車両用リフトのアタッチメント
【課題】 例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適で、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現できる車両用リフトのアタッチメントを提供すること。
【解決手段】 昇降可能な車両支持部材4,28に設置可能な装着部11を設ける。
車両3のジャッキアップポイント部14に係合可能に配置する係止部12を設ける。
前記装着部11と係止部12とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントであること。
前記係止部12に前記装着部11を係合可能に形成する。
複数のアタッチメント10を重合可能に設ける。
上位のアタッチメント10を、前記ジャッキアップポイント部14に係合可能に配置する。
【解決手段】 昇降可能な車両支持部材4,28に設置可能な装着部11を設ける。
車両3のジャッキアップポイント部14に係合可能に配置する係止部12を設ける。
前記装着部11と係止部12とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントであること。
前記係止部12に前記装着部11を係合可能に形成する。
複数のアタッチメント10を重合可能に設ける。
上位のアタッチメント10を、前記ジャッキアップポイント部14に係合可能に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適で、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現できる車両用リフトのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車愛好家の間に、居住性の向上を目的とした低床車や、快適な走行性や操舵性を目的としたエアロ部品装着車が利用されている。
このうち、低床車のなかに車体床面を下方に大きく膨出させたものがあり、その整備点検に際し車両をリフトアップする場合、載架台にアタッチメントを取り付け、該アタッチメントを前記膨出部と接触を回避して位置付け、該アタッチメントに車両側のジャッキアップポイントを位置付けるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、低床車のなかには、膨出部の形状寸法が区々なものがあるため、それらに応じて種々の形状寸法のアタッチメントを取り揃える必要があり、またそのリフトアップ時におけるジャッキアップポイントの高さ調整が煩雑で手間が掛かるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、リフトア−ムの先端部に外筒体を設置し、該外筒体に中筒体を上下動可能にねじ込み、該中筒体内に載架台と一体の昇降支柱を摺動可能に装着し、前記支柱をスプリングの弾性によって上方へ付勢した受台がある。
前記受台は、その使用に際して、リフトア−ムの先端部を車両側のジャッキアップポイント部分に移動し、載架台をスプリングの弾性に抗して押し下げ、これをジャッキアップポイント直下で解除し、載架台上の保持部材の保持溝をサイドシル部に嵌め込み、かつその際、支持盤を回動して中筒体を昇降させ、載架台の高さを精密に調整して、リフトアップ可能にしている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記受台は、その高さ調整をスプリングの弾性と、中筒体のネジ機構によっているため、調整の範囲が狭くその精度も概して低い上に、調整時に不自然な姿勢と支持盤の面倒な回動操作を要して、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−282981号公報
【特許文献2】特開2004−1953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適で、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現できる車両用リフトのアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、昇降可能な車両支持部材に設置可能な装着部と、車両のジャッキアップポイント部に係合可能に配置する係止部とを備え、前記装着部と係止部とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントにおいて、前記係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置して、アタッチメントの重合によって微妙な高さ調整を簡単に実現し、低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適にするとともに、車両のリフティングセット時に面倒な回動操作や不自然な作業姿勢を強いられず、作業性を向上するようにしている。
【0009】
請求項2の発明は、前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成し、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止するようにしている。
請求項3の発明は、前記装着部を略箱形に形成し、装着部を係止部に確実に係合し、装着部の移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持するようにしている。
請求項4の発明は、前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にし、装着部と係止部を確実に係合し、それらの移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持するようにしている。
請求項5の発明は、前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にし、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止するようにしている。
【0010】
請求項6の発明は、前記係止部と前記装着部とを一体成形し、それらを別設する不合理や組み立ての手間を改善し、これを容易かつ安価に製作できるようにしている。
請求項7の発明は、前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設け、装着部を載架板に取り付け可能にして、アタッチメントの高さ調整を広範囲かつ精密に行なうとともに、ア−ム型車両用リフトへの使用を図れるようにしている
請求項8の発明は、一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にし、前後または左右のジャッキアップポイント部の地上高が相違する車両のジャッキアップに応じられるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置したから、アタッチメントの重合によって微妙な高さ調整を簡単に実現し、低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適であるとともに、車両のリフティングセット時に面倒な回動操作や不自然な作業姿勢を強いられず、作業性を向上することができる
請求項2の発明は、前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成したから、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止することができる。
【0012】
請求項3の発明は、前記装着部を略箱形に形成したから、装着部を係止部に確実に係合することができ、装着部の移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持することができる。
請求項4の発明は、前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にしたから、装着部と係止部を確実に係合し、それらの移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持することができる。
請求項5の発明は、前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にしたから、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止することができる。
【0013】
請求項6の発明は、前記係止部と前記装着部とを一体成形したから、それらを別設する不合理や組み立ての手間を改善し、これを容易かつ安価に製作できる効果がある。
請求項7の発明は、前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設け、装着部を載架板に取り付け可能にしたから、アタッチメントの高さ調整を広範囲かつ精密に行なえるとともに、ア−ム型車両用リフトへの使用を図れる効果がある。
請求項8の発明は、一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にしたから、前後または左右のジャッキアップポイント部の地上高が相違する車両のジャッキアップに応じられる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をエアロ(空気力学)部品を装着した車両のリフトアップに適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図4において1は自動車整備工場等の作業床面に設置したボ−ドオン型の公知の車両用リフトで、左右一対の支柱2が同期して昇降可能に立設され、該支柱2の上端部に被験車両3の片側半部を支持可能な、車両支持部材である支持板4が固定されている。
【0015】
前記支持板4は肉厚の鋼板を矩形に切断して形成され、その長さはホイ−ルベ−スよりも短小に形成されていて、被験車両3の前後輪5,6のタイヤハウス7,8間に配置可能にされている。
前記支持板4の上面に硬質ゴム等の摩擦層9が被覆され、該摩擦層9上にアタッチメント10が着脱かつ移動自在に載置されている。
【0016】
前記アタッチメント10は、略箱形の金属製の装着部11と、該装着部11に連結した硬質ゴム製の係止部12とで構成され、このうち前記装着部11は鋼板をプレス成形し、その平坦な上面に複数のネジ孔13を形成している。
【0017】
前記係止部12は図3のように、前記装着部11よりも若干小形かつ肉厚の矩形ブロック状に成形され、その外側に別のアタッチメント10の装着部11と嵌合可能にされている。
すなわち、係止部12の厚さを装着部11の側面高さよりも若干高く形成し、該係止部12の外側に別のアタッチメント10の装着部11を嵌合時、装着部11の周端縁と装着部11の外周面との接触を回避し、それらの滑りを防止可能にしている。
【0018】
前記係止部12の上面に係合面12aが形成され、該係合面12aを被験車両3の車体下部のジャッキアップポイント部14に係合可能にしている。
前記係合面12aの中央に係合溝15が形成され、前記溝15にジャッキアップポイント部14に近接して突設したサイドシル等の凸部16を挿入可能にしている。
【0019】
前記係合溝15の両側に角柱状の係止ピ−ス12bが区画形成され、該係止ピ−ス12bの上面に有底の凹孔17が形成され、該凹孔17は前記ネジ孔13の位置に対応して設けられている。
前記凹孔17の底部にネジ孔13に連通する通孔18が形成され、該通孔18からビス19を前記ネジ孔13にねじ込み、これを緊締して係止部12を装着部11に連結している。
【0020】
図中、20は車体側部に下向きに取り付けた金属または合成樹脂製のエアロ部品で、空気力学的に合理的な形状、実施形態では長尺の翼形状に形成され、該エアロ部品20によって、ジャッキアップポイント部14およびサイドシル部16が隠蔽されている。
【0021】
このように構成した車両用リフトのアタッチメントは、ボ−ドオン型の車両用リフトの支持板4上に着脱自在に取り付けられ、該アタッチメン10は支持板4上に載置可能な装着部11と、該装着部11に連結する係止部12とからなっている。
【0022】
このうち、装着部11は鋼板を箱形にプレス成形し、その平坦な上面に複数のネジ孔13を形成し、また係止部12は硬質ゴム製の肉厚の矩形ブロック状に成形し、その形状は装着部11より若干小形かつ肉厚に成形し、その上面に平坦な係合面12aを形成する。
前記係合面12aの中央に係合溝15を形成し、該係合溝15の両側に一対の係止ピ−ス12bを成形し、該係止ピ−ス12bのネジ孔13と対応位置に凹孔17を形成し、その底部にネジ孔13に連通する通孔18を形成する。
【0023】
そして、装着部11に係止部12を組み付ける場合は、装着部11の上面に係止部21を載せ、その通孔18をネジ孔13に位置合わせし、凹孔17側からビス19を通孔18に挿入し、これをネジ孔13にねじ込んで緊締し、これらを一体的に連結する。
このように前記アタッチメント10は構成が簡単で部品点数が少ないから、これを容易かつ安価に製作できる。
こうして組み立てたアタッチメント10は図3のようで、装着部11の上面に係止部12が連結され、装着部11の底面は矩形の周縁部を残して、空隙に形成されている。
【0024】
次に、前記組み立てたアタッチメント10を使用して、エアロ部品20を装着した被験車両3をリフトアップする場合は、車両用リフト1の支持板4,4を最下位置に設定し、該支持板4,4上に被験車両3を移動し、そのジャッキアップポイント部14を支持板4,4の直上に位置付ける。
【0025】
この後、車両用リフト1をリフトアップし、その支持板4,4を同期して上昇させ、該支持板4,4をジャッキアップポイント部14直下に移動させたところで、一旦その上昇を停止し、ジャッキアップポイント部14に対応する支持板4,4上の所定位置に各アタッチメント10を配置する。
この場合、車体側部下端にエアロ部品20が位置し、車体側方からアタッチメント10を配置できないから、タイヤハウス7,8の前後部からアタッチメント10を挿入して配置する。
【0026】
この後、車両用リフト1のリフトアップ作動を再開し、各アタッチメント10の係止部12の係合溝15をサイドシル16に嵌合し、各係合面12aをジャッキアップポイント部14に係合する。この状況は図2および図4のようである。
この後、支柱4,4を同期して上昇させ、被験車両3を所定高さにリフトアップすれば、前後輪5,6や下廻りの整備点検作業を行なえる。この状況は図1のようである。
【0027】
このように本発明は、支持板4,4を所定高さリフトアップしてアタッチメント10を配置するから、支持板4,4の最下位置での不自然な作業姿勢を強いられず、またアタッチメント10を支持板4,4上に載せるだけの簡単な作業で良いから、その位置調整を自在に行なえ、この種の作業を容易かつ能率良く行なえる。
【0028】
そして、前記整備点検時は、硬質ゴム製の係止部12の係合面12aがジャッキアップポイント部14に接触し、また装着部11の下面が支持板4,4の摩擦層9に接触しているから、それらの摩擦によってアタッチメント10の移動を阻止し、被験車両3を安全に支持する。
なお、経年使用後、係止部11または装着部11が磨耗若しくは損傷した場合は、これを取り外して取り替えることで、それらのメンテナンスを実現し、一定の品質を合理的に保持し得る。
【0029】
図5乃至図17は本発明の他の実施形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。このうち、図5乃至図8は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は、車体側部に前述のエアロ部品20よりも更に幅広なエアロ部品25、したがって、その分車高が更に低くなる被験車両3のリフトアップに適用している。
この場合は、前述のアタッチメント10と実質的に同一のアタッチメント10を二つ用意し、これらを積み重ねて使用する。
【0030】
すなわち、図6のように上側に配置する一方のアタッチメント10の装着部11を、下側に配置する他方のアタッチメント10の係止部12に嵌合する。
このようにすると、係止部12の高さは装着部11の深さよりも高く形成されているから、上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の装着部11から若干浮き上がった状態で嵌合し、かつ上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の係止部12に密着して嵌合する。この状況は図7のようである
【0031】
こうして二つのアタッチメント10を重合すると、一つのアタッチメント10を使用した場合に比べて、支持板4からジャッキアップポイント部14までの高さが、アタッチメント10の高さの略1/2で、装着部11の略高さh分、高く調整される。
したがって、前記高さ分、支持板4を低く調整できるから、前記幅広なエアロ部品25と支持板4との接触を回避でき、前記エアロ部品25を取り付けた被験車両3のリフトアップに応じられる。この状況は図7および図8のようである。
この効果は、ジャッキアップポイント部14に対する高さ調整手段を持たないボ−ドオン型の車両用リフト1に好適である。
【0032】
このようなアタッチメント10の重合使用時は、上側のアタッチメント10の装着部11の下端部が、下側のアタッチメント10の装着部11から離間して嵌合し、それらの接触を回避しているから、それらの接触による滑りや位置ずれを未然に防止する。
しかも、上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の係止部12に密着して嵌合しているから、上側のアタッチメント10の装着部11の位置ずれを防止し、被験車両3の安定したリフトアップに応じられ、その安全性を得られる。
【0033】
なお、二つのアタッチメント10に限らず、三つのアタッチメント10を積み重ねて使用することも可能であり、そのようにすることで微妙な高さ調整を行なえ、種々の寸法のエアロ部品20を装着した被験車両3のリフトアップに応じられる。
【0034】
図9および図10は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態はアタッチメント10の係止部12の係合面12aを、ジャッキアップポイント部14に係合して被験車両3を支持する代わりに、例えばモノコック型の車体底部21をジャッキアップポイント部14として支持し、かつその車体底部21の前後部21a,21bの地上高が相違している場合に適用している。
【0035】
すなわち、車体前側底部21aの地上高が、車体後側底部21bよりも低い図示の場合、支持板4の前部に単一のアタッチメント10を取り付け、支持板4の後部に二つのアタッチメント10を前述のように重合して取り付け、前記地上高の相違をアタッチメント10で高さ調整し、それらの係合高さを揃えるようにしている。
【0036】
図11乃至図15はアタッチメント10の他の実施形態を示し、このうち図11は本発明の第4の実施形態を示している。
この実施形態は、装着部11を箱形に形成する代わりに、装着部11の中央に仕切壁22を形成し、該仕切壁22の両側を二つの凹室23に区画し、該凹室23に別のアタッチメント10の係止部11の係止ピ−ス12b, 12bを嵌合可能にし、前記仕切壁22を係合溝15に嵌合可能にして、係合各部の接触ないし係合面積を増大させ、複数のアタッチメント10を強固かつ安定して重合させるようにしている。
【0037】
図12は前記第4の実施形態の応用形態を示し、この応用形態は装着部11を略箱形に形成する代わりに、装着部11を略コ字形断面に形成し、その中央に設けた仕切壁22の両側に側壁を切り欠いた凹室24を形成し、構成を簡潔化し製作の容易化を図っている。
【0038】
また、図13乃至図15は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は装着部11を金属製から硬質ゴム製とし、該硬質ゴム製の装着部25と係止部11とを硬質ゴムで一体成形して、ビス孔13および凹孔17、ビス19を省略し、部品点数の低減と構成の簡潔化を図るとともに、組み立てを省略して容易かつ安価に製作し得るようにしている。
【0039】
このうち、図13は図3のアタッチメント10に対応して形成し、ネジ孔13と凹孔17、通孔18等を省略して構成を簡潔化し、製作の容易化とコストの低廉を図るとともに、装着部11と係止部12との嵌合時の摩擦を増大し、複数のアタッチメント10を安定して重合し得るようにしている。
【0040】
図14は図11のアタッチメント10に対応して形成し、仕切壁22と係合溝15との嵌合、および凹室23と係止ピ−ス12bとの嵌合時の摩擦を増大し、複数のアタッチメント10を安定して重合し得るようにしている。
図15は図14の仕切壁22と係合溝15との嵌合の代わりに、装着部11の内側中央部に円錐台形状の突起26を突設し、また係止部12の中央部に前記突起26に嵌合可能な嵌合孔27を形成し、それらの嵌合の容易化を図っている。
【0041】
図16および図17は本発明の第6の実施形態を示し、この実施形態は本発明を適用する車両用リフト1として、ボ−ドオン型の代わりにア−ム型のものに適用している。
すなわち、支持板4の両端部に車両支持部材である支持ア−ム28を回動可能に取り付け、該支持ア−ム28の先端部にネジ孔29を設け、該ネジ孔29に載架板30と一体のボルト31をねじ込んで、載架板30の高さを調整可能にしたア−ム型車両用リフト1の基本構成において、前記載架板30に装着部11を嵌合し、アタッチメント10の高さを調整可能にしている。
すなわち、複数の前記アタッチメント10を重合し、またボルト31のねじ込み量を加減することによって、アタッチメント10の高さ調整を広範囲かつ精密に実行可能にする
【産業上の利用可能性】
【0042】
このように本発明の車両用リフトのアタッチメントは、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現でき、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に使用したボ−ドオン型車両用リフトのリフト後の状況を示す正面図である。
【図2】本発明に使用したボ−ドオン型車両用リフトのリフティングセット時の状況を示す断面図である。
【図3】(a)は本発明を適用したアタッチメントのボ−ドオン型車両用リフトに対する設置状況を示す斜視図である。(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示す斜視図である。
【図4】図3(a)のA−A線に沿う断面図で、このアタッチメントをボ−ドオン型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【0044】
【図5】本発明の第2の実施形態を示す斜視図で、二つのアタッチメントを重合してボ−ドオン型車両用リフトに設置した状況を示している。
【図6】前記第2の実施形態において、二つのアタッチメントを重合してボ−ドオン型車両用リフトに設置する状況を示す斜視図である。
【図7】図5(a)のB−B線に沿う断面図で、このアタッチメントをボ−ドオン型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【図8】前記第2の実施形態による車両のリフトアップ状況を示す断面図である。
【0045】
【図9】本発明の第3の実施形態を示す正面図で、ボ−ドオン型車両用リフトの一対の支持板の前後位置に単一のアタッチメントと、二つのアタッチメントを重合して配置し、地上高を異にするジャッキアップポイント部を有する車両のリフトアップ状況を示している。
【図10】前記第3の実施形態において、前後のアタッチメントによるリフティングセット状況を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを異質部材で構成したアタッチメントの組み付け状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【0046】
【図12】本発明の第4の実施形態の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを異質部材で構成したアタッチメントの組み付け状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図13】本発明の第5の実施形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図14】前記第5の実施形態の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【0047】
【図15】前記第5の実施形態の別の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図16】本発明の第6の実施形態を示す斜視図で、アーム型車両用リフトに付設した載架板に対する取り付け状況を示している。
【図17】図16のC−C線に沿う断面図で、このアタッチメントをアーム型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用リフト
3 車両
4 車両支持部材(支持板)
10 アタッチメント
11 装着部
12 係止部
14 ジャッキアップポイント部
28 車両支持部材(支持アーム)
30 載架板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適で、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現できる車両用リフトのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車愛好家の間に、居住性の向上を目的とした低床車や、快適な走行性や操舵性を目的としたエアロ部品装着車が利用されている。
このうち、低床車のなかに車体床面を下方に大きく膨出させたものがあり、その整備点検に際し車両をリフトアップする場合、載架台にアタッチメントを取り付け、該アタッチメントを前記膨出部と接触を回避して位置付け、該アタッチメントに車両側のジャッキアップポイントを位置付けるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、低床車のなかには、膨出部の形状寸法が区々なものがあるため、それらに応じて種々の形状寸法のアタッチメントを取り揃える必要があり、またそのリフトアップ時におけるジャッキアップポイントの高さ調整が煩雑で手間が掛かるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、リフトア−ムの先端部に外筒体を設置し、該外筒体に中筒体を上下動可能にねじ込み、該中筒体内に載架台と一体の昇降支柱を摺動可能に装着し、前記支柱をスプリングの弾性によって上方へ付勢した受台がある。
前記受台は、その使用に際して、リフトア−ムの先端部を車両側のジャッキアップポイント部分に移動し、載架台をスプリングの弾性に抗して押し下げ、これをジャッキアップポイント直下で解除し、載架台上の保持部材の保持溝をサイドシル部に嵌め込み、かつその際、支持盤を回動して中筒体を昇降させ、載架台の高さを精密に調整して、リフトアップ可能にしている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記受台は、その高さ調整をスプリングの弾性と、中筒体のネジ機構によっているため、調整の範囲が狭くその精度も概して低い上に、調整時に不自然な姿勢と支持盤の面倒な回動操作を要して、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−282981号公報
【特許文献2】特開2004−1953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適で、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現できる車両用リフトのアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、昇降可能な車両支持部材に設置可能な装着部と、車両のジャッキアップポイント部に係合可能に配置する係止部とを備え、前記装着部と係止部とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントにおいて、前記係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置して、アタッチメントの重合によって微妙な高さ調整を簡単に実現し、低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適にするとともに、車両のリフティングセット時に面倒な回動操作や不自然な作業姿勢を強いられず、作業性を向上するようにしている。
【0009】
請求項2の発明は、前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成し、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止するようにしている。
請求項3の発明は、前記装着部を略箱形に形成し、装着部を係止部に確実に係合し、装着部の移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持するようにしている。
請求項4の発明は、前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にし、装着部と係止部を確実に係合し、それらの移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持するようにしている。
請求項5の発明は、前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にし、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止するようにしている。
【0010】
請求項6の発明は、前記係止部と前記装着部とを一体成形し、それらを別設する不合理や組み立ての手間を改善し、これを容易かつ安価に製作できるようにしている。
請求項7の発明は、前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設け、装着部を載架板に取り付け可能にして、アタッチメントの高さ調整を広範囲かつ精密に行なうとともに、ア−ム型車両用リフトへの使用を図れるようにしている
請求項8の発明は、一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にし、前後または左右のジャッキアップポイント部の地上高が相違する車両のジャッキアップに応じられるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置したから、アタッチメントの重合によって微妙な高さ調整を簡単に実現し、低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適であるとともに、車両のリフティングセット時に面倒な回動操作や不自然な作業姿勢を強いられず、作業性を向上することができる
請求項2の発明は、前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成したから、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止することができる。
【0012】
請求項3の発明は、前記装着部を略箱形に形成したから、装着部を係止部に確実に係合することができ、装着部の移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持することができる。
請求項4の発明は、前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にしたから、装着部と係止部を確実に係合し、それらの移動や位置ずれを防止して、車両を安全に支持することができる。
請求項5の発明は、前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にしたから、複数のアタッチメントを重合する際、上下位置の装着部の接触を防止し、それらの滑りを未然に防止することができる。
【0013】
請求項6の発明は、前記係止部と前記装着部とを一体成形したから、それらを別設する不合理や組み立ての手間を改善し、これを容易かつ安価に製作できる効果がある。
請求項7の発明は、前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設け、装着部を載架板に取り付け可能にしたから、アタッチメントの高さ調整を広範囲かつ精密に行なえるとともに、ア−ム型車両用リフトへの使用を図れる効果がある。
請求項8の発明は、一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にしたから、前後または左右のジャッキアップポイント部の地上高が相違する車両のジャッキアップに応じられる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をエアロ(空気力学)部品を装着した車両のリフトアップに適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図4において1は自動車整備工場等の作業床面に設置したボ−ドオン型の公知の車両用リフトで、左右一対の支柱2が同期して昇降可能に立設され、該支柱2の上端部に被験車両3の片側半部を支持可能な、車両支持部材である支持板4が固定されている。
【0015】
前記支持板4は肉厚の鋼板を矩形に切断して形成され、その長さはホイ−ルベ−スよりも短小に形成されていて、被験車両3の前後輪5,6のタイヤハウス7,8間に配置可能にされている。
前記支持板4の上面に硬質ゴム等の摩擦層9が被覆され、該摩擦層9上にアタッチメント10が着脱かつ移動自在に載置されている。
【0016】
前記アタッチメント10は、略箱形の金属製の装着部11と、該装着部11に連結した硬質ゴム製の係止部12とで構成され、このうち前記装着部11は鋼板をプレス成形し、その平坦な上面に複数のネジ孔13を形成している。
【0017】
前記係止部12は図3のように、前記装着部11よりも若干小形かつ肉厚の矩形ブロック状に成形され、その外側に別のアタッチメント10の装着部11と嵌合可能にされている。
すなわち、係止部12の厚さを装着部11の側面高さよりも若干高く形成し、該係止部12の外側に別のアタッチメント10の装着部11を嵌合時、装着部11の周端縁と装着部11の外周面との接触を回避し、それらの滑りを防止可能にしている。
【0018】
前記係止部12の上面に係合面12aが形成され、該係合面12aを被験車両3の車体下部のジャッキアップポイント部14に係合可能にしている。
前記係合面12aの中央に係合溝15が形成され、前記溝15にジャッキアップポイント部14に近接して突設したサイドシル等の凸部16を挿入可能にしている。
【0019】
前記係合溝15の両側に角柱状の係止ピ−ス12bが区画形成され、該係止ピ−ス12bの上面に有底の凹孔17が形成され、該凹孔17は前記ネジ孔13の位置に対応して設けられている。
前記凹孔17の底部にネジ孔13に連通する通孔18が形成され、該通孔18からビス19を前記ネジ孔13にねじ込み、これを緊締して係止部12を装着部11に連結している。
【0020】
図中、20は車体側部に下向きに取り付けた金属または合成樹脂製のエアロ部品で、空気力学的に合理的な形状、実施形態では長尺の翼形状に形成され、該エアロ部品20によって、ジャッキアップポイント部14およびサイドシル部16が隠蔽されている。
【0021】
このように構成した車両用リフトのアタッチメントは、ボ−ドオン型の車両用リフトの支持板4上に着脱自在に取り付けられ、該アタッチメン10は支持板4上に載置可能な装着部11と、該装着部11に連結する係止部12とからなっている。
【0022】
このうち、装着部11は鋼板を箱形にプレス成形し、その平坦な上面に複数のネジ孔13を形成し、また係止部12は硬質ゴム製の肉厚の矩形ブロック状に成形し、その形状は装着部11より若干小形かつ肉厚に成形し、その上面に平坦な係合面12aを形成する。
前記係合面12aの中央に係合溝15を形成し、該係合溝15の両側に一対の係止ピ−ス12bを成形し、該係止ピ−ス12bのネジ孔13と対応位置に凹孔17を形成し、その底部にネジ孔13に連通する通孔18を形成する。
【0023】
そして、装着部11に係止部12を組み付ける場合は、装着部11の上面に係止部21を載せ、その通孔18をネジ孔13に位置合わせし、凹孔17側からビス19を通孔18に挿入し、これをネジ孔13にねじ込んで緊締し、これらを一体的に連結する。
このように前記アタッチメント10は構成が簡単で部品点数が少ないから、これを容易かつ安価に製作できる。
こうして組み立てたアタッチメント10は図3のようで、装着部11の上面に係止部12が連結され、装着部11の底面は矩形の周縁部を残して、空隙に形成されている。
【0024】
次に、前記組み立てたアタッチメント10を使用して、エアロ部品20を装着した被験車両3をリフトアップする場合は、車両用リフト1の支持板4,4を最下位置に設定し、該支持板4,4上に被験車両3を移動し、そのジャッキアップポイント部14を支持板4,4の直上に位置付ける。
【0025】
この後、車両用リフト1をリフトアップし、その支持板4,4を同期して上昇させ、該支持板4,4をジャッキアップポイント部14直下に移動させたところで、一旦その上昇を停止し、ジャッキアップポイント部14に対応する支持板4,4上の所定位置に各アタッチメント10を配置する。
この場合、車体側部下端にエアロ部品20が位置し、車体側方からアタッチメント10を配置できないから、タイヤハウス7,8の前後部からアタッチメント10を挿入して配置する。
【0026】
この後、車両用リフト1のリフトアップ作動を再開し、各アタッチメント10の係止部12の係合溝15をサイドシル16に嵌合し、各係合面12aをジャッキアップポイント部14に係合する。この状況は図2および図4のようである。
この後、支柱4,4を同期して上昇させ、被験車両3を所定高さにリフトアップすれば、前後輪5,6や下廻りの整備点検作業を行なえる。この状況は図1のようである。
【0027】
このように本発明は、支持板4,4を所定高さリフトアップしてアタッチメント10を配置するから、支持板4,4の最下位置での不自然な作業姿勢を強いられず、またアタッチメント10を支持板4,4上に載せるだけの簡単な作業で良いから、その位置調整を自在に行なえ、この種の作業を容易かつ能率良く行なえる。
【0028】
そして、前記整備点検時は、硬質ゴム製の係止部12の係合面12aがジャッキアップポイント部14に接触し、また装着部11の下面が支持板4,4の摩擦層9に接触しているから、それらの摩擦によってアタッチメント10の移動を阻止し、被験車両3を安全に支持する。
なお、経年使用後、係止部11または装着部11が磨耗若しくは損傷した場合は、これを取り外して取り替えることで、それらのメンテナンスを実現し、一定の品質を合理的に保持し得る。
【0029】
図5乃至図17は本発明の他の実施形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。このうち、図5乃至図8は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は、車体側部に前述のエアロ部品20よりも更に幅広なエアロ部品25、したがって、その分車高が更に低くなる被験車両3のリフトアップに適用している。
この場合は、前述のアタッチメント10と実質的に同一のアタッチメント10を二つ用意し、これらを積み重ねて使用する。
【0030】
すなわち、図6のように上側に配置する一方のアタッチメント10の装着部11を、下側に配置する他方のアタッチメント10の係止部12に嵌合する。
このようにすると、係止部12の高さは装着部11の深さよりも高く形成されているから、上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の装着部11から若干浮き上がった状態で嵌合し、かつ上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の係止部12に密着して嵌合する。この状況は図7のようである
【0031】
こうして二つのアタッチメント10を重合すると、一つのアタッチメント10を使用した場合に比べて、支持板4からジャッキアップポイント部14までの高さが、アタッチメント10の高さの略1/2で、装着部11の略高さh分、高く調整される。
したがって、前記高さ分、支持板4を低く調整できるから、前記幅広なエアロ部品25と支持板4との接触を回避でき、前記エアロ部品25を取り付けた被験車両3のリフトアップに応じられる。この状況は図7および図8のようである。
この効果は、ジャッキアップポイント部14に対する高さ調整手段を持たないボ−ドオン型の車両用リフト1に好適である。
【0032】
このようなアタッチメント10の重合使用時は、上側のアタッチメント10の装着部11の下端部が、下側のアタッチメント10の装着部11から離間して嵌合し、それらの接触を回避しているから、それらの接触による滑りや位置ずれを未然に防止する。
しかも、上側のアタッチメント10の装着部11が、下側のアタッチメント10の係止部12に密着して嵌合しているから、上側のアタッチメント10の装着部11の位置ずれを防止し、被験車両3の安定したリフトアップに応じられ、その安全性を得られる。
【0033】
なお、二つのアタッチメント10に限らず、三つのアタッチメント10を積み重ねて使用することも可能であり、そのようにすることで微妙な高さ調整を行なえ、種々の寸法のエアロ部品20を装着した被験車両3のリフトアップに応じられる。
【0034】
図9および図10は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態はアタッチメント10の係止部12の係合面12aを、ジャッキアップポイント部14に係合して被験車両3を支持する代わりに、例えばモノコック型の車体底部21をジャッキアップポイント部14として支持し、かつその車体底部21の前後部21a,21bの地上高が相違している場合に適用している。
【0035】
すなわち、車体前側底部21aの地上高が、車体後側底部21bよりも低い図示の場合、支持板4の前部に単一のアタッチメント10を取り付け、支持板4の後部に二つのアタッチメント10を前述のように重合して取り付け、前記地上高の相違をアタッチメント10で高さ調整し、それらの係合高さを揃えるようにしている。
【0036】
図11乃至図15はアタッチメント10の他の実施形態を示し、このうち図11は本発明の第4の実施形態を示している。
この実施形態は、装着部11を箱形に形成する代わりに、装着部11の中央に仕切壁22を形成し、該仕切壁22の両側を二つの凹室23に区画し、該凹室23に別のアタッチメント10の係止部11の係止ピ−ス12b, 12bを嵌合可能にし、前記仕切壁22を係合溝15に嵌合可能にして、係合各部の接触ないし係合面積を増大させ、複数のアタッチメント10を強固かつ安定して重合させるようにしている。
【0037】
図12は前記第4の実施形態の応用形態を示し、この応用形態は装着部11を略箱形に形成する代わりに、装着部11を略コ字形断面に形成し、その中央に設けた仕切壁22の両側に側壁を切り欠いた凹室24を形成し、構成を簡潔化し製作の容易化を図っている。
【0038】
また、図13乃至図15は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は装着部11を金属製から硬質ゴム製とし、該硬質ゴム製の装着部25と係止部11とを硬質ゴムで一体成形して、ビス孔13および凹孔17、ビス19を省略し、部品点数の低減と構成の簡潔化を図るとともに、組み立てを省略して容易かつ安価に製作し得るようにしている。
【0039】
このうち、図13は図3のアタッチメント10に対応して形成し、ネジ孔13と凹孔17、通孔18等を省略して構成を簡潔化し、製作の容易化とコストの低廉を図るとともに、装着部11と係止部12との嵌合時の摩擦を増大し、複数のアタッチメント10を安定して重合し得るようにしている。
【0040】
図14は図11のアタッチメント10に対応して形成し、仕切壁22と係合溝15との嵌合、および凹室23と係止ピ−ス12bとの嵌合時の摩擦を増大し、複数のアタッチメント10を安定して重合し得るようにしている。
図15は図14の仕切壁22と係合溝15との嵌合の代わりに、装着部11の内側中央部に円錐台形状の突起26を突設し、また係止部12の中央部に前記突起26に嵌合可能な嵌合孔27を形成し、それらの嵌合の容易化を図っている。
【0041】
図16および図17は本発明の第6の実施形態を示し、この実施形態は本発明を適用する車両用リフト1として、ボ−ドオン型の代わりにア−ム型のものに適用している。
すなわち、支持板4の両端部に車両支持部材である支持ア−ム28を回動可能に取り付け、該支持ア−ム28の先端部にネジ孔29を設け、該ネジ孔29に載架板30と一体のボルト31をねじ込んで、載架板30の高さを調整可能にしたア−ム型車両用リフト1の基本構成において、前記載架板30に装着部11を嵌合し、アタッチメント10の高さを調整可能にしている。
すなわち、複数の前記アタッチメント10を重合し、またボルト31のねじ込み量を加減することによって、アタッチメント10の高さ調整を広範囲かつ精密に実行可能にする
【産業上の利用可能性】
【0042】
このように本発明の車両用リフトのアタッチメントは、構成が簡単で容易に製作でき、リフティングセット時の作業性を向上できるとともに、微妙な高さ調整を実現でき、例えば低床車やエアロ部品装着車のリフトアップに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に使用したボ−ドオン型車両用リフトのリフト後の状況を示す正面図である。
【図2】本発明に使用したボ−ドオン型車両用リフトのリフティングセット時の状況を示す断面図である。
【図3】(a)は本発明を適用したアタッチメントのボ−ドオン型車両用リフトに対する設置状況を示す斜視図である。(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示す斜視図である。
【図4】図3(a)のA−A線に沿う断面図で、このアタッチメントをボ−ドオン型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【0044】
【図5】本発明の第2の実施形態を示す斜視図で、二つのアタッチメントを重合してボ−ドオン型車両用リフトに設置した状況を示している。
【図6】前記第2の実施形態において、二つのアタッチメントを重合してボ−ドオン型車両用リフトに設置する状況を示す斜視図である。
【図7】図5(a)のB−B線に沿う断面図で、このアタッチメントをボ−ドオン型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【図8】前記第2の実施形態による車両のリフトアップ状況を示す断面図である。
【0045】
【図9】本発明の第3の実施形態を示す正面図で、ボ−ドオン型車両用リフトの一対の支持板の前後位置に単一のアタッチメントと、二つのアタッチメントを重合して配置し、地上高を異にするジャッキアップポイント部を有する車両のリフトアップ状況を示している。
【図10】前記第3の実施形態において、前後のアタッチメントによるリフティングセット状況を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを異質部材で構成したアタッチメントの組み付け状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【0046】
【図12】本発明の第4の実施形態の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを異質部材で構成したアタッチメントの組み付け状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図13】本発明の第5の実施形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図14】前記第5の実施形態の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【0047】
【図15】前記第5の実施形態の別の応用形態を示す斜視図で、(a)は装着部と係止部とを同質部材で成形したアタッチメントの状況を示し、(b)は前記アタッチメントを反転した状況を示している。
【図16】本発明の第6の実施形態を示す斜視図で、アーム型車両用リフトに付設した載架板に対する取り付け状況を示している。
【図17】図16のC−C線に沿う断面図で、このアタッチメントをアーム型車両用リフトに設置して、車両をリフトアップしている状況を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用リフト
3 車両
4 車両支持部材(支持板)
10 アタッチメント
11 装着部
12 係止部
14 ジャッキアップポイント部
28 車両支持部材(支持アーム)
30 載架板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能な車両支持部材に設置可能な装着部と、車両のジャッキアップポイント部に係合可能に配置する係止部とを備え、前記装着部と係止部とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントにおいて、前記係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置したことを特徴とする車両用リフトのアタッチメント。
【請求項2】
前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成した請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項3】
前記装着部を略箱形に形成した請求項1または請求項2記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項4】
前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にした請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項5】
前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にした請求項2または請求項4記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項6】
前記係止部と前記装着部とを一体成形した請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項7】
前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設けた請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項8】
一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にした請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項1】
昇降可能な車両支持部材に設置可能な装着部と、車両のジャッキアップポイント部に係合可能に配置する係止部とを備え、前記装着部と係止部とを一体的に構成した車両用リフトのアタッチメントにおいて、前記係止部に前記装着部を係合可能に形成し、前記複数のアタッチメントを重合可能に設け、その上位のアタッチメントを前記ジャッキアップポイント部に係合可能に配置したことを特徴とする車両用リフトのアタッチメント。
【請求項2】
前記係止部の高さを前記装着部の高さよりも高く形成した請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項3】
前記装着部を略箱形に形成した請求項1または請求項2記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項4】
前記係止部を略矩形ブロック状に形成し、該係止部に前記装着部を嵌合可能にした請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項5】
前記係止部にその下部周面を残して、前記装着部を嵌合可能にした請求項2または請求項4記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項6】
前記係止部と前記装着部とを一体成形した請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項7】
前記装着部を、車両支持部材に上下位置調整可能に設けた載架板に嵌合可能に設けた請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【請求項8】
一または一対の車両支持部材の二位置に、単一のアタッチメントと、重合した複数のアタッチメントとを配置可能にした請求項1記載の車両用リフトのアタッチメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−39217(P2007−39217A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226374(P2005−226374)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア橋本 (48)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア橋本 (48)
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