対して整列され、その電流コレクタが位置付け及び挿入用装置によって導体バーに挿入される。この目的のために、車両は、コレクタ・トロリーを水平方向に調節することができる腕部又は何か他の調節用手段を有しているのが好都合である。最も単純な事例では、走行線側に物理的接点用の板を持たせ、それに押し付けるように腕部即ち調節用手段又はコレクタ・トロリーの端を駆動機構によって動かせばよい。腕部端には、この目的で、少なくとも1つの圧力印加式ローラー又は走行ローラーを設けることができる。電流コレクタ・トロリーが、走行線に沿って配設されているキャリアレールの中へ挿入されるためには、車両のコレクタ・トロリーは、位置付け及び挿入用装置の前方の位置へ動かされなくてはならず、そうした後、コレクタ・トロリーは次に物理的接点用の板の方向に、当該板相手に物理的接点が作り出されるまで動かされる。物理的接点用の板相手に物理的接点が作り出されれば、そのことは具体的にはセンサーによって判定されるか又はコレクタ・トロリーを水平方向に調節する駆動機構によって引かれる駆動電流から判明するが、そうなるとすぐに、コレクタ・トロリーは水平方向に整列される。すると、車両を動かすことによって、コレクタ・トロリーを挿入用装置へ挿入することができる。装入用装置の目的は、コレクタ・トロリーを垂直方向に位置付け、具体的には上昇させて、その結果、トロリーのその電流コレクタを(単数又は複数の)導体バーへ導入できるようにすることである。或る好適な実施形態では、挿入用装置は、この目的のために、上向きに車両の走行方向に延びるレール−ここでコレクタ・トロリーを上昇させなくてはならない−を有している。コレクタ・トロリーは、走行レールの滑り面に押し当てて支承される走行ローラーを有しており、走行レールは傾斜を成して配設されているため、その結果として、コレクタ・トロリーは車両が動き続けることで上昇してゆく。これが起こったとき、腕部及びその上に設置されているコレクタ・トロリー全体又はコレクタ・トロリーのみの何れかが上昇させられる。最も単純な事例では、上昇させるのはコレクタ・トロリーのみである。コレクタ・トロリーは、この事例では、垂直方向に配設されたロッドによって案内されるのが好都合である。ロッドは、腕部又はコレクタ・トロリーの何れに締結されていてもよく、ロッドはそれぞれ、所与の事例における他方の部品に、それがどちらであっても、即ち腕部又はコレクタ・トロリーのどちらであっても、垂直方向に変位可能となるように取り付けられている。或る代わりの実施形態では、4つの垂直バーではなくて、配設されているのは、腕部又は他の調節手段が走行方向に正確に直角に係合しなかった場合にコレクタ・トロリーが水平方向に補償回転を行えるようにする1つの垂直管のみである。
【0008】
位置付け及び挿入用システムは、通路の両端にそれぞれ配設されている。
確実に、電流コレクタの導体バーへの挿入が車両の運動によって起こるようにするために、先行技術や一般的に使用されている様な導体バーから十分に周知されている様な受け入れ案内用漏斗を導体バーに設けることができる。
【0009】
コレクタ・トロリーが好都合に配設されている腕部は、入れ子式腕部の形態をとっているのが好都合である。とはいえ、駆動機構、具体的にはラック・ピニオン式の駆動機構によって調節される、固定された長手方向外形が提供されるようにすることも可能である。
【0010】
本発明は、低い燃料費と整備修理費用の縮小とにより、より大きな経費節減をもたらす。車両の電化によって、騒音レベル及びCO2や他の有害排ガスの排出の減少が実現される。
【0011】
導体バーを通路と一体に使用することにより、コンテナ段積みクレーンが通路内で電気エネルギーの供給を受けることが可能になる。故に、ディーゼル駆動機構は、なお必要ではあるが通路の外でしか必要ない。電流の収集は、それぞれの場合において、クレーンと共に走行しクレーン上に取り付けられているコレクタ・トロリー、具体的には電流コレクタ・トロリーを介して起こる。通路の入れ替わりがあったとき、コレクタ・トロリーは走行線から出てゆき、そうして自動的に切り離される。クレーンは、ディーゼル駆動機構の助けを借りて新しい通路に入ってゆくことができる。
【0012】
コンテナ港で利用できる空間及びそれらの要件には差があるため、2通りの異なった導体バー配設を使用することも可能であり、組み合わせて使用することさえ可能である。この様に、導体バーを図1aに示されているやり方で全ての通路の脇に配設することが可能である。通路Gは、コンテナの積み重ねCによって形成されている。クレーンRTGは、この事例では、導体バー又は走行線Sの何れかに平行に走行しており、当該事例では、それらは各々の電気駆動機構によって運転されている。クレーンRTGは、通路Gを去るとすぐに、各々のディーゼル駆動機構を用い、異なる通路Gを目指して進むことができる。
【0013】
図1bは、先行技術から知られている走行線Tであって、その片側に4つの導体バーSが締結されている走行線Tを通る断面図である。コレクタ・トロリーWは、走行線Tに沿って動くことができ、走行線T上の走行軌道を転がるローラーABRに取り付けられている。コレクタ・トロリーWは、滑動式カーボンパッドを用いて導体バーSに支えられている複数の電流収集体ABを有している。電流コレクタ・トロリーWの上方又は下方には、電流コレクタ・トロリーWと一体に走行線Tに沿って動かされる電気モジュールMが配設されている。先行技術から知られている試験システムでは、電気導線LがモジュールMをクレーンRTGに接続しており、クレーンRTGは、ゴムタイヤRを用いて走行面F上を走行線Tに沿って動かされている。トロリーWを同伴するための鎖及び/又はケーブルは図示されていない。図1a及び図1bは、導体バーが走行線Tの片側にしか配設されていないことを示している。とはいえ、導体バーSを走行線Tに沿ってその両側に配設することも可能であり、そうすると、走行線Tは図2a及び図2bに示されているやり方で2つのRTGクレーンの間に配設されることになる。
【0014】
既知の試験システムとは対照的に、本発明によるシステムでは、それぞれのクレーンは、クレーン自体に締結されている、クレーンに付属の1つのコレクタ・トロリーを有することができる。こうすればコレクタ・トロリーの数がクレーンの数と同じになるため、これは費用の面で多大な益をもたらす。これとは対照的に、旧システムで使用されていたものは、クレーンの「仕事場」のそれぞれについて差し込み用の設備を提供するために、走行線毎に複数のコレクタ・トロリーであった。
【0015】
最も単純な事例では、本発明による電流コレクタシステムは、一端を車両に取り付けることができて他端がコレクタ・トロリーを担持している腕部であって、具体的には入れ子式腕部であってもよいとされる腕部を備えている。コレクタ・トロリーはこの事例では腕部に、垂直方向に自由に変位可能となるように取り付けられており、よって、導体バーへの挿入に向けて適宜上昇させることができる。
【0016】
凹状の内向きに湾曲している略半円形又は円錐形の滑り面を有することを特徴とするディアボロローラーの好都合な使用により、通常の4つの案内用レールを円形断面の2つのロッド又は管に置き換えることができる。コレクタ・トロリーが安全且つ信頼性高く案内され中心合わせされるために、コレクタ・トロリー側でなお必要とされるのは、唯一、ディアボロローラーの形態をした3つの走行ローラーだけである。ディアボロローラーと円形のバー又は管を備えている案内用システムは、好都合なことに、入れ子式腕部の先端部のコレクタ・トロリーの垂直方向の案内及び取り付け用としても提供することができる。全体として見ると、本システムは、上述の走行ローラーを使用することによって、実質的に単純化された、よりコンパクトで極めて軽量、且つ費用の掛からない形態であると同時に、コレクタ・トロリーの案内が最適化された形態に、製造、組み立てすることができる。更に、同重量の場合、案内管なら、より好都合に製造され、従来のU字外形の形態をした支持用レールよりも弓反りに対する抵抗モーメントは大きくなる。
【0017】
本発明を、図面を参照しながら以下に詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】走行線の片側に配設されている導体バーを示している。
【図1b】図1aと共に、走行線の片側に配設されている導体バーを示している。
【図2a】走行線の両側への導体バーの配設を示している。
【図2b】図2aと共に、走行線の両側への導体バーの配設を示している。
【図3】本発明による車両及び走行線の或る実施形態であって、板に押し付けて動かされる腕部を有する実施形態を示している。
【図4】位置付け及び挿入用装置によって上昇させたコレクタ・トロリーを示している。
【図5】一杯まで上昇しており、車両を更に動かせば、結果として、コレクタ・トロリーの電流収集体を導体バーに挿入することができる状態のコレクタ・トロリーを示している。
【図6】コレクタ・トロリーと走行線の第2の考えられる実施形態であって、支持用レールとして円形バーが設けられている実施形態の斜視図である。
【図7】図6に示されている走行線及びコレクタ・トロリーの部分断面端面図である。
【図8】図6及び図7に示されている実施形態の模式図である。
【図9】図8に示されている配設の平面図である。
【図10】図6から図9に示されている実施形態の挿入用装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図3は、垂直柱TSと水平梁THとを備えている、本発明による走行線Tを示している。水平梁THには、導体バーSと支持用レールTRが配設されている。図3は、位置付け及び挿入用装置PEが配設されている、走行線に沿った点、即ち、具体的にはクレーンである車両RTGが、当該車両RTG側に配設されているコレクタ・トロリーWを、走行線T側へ、より厳密にいえば導体バーSへ挿入することができるように、位置付けられなくてはならない点を示している。概略的にではあるがクレーンRTG側で図示されているものは、垂直方向の直方体による脚部RTGBだけであり、脚部RTGBには少なくとも1つのタイヤが取り付けられているのが一般的である。脚部RTGBには、個別の腕部部分A1、A2、及びA3を備える入れ子式腕部Aが締結されている。終端部分A3の前端には、1つ又は2つの圧力印加式ローラーの形態をした物理的接点を作るための部品ATが配設されている。入れ子式腕部Aの伸展により、ローラーATは最終的に板Pに当接し、その結果として、同じく部分A3に配設されているコレクタ・トロリーWが、挿入用装置PEの支持用レールETRへの挿入に向けて、同じ様に水平方向に整列される。コレクタ・トロリーWには、垂直方向に配設されたロッドSTが締結されており、ロッドSTは、腕部Aに、案内Fの中を垂直方向に変位可能となるように取り付けられている。クレーンRTGが走行方向Riに動かされるとすぐ、走行ローラーABRは、傾斜を成して配設されている支持用レールETRの滑り面LETRに乗り上げ、その結果として、コレクタ・トロリーWはロッドSTと一体に、方向Riへの走行が継続することで上昇してゆく。挿入用装置PEの支持用レールETRは、斜面が形成されるように傾斜を成して配設されているものであり、支持用レールTRの領域の隣接位置に終端しているが、その様に配設されているおかげで、コレクタ・トロリーは走行線T及び導体バーSに追従し、電流収集体ABが常に導体バーSと接触している状態が確保される。コレクタ・トロリーWは、筺体Gを有しており、そこに、ロッド、弾性的に取り付けられている電流収集体AB、及び走行ローラーABRが配設されている。入れ子式腕部Aの個別部分Aiから吊り下げられている可撓性ケーブルKを介して、電流コレクタABはクレーンの電子機器に接続されている。
【0020】
図4は、クレーンRTGが方向Riに動いて、コレクタ・トロリーWの走行ローラーABRが既に滑り面LETRに載った状態になっている位置を示している。
図5は、コレクタ・トロリーWが支持用レールTRの高さまで上昇し、その結果として、ロッドSTがトロリー共々上方に移動してはいるが、なお各々の案内Fの中に在る状態での位置を示している。
【0021】
原則的に、クレーンRTG又は車両は軌道取り付け式ではなく、よって、それが走行方向Riに動くと、車両と走行線Tの間の距離が変化する、ということが起こり得る。垂直方向の距離の変化も絶えず起こっており、その様な変化は、例えば、タイヤの空気圧や高さ方向の普通公差の違いによって生じることがある。これらの距離変化が継続的に補償されることを可能にするためには、コレクタ・トロリーが車両に対し水平方向に動けることが確保されなくてはならない。入れ子式腕部Aは、従って、その長さが、走行線と車両の間に作用する力の結果として変化し得るように設計されなくてはならない。垂直ロッド(ST)又は垂直管は、垂直方向の補償を可能にする。
【0022】
図6から図9は、別の考えられる実施形態であって、コレクタ・トロリーW’が、入れ子式腕部A’の先端部A’Kに、垂直方向に変位可能となるように取り付けられている実施形態を示している。この目的のため、入れ子式腕部A’の先端部A’Kには、コレクタ・トロリーの垂直方向に配設された案内W’VFの中を滑り、コレクタ・トロリーが傾くのを阻止するローラーA’KRが回転可能に取り付けられている。コレクタ・トロリーW’には、接点を作るために導体バーS’に係合する電流コレクタAB’が配設されている。走行線の柱T’Sは、円形断面のロッドによって形成されている支持用レールTR’を担持している。コレクタ・トロリーWには走行ローラーとしてディアボロローラーAB’Rが配設されており、ディアボロローラーAB’Rは、コレクタ・トロリーW’を水平方向及び垂直方向に中心合わせする働きをする。ディアボロローラーAB’Rは、凹状であるか又は断面が略円形であり、断面が円形である支持用レールTR’に支えられる滑り面を有している。基本的に、コレクタ・トロリーW’が安全かつ信頼性高く案内されるようにするためには、3つのローラーAB’Rで足る。無論、3つより多くのローラーを設けることも可能であり、例えば、上側2つ下側2つとしてもよい。
【0023】
図7は、走行線自体の柱T’Sと、それにブラケットT’Hによって締結されている支持用レールT’R及び導体バーS’と、を有する走行線の部分断面端面図である。走行線の柱T’Sには、案内用レールT’R用のブラケットT’Hが互いに反対の位置に配設されており、これの意味するところは、今回は上下に重ねて配設されている2つの案内及び支持用レールT’Rしかないので、僅かな空間しか占めないコンパクトな走行線が作り出せるということである。互いに反対の位置の支持用レールT’R用ブラケットT’Hは、一体にボルト留め又はリベット留めされるか、一体に溶接されており、よって、走行線全体として高い強度を得ることができる。
【0024】
図8は、図6及び図7に示されている実施形態の模式図である。コレクタ・トロリーW’は、走行ローラーAB’Rと電流コレクタAB’が締結されている枠構造W’Rによって形成されている。更に、支持用枠W’Rには、入れ子式腕部A’の先端部A’Kに配設された走行ローラーA’KRを案内するのに使用されている垂直案内ロッドW’VFが締結されているか又は組み込まれている。オプションとして、コレクタ・トロリーW’が支持用レールTR’によって案内されない場合にコレクタ・トロリーW’を入れ子式腕部A’の先端部A’Kに対して垂直位置に位置付けるばね(図示せず)が設けられていてもよい。図9は、図8に示されている配設の平面図である。
【0025】
図10は、図6から図9に示されている実施形態での挿入用装置の考えられ得る実施形態を示している。挿入用装置は、上偏向装置PR’Oと下偏向装置PR’Uを有している。上偏向装置PR’Oは、水平偏向板PR’Hと垂直偏向板PR’Vとを有しており、両偏向板はコレクタ・トロリーW’の上走行ローラーAB’Rと協働して水平方向及び垂直方向の位置付けを提供する。下偏向装置PR’Uは、コレクタ・トロリーW’の下走行ローラーAB’Rを水平方向に整列させるのに使用されている。挿入用装置は、傾斜を成して配設されている少なくとも1つの走行線T’RRを有しており、そこへコレクタ・トロリーW’の下走行ローラーAB’Rが右手に向かって進みながら乗り上げて支承されることになる。この様にして、コレクタ・トロリーW’は、コレクタ・トロリーW’の上走行ローラーAB’Rを上支持用レールT’Rの上方に位置付けるのに十分なほど遠くへ上昇させられる。ひとたびコレクタ・トロリーW’が完全に導入されてしまうと、その走行ローラーAB’Rが上方及び下方から支持用レールT’Rの周りに噛み合い、その結果として、コレクタ・トロリーW’はもはや走行線から離れることができなくなる。相対垂直公差及び走行面の不均一は、入れ子式腕部A’の先端部A’Kのコレクタ・トロリーW’が垂直方向に案内されることによって補償される。
【0026】
図3から図5に示され定義されている第1の実施形態にも、図6から図10に示され定義されている種類の、走行ローラーの役目を果たすディアボロローラーと円形断面の支持用レールを装着することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
A、A’ 入れ子式腕部
A1、A2、A3、Ai 腕部の部分
A’K 腕部の先端部
A’KR 走行ローラー
AB、AB’ 電流コレクタ
ABR、AB’R 走行ローラー
AN 駆動機構
AT、AT’ 物理的接点を作るための部品、ローラー
C コンテナの積み重ね
ETR、ETR’ 挿入用装置の支持用レール、挿入支持用レール
F 走行面
F、F’ 案内
G 通路
G 筺体
K ケーブル
L 電気導線
LETR 挿入支持用レールETRの滑り面
M 電気モジュール
P 位置決め手段、板
PE、PE’ 位置付け及び挿入用装置
PR’O 上偏向装置
PR’U 下偏向装置
PR’H 水平偏向板
PR’V 垂直偏向板
R ゴムタイヤ
Ri 走行方向
RTG クレーン(車両)
RTGB 脚部
S、S’ 導体バー
ST 垂直方向に配設されたロッド
T、T’ 走行線
T’RR 挿入用装置の走行線
TH 水平梁
TS 垂直柱
T’H ブラケット
T’S 柱
TR、TR’、T’R、TR’ 支持用レール
W、W’ コレクタ・トロリー
W’R 支持用枠
W’VF 垂直案内ロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレクタ・トロリーと、走行線と、車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンと、を使用する電流及び/又はデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ段積みクレーン全体の約99%はディーゼル駆動式である。ディーゼル燃料の価格のひっきりなしの上昇のせいで、また騒音関連や環境的な理由から、コンテナ段積みクレーンを電化する試みがなされている。使用されているコンテナ段積みクレーンには様々なものがある。この様な中、欧州で使われているものに、細い空気タイヤ式のストラドルキャリアがあるが、それらは幅が狭いためコンテナを一列に積むことしかできない。その様なストラドルキャリアと共に導体バーを使用するのは、どちらかといえば非経済的である。また、クレーンレール上を滑るクレーンで、今日では既に導体バーを用いて運転されている、かなり幅広のレール取り付け式ガントリークレーンもある。これらの他にも、既に広く製造されているゴムタイヤ式ガントリークレーンがあり、それらは1列より多い段積みコンテナ列に噛ますことができ、段積みされたコンテナの列に沿って主に通路を走行する。これらのクレーンは、コンテナの積み重ねによって形成されている通路を入れ替わらなくてはならないことが多いため、空気タイヤを有している。ゴムタイヤ式ガントリークレーンが、並列式に配設された導体バーによって電気エネルギーの供給を受ける試験システムは既に導入されている。導体バーは、この事例では、電流コレクタ・トロリーが走行する走行線側に配設されており、電流コレクタ・トロリーは、各々の電流収集体及び滑動式カーボンパッドで導体との接点を作り出す。電流コレクタ・トロリーは、差し込み式コネクタが配設されている電気ケーブルでクレーンに接続することができ、こうしてクレーンはその電気エネルギーを導体バーから得ることができる。ゴムタイヤ式ガントリークレーンは、短縮してRTGクレーンとして知られており、ディーゼル生成器を有する電気的な駆動機構を有している。通路を入れ替わる場合、RTGクレーンは、この「ディーゼル駆動機構」に切り替わる。ひとたびクレーンが通路に進入してしまえば、運転者は助手作業員に、電流コレクタ・トロリーのケーブルをRTGクレーン側のソケットに差し込む必要があることを伝える。更に、電流コレクタ・トロリーはRTGクレーンへ鎖を使って引っかけられており、それが意味するところは、RTGクレーンが進むと、電流コレクタ・トロリーが引っ張られてゆくが、それは鎖によってであり、電気ケーブルによってではないということである。
【0003】
上述のシステムの不都合は、助手がコンテナ段積みクレーン(RTGクレーン)を電流コレクタ・トロリーに手作業で電源ケーブルを用いて接続しなくてはならないことであり、この目的のために電気ケーブルをRTGクレーンに差し込むだけではなく、更に鎖をそれに引っかけなくてはならない。もう1つの不都合は、要求駆動電流が最初にディーゼル生成器によって生成され、次いで電気駆動機構がそれを供給されるという点での効率の悪さ、ひいてはエネルギーの損失である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンと走行線の間に電気接続を作ることを単純化すること、具体的には自動化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴を有する電流コレクタシステムによって実現される。更に特許請求の範囲に記載されているものは、請求項16の特徴及び当該請求項16に帰する請求項の特徴を有する走行線、並びに電流及び/又はデータ伝送システムである。
【0006】
電流コレクタシステム、車両、走行線、及び伝送システムの好都合な実施形態は、事例毎に参照される従属請求項の特徴から理解することができよう。
本発明によるシステムは、一般に、コンテナ段積みクレーンのみならず、対応する走行線に沿って走行しなくてはならない車両及び電気エネルギー及び/又はデータを供給されなくてはならない車両における如何なる所望の車両にも適している。
【0007】
本発明の裏にある基本的な考えは、車両によって、走行線に沿って敷かれている少なくとも1つの導体バーとの接点を自動的に作ることが、電流コレクタシステムを用いて実施できるということである。この場合の厄介な問題は、自動プロセスによる途方もない公差を補償することである。これらの公差は、車両、具体的にはクレーンが、水平方向位置及び垂直方向位置において、導体バーシステムから極めて不正確に離間された位置に在ることから生じる。これに対処するため、コレクタ・トロリーは導体バーに対して整列され、その電流コレクタが位置付け及び挿入用装置によって導体バーに挿入される。この目的のために、車両は、コレクタ・トロリーを水平方向に調節することができる腕部又は何か他の調節用手段を有しているのが好都合である。最も単純な事例では、走行線側に物理的接点用の板を持たせ、それに押し付けるように腕部即ち調節用手段又はコレクタ・トロリーの端を駆動機構によって動かせばよい。腕部端には、この目的で、少なくとも1つの圧力印加式ローラー又は走行ローラーを設けることができる。電流コレクタ・トロリーが、走行線に沿って配設されているキャリアレールの中へ挿入されるためには、車両のコレクタ・トロリーは、位置付け及び挿入用装置の前方の位置へ動かされなくてはならず、そうした後、コレクタ・トロリーは次に物理的接点用の板の方向に、当該板相手に物理的接点が作り出されるまで動かされる。物理的接点用の板相手に物理的接点が作り出されれば、そのことは具体的にはセンサーによって判定されるか又はコレクタ・トロリーを水平方向に調節する駆動機構によって引かれる駆動電流から判明するが、そうなるとすぐに、コレクタ・トロリーは水平方向に整列される。すると、車両を動かすことによって、コレクタ・トロリーを挿入用装置へ挿入することができる。装入用装置の目的は、コレクタ・トロリーを垂直方向に位置付け、具体的には上昇させて、その結果、トロリーのその電流コレクタを(単数又は複数の)導体バーへ導入できるようにすることである。或る好適な実施形態では、挿入用装置は、この目的のために、上向きに車両の走行方向に延びるレール−ここでコレクタ・トロリーを上昇させなくてはならない−を有している。コレクタ・トロリーは、走行レールの滑り面に押し当てて支承される走行ローラーを有しており、走行レールは傾斜を成して配設されているため、その結果として、コレクタ・トロリーは車両が動き続けることで上昇してゆく。これが起こったとき、腕部及びその上に設置されているコレクタ・トロリー全体又はコレクタ・トロリーのみの何れかが上昇させられる。最も単純な事例では、上昇させるのはコレクタ・トロリーのみである。コレクタ・トロリーは、この事例では、垂直方向に配設されたロッドによって案内されるのが好都合である。ロッドは、腕部又はコレクタ・トロリーの何れに締結されていてもよく、ロッドはそれぞれ、所与の事例における他方の部品に、それがどちらであっても、即ち腕部又はコレクタ・トロリーのどちらであっても、垂直方向に変位可能となるように取り付けられている。或る代わりの実施形態では、4つの垂直バーではなくて、配設されているのは、腕部又は他の調節手段が走行方向に正確に直角に係合しなかった場合にコレクタ・トロリーが水平方向に補償回転を行えるようにする1つの垂直管のみである。
【0008】
位置付け及び挿入用システムは、通路の両端にそれぞれ配設されている。
確実に、電流コレクタの導体バーへの挿入が車両の運動によって起こるようにするために、先行技術や一般的に使用されている様な導体バーから十分に周知されている様な受け入れ案内用漏斗を導体バーに設けることができる。
【0009】
コレクタ・トロリーが好都合に配設されている腕部は、入れ子式腕部の形態をとっているのが好都合である。とはいえ、駆動機構、具体的にはラック・ピニオン式の駆動機構によって調節される、固定された長手方向外形が提供されるようにすることも可能である。
【0010】
本発明は、低い燃料費と整備修理費用の縮小とにより、より大きな経費節減をもたらす。車両の電化によって、騒音レベル及びCO2や他の有害排ガスの排出の減少が実現される。
【0011】
導体バーを通路と一体に使用することにより、コンテナ段積みクレーンが通路内で電気エネルギーの供給を受けることが可能になる。故に、ディーゼル駆動機構は、なお必要ではあるが通路の外でしか必要ない。電流の収集は、それぞれの場合において、クレーンと共に走行しクレーン上に取り付けられているコレクタ・トロリー、具体的には電流コレクタ・トロリーを介して起こる。通路の入れ替わりがあったとき、コレクタ・トロリーは走行線から出てゆき、そうして自動的に切り離される。クレーンは、ディーゼル駆動機構の助けを借りて新しい通路に入ってゆくことができる。
【0012】
コンテナ港で利用できる空間及びそれらの要件には差があるため、2通りの異なった導体バー配設を使用することも可能であり、組み合わせて使用することさえ可能である。この様に、導体バーを図1aに示されているやり方で全ての通路の脇に配設することが可能である。通路Gは、コンテナの積み重ねCによって形成されている。クレーンRTGは、この事例では、導体バー又は走行線Sの何れかに平行に走行しており、当該事例では、それらは各々の電気駆動機構によって運転されている。クレーンRTGは、通路Gを去るとすぐに、各々のディーゼル駆動機構を用い、異なる通路Gを目指して進むことができる。
【0013】
図1bは、先行技術から知られている走行線Tであって、その片側に4つの導体バーSが締結されている走行線Tを通る断面図である。コレクタ・トロリーWは、走行線Tに沿って動くことができ、走行線T上の走行軌道を転がるローラーABRに取り付けられている。コレクタ・トロリーWは、滑動式カーボンパッドを用いて導体バーSに支えられている複数の電流収集体ABを有している。電流コレクタ・トロリーWの上方又は下方には、電流コレクタ・トロリーWと一体に走行線Tに沿って動かされる電気モジュールMが配設されている。先行技術から知られている試験システムでは、電気導線LがモジュールMをクレーンRTGに接続しており、クレーンRTGは、ゴムタイヤRを用いて走行面F上を走行線Tに沿って動かされている。トロリーWを同伴するための鎖及び/又はケーブルは図示されていない。図1a及び図1bは、導体バーが走行線Tの片側にしか配設されていないことを示している。とはいえ、導体バーSを走行線Tに沿ってその両側に配設することも可能であり、そうすると、走行線Tは図2a及び図2bに示されているやり方で2つのRTGクレーンの間に配設されることになる。
【0014】
既知の試験システムとは対照的に、本発明によるシステムでは、それぞれのクレーンは、クレーン自体に締結されている、クレーンに付属の1つのコレクタ・トロリーを有することができる。こうすればコレクタ・トロリーの数がクレーンの数と同じになるため、これは費用の面で多大な益をもたらす。これとは対照的に、旧システムで使用されていたものは、クレーンの「仕事場」のそれぞれについて差し込み用の設備を提供するために、走行線毎に複数のコレクタ・トロリーであった。
【0015】
最も単純な事例では、本発明による電流コレクタシステムは、一端を車両に取り付けることができて他端がコレクタ・トロリーを担持している腕部であって、具体的には入れ子式腕部であってもよいとされる腕部を備えている。コレクタ・トロリーはこの事例では腕部に、垂直方向に自由に変位可能となるように取り付けられており、よって、導体バーへの挿入に向けて適宜上昇させることができる。
【0016】
凹状の内向きに湾曲している略半円形又は円錐形の滑り面を有することを特徴とするディアボロローラーの好都合な使用により、通常の4つの案内用レールを円形断面の2つのロッド又は管に置き換えることができる。コレクタ・トロリーが安全且つ信頼性高く案内され中心合わせされるために、コレクタ・トロリー側でなお必要とされるのは、唯一、ディアボロローラーの形態をした3つの走行ローラーだけである。ディアボロローラーと円形のバー又は管を備えている案内用システムは、好都合なことに、入れ子式腕部の先端部のコレクタ・トロリーの垂直方向の案内及び取り付け用としても提供することができる。全体として見ると、本システムは、上述の走行ローラーを使用することによって、実質的に単純化された、よりコンパクトで極めて軽量、且つ費用の掛からない形態であると同時に、コレクタ・トロリーの案内が最適化された形態に、製造、組み立てすることができる。更に、同重量の場合、案内管なら、より好都合に製造され、従来のU字外形の形態をした支持用レールよりも弓反りに対する抵抗モーメントは大きくなる。
【0017】
本発明を、図面を参照しながら以下に詳細に説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】走行線の片側に配設されている導体バーを示している。
【図1b】図1aと共に、走行線の片側に配設されている導体バーを示している。
【図2a】走行線の両側への導体バーの配設を示している。
【図2b】図2aと共に、走行線の両側への導体バーの配設を示している。
【図3】本発明による車両及び走行線の或る実施形態であって、板に押し付けて動かされる腕部を有する実施形態を示している。
【図4】位置付け及び挿入用装置によって上昇させたコレクタ・トロリーを示している。
【図5】一杯まで上昇しており、車両を更に動かせば、結果として、コレクタ・トロリーの電流収集体を導体バーに挿入することができる状態のコレクタ・トロリーを示している。
【図6】コレクタ・トロリーと走行線の第2の考えられる実施形態であって、支持用レールとして円形バーが設けられている実施形態の斜視図である。
【図7】図6に示されている走行線及びコレクタ・トロリーの部分断面端面図である。
【図8】図6及び図7に示されている実施形態の模式図である。
【図9】図8に示されている配設の平面図である。
【図10】図6から図9に示されている実施形態の挿入用装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図3は、垂直柱TSと水平梁THとを備えている、本発明による走行線Tを示している。水平梁THには、導体バーSと支持用レールTRが配設されている。図3は、位置付け及び挿入用装置PEが配設されている、走行線に沿った点、即ち、具体的にはクレーンである車両RTGが、当該車両RTG側に配設されているコレクタ・トロリーWを、走行線T側へ、より厳密にいえば導体バーSへ挿入することができるように、位置付けられなくてはならない点を示している。概略的にではあるがクレーンRTG側で図示されているものは、垂直方向の直方体による脚部RTGBだけであり、脚部RTGBには少なくとも1つのタイヤが取り付けられているのが一般的である。脚部RTGBには、個別の腕部部分A1、A2、及びA3を備える入れ子式腕部Aが締結されている。終端部分A3の前端には、1つ又は2つの圧力印加式ローラーの形態をした物理的接点を作るための部品ATが配設されている。入れ子式腕部Aの伸展により、ローラーATは最終的に板Pに当接し、その結果として、同じく部分A3に配設されているコレクタ・トロリーWが、挿入用装置PEの支持用レールETRへの挿入に向けて、同じ様に水平方向に整列される。コレクタ・トロリーWには、垂直方向に配設されたロッドSTが締結されており、ロッドSTは、腕部Aに、案内Fの中を垂直方向に変位可能となるように取り付けられている。クレーンRTGが走行方向Riに動かされるとすぐ、走行ローラーABRは、傾斜を成して配設されている支持用レールETRの滑り面LETRに乗り上げ、その結果として、コレクタ・トロリーWはロッドSTと一体に、方向Riへの走行が継続することで上昇してゆく。挿入用装置PEの支持用レールETRは、斜面が形成されるように傾斜を成して配設されているものであり、支持用レールTRの領域の隣接位置に終端しているが、その様に配設されているおかげで、コレクタ・トロリーは走行線T及び導体バーSに追従し、電流収集体ABが常に導体バーSと接触している状態が確保される。コレクタ・トロリーWは、筺体Gを有しており、そこに、ロッド、弾性的に取り付けられている電流収集体AB、及び走行ローラーABRが配設されている。入れ子式腕部Aの個別部分Aiから吊り下げられている可撓性ケーブルKを介して、電流コレクタABはクレーンの電子機器に接続されている。
【0020】
図4は、クレーンRTGが方向Riに動いて、コレクタ・トロリーWの走行ローラーABRが既に滑り面LETRに載った状態になっている位置を示している。
図5は、コレクタ・トロリーWが支持用レールTRの高さまで上昇し、その結果として、ロッドSTがトロリー共々上方に移動してはいるが、なお各々の案内Fの中に在る状態での位置を示している。
【0021】
原則的に、クレーンRTG又は車両は軌道取り付け式ではなく、よって、それが走行方向Riに動くと、車両と走行線Tの間の距離が変化する、ということが起こり得る。垂直方向の距離の変化も絶えず起こっており、その様な変化は、例えば、タイヤの空気圧や高さ方向の普通公差の違いによって生じることがある。これらの距離変化が継続的に補償されることを可能にするためには、コレクタ・トロリーが車両に対し水平方向に動けることが確保されなくてはならない。入れ子式腕部Aは、従って、その長さが、走行線と車両の間に作用する力の結果として変化し得るように設計されなくてはならない。垂直ロッド(ST)又は垂直管は、垂直方向の補償を可能にする。
【0022】
図6から図9は、別の考えられる実施形態であって、コレクタ・トロリーW’が、入れ子式腕部A’の先端部A’Kに、垂直方向に変位可能となるように取り付けられている実施形態を示している。この目的のため、入れ子式腕部A’の先端部A’Kには、コレクタ・トロリーの垂直方向に配設された案内W’VFの中を滑り、コレクタ・トロリーが傾くのを阻止するローラーA’KRが回転可能に取り付けられている。コレクタ・トロリーW’には、接点を作るために導体バーS’に係合する電流コレクタAB’が配設されている。走行線の柱T’Sは、円形断面のロッドによって形成されている支持用レールTR’を担持している。コレクタ・トロリーWには走行ローラーとしてディアボロローラーAB’Rが配設されており、ディアボロローラーAB’Rは、コレクタ・トロリーW’を水平方向及び垂直方向に中心合わせする働きをする。ディアボロローラーAB’Rは、凹状であるか又は断面が略円形であり、断面が円形である支持用レールTR’に支えられる滑り面を有している。基本的に、コレクタ・トロリーW’が安全かつ信頼性高く案内されるようにするためには、3つのローラーAB’Rで足る。無論、3つより多くのローラーを設けることも可能であり、例えば、上側2つ下側2つとしてもよい。
【0023】
図7は、走行線自体の柱T’Sと、それにブラケットT’Hによって締結されている支持用レールT’R及び導体バーS’と、を有する走行線の部分断面端面図である。走行線の柱T’Sには、案内用レールT’R用のブラケットT’Hが互いに反対の位置に配設されており、これの意味するところは、今回は上下に重ねて配設されている2つの案内及び支持用レールT’Rしかないので、僅かな空間しか占めないコンパクトな走行線が作り出せるということである。互いに反対の位置の支持用レールT’R用ブラケットT’Hは、一体にボルト留め又はリベット留めされるか、一体に溶接されており、よって、走行線全体として高い強度を得ることができる。
【0024】
図8は、図6及び図7に示されている実施形態の模式図である。コレクタ・トロリーW’は、走行ローラーAB’Rと電流コレクタAB’が締結されている枠構造W’Rによって形成されている。更に、支持用枠W’Rには、入れ子式腕部A’の先端部A’Kに配設された走行ローラーA’KRを案内するのに使用されている垂直案内ロッドW’VFが締結されているか又は組み込まれている。オプションとして、コレクタ・トロリーW’が支持用レールTR’によって案内されない場合にコレクタ・トロリーW’を入れ子式腕部A’の先端部A’Kに対して垂直位置に位置付けるばね(図示せず)が設けられていてもよい。図9は、図8に示されている配設の平面図である。
【0025】
図10は、図6から図9に示されている実施形態での挿入用装置の考えられ得る実施形態を示している。挿入用装置は、上偏向装置PR’Oと下偏向装置PR’Uを有している。上偏向装置PR’Oは、水平偏向板PR’Hと垂直偏向板PR’Vとを有しており、両偏向板はコレクタ・トロリーW’の上走行ローラーAB’Rと協働して水平方向及び垂直方向の位置付けを提供する。下偏向装置PR’Uは、コレクタ・トロリーW’の下走行ローラーAB’Rを水平方向に整列させるのに使用されている。挿入用装置は、傾斜を成して配設されている少なくとも1つの走行線T’RRを有しており、そこへコレクタ・トロリーW’の下走行ローラーAB’Rが右手に向かって進みながら乗り上げて支承されることになる。この様にして、コレクタ・トロリーW’は、コレクタ・トロリーW’の上走行ローラーAB’Rを上支持用レールT’Rの上方に位置付けるのに十分なほど遠くへ上昇させられる。ひとたびコレクタ・トロリーW’が完全に導入されてしまうと、その走行ローラーAB’Rが上方及び下方から支持用レールT’Rの周りに噛み合い、その結果として、コレクタ・トロリーW’はもはや走行線から離れることができなくなる。相対垂直公差及び走行面の不均一は、入れ子式腕部A’の先端部A’Kのコレクタ・トロリーW’が垂直方向に案内されることによって補償される。
【0026】
図3から図5に示され定義されている第1の実施形態にも、図6から図10に示され定義されている種類の、走行ローラーの役目を果たすディアボロローラーと円形断面の支持用レールを装着することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0027】
A、A’ 入れ子式腕部
A1、A2、A3、Ai 腕部の部分
A’K 腕部の先端部
A’KR 走行ローラー
AB、AB’ 電流コレクタ
ABR、AB’R 走行ローラー
AN 駆動機構
AT、AT’ 物理的接点を作るための部品、ローラー
C コンテナの積み重ね
ETR、ETR’ 挿入用装置の支持用レール、挿入支持用レール
F 走行面
F、F’ 案内
G 通路
G 筺体
K ケーブル
L 電気導線
LETR 挿入支持用レールETRの滑り面
M 電気モジュール
P 位置決め手段、板
PE、PE’ 位置付け及び挿入用装置
PR’O 上偏向装置
PR’U 下偏向装置
PR’H 水平偏向板
PR’V 垂直偏向板
R ゴムタイヤ
Ri 走行方向
RTG クレーン(車両)
RTGB 脚部
S、S’ 導体バー
ST 垂直方向に配設されたロッド
T、T’ 走行線
T’RR 挿入用装置の走行線
TH 水平梁
TS 垂直柱
T’H ブラケット
T’S 柱
TR、TR’、T’R、TR’ 支持用レール
W、W’ コレクタ・トロリー
W’R 支持用枠
W’VF 垂直案内ロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンに締結するための電流コレクタシステムであって、前記車両は走行線(T、T’)に沿って動かすことができ、前記走行線には少なくとも1つの導体バー(S、S’)が配設されており、前記電流コレクタシステムは少なくとも1つの電流コレクタ(AB、AB’)を有するコレクタ・トロリー(W、W’)を有し、前記少なくとも1つの電流コレクタ(AB、AB’)は導体バー(S、S’)に接触させることができる、電流コレクタシステムにおいて、前記電流コレクタシステムの前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、具体的には少なくとも1つの案内(F、F’)によって、垂直方向に自由に変位可能となるように、取り付けられていることを特徴とする、電流コレクタシステム。
【請求項2】
前記案内(F)は、腕部(A)の一端、具体的には入れ子式腕部の自由端か、又は前記コレクタ・トロリー(W、W’)自体に配設されており、前記腕部(A、A’)は、前記車両に締結されているか又は締結することができることを特徴とする、請求項1に記載の電流コレクタシステム。
【請求項3】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、駆動機構(AN)によって水平方向に調節することができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電流コレクタシステム。
【請求項4】
前記入れ子式腕部(A、A’)は、駆動機構(AN)によって伸展及び収縮させることができることを特徴とする、請求項3に記載の電流コレクタシステム。
【請求項5】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、動く際、前記走行線(T、T’)に配設されている、具体的には支持用レール(TR、TR’)の形態をした少なくとも1つの案内によって、前記走行線(T、T’)に対して所定位置に保持されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の電流コレクタシステム。
【請求項6】
前記コレクタ・トロリー(W)用の軸受けは、少なくとも1つの垂直ロッド(ST、W’VF)によって形成されており、前記少なくとも1つの垂直ロッド(ST、W’VF)が、前記コレクタ・トロリー(W、W’)に締結されていて、前記車両、具体的にはその前記腕部(A、A’)に変位可能に取り付けられているか、又は少なくとも1つの垂直ロッド(ST)が、前記車両、具体的にはその前記腕部に締結されていて、当該腕部に前記コレクタ・トロリー(W)が変位可能に取り付けられているかの何れかであることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項7】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、前記少なくとも1つの支持用レール(TR、TR’)及び前記走行線(T、T’)に属する位置付け及び挿入用装置(PE、PE’)の少なくとも挿入支持用レール(ETR、ETR’)上を転がる少なくとも1つの走行ローラー(ABR、AB’R)を有していることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項8】
前記コレクタ・トロリー(W)は、前記電流コレクタ(AB、AB’)が弾性的に取り付けられている筺体(G)又は枠(W’R)を有し、少なくとも1つのロッド(ST、W’VF)は、前記筺体(G)又は枠(W’R)に、締結されているか又は垂直方向に変位可能となるように取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項9】
前記腕部(A)及び/又は前記コレクタ・トロリー(W、W’)には、物理的接点を作るための、具体的には圧力印加式ローラーの形態をした、少なくとも1つの部品(AT、AT’)が配設されており、前記少なくとも1つの部品(AT、AT’)は、前記コレクタ・トロリー(W、W’)の水平方向運動により、走行線(T、T’)に属する位置付け手段(P、PR’H)、具体的には物理的接点用の板と、物理的接触状態に入ることができ、前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、前記位置付け手段(P、PR’H)と物理的接触状態に入ったとき、水平方向に、前記少なくとも1つの導体バー(S、S’)への挿入に向けて位置付けされることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項10】
前記コレクタ・トロリー又はその取付物は、水平方向に、前記腕部(A、A’)に弾性的に取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項11】
前記電流コレクタ(AB、AB’)は、前記車両の電子機器に、前記アーム(A、A’)の少なくとも1点に締結されているか又はそこから吊り下げられている可撓性ケーブル(K)によって接続されていることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項12】
前記コレクタ・トロリー(W’)の前記走行ローラー(AB’R)は、凹状の滑り面を有し、具体的にはディアボロローラーであることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項13】
前記コレクタ・トロリー(W’)は、互いから距離を空けて平行に配設されている少なくとも2つの垂直案内(W’VF)であって、前記腕部(A’)の先端部(A’K)に回転可能に配設されている少なくとも2つ、具体的には3つ又は4つの走行ローラー(A’KR)が各々の滑り面を押し当てて支持される垂直案内(W’VF)、具体的には円形断面のロッドを有していることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の電流コレクタシステムを有する車両において、前記車両は、当該車両を前記走行線(T)から独立して動かせるようにしている駆動機構を有しており、前記駆動機構は、前記車両の中又は上に設置されているエネルギー貯蔵手段から給電される電気的駆動機構であるか、又は燃料により駆動される駆動機構であり、前記車両は、前記コレクタ・トロリー(W)によって前記導体バー(S)と接触しているときは、電気モーターを用いて駆動することができることを特徴とする車両。
【請求項15】
前記車両はハイブリッド駆動機構を有していることを特徴とする、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
動かすことができる少なくとも1つの車両、具体的には請求項1乃至15の何れか1項に記載の車両の走行経路に沿って配設されている、電気エネルギー及び/又はデータを伝送するための少なくとも1つの導体バー(S)を有する走行線(T)であって、少なくとも1つの導体バー(S)とコレクタ・トロリー(W)用の少なくとも1つの支持用レール(TR)が前記走行線に沿って配設されており、前記コレクタ・トロリー(W)の少なくとも1つの電流コレクタ(AB)は、関連付けられている導体バー(S)と接点を作ることができる、走行線(T)において、前記コレクタ・トロリー(W)用の少なくとも1つの位置付け及び挿入用装置(PE)を有していることを特徴とする、走行線(T)。
【請求項17】
前記位置付け及び挿入用装置(PE)は、前記コレクタ・トロリー(W)を水平方向に前記導体バー(S)に対して位置付けするための、具体的には物理的接点用の板の形態をした位置付け手段(P)を有していることを特徴とする、請求項16に記載の走行線(T)。
【請求項18】
前記位置付け及び挿入用装置(PE)は、上向きに傾斜を成して前記少なくとも1つの支持用レール(TR)の方向に延びていて、前記コレクタ・トロリー(W)がその上を動くことができる、少なくとも1つの挿入支持用レール(ETR)を有していることを特徴とする、請求項16又は17に記載の走行線(T)。
【請求項19】
前記コレクタ・トロリー(W)を上昇させるのに使用されている2つの挿入支持用レール(ETR)が、互いに平行に配設されていることを特徴とする、請求項18に記載の走行線(T)。
【請求項20】
前記挿入支持用レール(ETR)の前記滑り面(LETR)は、支持用レール、より厳密にいえばその滑り面(LTR)に、その上端で、具体的には如何なるずれも無しに隣接していることを特徴とする、請求項18又は19に記載の走行線(T)。
【請求項21】
前記挿入支持用レール(ETR)の前記滑り面(LETR)は、具体的には三角形に形成されている板の鍔により形成されていることを特徴とする、請求項16乃至20の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項22】
互いに平行に配設されている少なくとも2つの挿入支持用レール(ETR)は、前記コレクタ・トロリー(W)用の案内用漏斗を形成していることを特徴とする、請求項16乃至21の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項23】
それぞれの走行線は、片側又は両側に、平行に互いから距離を空けられ、具体的には上下に重ねて配設されていて、前記電流コレクタ・トロリー(W、W’)用の走行及び案内用レールとして働く2つの支持用レール(TR、T’R)を有しており、前記支持用レール(TR、T’R)は管により形成されていることを特徴とする、請求項16乃至22の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項24】
走行線(T)、具体的には請求項1乃至23の何れか1項に記載の走行線(T)と、前記走行線に沿って動かすことのできる車両、具体的には請求項1乃至23の何れか1項に記載の車両と、を使用している電流及び/又はデータ伝送システムにおいて、前記車両は、当該車両を前記走行線(T)から独立して動かせるようにしている第1の駆動機構を有しており、その場合、前記第1の駆動機構は、前記車両上に設置されているエネルギー貯蔵手段から給電される電気的駆動機構であってもよいし、又は燃料駆動式の駆動機構であり、前記車両は、前記コレクタ・トロリー(W)によって前記導体バー(S)と接触しているときは、前記第1の駆動機構としてもよい電気モーターを用いて駆動することができる、電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項25】
前記車両はハイブリッド駆動機構を有していることを特徴とする、請求項24に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項26】
前記車両は、電気接続を作るために水平方向に動かす及び/又は伸展させることができる腕部(A)を有しており、前記コレクタ・トロリー(W)は、前記腕部(A)に、垂直方向に変位可能となるように取り付けられていることを特徴とする、請求項24又は25に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項27】
前記コレクタ・トロリー(W)の少なくとも1つの電流コレクタ(AB)は、具体的には案内用V字形又は漏斗の形態をした位置付け及び挿入用装置(PE)によって、前記走行線(T)側の導体バー(S)へ挿入することができることを特徴とする、請求項26に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項1】
車両、具体的にはコンテナ段積みクレーンに締結するための電流コレクタシステムであって、前記車両は走行線(T、T’)に沿って動かすことができ、前記走行線には少なくとも1つの導体バー(S、S’)が配設されており、前記電流コレクタシステムは少なくとも1つの電流コレクタ(AB、AB’)を有するコレクタ・トロリー(W、W’)を有し、前記少なくとも1つの電流コレクタ(AB、AB’)は導体バー(S、S’)に接触させることができる、電流コレクタシステムにおいて、前記電流コレクタシステムの前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、具体的には少なくとも1つの案内(F、F’)によって、垂直方向に自由に変位可能となるように、取り付けられていることを特徴とする、電流コレクタシステム。
【請求項2】
前記案内(F)は、腕部(A)の一端、具体的には入れ子式腕部の自由端か、又は前記コレクタ・トロリー(W、W’)自体に配設されており、前記腕部(A、A’)は、前記車両に締結されているか又は締結することができることを特徴とする、請求項1に記載の電流コレクタシステム。
【請求項3】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、駆動機構(AN)によって水平方向に調節することができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電流コレクタシステム。
【請求項4】
前記入れ子式腕部(A、A’)は、駆動機構(AN)によって伸展及び収縮させることができることを特徴とする、請求項3に記載の電流コレクタシステム。
【請求項5】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、動く際、前記走行線(T、T’)に配設されている、具体的には支持用レール(TR、TR’)の形態をした少なくとも1つの案内によって、前記走行線(T、T’)に対して所定位置に保持されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の電流コレクタシステム。
【請求項6】
前記コレクタ・トロリー(W)用の軸受けは、少なくとも1つの垂直ロッド(ST、W’VF)によって形成されており、前記少なくとも1つの垂直ロッド(ST、W’VF)が、前記コレクタ・トロリー(W、W’)に締結されていて、前記車両、具体的にはその前記腕部(A、A’)に変位可能に取り付けられているか、又は少なくとも1つの垂直ロッド(ST)が、前記車両、具体的にはその前記腕部に締結されていて、当該腕部に前記コレクタ・トロリー(W)が変位可能に取り付けられているかの何れかであることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項7】
前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、前記少なくとも1つの支持用レール(TR、TR’)及び前記走行線(T、T’)に属する位置付け及び挿入用装置(PE、PE’)の少なくとも挿入支持用レール(ETR、ETR’)上を転がる少なくとも1つの走行ローラー(ABR、AB’R)を有していることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項8】
前記コレクタ・トロリー(W)は、前記電流コレクタ(AB、AB’)が弾性的に取り付けられている筺体(G)又は枠(W’R)を有し、少なくとも1つのロッド(ST、W’VF)は、前記筺体(G)又は枠(W’R)に、締結されているか又は垂直方向に変位可能となるように取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項9】
前記腕部(A)及び/又は前記コレクタ・トロリー(W、W’)には、物理的接点を作るための、具体的には圧力印加式ローラーの形態をした、少なくとも1つの部品(AT、AT’)が配設されており、前記少なくとも1つの部品(AT、AT’)は、前記コレクタ・トロリー(W、W’)の水平方向運動により、走行線(T、T’)に属する位置付け手段(P、PR’H)、具体的には物理的接点用の板と、物理的接触状態に入ることができ、前記コレクタ・トロリー(W、W’)は、前記位置付け手段(P、PR’H)と物理的接触状態に入ったとき、水平方向に、前記少なくとも1つの導体バー(S、S’)への挿入に向けて位置付けされることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項10】
前記コレクタ・トロリー又はその取付物は、水平方向に、前記腕部(A、A’)に弾性的に取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項11】
前記電流コレクタ(AB、AB’)は、前記車両の電子機器に、前記アーム(A、A’)の少なくとも1点に締結されているか又はそこから吊り下げられている可撓性ケーブル(K)によって接続されていることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項12】
前記コレクタ・トロリー(W’)の前記走行ローラー(AB’R)は、凹状の滑り面を有し、具体的にはディアボロローラーであることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項13】
前記コレクタ・トロリー(W’)は、互いから距離を空けて平行に配設されている少なくとも2つの垂直案内(W’VF)であって、前記腕部(A’)の先端部(A’K)に回転可能に配設されている少なくとも2つ、具体的には3つ又は4つの走行ローラー(A’KR)が各々の滑り面を押し当てて支持される垂直案内(W’VF)、具体的には円形断面のロッドを有していることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか1項に記載の電流コレクタシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の電流コレクタシステムを有する車両において、前記車両は、当該車両を前記走行線(T)から独立して動かせるようにしている駆動機構を有しており、前記駆動機構は、前記車両の中又は上に設置されているエネルギー貯蔵手段から給電される電気的駆動機構であるか、又は燃料により駆動される駆動機構であり、前記車両は、前記コレクタ・トロリー(W)によって前記導体バー(S)と接触しているときは、電気モーターを用いて駆動することができることを特徴とする車両。
【請求項15】
前記車両はハイブリッド駆動機構を有していることを特徴とする、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
動かすことができる少なくとも1つの車両、具体的には請求項1乃至15の何れか1項に記載の車両の走行経路に沿って配設されている、電気エネルギー及び/又はデータを伝送するための少なくとも1つの導体バー(S)を有する走行線(T)であって、少なくとも1つの導体バー(S)とコレクタ・トロリー(W)用の少なくとも1つの支持用レール(TR)が前記走行線に沿って配設されており、前記コレクタ・トロリー(W)の少なくとも1つの電流コレクタ(AB)は、関連付けられている導体バー(S)と接点を作ることができる、走行線(T)において、前記コレクタ・トロリー(W)用の少なくとも1つの位置付け及び挿入用装置(PE)を有していることを特徴とする、走行線(T)。
【請求項17】
前記位置付け及び挿入用装置(PE)は、前記コレクタ・トロリー(W)を水平方向に前記導体バー(S)に対して位置付けするための、具体的には物理的接点用の板の形態をした位置付け手段(P)を有していることを特徴とする、請求項16に記載の走行線(T)。
【請求項18】
前記位置付け及び挿入用装置(PE)は、上向きに傾斜を成して前記少なくとも1つの支持用レール(TR)の方向に延びていて、前記コレクタ・トロリー(W)がその上を動くことができる、少なくとも1つの挿入支持用レール(ETR)を有していることを特徴とする、請求項16又は17に記載の走行線(T)。
【請求項19】
前記コレクタ・トロリー(W)を上昇させるのに使用されている2つの挿入支持用レール(ETR)が、互いに平行に配設されていることを特徴とする、請求項18に記載の走行線(T)。
【請求項20】
前記挿入支持用レール(ETR)の前記滑り面(LETR)は、支持用レール、より厳密にいえばその滑り面(LTR)に、その上端で、具体的には如何なるずれも無しに隣接していることを特徴とする、請求項18又は19に記載の走行線(T)。
【請求項21】
前記挿入支持用レール(ETR)の前記滑り面(LETR)は、具体的には三角形に形成されている板の鍔により形成されていることを特徴とする、請求項16乃至20の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項22】
互いに平行に配設されている少なくとも2つの挿入支持用レール(ETR)は、前記コレクタ・トロリー(W)用の案内用漏斗を形成していることを特徴とする、請求項16乃至21の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項23】
それぞれの走行線は、片側又は両側に、平行に互いから距離を空けられ、具体的には上下に重ねて配設されていて、前記電流コレクタ・トロリー(W、W’)用の走行及び案内用レールとして働く2つの支持用レール(TR、T’R)を有しており、前記支持用レール(TR、T’R)は管により形成されていることを特徴とする、請求項16乃至22の何れか1項に記載の走行線(T)。
【請求項24】
走行線(T)、具体的には請求項1乃至23の何れか1項に記載の走行線(T)と、前記走行線に沿って動かすことのできる車両、具体的には請求項1乃至23の何れか1項に記載の車両と、を使用している電流及び/又はデータ伝送システムにおいて、前記車両は、当該車両を前記走行線(T)から独立して動かせるようにしている第1の駆動機構を有しており、その場合、前記第1の駆動機構は、前記車両上に設置されているエネルギー貯蔵手段から給電される電気的駆動機構であってもよいし、又は燃料駆動式の駆動機構であり、前記車両は、前記コレクタ・トロリー(W)によって前記導体バー(S)と接触しているときは、前記第1の駆動機構としてもよい電気モーターを用いて駆動することができる、電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項25】
前記車両はハイブリッド駆動機構を有していることを特徴とする、請求項24に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項26】
前記車両は、電気接続を作るために水平方向に動かす及び/又は伸展させることができる腕部(A)を有しており、前記コレクタ・トロリー(W)は、前記腕部(A)に、垂直方向に変位可能となるように取り付けられていることを特徴とする、請求項24又は25に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【請求項27】
前記コレクタ・トロリー(W)の少なくとも1つの電流コレクタ(AB)は、具体的には案内用V字形又は漏斗の形態をした位置付け及び挿入用装置(PE)によって、前記走行線(T)側の導体バー(S)へ挿入することができることを特徴とする、請求項26に記載の電流及び/又はデータ伝送システム。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−508678(P2012−508678A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535927(P2011−535927)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008179
【国際公開番号】WO2010/054852
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511117037)パウル・ファーレ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー (1)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008179
【国際公開番号】WO2010/054852
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511117037)パウル・ファーレ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー (1)
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