説明

車両用サンバイザ構造

【課題】サンバイザ本体自体の更なる軽量化を図った。
【解決手段】日除け機能を持つサンバイザ本体1が、サポート部材2に軸承されたシャフト3を介して車体に回動可能に支承されると共に、シャフト3に対して回転可能に支持されており、且つ、サポート部材2をスライド可能に収容するサポート部材収容部1−1eがサンバイザ本体1に形成されて、サンバイザ本体1がサポート部材2と共にシャフト3の軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成する場合、サンバイザ本体1が、基本形状をプレート状に形成したサンバイザコア1−1と、サンバイザコア1−1の片側又は両側側面に張設したPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体1−2と、発泡樹脂成形体1−2をサンバイザコア1−1と共に外装被覆する表皮材1−3とから構成しており、サポート部材収容部1−1eを、サンバイザコア1−1にヒンジ1−1bを介して形成したサポート部材収容体1−1cに形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転席或いは助手席の前方或いは側方から齎される太陽光や対向車の前照灯などの照射光を遮光するために、日除け機能を持つサンバイザ本体が、サポート部材に軸承されたシャフトを介して車体に回動可能に支承されると共に、前記シャフトに対して回転可能に支持されており、且つ、前記サポート部材をスライド可能に収容するサポート部材収容体が前記サンバイザ本体に形成されて、該サンバイザ本体が前記サポート部材と共に前記シャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の車両用サンバイザ構造は、図7に示すように、日除け機能を持つサンバイザコアaを、サポート部材hを介してシャフトgの一端側に回転可能に軸承すると共に、シャフトgの他端側をブラケットfを介して車体(不図示)に回転可能に軸承し、且つ、サンバイザコアaを一面側が開口する薄形ボックス状に成形されかつヒンジdを介して一体に形成された一対の分割コア体b、cで構成すると共に、両分割コア体b、cの開口側同士を互いに重ねることによって中空状に構成しており、さらに、一方の分割コア体bにその長手方向に延在するようにサポート部材収容体jを形成して、サポート部材収容体j内にサポート部材hをスライド可能に収容して、サンバイザコアaをシャフトgの軸線方向にスライド移動できるように構成している。
【0003】
又、各分割コア体b、cは、その内壁に縦横斜め方向に交差する補強リブeを一体に形成して剛性を高めるべく構成している。
【0004】
そして、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の前方より齎された場合に、サンバイザコアaをシャフトgを介して運転席或いは助手席に対向するように下方に回動させて、太陽光や対向車の前照灯などの照射光を遮光するようにしている。
【0005】
又、太陽光や対向車や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の側方より齎された場合には、サンバイザコアaをシャフトgを介して車体に対して下方に回動させると共にブラケットfに対して車両の側方に回動させることによって車両の側方に位置させて、車両の側方より照射される照射光を遮光するようになっている。
【0006】
さらに、例えば日の出から日の入りまでに亘る車両の長時間走行を考慮して、車両の側方から齎される太陽光による照射光が、車両の前後方向において移動してしまうことに鑑み、サンバイザコアaをサポート部材hを介してシャフトgに対してスライドさせることによって、車両の側方における遮光部位を変更可能に構成している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−9883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、サンバイザコアaを中空状に形成したために、各分割コア体b、cは、剛性を高めるために、その内壁に互いに縦横斜めに交差する補強リブeを一体に形成しており、このために、サンバイザコアaの重量がその分嵩むことになって、サポート部材hに装着されたU字状の板バネiによりシャフトgを挟合してトルクを付与するようにして、サンバイザコアaを設定位置に保持するように構成したとしても、板バネiの付勢力に抗してサンバイザコアaがその重量により垂れ下がってしまうおそれがあり、これを阻止するために、板バネiの付勢力を強固にしたのでは、サンバイザコアaの操作性を劣化させてしまうことになる。
【0009】
そこで、サンバイザコアaの軽量化を意図して、各分割コア体b、cの内壁に補強リブeを形成して構成する代わりに、PPビーズ或いはウレタン等の発泡樹脂成形体(不図示)を両分割コア体b、cが形成する中空部内に収容挟着して、サンバイザコアaの剛性を確保すると共に軽量化を図った車両用サンバイザが既に提案されている。
【0010】
しかしながら、たとえ剛性を確保するために補強リブeに代えて、発泡樹脂成形体を使用したとしても、当該発泡樹脂成形体は、両分割コア体b、cによって両側面が挟合されていることになって、いわば、両面がサンバイザコアaによって覆われていることになる。
【0011】
この結果、発泡樹脂成形体を使用することによる軽量化が図られたとしても、サンバイザコアa自体の重量が未だ相当あり、サンバイザ本体の更なる軽量化が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、サンバイザ本体自体の更なる軽量化を図った車両用サンバイザ構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る車両用サンバイザ構造は、第1に、日除け機能を持つべく矩形状を呈するサンバイザ本体が、サポート部材に軸承されたシャフトを介して車体に回動可能に支承されると共に、前記シャフトに対して回転可能に支持されており、且つ、前記サポート部材をスライド可能に収容するサポート部材収容体が前記サンバイザ本体1に形成されて、該サンバイザ本体1が前記サポート部材と共に前記シャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造において、前記サンバイザ本体1が、照射光を遮光すべく全体形状がほぼプレート状に形成したサンバイザコアと、該サンバイザコアにおける互いに対向する一対の長辺部のうち一方の長辺部に薄肉状のヒンジを介して一体に形成され、且つ、前記サンバイザコアの両側面のうち一方の片側側面側における長手方向一方側に寄らせた位置において前記サンバイザコアの前記一方の片側側面に対して段差を有するように重合配置されたボックス状のサポート部材収容体を有するサポート部材収容体と、前記サンバイザコアにおける前記サポート部材収容体が重合する以外の部位における前記一方の片側側面に前記段差を解消して前記サポート部材収容体とほぼ面一に連接するようにインサート成形或いは接着等により張設されたPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体と、該発泡樹脂成形体1−2を前記サンバイザコアおよび前記サポート部材収容体とともに外装被覆する表皮材と、を有して構成していることを特徴とするものである。
【0014】
かかる構成により、サンバイザ本体を、全体形状を略プレート状に成形されたサンバイザコアとこのサンバイザコアの片側側面に張設した発泡樹脂成形体とで構成したために、従来のように、発泡樹脂成形体を挟合していた両分割コア体の一方を廃止することができ、その分、更なる重量の軽減化を図ることができる。
【0015】
又、本発明に係るかかる車両用サンバイザ構造は、第2に、日除け機能を持つべく矩形状を呈するサンバイザ本体が、サポート部材に軸承されたシャフトを介して車体に回動可能に支承されると共に、前記シャフトに対して回転可能に支持されており、且つ、前記サポート部材をスライド可能に収容するサポート部材収容体が前記サンバイザ本体に形成されて、該サンバイザ本体が前記サポート部材と共に前記シャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造において、前記サンバイザ本体が、照射光を遮光すべく全体形状がほぼプレート状に形成したサンバイザコアと、該サンバイザコアにおける互いに対向する一対の長辺部のうち一方の長辺部に薄肉状のヒンジを介して一体に形成され、且つ、前記サンバイザコアの両側面のうち一方の片側側面側における長手方向一方側に寄らせた位置に前記サンバイザコアの両側面に対して段差を有するように重合配置されたボックス状のサポート部材収容体を有するサポート部材収容体と、前記サンバイザコアにおける前記サポート部材収容体が重合する以外の部位における前記両側側面に前記サポート部材収容体に対してほぼ面一に連接するようにインサート成形或いは接着等により張設されたPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体と、該発泡樹脂成形体を前記サンバイザコアおよび前記サポート部材収容体とともに外装被覆する表皮材と、を有して構成していることを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成により、サンバイザ本体を、全体形状を略プレート状に成形したサンバイザコアとこのサンバイザコアの両側側面に張設した発泡樹脂成形体とで構成したために、従来のように、発泡樹脂成形体を挟合していた両分割コア体の一方を廃止することができ、その分、更なる重量の軽減化を図ることができ、しかも、前記第1の発明に係る発泡樹脂成形体より薄手に形成することができて、その分、更なる重量の軽減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、サンバイザ本体を、全体形状を略プレート状に成形したサンバイザコアとこのサンバイザコアの片側側面または両側側面に張設した発泡樹脂成形体とで構成したために、従来のように、発泡樹脂成形体を挟合していた両分割コア体の一方を廃止することができて、その分、更なる重量の軽減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1の実施例を採用した車両用サンバイザ構造においてサンバイザ本体を車両前方側にスライド移動した状態を描画した正面図である。
【図2】同じくサンバイザ本体を車両後方側にスライド移動した状態を描画した正面図である。
【図3】図1及び図2における表皮材を外装する前の状態における分解斜視図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】本発明に係る第2の実施例を採用した車両用サンバイザ構造における表皮材を外装する前における分解斜視図である。
【図6】本発明に係る第2の実施例の場合の図4と同様の断面図である。
【図7】従来における車両用サンバイザ構造において外装する表皮材を省略した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による自動車用ドアトリムの実施例について、図面を用いて説明する。
【0020】
図1は本発明に係る第1の実施例を採用した車両用サンバイザ構造においてサンバイザ本体を車両前方側にスライド移動した状態を描画した正面図、図2は同じくサンバイザ本体を車両後方側にスライド移動した状態を描画した正面図、図3は図1及び図2における表皮材を外装する前の状態における分解斜視図、図4は図1のA−A断面図である。
【0021】
図において、本発明の第1の実施例に係るサンバイザ構造は、車両の運転席或いは助手席の前方または側方より齎される照射光を遮光すべく矩形状を呈するサンバイザ本体1と、サンバイザ本体1内に内挿設置されたサポート部材2と、サポート部材2に一端側における挿入側部3aを回動可能に挿通する略L字上に折曲形成されたシャフト3と、シャフト3の他端側における取付け側部3bを車体(不図示)側の取付けるためのブラケット4とを有して構成されている。
【0022】
ブラケット4は、シャフト3を回動可能に支承すると共に、シャフト3はサンバイザ本体1を回動可能に支承している。
【0023】
従って、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の側方より齎された場合には、サンバイザ本体1は、シャフト3を介して車体に対して下方に回動させると共にブラケット4に対して車両の側方に回動させることによって車両の側方に位置させて、車両の側方より照射される照射光を遮光するようになっている。
【0024】
そして、サンバイザ本体1は、全体形状を略プレート状に形成したサンバイザコア1−1と、サンバイザコア1−1の片側側面にインサート成形或いは接着等により張設したPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体1−2と、発泡樹脂成形体1−2をサンバイザコア1−1と共に外装被覆する表皮材1−3とを有して構成している。
【0025】
サンバイザコア1−1は、外周部に側壁部1−1aを立設して、側壁部1−1aが発泡樹脂成形体1−2の外周部を囲繞するように構成している。
【0026】
さらに、側壁部1−1aの一側長手片部先端には、薄肉状のヒンジ1−1bを介してサポート部材収容体1−1cが一体に形成されている。
【0027】
サポート部材収容体1−1cは、起立壁1−1dが形成されていると共に、一方側にほぼ寄らせた状態でサポート部材収容体1−1cの一部と共に、ボックス状のサポート部材収容体1−1eが形成されている。
【0028】
サポート部材収容体1−1e内には、サポート部材2が収容されている。サポート部材2の互いに対向する壁面に、それぞれガイド溝1−1hが形成されていると共に、サンバイザコア1−1およびサポート部材収容体1−1cにはそれぞれガイド溝1−1hに摺動可能に嵌合するガイド突起1−1iが形成されていて、サンバイザ本体1の長手方向(自動車の前後方向)にスライド可能に収容している。
【0029】
従って、サポート部材収容体1−1cは、ヒンジ1−1bを中心にサンバイザコア1−1側に回転させることによりサンバイザコア1−1に対して段差を有するように重合配置することによってサンバイザ本体1を構成した際、サンバイザ本体1がシャフト3の軸線方向にスライドできるように構成している。そして、サンバイザコア1−1の片側側面に発泡樹脂成形体1−2を張設した際、前記段差は解消され、発泡樹脂成形体1−2とサポート部材収容体1−1cとは略面一に連設するようになっている。
【0030】
サンバイザ本体1に内挿設置されたサポート部材2は、PP等の合成樹脂を射出成形等により成形した樹脂成形体から構成され、円筒状に形成された軸受け部2aと軸受け部2a同士を連結すべくプレート状に形成された取付け部2bとからなり、軸受け部2aは、シャフト3の挿入側部3aを回動可能に挿通軸受けする軸孔が設けられると共に、板バネ5を挿入するための開口2cを境にして、前後2列に分割されている。
【0031】
板バネ5は、軸孔2a−1に軸受けされたシャフト3の挿入側部3aの外周面の一部に弾接することにより、サンバイザ本体1をシャフト3廻りに回動操作する際の回動トルクを生じさせるように構成されている。
【0032】
シャフト3の挿入側部3aには、その外周全周にわたって連続してシャフト3の円周方向に延在突出するように抜け止め用当接片部6が形成されている。
【0033】
抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aにおけるサポート部材2より外側(取付け側部3b側)に表出している位置になるようにシャフト3の挿入側部3aのほほ中間部に形成されている。
【0034】
抜け止め用当接片部6に対向しているサポート部材収容体1−1eの一方側の短片側の側壁部は、抜け止め用当接片部6に当接係合する被当接片部7を構成しており、被当接片部7は、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部7bが形成されている。
【0035】
また、サンバイザコア1−1の内壁には、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した状態で、被当接片部7と側壁部1−1aとの間に存するように、補助被当接片部8が起立形成されている。
【0036】
補助被当接片部8は、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した際に、被当接片部7に対して、近接するか当接するように形成されている。
【0037】
そして、補助被当接片部8にも、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部8aが形成されていて、切欠き軸受け部8aと切欠き軸受け部7bとは側面視略円孔を形成するようになっている。
【0038】
更には、サンバイザコア1−1の側壁部1−1aおよびサポート部材収容体1−1cの起立壁1−1dには、やはり両者で側面視円孔を構成する切欠き軸受け部1−1f、1−1gがそれぞれ形成されており、切欠き軸受け部1−1f、1−1gは、やはりシャフト3の挿入側部3aを軸受けするように構成されている。
【0039】
かかる構成により、本実施例においては、シャフト3に対してサンバイザ本体1がスライド移動可能に装着され、サンバイザ本体1をシャフト3の軸線方向にスライドさせることによって、サンバイザ本体1の遮光範囲を変更可能に構成しており、当該スライド位置において、板バネ5が発生する回転トルクによりシャフト3上に保持されていることになる。
【0040】
しかも、車両の天井側部に配設されるカーテンエアバッグ(不図示)における膨張展開力をサンバイザ本体1が受けた場合には、シャフト3側の抜け止め用当接片部6が、サンバイザ本体1側における略ボックス状に形成したサポート部材収容体1−1eの側壁部が構成する被当接片部7に当接係合することによって、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落が防止され、しかも、被当接片部7から受ける抜け止め用当接片部6の反力は、抜け止め用当接片部6がシャフト3の挿入側部3aの全周に渡ってシャフト3の円周方向に延在突出するように形成されているために、広い面積で被当接片部7に当接した抜け止め用当接片部6前端に分散されることになって、抜け止め用当接片部6に掛かる単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部6が折損されてしまうことがないようになされ、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落を確実に防止することができる。
【0041】
さらにまた、サンバイザコア1−1の内壁には、被当接片部7と側壁部1−1aとの間に存するように、補助被当接片部8が起立形成されており、補助被当接片部8は、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した際に、被当接片部7に対して近接するか当接するように対向形成されていることから、サンバイザ本体1にカーテンエアバッグの膨張展開荷重がかかった場合、サンバイザコア1−1とサポート部材収容体1−1cとの重合部が口開きしてしまうことがあるが、この場合、もしも、サポート部材収容体1−1c側に形成した被当接片部7とシャフト3側の抜け止め用当接片部6とが当接係合し得ず、シャフト3に対してサンバイザ本体1が抜けてしまう恐れもあるが、このような場合、被当接片部7または補助被当接片部8のうちどちらか一方が少なくとも抜け止め用当接片部6に対向して係合することができることになって、シャフト3に対してサンバイザ本体1の抜け止めを常に防止することができる。
【0042】
しかも、被当接片部7と補助被当接片部8とを互いに対向させた二重構造にしているために、抜け止め用当接片部6は、被当接片部7と共に間接的に補助被当接片部8にも支持されることになって、サンバイザ本体1のシャフト3からの脱落がさらに確実に防止することができることになる。
【0043】
以上のように構成する本発明に係る実施例においては、サンバイザ本体1を、基本形状をプレート状に成形したサンバイザコア1−1とサンバイザコア1−1の片側側面に張設した発泡樹脂成形体1−2とで構成したために、従来のおける発泡樹脂成形体を挟合する両分割コア体の一方を廃止することができて、その分、更なる重量の軽減化を図ることができる。
【0044】
次に、図5および図6に示す本発明に係る第2の実施例について説明する。
【0045】
図5および図6に示す本発明に係る第2の実施例においては、サンバイザコア1−1は、第1の実施例のような側壁部1−1aを有せず構成して、その両側側面に発泡樹脂成形体1−2を張設するように構成した点、上記第1の実施例に対して特徴を有するもので、第1の実施例の構成に対応する部分には、同一符号を付説明する。
【0046】
図において、本発明の第2の実施例に係るサンバイザ構造は、やはり、車両の運転席或いは助手席の前方または側方より齎される照射光を遮光すべく矩形状を呈するサンバイザ本体1と、サンバイザ本体1内に内挿設置されたサポート部材2と、サポート部材2に一端側における挿入側部3aを回動可能に挿通する略L字上に折曲形成されたシャフト3と、シャフト3の他端側における取付け側部3bを車体(不図示)側の取付けるためのブラケット4とを有して構成されている。
【0047】
ブラケット4は、シャフト3を回動可能に支承すると共に、シャフト3はサンバイザ本体1を回動可能に支承している。
【0048】
従って、太陽光や対向車の前照灯光などの照射光が運転席或いは助手席の側方より齎された場合には、サンバイザ本体1は、シャフト3を介して車体に対して下方に回動させると共にブラケット4に対して車両の側方に回動させることによって車両の側方に位置させて、車両の側方より照射される照射光を遮光するようになっている。
【0049】
そして、サンバイザ本体1は、全体形状を略プレート状に形成したサンバイザコア1−1と、サンバイザコア1−1の両側側面にインサート成形或いは接着等により張設したPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体1−2と、発泡樹脂成形体1−2をサンバイザコア1−1と共に外装被覆する表皮材1−3とを有して構成している。
【0050】
さらに、サンバイザコア1−1の一側長手片部先端には、薄肉状のヒンジ1−1bを介してサポート部材収容体1−1cが一体に形成されている。
【0051】
サポート部材収容体1−1cは、起立壁1−1dが形成されていると共に、一方側にほぼ寄らせた状態でサポート部材収容体1−1cの一部と共に、ボックス状のサポート部材収容体1−1eが形成されている。
【0052】
サポート部材収容体1−1e内には、サポート部材2が収容されている。サポート部材2の互いに対向する壁面に、それぞれガイド溝1−1hが形成されていると共に、サンバイザコア1−1およびサポート部材収容体1−1cにはそれぞれガイド溝1−1hに摺動可能に嵌合するガイド突起1−1iが形成されていて、サンバイザ本体1の長手方向(自動車の前後方向)にスライド可能に収容している。
【0053】
従って、サポート部材収容体1−1cは、ヒンジ1−1bを中心にサンバイザコア1−1側に回転させることによりサンバイザコア1−1の両側側面に対して段差を有するように重合配置することによってサンバイザ本体1を構成した際、サンバイザ本体1がシャフト3の軸線方向にスライドできるように構成している。そして、サンバイザコア1−1の両側側面に発泡樹脂形成袋1−2を張設した際、前記段差は解消され、発泡樹脂成形体 1−2とサポート部材収容体1−1cとは略面一に連設するようになっている。
【0054】
サンバイザ本体1に内挿設置されたサポート部材2は、PP等の合成樹脂を射出成形等により成形した樹脂成形体から構成され、円筒状に形成された軸受け部2aと軸受け部2a同士を連結すべくプレート状に形成された取付け部2bとからなり、軸受け部2aは、シャフト3の挿入側部3aを回動可能に挿通軸受けする軸孔が設けられると共に、板バネ5を挿入するための開口2cを境にして、前後2列に分割されている。
【0055】
板バネ5は、軸孔2a−1に軸受けされたシャフト3の挿入側部3aの外周面の一部に弾接することにより、サンバイザ本体1をシャフト3廻りに回動操作する際の回動トルクを生じさせるように構成されている。
【0056】
シャフト3の挿入側部3aには、その外周全周にわたって連続してシャフト3の円周方向に延在突出するように抜け止め用当接片部6が形成されている。
【0057】
抜け止め用当接片部6は、シャフト3の挿入側部3aにおけるサポート部材2より外側(取付け側部3b側)に表出している位置になるようにシャフト3の挿入側部3aのほほ中間部に形成されている。
【0058】
抜け止め用当接片部6に対向しているサポート部材収容体1−1eの一方側の短片側の側壁部は、抜け止め用当接片部6に当接係合する被当接片部7を構成しており、被当接片部7は、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部7bが形成されている。
【0059】
また、サンバイザコア1−1の内壁には、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した状態で、被当接片部7と側壁部1−1aとの間に存するように、補助被当接片部8が起立形成されている。
【0060】
補助被当接片部8は、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した際に、被当接片部7に対して、近接するか当接するように形成されている。
【0061】
そして、補助被当接片部8にも、シャフト3の挿入側部3aを軸受けするために、半円形の切欠き軸受け部8aが形成されていて、切欠き軸受け部8aと切欠き軸受け部7bとは側面視略円孔を形成するようになっている。
【0062】
かかる構成により、本実施例においては、シャフト3に対してサンバイザ本体1がスライド移動可能に装着され、サンバイザ本体1をシャフト3の軸線方向にスライドさせることによって、サンバイザ本体1の遮光範囲を変更可能に構成しており、当該スライド位置において、板バネ5が発生する回転トルクによりシャフト3上に保持されていることになる。
【0063】
しかも、車両の天井側部に配設されるカーテンエアバッグ(不図示)における膨張展開力をサンバイザ本体1が受けた場合には、シャフト3側の抜け止め用当接片部6が、サンバイザ本体1側における略ボックス状に形成したサポート部材収容体1−1eの側壁部が構成する被当接片部7に当接係合することによって、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落が防止され、しかも、被当接片部7から受ける抜け止め用当接片部6の反力は、抜け止め用当接片部6がシャフト3の挿入側部3aの全周に渡ってシャフト3の円周方向に延在突出するように形成されているために、広い面積で被当接片部7に当接した抜け止め用当接片部6前端に分散されることになって、抜け止め用当接片部6に掛かる単位当りの集中荷重を低く抑えることができ、抜け止め用当接片部6が折損されてしまうことがないようになされ、シャフト3からのサンバイザ本体1の脱落を確実に防止することができる。
【0064】
さらにまた、サンバイザコア1−1の内壁には、被当接片部7と側壁部1−1aとの間に存するように、補助被当接片部8が起立形成されており、補助被当接片部8は、サンバイザコア1−1にサポート部材収容体1−1cを重合した際に、被当接片部7に対して近接するか当接するように対向形成されていることから、サンバイザ本体1にカーテンエアバッグの膨張展開荷重がかかった場合、サンバイザコア1−1とサポート部材収容体1−1cとの重合部が口開きしてしまうことがあるが、この場合、もしも、サポート部材収容体1−1c側に形成した被当接片部7とシャフト3側の抜け止め用当接片部6とが当接係合し得ず、シャフト3に対してサンバイザ本体1が抜けてしまう恐れもあるが、このような場合、被当接片部7または補助被当接片部8のうちどちらか一方が少なくとも抜け止め用当接片部6に対向して係合することができることになって、シャフト3に対してサンバイザ本体1の抜け止めを常に防止することができる。
【0065】
しかも、被当接片部7と補助被当接片部8とを互いに対向させた二重構造にしているために、抜け止め用当接片部6は、被当接片部7と共に間接的に補助被当接片部8にも支持されることになって、サンバイザ本体1のシャフト3からの脱落がさらに確実に防止することができることになる。
【0066】
以上のように構成する本発明に係る実施例においては、サンバイザ本体1を、基本形状をプレート状に成形したサンバイザコア1−1とサンバイザコア1−1の両側側面に張設した発泡樹脂成形体1−2とで構成したために、従来のおける発泡樹脂成形体を挟合する両分割コア体の一方を廃止することができて、その分、更なる重量の軽減化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、サンバイザ本体を、基本形状をプレート状に成形したサンバイザコアとこのサンバイザコアの片側側面または両側側面に張設した発泡樹脂成形体とで構成したために、従来のように、発泡樹脂成形体を挟合していた両分割コア体の一方を廃止することができて、その分、更なる重量の軽減化を図ることができることから、車両の運転席或いは助手席の前方或いは側方から齎される太陽光や対向車の前照灯などの照射光を遮光すべくサンバイザ本体がサポート部材と共にシャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0068】
1 サンバイザ本体
1−1 サンバイザコア
1−1c サポート部収容体
1−2 発泡樹脂成形体
1−3 表皮材
2 サポート部材
3 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
日除け機能を持つべく矩形状を呈するサンバイザ本体が、サポート部材に軸承されたシャフトを介して車体に回動可能に支承されると共に、前記シャフトに対して回転可能に支持されており、且つ、前記サポート部材をスライド可能に収容するサポート部材収容体が前記サンバイザ本体1に形成されて、該サンバイザ本体1が前記サポート部材と共に前記シャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造において、
前記サンバイザ本体1が、
照射光を遮光すべく全体形状がほぼプレート状に形成したサンバイザコアと、
該サンバイザコアにおける互いに対向する一対の長辺部のうち一方の長辺部に薄肉状のヒンジを介して一体に形成され、且つ、前記サンバイザコアの両側面のうち一方の片側側面側における長手方向一方側に寄らせた位置において前記サンバイザコアの前記一方の片側側面に対して段差を有するように重合配置されたボックス状のサポート部材収容部を有するサポート部材収容体と、
前記サンバイザコアにおける前記サポート部材収容体が重合する以外の部位における前記一方の片側側面に前記段差を解消して前記サポート部材収容部とほぼ面一に連接するようにインサート成形或いは接着等により張設されたPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体と、
該発泡樹脂成形体1−2を前記サンバイザコアおよび前記サポート部材収容体とともに外装被覆する表皮材と、
を有して構成していることを特徴とする車両用サンバイザ構造。
【請求項2】
日除け機能を持つべく矩形状を呈するサンバイザ本体が、サポート部材に軸承されたシャフトを介して車体に回動可能に支承されると共に、前記シャフトに対して回転可能に支持されており、且つ、前記サポート部材をスライド可能に収容するサポート部材収容体が前記サンバイザ本体に形成されて、該サンバイザ本体が前記サポート部材と共に前記シャフトの軸線方向に対してスライド移動することによって遮光範囲を変更可能に構成された車両用サンバイザ構造において、
前記サンバイザ本体が、
照射光を遮光すべく全体形状がほぼプレート状に形成したサンバイザコアと、
該サンバイザコアにおける互いに対向する一対の長辺部のうち一方の長辺部に薄肉状のヒンジを介して一体に形成され、且つ、前記サンバイザコアの両側面のうち一方の片側側面側における長手方向一方側に寄らせた位置に前記サンバイザコアの両側面に対して段差を有するように重合配置されたボックス状のサポート部材収容部を有するサポート部材収容体と、
前記サンバイザコアにおける前記サポート部材収容体が重合する以外の部位における前記両側側面に前記サポート部材収容部に対してほぼ面一に連接するようにインサート成形或いは接着等により張設されたPPビーズ或いはウレタン等からなる発泡樹脂成形体と、
該発泡樹脂成形体を前記サンバイザコアおよび前記サポート部材収容体とともに外装被覆する表皮材と、
を有して構成していることを特徴とする車両用サンバイザ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42335(P2011−42335A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193515(P2009−193515)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)