車両用ドア
【課題】組立性の向上を図ることを可能にするとともに、コストの低減を図ることを可能にする。
【解決手段】上部が開放された箱形形状のプルポケット31と、このプルポケット31に設けられ、乗員がドア本体24を開閉するときに手を掛ける手掛かり部52と、を備えた車両用ドア20であって、プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に、車体前後方向に延ばされたヒンジ43と、このヒンジ43を介してプルポケット31の開放端部37側に折り曲げ自在に設けられた可動片45と、この可動片45に設けられ、車体11の略前後方向に延ばされる凸部52と、可動片45側に設けられた係合突起と、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に設けられ、係合突起53,53が挿入される係合孔47,47と、を備え、ヒンジ43を中心にして凸部52を回転させ、プルポケット31の内部に凸部52を位置させ、凸部52を手掛かり部とした。
【解決手段】上部が開放された箱形形状のプルポケット31と、このプルポケット31に設けられ、乗員がドア本体24を開閉するときに手を掛ける手掛かり部52と、を備えた車両用ドア20であって、プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に、車体前後方向に延ばされたヒンジ43と、このヒンジ43を介してプルポケット31の開放端部37側に折り曲げ自在に設けられた可動片45と、この可動片45に設けられ、車体11の略前後方向に延ばされる凸部52と、可動片45側に設けられた係合突起と、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に設けられ、係合突起53,53が挿入される係合孔47,47と、を備え、ヒンジ43を中心にして凸部52を回転させ、プルポケット31の内部に凸部52を位置させ、凸部52を手掛かり部とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛けるプルポケットに、手を掛けやすくした手掛かり部を備えた車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアは、車体のドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるドアライニング(ドアトリム)と、このドアライニングに車室側に突出させたアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、を備え、プルポケットに、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部が形成されたものである。
【0003】
この車両用ドアによれば、プルポケットに手掛かり部が形成されたので、乗員がドア本体を開閉するときに、ドア本体に手を掛けやすくすることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−188910公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の車両用ドアでは、手掛かり部が、プルポケットに設けられた貫通孔と、アームレスト側に設けられた突起と、から構成されている。
このため、手掛かり部をプルポケットのみで構成することはできないので、部品管理や組付け作業に手間がかかっていた。また、プルポケットのみで構成するために、手掛かり部を別部品で形成し、プルポケットに取付けることも考えられる。しかし、これでは部品点数が増加し、コストの低減を図ることはできない。
【0006】
本発明は、組立性の向上を図ることができるとともに、コストの低減を図ることができる車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備えた車両用ドアであって、プルポケットは、プルポケットの室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介してプルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、可動片側に設けられた係合突起と、プルポケットの室内側の縦壁部に設けられ、係合突起が挿入される係合孔と、を備え、ヒンジを中心にして凸部を回転させ、プルポケットの内部に凸部を位置させ、凸部を手掛かり部としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、係合突起が、クリップであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、係合突起が、爪部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用ドアに、車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備える。
プルポケットは、プルポケットの室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介してプルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、可動片側に設けられた係合突起と、プルポケットの室内側の縦壁部に設けられ、係合突起が挿入される係合孔と、を備える。
ヒンジを中心に可動片を回転させ、凸部をプルポケットの内側に移動し、係合孔に係合突起を嵌合させ、凸部を乗員が手を掛ける手掛かり部としたので、プルポケットに一体的に手掛かり部を形成することができる。一般的には、プルポケットの成形の都合上、手掛かり部が別体で形成され、プルポケットにアッセンブリされる。この場合には、部品点数が増加するので好ましいこととは言えない。
すなわち、ヒンジを中心に可動片を回転させ、凸部をプルポケットの内側に移動し、係合孔に係合突起を嵌合させ、凸部を乗員が手を掛ける手掛かり部とすることで、プルポケットに手掛かり部を一体的に形成することができる。この結果、車両用ドアの組立性の向上を図ることができるとともに、車両用ドアのコストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、係合突起が、クリップであるので、プルポケットの形状の簡素化を図ることができる。この結果、プルポケットの金型費を低減することができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、係合突起が、爪部であるので、プルポケットに係合突起を一体的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用ドアが採用された車両の車室を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1実施例の車両用ドアの斜視図である。
【図3】図2に示された車両用ドアの要部が示される平面図である。
【図4】図2に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す斜視図である。
【図5】図2に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す室内側から見た斜視図である。
【図6】図2に示された車両用ドアのプルポケットの使用状態での斜視図である。
【図7】図2に示された車両用ドアのプルポケットの使用状態での平面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】本発明に係る第2実施例の車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す室内側から見た斜視図である。
【図13】図12の13部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0015】
図1に示されるように、車両10は、室内(車室)12内に設けられ乗員(運転者)が着座する運転席14と、運転席14の外方に乗員(運転者)が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆う車両用ドア(ドア)20と、が設けられている。
【0016】
図1及び図2に示されるように、車両用ドア20は、車体11に開閉自在に取付けられるドア本体24と、このドア本体24に昇降自在に取付けられるドアガラス25と、ドア本体24を室内12側から覆うドアライニング27と、このドアライニング27の略中央高さに且つ車体前後方向に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、ドア本体24を開閉するときに手を掛けるプルポケット(ドアポケット)31と、からなる。
【0017】
図3〜図6に示されたように、プルポケット31は、前の縦壁部32と、後の縦壁部33と、内の縦壁部34と、外の縦壁部35と、底面36と、開放端部(上部開口)37と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0018】
さらに、プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に、内側に凹ました凹状部44と、この凹状部44の先端に設けたヒンジ43と、このヒンジ43から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片45と、からなる。
【0019】
凹状部44は、室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に沿って延ばされた垂直部48と、この垂直部48の先端から室内12側に且つ上方に延ばされた傾斜部49と、これらの垂直部48及び傾斜部49に亘って切り欠かれた前の切り欠き部41と、傾斜部49のみを切り欠いた後の切り欠き部42と、垂直部48及び傾斜部49に亘って設けられ、可動片45が係合する前後の係合孔47,47と、からなる。
【0020】
ヒンジ43は、前の切り欠き部41から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた前のヒンジ56と、後の切り欠き部42から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた後のヒンジ57と、に分割構成される。
【0021】
可動片45は、成形状態で上方に係合突起53,53(図3参照)を取付ける前後の台座部55,55と、成形状態で下方にヒンジ43を中心にして可動片45を回転させ、プルポケット31の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)52と、が形成される。
係合突起53,53は、前後の係合孔47,47に係合するクリップである。前後の台座部55,55には、クリップ53,53を支持する支持孔59,59が形成されている。
【0022】
図7及び図10に示されたように、底面36は、上側に底面座繰り部61が形成され、この底面座繰り部61に底部化粧板62が設けられる。底面座繰り部61には、成形の都合上、突き出しピン痕63a,63bが残る。これらの突き出しピン痕63a,63bを隠すために底部化粧板62が設けられ、底部化粧板62を嵌合する複数の嵌合孔65が設けられる。
底部化粧板62には、嵌合孔65に嵌合する突起66が設けられている。
【0023】
図4に示されたように、プルポケット31の成形時の形状は、室内12側の縦壁部34に対し、可動片45は略垂直に室内12側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、図8に示された二点鎖線の状態から、矢印a1の如く回転して、係合孔47,47に係合突起(クリップ)53,53を係合し、図6に示されたように、使用状態の姿となる。
【0024】
使用状態では、図8及び図9に示されたように、係合孔47,47に係合突起53,53が係合し、図6に示されたように、凸部52は室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34内に位置する。すなわち、ヒンジ43(前後のヒンジ56,57)を中心にして凸部52(可動片45)を回転させ、プルポケット31の内部に凸部52を位置させ、凸部52をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。なお、凸部52は、車体11の略前後方向に延ばされている。
【0025】
図1、図4〜図6に示されたように、車両用ドア20では、車体11に設けられ乗員が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆うドア本体24と、このドア本体24の室内12側に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケット31と、このプルポケット31に設けられ、乗員がドア本体24を開閉するときに手を掛ける手掛かり部52と、を備える。
【0026】
プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に、車体前後方向に延ばされたヒンジ43と、このヒンジ43を介してプルポケット31の開放端部37側に折り曲げ自在に設けられた可動片45と、この可動片45に設けられ、車体11の略前後方向に延ばされる凸部52と、可動片45側に設けられた係合突起53,53と、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に設けられ、係合突起53,53が挿入される係合孔47,47と、を備える。
【0027】
ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部としたので、プルポケット31に一体的に手掛かり部52を形成することができる。一般的には、プルポケット31の成形の都合上、手掛かり部が別体で形成され、プルポケット31にアッセンブリされる。この場合には、部品点数が増加するので好ましいこととは言えない。
【0028】
すなわち、ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部とすることで、プルポケット31に手掛かり部52を一体的に形成することができる。この結果、車両用ドア20の組立性の向上を図ることができるとともに、車両用ドア20のコストの低減を図ることができる。
【0029】
図3、図8、図9に示されたように、車両用ドア20では、係合突起53,53が、クリップであるので、プルポケット31の形状の簡素化を図ることができる。この結果、プルポケット31の金型費を低減することができる。
【実施例2】
【0030】
図11〜図13に示されたように、実施例2の車両用ドア70は、プルポケット71が採用される。プルポケット71は、前の縦壁部72と、後の縦壁部73と、内の縦壁部74と、外の縦壁部75と、底面76と、開放端部(上部開口)77と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0031】
さらに、プルポケット71は、プルポケット71の室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に、内側に凹ました凹状部84と、こ凹状部84の先端に設けたヒンジ83と、このヒンジ83から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片85と、からなる。
【0032】
凹状部84は、室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に沿って延ばされた垂直部88と、この垂直部88の先端から室内側に且つ上方に延ばされた傾斜部89と、これらの垂直部88及び傾斜部89に亘って切り欠かれた前の切り欠き部81と、傾斜部89のみを切り欠いた後の切り欠き部82と、垂直部88及び傾斜部89に亘って設けられ、可動片85が係合する前後の係合孔87,87と、からなる。
【0033】
ヒンジ83は、前の切り欠き部81から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた前のヒンジ96と、後の切り欠き部82から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた後のヒンジ97と、に分割構成される。
【0034】
可動片85は、成形状態で上方に形成された係合突起93,93と、成形状態で下方にヒンジ83を中心にして可動片85を回転させ、プルポケット71の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)92と、が形成される。
係合突起93,93は、前後の係合孔87,87に係合する爪部である。
【0035】
プルポケット71の成形時の形状は、室内側の縦壁部74に対し、可動片85は略垂直に室内側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、可動片85をプルポケット71の内部に回転して、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93を係合し、使用状態の姿となる。
【0036】
使用状態では、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93が係合し、凸部92は室内側の縦壁部(内の縦壁部)74内に位置する。すなわち、ヒンジ83(前後のヒンジ96,97)を中心にして凸部92(可動片85)を回転させ、プルポケット71の内部に凸部92を位置させ、凸部92をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。
【0037】
尚、本発明に係る車両用ドアは、図3、図8、図9若しくは図11に示すように、車両用ドア20,70が示されたが、これらの実施例を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る車両用ドアは、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0039】
11…車体、12…室内、17…ドア開口部、20…車両用ドア、24…ドア本体、28…アームレスト、31…プルポケット、34…縦壁部、37…開放端部、43…ヒンジ、45…可動片、47…係合孔、52…凸部(手掛かり部)、53…係合突起(クリップ)、70…車両用ドア、93…係合突起(爪部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛けるプルポケットに、手を掛けやすくした手掛かり部を備えた車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアは、車体のドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるドアライニング(ドアトリム)と、このドアライニングに車室側に突出させたアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、を備え、プルポケットに、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部が形成されたものである。
【0003】
この車両用ドアによれば、プルポケットに手掛かり部が形成されたので、乗員がドア本体を開閉するときに、ドア本体に手を掛けやすくすることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−188910公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の車両用ドアでは、手掛かり部が、プルポケットに設けられた貫通孔と、アームレスト側に設けられた突起と、から構成されている。
このため、手掛かり部をプルポケットのみで構成することはできないので、部品管理や組付け作業に手間がかかっていた。また、プルポケットのみで構成するために、手掛かり部を別部品で形成し、プルポケットに取付けることも考えられる。しかし、これでは部品点数が増加し、コストの低減を図ることはできない。
【0006】
本発明は、組立性の向上を図ることができるとともに、コストの低減を図ることができる車両用ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備えた車両用ドアであって、プルポケットは、プルポケットの室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介してプルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、可動片側に設けられた係合突起と、プルポケットの室内側の縦壁部に設けられ、係合突起が挿入される係合孔と、を備え、ヒンジを中心にして凸部を回転させ、プルポケットの内部に凸部を位置させ、凸部を手掛かり部としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、係合突起が、クリップであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、係合突起が、爪部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用ドアに、車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備える。
プルポケットは、プルポケットの室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介してプルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、可動片側に設けられた係合突起と、プルポケットの室内側の縦壁部に設けられ、係合突起が挿入される係合孔と、を備える。
ヒンジを中心に可動片を回転させ、凸部をプルポケットの内側に移動し、係合孔に係合突起を嵌合させ、凸部を乗員が手を掛ける手掛かり部としたので、プルポケットに一体的に手掛かり部を形成することができる。一般的には、プルポケットの成形の都合上、手掛かり部が別体で形成され、プルポケットにアッセンブリされる。この場合には、部品点数が増加するので好ましいこととは言えない。
すなわち、ヒンジを中心に可動片を回転させ、凸部をプルポケットの内側に移動し、係合孔に係合突起を嵌合させ、凸部を乗員が手を掛ける手掛かり部とすることで、プルポケットに手掛かり部を一体的に形成することができる。この結果、車両用ドアの組立性の向上を図ることができるとともに、車両用ドアのコストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明では、係合突起が、クリップであるので、プルポケットの形状の簡素化を図ることができる。この結果、プルポケットの金型費を低減することができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、係合突起が、爪部であるので、プルポケットに係合突起を一体的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用ドアが採用された車両の車室を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1実施例の車両用ドアの斜視図である。
【図3】図2に示された車両用ドアの要部が示される平面図である。
【図4】図2に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す斜視図である。
【図5】図2に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す室内側から見た斜視図である。
【図6】図2に示された車両用ドアのプルポケットの使用状態での斜視図である。
【図7】図2に示された車両用ドアのプルポケットの使用状態での平面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】本発明に係る第2実施例の車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示された車両用ドアのプルポケットの成形状態を示す室内側から見た斜視図である。
【図13】図12の13部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0015】
図1に示されるように、車両10は、室内(車室)12内に設けられ乗員(運転者)が着座する運転席14と、運転席14の外方に乗員(運転者)が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆う車両用ドア(ドア)20と、が設けられている。
【0016】
図1及び図2に示されるように、車両用ドア20は、車体11に開閉自在に取付けられるドア本体24と、このドア本体24に昇降自在に取付けられるドアガラス25と、ドア本体24を室内12側から覆うドアライニング27と、このドアライニング27の略中央高さに且つ車体前後方向に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、ドア本体24を開閉するときに手を掛けるプルポケット(ドアポケット)31と、からなる。
【0017】
図3〜図6に示されたように、プルポケット31は、前の縦壁部32と、後の縦壁部33と、内の縦壁部34と、外の縦壁部35と、底面36と、開放端部(上部開口)37と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0018】
さらに、プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に、内側に凹ました凹状部44と、この凹状部44の先端に設けたヒンジ43と、このヒンジ43から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片45と、からなる。
【0019】
凹状部44は、室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に沿って延ばされた垂直部48と、この垂直部48の先端から室内12側に且つ上方に延ばされた傾斜部49と、これらの垂直部48及び傾斜部49に亘って切り欠かれた前の切り欠き部41と、傾斜部49のみを切り欠いた後の切り欠き部42と、垂直部48及び傾斜部49に亘って設けられ、可動片45が係合する前後の係合孔47,47と、からなる。
【0020】
ヒンジ43は、前の切り欠き部41から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた前のヒンジ56と、後の切り欠き部42から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた後のヒンジ57と、に分割構成される。
【0021】
可動片45は、成形状態で上方に係合突起53,53(図3参照)を取付ける前後の台座部55,55と、成形状態で下方にヒンジ43を中心にして可動片45を回転させ、プルポケット31の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)52と、が形成される。
係合突起53,53は、前後の係合孔47,47に係合するクリップである。前後の台座部55,55には、クリップ53,53を支持する支持孔59,59が形成されている。
【0022】
図7及び図10に示されたように、底面36は、上側に底面座繰り部61が形成され、この底面座繰り部61に底部化粧板62が設けられる。底面座繰り部61には、成形の都合上、突き出しピン痕63a,63bが残る。これらの突き出しピン痕63a,63bを隠すために底部化粧板62が設けられ、底部化粧板62を嵌合する複数の嵌合孔65が設けられる。
底部化粧板62には、嵌合孔65に嵌合する突起66が設けられている。
【0023】
図4に示されたように、プルポケット31の成形時の形状は、室内12側の縦壁部34に対し、可動片45は略垂直に室内12側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、図8に示された二点鎖線の状態から、矢印a1の如く回転して、係合孔47,47に係合突起(クリップ)53,53を係合し、図6に示されたように、使用状態の姿となる。
【0024】
使用状態では、図8及び図9に示されたように、係合孔47,47に係合突起53,53が係合し、図6に示されたように、凸部52は室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34内に位置する。すなわち、ヒンジ43(前後のヒンジ56,57)を中心にして凸部52(可動片45)を回転させ、プルポケット31の内部に凸部52を位置させ、凸部52をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。なお、凸部52は、車体11の略前後方向に延ばされている。
【0025】
図1、図4〜図6に示されたように、車両用ドア20では、車体11に設けられ乗員が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆うドア本体24と、このドア本体24の室内12側に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケット31と、このプルポケット31に設けられ、乗員がドア本体24を開閉するときに手を掛ける手掛かり部52と、を備える。
【0026】
プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に、車体前後方向に延ばされたヒンジ43と、このヒンジ43を介してプルポケット31の開放端部37側に折り曲げ自在に設けられた可動片45と、この可動片45に設けられ、車体11の略前後方向に延ばされる凸部52と、可動片45側に設けられた係合突起53,53と、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に設けられ、係合突起53,53が挿入される係合孔47,47と、を備える。
【0027】
ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部としたので、プルポケット31に一体的に手掛かり部52を形成することができる。一般的には、プルポケット31の成形の都合上、手掛かり部が別体で形成され、プルポケット31にアッセンブリされる。この場合には、部品点数が増加するので好ましいこととは言えない。
【0028】
すなわち、ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部とすることで、プルポケット31に手掛かり部52を一体的に形成することができる。この結果、車両用ドア20の組立性の向上を図ることができるとともに、車両用ドア20のコストの低減を図ることができる。
【0029】
図3、図8、図9に示されたように、車両用ドア20では、係合突起53,53が、クリップであるので、プルポケット31の形状の簡素化を図ることができる。この結果、プルポケット31の金型費を低減することができる。
【実施例2】
【0030】
図11〜図13に示されたように、実施例2の車両用ドア70は、プルポケット71が採用される。プルポケット71は、前の縦壁部72と、後の縦壁部73と、内の縦壁部74と、外の縦壁部75と、底面76と、開放端部(上部開口)77と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0031】
さらに、プルポケット71は、プルポケット71の室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に、内側に凹ました凹状部84と、こ凹状部84の先端に設けたヒンジ83と、このヒンジ83から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片85と、からなる。
【0032】
凹状部84は、室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に沿って延ばされた垂直部88と、この垂直部88の先端から室内側に且つ上方に延ばされた傾斜部89と、これらの垂直部88及び傾斜部89に亘って切り欠かれた前の切り欠き部81と、傾斜部89のみを切り欠いた後の切り欠き部82と、垂直部88及び傾斜部89に亘って設けられ、可動片85が係合する前後の係合孔87,87と、からなる。
【0033】
ヒンジ83は、前の切り欠き部81から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた前のヒンジ96と、後の切り欠き部82から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた後のヒンジ97と、に分割構成される。
【0034】
可動片85は、成形状態で上方に形成された係合突起93,93と、成形状態で下方にヒンジ83を中心にして可動片85を回転させ、プルポケット71の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)92と、が形成される。
係合突起93,93は、前後の係合孔87,87に係合する爪部である。
【0035】
プルポケット71の成形時の形状は、室内側の縦壁部74に対し、可動片85は略垂直に室内側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、可動片85をプルポケット71の内部に回転して、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93を係合し、使用状態の姿となる。
【0036】
使用状態では、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93が係合し、凸部92は室内側の縦壁部(内の縦壁部)74内に位置する。すなわち、ヒンジ83(前後のヒンジ96,97)を中心にして凸部92(可動片85)を回転させ、プルポケット71の内部に凸部92を位置させ、凸部92をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。
【0037】
尚、本発明に係る車両用ドアは、図3、図8、図9若しくは図11に示すように、車両用ドア20,70が示されたが、これらの実施例を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る車両用ドアは、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0039】
11…車体、12…室内、17…ドア開口部、20…車両用ドア、24…ドア本体、28…アームレスト、31…プルポケット、34…縦壁部、37…開放端部、43…ヒンジ、45…可動片、47…係合孔、52…凸部(手掛かり部)、53…係合突起(クリップ)、70…車両用ドア、93…係合突起(爪部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備えた車両用ドアであって、
前記プルポケットは、該プルポケットの前記室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介して該プルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、前記可動片側に設けられた係合突起と、該プルポケットの前記室内側の縦壁部に設けられ、前記係合突起が挿入される係合孔と、を備え、
前記ヒンジを中心にして前記凸部を回転させ、前記プルポケットの内部に前記凸部を位置させ、該凸部を前記手掛かり部としたことを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記係合突起は、クリップであることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記係合突起は、爪部であることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項1】
車体に設けられ乗員が乗降するドア開口部と、このドア開口部を開閉自在に覆うドア本体と、このドア本体の室内側に設けられるアームレストと、このアームレストに設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケットと、このプルポケットに設けられ、乗員がドア本体を開閉するときに手を掛ける手掛かり部と、を備えた車両用ドアであって、
前記プルポケットは、該プルポケットの前記室内側の縦壁部に、車体前後方向に延ばされたヒンジと、このヒンジを介して該プルポケットの開放端部側に折り曲げ自在に設けられた可動片と、この可動片に設けられ、車体の略前後方向に延ばされる凸部と、前記可動片側に設けられた係合突起と、該プルポケットの前記室内側の縦壁部に設けられ、前記係合突起が挿入される係合孔と、を備え、
前記ヒンジを中心にして前記凸部を回転させ、前記プルポケットの内部に前記凸部を位置させ、該凸部を前記手掛かり部としたことを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記係合突起は、クリップであることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記係合突起は、爪部であることを特徴とする請求項1記載の車両用ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−153224(P2012−153224A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13196(P2011−13196)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
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