説明

車両用ドアのアウトハンドル装置

【課題】車体に一端部が回動可能に支承されるドアに取付けられる支持部材で操作ハンドルの一端部が回動可能に支承され、操作ハンドルの他端部に対応してドアに取付けられるベース部材に、電気部品を収納、保持するホルダが取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置において、部品点数および組み付け工数の低減を図るとともに、コストの低減を図る。
【解決手段】ドアDの他端側の端壁38に取付けられる被取付け部15cが、アウターパネル18と斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔33を有してベース部材15に一体に設けられ、取付け孔33の内端閉塞部に一端を開口させて取付け孔33の軸線に沿う方向に延びる係合孔66が、その他端を被取付け部15cの外周に開口するようにして被取付け部15cに設けられ、係合孔66の他端部に係合する係合突起17cがホルダ17に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に一端部が回動可能に支承されるドアの一部を構成するアウターパネルの外方に配置されて長尺に形成される把持部を有する操作ハンドルと、該操作ハンドルの一端部を回動可能に支承するようにして前記ドアに取付けられる支持部材と、前記操作ハンドルの他端部に対応して前記ドアに取付けられる合成樹脂製のベース部材と、電気部品を収納、保持して前記ベース部材に取付けられるホルダとを備える車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ユーザがドアを施錠するために操作することでオンオフするスイッチが、ドアパネルに取付けられたベース部材に2本の取付け用ビスで締結、固定されるようにした構造が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−145228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示された構造では、スイッチをベース部材に固定するための部品点数や組み付け工数が多くなり、コスト増大を招くという課題がある。
【0005】
そこでベース部材に係合孔を形成しておき、ホルダをその係合孔に係合して仮に位置決めし、1つのねじ部材でホルダをベース部材に締結、固定することで、部品点数および組み付け工数の低減を図ることが考えられるが、型成形されるベース部材に係合孔を形成するための金型構造が複雑となっては、コストの増大を招いてしまう。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、電気部品をベース部材に固定するにあたって部品点数および組み付け工数の低減を図るとともに、コストの低減を図った車両用ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体に一端部が回動可能に支承されるドアの一部を構成するアウターパネルの外方に配置されて長尺に形成される把持部を有する操作ハンドルと、該操作ハンドルの一端部を回動可能に支承するようにして前記ドアに取付けられる支持部材と、前記操作ハンドルの他端部に対応して前記ドアに取付けられる合成樹脂製のベース部材と、電気部品を収納、保持して前記ベース部材に取付けられるホルダとを備える車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記ドアの他端側の端壁に取付けられる被取付け部が、前記アウターパネルと斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔を有して前記ベース部材に一体に設けられ、前記取付け孔の内端閉塞部に一端を開口させて前記取付け孔の軸線に沿う方向に延びる係合孔が、その他端を前記被取付け部の外周に開口するようにして前記被取付け部に設けられ、前記ホルダに、前記係合孔の他端部に係合する係合突起が設けられることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記電気部品が、前記ドアの施錠および解錠意志の少なくとも一方を示すための車両ユーザの操作によってオンオフするスイッチであることを第2の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記電気部品が、車外を撮像するカメラまたは人の近接を検知する近接センサであることを第3の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記係合突起を前記係合孔に係合させた状態の前記ホルダが、1つの締結部材で前記ベース部材に締結されることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記ベース部材に形成されて前記アウターパネル側に臨む取付け面に、当該ベース部材の前記ドアへの取付け状態で前記アウターパネルおよび前記取付け面間に挟持されるシール部材が装着され、前記アウターパネルと反対側から前記シール部材に当接、係合するようにして前記取付け面と面一となる係合耳部が、前記ホルダから側方に突出するようにして該ホルダに設けられることを第5の特徴とする。
【0012】
本発明は、第5の特徴の構成に加えて、前記ベース部材に、前記係合耳部に前記シール部材を介して前記アウターパネルが当接する方向とは反対側から前記ホルダに当接するホルダ受け面と、該ホルダ受け面から突出する位置決め突起とが設けられ、前記ホルダに、前記位置決め突起を嵌合せしめる嵌合孔が設けられることを第6の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ホルダは、前記電気部品を周囲から囲む周壁部を有し、前記電気部品に一端部が接続されるハーネスを挿通可能なスリットが前記周壁部に設けられることを第7の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第7の特徴の構成に加えて、一対の前記係合突起が、前記スリットを相互間に挟むようにして前記周壁部に突設されることを第8の特徴とする。
【0015】
なお実施の形態の第2シール部材28が本発明のシール部材に対応し、実施の形態のねじ部材73が本発明の締結部材に対応し、実施の形態の前部サイドドアDが本発明のドアに対応する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1〜第8の特徴によれば、電気部品を保持するホルダに設けられる係合突起を係合させる係合孔がベース部材に設けられるので、電気部品をベース部材に固定するにあたって、ねじ部材の本数を減らすことができ、部品点数および組み付け工数を低減することができる。しかも係合孔は、一端部が車体に回動可能に支承されるドアの他端側の端壁に取付けられるようにしてベース部材に一体に設けられる被取付け部に設けられるものであり、被取付け部が有する有底の取付け孔の軸線に沿う方向に延びるとともに一端を取付け孔の内端閉塞部に開口するとともに被取付け部の外周に他端を開口するように形成されるので、ベース部材の型成形時に用いられる金型の構造が複雑となるのを回避することができ、部品点数および組み付け工数の低減と相まってコストの低減を図ることができる。
【0017】
また特に第4の特徴によれば、係合突起を係合孔に係合させた状態のホルダが1つの締結部材でベース部材に締結されるので、電気部品をベース部材に固定するにあたって必要とする部品を最小限として部品点数および組み付け工数を低減することができる。
【0018】
特に第5の特徴によれば、ベース部材に形成されてアウターパネル側に臨む取付け面にシール部材が装着され、アウターパネルと反対側からシール部材に当接、係合する係合耳部が取付け面と面一にしてホルダに設けられるので、ベース部材をドアに組み付ける前の状態でホルダをベース部材に仮組みしておくことが可能である。しかもホルダにドアの外方側から力が作用してもその力の一部をドアパネルで受けるようにしてホルダのベース部材への取付け部に作用する荷重を低減することができ、またアウターパネルおよびベース部材間にシール部材を挟むことで異音の発生を防止することができ、ベース部材が金属製のものである場合、ベース部材がアウターパネルに直接接触しないようにしてメタルタッチを防ぐことができる。
【0019】
特に第6の特徴によれば、前記ホルダに、前記ベース部材に設けられたホルダ受け面が係合耳部にシール部材を介してアウターパネルが当接する方向とは反対側から当接し、ホルダ受け面から突出する位置決め突起がホルダに設けられる嵌合孔に嵌合されるので、ベース部材の取付け面に装着されたシール部材にホルダの係合耳部をアウターパネルと反対側から当接、係合させてホルダをベース部材に仮組みしておく際に、ホルダをより確実にベース部材に仮組みしておくことができ、しかもホルダが、シール部材およびホルダ受け面間に挟まれるので、ベース部材のドアへの取付け状態でホルダをベース部材およびドアに固定することができ、ホルダをベース部材に固定するにあたって締結部材が不要であり、部品点数をさらに低減することができる。
【0020】
特に第7の特徴によれば、電気部品を周囲から囲むようにしてホルダが有する周壁部に、電気部品に一端部が接続されるハーネスを挿通可能なスリットが設けられるので、ハーネスの他端部にカプラが設けられていたり、ホルダからの突出部分でハーネスがカバーで覆われているとしても、ハーネスが接続された状態の電気部品をホルダに組み付けることが容易となる。
【0021】
さらに特に第8の特徴によれば、一対の係合突起がスリットを相互間に挟むようにして周壁部に突設されるので、両係合突起が近接、離反するように周壁部を撓ませることができ、係合突起の係合孔への係合操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態の乗用車両の斜視図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4矢示部拡大図である。
【図5】図3の5−5線矢視拡大図である。
【図6】図2の6−6線拡大断面図である。
【図7】第2ナットが固定されていないベース部材および第2シール部材の分解斜視図である。
【図8】第2の実施の形態の図5に対応した図である。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】第3の実施の形態の図5に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明の第1の実施の形態について図1〜図7を参照しながら説明すると、先ず図1において、この乗用車両が備えるドアたとえば前部サイドドアDの一端部(前端部)は車体Bで回動可能に支承されており、前記前部サイドドアDの前部にはドアミラー11が配設される。また前記前部サイドドアDの他端側すなわち後端側には、本発明に従うアウトハンドル装置12が取付けられる。
【0025】
図2および図3を併せて参照して、前記アウトハンドル装置12は、操作ハンドル13と、該操作ハンドル13の一端部を回動可能に支承するようにして前記前部サイドドアDに取付けられる支持部材14と、前記操作ハンドル13の他端部に対応して前記前部サイドドアDに取付けられる合成樹脂製のベース部材15と、前記前部サイドドアDの施錠および解錠意志の少なくとも一方を示すための車両ユーザの操作によってオンオフするスイッチ16を電気部品として収納、保持して前記ベース部材15に取付けられるホルダ17とを備える。
【0026】
前記操作ハンドル13は、前記前部サイドドアDの一部を構成するアウターパネル18に回動可能に支承されるものであり、車両ユーザが把持することを可能としつつ車両の前後方向(図2の左右方向)に延びて長尺に形成されるとともに前記アウターパネル18の外方に配置される把持部13aと、該把持部13aの一端部(この実施の形態では車両の前後方向に沿う前端部)に一体に連設される支持腕部13bと、前記把持部13aの他端部(この実施の形態では車両の前後方向に沿う後端部)に一体に連設されるガイド腕部13cとを有して、硬質の合成樹脂によって形成される。
【0027】
また前記操作ハンドル13の一端側で前記アウターパネル18には硬質の合成樹脂から成る支持部材14が取付けられ、前記操作ハンドル13の他端側で前記アウターパネル18には硬質の合成樹脂から成るベース部材15が取付けられる。
【0028】
前記アウターパネル18には、前記操作ハンドル13の把持部13aおよび前記アウターパネル18間に車両ユーザの手を挿入することを可能とするための窪み19を形成するための彎曲部18aが内方側に膨らむようにして設けられ、その彎曲部18aを車両の前後方向に沿う前後両側から挟む位置でアウターパネル18の外面には、第1および第2取付け座21,22が設けられる。
【0029】
支持部材14と、第1取付け座21との間には合成樹脂から成る薄板平板状の第1シール部材23が介装される。しかも支持部材14には、第1シール部材23およびアウターパネル18を貫通してアウターパネル18の内方に挿入されるハンドル支持部14aが一体に設けられる。また支持部材14の前記アウターパネル18に臨む面には金属製の第1ナット24が埋設されており、アウターパネル18に内方側から挿通される第1ボルト25を第1ナット24に螺合して締めつけることによって支持部材14がアウターパネル18の第1取付け座21に取付けられる。
【0030】
前記支持腕部13bは、略L字状に屈曲するように形成されて前記把持部13aの一端部に一体に連設されており、前記アウターパネル18の第1取付け座21および支持部材14には、前記支持腕部13bをアウターパネル18の内方に挿入するための第1透孔26が設けられ、前記ハンドル支持部14a内に配置される前記支持腕部13bは、支持ピン27を介して前記ハンドル支持部14aに回動可能に支承される。すなわち操作ハンドル13の一端部は、支持部材14を介してアウターパネル18に回動可能に支承されている。
【0031】
図4〜図6を併せて参照して、ベース部材15は硬質の合成樹脂により形成されるものであり、アウターパネル18における第2取付け座22の外方に配置されるベース部材主部15aと、前記操作ハンドル13における把持部13aの他端部に略直角に連設される前記ガイド腕部13cをガイドするようにして前記ベース部材主部15aの前部からアウターパネル18の内方に延出されるガイド部15bと、前記ベース部材主部15aの後部からアウターパネル18の内方に延出される被取付け部15cとを一体に有するものであり、ベース部材主部15aの少なくとも周縁部および第2取付け座22間にゴムもしくは合成樹脂等の弾性材から成る薄板平板状の第2シール部材28が介装される。
【0032】
ベース部材15におけるベース部材主部15aの前記窪み19側の端部すなわち前端部には、前記把持部13aの他端部を受け入れるための受け入れ凹部29が設けられる。而して前記ベース部材主部15aは、前記受け入れ凹部29に前記把持部13aの他端部を受け入れた状態で、把持部13aおよびベース部材主部15aの一体感が得られるような形状を有するように形成されるものであり、ベース部材主部15aの受け入れ凹部29には前記ガイド腕部13cを挿入せしめる矩形状の挿入孔30が設けられ、前記ガイド部15bは前記挿入孔30に連なって角筒状に形成される。
【0033】
前記被取付け部15cは、前部サイドドアDの他端側すなわち後端側の端壁38に取付けられるものであり、この被取付け部15cには、車両の後方に向かうにつれてアウターパネル18から遠ざかるように傾斜した軸線を有して前記アウターパネル18と斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔33が設けられ、内周に雌ねじ32が設けられる第2ナット31が、前記取付け孔33の開口端部に圧入によって固定される。
【0034】
一方、前部サイドドアDの後端側の端壁38には、前記被取付け部15cに対応する部分で前方側に凹んだ凹部39が設けられており、その凹部39は、前記被取付け部15cの先端すなわち第2ナット31に当接する支持板部39aを閉塞端に有するように形成される。而して前記支持板部39aには、第2ナット31に対応した挿通孔40が設けられており、前記支持板部39aにワッシャ41を介して係合する拡径頭部42aを有する第2ボルト42が前記挿通孔40に挿通され、この第2ボルト42を第2ナット31に螺合して締め付けることによって前記ベース部材15が前記前部サイドドアDに取付けられる。
【0035】
前記操作ハンドル13が一体に備えるガイド腕部13cは、前記アウターパネル18に対して略直交する方向への移動を可能として、ベース部材15の前記挿入孔30からガイド部15b内に挿入される。一方、ベース部材15にはレバー支持部44が一体に設けられており、このレバー支持部44には、操作ハンドル13の回動軸線に直交して車両の前後方向に延びる支軸45によりレバー46が回動自在に支承され、ガイド腕部13cに設けられている当接面47にレバー46が係合、当接される。
【0036】
前記レバー46は、クランク状に形成されるレバー主部46aと、前記支軸45を挿通せしめるようにして前記レバー主部46aの中間部一側面に直角に連設される支持筒部46bとを一体に有するように形成され、支持筒部46bおよびレバー主部46aには、前記支軸45を貫通させる軸孔48が設けられる。
【0037】
前記レバー支持部44は、前記ガイド部15bに連なって前記ベース部材15に設けられるものであり、前記レバー46に設けられた軸孔48を貫通する前記支軸45の両端部を挿通、支持するための支持孔56,57が同軸にそれぞれ設けられて前記レバー46の両側に配置される一対の側壁54,55から成り、それらの側壁54,55は前記ガイド部15bに一体かつ直角に連設される。
【0038】
前記レバー46におけるレバー主部46aの一端部は、前記操作ハンドル13のガイド腕部13cに設けられて該ガイド腕部13cの左右両側に開口する開口部49内に挿入されるものであり、角筒状の前記ガイド部15bには、前記開口部49の両側に配置されるスリット50,50がガイド部15bの軸方向に延びるようにして設けられ、前記レバー主部46aの一端部は一方のスリット50から前記開口部49内に挿入される。
【0039】
前記当接面47は、前記ガイド腕部13cの先端側で前記開口部49の一側壁に形成されて外方側に臨むものであり、前記レバー主部46aの一端部には、ナイロン等の摩擦係数の低い合成樹脂から成るレバーカバー51が前記当接面47に接触するようにして装着される。
【0040】
前記レバー46におけるレバー主部46aの他端部にはジョイント部材52が装着されており、このジョイント部材52には、前部サイドドアDに設けられたラッチ機構(図示せず)に開扉操作力を伝達するロッド(図示せず)の一端部が連結される。
【0041】
前記レバー46とレバー支持部44との間には、前記レバー46の支持筒部46bを囲繞するねじりばねである戻しばね53が設けられており、一端部が前記レバー46のレバー主部46aに係合された前記戻しばね53の他端部は、前記レバー支持部44を構成する一対の側壁54,55のうち側壁54に係合される。この戻しばね53のばね力により、当接面47にレバーカバー51を当接させたレバー46は非作動位置側に付勢されており、操作ハンドル13が戻しばね53で開位置側にばね付勢されることになる。
【0042】
前記操作ハンドル13の非操作状態で前記レバー46は図6で示す非作動位置に在り、このとき前記ラッチ機構で前部サイドドアDの閉状態が保持される。また前記ラッチ機構のラッチ解除状態で前記操作ハンドル13を操作すると、ベース部材15の受け入れ凹部29から操作ハンドル13の他端部が離れることに伴なうガイド腕部13cの作動により、レバー46が図6の位置から反時計方向に回動することになる。それによって前記ラッチ機構は、前部サイドドアDの閉状態を解除することになり、操作ハンドル13の操作により前部サイドドアDを開放することが可能となる。
【0043】
前記スイッチ16を保持するホルダ17は、前記ガイド部15bおよび前記被取付け部15c間で前記ベース部材15の内面側に固定される。
【0044】
図4に注目して、前記スイッチ16は基板58に配設されており、該基板58は前記スイッチ16を収容せしめる筒状のスイッチケース59に固定される。而して前記スイッチ16のオンオフはスイッチボタン60によって切換えられるものであり、スイッチボタン60は、前記スイッチケース59を覆うようにして該スイッチケース59に装着される。而して前記スイッチボタン60の押圧操作部60aを押圧操作したときに、該押圧操作部60aが前記スイッチ16に弾性的に接触することになる。
【0045】
スイッチボタン60は、押圧操作部60aを一端閉塞部に有して、弾性材料により有底のたとえば矩形筒状に形成されるものであり、前記ベース部材15のベース部材主部15aには、前記押圧操作部60aを臨ませる開口部61が設けられる。
【0046】
而してスイッチボタン60は、前記スイッチケース59および前記ベース部材15間に挟持されるものであり、開口部61の周縁で前記ベース部材15におけるベース部材主部15aの内面に対向する鍔部60bが押圧操作部60aを囲むようにしてスイッチボタン60に形成される。
【0047】
しかも前記スイッチボタン60の外周には、前記押圧操作部60aを押圧操作したときに必要以上にスイッチボタン60が撓むことを防止して防水性を高めるための筒状のケースカバー62が装着されるものであり、スイッチボタン60を囲繞する前記ケースカバー62は、前記鍔部60bと、スイッチボタン60の外周に一体に突設される環状突部60cとで軸方向移動を規制するようにしてスイッチボタン60に装着される。
【0048】
前記ホルダ17は、前記スイッチ16を支持する前記スイッチケース59ならびに該スイッチケース59に装着された前記スイッチボタン60の他端を受ける支持板部17aと、前記スイッチボタン60の他端側を嵌合、保持することで前記スイッチ16を周囲から囲むようにして前記支持板部17aの外周部に直角に連設される周壁部17bとを一体に有する。
【0049】
前記支持板部17aの中央には前記基板58を臨ませる矩形の開口部63が設けられており、前記基板58に一端部が接続されるハーネス64(図3参照)が前記開口部63から外方に導出され、このハーネス64の他端部にはカプラ65が設けられる。また前記周壁部17bは、スイッチボタン60に対応して矩形筒状に形成される。
【0050】
前記ベース部材15の被取付け部15cには、該被取付け部15cに設けられた有底の前記取付け孔33の内端閉塞部に一端を開口させて前記取付け孔33の軸線に沿う方向に延びるたとえば一対の係合孔66,66が、その他端を前記被取付け部15cの外周に開口するようにして設けられ、前記ホルダ17には、前記係合孔66…の他端部にそれぞれ係合する一対の係合突起17c,17cが一体に設けられる。しかも前記係合突起17c…は、前記周壁部17bの前記支持板部17a側端部から外側方に向けて斜めに突出するようにして前記ホルダ17に一体に設けられる。
【0051】
ところでこの第1の実施の形態では、一対の係合孔66…間の中央が取付け孔33の中心軸線とほぼ一致する位置に配置されているが、一対の係合孔66…間の中央が取付け孔33の中心軸線からずれた位置に配置されていてもよい。
【0052】
また前記ホルダ17の周壁部17bには、前記ハーネス64を挿通可能なスリット68が設けられ、前記両係合突起17c,17cは、前記スリット68を相互間に挟むようにして前記周壁部17bに突設される。
【0053】
図7を併せて参照して、前記ホルダ17の周壁部17bを前記被取付け部15cとの間に挟む位置で前記ベース部材15のベース部材主部15aには、円筒状の取付けボス69の基端部が直角にかつ一体に連設されており、この取付けボス69の先端部を除く外周部には、該取付けボス69の中心軸線から放射状に延びるようにして十字状に配置される4個のリブ70,70…が一体に連設される。
【0054】
一方、前記ホルダ17の周壁部17bには、前記取付けボス69の先端部を嵌合せしめる嵌合孔71を有する支持突部17dが外側方に張り出すようにして一体に設けられる。而して前記嵌合孔71に前記取付けボス69の先端部を挿通させた前記支持突部17dを前記リブ70,70…で受けるようにした状態で、前記支持突部17dにワッシャ72を介して当接、係合する締結部材としてのねじ部材73が前記取付けボス69にねじ込まれる。すなわち前記係合突起17c,17cを前記係合孔66,66に係合させた状態の前記ホルダ17が、1つのねじ部材73で前記ベース部材15に締結されることになる。
【0055】
前記ベース部材15のベース部材主部15aに形成されて前記アウターパネル18の第2取付け座22側に臨む取付け面74には、当該ベース部材15の前記前部サイドドアDへの取付け状態で前記アウターパネル18および前記取付け面74間に挟持される第2シール部材28が装着される。
【0056】
第2シール部材28は、前記ベース部材15に設けられる前記ガイド部15b、前記被取付け部15cおよび前記レバー支持部44と、前記ベース部材15に取付けられる前記ホルダ17を配置し得る透孔75を中央部に有して平板状に形成される。前記透孔75の内周部の周方向に間隔をあけた複数箇所、この実施の形態では4箇所に嵌合孔76,77,78,79が設けられており、前記ベース部材15には、前記嵌合孔76〜79に個別に嵌合する嵌合突部80,81,82,83が設けられる。而して各位嵌合突部80〜83を対応する嵌合孔76〜79に嵌合することで、第2シール部材28が前記取付け面74に装着されることになる。
【0057】
一方、前記ホルダ17の周壁部17bの上下両側には、前記アウターパネル18と反対側から第2シール部材28に先端部を当接、係合せしめる係合耳部17e,17eが、前記取付け面74と面一にして前記ホルダ17から側方に突出するようにして一体に突設される。
【0058】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、車体Bに一端部が回動可能に支承される前部サイドドアDの他端側の端壁38に取付けられる被取付け部15cがベース部材15に一体に設けられ、スイッチ16を収納、保持するホルダ17に、前記被取付け部15cに設けられた係合孔66…に係合する係合突起17c…が設けられるので、スイッチ16をベース部材15に固定するにあたって、ねじ部材の本数を減らすことができ、部品点数および組み付け工数を低減することができる。
【0059】
しかも前記被取付け部15cは、前部サイドドアDのアウターパネル18と斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔33を有してベース部材15に一体に設けられ、係合孔66…は、取付け孔33の軸線に沿う方向に延びるとともに一端を取付け孔33の内端閉塞部に開口するとともに被取付け部15cの外周に他端を開口するように形成されるので、ベース部材15の型成形時に用いられる金型の構造が複雑となるのを回避することができ、部品点数および組み付け工数の低減と相まってコストの低減を図ることができる。
【0060】
また前記係合突起17c…を前記係合孔66…に係合させた状態の前記ホルダ17が、1つのねじ部材73で前記ベース部材15に締結されるので、スイッチ16をベース部材15に固定するにあたって必要とする部品を最小限として部品点数および組み付け工数を低減することができる。
【0061】
また前記ベース部材15に形成されてアウターパネル18側に臨む取付け面74に、当該ベース部材15の前記前部サイドドアDへの取付け状態で前記アウターパネル18および前記取付け面74間に挟持される第2シール部材28が装着され、前記アウターパネル18と反対側から第2シール部材28に当接、係合する上下一対の係合耳部17e…が、前記取付け面74と面一にして前記ホルダ17から側方に突出するようにして該ホルダ17に設けられるので、ベース部材15を前部サイドドアDに組み付ける前の状態でホルダ17をベース部材15に仮組みしておくことが可能である。
【0062】
しかもホルダ17にスイッチボタン60の操作によって前部サイドドアDの外方側から力が作用してもその力の一部をアウターパネル18で受けるようにしてホルダ17のベース部材15への取付け部に作用する荷重を低減することができ、またアウターパネル18およびベース部材15間に第2シール部材28を挟むことで異音の発生を防止することができ、ベース部材15が金属製のものである場合、ベース部材15がアウターパネル18に直接接触しないようにしてメタルタッチを防ぐことができる。
【0063】
また前記ホルダ17は、前記スイッチ16を周囲から囲む周壁部17bを有し、前記スイッチ16に一端部が接続されるハーネス64を挿通可能なスリット68が、前記周壁部17bに設けられるので、ハーネス64の他端部にカプラ65が設けられていたり、ホルダ17からの突出部分でハーネス64がカバーで覆われているとしても、ハーネス64が接続された状態のスイッチ16をホルダ17に組み付けることが容易となる。
【0064】
さらに一対の前記係合突起17c…が、スリット68を相互間に挟むようにして前記周壁部17bに突設されるので、両係合突起17c…が近接、離反するように周壁部17bを撓ませることができ、係合突起17c…の係合孔66…への係合操作が容易となる。
【0065】
上記第1の実施の形態では、ベース部材15の被取付け部15cが有する取付け孔33の開口端部に第2ナット31が圧入によって固定されるようにしたが、ボルトを熱圧入で前記取付け孔33に取付けることも可能であり、この際、係合孔66…は取付け孔33からの熱を逃がす機能を果たす。
【0066】
本発明の第2の実施の形態について図8および図9を参照しながら次に説明するが、第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみで詳細な説明は省略する。
【0067】
スイッチ16を保持する前記ホルダ17は、前記ベース部材15の前記ガイド部15bおよび前記被取付け部15c間に配置されるものであり、前記ホルダ17が備える一対の係合突起17c…は、第1の実施の形態と同様に、前記ベース部材15における被取付け部15cに設けられる係合孔66…に係合される。
【0068】
前記被取付け部15cとは反対側で前記ホルダ17に設けられた支持突部17dに対応する位置で前記ベース部材15のベース部材主部15aには、前記係合耳部17e…に第2シール部材28を介して前記アウターパネル18が当接する方向とは反対側から当接するホルダ受け面86を先端部で形成する円柱状のボス部85が一体に設けられ、また該ボス部85には、前記ホルダ受け面86から突出して前記支持板部17dの嵌合孔71に嵌合する位置決め突起87が同軸に設けられる。
【0069】
この第2の実施の形態によれば、ベース部材15の取付け面74に装着された第2シール部材28にホルダ17の係合耳部17e…をアウターパネル18と反対側から当接、係合させてホルダ17をベース部材15に仮組みしておく際に、ホルダ17をより確実にベース部材に仮組みしておくことができ、しかもホルダ17が、第2シール部材28およびホルダ受け面86間に挟まれるので、ベース部材15の前部サイドドアDへの取付け状態でホルダ17をベース部材15および前部サイドドアDに固定することができ、ホルダ17をベース部材15に固定するにあたって締結部材が不要であり、部品点数をさらに低減することができる。
【0070】
図10は本発明の第3の実施の形態を示すものであり、上記第1および第2の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
【0071】
電気部品90を収容、保持するホルダ89は、前記ベース部材15の前記ガイド部15bおよび前記被取付け部15c間に配置されるものであり、このホルダ89が備える一対の係合突起89c…は、第1および第2の実施の形態と同様に、前記ベース部材15における被取付け部15cに設けられる係合孔66…に係合される。
【0072】
前記ホルダ89は、嵌合孔71を有して前記被取付け部15cとは反対側に配置される支持突部89dを一体に有するとともに、前記アウターパネル18(第1および第2の実施の形態参照)と反対側から第2シール部材28に先端部を当接、係合せしめる係合耳部89e,89eを上下両側に一体に有する。
【0073】
前記支持突部89dには、上記第2の実施の形態と同様に、ベース部材15に設けられるホルダ受け面86が、前記係合耳部89e…に第2シール部材28を介して前記アウターパネル18が当接する方向とは反対側から当接し、そのホルダ受け面86から突出する位置決め突起87が前記支持突部89dに設けられる嵌合孔71に嵌合される。
【0074】
前記電気部品90は、たとえば車外を撮像するカメラまたは人の近接を検知する近接センサである。
【0075】
この第3の実施の形態によっても上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0077】
13・・・操作ハンドル
13a・・・把持部
14・・・支持部材
15・・・ベース部材
15c・・・被取付け部
16・・・電気部品であるスイッチ
17,89・・・ホルダ
17b・・・周壁部
17c,89c・・・係合突起
17e,89e・・・係合耳部
18・・・アウターパネル
28・・・シール部材である第2シール部材
33・・・取付け孔
38・・・端壁
64・・・ハーネス
66・・・係合孔
68・・・スリット
71・・・嵌合孔
73・・・締結部材であるねじ部材
74・・・取付け面
86・・・ホルダ受け面
87・・・位置決め突起
90・・・電気部品
B・・・車体
D・・・ドアである前部サイドドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(B)に一端部が回動可能に支承されるドア(D)の一部を構成するアウターパネル(18)の外方に配置されて長尺に形成される把持部(13a)を有する操作ハンドル(13)と、該操作ハンドル(13)の一端部を回動可能に支承するようにして前記ドア(D)に取付けられる支持部材(14)と、前記操作ハンドル(13)の他端部に対応して前記ドア(D)に取付けられる合成樹脂製のベース部材(15)と、電気部品(16,90)を収納、保持して前記ベース部材(15)に取付けられるホルダ(17,89)とを備える車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記ドア(D)の他端側の端壁(38)に取付けられる被取付け部(15c)が、前記アウターパネル(18)と斜めに交差する方向に延びる有底の取付け孔(33)を有して前記ベース部材(15)に一体に設けられ、前記取付け孔(33)の内端閉塞部に一端を開口させて前記取付け孔(33)の軸線に沿う方向に延びる係合孔(66)が、その他端を前記被取付け部(15c)の外周に開口するようにして前記被取付け部(15c)に設けられ、前記ホルダ(17,89)に、前記係合孔(66)の他端部に係合する係合突起(17c,89c)が設けられることを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項2】
前記電気部品(16)が、前記ドア(D)の施錠および解錠意志の少なくとも一方を示すための車両ユーザの操作によってオンオフするスイッチであることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項3】
前記電気部品(90)が、車外を撮像するカメラまたは人の近接を検知する近接センサであることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項4】
前記係合突起(17c,89c)を前記係合孔(66)に係合させた状態の前記ホルダ(17)が、1つの締結部材(73)で前記ベース部材(15)に締結されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項5】
前記ベース部材(15)に形成されて前記アウターパネル(18)側に臨む取付け面(74)に、当該ベース部材(15)の前記ドア(D)への取付け状態で前記アウターパネル(18)および前記取付け面(74)間に挟持されるシール部材(28)が装着され、前記アウターパネル(18)と反対側から前記シール部材(28)に当接、係合する係合耳部(17e,89e)が、前記取付け面(74)と面一にして前記ホルダ(17,89)から側方に突出するようにして該ホルダ(17,89)に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項6】
前記ベース部材(15)に、前記係合耳部(17e,89e)に前記シール部材(28)を介して前記アウターパネル(18)が当接する方向とは反対側から前記ホルダ(17)に当接するホルダ受け面(86)と、該ホルダ受け面(86)から突出する位置決め突起(87)とが設けられ、前記ホルダ(17,89)に、前記位置決め突起(87)を嵌合せしめる嵌合孔(71)が設けられることを特徴とする請求項5記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項7】
前記ホルダ(17)は、前記電気部品(16)を周囲から囲む周壁部(17b)を有し、前記電気部品(16)に一端部が接続されるハーネス(64)を挿通可能なスリット(68)が、前記周壁部(17b)に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項8】
一対の前記係合突起(17c)が、前記スリット(68)を相互間に挟むようにして前記周壁部(17b)に突設されることを特徴とする請求項7記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246669(P2012−246669A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118615(P2011−118615)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000155067)株式会社ホンダロック (164)