説明

車両用パワーウインドゥ装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モータを利用して車両用窓を開閉する車両用パワーウインドゥ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】モータを利用して、自動車等の車両の窓を開閉する車両用パワーウインドゥ装置は種々のものが開発され、実用化されているが、このような車両用パワーウインドゥ装置は車両用窓の内側の側部に設けられた開閉スイッチを単に押すという操作を行うだけで車両用窓を非常に簡単に開閉することができるため、車両の走行の安全性を向上することができる。
【0003】また、上述したように、開閉スイッチを単に押すだけで窓の開閉を行うことができ、従来のように比較的重いハンドルレバーを回転させる必要もないため、子供や老人等のように力の弱い者でも簡単に窓の開閉を行うことができるが、しかしながら単に開閉スイッチを押すだけで窓を開閉し得るものであるため、誤って開閉スイッチに触れて押してしまって、窓を閉じる動作を行い、この閉じる場合に、窓に物などが挟まってしまうことがある。
【0004】このように閉成中の車両用窓に物などが挟み込まれてしまったことを検出する従来の車両用パワーウインドゥ装置として、例えば実公平5−12464号公報に開示されている自動車用窓ガラスの自動昇降装置がある。
【0005】この従来の装置は、車両用窓を開閉するためのモータを駆動する脈動電流をパルス信号として取り出して計数することにより、開閉中の窓ガラスの位置や開閉速度を検出し、窓ガラスの全閉位置範囲外においてモータの速度が低下した場合に、窓ガラスに物体が挟み込まれたものと判断して、モータを逆転させ、これにより窓ガラスを下降させて、窓ガラスに挟まれた物体を取り出せるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の装置では、物体が窓ガラスに挟み込まれたことの検出動作は行うことができるが、例えばパワーウインドゥ用部品の経時変化による窓の摺動抵抗が増大したことによりモータに通常よりも大きな負荷がかかった場合と、物が窓に挟み込まれたことによりモータに大きな負荷がかかった場合との区別ができず、場合によって経時劣化による窓の摺動抵抗の増大によるモータへの大きな負荷を物が車両用窓に挟み込まれたものと誤判断し、これにより窓を閉めることができなくなるという問題がある。
【0007】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、パワーウインドゥ用部品の経時変化による窓の摺動抵抗の増大等の不具合を適確に検出し得る車両用パワーウインドゥ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の車両用パワーウインドゥ装置は、車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記比較手段による比較の結果、前記モータによる車両用窓の閉成動作時に前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべく前記モータの動作を停止するように制御する制御手段と、前記判断手段により経時的変化が認められたときに前記制御手段による前記モータの動作の停止制御を無効にする無効手段とを有することを要旨とする。
【0009】また、本発明の車両用パワーウインドゥ装置は、車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記判断手段により経時的変化が認められたとき、前記パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知する報知手段とを有することを要旨とする。
【0010】更に、本発明の車両用パワーウインドゥ装置は、車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記比較手段による比較の結果、前記モータによる車両用窓の閉成動作時に前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべく前記モータの動作を停止するように制御する制御手段とを備え、前記判断手段により経時的変化が認められたときに前記制御手段による前記モータの動作の停止制御を無効にすると共に、前記判断手段により経時的変化が認められたとき、前記パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知するこを要旨とする。
【0011】
【作用】本発明の車両用パワーウインドゥ装置では、車両用窓を開閉するためのモータにかかる負荷を検出し、この検出した負荷を第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較し、この比較の結果、モータによる車両用窓の閉成動作時に検出した負荷が第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべくモータの動作を停止させる。この車両用パワーウインドゥ装置では、検出した負荷と第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較した結果、検出した負荷が第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断し、経時的変化が認められたときに、前記モータの動作の停止制御を無効にする。
【0012】また、本発明の車両用パワーウインドゥ装置では、車両用窓を開閉するためのモータにかかる負荷を検出し、この検出した負荷を第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較し、この比較の結果、モータによる車両用窓の閉成動作時に検出した負荷が第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべくモータの動作を停止させる。この車両用パワーウインドゥ装置では、検出した負荷を第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較した結果、前記検出した負荷が第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断したときに、パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知する。
【0013】更に、本発明の車両用パワーウインドゥ装置では、車両用窓を開閉するためのモータにかかる負荷を検出し、この検出した負荷を第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較し、この比較の結果、モータによる車両用窓の閉成動作時に検出した負荷が第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべくモータの動作を停止させる。この車両用パワーウインドゥ装置では、検出した負荷と第1の所定の基準負荷および第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較した結果、検出した負荷が第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断し、経時的変化が認められたときに、前記モータの動作の停止制御を無効にすると共に、パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知する。
【0014】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例に係わる車両用パワーウインドゥ装置の構成を示すブロック図である。同図に示す車両用パワーウインドゥ装置は、図示しない車両用窓を開閉駆動するためのパワーウインドゥモータ1、車両用窓を閉成するための閉成指令信号を発生するパワーウインドゥアップスイッチ3、および車両用窓を開放するための開放指令信号を発生するパワーウインドゥダウンスイッチ5を有する。
【0016】前記パワーウインドゥアップスイッチ3からの閉成指令信号およびパワーウインドゥダウンスイッチ5からの開放指令信号は、スイッチ入力部7に供給され、該スイッチ入力部7は前記閉成指令信号および開放指令信号に基づいてそれぞれ窓閉成信号および窓開放信号をモータ駆動部9に供給する。
【0017】モータ駆動部9は、スイッチ入力部7からの窓閉成信号および窓開放信号に応じて車両用窓を閉成および開放するための窓閉成駆動信号および窓開放駆動信号を前記パワーウインドゥモータ1に供給し、これによりパワーウインドゥモータ1を回転駆動し、車両用窓を閉成または開放する。具体的には、モータ駆動部9は、スイッチ入力部7から窓閉成信号を供給されると、該モータ駆動部9の出力線9aに例えば+12ボルトの電圧を印加し、出力線9bに例えば0ボルトの電圧を印加し、これによりパワーウインドゥモータ1を第1の方向に回転して、車両用窓を閉成し、またスイッチ入力部7から窓開放信号を供給されると、前記出力線9aに例えば0ボルトの電圧を印加し、出力線9bに例えば+12ボルトの電圧を印加し、これによりパワーウインドゥモータ1を第1の方向と逆の方向に回転して、車両用窓を開放する。
【0018】なお、モータ駆動部9の一方の出力線9aは、電流検出部11内を通ってから、パワーウインドゥモータ1の一方の端子に接続され、他方の出力線9bは直接パワーウインドゥモータ1の他方の端子に接続されている。
【0019】モータ駆動部9の一方の出力線9aが電流検出部11内を通ることにより、該出力線9aを流れるパワーウインドゥモータ1の駆動電流が電流検出部11に検出され、この検出されたモータ駆動電流はレベル比較部13の一方の入力に供給され、該レベル比較部13の他方の入力に供給されている挟み込みレベル記憶部15からの所定の挟み込み検知基準電流とレベル比較部13において比較される。
【0020】挟み込みレベル記憶部15からの前記挟み込み検知基準電流は、車両用窓を閉成する場合において、車両用窓に何か物が挟み込まれてしまったか否かを検出するために電流検出部11からのモータ駆動電流と比較される基準電流である。具体的には、車両用窓を閉成する場合、車両用窓に何も挟まらないときには、パワーウインドゥモータ1の負荷は一定であり、従ってパワーウインドゥモータ1に流れる電流も一定の値、例えば5アンペア程度であるが、閉成中の車両用窓に何か物が挟まった場合には、パワーウインドゥモータ1の負荷は大きくなって、過負荷状態になり、このためにパワーウインドゥモータ1に流れる電流は増大し、例えば20アンペア程度になる。
【0021】従って、この増大したモータ駆動電流をレベル比較部13において挟み込み検知基準電流と比較し、モータ駆動電流が挟み込み検知基準電流よりも大きい場合には、挟み込みが発生したものとして、挟み込み検知信号を出力し、この挟み込み検知信号を判断部17に供給する。
【0022】すなわち、前記挟み込みレベル記憶部15の挟み込み検知基準電流を例えば15アンペアに設定しておいて、この挟み込み検知基準電流をレベル比較部13において電流検出部11からのモータ駆動電流と比較する場合において、車両用窓に何も挟まらず、円滑に車両用窓が閉成するときのモータ駆動電流が5アンペア程度の場合には、モータ駆動電流は挟み込み検知基準電流よりも小さいので、レベル比較部13は挟み込み検知信号を出力しないが、車両用窓に何か物が挟み込まれて、パワーウインドゥモータ1が過負荷状態となり、モータ駆動電流が20アンペアに増大した場合には、モータ駆動電流が挟み込み検知基準電流よりも大きいので、レベル比較部13は挟み込み検知信号をその出力線13a上に出力する。
【0023】また、前記レベル比較部13には、システム不全予知レベル記憶部19からシステム不全予知基準電流が供給されており、レベル比較部13は電流検出部11からのモータ駆動電流を挟み込みレベル記憶部15からの挟み込み検知基準電流およびシステム不全予知レベル記憶部19からのシステム不全予知基準電流とそれぞれ比較する。
【0024】システム不全予知レベル記憶部19からのシステム不全予知基準電流は、パワーウインドゥ用部品の経時劣化により窓の摺動抵抗が増大している場合に、パワーウインドゥモータ1を駆動するモータ駆動電流が通常の電流値、例えば5アンペアよりも大きくなり、例えば12アンペア程度の電流に増大することになるが、この増大したモータ駆動電流を検出するために設定される電流であり、例えば10アンペアの電流値に設定されるものである。
【0025】従って、レベル比較部13は、電流検出部11からのモータ駆動電流をシステム不全予知レベル記憶部19からのシステム不全予知基準電流および挟み込みレベル記憶部15からの挟み込み検知基準電流とそれぞれ比較することにより、モータ駆動電流がシステム不全予知基準電流よりも大きく、挟み込み検知基準電流よりも小さい場合には、パワーウインドゥ用部品の経時劣化により摺動抵抗が増大したものであることを検知することができ、これによりレベル比較部13はその出力線13bにシステム不全予知信号を出力する。
【0026】レベル比較部13から出力線13a,13bにそれぞれ出力される挟み込み検知信号およびシステム不全予知信号は、判断部17に供給される。
【0027】判断部17は、レベル比較部13からその出力線13aを介して挟み込み検知信号を供給されると、閉成中の車両用窓に何か物が挟まってしまった挟み込み状態が発生したと判断し、挟み込み発生信号を前記モータ駆動部9およびスイッチ入力部7に供給する。
【0028】モータ駆動部9は、判断部17から挟み込み発生信号を供給されると、パワーウインドゥモータ1の動作を停止させる。具体的には、モータ駆動部9は、出力線9a,9bの両方に0ボルトの電圧を印加することにより、パワーウインドゥモータ1の動作を停止させ、これ以上車両用窓が閉成されることをまず停止する。
【0029】また、判断部17は、レベル比較部13からその出力線13bを介してシステム不全予知信号を供給されると、パワーウインドゥ用部品の経時劣化により窓の摺動抵抗が増大し不具合が発生したものと判断し、パワーウインドゥ劣化不良信号をモータ駆動部9に供給する。モータ駆動部9は、判断部17からパワーウインドゥ劣化不良信号を供給されると、前記挟み込み状態におけるパワーウインドゥモータ1の停止動作を中止し、これにより窓の摺動抵抗の増大等により窓が閉められなくなることを防止する。
【0030】以上のように構成される車両用パワーウインドゥ装置の作用を図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0031】まず、パワーウインドゥアップスイッチ3が操作された場合には、該パワーウインドゥアップスイッチ3から閉成指令信号がスイッチ入力部7に供給され、該スイッチ入力部7からモータ駆動部9に窓閉成信号が供給され、モータ駆動部9は出力線9aに+12ボルトの電圧を印加し、出力線9bに0ボルトの電圧を印加して、パワーウインドゥモータ1を駆動し、これにより車両用窓を閉成する(ステップS11,S12,S13)。
【0032】また、パワーウインドゥダウンスイッチ5が操作された場合には、該パワーウインドゥダウンスイッチ5から開放指令信号がスイッチ入力部7に供給され、該スイッチ入力部7からモータ駆動部9に窓開放信号が供給され、モータ駆動部9は出力線9aに0ボルトの電圧を印加し、出力線9bに+12ボルトの電圧を印加して、パワーウインドゥモータ1を駆動し、これにより車両用窓を開放する(ステップS11,S12,S13)。
【0033】上述した車両用窓の閉成動作においてパワーウインドゥモータ1に流れる電流は、モータ駆動部9の出力線9aが電流検出部11を通ることにより、電流検出部11で検出され、この検出されたモータ駆動電流がレベル比較部13に供給される(ステップS14)。
【0034】レベル比較部13は、電流検出部11から供給されたモータ駆動電流を挟み込みレベル記憶部15からの挟み込み検知基準電流と比較し(ステップS15)、モータ駆動電流が挟み込み検知基準電流よりも小さい場合には、挟み込みの発生はないものとして、挟み込み検知信号をその出力線13aに出力しないが、前記レベル比較部13における比較において、モータ駆動電流が挟み込み検知基準電流よりも大きい場合には、レベル比較部13は挟み込みが発生したものとして、挟み込み検知信号をその出力線13aに出力し、判断部17に供給する(ステップS16)。判断部17は、レベル比較部13から挟み込み検知信号を供給されると、挟み込みが発生したと判断し(ステップS17)、挟み込み発生信号をモータ駆動部9に供給する。モータ駆動部9は、判断部17から挟み込み発生信号を供給されると、上述したようにパワーウインドゥモータ1の動作をすぐに停止する。
【0035】また、レベル比較部13は、電流検出部11からのモータ駆動電流が挟み込み検知基準電流より小さく、挟み込み検知信号を出力しない場合には、ステップS15からステップS18に進んで、電流検出部11からのモータ駆動電流を挟み込みレベル記憶部15からの挟み込み検知基準電流およびシステム不全予知レベル記憶部19からのシステム不全予知基準電流とそれぞれ比較し(ステップS18)、モータ駆動電流がシステム不全予知基準電流よりも大きく、挟み込み検知基準電流よりも小さい場合には、その出力線13bを介してシステム不全予知信号を判断部17に供給する(ステップS19)。
【0036】判断部17は、レベル比較部13からその出力線13bを介してシステム不全予知信号を一定時間供給されると、パワーウインドゥ用部品の経時劣化により窓の摺動抵抗等が増大し不具合が発生したものと判断し(ステップS20,S21)、パワーウインドゥ劣化不良信号をモータ駆動部9に供給する。モータ駆動部9は、判断部17からパワーウインドゥ劣化不良信号を供給されると、前記挟み込み状態が発生した場合のパワーウインドゥモータ1の停止動作を中止し、これにより窓の摺動抵抗の増大等により窓が閉められなくなることを防止する。
【0037】なお、上記実施例では、判断部17がパワーウインドゥ劣化不良信号をモータ駆動部9に供給した場合に、挟み込み状態が発生した場合のパワーウインドゥモータ1の停止動作を中止し、これにより窓の摺動抵抗の増大等により窓が閉められなくなることを防止するように構成しているが、この代わりにモータ駆動部9が動作しないように制御し、これによりパワーウインドゥシステムの動作を停止するように構成してもよい。
【0038】図3は、本発明の他の実施例に係わる車両用パワーウインドゥ装置の構成を示すブロック図である。同図に示す車両用パワーウインドゥ装置は、図1に示した実施例に加えて、判断部17に警報手段21を接続し、判断部17からのパワーウインドゥ劣化不良信号を該警報手段21にも供給し、これによりパワーウインドゥ劣化不良の場合に、該警報手段21から警報を発生し、パワーウインドゥ用部品の経時劣化による窓の摺動抵抗の増大等のパワーウインドゥの不具合が発生したことを警報するように構成した点が異なるのみであり、その他の構成および作用は図1に示す実施例と同じである。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、車両用窓を開閉するためのモータにかかる負荷を検出し、この検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較し、この比較の結果、前記検出した負荷が第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時劣化による不良と判断しているので、パワーウインドゥ用部品の経時劣化による例えば窓の摺動抵抗の増大などの不具合を適確に検出することができるとともに、通常動作と挟み込み動作を区別することができる。また、パワーウインドゥ用部品の経時劣化による窓の摺動抵抗の増大等の不具合を検出した場合に、警報を発生することにより、更なる摺動抵抗の増大などによるパワーウインドゥシステムの不動作を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる車両用パワーウインドゥ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車両用パワーウインドゥ装置の作用を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施例に係わる車両用パワーウインドゥ装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 パワーウインドゥモータ
3 パワーウインドゥアップスイッチ
5 パワーウインドゥダウンスイッチ
7 スイッチ入力部
9 モータ駆動部
11 電流検出部
13 レベル比較部
15 挟み込みレベル記憶部
17 判断部
19 システム不全予知レベル記憶部
21 警報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記比較手段による比較の結果、前記モータによる車両用窓の閉成動作時に前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべく前記モータの動作を停止するように制御する制御手段と、前記判断手段により経時的変化が認められたときに前記制御手段による前記モータの動作の停止制御を無効にする無効手段とを有することを特徴とする車両用パワーウインドゥ装置。
【請求項2】 車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記判断手段により経時的変化が認められたとき、前記パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知する報知手段とを有することを特徴とする車両用パワーウインドゥ装置。
【請求項3】 車両用窓を開閉するためのモータと、このモータにかかる負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出した負荷に対して、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものかどうかを判断するための第1の所定の基準負荷および第1の所定の基準負荷よりも大きく車両用窓に物体が挟み込まれたかどうかを判断するための第2の所定の基準負荷とそれぞれ比較する比較手段と、この比較手段による比較の結果、前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第1の所定の基準負荷よりも大きく、第2の所定の基準負荷よりも小さい場合、パワーウインドゥ用部品の経時的変化によるものと判断する判断手段と、前記比較手段による比較の結果、前記モータによる車両用窓の閉成動作時に前記負荷検出手段で検出した負荷が前記第2の所定の基準負荷より大きい場合、車両用窓の閉成動作を停止させるべく前記モータの動作を停止するように制御する制御手段とを備え、前記判断手段により経時的変化が認められたときに前記制御手段による前記モータの動作の停止制御を無効にすると共に、前記判断手段により経時的変化が認められたとき、前記パワーウインドゥ用部品の経時的変化を報知することを特徴とする車両用パワーウインドゥ装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【特許番号】特許第3314547号(P3314547)
【登録日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【発行日】平成14年8月12日(2002.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−220450
【出願日】平成6年9月14日(1994.9.14)
【公開番号】特開平8−86145
【公開日】平成8年4月2日(1996.4.2)
【審査請求日】平成11年9月22日(1999.9.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【参考文献】
【文献】特開 平5−286356(JP,A)
【文献】特開 平4−111883(JP,A)