車両用キャビン
【課題】エアコンユニットを有する車両用キャビンにおいて、天井部側へのエアコンユニットの取付け作業負担を低減させる車両用キャビンを提供することを課題としている。
【解決手段】本発明は、天井部側にエアコンユニット37を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット37の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部47を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット37の他端側を取付ける取付部48を天井部側に設けた。
【解決手段】本発明は、天井部側にエアコンユニット37を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット37の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部47を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット37の他端側を取付ける取付部48を天井部側に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアコンユニットを有する車両用キャビンに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用キャビンは一般的に、キャビン内部の空気の温度,湿度等を快適な状態に保つために空調装置が設けられる。この空調装置のエバポレータ等からなるエアコンユニットは、キャビン前方のボンネット内に配置するのが一般的であるが、ボンネットが無い車両への対応や、スペースを有効に活用するという観点から、キャビンの天井部側、具体的には天井部を構成するアウタールーフとインナールーフの間にエアコンユニットを取付支持した特許文献1に示す車両用キャビンが従来公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−155226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献のキャビンは、天井部を構成するアウタールーフ及びインナールーフの組付けと同時にエアコンユニットの組付けを行う必要があるため、アウタールーフ及びインナールーフの組付構造によってはエアコンユニットの組付け作業負担も増大する場合があり、課題が残る。
本発明では上記問題を解決し、天井部側へのエアコンユニットの取付け作業負担を低減させる車両用キャビンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の車両用キャビンは、天井部側にエアコンユニット37を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット37の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部47を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット37の他端側を取付ける取付部48を天井部側に設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の車両用のキャビンによれば、天井部の下方からエアコンユニットの一端側を上下揺動可能に係合支持した状態で、天井部側に沿うようにエアコンユニットの他端側を、取付部を介して天井部側に取付けることにより、エアコンユニットを容易に組付けることが可能であるため、天井部を構成するアウタールーフ及びインナールーフの組付時にエアコンユニットも同時に組付ける必要があるものと比較して、エアコンユニットの組付け作業負担が軽減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用したキャビンを搭載した運搬用車両の概念図である。
【図2】キャビンの斜視図である。
【図3】キャビンフレームの斜視図である。
【図4】キャビンフレームの分解斜視図である。
【図5】アウターフール、インナールーフ及びエアコンユニットの構成を示す側面図である。
【図6】(A)は上部サブフレームであるアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付ける前の状態を示す透視斜視図であり、(B)はアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付けた状態を示す透視斜視図であり、(C)はアウタールーフのパイプフレームへの取付け状態を示す正断面図である。
【図7】エアコンユニットの取付支持構造を示す分解斜視図である。
【図8】(A),(B)は、エアコンユニットを上下揺動自在に支持した状態を示す斜視図及び側面図である。
【図9】エアコンユニットの天井部への取付けが完了した状態を示す斜視図である。
【図10】(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造及び配線構造を示す斜視図及び背面図である。
【図11】(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造を示す斜視図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用したキャビンを搭載した運搬用車両の概念図である。図示する運搬用車両は、左右一対のクローラ式装置である走行部1,1によって板状の機体フレーム2が支持され、該機体フレーム2上面における前半部の左右一方側にはオペレータが乗込むキャビン3が立設され、他方側にはエンジン4等からなる動力発生ユニット6が設置され、機体フレーム2上におけるキャビン3及び動力発生ユニット6の後方には荷台7が配置されている。
【0009】
荷台7は、後端部を支点に上下揺動可能に支持され、該上下揺動によって、前端部が後端部に対して上方に位置した排出姿勢と、前端部が後端部と略同一高さに位置して荷物等を積載する積載姿勢とに姿勢切換可能に構成されている。
【0010】
図2は、キャビンの斜視図であり、図3はキャビンフレームの斜視図であり、図4は、キャビンフレームの分解斜視図である。キャビン3は、運転席(図示しない)の四方及び上方を囲繞するように形成され、枠体であるキャビンフレーム8によって、その外形が保持されている。
【0011】
該キャビンフレーム8は、運転席の左右側方に位置する左右一対のサイドサブフレーム9,11、前方に位置するフロントサブフレーム12、後方に位置するリヤサブフレーム13と、上方に位置してルーフとなる上部サブフレーム14とから構成されており、これらのユニット化された各サブフレームを組立てることにより、キャビンフレーム8が形成される。
【0012】
上記左右一対の各サイドサブフレーム9,11は、前後に水平に直線状に延びるストレート部及び該ストレート部の前後の各端部から下方に延設された支柱部とを有して側面視逆U字状をなすパイプフレーム16と、パイプフレーム16における前後の支柱部の下端部を連結して補強する前後方向の水平直線状の補強杆17と、ストレート部の中途部と補強杆の中途部とを連結補強する補強支柱18と、パイプフレーム16及び補強杆17の後半部と補強支柱18とによって囲まれた枠内に溶接等で嵌め込み固定された後部パネル19と、を共通部材として備えている。
【0013】
また、左右の一方側(図示する例では右側)のサイドサブフレーム11におけるパイプフレーム16及び補強杆17の前半部と補強支柱18とによって囲まれた枠内には、前部パネル21が嵌め込み固定されており、他方側のサイドサブフレーム9におけるパイプフレーム16及び補強杆17の前半部と補強支柱18とによって囲まれた枠は、オペレータのキャビン3内への乗降口9bを形成しており、該乗降口9bには、開閉自在に開閉扉26が設けられる。ちなみに、前部パネル21、左右一対の後部パネル19には、それぞれ上半部に窓枠9a,11a、11bが形成されている。
【0014】
開閉扉26は、上下に窓枠26a,26bが形成され、該各窓枠にはガラス等の透明パネル28が嵌め込み固定されている。そして、開閉扉26は、キャビンフレーム8の完成後に、上下一対のヒンジ10によって補強支柱18側に水平回動自在に取付支持される。
【0015】
上記フロントサブフレーム12は、各サイドサブフレーム9,11を構成する左右のパイプフレーム16の前側を連結する左右方向の上下一対の連結杆等によって構成されている。下側の連結杆23が左右のパイプフレーム16における前側支柱部の下端部同士を連結し、上側の連結杆24が上記左右の支柱部の中途部同士を連結している。この上下の連結杆23,24と左右のパイプフレーム16によって囲まれる箇所には、窓枠12a,12bが形成される。
【0016】
上記リヤサブフレーム13は、各サイドサブフレーム9,11を構成する左右のパイプフレーム16の後側を連結する板状部材であり、上半部に窓枠13aが形成されている。具体的には、左右のパイプフレーム16における後側支柱同士がリヤサブフレーム13によって連結されている。
【0017】
上記上部サブフレーム14は、前後方向に長い方形板状の部材の前部及び後部を下方に湾曲形成されたアウタールーフ32と、左右方向の複数(図示する例では3本)の補強フレーム33とを備えており、上記左右のパイプフレーム16のストレート部間に架設固定されている。ちなみに、上部サブフレーム14の前部及び後部は、パイプフレーム16の前後の支柱部に沿うように湾曲形成されている。このため、アウタールーフ32は、左右のストレート部に沿うフラット部32aと、支柱部に沿う前後一対の湾曲部32bとにより構成される。
【0018】
以上、各サブフレームをユニット化して組立てた後、左右のサイドサブフレーム9,11を連結するように、左右のパイプフレーム16間にフロントサブフレーム12、リヤサブフレーム13及び上部サブフレーム14を設置し、サブフレームの組立てを完了する。そして、このサブフレームに開閉扉26を取付支持し、各窓枠9a,11a,11b,12a,12b,13aに対応するガラス等の透明パネル28を嵌め込み、開閉扉26が設けられた側のパイプフレーム16の前側支柱部にサイドミラー34を設置し、図5に示すように、キャビン3内の上部サブフレーム14下面から下方に所定間隔を介してインナールーフ36を取付け固定することにより、キャビン3内に二重構造の天井部を構成してキャビン3の組立てが略完了する。
【0019】
なお、図5に示すように、天井部におけるアウターフール32とインナールーフ36との間には、エアコンユニット37が取付支持されている。このエアコンユニット37は、吸込みファン29によって吸込まれてエバポレータ31によって冷却された空気を、吹出し口から吹出すことができるとともに、吸込みファン29によって吸込まれて温水によって加熱された空気を、吹出し口から吹出すことができるように構成されている。
【0020】
上記機能を実現するため、エアコンユニット37には、エンジン冷却によって温水となった冷却水をエアコンユニット37に導入するウォータホース38(図10,11参照)と、温水をラジエータ39側に導出するウォータホース38(図10,11参照)と、エバポレータ31によって気化された冷媒をコンプレッサ及びコンデンサ41側に導出する冷媒ホース42(図10,11参照)と、コンプレッサ及びコンデンサ41等の作用によって液化された冷媒をエアコンユニット37側に導入する冷媒ホース42(図10,11参照)と、が接続されている。
【0021】
なお、コンデンサ41はラジエータ39とともに冷却ファンによって冷却され且つコンプレッサはエンジン動力で駆動される構造であるため、図1に示すように、コンプレッサ及びコンデンサ41は、動力発生ユニット6に配置されている。このため、上記4本のホース38,42は、キャビン3の天井部から動力発生ユニット6側に配管する必要があり、この配管構造については後述する。
【0022】
次に、図6に基づき、上部サブフレーム14の左右のサイドサブフレーム9,11への取付け構造について詳述する。
図6(A)は上部サブフレームであるアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付ける前の状態を示す透視斜視図であり、(B)はアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付けた状態を示す透視斜視図であり、(C)はアウタールーフのパイプフレームへの取付け状態を示す正断面図である。
【0023】
上部サブフレーム14を構成する補強フレーム33は、側面視U字状をなして左右方向に延びるチャネル状部材であって、上方に突出した前後一対の上端部を互いに離間する側に屈曲させることにより水平な載置部33aを形成している。
【0024】
複数の補強フレーム33は、その左右長がアウタールーフ32の左右幅よりも若干短くなるように形成され、前後並列配置されている。アウタールーフ32は、前後並列配置された複数の補強フレーム33全体を上方から覆うように載置部33aに載置され、複数の載置部33aに溶着されることにより、アウターフール32と補強フレーム33は一体化される。
【0025】
補強フレーム33はアウタールーフ32のフラット部全体に亘り均等配置され、上記載置溶着状態では、補強フレーム33の左右両端からアウタールーフ32の左右両端部が若干突出する状態になり、この左右の各突出部を下方に屈曲形成することにより、前後方向のリブ32cを形成している。すなわち、補強フレーム33は、左右のリブ32c及びフラット部32aによって、上方及び左右を囲まれた状態になる。
【0026】
一方、左右のパイプフレーム16は、それぞれ、互いに対向する対向面16aと、該対向面16aから垂直方向且つ互いに近づく側に延設された当接面16bとをそれぞれ有している。この左右の対向面16aにアウタールーフ32の対応する左右にリブ32cをそれぞれ当接させて溶着するとともに、左右の当接面に補強フレーム33の対応する左右の端部をそれぞれ当接させて溶着することにより、左右のサイドサブフレーム9,11間に上部サブフレーム14を嵌合状態で、取付固定している。
【0027】
以上、当接面に当接させた状態、左右対向面間に上部サブフレーム14を嵌め込み固定するため、正確な位置合せを行うことなく、左右のサイドサブフレーム9,11間に上部サブフレーム14を容易且つ簡易的に取付固定できる。また、リヤサブフレーム13及びフロントサブフレーム12も、左右の当接面に当接させた状態で、左右の対向面間に嵌め込み固定されるため、上記場合と同様の効果が奏される。このため、リヤサブフレーム13及びフロントサブフレーム12の左右幅は、上部サブフレーム14の左右幅と略同一に設定されている。
【0028】
次に、図7乃至9に基づき、エアコンユニット37を天井部側に取付支持する構造について説明する。
図7は、エアコンユニットの取付支持構造を示す分解斜視図であり、図8は(A),(B)は、エアコンユニットを上下揺動自在に支持した状態を示す斜視図及び側面図であり、図9は、エアコンユニットの天井部への取付けが完了した状態を示す斜視図である。
【0029】
エアコンユニット37は、左右の側面を構成する左右一対の支持フレーム43を備え、この左右の支持フレーム43間に各種構成部材が配置固定され、全体が直方体形状をなしている。各支持フレーム43の前端部には左右方向の支持ピン44(被支持部)が外側方に向かって突設され、後端部には取付片46(被取付部)が形成されている。
【0030】
一方、天井部の前側には上記左右の支持ピン44を引掛けてそれぞれ係合支持する左右一対のフック部47(支持部)が設けられ、天井部の後側には、上記左右の取付片46をそれぞれ取付固定する左右一対の取付ブラケット48(取付部)が設けられている。具体的には、フック部47は、アウタールーフ32の前側の湾曲部から後方に一体的に延設された板状の左右方向の支持体の左右にそれぞれ固設されており、取付ブラケット48は、上述の補強フレーム33の下面から一体的に下方に突設されている。なお、フック部47や取付ブラケット48を左右のパイプフレーム16側に固定してもよい。
【0031】
そして、図8に示すように、エアコンユニット37の一端側となる前端側に設けられた左右の支持ピン44を、それぞれ対応する左右のフック部47に係合支持させることにより、側面視支持ピン44を支点に上下揺動可能にエアコンユニット37を天井部側に支持しており、この上下揺動によって、エアコンユニット37の一端側から他端側となる後端側に向かって下方傾斜した下方揺動状態と、一端と他端の高さが略同一になって天井部に沿って前後水平方向を向く上方揺動状態との切換を行うことが可能になる。
【0032】
この上方揺動状態では、図9に示すように、左右の取付片46がそれぞれ対応する左右の取付ブラケット48に近接又は接触した状態になり、この状態で、各取付片46を対応する取付ブラケット48にボルト固定することにより、エアコンユニット37の天井部側への取付作業を完了する。この後、インナールーフ36を取付けることにより、キャビン3の天井部の組付が完了する。
【0033】
次に、図10及び11に基づき、各ホース配管構造等について説明する。
図10(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造及び配線構造を示す斜視図及び背面図であり、図11(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造を示す斜視図及び背面図である。上述の4本のホース38,42及び各種電気機器からの電気ケーブル49は、キャビンにおける動力発生ユニット6に近い側(図示する例は右側)の側面(配索側側面)後部に設置された引出しケース51によって、キャビン3内部から外部に引出されている。
【0034】
引出しケース51から引出された電気ケーブル49は、キャビン3外に配置されたバッテリ(図示しない)やオルタネータ(図示しない)等の電気機器に接続される。
【0035】
引出しケース51から引出された4本のホース38,42は、配索側側面に形成されたガイド溝52内にその一部が配置されている。具体的には、配索側側面の下部にキャビン内に向かって窪んで前後方向のガイド溝52が凹設されており、このガイド溝52によって、4本のホース38,42が前方の動力発生ユニット6の近傍まで案内されている。ちなみに、ホースのガイド溝52内に収容される箇所は、ガイド溝52に架渡される上下方向の背面視コの字状をなす留め具53によって、ガイド溝内に保持される。
【0036】
以上、キャビン3における動力発生ユニット6に近い側の側面後部から、上記4本のホース38,42をキャビン3外に取出して動力発生ユニット6側までガイドするため、ホースの必要長さが短くなり、配管構造をシンプルに構成できる。また、4本のホース38,42の対応箇所をガイド溝52内に収容することにより、配索側側面から4本のホース38,42が突出することが防止され、動力発生ユニット6(例えば、図示する例ではラジエータ39)をキャビン3の配索側側面に近接配置することが可能になる。さらに、このガイド溝52を形成することによって、サイドサブフレーム9,11自体の強度も向上する。
【符号の説明】
【0037】
37 エアコンユニット
47 フック部(支持部)
48 取付ブラケット(取付部)
【技術分野】
【0001】
エアコンユニットを有する車両用キャビンに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用キャビンは一般的に、キャビン内部の空気の温度,湿度等を快適な状態に保つために空調装置が設けられる。この空調装置のエバポレータ等からなるエアコンユニットは、キャビン前方のボンネット内に配置するのが一般的であるが、ボンネットが無い車両への対応や、スペースを有効に活用するという観点から、キャビンの天井部側、具体的には天井部を構成するアウタールーフとインナールーフの間にエアコンユニットを取付支持した特許文献1に示す車両用キャビンが従来公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−155226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献のキャビンは、天井部を構成するアウタールーフ及びインナールーフの組付けと同時にエアコンユニットの組付けを行う必要があるため、アウタールーフ及びインナールーフの組付構造によってはエアコンユニットの組付け作業負担も増大する場合があり、課題が残る。
本発明では上記問題を解決し、天井部側へのエアコンユニットの取付け作業負担を低減させる車両用キャビンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の車両用キャビンは、天井部側にエアコンユニット37を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット37の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部47を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット37の他端側を取付ける取付部48を天井部側に設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の車両用のキャビンによれば、天井部の下方からエアコンユニットの一端側を上下揺動可能に係合支持した状態で、天井部側に沿うようにエアコンユニットの他端側を、取付部を介して天井部側に取付けることにより、エアコンユニットを容易に組付けることが可能であるため、天井部を構成するアウタールーフ及びインナールーフの組付時にエアコンユニットも同時に組付ける必要があるものと比較して、エアコンユニットの組付け作業負担が軽減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用したキャビンを搭載した運搬用車両の概念図である。
【図2】キャビンの斜視図である。
【図3】キャビンフレームの斜視図である。
【図4】キャビンフレームの分解斜視図である。
【図5】アウターフール、インナールーフ及びエアコンユニットの構成を示す側面図である。
【図6】(A)は上部サブフレームであるアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付ける前の状態を示す透視斜視図であり、(B)はアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付けた状態を示す透視斜視図であり、(C)はアウタールーフのパイプフレームへの取付け状態を示す正断面図である。
【図7】エアコンユニットの取付支持構造を示す分解斜視図である。
【図8】(A),(B)は、エアコンユニットを上下揺動自在に支持した状態を示す斜視図及び側面図である。
【図9】エアコンユニットの天井部への取付けが完了した状態を示す斜視図である。
【図10】(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造及び配線構造を示す斜視図及び背面図である。
【図11】(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造を示す斜視図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示する例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用したキャビンを搭載した運搬用車両の概念図である。図示する運搬用車両は、左右一対のクローラ式装置である走行部1,1によって板状の機体フレーム2が支持され、該機体フレーム2上面における前半部の左右一方側にはオペレータが乗込むキャビン3が立設され、他方側にはエンジン4等からなる動力発生ユニット6が設置され、機体フレーム2上におけるキャビン3及び動力発生ユニット6の後方には荷台7が配置されている。
【0009】
荷台7は、後端部を支点に上下揺動可能に支持され、該上下揺動によって、前端部が後端部に対して上方に位置した排出姿勢と、前端部が後端部と略同一高さに位置して荷物等を積載する積載姿勢とに姿勢切換可能に構成されている。
【0010】
図2は、キャビンの斜視図であり、図3はキャビンフレームの斜視図であり、図4は、キャビンフレームの分解斜視図である。キャビン3は、運転席(図示しない)の四方及び上方を囲繞するように形成され、枠体であるキャビンフレーム8によって、その外形が保持されている。
【0011】
該キャビンフレーム8は、運転席の左右側方に位置する左右一対のサイドサブフレーム9,11、前方に位置するフロントサブフレーム12、後方に位置するリヤサブフレーム13と、上方に位置してルーフとなる上部サブフレーム14とから構成されており、これらのユニット化された各サブフレームを組立てることにより、キャビンフレーム8が形成される。
【0012】
上記左右一対の各サイドサブフレーム9,11は、前後に水平に直線状に延びるストレート部及び該ストレート部の前後の各端部から下方に延設された支柱部とを有して側面視逆U字状をなすパイプフレーム16と、パイプフレーム16における前後の支柱部の下端部を連結して補強する前後方向の水平直線状の補強杆17と、ストレート部の中途部と補強杆の中途部とを連結補強する補強支柱18と、パイプフレーム16及び補強杆17の後半部と補強支柱18とによって囲まれた枠内に溶接等で嵌め込み固定された後部パネル19と、を共通部材として備えている。
【0013】
また、左右の一方側(図示する例では右側)のサイドサブフレーム11におけるパイプフレーム16及び補強杆17の前半部と補強支柱18とによって囲まれた枠内には、前部パネル21が嵌め込み固定されており、他方側のサイドサブフレーム9におけるパイプフレーム16及び補強杆17の前半部と補強支柱18とによって囲まれた枠は、オペレータのキャビン3内への乗降口9bを形成しており、該乗降口9bには、開閉自在に開閉扉26が設けられる。ちなみに、前部パネル21、左右一対の後部パネル19には、それぞれ上半部に窓枠9a,11a、11bが形成されている。
【0014】
開閉扉26は、上下に窓枠26a,26bが形成され、該各窓枠にはガラス等の透明パネル28が嵌め込み固定されている。そして、開閉扉26は、キャビンフレーム8の完成後に、上下一対のヒンジ10によって補強支柱18側に水平回動自在に取付支持される。
【0015】
上記フロントサブフレーム12は、各サイドサブフレーム9,11を構成する左右のパイプフレーム16の前側を連結する左右方向の上下一対の連結杆等によって構成されている。下側の連結杆23が左右のパイプフレーム16における前側支柱部の下端部同士を連結し、上側の連結杆24が上記左右の支柱部の中途部同士を連結している。この上下の連結杆23,24と左右のパイプフレーム16によって囲まれる箇所には、窓枠12a,12bが形成される。
【0016】
上記リヤサブフレーム13は、各サイドサブフレーム9,11を構成する左右のパイプフレーム16の後側を連結する板状部材であり、上半部に窓枠13aが形成されている。具体的には、左右のパイプフレーム16における後側支柱同士がリヤサブフレーム13によって連結されている。
【0017】
上記上部サブフレーム14は、前後方向に長い方形板状の部材の前部及び後部を下方に湾曲形成されたアウタールーフ32と、左右方向の複数(図示する例では3本)の補強フレーム33とを備えており、上記左右のパイプフレーム16のストレート部間に架設固定されている。ちなみに、上部サブフレーム14の前部及び後部は、パイプフレーム16の前後の支柱部に沿うように湾曲形成されている。このため、アウタールーフ32は、左右のストレート部に沿うフラット部32aと、支柱部に沿う前後一対の湾曲部32bとにより構成される。
【0018】
以上、各サブフレームをユニット化して組立てた後、左右のサイドサブフレーム9,11を連結するように、左右のパイプフレーム16間にフロントサブフレーム12、リヤサブフレーム13及び上部サブフレーム14を設置し、サブフレームの組立てを完了する。そして、このサブフレームに開閉扉26を取付支持し、各窓枠9a,11a,11b,12a,12b,13aに対応するガラス等の透明パネル28を嵌め込み、開閉扉26が設けられた側のパイプフレーム16の前側支柱部にサイドミラー34を設置し、図5に示すように、キャビン3内の上部サブフレーム14下面から下方に所定間隔を介してインナールーフ36を取付け固定することにより、キャビン3内に二重構造の天井部を構成してキャビン3の組立てが略完了する。
【0019】
なお、図5に示すように、天井部におけるアウターフール32とインナールーフ36との間には、エアコンユニット37が取付支持されている。このエアコンユニット37は、吸込みファン29によって吸込まれてエバポレータ31によって冷却された空気を、吹出し口から吹出すことができるとともに、吸込みファン29によって吸込まれて温水によって加熱された空気を、吹出し口から吹出すことができるように構成されている。
【0020】
上記機能を実現するため、エアコンユニット37には、エンジン冷却によって温水となった冷却水をエアコンユニット37に導入するウォータホース38(図10,11参照)と、温水をラジエータ39側に導出するウォータホース38(図10,11参照)と、エバポレータ31によって気化された冷媒をコンプレッサ及びコンデンサ41側に導出する冷媒ホース42(図10,11参照)と、コンプレッサ及びコンデンサ41等の作用によって液化された冷媒をエアコンユニット37側に導入する冷媒ホース42(図10,11参照)と、が接続されている。
【0021】
なお、コンデンサ41はラジエータ39とともに冷却ファンによって冷却され且つコンプレッサはエンジン動力で駆動される構造であるため、図1に示すように、コンプレッサ及びコンデンサ41は、動力発生ユニット6に配置されている。このため、上記4本のホース38,42は、キャビン3の天井部から動力発生ユニット6側に配管する必要があり、この配管構造については後述する。
【0022】
次に、図6に基づき、上部サブフレーム14の左右のサイドサブフレーム9,11への取付け構造について詳述する。
図6(A)は上部サブフレームであるアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付ける前の状態を示す透視斜視図であり、(B)はアウタールーフを左右のサイドサブフレームに組付けた状態を示す透視斜視図であり、(C)はアウタールーフのパイプフレームへの取付け状態を示す正断面図である。
【0023】
上部サブフレーム14を構成する補強フレーム33は、側面視U字状をなして左右方向に延びるチャネル状部材であって、上方に突出した前後一対の上端部を互いに離間する側に屈曲させることにより水平な載置部33aを形成している。
【0024】
複数の補強フレーム33は、その左右長がアウタールーフ32の左右幅よりも若干短くなるように形成され、前後並列配置されている。アウタールーフ32は、前後並列配置された複数の補強フレーム33全体を上方から覆うように載置部33aに載置され、複数の載置部33aに溶着されることにより、アウターフール32と補強フレーム33は一体化される。
【0025】
補強フレーム33はアウタールーフ32のフラット部全体に亘り均等配置され、上記載置溶着状態では、補強フレーム33の左右両端からアウタールーフ32の左右両端部が若干突出する状態になり、この左右の各突出部を下方に屈曲形成することにより、前後方向のリブ32cを形成している。すなわち、補強フレーム33は、左右のリブ32c及びフラット部32aによって、上方及び左右を囲まれた状態になる。
【0026】
一方、左右のパイプフレーム16は、それぞれ、互いに対向する対向面16aと、該対向面16aから垂直方向且つ互いに近づく側に延設された当接面16bとをそれぞれ有している。この左右の対向面16aにアウタールーフ32の対応する左右にリブ32cをそれぞれ当接させて溶着するとともに、左右の当接面に補強フレーム33の対応する左右の端部をそれぞれ当接させて溶着することにより、左右のサイドサブフレーム9,11間に上部サブフレーム14を嵌合状態で、取付固定している。
【0027】
以上、当接面に当接させた状態、左右対向面間に上部サブフレーム14を嵌め込み固定するため、正確な位置合せを行うことなく、左右のサイドサブフレーム9,11間に上部サブフレーム14を容易且つ簡易的に取付固定できる。また、リヤサブフレーム13及びフロントサブフレーム12も、左右の当接面に当接させた状態で、左右の対向面間に嵌め込み固定されるため、上記場合と同様の効果が奏される。このため、リヤサブフレーム13及びフロントサブフレーム12の左右幅は、上部サブフレーム14の左右幅と略同一に設定されている。
【0028】
次に、図7乃至9に基づき、エアコンユニット37を天井部側に取付支持する構造について説明する。
図7は、エアコンユニットの取付支持構造を示す分解斜視図であり、図8は(A),(B)は、エアコンユニットを上下揺動自在に支持した状態を示す斜視図及び側面図であり、図9は、エアコンユニットの天井部への取付けが完了した状態を示す斜視図である。
【0029】
エアコンユニット37は、左右の側面を構成する左右一対の支持フレーム43を備え、この左右の支持フレーム43間に各種構成部材が配置固定され、全体が直方体形状をなしている。各支持フレーム43の前端部には左右方向の支持ピン44(被支持部)が外側方に向かって突設され、後端部には取付片46(被取付部)が形成されている。
【0030】
一方、天井部の前側には上記左右の支持ピン44を引掛けてそれぞれ係合支持する左右一対のフック部47(支持部)が設けられ、天井部の後側には、上記左右の取付片46をそれぞれ取付固定する左右一対の取付ブラケット48(取付部)が設けられている。具体的には、フック部47は、アウタールーフ32の前側の湾曲部から後方に一体的に延設された板状の左右方向の支持体の左右にそれぞれ固設されており、取付ブラケット48は、上述の補強フレーム33の下面から一体的に下方に突設されている。なお、フック部47や取付ブラケット48を左右のパイプフレーム16側に固定してもよい。
【0031】
そして、図8に示すように、エアコンユニット37の一端側となる前端側に設けられた左右の支持ピン44を、それぞれ対応する左右のフック部47に係合支持させることにより、側面視支持ピン44を支点に上下揺動可能にエアコンユニット37を天井部側に支持しており、この上下揺動によって、エアコンユニット37の一端側から他端側となる後端側に向かって下方傾斜した下方揺動状態と、一端と他端の高さが略同一になって天井部に沿って前後水平方向を向く上方揺動状態との切換を行うことが可能になる。
【0032】
この上方揺動状態では、図9に示すように、左右の取付片46がそれぞれ対応する左右の取付ブラケット48に近接又は接触した状態になり、この状態で、各取付片46を対応する取付ブラケット48にボルト固定することにより、エアコンユニット37の天井部側への取付作業を完了する。この後、インナールーフ36を取付けることにより、キャビン3の天井部の組付が完了する。
【0033】
次に、図10及び11に基づき、各ホース配管構造等について説明する。
図10(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造及び配線構造を示す斜視図及び背面図であり、図11(A),(B)は、本運搬用車両の配管構造を示す斜視図及び背面図である。上述の4本のホース38,42及び各種電気機器からの電気ケーブル49は、キャビンにおける動力発生ユニット6に近い側(図示する例は右側)の側面(配索側側面)後部に設置された引出しケース51によって、キャビン3内部から外部に引出されている。
【0034】
引出しケース51から引出された電気ケーブル49は、キャビン3外に配置されたバッテリ(図示しない)やオルタネータ(図示しない)等の電気機器に接続される。
【0035】
引出しケース51から引出された4本のホース38,42は、配索側側面に形成されたガイド溝52内にその一部が配置されている。具体的には、配索側側面の下部にキャビン内に向かって窪んで前後方向のガイド溝52が凹設されており、このガイド溝52によって、4本のホース38,42が前方の動力発生ユニット6の近傍まで案内されている。ちなみに、ホースのガイド溝52内に収容される箇所は、ガイド溝52に架渡される上下方向の背面視コの字状をなす留め具53によって、ガイド溝内に保持される。
【0036】
以上、キャビン3における動力発生ユニット6に近い側の側面後部から、上記4本のホース38,42をキャビン3外に取出して動力発生ユニット6側までガイドするため、ホースの必要長さが短くなり、配管構造をシンプルに構成できる。また、4本のホース38,42の対応箇所をガイド溝52内に収容することにより、配索側側面から4本のホース38,42が突出することが防止され、動力発生ユニット6(例えば、図示する例ではラジエータ39)をキャビン3の配索側側面に近接配置することが可能になる。さらに、このガイド溝52を形成することによって、サイドサブフレーム9,11自体の強度も向上する。
【符号の説明】
【0037】
37 エアコンユニット
47 フック部(支持部)
48 取付ブラケット(取付部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部側にエアコンユニット(37)を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット(37)の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部(47)を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット(37)の他端側を取付ける取付部(48)を天井部側に設けてなる車両用キャビン。
【請求項1】
天井部側にエアコンユニット(37)を取付支持した車両用キャビンにおいて、天井部側に下方からエアコンユニット(37)の一端側を上下揺動可能に係合支持する支持部(47)を設けるとともに、天井部側に沿う上方揺動状態のエアコンユニット(37)の他端側を取付ける取付部(48)を天井部側に設けてなる車両用キャビン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−20569(P2011−20569A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167499(P2009−167499)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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