説明

車両用ドアミラー

【課題】シャフトの根元部に負荷が作用した場合でも、これを分散させて破損するのを回避することができる合成樹脂製のシャフトを備えた車両用ドアミラーの提供を図る。
【解決手段】ドアミラーユニット3に外力が作用してシャフト2に倒れ方向にモーメントが発生すると、シャフト2の根元部に負荷が集中する傾向となるが、根元部に設けた金属製の補強部材4によってシャフト2に作用する倒れ荷重を、シャフト部2Bの上端側およびホルダー部2Aの面方向に分散して、シャフト部2Bの根元部の応力集中による破損を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂製のシャフトに対して、ドアミラーユニットを折り畳み格納位置と、展開使用位置とに回動可能に組付けた車両用ドアミラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−38898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示技術では、シャフトはサイドドア側のドアミラーベース部材に立設固定されるが、特に展開使用位置でドアミラーユニットに外力が作用した場合などでは、合成樹脂製のシャフトに倒れ方向にモーメントが発生すると、該シャフトの根元部に負荷が集中して破損する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はシャフトの根元部に負荷が作用した場合でも、これを分散させて破損するのを回避することができる合成樹脂製のシャフトを備えた車両用ドアミラーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ドアサイドに固定されるドアミラーベース部材に立設固定した合成樹脂製のシャフトに、ドアミラーユニットを折り畳み格納位置と、展開使用位置とに回動可能に組付けた車両用ドアミラーであって、前記シャフトは、前記ドアミラーベース部材に固定するホルダー部と、該ホルダー部と一体成形したシャフト部と、を備え、前記シャフト部の根元部には、前記ホルダー部に亘って補強部材を備えていることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シャフト部に倒れ方向にモーメントが発生すると、該シャフト部の根元部に負荷が集中する傾向となるが、この負荷は補強部材によってシャフト部の上端側およびホルダー部の面方向に分散される。この結果、シャフト部の根元部の応力集中による破損を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示す略示的断面説明図。
【図2】図1に示したシャフトを下側から見た斜視図。
【図3】補強部材の配設構造の異なる例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0010】
図1に示す実施形態の車両用ドアミラーは、図外のドアサイド部に固定したドアミラーベース部材1と、該ドアミラーベース部材1上に立設固定したシャフト2と、該シャフト2に組付けたドアミラーユニット3と、を備えている。
【0011】
ドアミラーユニット3は、シャフト2に対して、ミラー面がドアサイドに向く折り畳み格納位置と、該折り畳み格納位置からほぼ90°位相を変えてミラー面が車両後方を向く展開使用位置と、に回動可能に組付けてある。
【0012】
図1に鎖線で示すドアミラーユニット3は、折り畳み格納位置から展開使用位置へ回動した状態を示している。
【0013】
ドアミラーユニット3が電動ミラーの場合、ドアミラーハウジングに内蔵した駆動機構とシャフト2とがクラッチ機構を介して接続される。また、手動ミラーの場合は、ドアミラーユニット3が回転節度機構を介してシャフト2に接続される。
【0014】
シャフト2は、適宜の合成樹脂材をもって射出成形されている。
【0015】
このシャフト2は、図2にも示すようにディスク状のホルダー部2Aと、該ホルダー部2Aと一体成形した円筒状のシャフト部2Bとを備えていて、このホルダー部2Aをドアサイド部から側方に張り出したドアミラーベース部材1の上面に結合固定してある。
【0016】
シャフト2のシャフト部2Bの根元部には、ホルダー部2Aに亘って補強部材4を設けてある。補強部材4は、金属製または高強度の合成樹脂製のものを選択的に使用可能である。
【0017】
図1に示す例では、補強部材4は、例えば鋼板材をもって一端にフランジを有する円筒スリーブとしてプレス成形され、該フランジを下側としてホルダー部2Aとシャフト部2Bの下端部内周に一体にインサートして射出成形してある。また、この他、この補強部材4は図3に示すように、ホルダー部2Aの下面側からシャフト部2Bの筒状下端部内に圧入固定するようにしてもよい。
【0018】
以上の構成からなる本実施形態の車両用ドアミラーによれば、特に展開使用位置でドアミラーユニット3に外力が作用した場合などでは、シャフト2に倒れ方向にモーメントが発生すると、該シャフト2の根元部に負荷が集中する傾向となる。
【0019】
このとき、シャフト2に作用する倒れ荷重は金属製の補強部材4によって、シャフト部2Bの上端側およびホルダー部2Aの面方向に分散される。この結果、シャフト部2Bの根元部の応力集中による破損を回避することができて、品質感および信頼性を高めることができる。
【0020】
なお、前記実施形態では補強部材4を、一端にフランジを有する円筒スリーブとして形成したものを用いているが、フランジの無い単純円筒形のものであってもよい。
【0021】
また、シャフト2は射出成形して得られるため、補強部材4をホルダー部2Aとシャフト部2Bとの連設部分で肉厚内にインサートして配設することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1…ドアミラーベース
2…シャフト
2A…ホルダー部
2B…シャフト部
3…ドアミラーユニット
4…補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアサイドに固定されるドアミラーベース部材に立設固定した合成樹脂製のシャフトに、ドアミラーユニットを折り畳み格納位置と、展開使用位置とに回動可能に組付けた車両用ドアミラーであって、
前記シャフトは、前記ドアミラーベース部材に固定するホルダー部と、該ホルダー部と一体成形したシャフト部と、を備え、
前記シャフト部の根元部には、前記ホルダー部に亘って補強部材を備えていることを特徴とする車両用ドアミラー。
【請求項2】
前記補強部材が、金属製または高強度の合成樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−201199(P2012−201199A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67044(P2011−67044)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】