説明

車両用の情報通信装置

【課題】コントローラと電子制御ユニットとの間が通信線で接続されていなくても、コントローラから電子制御ユニットに情報を伝達できる、車両用の情報通信装置を提供する。
【解決手段】車両1は、オルタネータ2が出力する電力でバッテリ3が充電される電源システム4を備えている。オルタネータ2からバッテリ3への電力の供給経路上には、バッテリ3に供給される電圧を調整するための電圧調整器5が設けられている。この電圧調整器5における電圧の調整により、電圧調整器5からバッテリ3に向けて出力される電圧は、通常、ほぼ一定で変動しない。オルタネータ2および電圧調整器5を制御するコントローラ6からその制御についての情報を電子制御ユニット8に伝達すべきときには、コントローラ6により、電圧調整器5が制御されて、電圧調整器5からバッテリ3に供給される電圧波形にその情報が重畳される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルタネータなどの発電機が出力する電力でバッテリなどの蓄電デバイスが充電されるシステムを備える車両用の情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、たとえば、オルタネータおよびバッテリを含む電源システムが備えられている。オルタネータは、エンジンなどから動力(運動エネルギー)を受け、その動力から電力(電気エネルギー)を発電する。オルタネータで発電された電力は、DC/DCコンバータで適当な電圧に調整されて、バッテリに供給される。これにより、バッテリの充電が達成される。
【0003】
このような電源システムには、DC/DCコンバータなどを制御するコントローラが備えられている。たとえば、コントローラがDC/DCコンバータを制御することにより、バッテリへの電力の供給が制御される。
【0004】
コントローラは、自動車に備えられているECU(電子制御ユニット)と通信可能に接続されている。そして、オルタネータでの発電状態などの情報がコントローラからECUに入力され、ECUは、その入力される情報に基づいて、たとえば、エンジンにおける燃料噴射量や燃料噴射タイミングなどを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−194438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、コントローラとECUとを接続する通信線の切断などの不具合が生じると、コントローラからECUに情報が入力されないため、ECUによる制御が不安定または不能になるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、コントローラと電子制御ユニットとの間が通信線で接続されていなくても、コントローラから電子制御ユニットに情報を伝達できる、車両用の情報通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る情報通信装置が備えられる車両は、発電機と、電力を蓄える蓄電デバイスと、前記発電機から前記蓄電デバイスへの電力の供給経路上に設けられ、前記蓄電デバイスに供給される電圧を調整するための電圧調整器と、前記発電機および前記電圧調整器を制御するコントローラと、前記コントローラによる制御についての情報に基づく制御を実行する電子制御ユニットとを備える。そして、前記情報通信装置は、前記コントローラに設けられ、前記電圧調整器を制御して、前記蓄電デバイスに供給される電圧波形に前記情報を重畳させる情報重畳手段と、前記電子制御ユニットに設けられ、前記電圧調整器から前記蓄電デバイスに供給される電圧をアナログ信号として、当該アナログ信号から前記情報を取得する情報取得手段とを含む。
【0009】
車両には、発電機が出力する電力で蓄電デバイスが充電されるシステムが備えられている。発電機から蓄電デバイスへの電力の供給経路上には、蓄電デバイスに供給される電圧を調整するための電圧調整器が設けられている。この電圧調整器における電圧の調整により、電圧調整器から蓄電デバイスに向けて出力される電圧は、通常、ほぼ一定で変動しない。
【0010】
発電機および電圧調整器を制御するコントローラからその制御についての情報を電子制御ユニットに伝達すべきときには、コントローラに設けられた情報重畳手段により、電圧調整器が制御されて、電圧調整器から蓄電デバイスに供給される電圧波形にその情報が重畳される。具体的には、電子制御ユニットに伝達すべき情報に基づいて、電圧調整器から出力される電圧が相対的に高い第1電圧と相対的に低い第2電圧とに変更される。電子制御ユニットには、その第1電圧と第2電圧との間で変動する電圧がアナログ信号として入力される。電子制御ユニットに設けられた情報取得手段は、アナログ信号のA/D変換によって情報を取得する。そして、電子制御ユニットは、その取得した情報に基づいた制御を実行する。
【0011】
このように、コントローラと電子制御ユニットとの間が通信線で接続されていなくても、コントローラから電子制御ユニットに情報を伝達することができる。
【0012】
また、電圧波形への情報の重畳(電圧の変動)は、電圧調整器を制御することにより達成されるので、その重畳のための専用の機器を必要としない。よって、通信機能の追加によるコストアップを抑制することができる。
【0013】
コントローラによる制御についての情報(コントローラから電子制御ユニットに伝達される情報)としては、発電機の制御についての情報、電圧調整器の制御についての情報、発電機から電圧調整器に入力される電圧値などを例示することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電圧調整器から蓄電デバイスに供給される電圧波形に情報が重畳され、電子制御ユニットにおいて、その電圧波形から情報が取得されることにより、コントローラと電子制御ユニットとの間が通信線で接続されていなくても、コントローラから電子制御ユニットに情報を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る情報通信装置が備えられる車両の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、通信開始に先立って電圧調整器から出力される電圧波形を示す図である。
【図3】図3は、電圧調整器からの通信の開始を判断するための通信開始処理のフローチャートである。
【図4】図4は、電圧調整器からの入力電圧の変化(波形)から情報を取得する情報取得処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報通信装置が備えられる車両の要部の構成を示すブロック図である。
【0018】
車両1は、たとえば、エンジンを動力源とする自動車であり、オルタネータ2が出力する電力でバッテリ3が充電される電源システム4を備えている。オルタネータ2のロータにエンジンからの動力が伝達されて、ロータが回転すると、オルタネータ2のステータに設けられたコイルに電磁誘導による三相交流電流が流れる。オルタネータ2には、レクチファイアが内蔵されている。レクチファイアで三相交流電流が直流電流に変換され、直流電流がレクチファイアからバッテリ3に向けて出力される。
【0019】
電源システム4にはさらに、電圧調整器5およびコントローラ6が含まれる。
【0020】
電圧調整器5は、DC/DCコンバータを備え、オルタネータ2からバッテリ3への電力の供給経路上に設けられている。
【0021】
コントローラ6は、マイクロコンピュータからなる。コントローラ6には、オルタネータ2の出力電流値および出力電圧値などが入力されるようになっている。コントローラ6は、その入力されるオルタネータ2の出力電流値および出力電圧値などに基づいて、オルタネータ2の発電を制御し、また、電圧調整器5を制御して、電圧調整器5から出力される電圧(直流電圧)を調整する。電圧調整器5から出力される電圧は、通常時には、バッテリ3の充電に適した充電電圧(たとえば、12V)に調整される。
【0022】
また、車両1には、マイクロコンピュータ(マイコン)7を含む構成の電子制御ユニット(ECU)8が備えられている。電子制御ユニット8のマイクロコンピュータ7は、電源システム4のコントローラ6から伝達される情報に基づいて、たとえば、エンジンにおける燃料噴射量や燃料噴射タイミングなどを制御する。コントローラ6からマイクロコンピュータ7に伝達される情報としては、たとえば、オルタネータ2の出力電流値および出力電圧値を例示することができる。
【0023】
コントローラ6からマイクロコンピュータ7に情報を伝達するために、マイクロコンピュータ7には、電圧調整器5から出力される電圧がアナログ信号として入力されるようになっている。そして、マイクロコンピュータ7には、情報取得部71がプログラム処理によってソフトウエア的に実現される機能処理部として設けられている。情報取得部71は、アナログ信号のA/D変換によって情報を取得する。
【0024】
電源システム4のコントローラ6には、情報重畳部61がプログラム処理によってソフトウエア的に実現される機能処理部として設けられている。マイクロコンピュータ7に情報を伝達すべきときには、情報重畳部61は、電圧調整器5を制御して、その情報を電圧調整器5から出力される電圧波形に重畳させる。具体的には、情報重畳部61は、マイクロコンピュータ7に伝達すべき情報に基づいて、電圧調整器5を制御して、たとえば、電圧調整器5から出力される電圧を相対的に高い第1電圧である14Vと相対的に低い第2電圧である12Vとに変動させる。そして、マイクロコンピュータ7では、その入力される電圧波形に重畳されている情報が取得される(読み取られる)。
【0025】
図2は、通信開始に先立って電圧調整器から出力される電圧波形を示す図である。
【0026】
電圧調整器5から電子制御ユニット8のマイクロコンピュータ7に情報が伝達(通信)されるときには、その情報の伝達に先立ち、コントローラ6の情報重畳部61によって電圧調整器5が制御されて、図2に示される波形の電圧が電圧調整器5から出力される。
【0027】
まず、電圧調整器5の出力電圧が充電電圧である12Vから14Vに瞬時に上げられる(時刻T1)。その後、予め定める時間T1−T2(たとえば、10秒間)にわたって、電圧調整器5の出力電圧が14Vに維持される。
【0028】
次いで、予め定める時間T2−T3(たとえば、1秒間)をかけて、電圧調整器5の出力電圧が14Vから12Vまで単調に下げられる。
【0029】
電圧調整器5の出力電圧が12Vまで低下すると、電圧調整器5の出力電圧が12Vから14Vに瞬時に上げられる(時刻T3)。その後、予め定める時間T3−T4(たとえば、2秒間)にわたって、電圧調整器5の出力電圧が14Vに維持される。
【0030】
つづいて、予め定める時間T4−T5(たとえば、1秒間)をかけて、電圧調整器5の出力電圧が14Vから12Vまで単調に下げられる。
【0031】
電圧調整器5の出力電圧が12Vまで低下すると、電圧調整器5の出力電圧が12Vから14Vに瞬時に上げられる(時刻T5)。そして、予め定める時間T5−T6(たとえば、2秒間)にわたって、電圧調整器5の出力電圧が14Vに維持される。
【0032】
その後、予め定める時間T6−T7(たとえば、1秒間)をかけて、電圧調整器5の出力電圧が14Vから12Vまで単調に下げられる。
【0033】
電圧調整器5の出力電圧が12Vまで低下すると、電圧調整器5の出力電圧が12Vから14Vに瞬時に上げられる(時刻T7)。その後は、電圧調整器5から情報が重畳された波形の電圧が出力される。
【0034】
図3は、電圧調整器からの通信の開始を判断するための通信開始処理のフローチャートである。
【0035】
電圧調整器5から充電電圧が出力されている間、電子制御ユニット8のマイクロコンピュータ7の情報取得部71により、図3に示される通信開始処理が繰り返し実行される。
【0036】
通信開始処理では、まず、13.5V以上14.5V以下の入力電圧(電圧調整器5の出力電圧)Vinが10秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されているか否かが判断される(ステップS1)。マイクロコンピュータ7への入力電圧Vinは、予め定める読込周期(たとえば、64ms)で取得される。
【0037】
マイクロコンピュータ7に13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが10秒間以上継続して入力されるまで、通信開始処理は、次のステップS2へ進まない。
【0038】
マイクロコンピュータ7に13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが10秒間以上継続して入力されると、次に、入力電圧Vinが14.5V以下であり、新たに取得された入力電圧Vinが前回取得された入力電圧Vinから0.1〜0.15V低下しているか否かが調べられ、低下していれば、その低下が12回連続するか否かが調べられる(ステップS2)。
【0039】
入力電圧Vinの0.1〜0.15Vの低下が12回連続しなかった場合(ステップS2のNO)、電圧調整器5からの通信開始ではないと判断されて、13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが10秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されているか否かが再び判断される(ステップS1)。
【0040】
入力電圧Vinの0.1〜0.15Vの低下が12回連続した場合には(ステップS2のYES)、11.5V以上12.5V以下の入力電圧Vinが1秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されるか否かが調べられる(ステップS3)。
【0041】
11.5V以上12.5V以下の入力電圧Vinの入力が1秒間以上継続しなかった場合(ステップS3のNO)、電圧調整器5からの通信開始ではないと判断されて、13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが10秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されているか否かが再び判断される(ステップS1)。
【0042】
11.5V以上12.5V以下の入力電圧Vinの入力が1秒間以上継続すると(ステップS3のYES)、その後、13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが1秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されるか否かが調べられる(ステップS4)。
【0043】
13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinの入力が1秒間以上継続しなかった場合(ステップS4のNO)、電圧調整器5からの通信開始ではないと判断されて、13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinが10秒間以上継続してマイクロコンピュータ7に入力されているか否かが再び判断される(ステップS1)。
【0044】
13.5V以上14.5V以下の入力電圧Vinの入力が1秒間以上継続すると(ステップS4のYES)、カウンタNの値がインクリメント(+1)される(ステップS5)。カウンタNの値は、ステップS1の判断が行われる度に0にリセットされる。
【0045】
その後、カウンタNの値が3であるか否かが判断される(ステップS6)。
【0046】
カウンタNの値が3でなければ(ステップS6のNO)、ステップS2に戻り、入力電圧Vinの0.1〜0.15Vの低下が12回連続するか否かが再び調べられる。
【0047】
こうして、ステップS2〜S6が繰り返されて、カウンタNの値が3になると(ステップS6のYES)、電圧調整器5からの通信が開始されると判断されて、この通信開始処理が終了する。すなわち、カウンタNの値が3になると、マイクロコンピュータ7の情報取得部71は、電圧調整器5から図2に示される波形の電圧が入力されたと判断して、この通信開始処理を終了する。
【0048】
図4は、電圧調整器からの入力電圧の変化(波形)から情報を取得する情報取得処理のフローチャートである。
【0049】
電圧調整器5からの通信開始が判断されると、電子制御ユニット8のマイクロコンピュータ7の情報取得部71により、図4に示される情報取得処理が開始される。
【0050】
情報取得処理の実行中は、入力電圧Vinが取得される度に、その入力電圧Vinに対応するデータ値Dが1であるか0であるかが判定される。すなわち、入力電圧Vinが13V以上14.5V以下であれば、入力電圧Vinに対応するデータ値Dが1(ハイレベル)であると判定される。また、入力電圧Vinが11.5V以上13V未満であれば、入力電圧Vinに対応するデータ値Dが0(ローレベル)であると判定される。
【0051】
情報取得処理では、電圧調整器5からの通信の開始後、同じ値のデータ値Dが5連続して取得された否かが判断される(ステップS11)。言い換えれば、通信開始後に連続して取得された5つのデータ値Dがすべて同値であったか否かが判断される。
【0052】
通信開始後に連続して取得された5つのデータ値Dが同値でない場合(ステップS11のNO)、電圧調整器5からの通信が終了であると判断されて(ステップS17)、何らの情報の取得されないまま、この情報取得処理が終了する。
【0053】
通信開始後に連続して取得された5つのデータ値Dがすべて同値であれば(ステップS11のYES)、その5連続で同値であるデータ値Dがマイクロコンピュータ7のRAMに記憶される(ステップS12)。
【0054】
データ値DのRAMへの記憶後、データ値Dが7回連続で取得される(ステップS13)。
【0055】
そして、7回連続で取得されたデータ値Dが調べられて、7回連続でデータ値Dが取得されるうちに、データ値Dの0から1への変化または1から0への変化が2回以上あったか否かが判断される(ステップS14)。
【0056】
当該変化が2回以上あった場合(ステップS14のYES)、電圧調整器5からの通信が終了であると判断されて(ステップS17)、この情報取得処理が終了する。
【0057】
一方、データ値Dの0から1への変化または1から0への変化が2回未満である場合(ステップS14のNO)、7回連続で取得されたデータ値Dのうち、後半の4回で取得されたデータ値Dが同値であったか否かが調べられる(ステップS15)。
【0058】
後半4回で取得されたデータ値Dのうちの1つでもその他のデータ値Dと異なる値である場合には(ステップS15のNO)、電圧調整器5からの通信が終了であると判断されて(ステップS17)、この情報取得処理が終了する。
【0059】
後半4回で取得されたデータ値Dが同値であれば(ステップS15のYES)、その4連続で同値であるデータ値Dがマイクロコンピュータ7のRAMに記憶される(ステップS16)。データ値DのRAMへの記憶後、データ値Dが7回連続で取得される(ステップS13)。そして、前述のステップS13以降の処理が繰り返される。
【0060】
これにより、マイクロコンピュータ7のRAMには、5連続で同値であったデータ値Dが書き込まれた後、電圧調整器5からの通信が終了であると判断されるまで、7回連続で取得されたデータ値Dのうちの後半の4連続で同値であるデータ値Dが順次書き込まれる。その結果、マイクロコンピュータ7のRAMに、1または複数ビットのデジタルデータが格納されて、電圧調整器5からの情報の受信(電圧波形からの情報の取得)が達成される。
【0061】
以上のように、車両1は、オルタネータ2が出力する電力でバッテリ3が充電される電源システム4を備えている。オルタネータ2からバッテリ3への電力の供給経路上には、バッテリ3に供給される電圧を調整するための電圧調整器5が設けられている。この電圧調整器5における電圧の調整により、電圧調整器5からバッテリ3に向けて出力される電圧は、通常、ほぼ一定で変動しない。
【0062】
オルタネータ2および電圧調整器5を制御するコントローラ6からその制御についての情報を電子制御ユニット8に伝達すべきときには、コントローラ6の情報重畳部61により、電圧調整器5が制御されて、電圧調整器5からバッテリ3に供給される電圧波形にその情報が重畳される。具体的には、電子制御ユニット8に伝達すべき情報に基づいて、電圧調整器5から出力される電圧が相対的に高い第1電圧と相対的に低い第2電圧とに変更される。そして、電子制御ユニット8のマイクロコンピュータ7には、その第1電圧と第2電圧との間で変動する電圧がアナログ信号として入力される。マイクロコンピュータ7の情報取得部71は、アナログ信号のA/D変換によって情報を取得し、その取得した情報に基づいた制御を実行する。
【0063】
このように、コントローラ6と電子制御ユニット8との間が通信線で接続されていなくても、コントローラ6から電子制御ユニット8に情報を伝達することができる。
【0064】
また、電圧波形への情報の重畳(電圧の変動)は、電圧調整器5を制御することにより達成されるので、その重畳のための専用の機器を必要としない。よって、通信機能の追加によるコストアップを抑制することができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の実施形態で実施することもできる。
【0066】
たとえば、発電機は、オルタネータ2に限らず、モータとしての機能とジェネレータ(発電機)としての機能との両方を有するモータジェネレータであってもよい。
【0067】
また、蓄電デバイスは、バッテリ3に限らず、キャパシタであってもよい。
【0068】
さらにまた、相対的に高い第1電圧が14Vであり、相対的に低い第2電圧が12Vであるとしたが、これらの数値は単なる一例であり、第1電圧および第2電圧は、電圧調整器5が出力可能な電圧の範囲内で適宜設定されるとよい。
【0069】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
2 オルタネータ(発電機)
3 バッテリ(蓄電デバイス)
5 電圧調整器
6 コントローラ
7 マイクロコンピュータ
8 電子制御ユニット
61 情報重畳部(情報重畳手段)
71 情報取得部(情報取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、電力を蓄える蓄電デバイスと、前記発電機から前記蓄電デバイスへの電力の供給経路上に設けられ、前記蓄電デバイスに供給される電圧を調整するための電圧調整器と、前記発電機および前記電圧調整器を制御するコントローラと、前記コントローラによる制御についての情報に基づく制御を実行する電子制御ユニットとを備える車両用の情報通信装置であって、
前記コントローラに設けられ、前記電圧調整器を制御して、前記蓄電デバイスに供給される電圧波形に前記情報を重畳させる情報重畳手段と、
前記電子制御ユニットに設けられ、前記電圧調整器から前記蓄電デバイスに供給される電圧をアナログ信号として、当該アナログ信号から前記情報を取得する情報取得手段とを含む、車両用の情報通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71529(P2013−71529A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210842(P2011−210842)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)