説明

車両用ターンテーブル及び車両用ターンテーブルを用いた車両の方向転換方法

【課題】車両の駆動用車輪の回転を利用して回転盤を回転させることで車両の方向転換を行うにあたり、駆動用車輪の回転を回転盤に伝達する機構を簡素にすることが可能な車両用ターンテーブル及びこの車両用ターンテーブルを用いた車両の方向転換方法を提供する。
【解決手段】ターンテーブル1は、地面2の上に載置される架台3と、架台3上に立設された回転軸5aを中心に回転可能に支持された回転盤5と、回転盤5を回転させるための回転手段10と、車両の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪の回転を回転手段10に伝達するための回転伝達手段21,22と、他方の駆動用車輪の回転を阻止するための回転阻止手段31,32と、車両が回転盤5に対して進入・退出するためのスロープ6、7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を方向転換するための車両用ターンテーブル及びこの車両用ターンテーブルを用いた車両の方向転換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を方向転換するための装置として、車両の駆動用車輪の駆動トルクを利用して、車両を載せたターンテーブルを回転させるものが知られている。
例えば、特許文献1には、車両を上面に載置して回転可能な回転盤と、回転盤の下面に取り付けられて、地面上を回転しながら走行することで回転盤を回転させるための一対の回転輪と、回転盤上に載せられた車両の駆動用車輪に当接し、駆動用車輪の駆動トルクが伝達されて回転する駆動ローラーと、駆動ローラーにそれぞれ連結可能で、車両の後進方向へのみ回転する第一のギア及び車両の前進方向へのみ回転する第二のギアと、各ギアに連結されて、駆動ローラーの回転を各回転輪に伝達するための回転伝達装置と、駆動ローラーを第一のギア又は第二のギアの何れか一方に連結するためのクラッチ機構と、クラッチ機構を操作するレバーと、を備えたターンテーブルが開示されている。
【0003】
かかるターンテーブルでは、まず、車両を進入させる前に、レバーでクラッチ機構を操作して、駆動ローラーを第一のギアと連結することで、進入してくる車両の駆動両車輪の前進方向の回転駆動により駆動ローラーが回転しないようにする。その後、車両を回転盤上に前進進入させて所定の位置に停車させる。そして、方向転換する場合には、車両の駆動用車輪を後進方向に駆動させてその駆動トルクを駆動ローラー及び第一のギアを介して回転伝達装置に伝達し、回転輪を回転させることにより、回転盤を回転させて方向転換する。車両が所望の方向を向いたら駆動用車輪の回転を停止することで、方向転換も停止する。その後、レバーでクラッチ機構を操作して、駆動ローラーを第二のギアと連結し、駆動用車輪の後進方向の回転に対して駆動ローラーが回転しないようにした状態で、車両を後進退出させる。
【0004】
また、特許文献2には、車両を上面に載置して回転可能な回転盤と、地面上に、回転盤の回転軸の位置を中心として設置された円形のレールと、回転盤の下面側に取り付けられて、レール上を回転しながら走行可能な一対のプーリーと、車両の左右の駆動用車輪の回転により駆動される一対のタイミングベルトと、各タイミングベルトが駆動されるのに応じて、各プーリーに互いに逆向きに回転させる回転伝達装置と、回転盤に予め設定された位置で当接して停止させるためのストッパーと、を備えたターンテーブルが開示されている。
【0005】
かかるターンテーブルでは、まず、車両を進入させる前に、ストッパーを操作して回転盤を停止させる位置を設定する。その後、回転盤上に車両を前進進入させて駆動用車輪がタイミングベルト上に載るように停車させる。そして、方向転換する場合には、車両の駆動用車輪を前進方向に回転させてその駆動トルクをタイミングベルトを介して駆動力伝達装置に伝達し、プーリーを回転させることにより、回転盤を回転させて方向転換する。そして、回転盤がストッパーに当接して回転を停止することで、車両の方向転換も停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−89731号公報
【特許文献2】特開2001−26261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1記載されたターンテーブルでは、車両の駆動用車輪の回転により回転盤が回転する状態と、回転盤が回転しない状態とを実現するために、第一のギア又は第二のギアと駆動ローラーとを連結するためのクラッチ機構を設ける必要があり、また、特許文献2に記載されたターンテーブルでは、回転盤の回転を停止するためのストッパーを設ける必要があるなど、上記従来の車両用ターンテーブルでは、構造が複雑になりコストが高くなってしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、従来に比べて構成を簡素化することが可能な、車両の駆動用車輪の駆動トルクを利用した車両用ターンテーブル及びこのターンテーブルを用いた車両の方向転換方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ディファレンシャル機能の解除及び作動を切換可能な車両を回転盤上に載せ、前記回転盤の回転により当該車両を方向転換するための車両用ターンテーブルであって、
前記車両の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪の回転を、前記回転盤を回転駆動する回転手段に伝達するための回転伝達手段と、
前記回転伝達手段により前記一方の駆動用車輪の回転が前記回転手段に伝達されている状態で、前記左右一対の駆動用車輪のうち、他方の駆動用車輪の回転を阻止するための回転阻止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記回転阻止手段は、
前記車両のディファレンシャル機能を作動させた状態では、前記他方の駆動用車輪の回転を阻止し、
前記車両のディファレンシャル機能を解除した状態では、前記他方の駆動用車輪の回転を許容するように構成されていることとしてもよい。
【0011】
また、本発明において、一対の前記回転伝達手段及び一対の前記回転阻止手段が、それぞれ、前記回転盤の回転軸に関して互いに対称な位置に配置されることとしてもよい。
【0012】
また、本発明は、上述した車両用ターンテーブルを用いたディファレンシャル機能の解除及び作動を切換可能な車両の方向転換方法であって、
前記車両の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪が前記回転伝達手段に当接し、かつ、他方の駆動用車輪が前記回転阻止手段に当接するように、前記車両を前記回転盤上に停止させ、
前記車両のディファレンシャル機能を作動させた状態で、前記一対の駆動用車輪を駆動することにより、前記他方の駆動用車輪の回転を前記回転阻止手段により阻止しつつ、前記一方の駆動用車輪のみを回転させて、その回転を前記回転伝達手段を介して前記回転手段に伝達して前記回転盤を回転させ、
前記回転盤の回転と共に方向転換する前記車両が所望の向きに到達したら前記駆動用車輪の駆動を停止することにより、前記回転盤の回転を停止し、
前記車両のディファレンシャル機能を解除した状態で、前記一対の駆動用車輪を駆動することにより、前記車両を発進させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の駆動用車輪の駆動トルクを利用した車両用ターンテーブルの構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかるターンテーブルの平断面図である。
【図2】図1のA矢視図であり、ターンテーブルに車両を載置した状態を示している。
【図3】図1のB矢視図であり、ターンテーブルに車両を載置した状態を示している。
【図4】図1のC断面図である。
【図5】回転伝達手段及び回転阻止手段の他の設置例を示す図である。
【図6】回転阻止手段の他の例を示す図である。
【図7】回転阻止手段の他の例を示す図である。
【図8】回転阻止手段の他の例を示す図である。
【図9】回転阻止手段の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる車両用のターンテーブルの好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明では、ディファレンシャル機能の解除及び作動を切換可能な車両、例えば、ダンプトラックを対象としているが、本実施形態では、その一例として、トンネルの工事現場において、切羽での掘削土を搬出するダンプトラックを坑内で方向転換する場合について説明する。
なお、ディファレンシャル機能とは、走行車両がカーブする際に左右車輪の回転数に差を付けてカーブをスムーズに走行できるようにするためのものであり、ディファレンシャル機能が作動した状態では、左右何れか一方の駆動用車輪が氷に乗り上げるなど回転抵抗が小さい状態になると、回転抵抗が小さくなった駆動用車輪に駆動トルクの大半が伝達されて他方の駆動用車輪の駆動トルクが著しく小さくなる現象が生ずる。一方、ディファレンシャル機能が解除された状態では、左右の駆動用車輪には常に均等に駆動トルクが伝達される。本発明は、このディファレンシャル機能を作動させた状態の特性と、解除した状態の特性とを利用して、駆動用車輪の駆動トルクによりターンテーブルを回転させる状態と、車両がターンテーブルから退出し、あるいは、ターンテーブルを通過する状態とを、車両操作により切り替え得る点に特徴を有している。
【0016】
図1は、本発明の実施形態にかかるターンテーブル1の平断面図である。また、図2及び図3は、それぞれ図1のA矢視図及びB矢視図であり、ターンテーブル1に車両4を載置した状態を示している。さらに、図4は、図1のC断面図である。
【0017】
図1〜図4に示すように、ターンテーブル1は、地面2の上に載置される架台3と、架台3上に立設された回転軸5aを中心に回転可能に支持された回転盤5と、回転盤5を回転させるための回転手段10と、車両4の左右一対の駆動用車輪4a、4bのうち、一方の駆動用車輪4aの回転を回転手段10に伝達するための回転伝達手段20(20a、20b)と、他方の駆動用車輪4bの回転を阻止するための回転阻止手段30(30a、30b)と、車両が回転盤5に対して進入・退出するためのスロープ6、7と、を備えている。
【0018】
車両4は、スロープ6側から進入してスロープ7側へ退出したり、これとは逆にスロープ7側から進入してスロープ6側へ退出したりすることができる。
【0019】
回転伝達手段20a、20bは、回転盤5が所定の回転位置(車両4がスロープ6、7から回転盤5上に進入する際の位置)にあるときに、回転盤5に進入して所定位置で停止した車両4の左右一対の駆動用車輪4a,4bのうち一方(図面の構成例では車両進行方向左側)の駆動用車輪4aが載る位置に設けられている。また、回転阻止手段30は、一方の駆動用車輪4aが回転伝達手段20に載った状態で、他方の駆動両車輪4bが載る位置に設けられている。
本実施形態では、車両4がターンテーブル1のスロープ6、7の両方から進入・退出可能となるように、一対の回転伝達手段20a、20b、及び一対の回転阻止手段30a、30bを、それぞれ、回転盤5の回転軸5aに関して互いに対称な位置に設置している。例えば、図1〜図3に示す構成例では、車両4がスロープ6からターンテーブル1に前進進入した場合、車両進行方向左側の駆動用車輪4aが回転伝達手段20a上に載り、車両進行方向右側の駆動用車輪4bが回転阻止手段30a上に載る。一方、車両4がスロープ7からターンテーブル1に前進進入した場合、車両進行方向左側の駆動用車輪4aが回転伝達手段20b上に載り、車両進行方向右側の駆動用車輪4bが回転阻止手段30b上に載ることとなる。
【0020】
各回転伝達手段20a、20bは、一対のローラー21、22を備えており、これらのローラー21、22間に載った駆動用車輪4aが回転することにより、両ローラー21、22が回転する。
【0021】
一対のローラー21、22のうち、一方のローラー21(以下、駆動ローラー21という)の回転軸23には、連結軸24が延設されており、この連結軸24を介して駆動ローラー21の回転が回転手段10に伝達される。
【0022】
各回転阻止手段30a、30bは、2本のアングル31、32を備えており、駆動用車輪4bがその前後をアングル31、32で挟まれる状態になることで、駆動用車輪4bの回転が阻止される。
【0023】
2本のアングル31、32は、回転盤5上に角部が上となるように溶接等により固定されており、後述するように、車両4がディファレンシャル機能を作動させた状態で、駆動用車輪4aが回転伝達手段20a、20b上で回転することでその回転抵抗が小さくなると、ディファレンシャル機能の作用により駆動トルクは駆動用車輪4aに伝達され、駆動トルクが小さくなった駆動用車輪4bはアングル31、32でその回転が完全に阻止される。一方、車両4がディファレンシャル機能を解除した状態では、駆動用車輪4aが回転伝達手段20a、20b上で回転しても、他方の駆動用車輪4bにも駆動用車輪4aと同様の駆動トルクが作用するので、この駆動トルクによってアングル31、32を乗り越えて通過することができるようになっている。
【0024】
図1及び図4に示すように、回転手段10は、上記連結軸24に取り付けられたギア11と、減速機12と、ギア11の回転を減速機12の入力軸12aに伝達するチェーン13と、回転盤5の下面に固定された円形のガイドレール14と、ガイドレール14の下面に当接するように設けられた複数のテーブルローラー15と、を備えている。
なお、ガイドレール14の下面は、外周側ほど上側となるような斜面に形成されており、これにより、回転盤5の位置が径方向にずれることが防止される。
【0025】
ガイドレール14は、その中心が回転盤5の回転軸5aの位置と一致するように設置されており、テーブルローラー15により、回転軸5aを中心として回転盤5と一体に回転するように支持されている。また、減速機12の出力軸12bにはゴムタイヤ16が、ガイドレール14の下面に当接するように取り付けられている。
【0026】
車両4の駆動用車輪4aから伝達された駆動トルクにより駆動ローラー21が回転すると、その回転がチェーン13を介して減速機12に入力される。そして、減速機12に入力された回転は減速されて出力軸12bに伝達され、出力軸12bのゴムタイヤ16を回転させる。
【0027】
上記のように、ゴムタイヤ16はガイドレール14の下面に当接しているので、ゴムタイヤ16が回転すると、ゴムタイヤ16とガイドレール14との間に生じる摩擦力によってガイドレール14が回転し、これに伴って回転盤5も回転する。
【0028】
次に、上述した構成からなるターンテーブル1を用いた車両4の方向転換方法について説明する。
【0029】
まず、図2及び図3に示すように、坑口から切羽へ向かって移動する車両4を、通常の走行時と同様にディファレンシャル機能を作動させた状態で、スロープ6から前進方向に回転盤5上に進入させる。駆動用車輪4a、4bの駆動により、車両4の前輪が駆動力伝達手段20と回転阻止手段30上を通過した後、駆動用車輪4a、4bが駆動力ならびに車両4の慣性で駆動力伝達手段20の手前側の駆動ローラー21及び回転阻止手段30の手前側のアングル32を乗り越えたら、アクセル操作を解除し、ブレーキを使用して駆動用車輪4aを駆動ローラー21、22間に、駆動用車輪4bをアングル31、32間に停止させる。
なお、車両4が上記所定位置に達した際、車両4は、駆動力伝達手段20を構成する手前側の駆動ローラー21及び回転阻止手段30を構成する手前側のアングル32を乗り越えるので、運転者は、その際の軽い衝撃によっても、車両4が所定位置に達したことを確実に把握することができる。
また、車両4が上記所定位置に達すると、駆動用車輪4aが駆動ローラー21、22上にて低抵抗で回転することにより、駆動用車輪4bに作用する駆動トルクが減少して車両4は停止するので、その後、アクセル操作の解除及びブレーキ操作を行ってもよい。
【0030】
次に、車両4のディファレンシャル機能を作動させた状態のまま、運転者のアクセル操作により、駆動用車輪4a、4bに駆動トルクを作用させる。この状態では、一方の駆動用車輪4aが回転伝達手段20a上にて低抵抗で回転するため、駆動トルクは駆動用車輪4aに伝達されて他方の駆動用車輪4bに作用する駆動トルクは小さくなる。駆動トルクが小さくなった駆動用車輪4bの回転が回転阻止手段30aにより阻止されるとともに、駆動用車輪4aが駆動ローラー21、22上で回転することにより、車両4が停止した状態のまま、一方の駆動用車輪4aの駆動トルクを駆動ローラー21を介して回転手段10に伝達して回転盤5を回転させることができる。なお、回転盤5の回転方向は駆動ローラー21の回転方向に依存するので、駆動用車輪4aを前進方向又は後進方向の何れに駆動するかによって、回転盤5の回転方向を選択することもできる。
【0031】
回転盤5の回転により、車両4が所望の向きに到達したら運転者がアクセルを緩め、必要に応じてブレーキ操作をすることで駆動用車輪4a、4bへの駆動トルクの付与を停止する。これにより、駆動用車輪4aの回転が停止し、これに伴って駆動ローラー21の回転が停止するので、回転盤5の回転も停止することとなる。
【0032】
次に、車両4のディファレンシャル機能を解除して、運転者がアクセル操作することにより、駆動用車輪4a、4bを後退方向に駆動させる。この状態では、一方の駆動用車輪4aが駆動ローラー21上にて低抵抗で回転しても、他方の駆動用車輪4bには駆動用車輪4aと同様の駆動トルクが伝達されるので、駆動用車輪4bが車両後方側のアングル32を乗り越えて車両4は後方へ発進することができる。
なお、本実施形態では、切羽部分においてトンネル8の掘削の際に生じた土砂を車両4に積載するために、車両4が坑口側を向くまで回転盤5を180°回転させた後、上記のように、切羽側へ向けて車両4を後進させることとしている。
そして、切羽部分において土砂の積載を完了した車両4は土砂を坑外へ搬出すべく坑口へ向けて前進するが、ターンテーブル1を通過する際には、ディファレンシャル機能を解除する。これにより、駆動用車輪4aが回転伝達手段20上を低抵抗で回転しても、駆動用車輪4bに充分な駆動トルクが作用するので回転阻止手段30を乗り越えて通過することができる。
【0033】
以上説明した本実施形態におけるターンテーブル1によれば、車両4が備えるディファレンシャル機能の作動及び解除の切換によって、車両4が回転盤5上で停止して、駆動用車輪4aの駆動トルクにより回転盤5が回転する状態と、車両4が回転盤5から退出したり、通過したりできる状態とを実現できるため、特許文献1に記載されたターンテーブルのように、ギアの回転方向の制御機構やクラッチ機構が不要となり、また、回転盤5の回転の停止を、車両4の運転者の運転操作で行えるので、特許文献2のように、ストッパー機構も不要となるので、構成を簡素化することができる。
また、回転手段10は、主にガイドレール14と減速機12とチェーン13とにより構成されており、構成部品点数が少なくて済むので、その点でも、低コスト化を図ることができる。
さらに、回転盤5をゴムタイヤ16とガイドレール14とにより駆動しているので、方向転換時の騒音及び衝撃を抑制することができる。
【0034】
また、上記特許文献に記載されたターンテーブルを用いて車両4を方向転換する場合には、レバーやストッパーを操作するために、運転者が乗降したり、窓を開閉したり、又は操作用の係員を配置する必要がある等の問題があるのに対して、本実施形態によれば、運転手による車両4の操作のみで、回転盤5の回転と停止をコントロールできるので、そのような問題を解消できる。
【0035】
さらに、上記実施形態では、一対の回転伝達手段20a、20b及び一対の回転阻止手段30a、30bを、それぞれ回転盤5の回転軸5aに関して互いに対称に設けたので、車両4はターンテーブル1のスロープ6、7の何れの方向にも進入・退出可能である。また、回転盤5が180°回転すると、回転伝達手段20a、20b及び回転阻止手段30a、30bの配置は、回転前と同じ状態となるので、その状態のまま(つまり、人手により回転盤5を元の位置に戻すことなく)、次の車両4の方向転換を行うことができる。
ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、図5に示すように、回転伝達手段20a及び回転阻止手段30aを、回転盤5の片側端部のみに設置してもよい。この構成では、駆動用車輪4aの駆動トルクを回転盤5に伝達する機構も、一方の駆動用車輪4aに対応したものでよいため、ターンテーブル1の構造をより一層簡素化することができ、これによりターンテーブル1の更なる簡素化を図ることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、回転阻止手段30a、30bとして、回転盤5の上方に突出するようにアングル31、32材を設けたが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、駆動用車輪4bに当接する側の面の断面形状が円弧状の車止め33、34や、図7に示すように、断面形状が、なだらかな山型の形状の車止め35、36を用いてもよい。また、図8に示すように、回転盤5の上面に凹部37を設けてもよく、かかる場合には、駆動用車輪4bの下部が挟まる程度の大きさで、駆動用車輪4bにディファレンシャル機能の作動による減少した駆動トルクが作用したときに脱出可能な深さとする。また、回転阻止手段30a、30bとして、図9に示すように、駆動用車輪4bの回転を低減可能なシート状の高摩擦材38を設けてもよい。かかる高摩擦材38として、例えば、骨材等を含有し、その一部が表面から突き出ている合成樹脂板やタイルを用いることができる。この場合、高摩擦材38は、車両4のディファレンシャル機能が作動した状態で、駆動用車輪4aが回転伝達手段20上において小さな抵抗で回転することにより駆動用車輪4bに駆動トルクが減少した際に、その駆動トルクでは駆動用車輪4bが回転しない程度に、高摩擦材38上の駆動用車輪4bの回転抵抗が大きくなるような構成とする。
要するに、回転阻止手段30として、駆動用車輪4aが回転伝達手段20上において小さな駆動トルクで回転したときに、ディファレンシャル機能により駆動トルクが減少した駆動用車輪4bが回転しないようにすることができるものであればよい。
【0037】
なお、上記実施形態では、トンネル8の工事現場において、ダンプトラックである坑口から切羽へ向かう車両4をターンテーブル1により180°方向転換した後、切羽へ向けて後進方向に発進させて、切羽での掘削土を積載する場合について説明したが、本発明は、これに限らず、狭いトンネル8内で向きを180°転換させた車両4を前進方向に発進させる(つまり、進行方向を180°転換させる)場合にも適用可能である。
また、車両4の転換方向は180°に限らず、任意の角度だけ方向転換させることが可能である。
【0038】
さらに、本発明は、トンネル8内での用途に限定されるものではなく、駐車場の出入り口付近、狭い通路のコーナー部等、車両4の運転では方向転換が困難な任意の場所での車両4の方向転換に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ターンテーブル
2 地面
3 架台
4 車両
4a 駆動用車輪
4b 駆動用車輪
5 回転盤
5a 回転軸
6 スロープ
7 スロープ
8 トンネル
10 回転手段
11 ギア
12 減速機
12a 入力軸
12b 出力軸
13 チェーン
14 ガイドレール
15 テーブルローラー
16 ゴムタイヤ
20(=20a、20b) 回転伝達手段
21 駆動ローラー
22 ローラー
23 回転軸
24 連結軸
30(=30a、30b) 回転阻止手段
31 アングル
32 アングル
33 車止め
34 車止め
35 車止め
36 車止め
37 凹部
38 高摩擦材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディファレンシャル機能の解除及び作動を切換可能な車両を回転盤上に載せ、前記回転盤の回転により当該車両を方向転換するための車両用ターンテーブルであって、
前記車両の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪の回転を、前記回転盤を回転駆動する回転手段に伝達するための回転伝達手段と、
前記回転伝達手段により前記一方の駆動用車輪の回転が前記回転手段に伝達されている状態で、前記左右一対の駆動用車輪のうち、他方の駆動用車輪の回転を阻止するための回転阻止手段と、
を備えることを特徴とする車両用ターンテーブル。
【請求項2】
前記回転阻止手段は、
前記車両のディファレンシャル機能を作動させた状態では、前記他方の駆動用車輪の回転を阻止し、
前記車両のディファレンシャル機能を解除した状態では、前記他方の駆動用車輪の回転を許容するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ターンテーブル。
【請求項3】
一対の前記回転伝達手段及び一対の前記回転阻止手段が、それぞれ、前記回転盤の回転軸に関して互いに対称な位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ターンテーブル。
【請求項4】
上述した請求項1〜3のうち、何れか一項に記載の車両用ターンテーブルを用いたディファレンシャル機能の解除及び作動を切換可能な車両の方向転換方法であって、
前記車両の左右一対の駆動用車輪のうち、一方の駆動用車輪が前記回転伝達手段に当接し、かつ、他方の駆動用車輪が前記回転阻止手段に当接するように、前記車両を前記回転盤上に停止させ、
前記車両のディファレンシャル機能を作動させた状態で、前記一対の駆動用車輪を駆動することにより、前記他方の駆動用車輪の回転を前記回転阻止手段により阻止しつつ、前記一方の駆動用車輪のみを回転させて、その回転を前記回転伝達手段を介して前記回転手段に伝達して前記回転盤を回転させ、
前記回転盤の回転と共に方向転換する前記車両が所望の向きに到達したら前記駆動用車輪の駆動を停止することにより、前記回転盤の回転を停止し、
前記車両のディファレンシャル機能を解除した状態で、前記一対の駆動用車輪を駆動することにより、前記車両を発進させることを特徴とする車両用ターンテーブルを用いた車両の方向転換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−96728(P2012−96728A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247680(P2010−247680)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】