説明

車両用内装式リフト

【課題】本発明は、リフトの機能上において影響を及ぼす変更はしないでベース部の高さの可及的低減化を実現し、リフトの通路面を低減化する車両用内装式リフトの提供にある。
【解決手段】車両に設置される車両用内装式リフトにおいて、四節リンク機構の左右の駆動リンクが互いに向き合う基端部の内側面にコモンバーが差し渡されて溶着されて両者が一体に連結されると共に、コモンバーの外周面の一部がコモンバースロープ面に形成され、車両の床面上に配備された固定スロープ板の後端縁と前記左右のステイアームの下端部間に配備されたステイアームスロープ板がプラットホームと共に車両の床面へ最上昇停止時に、ステイアームスロープ板の車両側前端縁と固定スロープ板とが離隔して構成される空間部に前記コモンバーが配備されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内に設置され、昇降使用時には、車両室外にプラットホームを水平に繰り出し、格納時には、プラットホームを車両室内に起立状態に収容する車両用内装式リフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内装式リフトを架装する荷物及び福祉用車両において、空気抵抗の軽減、立体駐車場の高さ制限、デザイン等の観点から車両高が低く構成される傾向にあり、それにともないバックドアの開口の高さが低くなり、内装式リフトを固定するベース部の高さの可及的低減化が要請されている。
【0003】
特許文献1には、小型トラックにおいて、フロアー材8の上面が荷箱3の床面に設けられている。そして、荷箱3の後端部は荷受台昇降装置の前後寸法か、それより若干大きな寸法の床のない領域が確保され、該領域に荷受台昇降装置が設置される実施例が開示されている。
【0004】
特許文献2には、四節リンク機構43の固定金具41の支持部411において、下部リンク434の基端部側が第3支点ピン43cにより軸支され、下部リンク434が上下回動可能に設けられる車両リフタが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2011−68315号公開公報
【特許文献2】特開平2011−68193号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1は、荷箱3内に荷受台昇降装置を設置する領域が床面より下げて設けることができるが、本発明が適用する荷物及び福祉用車両の床面部材はフレーム材を兼用する構造のため床面より下げた領域を設けることができない。
【0007】
前記特許文献2は、左右の下部リンク434の基端部側がシャフトで連結されないため、車両の床面をシャフトによる障害が回避される。しかし、左右の下部リンク434の駆動は、左右に独立に配備される駆動シリンダによるため、左右の連繋がなく、バラバラになり、リフト昇降時に横揺れが生ずるため、その防止対策が必要となる。
【0008】
本発明は、リフトの機能上において影響を及ぼす変更はしないでベース部の高さの可及的低減化を実現し、リフトの通路面の低減化を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両に設置したベースに軸支されて動力源により起伏する四節リンク機構と、該四節リンク機構のステイアームの下端部に枢支されて起立自在であると共に定姿勢に保持されて昇降するプラットホームを備える車両用内装式リフトにおいて、前記四節リンク機構の左右の駆動リンクが互いに向き合う基端部の内側面にコモンバーが差し渡されて溶着されて両者が一体に連結されると共に、コモンバーの外周面の一部がコモンバースロープ面に形成され、車両の床面上に配備された固定スロープ板の後端縁と前記左右のステイアームの下端部間に配備されたステイアームスロープ板がプラットホームと共に車両の床面へ最上昇停止時に、ステイアームスロープ板の車両側前端縁と固定スロープ板とが離隔して構成される空間部に前記コモンバーが配備されてなる車両用内装式リフトにある。
【0010】
前記コモンバーの両端面は、駆動リンクの基端部に駆動上軸と同心に溶着されてなるものとしてもよいものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明車両内装式リフトは、リフトの機能上において影響を及ぼす変更はしないでリフト通路面の低減化の要求を満足できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の車両内装式リフトにおいて、プラットホームを水平に展開した状態を示す全体側面図である。
【図2】同じく、全体平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】従来の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
車両に設置したベースに軸支されて動力源により起伏する四節リンク機構と、該四節リンク機構のステイアームの下端部に枢支されて起立自在であると共に定姿勢に保持されて昇降するプラットホームを備える車両用内装式リフトにおいて、前記四節リンク機構の左右の駆動リンクが互いに向き合う基端部の内側面にコモンバーが差し渡され、該コモンバーの両端面は、駆動リンクの基端部に駆動上軸と同心に溶着されて両者が一体に連結されると共に、コモンバーの外周面の一部がコモンバースロープ面に形成され、車両の床面上に配備された固定スロープ板の後端縁と前記左右のステイアームの下端部間に配備されたステイアームスロープ板がプラットホームと共に車両の床面へ最上昇停止時に、ステイアームスロープ板の車両側前端縁と固定スロープ板とが離隔して構成される空間部に前記コモンバーが配備されてなる車両用内装式リフト。
【実施例】
【0014】
本発明の車両内装式リフトを、実施の一例として示す図面により説明すると、本発明の車両用内装式リフト1は、左右に配備される四節リンク機構2と、該左右の四節リンク機構2のステイアーム3に起伏自在に枢支されて支袈されるプラットホーム4から構成される。
【0015】
前記左右の四節リンク機構2は、車両5の床面5aに取り付けられるベース板6に起立する前部ブラケット7aと後部ブラケット7bに、ガイドリンク8と駆動リンク9とが、夫々の基端部8a、9aが車両5の床面5aから上下、かつ前後に離隔してガイド下軸10aと駆動下軸11aをもって回動自在に軸支され、各軸支点から同一距離の夫々の上端部8b、9bであって、前記基端部8a、9aの上下と前後の離隔と同一又はほぼ同一の間隔で離隔してステイアーム3の上端部3aにガイド上軸10bと駆動上軸11bをもって回動自在に軸支され、前記駆動リンク9の基端部9aを後部ブラケット7bに軸支する駆動下軸11aと前記ガイドリンク8の上端部8bをステイアーム3に軸支するガイド上軸10bとに油圧シリンダ12が差し渡されて配備される。該油圧シリンダ12は油圧ポンプを備えたオイル給排装置に接続されて作動する。該オイル給排装置は駆動源ボックス13に配備される。
【0016】
前記プラットホーム4は、基端側部4a、先端側部4b及び先端フラッパ4cから構成され、先端フラッパ4cは支軸14を中心に回動して先端側部4b上に折り畳むことができ、また、先端側部4bは先端フラッパ4cを折り畳んだ状態で中間の連結軸15を中心に回動して基端側部4a上に折り畳むことができる。さらに、基端側部4aは、先端フラッパ4c及び先端側部4bを上面に折り畳んだ状態で枢軸16を中心に、支承リンク17を折り畳んで回動して起立させ、その起立状態にロックすることができ、この起立状態で、一方のステイアーム3上の縦支軸18を中心に横開きに回動が行え、ステイアーム3、3間を開放することができる。プラットホーム4の縦支軸18側と反対端を対向するステイアーム3にロック装置19によりロックすることができる。
【0017】
前記左右のステイアーム3の下端部3b間に支杆20が溶着され、該支杆20の上面には後方側に展開したプラットホーム4の基端側部4aの前端縁4a1と対向する後端縁21bを備え、反対の前方側に前端縁21aを備えるステイアームスロープ板21が配備される。
【0018】
車両5の床面5a上の固定スロープ板22は前端縁22aが床面5aに接続し、上面は傾斜面に形成され、該傾斜面は前記プラットホーム4が車両5の床面5aへ接続する最上昇停止時の前記ステイアームスロープ板21の前端縁21aの位置に接続するように形成されると共に固定スロープ板22の後端縁22bとステイアームスロープ板21の前端縁21aは離隔して空間部23が構成されるように夫々配備される。
【0019】
左右の駆動リンク9が互いに向き合う基端部9aの内側面にコモンバー24が溶着されて両者が一体に連結されると共に、コモンバー24の外周面の一部がコモンバースロープ面24aに形成される。
【0020】
前記コモンバー24が前記空間部23に配備され、コモンバースロープ面24aが前記ステイアームスロープ板21と固定スロープ板22を橋渡してなる。
【0021】
前記コモンバー24の両端面は、駆動リンク9の基端部9aには駆動上軸11aと同心に溶着されてもよいものである。
【0022】
従来は、図4から解かるように左右の駆動リンク25を連結するコモンシャフト26の上にカバーと兼用でスロープ27が配設されている。そのため、図中のCの寸法が高くスロープ27の傾斜角Dも大きくなり開口高においても低くなる。そのため荷物の高さ又は車椅子の種類に制約がでるものであった。
【0023】
しかるに、本発明の実施例の図3から解かるように駆動リンク9はコモンバー24により連結されるものである。また、駆動下軸11aをできる限り下方に移設しコモンバー24の高さA寸法を低く抑えた。固定スロープ板22については、単なる下部側渡し板として設定し、コモンバー24の高さA寸法が低くなったことで、スロープ角度Bも低く抑えることができた。
【0024】
コンモンバー24の設定により左右の駆動リンク9の動きが一体となりリフト昇降時の横揺れ等の不具合を生じることなく円滑に昇降作動をおこなうことができる。
【0025】
本発明の実施例では、図3に示すように、左右の駆動リンク9が前記プラットホーム4を最上昇位置に作動した時、プラットホーム4の基端側部4aの前端縁4a1と、前記ステイアームスロープ板21と、コモンバースロープ面24aと、固定スロープ板22が同一角度の傾斜面になるように設けている。
【0026】
前記プラットホーム4の基端側部4aの前端縁4a1から前記ステイアームスロープ板21、コモンバースロープ面24a及び固定スロープ板22までを同一角度の傾斜面になるように設けていることにより、スロープ面の一層の低減化が図れ、台車又は車椅子28の車両5の床面5aとプラットホーム4に対する乗降を容易にするものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の車両用内装式リフトは、開口部、高さを改善し、台車又は車椅子の乗り込み角度の改善ができた。よって、市販車を利用し、リフトの機能上において影響を及ぼす変更をしないで低コストで円滑な昇降作動を行う一般荷物用及び福祉用内装式リフトの提供ができる。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用内装式リフト
2 四節リンク機構
3 ステイアーム
3a 上端部
3b 下端部
4 プラットホーム
4a 基端側部
4a1 前端縁
4b 先端側部
4c 先端フラッパ
5 車両
5a 床面
6 ベース板
7a 前部ブラケット
7b 後部ブラケット
8 ガイドリンク
8a 基端部
8b 上端部
9 駆動リンク
9a 基端部
9b 上端部
10a ガイド下軸
10b カイド上軸
11a 駆動下軸
11b 駆動上軸
12 油圧シリンダ
13 駆動源ボックス
14 支軸
15 連結軸
16 枢軸
17 支承リンク
18 縦支軸
19 ロック装置
20 支杆
21 ステイアームスロープ板
21a 車両側前端縁
21b 後端縁
22 固定スロープ板
22a 前端縁
22b 後端縁
23 空間部
24 コモンバー
24a コモンバースロープ面
25 駆動リンク
26 コモンシャフト
27 スロープ
28 台車又は車椅子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置したベースに軸支されて動力源により起伏する四節リンク機構と、該四節リンク機構のステイアームの下端部に枢支されて起立自在であると共に定姿勢に保持されて昇降するプラットホームを備える車両用内装式リフトにおいて、前記四節リンク機構の左右の駆動リンクが互いに向き合う基端部の内側面にコモンバーが差し渡されて溶着されて両者が一体に連結されると共に、コモンバーの外周面の一部がコモンバースロープ面に形成され、車両の床面上に配備された固定スロープ板の後端縁と前記左右のステイアームの下端部間に配備されたステイアームスロープ板がプラットホームと共に車両の床面へ最上昇停止時に、ステイアームスロープ板の車両側前端縁と固定スロープ板とが離隔して構成される空間部に前記コモンバーが配備されてなる車両用内装式リフト。
【請求項2】
前記コモンバーの両端面は、駆動リンクの基端部に駆動上軸と同心に溶着されてなる請求項1の車両用内装式リフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−28319(P2013−28319A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167712(P2011−167712)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(393011692)和光工業株式会社 (23)