説明

車両用充放電装置

【課題】放電用経路の異常判定を確実に行うこと。
【解決手段】充電時には、放電用経路K2を通電状態とする制御信号が出力されていない状態で、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知された場合に、接点S5,S6が溶着されていると判定する。また、放電時には、車両12の蓄電池13の放電が行われている状態で、かつ放電用経路K2を通電状態とする制御信号が出力されていない状態で、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知された場合に、接点S5,S6が溶着されていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は蓄電池から放電する車両用充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、当該車両の原動機となる電動機(モータ)への供給電力を蓄える蓄電池が搭載されており、その蓄電池を充電するための充電装置が考えられている。一方、例えば災害時の電力供給不足を補う目的で、車両の蓄電池に蓄えられている電力を放電させるための放電装置も考えられている。この種の装置では、充電用経路や放電用経路を通電状態にするためにリレーを採用している。そして、リレーを用いた場合には、例えば特許文献1の装置のように、リレーの接点の溶着判定が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充電装置や放電装置における溶着などの異常判定は、これらの装置に電力が供給されている場合に行うことができる。特に、溶着の有無の判定では、本来、装置内に流れる筈のない状況下で電流が流れている場合に溶着の可能性ありと判定することから、装置に電力が供給されていることが必要となる。このため、前述した充電装置の場合は、その接続先が電力系統であるから装置内には常に電力が供給されており、装置内の所定箇所の電圧を検知すれば溶着などの異常が生じているか否かを判別することができる。しかしながら、前述した放電装置の場合には、放電のために電力を装置内に供給している場合と電力を装置内に供給していない場合が存在するため、充電装置とは同様の手法により溶着などの異常判定を行うことはできない。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、放電用経路の異常判定を確実に行うことができる車両用充放電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は前記蓄電池から放電する車両用充放電装置において、充電時に、充電用経路を通電状態に切り換える充電時切換手段と、放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、充電時には前記充電用経路を通電状態へ切り換えるための第1の駆動信号を前記充電時切換手段に出力するとともに、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための第2の駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、充電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検知した場合に異常と判定する異常判定手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
これによれば、充電中の装置内に電力が供給されていることを利用し、放電側の異常判定を行うことができる。すなわち、充電時切換手段によって通電状態へ切り換えられた場合、正常であれば電力は充放電プラグを介して車両の蓄電池に供給されることになる。しかし、充電状態時に通電状態とされていない放電時切換手段の出力側で電圧が検知された場合は、その状態を異常と判定することができる。したがって、放電用経路の異常判定を確実に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用充放電装置において、前記異常判定手段は、放電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検知した場合にも異常と判定することを要旨とする。
【0009】
これによれば、放電中にも、第2の駆動信号が出力されていない状態で、放電時切換手段の出力側の電圧を検知したことにより、放電用経路の異常判定を確実に行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用充放電装置において、前記充電時切換手段には、前記充電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第1の接点を含み、前記放電時切換手段には、前記放電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第2の接点を含み、前記異常判定手段は、異常判定として前記第2の接点の溶着の有無を判定することを要旨とする。
【0011】
これによれば、放電時切換手段を構成する第2の接点の溶着の有無を判定することができる。したがって、充放電プラグを用いて充電と放電を行う装置において、放電時切換手段を構成する第2の接点の溶着の有無を判定することで、充電中に放電が行われてしまい、蓄電池への充電効率が低下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放電用経路の溶着判定を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】車両用充放電装置の構成を示すブロック図。
【図2】充電時の正常動作を示す模式図。
【図3】充電時の異常動作を示す模式図。
【図4】放電時の正常動作を示す模式図。
【図5】放電時の異常動作を示す模式図。
【図6】第2の実施形態における車両用充放電装置の構成を示すブロック図。
【図7】充電時の車両用充放電装置の動作を示すブロック図。
【図8】放電時の車両用充放電装置の動作を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両用充放電装置10は、電力系統11に接続されるとともに、車両12に搭載される蓄電池13を充電する場合、又は蓄電池13から放電する場合には充放電プラグPを介して車両12に接続される。車両用充放電装置10は、充電時に、電力供給源となる電力系統11と車両12の間の充電用経路K1を通電状態に切り換える充電時切換手段としての充電側電磁接触器(マグネットコンタクタ)MC1を備えている。そして、充電側電磁接触器MC1は、切換制御手段としての充電側コントローラ14に電気的に接続されている。充電側コントローラ14は、電気信号を出力することにより、充電側電磁接触器MC1を構成する接点を開閉させる。
【0015】
また、車両用充放電装置10は、放電時に、電力放出先となる電力系統11と車両12の間の放電用経路K2を通電状態に切り換える放電時切換手段としての放電側電磁接触器(マグネットコンタクタ)MC2を備えている。そして、放電側電磁接触器MC2は、切換制御手段としての放電側コントローラ15に電気的に接続されている。放電側コントローラ15は、電気信号を出力することにより、放電側電磁接触器MC2を構成する接点を開閉させる。
【0016】
また、車両用充放電装置10は、充電側コントローラ14と放電側コントローラ15を制御するコントローラ16を備えているとともに、コントローラ16は、充電側コントローラ14と放電側コントローラ15に双方向通信可能に接続されている。コントローラ16は、充電の実行指示を充電側コントローラ14に出力するとともに、放電の実行指示を放電側コントローラ15に出力する。また、車両用充放電装置10は、電源17を備えているとともに、電源17は、電力系統11と充電側電磁接触器MC1の間、すなわち充電側電磁接触器MC1の入力側となる1次側に接続されている。そして、電源17は、充電側コントローラ14、放電側コントローラ15、及びコントローラ16のそれぞれに電気的に接続されており、電力を供給する。また、充電側電磁接触器MC1の1次側には、過電流が流れた場合に電流の流れを遮断する電力遮断部18が接続されている。
【0017】
また、充電側コントローラ14には、充放電プラグPと充電側電磁接触器MC1の間、すなわち充電側電磁接触器MC1の出力側となる2次側の電圧を検知する充放電検知部19が接続されている。充電側コントローラ14は、充放電検知部19の検知結果を入力する。また、充電側コントローラ14には、充放電プラグPとの間に、電圧を検知する充放電検知部20が接続されている。本実施形態の充電側コントローラ14は、充放電検知部20の検知結果をもとにCPLT(コントロールパイロット)機能により、車両12側との接続などを確認する。一方、放電側コントローラ15には、電力系統11と放電側電磁接触器MC2の間、すなわち放電側電磁接触器MC2の出力側となる2次側の電圧を検知する充放電検知部21が接続されている。放電側コントローラ15は、充放電検知部21の検知結果を入力する。本実施形態の車両用充放電装置10では、充電側電磁接触器MC1の1次側が電力遮断部18を介して電力系統11に接続されるとともに、充電側電磁接触器MC1の2次側が充放電プラグPを介して車両12に接続され、これらを接続する送電線によって充電用経路K1が構成されている。また、本実施形態の車両用充放電装置10では、放電側電磁接触器MC2の1次側が充放電プラグPを介して車両12に接続されるとともに、放電側電磁接触器MC2の2次側が電力系統11に接続され、これらを接続する送電線によって放電用経路K2が構成されている。
【0018】
以下、充電側電磁接触器MC1と放電側電磁接触器MC2の構成をさらに詳しく説明する。
充電側電磁接触器MC1は、複数(実施形態では2つ)の接点S1,S2を備えているとともに、放電側電磁接触器MC2は、複数(実施形態では2つ)の接点S5,S6を備えている。充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2、及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、a接点(常開接点)とされている。充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2は、充電用経路K1を通電状態と非通電状態とに切り換える。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2は、開状態において充電用経路K1を非通電状態とする一方で、閉状態において充電用経路K1を通電状態とする。一方、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、放電用経路K2を通電状態と非通電状態とに切り換える。詳しく言えば、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、開状態において放電用経路K2を非通電状態とする一方で、閉状態において放電用経路K2を通電状態とする。本実施形態では、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2によって第1の接点が構成されるとともに、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6によって第2の接点が構成される。
【0019】
本実施形態の充電側電磁接触器MC1は、接点S1,S2が開状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により接点S1,S2が閉状態に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号が、第1の駆動信号となる。一方、充電側電磁接触器MC1は、接点S1,S2が閉状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により接点S1,S2が開に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0020】
また、本実施形態の放電側電磁接触器MC2は、接点S5,S6が開状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により接点S5,S6が閉状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が、第2の駆動信号となる。一方、放電側電磁接触器MC2は、接点S5,S6が閉状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により接点S5,S6が開状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0021】
以下、本実施形態の車両用充放電装置10の作用を説明する。
本実施形態の車両用充放電装置10は、放電側電磁接触器MC2を構成する接点S5,S6の異常判定、具体的には溶着判定を行う機能を備えている。本実施形態における溶着とは、接点S5,S6が開状態から閉状態へ動作した時に接触部が熱によって溶融し、凝固することにより、接点S5,S6が閉状態を維持することである。このように接点S5,S6が溶着すると、通電状態を維持することになるから、常に放電する状態となる。つまり、充電のために充電用経路K1を通電状態としても、その電流は放電側電磁接触器MC2を介して電力系統11へ放電されてしまうことになる。
【0022】
そして、本実施形態の車両用充放電装置10では、充電時と放電時のそれぞれにおいて前述した溶着判定を行う。
最初に、充電時の溶着判定を、図2及び図3を用いて説明する。
【0023】
コントローラ16は、充放電プラグPに接続された充放電検知部20の検知結果を、充電側コントローラ14を介して入力し、その検知結果から車両12との接続確認を行う。そして、コントローラ16は、充放電検知部20で検知した電圧が所定電圧(図2のCPLT電圧=6V)である場合は、車両12と接続されていることを確認し、充電側コントローラ14に充電開始の指示を送信する。なお、図2及び図3に示すように、CPLT電圧は、車両12側の制御により、9Vから6Vに変更されるようになっており、この電圧の変化により車両12との接続確認が行われるとともに、充電が開始される。
【0024】
そして、充電側コントローラ14は、充電開始の指示を受信すると、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を、充電側電磁接触器MC1に出力する。また、充電側電磁接触器MC1は、電気信号により、接点S1,S2を開状態から閉状態とする。これにより、電力系統11と車両12の間の充電用経路K1は通電状態とされ、充放電プラグPを介して電力が車両12の蓄電池13に供給されて充電が行われる。このとき、充電側電磁接触器MC1の2次側の電圧(充電電圧)は、図2及び図3に示すように、V1となる。
【0025】
そして、接点S5,S6が溶着していない場合、すなわち正常動作時には、図2に示すように、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧(放電電圧)は、0Vとなる。また、充電時には、図2に示すように、放電側コントローラ15により放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号(放電リレー信号)は、出力されていない。したがって、放電側コントローラ15は、充放電検知部21が電圧を検知しておらず、かつ放電リレー信号を出力していない状態から、接点S5,S6が溶着していないことを判定する。この判定結果は、コントローラ16に送信される。
【0026】
一方、接点S5,S6が溶着している場合、すなわち異常動作時には、図3に示すように、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧(放電電圧)は、0Vとならない。このとき、充放電検知部21が検知する電圧は、充電中、すなわち充電側電磁接触器MC1が通電状態となっていることから、V1となる。したがって、放電側コントローラ15は、図3に示すように、放電リレー信号を出力していないにも拘わらず、充放電検知部21が電圧を検知している状態から、接点S5,S6が溶着していることを判定する。この判定結果は、コントローラ16に送信される。
【0027】
前述のように、充電時における放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定は、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知されるか否かによって行う。車両用充放電装置10は、充電と放電を同時に行わない構成である。このため、通常、充電中の放電用経路K2は非通電状態とされているので、放電電圧(放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧)は検知されない。したがって、制御的には、放電用経路K2を通電状態とするための放電リレー信号を出力しておらず非通電状態であるにも拘わらず、放電用経路K2で電圧が検知される場合は機械的に通電状態となっていること、すなわち溶着が生じていることを判断し得る。本実施形態では、充電時に溶着判定を行う放電側コントローラ15が、異常判定手段として機能する。
【0028】
次に、放電時の溶着判定を、図4及び図5を用いて説明する。
コントローラ16は、前述したように、車両12と接続されていることを確認すると、放電側コントローラ15に放電開始の指示を送信する。そして、放電側コントローラ15は、放電開始の指示を受信すると、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を、放電側電磁接触器MC2に出力する。また、放電側電磁接触器MC2は、電気信号により、接点S5,S6を開状態から閉状態とする。これにより、電力系統11と車両12の間の放電用経路K2は通電状態とされ、充放電プラグPを介して車両12の蓄電池13に蓄積された電力の放電が行われる。このとき、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧(放電電圧)は、図4及び図5に示すように、V2となる。なお、V2は、V1に比して低い電圧値を示す。
【0029】
ところで、放電の場合、車両12は、図4及び図5に示すように、CPLT電圧を9Vから6Vに変更してから、所定時間(図中のx秒)の経過後に、放電を開始する。このため、図4及び図5に示すように、放電側電磁接触器MC2の1次側の電圧は、CPLT電圧が9Vから6Vに降下した後、x秒後にV2となる。そして、放電時の溶着判定においては、車両12から放電が行われていること、すなわち放電用経路K2に電流が流れていることが前提となる。つまり、車両12が放電を行っていない段階では、正常動作か、又は異常動作かの判別が不能であるため、溶着判定は車両12が放電を行うタイミング(実施形態ではx秒の経過後)で行う。
【0030】
一方、放電側コントローラ15が放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を放電側電磁接触器MC2に出力してから溶着判定を行う場合も、正常動作か、又は異常動作かの判別が不能である。すなわち、この場合は、制御的に放電用経路K2を通電状態に切り換えているため、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知されたとしても、その検知結果からは正常動作か、又は異常動作かの判別が不能である。したがって、放電時の溶着判定は、車両12が放電を行う時点から放電側コントローラ15が放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号(放電リレー信号)を出力する時点までの間に行うことにより、正確な判別を行い得る。本実施形態では、図4及び図5に示すように、CPLT信号が9Vから6Vに変更されてから、x秒よりも大きい所定時間(図中のy秒)の経過後に溶着判定を行う。なお、溶着判定の実行時期はコントローラ16によって判定されるとともに、コントローラ16はy秒経過後に放電側コントローラ15に対して図4及び図5に示す溶着チェック許可信号を出力して溶着判定の実行を指示する。なお、x秒は、車両12との間で予め決められた時間である。また、y秒は、車両用充放電装置10の制御プログラムによって予め決められた時間である。
【0031】
そして、接点S5,S6が溶着していない場合、すなわち正常動作時には、図4に示すように、放電リレー信号が出力されていないので、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧(放電電圧)は、0Vとなる。したがって、放電側コントローラ15は、充放電検知部21が電圧を検知していない状態から、接点S5,S6が溶着していないことを判定する。この判定結果は、コントローラ16に送信される。
【0032】
一方、接点S5,S6が溶着している場合、すなわち異常動作時には、図5に示すように、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧(放電電圧)は、0Vとならない。このとき、充放電検知部21が検知する電圧は、V2となる。したがって、放電側コントローラ15は、図5に示すように、放電リレー信号を出力していないにも拘わらず、充放電検知部21が電圧を検知している状態から、接点S5,S6が溶着していることを判定する。この判定結果は、コントローラ16に送信される。
【0033】
前述のように、放電時における放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定は、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知されるか否かによって行う。しかし、放電時の場合は、車両12から車両用充放電装置10側に放電されたこと、及び放電用経路K2が制御的に通電状態とされていないことを考慮しなければ、溶着判定を正確に行うことはできない。したがって、本実施形態では、時間管理のもと溶着判定を行うことで、制御的には放電用経路K2を通電状態とするための放電リレー信号を出力しておらず非通電状態であるにも拘わらず、放電用経路K2で電圧が検知される場合は機械的に通電状態となっていること、すなわち溶着が生じていることを判断し得る。本実施形態では、放電時に溶着判定を行う放電側コントローラ15が、異常判定手段として機能する。
【0034】
また、放電時には、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定に加え、異常判定として不動判定も行われる。本実施形態における不動とは、放電リレー信号を出力しても、放電側電磁接触器MC2の2次側で電圧が検知されないことであり、この場合は接点S5,S6が開状態から閉状態へ動作していない。放電側コントローラ15は、放電リレー信号の出力後、充放電検知部21が電圧を検知しない場合、接点S5,S6が不動状態であることを判定する。この判定結果は、コントローラ16に送信される。本実施形態では、放電時に不動判定を行う放電側コントローラ15が、異常判定手段として機能する。
【0035】
上記では、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定について説明したが、本実施形態の車両用充放電装置10では、異常判定として充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2の溶着判定も行われる。接点S1,S2の溶着判定は、充電側電磁接触器MC1の2次側に配置した充放電検知部19の検知結果をもとに行われる。つまり、制御的には、充電側電磁接触器MC1が充電用経路K1を通電状態とするための電気信号を出力しておらず非通電状態であるにも拘わらず、充電用経路K1で電圧が検知される場合は機械的に通電状態となっていること、すなわち溶着が生じていることを判断することができる。本実施形態では、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2の溶着判定を行う充電側コントローラ14が、異常判定手段として機能する。なお、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2の溶着判定は、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定とは異なり、電力系統11から車両用充放電装置10側に常に電力が供給されているので、充電時や放電時ではなくても行うことができる。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)充電中、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されていない状態で、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧が検知されると、接点S5,S6に溶着現象が生じていると判断する。すなわち、放電用経路K2の溶着の有無を確実に判断することができる。
【0037】
(2)上記のように放電用経路K2の溶着の有無を判断することにより、充電中に放電が行われてしまい、蓄電池13への充電効率が低下することを抑制できる。すなわち、充電中は、車両12の蓄電池13に対して確実に充電を行うことができる。そして、放電用経路K2の溶着の有無を判断することにより、単一の充放電プラグPを用いて充電状態と放電状態を切り換える装置構成とすることができ、充電用と放電用のプラグを別々に設けることなく、充放電を行うことができる。
【0038】
(3)また、放電中においては、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されていない状態で、放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧が検知されると、接点S5,S6に溶着現象が生じていると判断する。すなわち、放電用経路K2の溶着の有無を確実に判断することができる。
【0039】
(4)そして、放電中は、車両12から車両用充放電装置10内に電力が放電されていることが溶着の有無の判断において必要となる。このため、車両12が放電を開始する時間(実施形態のx秒)を考慮して溶着の有無を判断することで、放電用経路K2の溶着の有無を確実に判断することができる。
【0040】
(5)また、放電中は、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されてから放電側電磁接触器MC2の2次側の電圧を検知すると、溶着の有無の判断ができない。したがって、放電用経路K2が通電状態に切り換えられる前に溶着の有無の判断を行うことで(実施形態のy秒)、放電用経路K2の溶着の有無を確実に判断することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図6〜図8にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成についてはその重複する説明を簡略又は省略する。
【0042】
本実施形態の車両用充放電装置30は、第1の実施形態で説明した溶着判定などの異常判定を行うための構成に加えて、排他制御を行うための構成及び充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧を放電するための構成を備えている。本実施形態の排他制御は、充電と放電を同時に行わず、充電中は放電を、放電中は充電を、それぞれ行わせないようにする制御である。
【0043】
図6に示すように、本実施形態において車両用充放電装置30の充電側電磁接触器MC1は、接点S1,S2に加えて、2つの接点S3,S4をさらに備えているとともに、放電側電磁接触器MC2は、接点S5,S6に加えて、2つの接点S7,S8をさらに備えている。充電側電磁接触器MC1の接点S3,S4、及び放電側電磁接触器MC2の接点S7,S8は、b接点(常閉接点)とされている。そして、充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8は、電気的に接続されている。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1の接点S3の一方の端子は、放電抵抗22を介して充電側電磁接触器MC1の2次側に接続されているとともに、接点S3の他方の端子は、放電側電磁接触器MC2の接点S8の一方の端子に接続されている。また、放電側電磁接触器MC2の接点S8の他方の端子は、充電側電磁接触器MC1の2次側に接続されている。すなわち、両接点S3,S8は、閉状態において充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる放電用回路としての閉回路を構成する。本実施形態では、接点S3が第5の接点となり、接点S8が第6の接点となる。
【0044】
なお、両接点S3,S8は、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6とは、逆の動作状態を取り得る。つまり、接点S1,S2,S5,S6が開状態の場合は両接点S3,S8が閉状態となり、接点S1,S2,S5,S6が閉状態の場合は両接点S3,S8が開状態となる。したがって、両接点S3,S8は、接点S1,S2,S5,S6の何れもが開状態の場合、つまり充電用経路K1及び放電用経路K2の何れもが非通電状態の場合に、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路を構成する。因みに、両接点S3,S8は、接点S1,S2が閉状態(充電用経路K1が通電状態)の場合、接点S3が開状態となることにより、閉回路を構成しない。また、両接点S3,S8は、接点S5,S6が閉状態(放電用経路K2が通電状態)の場合、接点S8が開状態となることにより、閉回路を構成しない。
【0045】
また、充電側電磁接触器MC1の接点S4は、一方の端子が放電側コントローラ15に電気的に接続されているとともに、他方の端子が放電側電磁接触器MC2に電気的に接続されている。また、放電側電磁接触器MC2の接点S7は、一方の端子が充電側コントローラ14に電気的に接続されているとともに、他方の端子が充電側電磁接触器MC1に電気的に接続されている。本実施形態では、接点S4が第3の接点となり、接点S7が第4の接点となる。
【0046】
本実施形態の充電側電磁接触器MC1は、充電側コントローラ14が出力する電気信号により、各接点S1〜S4を開閉させる。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1では、接点S1,S2が開状態で、かつ接点S3,S4が閉状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S1〜S4が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S1,S2は開状態から閉状態に動作する一方で、接点S3,S4は閉状態から開状態に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号が、第1の駆動信号となる。
【0047】
一方、充電側電磁接触器MC1では、接点S1,S2が閉状態で、かつ接点S3,S4が開状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S1〜S4が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S1,S2は閉状態から開状態に動作する一方で、接点S3,S4は開状態から閉状態に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0048】
また、本実施形態の放電側電磁接触器MC2は、放電側コントローラ15が出力する電気信号により、各接点S5〜S8を開閉させる。詳しく言えば、放電側電磁接触器MC2では、接点S5,S6が開状態で、かつ接点S7,S8が閉状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S5〜S8が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S5,S6は開状態から閉状態に動作する一方で、接点S7,S8は閉状態から開状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が、第2の駆動信号となる。
【0049】
一方、放電側電磁接触器MC2では、接点S5,S6が閉状態で、かつ接点S7,S8が開状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S5〜S8が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S5,S6は閉状態から開状態に動作する一方で、接点S7,S8は開状態から閉状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0050】
そして、本実施形態では、充電側コントローラ14からの電気信号を、充電側電磁接触器MC1に対して直接入力せずに、放電側電磁接触器MC2の接点S7を介して入力させている。一方、本実施形態では、放電側コントローラ15からの電気信号を、放電側電磁接触器MC2に対して直接入力せずに、充電側電磁接触器MC1の接点S4を介して入力させている。このような構成によれば、電気信号は、当該電気信号の伝送経路上に配設した非制御対象側の接点を介して制御対象側に入力されることになる。つまり、充電側コントローラ14からの電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態である場合に、充電側電磁接触器MC1に入力される。換言すれば、充電側コントローラ14からの電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6が開状態、すなわち放電用経路K2が非通電状態となる放電が行われていない場合に、充電側電磁接触器MC1に入力される。
【0051】
また、放電側コントローラ15からの電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態である場合に、放電側電磁接触器MC2に入力される。換言すれば、放電側コントローラ15からの電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2が開状態、すなわち充電用経路K1が非通電状態となる充電が行われていない場合に、放電側電磁接触器MC2に入力される。
【0052】
以下、本実施形態の車両用充放電装置30の作用を、図7及び図8にしたがって説明する。
充電及び放電が行われていない場合は、図6に示すように、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2、及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6のそれぞれが開状態とされて充電用経路K1、及び放電用経路K2のそれぞれが非通電状態となる。また、充電側電磁接触器MC1の接点S3,S4、及び放電側電磁接触器MC2の接点S7,S8のそれぞれは、閉状態となる。
【0053】
そして、車両12に接続された充放電プラグPを介して車両12との接続確認が行われるとともに、コントローラ16から充電側コントローラ14に充電開始の指示が送信されると、充電側コントローラ14は、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることから、その接点S7を介して充電側電磁接触器MC1に入力される。そして、充電側電磁接触器MC1では、図7に示すように、電気信号により、接点S3,S4が開状態とされる一方で、接点S1,S2が閉状態とされる。これにより、電力系統11と車両12の間の充電用経路K1は通電状態とされ、充放電プラグPを介して電力が車両12の蓄電池13に供給されて充電が行われる。
【0054】
なお、前述のように充電が行われている場合の放電側電磁接触器MC2は、図7に示すように、接点S5,S6が開状態とされる一方で、接点S7,S8が閉状態とされている。そして、充電中、外乱ノイズなどの何らかの要因により、放電側コントローラ15から放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されたとする。しかし、その電気信号は、図7に示すように、充電側電磁接触器MC1の接点S4が開状態となっていることから、放電側電磁接触器MC2に入力されない。つまり、充電中、意図せずに放電へ切り換わることがない。また、この充電時には、第1の実施形態と同様に、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定が行われる。
【0055】
その後、充電の終了に伴ってコントローラ16から充電側コントローラ14に充電終了の指示が送信されると、充電側コントローラ14は、充電用経路K1を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることから、その接点S7を介して充電側電磁接触器MC1に入力される。そして、充電側電磁接触器MC1では、図6に示すように、電気信号により、接点S3,S4が閉状態とされる一方で、接点S1,S2が開状態とされる。この状態では、充電側電磁接触器MC1の接点S3、及び放電側電磁接触器MC2の接点S8の何れもが閉状態となり、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路を構成している。このため、充放電プラグPと車両12が非接続状態とされた場合には、充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧が、放電抵抗22を介して放電される。なお、充電側電磁接触器MC1の接点S3は、充電用経路K1が通電状態となっている場合、開状態とされていることから、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路は構成されない。したがって、放電抵抗22は、充電中の負荷にはならない。
【0056】
次に、放電を行う場合について説明する。
車両12に接続された充放電プラグPを介して車両12との接続確認が行われるとともに、コントローラ16から放電側コントローラ15に放電開始の指示が送信されると、放電側コントローラ15は、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることから、その接点S4を介して放電側電磁接触器MC2に入力される。そして、放電側電磁接触器MC2では、図8に示すように、電気信号により、接点S7,S8が開状態とされる一方で、接点S5,S6が閉状態とされる。これにより、電力系統11と車両12の間の放電用経路K2は通電状態とされ、充放電プラグPを介して車両12の蓄電池13から電力が放出されて放電が行われる。
【0057】
なお、前述のように放電が行われている場合の充電側電磁接触器MC1は、図8に示すように、接点S1,S2が開状態とされる一方で、接点S3,S4が閉状態とされている。そして、放電中、外乱ノイズなどの何らかの要因により、充電側コントローラ14から充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されたとする。しかし、その電気信号は、図8に示すように、放電側電磁接触器MC2の接点S7が開状態となっていることから、充電側電磁接触器MC1に入力されない。つまり、放電中、意図せずに充電へ切り換わることがない。また、この放電時には、第1の実施形態と同様に、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定が行われる。
【0058】
その後、放電の終了に伴ってコントローラ16から放電側コントローラ15に放電終了の指示が送信されると、放電側コントローラ15は、放電用経路K2を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることから、その接点S4を介して放電側電磁接触器MC2に入力される。そして、放電側電磁接触器MC2では、図6に示すように、電気信号により、接点S7,S8が閉状態とされる一方で、接点S3,S4が開状態とされる。なお、放電中、放電側電磁接触器MC2の接点S8は、開状態とされていることから、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路は構成されない。したがって、放電抵抗22は、放電中の負荷にもならない。
【0059】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(5)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(6)充電側コントローラ14が出力する充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を、放電側電磁接触器MC2を介して充電側電磁接触器MC1に入力する。前記電気信号は、非放電中であれば、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることにより、充電側電磁接触器MC1に入力される。換言すれば、前記電気信号は、放電中であれば、放電側電磁接触器MC2の接点S7が開状態とされていることにより、充電側電磁接触器MC1に入力されない。したがって、放電中に、意図しない要因で充電側コントローラ14から前記電気信号が出力されたとしても、放電状態から充電状態に切り換わることがなく、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【0060】
(7)また、放電側コントローラ15が出力する放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を、充電側電磁接触器MC1を介して放電側電磁接触器MC2に入力する。前記電気信号は、非充電中であれば、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることにより、放電側電磁接触器MC2に入力される。換言すれば、前記電気信号は、充電中であれば、充電側電磁接触器MC1の接点S4が開状態とされていることにより、放電側電磁接触器MC2に入力されない。したがって、充電中に、意図しない要因で放電側コントローラ15から前記電気信号が出力されたとしても、充電状態から放電状態に切り換わることがなく、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【0061】
(8)そして、上記の排他制御を実現するために、本実施形態の車両用充放電装置30は、多接点型の電磁接触器を用いるとともに、その接点の切り換えにより、非制御対象側の電磁接触器を介して制御対象側の電磁接触器に前記電気信号を入力する。このため、簡単な構成で上記の排他制御を実現できる。
【0062】
(9)充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8により、充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧を放電する放電用回路を構成した。これにより、充電終了後に充放電プラグPを非接続状態とした場合に、充電用経路K1の残留電圧を放電用回路によって放電させることができる。
【0063】
(10)また、充電中は接点S3が開状態になるとともに、放電中は接点S8が開状態となることにより、放電用回路は非通電状態とされる。このため、放電用回路に配設した放電抵抗22は、充電中、及び放電中の何れにおいても負荷とならない。したがって、充電、及び放電を確実に行うことができる。
【0064】
(11)上記の排他制御の実現により、単一の充放電プラグPを用いて、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。すなわち、充電用と放電用のプラグを別々に設けることなく、充放電を行うことができる。
【0065】
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 各実施形態において、放電側電磁接触器MC2の1次側の電圧を検知する充放電検知部を配設し、その充放電検知部の検知結果から、接点S5,S6の不動判定を行っても良い。すなわち、放電用経路K2を通電状態とする電気信号を出力したにも拘わらず、充放電検知部21が電圧を検知しなかった場合に不動と判断することができる。同様に、充電側電磁接触器MC1の1次側の電圧を検知する充放電検知部を配設し、その充放電検知部の検知結果から、接点S1,S2の不動判定を行っても良い。すなわち、充電用経路K1を通電状態とする電気信号を出力したにも拘わらず、充放電検知部19が電圧を検知しなかった場合に不動と判断することができる。
【0066】
・ 各実施形態において、放電側電磁接触器MC2の1次側の電圧を検知する充放電検知部を配設し、その充放電検知部の検知結果から、接点S5,S6の溶着判定を行っても良い。すなわち、放電側電磁接触器MC2の1次側の電圧が検知され、かつ放電用経路K2を通電状態とする電気信号が出力されていないタイミングで溶着判定を行っても良い。
【0067】
・ 各実施形態において、充電側コントローラ14と放電側コントローラ15を単一のコントローラとし、そのコントローラで充電側電磁接触器MC1と放電側電磁接触器MC2を制御しても良い。また、そのコントローラで溶着などの異常判定を行っても良い。
【0068】
・ 各実施形態において、各充放電検知部19〜21を、充電側コントローラ14や放電側コントローラ15の機能として構成しても良い。つまり、各充放電検知部19〜21が行う検知を、充電側コントローラ14や放電側コントローラ15が行っても良い。
【0069】
・ 各実施形態において、車両用充放電装置10,30を例えば住宅に設置する場合には、電力放出先を電力系統11に代えて、その住宅に設置した蓄電池とし、その蓄電池に車両12の蓄電池13から放出された電力を充電しても良い。
【0070】
・ 各実施形態において、異常の判定がなされた場合に、エラー報知を行っても良い。エラー報知は、車両用充放電装置10,30に設けた表示装置にエラーメッセージを表示するようにしても良いし、そのエラーメッセージと合わせてエラー音を出力させても良い。エラー報知の制御は、コントローラ16が行う。
【0071】
・ 第2の実施形態において、充電中に放電しない、及び放電中に充電しない誤接続の機能を搭載する車両用充放電装置を構成する場合、つまり充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧を放電する機能を搭載しない場合は、放電抵抗22を設けなくても良い。この場合、残留抵抗を放電させるための閉回路を構成する充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8を設けなくても良い。つまり、充電側電磁接触器MC1は接点S1,S2,S4の3つの接点で構成するとともに、放電側電磁接触器MC2は接点S5,S6,S7の3つの接点で構成する。なお、上記のように排他制御のために充電側電磁接触器MC1及び放電側電磁接触器MC2をそれぞれ3つの接点で構成し、上記した残留電圧を放電する機能について別の手段を用いることで、排他制御と放電機能を備えた車両用充放電装置を構成しても良い。
【0072】
・ 各実施形態において、充電時のみに、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定を行っても良い。
・ 各実施形態において、放電時のみに、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定を行っても良い。
【0073】
・ 車両12の蓄電池13から放電を行う車両用放電装置に、各実施形態で説明した放電時における放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6の溶着判定機能を搭載しても良い。この構成は、特に、充電用のプラグと放電用のプラグを別々に設けた装置において、放電時の溶着判定として有効な機能となり得る。つまり、各実施形態で説明した放電時の溶着判定は、充電と放電を行うことができる装置に適用することができるとともに、放電のみを行うことができる装置にも適用することができる。
【0074】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記充電時切換手段には、前記第1の接点とは逆の状態を取り得る第3の接点をさらに含み、前記放電時切換手段には、前記第2の接点とは逆の状態を取り得る第4の接点をさらに含み、前記第1の駆動信号を、前記放電時切換手段の前記第4の接点を介して前記充電時切換手段に入力する一方で、前記第2の駆動信号を、前記充電時切換手段の前記第3の接点を介して前記放電時切換手段に入力することを特徴とする請求項3に記載の車両用充放電装置。
【0075】
(ロ)前記充電時切換手段には、前記第3の接点と同一状態を取り得る第5の接点をさらに含み、前記放電時切換手段には、前記第4の接点と同一状態を取り得る第6の接点をさらに含み、前記第5の接点、前記第6の接点、及び放電抵抗により、前記充電用経路の残留抵抗を放電する放電用回路を構成したことを特徴とする前記技術的思想(イ)に記載の車両用充放電装置。
【0076】
(ハ)充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は前記蓄電池から放電する車両用充放電装置において、充電時に、充電用経路を通電状態に切り換える充電時切換手段と、放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、充電時には前記充電用経路を通電状態へ切り換えるための第1の駆動信号を前記充電時切換手段に出力するとともに、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、放電時に、前記駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検出した場合に異常と判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴とする車両用充放電装置。
【0077】
(ニ)前記異常判定手段は、充電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検出した場合にも異常と判定することを特徴とする前記技術的思想(ハ)に記載の車両用充放電装置。
【0078】
(ホ)車両に搭載された蓄電池から放電する車両用放電装置において、放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための第2の駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、放電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検出した場合に異常と判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴とする車両用放電装置。
【符号の説明】
【0079】
10,30…車両用充放電装置、12…車両、13…蓄電池、14…充電側コントローラ、15…放電側コントローラ、MC1…充電側電磁接触器、MC2…放電側電磁接触器、K1…充電用経路、K2…放電用経路、P…充放電プラグ、S1〜S8…接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は前記蓄電池から放電する車両用充放電装置において、
充電時に、充電用経路を通電状態に切り換える充電時切換手段と、
放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、
充電時には前記充電用経路を通電状態へ切り換えるための第1の駆動信号を前記充電時切換手段に出力するとともに、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための第2の駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、
充電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検知した場合に異常と判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴とする車両用充放電装置。
【請求項2】
前記異常判定手段は、放電時に、前記第2の駆動信号が出力されていない状態で、前記放電時切換手段の出力側の電圧を検知した場合にも異常と判定する請求項1に記載の車両用充放電装置。
【請求項3】
前記充電時切換手段には、前記充電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第1の接点を含み、
前記放電時切換手段には、前記放電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第2の接点を含み、
前記異常判定手段は、異常判定として前記第2の接点の溶着の有無を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用充放電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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