説明

車両用の操作入力装置及び制御システム

【課題】車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッドを採用した場合でも、誤って機能実行の決定が行われてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることを可能にする。
【解決手段】操作制御部3が、車速センサ2のセンサ信号をもとに車両が走行中か否かを判定するとともに、車載装置に機能の実行を指示するための機能アイコンやボタンを決定する決定操作として、車両が走行中か否かによって異なる種類の操作を割り当てて記憶している。そして、操作制御部3は、車両が停車中と判定したときには、停車中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッド1で検出された場合に、決定操作が行われたと判定する一方、車両が走行中と判定したときには、走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッド1で検出された場合に、決定操作が行われたと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の操作入力装置及びこの車両用の操作入力装置を含む制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、PC(personal computer)の操作デバイスとして、特許文献1に開示されているようなタッチパッド(touchpad)と呼ばれるポインティングデバイスが知られている。タッチパッドでは、平板状のセンサが埋め込まれたパッドを指でなぞることで表示装置の画面上の位置や方向を指示し、画面上のアイコンを指定したりすることができる。なお、タッチパッドに用いられるセンサとしては、静電容量式のものや感圧式のものが知られている。
【0003】
タッチパッドでは、例えばタップ操作(パッドに指を接触させた後、短時間のうちに指を離す操作)のような特定のジェスチャによって、機能を実行させるアイコンを決定し、そのアイコンの示す機能を実行させることもできる。タッチパッドでは、このような決定操作として、1種類の操作のみが割り当てられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−244585号公報
【特許文献2】特開2009−255609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タッチパッドを車載装置の制御システムにおける入力装置として用いるとすると、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生する可能性が高い。詳しくは、以下の通りである。タッチパッドを車載装置の制御システムにおける操作デバイスとして用いると、車両走行時の振動などによって、ユーザがパッドに触れる意図がないにも関わらず触れてしまったり、パッドから指を離す意図がないにも関わらず指が離れてしまったりする状況が発生する可能性が高い。また、このようにユーザの意図に反した操作がなされてしまうことによって、誤って決定操作を受け付けてしまう状況も発生する。一例としては、タップ操作を決定操作として用いる場合には、車両の振動によって一瞬だけパッドに触れてしまったことを、タップ操作が行われたものとタッチパッドが検出して、決定操作を受け付けてしまう状況が発生してしまう。
【0006】
このように誤って決定操作を受け付けてしまうと、ユーザにとってのタッチパッドの操作性が悪化してしまう。また、このように誤って決定操作を受け付けてしまうと、目的としていないアイコンについて決定操作を受け付けてしまうことによって、目的とするアイコンの決定操作までに時間がかかってしまい、ユーザにとっての操作性が悪化してしまう。
【0007】
そこで、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐ方法が必要となるが、タッチパッドに特有の軽快な操作感を出来る限り損なわないような方法を考案することが必要となっていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッドを採用した場合でも、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることを可能にする車両用の操作入力装置及び制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の車両用の操作入力装置においては、車両に搭載され、車両の走行状態の情報を取得する走行状態情報取得手段と、走行状態情報取得手段で取得した走行状態の情報をもとに、車両が走行中か否かを判定する走行判定手段と、車両に搭載された車載装置に機能の実行を指示するための操作用画像を、車両に設けられた表示装置に表示させる表示制御手段と、タッチパッドでのユーザによる操作の検出結果に応じて、車載装置に機能の実行を指示する操作用画像を決定する決定操作が行われたか否かを判定する第1決定操作判定手段と、決定操作として、車両が走行中か否かによって異なる種類の操作が割り当てられている操作割り当て手段とを備えることになる。そして、第1決定操作判定手段は、走行判定手段で車両が非走行中と判定したときには、操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出された場合に、決定操作が行われたと判定する一方、走行判定手段で車両が走行中であると判定したときには、操作割り当て手段で走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出された場合に、決定操作が行われたと判定することになる。
【0010】
これによれば、決定操作が行われたものと第1決定操作判定手段で判定するタッチパッドで検出される操作の種類を、車両が走行中であるか否かに応じて異ならせることができる。よって、車両が走行中の場合には、車両走行時の振動などの影響による誤操作との区別がつけ易い種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作とし、車両が非走行中の場合には、より軽快な種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作とすることが可能になる。
【0011】
その結果、車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッドを採用した場合でも、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることが可能になる。
【0012】
また、請求項2のように、操作割り当て手段は、走行中に対しての決定操作として、複数の異なる種類の操作が割り当てられている態様としてもよい。これによれば、走行中において決定操作として受け付け可能な操作が複数種類存在するので、その時々でユーザがより操作しやすい操作を選択して操作を行うことが可能になり、利便性がより向上する。また、複数種類の操作のうち、その時々の走行時の状況によって誤操作との区別がつけ難い操作が生じてしまうことがあった場合でも、誤操作との区別がつけ易い操作の方をユーザが選択して操作を行うことが可能になる。従って、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することをより防ぐことも可能になる。
【0013】
請求項3のように、タッチパッドは、圧力センサを備えることによって、ユーザによる操作強度も検出可能なものである態様としてもよい。これによれば、決定操作として受け付け可能な操作として、車両が走行中であるか否かに応じて操作強度の異なる操作を割り当てることが可能になる。例えば、走行中において決定操作として受け付け可能な操作を、非走行中の場合よりも操作強度の大きい操作とすることによって、車両走行時の振動などの影響によりユーザが意図せず軽くタッチパッドに触れてしまったような誤操作を決定操作として受け付けることがなくなる。
【0014】
請求項3のようにする場合には、請求項4のように、タッチパッドは、静電容量式センサを備えることによって、ユーザによる操作位置を検出可能であるとともに、圧力センサを備えることによって、ユーザによる操作の強度も検出可能なものである態様とすることが好ましい。
【0015】
これによれば、静電容量式センサによる操作位置の検出と圧力センサによる操作強度の検出とを併用することによって、決定操作として受け付け可能な操作を、車両の走行中と非走行中とのそれぞれについて非常に有効なものとすることが可能になる。詳しくは、以下の通りである。圧力センサを用いることで操作強度の検出が可能となるので、車両が走行中である場合に、操作強度がより大きい操作を割り当てることで、誤操作との区別をつけ易くすることができる。一方、静電容量式センサは、操作強度が小さくても良好に操作を検出することができるので、車両が非走行中である場合に、操作強度がより小さい操作を割り当てることで、操作強度がより小さい軽快な操作でも静電容量式センサによって良好に検出することが可能になる。
【0016】
請求項5のように、操作割り当て手段は、非走行中に対しての決定操作として割り当てられる操作よりも、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作を、走行中に対しての決定操作として割り当てていることが好ましい。操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作は、車両走行時の振動などの影響によりユーザが意図せず軽くタッチパッドに触れてしまったような誤操作との区別がよりつき易い操作である。従って、請求項5の構成によれば、車両が走行中の場合には、車両走行時の振動などの影響による誤操作との区別がつけ易い種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作とし、車両が非走行中の場合には、より軽快な種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作とすることができる。
【0017】
請求項6の構成においては、走行判定手段での判定結果、及び操作割り当て手段での走行中と非走行中とのそれぞれについての操作の割り当てをもとに、車両が走行中か否かに応じた、第1決定操作判定手段で決定操作が行われたと判定され得る操作を抽出する受け付け可能操作抽出手段をさらに備えることになる。そして、受け付け可能操作抽出手段で抽出した操作の操作方法を案内する画像及びテキストのうちの少なくともいずれかを、表示制御手段が表示装置に表示させることになる。
【0018】
これによれば、車両が走行中か否かに応じた、第1決定操作判定手段で決定操作が行われたと判定され得る操作の操作方法を案内する表示が行われるので、現時点において決定操作として受け付け可能な操作の操作方法の案内をユーザが受けることができる。よって、現時点において決定操作として受け付け可能な操作の操作方法を容易に認識することが可能になり、利便性が向上する。
【0019】
請求項7の構成においては、タッチパッドで操作が検出された場合であって、且つ、第1決定操作判定手段で決定操作が行われたと判定されなかった場合に、タッチパッドで検出された当該操作が、第1決定操作判定手段で決定操作が行われたと判定される操作である正解操作に近似しているか否かを判定する近似判定手段をさらに備えることになる。そして、近似判定手段で近似していると判定した場合には、近似していると判定した正解操作の操作方法を案内する画像及びテキストのうちの少なくともいずれかを、表示制御手段が表示装置に表示させることになる。
【0020】
これによれば、正解操作に該当する操作をユーザが行おうとして失敗した場合、その操作が、近似判定手段で正解操作に近似していると判定される可能性が高い。よって、正解操作に該当する操作をユーザが行おうとして失敗した場合に、正しい操作方法の案内をユーザが受けることができる可能性が高い。よって、正解操作に該当する操作をユーザが行おうとして失敗した場合に、正しい操作方法を容易に認識することが可能になり、利便性が向上する。
【0021】
請求項8の構成においては、タッチパッドが車両のドライバによって操作されたか否かを判定する操作者判定手段と、走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かによらず、操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出された場合に、車載装置に機能の実行を指示する操作用画像を決定する決定操作が行われたと判定する第2決定操作判定手段とをさらに備えることになる。そして、タッチパッドがドライバによって操作されたと操作者判定手段で判定した場合には、走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かに応じて、決定操作が行われたか否かを第1決定操作判定手段で判定することになる。
【0022】
これによれば、タッチパッドがドライバによって操作された場合には、走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かに応じて、決定操作が行われたか否かを第1決定操作判定手段で判定することで、車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッドを採用した場合でも、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることが可能になる。
【0023】
一方、タッチパッドがドライバ以外によって操作された場合には、走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かによらず、操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出されたか否かによって、決定操作が行われたか否かを第2決定操作判定手段で判定することになる。
【0024】
走行中にドライバがタッチパッドを操作する場合には、ステアリングを握っていることなどにより、誤操作がドライバ以外の乗員に比べて生じやすいものと考えられる。また、走行中のドライバは進行方向以外に視線を移しにくく、誤操作によって誤った決定操作が行われた場合にも、表示装置を見るなどして何が起こっているのかを把握することが困難であるため、誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とすることが好ましい。これに対して、ドライバ以外の乗員は、走行中においてドライバに比較して誤操作を生じにくく、誤操作が生じた場合でも容易に操作をやり直すことができる。従って、誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とする要求がより低いと言える。
【0025】
従って、請求項8の構成によれば、このように誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とする要求がより低い場合に、走行中であっても、操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作を決定操作として受け付ける操作とすることで、決定操作として受け付ける操作として、軽快な操作を優先することも可能になる。
【0026】
請求項8のようにする場合には、請求項9のように、タッチパッドは車両の運転席と助手席との間の領域に設けられるものであって、タッチパッドに対して運転席側から物体が接近したか、助手席側から物体が接近したかを検知可能な接近検知センサをさらに備え、操作者判定手段は、接近検知センサで運転席側から物体が接近したことを検出した場合に、タッチパッドがドライバによって操作されたと判定する一方、接近検知センサで助手席側から物体が接近したことを検出した場合に、タッチパッドがドライバ以外によって操作されたと判定する態様とすればよい。これによれば、タッチパッドがドライバによって操作されたか、ドライバ以外の助手席の乗員によって操作されたかを判定することができる。
【0027】
請求項10の制御システムにおいては、前記のいずれかの車両用の操作入力装置と、車両に設けられ、当該車両に搭載された車載装置に実行させることのできる機能を示した操作用画像を表示する表示装置とを含むことになる。これによれば、前記のいずれかの車両用の操作入力装置を含むので、車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッドを採用した場合でも、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】制御システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】制御システム100が設けられた車両の車室内の一例を示した図である。
【図3】決定操作として受け付ける操作として、走行中と停車中とのそれぞれの状況に割り当てられる操作の具体例を示す表である。
【図4】操作制御部3での決定操作判定処理に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【図5】ボタンの表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された制御システム100の概略的な構成を示すブロック図であり、図2は、制御システム100が設けられた車両の車室内の一例を示した図である。制御システム100では、GUI(Graphical UserInterface)を採用しており、表示装置6の画面上に車載ナビゲーション装置やカーエアコンやカーオーディオ等の車載装置の機能を示すアイコン(以下、機能アイコン)やボタン等の操作用画像(つまり、車載装置に機能の実行を指示するための操作用画像)を集約して表示するとともに、ユーザがタッチパッド1によって目的の機能を示す操作用画像を選択して決定操作を行うことで各車載装置の操作(つまり、機能の実行)を行うことが可能となっている。
【0030】
本実施形態では、車載ナビゲーション装置に制御システム100を適用した場合を例に挙げて説明を行う。図1に示す制御システム100は、車両に搭載されるものであり、タッチパッド1、車速センサ2、操作制御部3、ナビECU4、表示制御部5、及び表示装置6を含んでいる。なお、操作制御部3及び表示制御部5が請求項の車両用の操作入力装置に相当する。
【0031】
タッチパッド1は、ユーザの指によって表示装置6の画面に表示されるポインタ(カーソル)の位置を移動したり、画面上の機能アイコンやボタン等の決定操作を行ったりする操作入力を行うためのものであって、例えば運転席と助手席との間の領域(詳しくは、センターコンソールの上面の車両前方側)に配置されている。
【0032】
タッチパッド1は、平板状の周知の静電容量式センサを備えたタッチパッドであって、その操作エリアが表示装置6の画面上の座標と一対一で対応した絶対座標方式となっている。ここで、タッチパッド1は、ユーザがタッチパッド1の操作に用いる指である操作指の接触を接触箇所の静電容量の変化として捉えることで操作位置を検出し、その検出結果を操作制御部3へ出力する。
【0033】
また、タッチパッド1の操作面の背面側(つまり、静電容量式センサの下層側)には、周知の圧力センサが設けられている。タッチパッド1は、タッチパッド1の操作面に対して垂直な方向に押圧力が作用した場合に、この圧力センサによって操作面に対する押圧力を計測することで操作強度を検出し、その検出結果を操作制御部3へ出力する。タッチパッド1で検出される操作位置と操作強度とは、略同時に検出されたものを紐付けて操作制御部3へ出力する構成としてもよいし、短時間に連続して操作制御部3へ出力する構成としてもよい。
【0034】
さらに、タッチパッド1には、物体(具体的にはユーザの指)の接近を検知する近接センサ11が設けられる。近接センサ11は、タッチパッド1の静電容量式センサや圧力センサの配置されている領域の外縁に埋設等されるものとする。詳しくは、図2に示すように、タッチパッド1の運転席側の上記外縁と助手席側の上記外縁とにそれぞれ設けられる。近接センサ11は、超音波測距や赤外線測距等の方法により、タッチパッド1に対する物体の接近を検知するものとすればよい。運転席側及び助手席側の近接センサ11は、物体の接近を検知した場合に、その検知結果を操作制御部3へ出力する。なお、近接センサ11が請求項の接近検知センサに相当する。
【0035】
ナビECU4は、車載ナビゲーション装置の制御装置であって、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等よりなる公知のマイクロコンピュータを主体として構成され、入力される情報をもとに、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。
【0036】
例えば、ナビECU4は、図示しない位置検出器が検出した車両の現在位置や図示しない地図データ入力器から読み出した地図データに基づいて、ナビゲーション機能としての各種処理を実行する。一例として、本実施形態では、ナビECU4は、ナビゲーション機能以外にも、カーエアコンやカーオーディオ等の他の車載装置の制御を行う機能も有しているものとする。
【0037】
ナビECU4は、車両の車速を検出するセンサである車速センサ2のセンサ信号を取得し、操作制御部3に出力する。なお、ナビECU4は、CAN等の車載LANを介して、車速センサ2のセンサ信号を車速センサ2から直接取得する構成としてもよいし、他のECUを介して取得する構成としてもよい。
【0038】
また、ナビECU4は、実行中の機能に従った画面を表示制御部5によって表示装置6に表示させる。例えばナビECU4は、実行中の機能に従って、機能アイコンやボタンが配置(レイアウト)された画面を表示制御部5によって表示装置6に表示させるものとする。
【0039】
さらに、ナビECU4は、操作制御部3から逐次入力される操作位置の検出結果に基づいて、表示装置6の画面上のポインタの表示制御を表示制御部5に行わせる。詳しくは、操作位置の検出結果が示す位置座標に対応する表示装置6の画面上の座標位置にポインタを配置させるようにする。
【0040】
また、操作制御部3から決定操作が行われたことを示す信号が入力された場合には、表示装置6の画面上のポインタが指示する位置の機能アイコンやボタン(つまり、選択中の機能アイコンやボタン)について決定が行われたと判定し、その機能アイコンやボタンが示す機能を実行させる制御を行う。例えば、ナビゲーション画面における目的地設定ボタンについて決定が行われたと判定した場合には、目的地設定処理を開始させることになる。また、画面を遷移させる必要がある場合には、画面を遷移させることになる。なお、ナビECU4は、機能アイコンやボタンが選択中であるか否かを、機能アイコンやボタンの描画領域とポインタの位置とが重なっているか否かによって判断することができるものとする。
【0041】
表示制御部5は、ナビECU4の指示に従って表示装置6にテキストや画像を表示させるものである。なお、表示制御部5が請求項の表示制御手段に相当する。表示装置6は、テキストや画像を表示するものであり、車室内に設けられている。例えば表示装置6としては、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイを利用する構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0042】
操作制御部3は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、タッチパッド1、ナビECU4から入力される情報をもとにROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、各種の処理を実行する。
【0043】
例えば、操作制御部3は、ナビECU4から入力される車速センサ2のセンサ信号を取得し、このセンサ信号をもとに、車両が走行中か否かを判定する。詳しくは、車速センサ2のセンサ信号が所定の閾値以上であった場合に、車両が走行中であると判定し、所定の閾値未満であった場合に停車中(非走行中)と判定する。ここで言うところの所定の閾値とは、車速センサ2の検出限界に相当する値であって、実質的に車速0と言える値(例えば5km/hなど)である。なお、車速センサ2のセンサ信号が請求項の走行状態の情報に相当し、操作制御部3が請求項の走行状態情報取得手段及び走行判定手段に相当する。
【0044】
また、操作制御部3は、決定操作として受け付ける操作として、車両が走行中か否かによって異なる種類の操作を割り当てて、例えばROM等の不揮発性メモリに記憶している。よって、操作制御部3が請求項の操作割り当て手段に相当する。ここで、決定操作として受け付ける操作として、走行中と停車中とのそれぞれの状況に割り当てられる操作の具体例について、図3を用いて説明を行う。図3は、決定操作として受け付ける操作として、走行中と停車中とのそれぞれの状況に割り当てられる操作の具体例を示す表である。
【0045】
まず、走行中について割り当てられる操作の一例としては、図3に示すように、「タッチパッド1を強く押し込む操作」、「複数の指でタッチパッド1を押し込む操作(つまり、複数点を押し込む操作)」、「所定方向に長くパン又はフリックする操作」、「複数の指でタッチパッド1をタップする操作(つまり、複数点をタップする操作)」、「タッチパッド1をダブルタップする操作(つまり、ダブルタップする操作)」」がある。他にも、「タッチパッド1をタップの場合よりも長い時間押し込む操作」等がある。ここで言うところのパンとは、タッチパッド1を押したまま平行移動する操作を指しており、フリックとは、タッチパッド1を押したまま平行移動した後に指をタッチパッド1から離す操作を指している。また、タップとは、タッチパッド1を押した後の短時間に平行移動せずに指をタッチパッド1から離す操作を指しており、ダブルタップとは、タップを短時間に2度行う操作を指している。
【0046】
なお、操作制御部3では、これらのうちの1種類の操作だけを走行中について割り当てる構成としてもよいし、複数種類の操作を走行中について割り当てる構成としてもよいが、複数種類の操作を走行中について割り当てる構成がより好ましい。これは、走行中において決定操作として受け付け可能な操作が複数種類存在すると、その時々でユーザがより操作しやすい操作を選択して操作を行うことが可能になり、利便性がより向上するためである。また、複数種類の操作のうち、その時々の走行時の状況によって誤操作との区別がつけ難い操作が生じてしまうことがあった場合でも、誤操作との区別がつけ易い操作の方をユーザが選択して操作を行うことが可能になり、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することをより防ぐことも可能になるためである。
【0047】
続いて、停車中について割り当てられる操作の一例としては、図3に示すように、「タッチパッド1を軽く押し込む操作」、「所定方向に短くパン又はフリックする操作」、「1本の指でタッチパッド1をタップする操作(つまり、1点をタップする操作)」がある。なお、操作制御部3では、これらのうちの1種類の操作だけを停車中について割り当てる構成としてもよいし、複数種類の操作を停車中について割り当てる構成としてもよい。また、停車中について割り当てられる操作としては、図3に示すように、走行中について割り当てられる操作も含む構成としてもよい。
【0048】
なお、操作制御部3では、停車中に対しての決定操作として割り当てられる操作よりも、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作を、走行中に対しての決定操作として割り当てさえすれば、他の割り当てとしてもよい。ここで、操作強度とは、タッチパッド1に対する押圧力を指しており、操作回数とは、例えばタップやフリックが短時間で繰り返される回数を指している。また、操作点数とは、タッチパッド1を同時に操作する指の数、つまり、操作箇所の数を指しており、操作距離は、パンやフリックにおけるスライドの距離を指している。そして、操作時間は、タッチパッド1を押し込み続ける時間を指している。
【0049】
また、操作制御部3は、車両が走行中か停車中かに応じて、タッチパッド1で検出した操作をもとに、決定操作が行われたか否かを判定する決定操作判定処理を行う。よって、操作制御部3が請求項の第1決定操作判定手段に相当する。
【0050】
ここで、図4を用いて、操作制御部3での決定操作判定処理に関連する処理についての説明を行う。図4は、操作制御部3での決定操作判定処理に関連する処理のフローを示すフローチャートである。なお、本フローは、タッチパッド1から操作強度や操作位置の検出結果が入力されたときに開始される。
【0051】
まず、ステップS1では、タッチパッド1から操作強度や操作位置の検出結果が入力されたことをもとに、タッチパッド1に対して操作が行われたことを検出し、ステップS2に移る。
【0052】
ステップS2では、近接センサ11の検知結果をもとに、タッチパッド1に対してドライバから操作が行われたか否かを判定する。よって、操作制御部3が請求項の操作者判定手段に相当する。詳しくは、運転席側の近接センサ11のみで物体を検知した場合や助手席側の近接センサ11よりも運転席側の近接センサ11で先に物体を検知した場合に、タッチパッド1に対してドライバから操作が行われたと判定する。一方、助手側の近接センサ11のみで物体を検知した場合や運転席側の近接センサ11よりも助手席側の近接センサ11で先に物体を検知した場合に、タッチパッド1に対してドライバ以外から操作が行われたと判定する。そして、ドライバから操作が行われたと判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、ドライバ以外から操作が行われたと判定した場合(ステップS2でNO)には、ステップS5に移る。
【0053】
ステップS3では、前述したように、ナビECU4から入力される車速センサ2のセンサ信号をもとに、車両が走行中か否かを判定する。そして、車両が走行中と判定した場合(ステップS3でYES)には、ステップS4に移る。また、車両が停車中と判定した場合(ステップS3でNO)には、ステップS5に移る。
【0054】
なお、本実施形態では、車速センサ2のセンサ信号をもとに、車両が走行中か否かを判定する構成を示したが、必ずしもこれに限らず、車速センサ2のセンサ信号以外の走行状態の情報をもとに、車両が走行中か否かを判定する構成としてもよい。例えば、加速度センサのセンサ信号をもとに、前後Gや垂直Gが所定の閾値以上であるか否かによって、車両が走行中か否かを判定する構成としてもよい。
【0055】
ステップS4では、走行中に割り当てられている操作を抽出(つまり、走行時割り当て抽出)し、ステップS6に移る。ステップS5では、停車中に割り当てられている操作を抽出(つまり、停車時割り当て抽出)し、ステップS7に移る。ステップS4やステップS5では、車両が走行中か否かに応じた、決定操作が行われたと判定され得る操作を抽出する。よって、操作制御部3は、受け付け可能操作抽出手段に相当する。
【0056】
ここで、決定操作が行われたと判定され得る操作を抽出した場合に、操作制御部3が抽出した操作の情報をナビECU4に送ることによって、決定操作が行われたと判定され得る操作(つまり、決定操作として受け付け可能な全種類の操作)の操作方法をガイダンスするアイコン(以下、案内アイコン)やテキスト(以下、案内テキスト)を表示制御部5が表示装置6に表示させる構成としてもよい。これによれば、車両が走行中か否かに応じた、現時点において決定操作として受け付け可能な操作の操作方法の案内をユーザが受けることができる。よって、現時点において決定操作として受け付け可能な操作の操作方法を容易に認識することが可能になり、利便性が向上する。
【0057】
また、案内アイコンや案内テキストの画像データは、操作制御部3が保持していて、抽出した操作の情報をナビECU4に送るときに一緒に送る構成としてもよい。他にも、案内アイコンや案内テキストの画像データは、ナビECU4が保持していて、抽出した操作の情報が操作制御部3から送られてきた場合に、この抽出した操作に対応する案内アイコンや案内テキストの画像データをナビECU4で選択する構成としてもよい。
【0058】
案内アイコンの一例としては、下方向にパン又はフリックする操作の場合には、下方向を向いた矢印の形状の案内アイコンを表示させる構成とすればよく、「下方向に長くパン又はフリックする操作」の場合には、その矢印を大きくし、「下方向に短くパン又はフリックする操作」の場合には、その矢印を小さくするなどすればよい。また、「複数点をタップする操作」の場合には、2本の指を示す案内アイコンを表示させ、「1点をタップする操作」の場合には、1本の指を示す案内アイコンを表示させたりすればよい。
【0059】
また、案内アイコンや案内テキストを表示する場合には、元々の画面に重畳表示する構成としてもよいし、案内アイコンや案内テキストが合成された画面を新たに表示する構成としてもよい。
【0060】
他にも、案内アイコンを表示させる以外にも、機能アイコンやボタン自体を、操作方法を想起させるような色や形状で表示させたり、操作方法を想起させるような動きの変化をもたせて(つまり、アニメーションにして)表示させたりしてもよい。一例としては、下方向にパン又はフリックする操作の場合には、図5の中央のボタンのように下方向の矢印の形状にして表示させる構成とすればよい。また、「下方向に長くパン又はフリックする操作」の場合には、その矢印を大きくし、「下方向に短くパン又はフリックする操作」の場合には、その矢印を小さくするなどすればよい。さらに、「複数点をタップする操作」の場合には、2本の指を示す形状にして表示させ、「1点をタップする操作」の場合には、1本の指を示す形状にして表示させたりすればよい。他にも、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、操作時間のより増加している操作についてのものほど暖色系の色で表示させ、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、操作時間のより減少している操作についてのものほど冷色系の色で表示させたりしてもよい。
【0061】
図4に戻って、ステップS6では、ステップS4での走行時割り当て抽出に従って決定操作判定処理を行い、フローを終了する。詳しくは、ステップS1でタッチパッド1から入力された操作強度や操作位置の検出結果が示す操作が、ステップS4で抽出した操作に該当するか否かを判定する。そして、該当すると判定した場合には、決定操作が行われたものと判定して、決定操作が行われたことを示す信号をナビECU4に出力する。一方、該当すると判定しなかった場合には、決定操作が行われていないものと判定して、決定操作が行われたことを示す信号をナビECU4に出力しない。
【0062】
例えば、「タッチパッド1を強く押し込む操作」に該当するか否かは、圧力センサで検出された操作強度が第1の所定の閾値以上であるか否かによって判定する。また、「複数の指でタッチパッド1を押し込む操作」に該当するか否かは、圧力センサで第2の所定の閾値以上の操作強度が同時に2点以上で検出されたか否かによって判定する。さらに、「所定方向に長くパン又はフリックする操作」に該当するか否かは、静電容量式センサで逐次検出される操作位置が第1の所定時間内に所定方向(例えば下方向)に移動した距離が、第1の所定の長さ以上であるか否かによって判定する。また、「複数点をタップする操作」に該当するか否かは、2点の操作位置が同時に検出されるとともに、第2の所定時間内に操作位置を1点も検出しなくなったか否かによって判定する。そして、「ダブルタップする操作」に該当するか否かは、1点の操作位置が検出されてから第2の所定時間内に操作位置を1点も検出しなくなる状態を、第3の所定時間内に2度検出したか否かによって判定する。
【0063】
ここで言うところの第1の所定の閾値、第2の所定の閾値、第1の所定時間、第2の所定時間、第3の所定時間、第1の所定の長さは、それぞれ任意に設定可能な値である。
【0064】
また、ステップS7では、ステップS5での停車時割り当て抽出に従って決定操作判定処理を行い、フローを終了する。詳しくは、ステップS1でタッチパッド1から入力された操作強度や操作位置の検出結果が示す操作が、ステップS5で抽出した操作に該当するか否かを判定する。そして、該当すると判定した場合には、決定操作が行われたものと判定して、決定操作が行われたことを示す信号をナビECU4に出力する。一方、該当すると判定しなかった場合には、決定操作が行われていないものと判定して、決定操作が行われたことを示す信号をナビECU4に出力しない。
【0065】
例えば、「タッチパッド1を軽く押し込む操作」に該当するか否かは、圧力センサで検出された操作強度が第1の所定の閾値よりも小さい第3の所定の閾値以下であるか否かによって判定する。また、「所定方向に短くパン又はフリックする操作」に該当するか否かは、静電容量式センサで逐次検出される操作位置が第1の所定時間内に所定方向(例えば下方向)に移動した距離が、第1の所定の長さよりも短い第2の所定の長さ以下であるか否かによって判定する。また、「1点をタップする操作」に該当するか否かは、1点の操作位置が検出されてから第1の所定時間内に操作位置を1点も検出しなくなったか否かによって判定する。
【0066】
なお、ここで言うところの第3の所定の閾値、第2の所定の長さは、それぞれ任意に設定可能な値である。
【0067】
また、「タッチパッド1を強く押し込む操作」に該当するか否か、「複数の指でタッチパッド1を押し込む操作」に該当するか否か、「所定方向に長くパン又はフリックする操作」に該当するか否か、「複数の指でタッチパッド1をタップする操作」に該当するか否か、「タッチパッド1をダブルタップする操作」に該当するか否かについては、ステップS6と同様にして判定する構成とする。
【0068】
本フローが示すように、ステップS2でドライバ以外から操作が行われたと判定した場合には、車両が走行中と判定したか否かによらず、停車中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッド1で検出された場合に、決定操作が行われたと判定することになる。よって、操作制御部3は、請求項の第2決定操作判定手段にも相当する。
【0069】
本実施形態の構成によれば、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作を、走行中に対しての決定操作として割り当てている。操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作は、車両走行時の振動などの影響によりユーザが意図せず軽くタッチパッドに触れてしまったような誤操作との区別が、よりつき易い操作である。
【0070】
従って、本実施形態の構成によれば、タッチパッド1がドライバによって操作されたと判定した場合であって車両が走行中の場合には、車両走行時の振動などの影響による誤操作との区別がつけ易い種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作としていることになる。一方、タッチパッド1がドライバによって操作されたと判定した場合であって車両が非走行中の場合には、より軽快な種類の操作を、決定操作が行われたものと判定される操作としていることになる。その結果、車両で用いる操作デバイスとしてタッチパッド1を採用した場合でも、誤って決定操作を受け付けてしまう状況が発生することを防ぐとともに、操作性の悪化をより抑えることが可能になる。
【0071】
また、本実施形態の構成によれば、静電容量式センサによる操作位置の検出と圧力センサによる操作強度の検出とを併用することによって、決定操作として受け付け可能な操作を、車両の走行中と非走行中とのそれぞれについて非常に有効なものとすることが可能になる。詳しくは、以下の通りである。圧力センサを用いることで操作強度の検出が可能となるので、車両が走行中である場合に、操作強度がより大きい操作を割り当てることで、誤操作との区別をつけ易くすることができる。一方、静電容量式センサは、操作強度が小さくても良好に操作を検出することができるので、車両が非走行中である場合に、操作強度がより小さい操作を割り当てることで、操作強度がより小さい軽快な操作でも静電容量式センサによって良好に検出することが可能になる。
【0072】
さらに、本実施形態の構成によれば、タッチパッド1がドライバ以外によって操作された場合には、車両が走行中と判定したか否かによらず、停車中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッド1で検出されたか否かによって、決定操作が行われたか否かを判定することになる。
【0073】
ここで、走行中にドライバがタッチパッド1を操作する場合には、ステアリングを握っていることなどにより、誤操作がドライバ以外の乗員に比べて生じやすいものと考えられる。また、走行中のドライバは進行方向以外に視線を移しにくく、誤操作によって誤った決定操作が行われた場合にも、表示装置6の画面を見るなどして何が起こっているのかを把握することが困難であるため、誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とすることが好ましい。これに対して、ドライバ以外の乗員は、走行中においてドライバに比較して誤操作を生じにくく、誤操作が生じた場合でも容易に操作をやり直すことができる。従って、誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とする要求がより低いと言える。
【0074】
従って、本実施形態の構成によれば、このように誤操作との区別がつけ易い種類の操作を決定操作として受け付ける操作とする要求がより低い場合に、走行中であっても、停車中に対して割り当てられている操作を決定操作として受け付ける操作とすることで、決定操作として受け付ける操作として、軽快な操作を優先することを可能にしている。
【0075】
なお、本実施形態において、タッチパッド1で検出した操作に合わせて、選択中の機能アイコンやボタンの表示を変化させる構成としてもよい。例えば、下方向にパン又はフリックする操作を検出した場合には、機能アイコンやボタンの表示を一時的に下方向にずらすなどの例が挙げられる。これによれば、選択した機能アイコンやボタンについての操作中であることをユーザが容易に認識できる。
【0076】
また、本実施形態において、決定操作が行われたと操作制御部3で判定しなかった場合に、決定操作として受け付け可能な操作(以下、正解操作)に近似している操作が行われたか否かを操作制御部3で判定し、正解操作に近似している操作が行われたと判定した場合には、その正解操作の操作方法を案内する案内アイコンやテキストを表示装置6に表示させる構成としてもよい。よって、操作制御部3が請求項の近似判定手段に相当する。
【0077】
具体例としては、正解操作に近似している操作には、例えば「所定方向に長くパン又はフリックする操作」については、パンやフリックにおけるスライドの方向が同じだが、スライドの距離が足りない操作が該当する。他にも、「タッチパッド1を強く押し込む操作」や「複数点を押し込む操作」については、操作強度が足りない操作が該当する。また、正解操作の操作方法を案内する案内アイコンやテキストを表示装置6に表示させる場合には、案内アイコンやテキストを表示装置6で表示させる前述の処理と同様にして行う構成とすればよい。
【0078】
これによれば、正解操作に該当する操作をユーザが行おうとして失敗した場合に、正しい操作方法の案内をユーザが受けて正しい操作方法を容易に認識することが可能になり、利便性が向上する。
【0079】
なお、前述の実施形態では、操作制御部3とナビECU4とを別の部材として説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビECU4が操作制御部3の全機能を有している構成として、操作制御部3を備えない構成としてもよい。また、ナビECU4が操作制御部3の一部の機能を有している構成としてもよい。他にも、ナビECU4や操作制御部3が表示制御部5の全機能を有している構成として、表示制御部5を備えない構成としてもよい。
【0080】
また、前述の実施形態では、車載ナビゲーション装置に制御システム100を適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、車載ナビゲーション装置以外の車載装置に制御システム100を適用する構成としてもよい。また、この場合には、その車載装置のECU等の制御装置を、前述したナビECU4の代わりに用いることになる。
【0081】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 タッチパッド、2 車速センサ、3 操作制御部(走行状態情報取得手段、走行判定手段、第1決定操作判定手段、受け付け可能操作抽出手段、操作者判定手段、第2決定操作判定手段、近似判定手段)、4 ナビECU、5 表示制御部(表示制御手段)、6 表示装置、11 近接センサ(接近検知センサ)、100 制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作位置を検出可能なタッチパッドを備える操作入力装置であって、
車両に搭載され、
前記車両の走行状態の情報を取得する走行状態情報取得手段と、
前記走行状態情報取得手段で取得した走行状態の情報をもとに、前記車両が走行中か否かを判定する走行判定手段と、
前記車両に搭載された車載装置に機能の実行を指示するための操作用画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させる表示制御手段と、
前記タッチパッドでのユーザによる操作の検出結果に応じて、前記車載装置に機能の実行を指示する操作用画像を決定する決定操作が行われたか否かを判定する第1決定操作判定手段と、
前記決定操作として、前記車両が走行中か否かによって異なる種類の操作が割り当てられている操作割り当て手段とを備え、
前記第1決定操作判定手段は、
前記走行判定手段で車両が非走行中と判定したときには、前記操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出された場合に、前記決定操作が行われたと判定する一方、前記走行判定手段で車両が走行中と判定したときには、前記操作割り当て手段で走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作がタッチパッドで検出された場合に、前記決定操作が行われたと判定することを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記操作割り当て手段は、走行中に対しての決定操作として、複数の異なる種類の操作が割り当てられていることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記タッチパッドは、圧力センサを備えることによって、ユーザによる操作強度も検出可能なものであることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記タッチパッドは、静電容量式センサを備えることによって、ユーザによる操作位置を検出可能であるとともに、圧力センサを備えることによって、ユーザによる操作の強度も検出可能なものであることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記操作割り当て手段は、非走行中に対しての決定操作として割り当てられる操作よりも、操作強度、操作回数、操作点数、操作距離、及び操作時間のうちの少なくともいずれかが増している操作を、走行中に対しての決定操作として割り当てていることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記走行判定手段での判定結果、及び前記操作割り当て手段での走行中と非走行中とのそれぞれについての操作の割り当てをもとに、車両が走行中か否かに応じた、前記第1決定操作判定手段で前記決定操作が行われたと判定され得る操作を抽出する受け付け可能操作抽出手段をさらに備え、
前記受け付け可能操作抽出手段で抽出した操作の操作方法を案内する画像及びテキストのうちの少なくともいずれかを、前記表示制御手段が前記表示装置に表示させることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記タッチパッドで操作が検出された場合であって、且つ、前記第1決定操作判定手段で前記決定操作が行われたと判定されなかった場合に、タッチパッドで検出された当該操作が、前記第1決定操作判定手段で前記決定操作が行われたと判定される操作である正解操作に近似しているか否かを判定する近似判定手段をさらに備え、
前記近似判定手段で近似していると判定した場合には、近似していると判定した前記正解操作の操作方法を案内する画像及びテキストのうちの少なくともいずれかを、前記表示制御手段が前記表示装置に表示させることを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記タッチパッドが前記車両のドライバによって操作されたか否かを判定する操作者判定手段と、
前記走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かによらず、前記操作割り当て手段で非走行中に対して割り当てられている操作に該当する操作が前記タッチパッドで検出された場合に、前記車載装置に機能の実行を指示する操作用画像を決定する決定操作が行われたと判定する第2決定操作判定手段とをさらに備え、
タッチパッドがドライバによって操作されたと前記操作者判定手段で判定した場合には、前記走行判定手段で車両が走行中と判定したか否かに応じて、前記決定操作が行われたか否かを前記第1決定操作判定手段で判定する一方、
タッチパッドがドライバ以外によって操作されたと前記操作者判定手段で判定した場合には、前記決定操作が行われたか否かを前記第2決定操作判定手段で判定することを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記タッチパッドは前記車両の運転席と助手席との間の領域に設けられるものであって、
前記タッチパッドに対して運転席側から物体が接近したか、助手席側から物体が接近したかを検知可能な接近検知センサをさらに備え、
前記操作者判定手段は、前記接近検知センサで運転席側から物体が接近したことを検出した場合に、タッチパッドがドライバによって操作されたと判定する一方、前記接近検知センサで助手席側から物体が接近したことを検出した場合に、タッチパッドがドライバ以外によって操作されたと判定することを特徴とする車両用の操作入力装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用の操作入力装置と、
車両に設けられ、当該車両に搭載された車載装置に実行させることのできる機能を示した操作用画像を表示する表示装置とを含むことを特徴とする制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22986(P2013−22986A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157300(P2011−157300)
【出願日】平成23年7月17日(2011.7.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】