説明

車両用制御装置

【課題】起動タイミングが異なる制御機器との通信において、通信効率を向上する。
【解決手段】車両内に搭載される複数の電子機器と通信線を介して接続され、データの送受信を行う車両制御装置であって、
起動タイミングが同じである1または複数の第1電子機器20との通信用の第1スケジュールテーブルTB1と、起動タイミングが遅れる1または複数の第2電子機器30および前記第1電子機器20との両方への通信用の第2スケジュールテーブルTB2とを記憶した記憶部11と、
第1電子機器は起動状態であるが第2電子機器が起動していない場合に第1スケジュールテーブルを選択して第1電子機器と通信を行う一方、第1、第2電子機器の両方が起動状態である場合に第2スケジュールテーブルを選択して第1、第2電子機器の両方と通信を行う設定としている処理部12と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関し、詳しくは、車両内に搭載される複数の電子機器と通信線を介して接続され、これら電子機器を制御する車両制御装置に関し、詳しくは、マスターノードとなる本発明の制御装置にLINからなる通信線を介してスレーブとなる複数の電子機器と接続し、一部の電子機器が未起動であっても、起動している他の電子機器と通信を行い通信効率を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車にはライトやパワーウィンドウなど数多くの電装品が搭載されており、これらの電装品は制御機器により制御されている。電装品または電子制御ユニット(ECU)等の制御機器を含む電子機器は、多重通信線により接続されてネットワークを形成し、互いに信号の送受信を行う傾向にある。
前記多重通信線を介して接続された電子機器は、起動タイミングが必ずしも同じであるとは限らず、同じ多重通信線に接続された電子機器であっても、例えばイグニッションキーがオンになった場合に初めて起動する電子機器もあれば、電源に接続されたときに起動する電子機器もある。
【0003】
起動タイミングが異なるセンサ、スイッチの機器あるいは/およびこれら機器を制御するECUからなるスレーブノードと、マスターノードとの間でLINを介してデータの送受信を行う場合がある。この場合、スレーブノードの起動時が異なり、ある電子機器は起動状態であるが、別の電子機器は電源がオフで未起動である時間帯がある。このような時間帯においては、起動状態であるマスターノードが未起動のスレーブノードに対して情報の送信要求信号を送信しても、未起動のスレーブノードは応答しない。このため、起動状態にあるマスターノードは未起動のスレーブノードが異常であると判断し、未起動のスレーブノードが起動状態になった後もマスターノードとスレーブノードの間で通信を行うことが出来なくなる恐れがある。
【0004】
このため、例えば、特開2006−290152号公報(特許文献1)においては、起動状態にある制御装置は、通信相手である制御装置が送信するウェイクアップ信号から通信相手が起動しているか否かを判断し、通信相手が未起動である場合には、起動状態にある制御装置から未起動の制御装置へ信号の送信を禁止する構成が提案されている。
該構成とすることで、既に起動状態にある制御装置は未起動の制御装置を異常であると判断することがなく、未起動の制御装置が起動した後は制御装置間で通信を行うことができるとされている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−290152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、起動状態である制御装置は同じ多重通信線に接続された他の制御装置と通信するために、各制御装置に対して信号を送信する期間をそれぞれ割り当てている。
しかし、通信相手の制御装置が未起動の場合には、通信相手の制御装置に対する割り当て期間に信号の送信を禁止しており、かつ、該割り当て期間は通信相手以外の他の制御装置との通信を行うことはできない。
このため、起動状態である制御装置は、該期間に同じ多重通信線に接続された他のどの制御装置とも通信を行うことができず、制御装置との通信に通信禁止期間が発生し、通信効率が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、制御装置が起動タイミングが相違する電子機器と通信線を介して接続される場合において、未起動の電子機器が存在する場合であっても通信禁止期間を発生させずに通信効率を向上することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、
車両内に搭載される複数の電子機器と通信線を介して接続され、データの送受信を行う車両制御装置であって、
起動タイミングが同じである1または複数の第1電子機器との通信用の第1スケジュールテーブルと、起動タイミングが遅れる1または複数の第2電子機器および前記第1制御ユニットとの両方への通信用の第2スケジュールテーブルとを記憶した記憶部と、
前記第1電子機器は起動状態であるが前記第2電子機器が起動していない場合に前記第1スケジュールテーブルを選択して前記第1電子機器と通信を行う一方、前記第1、第2電子機器の両方が起動状態である場合に前記第2スケジュールテーブルを選択して前記第1、第2電子機器の両方と通信を行う設定としている処理部と、
を備えていることを特徴とする車両用制御装置を提供している。
【0009】
本発明の車両用制御装置と、該車両用制御装置に接続された第1電子機器及び第2電子機器は、本発明の車両用制御装置はマスターノードとなり、前記第1電子機器及び第2電子機器はスレーブノードとなり、LIN(Local Interconnect Network)によって接続され、マスターノードからスレーブノードにデータ送信要求を送信し、スレーブノードはデータ送信要求をうけて、要求されたデータをマスターノードに送信する場合に好適に適用される。
具体的には、本発明のマスターノードとなる車両用制御装置はECUを備え、該ECUはスレーブノードとなるセンサ、スイッチ、メータ等の機器あるいは/および該機器に接続されたECU等の前記電子機器と前記LINを介して接続されている。
前記マスターノードのECUに接続され、スレーブノードとなる前記第1、第2電子機器は、雨滴センサ、走行計メータ、照度センサ等からなる機器あるいは/およびこれらの機器に接続されたECUあるいは/およびドアロック用のECU,ワイパーやパワーウィンドウ用のECU,ラジオ、カーナビゲーション用ECU等からなる。
【0010】
本発明の車両用制御装置は、前記のように、記憶部に記憶している前記第1スケジュールテーブルおよび第2スケジュールテーブルに基づいてスレーブノードである第1電子機器及び第2電子機器に信号の送信要求を行い、第1電子機器及び第2電子機器は要求された信号を車両用制御装置に送信することで通信を行う設定としている。
【0011】
例えば、本発明の車両用制御装置はバッテリに接続された時に起動され、該起動タイミングは前記第1電子機器起動タイミングと同一で、一方、前記第2電子機器の起動タイミングは、イグニッションキーのオンを検知してから所定時間経過後であるとする。
前記の場合、車両用制御装置は、前記第2電子機器が起動していないが、前記第1電子機器が起動状態であるため、第1スケジュールテーブルを用いて第1電子機器と通信する。第1スケジュールテーブルには、起動していない第2電子機器との通信スケジュールは記載されておらず、起動状態である第1電子機器との通信スケジュールのみが記載されている。
前記第2電子機器が起動状態になった時点では既に前記第1電子機器は起動状態であるため、第1、第2電子機器の両方が起動状態となる。この第2電子機器が起動状態になると、車両用制御装置は第2スケジュールテーブルを用いて前記第1電子機器と前記第2電子機器と通信する。第2スケジュールテーブルには、前記第1電子機器および前記第2電子機器の両方との通信スケジュールが記載されている。
【0012】
このように、マスターノードである車両用制御装置が、前記第1電子機器および前記第2電子機器の起動状況に合わせ、起動状態にあるスレーブノードの電子機器のみと通信を行うように第1スケジュールテーブルと第2スケジュールテーブルを切り替えることで、特許文献1のように通信禁止期間が発生せず、車両用制御装置と電子機器との間の通信効率を向上させることができる。
【0013】
さらに、前記第1電子機器と第2電子機器の起動タイミングの間に起動される1または複数の第3電子機器に通信線を介して接続され、
前記記憶部は、前記第1電子機器と前記第3電子機器との通信用の第3スケジュールテーブルと、第1、第2、第3電子機器の全てとの通信用の第4スケジュールテーブルを記憶しており、
前記処理部は、前記第1、第3電子機器が起動状態である場合には前記第3スケジュールテーブルを選択して前記第1、第3電子機器と通信を行い、第1、第2、第3電子機器の全てが起動状態である場合には前記第4スケジュールテーブルを選択して前記第1、第2、第3電子機器との通信を選択する設定としているものであってもよい。
【0014】
例えば、前記のように、本発明の車両用制御装置と前記第1電子機器がバッテリに接続された時に起動され、前記第3電子機器の起動タイミングはイグニッションキーがアクセサリポジションとなった時から所定時間経過後であり、前記第2電子機器の起動タイミングは、イグニッションキーのオンを検知してから所定時間経過後であるとする。
即ち、本発明の車両用制御装置と第1電子機器は同時に起動し、次に第3電子機器が起動し、第2電子機器が最後に起動する。
この場合、本発明の車両用制御装置は、まず、起動状態の第1電子機器に第1スケジュールテーブルを用いて通信を行う。
ついで、第3電子機器が起動状態になると、第1電子機器及び第3電子機器に第3スケジュールテーブルを用いて通信を行う。
ついで、第2電子機器が起動状態になると、第1、第2、第3電子機器に第4スケジュールテーブルを用いて通信を行う。
【0015】
このように、第1、第2、第3電子機器の起動タイミングがそれぞれ異なる場合であっても、マスターノードである車両用制御装置が、起動状態にあるスレーブノードの電子機器のみと通信を行うように車両用制御装置に記憶した第1、第3、第4のスケジュールテーブルを切り替えることで、効率良く通信を行うことができる。
なお、第1電子機器と第2電子機器の起動タイミングの間に第3電子機器が起動される場合、車両用制御装置、第1電子機器および第2電子機器が起動し、第3電子機器が起動していない状態は存在しないため、第2スケジュールテーブルは使用していない。
【0016】
本発明の制御装置および前記第1、第2、第3電子機器は、例えば、前記のように、本発明の車両用制御装置および前記第1電子機器はバッテリに接続された時に同時に起動されるものとし、前記第3電子機器はイグニッションキーがアクセサリポジションとなった時から所定時間経過後に起動されるものとし、前記第2電子機器はイグニッションキーのオンを検知してから所定時間経過後に起動されるものとした場合、イグニッションキーはアクセサリポジションを経てオンとなるため、第3電子機器の起動後に第2電子機器が起動することとなる。
このように、第2電子機器、第3電子機器の起動タイミングがイグニッションキーのポジションにより定まることで、マスターノードである車両用制御装置は第2電子機器、第3電子機器の起動タイミングを検知して各スケジュールテーブルを切り替えることができる。
【発明の効果】
【0017】
前述したように、本発明の車両用制御装置によれば、電子機器の起動状況に合わせ、起動状態にある電子機器のみと通信を行うようにスケジュールテーブルを切り替えているため、未起動の電子機器との間で通信禁止期間が発生せず、車両用制御装置と電子機器との間の通信効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5に本発明の第1実施形態を示す。
第1実施形では、図1に示すように、本発明の車両用制御装置はマスターノードとなるマスターECU10であり、該マスターECU10とデータの送受信を行う複数のスレーブノードもECUで、第1ECU20、第2ECU30からなり、マスターECU10とスレーブノードの第1ECU20、第2ECU30はLINに準拠した通信プロトコルで多重通信線102を介して接続している。マスターECU10は第1ECU20、第2ECU30に対してデータ送信を要求し、第1ECU20、第2ECU30から要求したデータを受信し、第1ECU20、第2ECU30を制御する機能も有する。
【0019】
図1に示すように、マスターECU10は記憶部11と処理部12と送受信部13を備えている。
前記記憶部11はROMまたはRAMから構成され、第1ECU20と通信するための第1スケジュールテーブルTB1と、第1ECU20および第2ECU30と通信するための第2スケジュールテーブルTB2を記憶している。
前記処理部12は記憶部11と接続されると共に、信号を送受信するためのプログラムや一般的な処理を行うためのプログラム等を記憶している。処理部12はCPUから構成され、イグニッションキー22のオンオフの信号から第2ECU30の起動状況を確認すると共に、起動状況に基づいて第1スケジュールテーブルTB1と前記第2スケジュールテーブルTB2の切り替えを行う。
前記送受信部13は第1ECU20、第2ECU30との信号の送受信を行う。
【0020】
また、マスターECU10は電線100を介してバッテリ23と接続しており、工場での組立などによるバッテリ23への接続時が起動タイミングとなる。また、処理部12は通信線101を介してイグニッションキー22と接続しており、イグニッションキー22のオフ、オンの信号を受信している。
【0021】
スレーブノードとなる前記第1ECU20はマスターECU10と同様の構成としているが、記憶部11に第1スケジュールテーブルTB1および第2スケジュールテーブルTB2は記憶していない。
また、該第1ECU20は電線100を介してバッテリ23と接続しており、マスターECU10と同様にバッテリ23の接続が起動タイミングとなる。該第1ECU20は例えばドアロックを制御するECUである。
【0022】
同様に、スレーブノードとなる前記第2ECU30もマスターECU10と同様の構成としているが、記憶部11に第1スケジュールテーブルTB1および第2スケジュールテーブルTB2は記憶していない。
該第2ECU30は、通信線101を介してイグニッションキー22と接続しており、イグニッションキー22のオン時に起動を開始するが、マスターECU10が起動状態となるまでに若干の時間を要し、マスターECU10と通信可能となるのはイグニッションキーのオン時よりも若干遅れた所要時間後である。該第2ECU30は例えばワイパーやパワーウィンドウを制御するECUである。
なお、第2ECU30もバッテリ23と接続され、駆動用電力が供給されているが、マスターECU10、第1ECU20とは異なり、バッテリ23とは無関係に起動しているため、図1ではバッテリ23との接続は示していない。
【0023】
図2はマスターECU10、第1ECU20、第2ECU30の起動のタイムチャートであり、該タイムチャートを参照して、マスターECU10と第1ECU20、第2ECU30との間の通信開始時期について説明する。
【0024】
時刻t1において、マスターECU10と第1ECU20がバッテリ23に接続されて起動している。
時刻t2においてイグニッションキー22がオンになると、マスターECU10は所定時間T1後に、マスターECU10は第2ECU30が起動したものと判断する。所定時間T1は、イグニッションキー22がオンになってから第2ECU30が起動状態になり通信可能となる時間以上の長さとしている。
【0025】
時刻t3において、イグニッションキー22がオフになると、マスターECU10は第2ECU30が電源オフとなり未起動の状態になったものと判断する。なお、イグニッションキー22がオフになってから第2ECU30が未起動状態になるまでにも所定時間が必要であるが、マスターECU10はイグニッションキー22がオフになると同時に第2ECU30が未起動状態になったと判断することで、第2ECU30が通信不可能であるにも関わらず第2ECU30が起動状態であると判断して通信を行うことを防いでいる。
【0026】
従って、時刻t1からt2+T1の間は、マスターECU10、第1ECU20が起動しており、マスターECU10は第1スケジュールテーブルTB1に基づいて、第1ECU20と通信を開始している。
時刻t2+T1からt3の間は、マスターECU10、第1ECU20、第2ECU30が起動しており、マスターECU10は第2スケジュールテーブルTB2に基づいて、第1ECU20、第2ECU30と通信を開始している。
時刻t3以降は再びマスターECU10、第1ECU20のみの起動となり、マスターECU10は第1スケジュールテーブルTB1に基づいて、第1ECU20と通信を開始している。
【0027】
次に、マスターECU10の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
マスターECU10、第1ECU20は工場等でバッテリ23に接続され、既に起動している。
図2のステップS10において、マスターECU10の処理部12はイグニッションキー22の状態を検知している。イグニッションキー22がオフであれば、第2ECU30が起動していないものとしてステップS14に進む。イグニッションキー22がオンであれば、ステップS11に進む。
第2ECU30が起動していない場合、ステップS14では記憶部11から第1スケジュールテーブルTB1を読み出している。第1スケジュールテーブルTB1はマスターECU10と第1ECU20との間で通信を行うスケジュールテーブルである。
ステップS15ではステップS14で読み出した第1スケジュールテーブルTB1に基づいて、第1ECU20と通信を開始している。
【0028】
ステップS10においてイグニッションキー22がオンの場合、ステップS11では所定時間T1が経過したか否かを判断している。所定時間T1が経過していれば第2ECU30は起動状態にあると判断してステップS12に進む。所定時間T1が経過していなければステップS11を繰り返す。
ステップS12では、記憶部11から第2スケジュールテーブルTB2を読み出している。
ステップS13では、ステップS12で読み出した第2スケジュールテーブルTB2に基づいて、第1ECU20、第2ECU30と通信を開始している。
これら前記ステップをCPUの処理周期である5〜10msecごとに行う。
【0029】
図4は第1スケジュールテーブルTB1及び第2スケジュールテーブルTB2の例である。
図4(A)に示す第1スケジュールテーブルTB1はマスターECU10が第1ECU20との通信を行うためのものであり、通信相手はすべて第1ECU20である。第1スケジュールテーブルTB1ではフレームF_B1からフレームF_B4の4種類のフレームを順次第1ECU20に送信している。
【0030】
図4(B)に示す第2スケジュールテーブルTB2はマスターECU10が第1ECU20、第2ECU30との通信を行うためのものであり、通信相手は第1ECU20、第2ECU30である。マスターECU10は、第1ECU20にフレームF_B1からフレームF_B4を、第2ECU30にフレームF_C1からフレームF_C4を、それぞれ交互に送信している。
【0031】
図5はフレーム送信のタイムチャートであり、時刻は図2と対応している。
時刻t1からt2+T1の間では、マスターECU10と第1ECU20との間で図4(A)の第1スケジュールテーブルTB1を用いてフレーム通信を行っており、時刻t2+T1以降は図4(B)の第2スケジュールテーブルTB2を用いてフレーム通信を行っている。
【0032】
前記構成によれば、第1ECU20、第2ECU30の起動状態に合わせ、起動状態にあるマスターECU10のみと通信を行うように第1スケジュールテーブルTB1と第2スケジュールテーブルTB2を切り替えることで、通信禁止期間が発生せず、通信効率を向上させることができる。
【0033】
図6に第1実施形態の変形例を示す。
第1実施形態では該マスターECU10とデータの送受信を行う複数のスレーブノードはECUであるが、本変形例では、スレーブノードを第1ECU20、第2ECU30に換えて第1電子機器40、第2電子機器50としている。第1電子機器40、第2電子機器50は、センサ、メータ、電装品を制御するスイッチ等の機器である。
マスターECU10は第1電子機器40、第2電子機器50を制御しており、例えば、バッテリの接続が起動タイミングとなる第1電子機器40は照明制御のための照度センサ等であり、イグニッションキーのオン時が起動タイミングとなる第2電子機器50は、ワイパー動作のための雨滴センサ、走行計メータ等である。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
図7乃至図9は本発明の第2実施形態を示す。
本発明の制御機器であるマスターECU10に、さらに第3ECU40が多重通信線102を介して接続されている。
マスターECU10の記憶部11には、第1スケジュールテーブルTB1に加え、第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40と通信するための第4スケジュールテーブルTB4、第1ECU20、第3ECU40と通信するための第3スケジュールテーブルTB3を記憶している。マスターECU10は第1ECU20、第2ECU30とのみ通信することはないため、第2スケジュールテーブルTB2は記憶していない。
【0035】
第3ECU40は、スレーブノードであり、マスターECU10と同様の構成としているが、記憶部11にスケジュールテーブルTBは記憶していない。また、イグニッションキー22と接続しており、イグニッションキー22がアクセサリポジション(ACC)となった時に起動を開始するが、第3ECU40が起動状態となり通信可能となるのは、イグニッションキーがACCとなった時から若干遅れた所要時間後である。
第3ECU40は例えばラジオ、カーナビゲーションなどを駆動するECUである。
【0036】
図8はマスターECU10、第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40の起動のタイムチャートである。
時刻t4は、マスターECU10、第1ECU20が起動する時刻t1と、第2ECU30が起動したとマスターECU10が判断する時刻t2+T1の間にあり、イグニッションキー22がACCになると、マスターECU10は所定時間T2後に、第3ECU40が起動したものと判断する。所定時間T2は、イグニッションキー22がACCになってから第3ECU40が起動状態になり通信可能となる時間以上の長さとしている。
時刻t3において、イグニッションキー22がオフになると、マスターECU10は第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40が電源オフとなり未起動の状態になったものと判断する。
【0037】
従って、時刻t1からt4+T2の間はマスターECU10、第1ECU20が起動しており、マスターECU10は第1スケジュールテーブルTB1に基づいて、第1ECU20と通信を開始している。
時刻t4+T2からt2+T1までの間は、マスターECU10、第1ECU20、第3ECU40が起動しており、マスターECU10は第3スケジュールテーブルTB3に基づいて第1ECU20、第3ECU40と通信を行っている。
時刻t2+T1から時刻t3までの間は、マスターECU10、第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40の全てのマスターECU10が起動しており、マスターECU10は第4スケジュールテーブルTB4に基づいて第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40と通信を行っている。
時刻t3以降は再びマスターECU10、第1ECU20のみの起動となり、マスターECU10は第1スケジュールテーブルTB1に基づいて、第1ECU20と通信を開始している。
【0038】
マスターECU10の動作を図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS20で、イグニッションキー22がオンか否かを判断している。イグニッションキー22がオンであれば、第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40が起動していると判断してステップ21に進む。イグニッションキー22がオフであれば、ステップS30に進む。
【0039】
ステップS21では所定時間T1が経過したか否かを判断している。所定時間T1が経過していれば第2ECU30は起動状態にあると判断してステップS22に進む。所定時間T1が経過していなければステップS21を繰り返す。
ステップS22では記憶部11から第4スケジュールテーブルTB4を読み出している。
ステップS23では、マスターECU10はステップS22で読み出した第4スケジュールテーブルTB4に基づいて、第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40と通信を開始している。
【0040】
ステップS30ではイグニッションキー22がACCか否かを判断している。ステップ31に進む。イグニッションキー22がACCでなければ、第1ECU20が起動していると判断してステップS14に進む。
ステップS31では、所定時間T2が経過したか否かを判断している。所定時間T2が経過していれば、第1ECU20、第3ECU40が起動していると判断してステップS32に進む。所定時間T2が経過していなければステップS31を繰り返す。
ステップS32では記憶部11から第3スケジュールテーブルTB3を読み出している。
ステップS33では、マスターECU10はステップS32で読み出した第3スケジュールテーブルTB3に基づいて、第1ECU20、第3ECU40と通信を開始している。
ステップS14、ステップS15は第1実施形態と同様であり、マスターECU10は第1スケジュールテーブルTB1に基づいて第1ECU20と通信を開始している。
【0041】
前記構成によれば、マスターECU10および第1ECU20、第2ECU30、第3ECU40で起動タイミングが異なる場合であっても、起動状態にあるマスターECU10のみと通信を行うようにマスターECU10に記憶した第1、第3、第4のスケジュールテーブルTBを切り替えることで、効率良く通信を行うことができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
図10は本発明の第3実施形態を示す。
スレーブノードである第1電子機器および第2電子機器を複数備えており、第1電子機器として2つの第1ECU20A、第1ECU20B、第2電子機器として2つの第2ECU30A、第2ECU30Bを備えている。
第1ECU20A、第1ECU20BはマスターECU10と同じくバッテリ23に接続された時に起動し、第2ECU30A、第2ECU30BはマスターECU10がイグニッションキー22がオンを検知した後所定時間T1経過後に起動したと判断している。
マスターECU10の記憶部11に記憶した第1スケジュールテーブルTB1には、通信相手として第1ECU20A、第1ECU20Bが記載されており、第2スケジュールテーブルTB2には、通信相手として第1ECU20A、第1ECU20B、第2ECU30A、第2ECU30Bが記載されている。
【0043】
起動タイミングが同じスレーブノードとして複数のECUを備えた場合であっても、マスターECU10が第1スケジュールテーブルTB1と第2スケジュールテーブルTB2を切り替えることで、効率良く通信を行うことができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明である車両制御装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態のタイムチャートである。
【図3】車両制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】(A)は第1スケジュールテーブルの例であり、(B)は第2スケジュールテーブルの例である。
【図5】フレーム送信のタイムチャートである。
【図6】第1実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態のタイムチャートである。
【図9】第2実施形態の車両制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
10 マスターECU
11 記憶部
12 処理部
13 送受信部
20 第1ECU
30 第2ECU
40 第1電子機器
50 第2電子機器
TB(TB1〜TB4) スケジュールテーブル
22 イグニッションキー
23 バッテリ
102 多重通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に搭載される複数の電子機器と通信線を介して接続され、データの送受信を行う車両制御装置であって、
起動タイミングが同じである1または複数の第1電子機器との通信用の第1スケジュールテーブルと、起動タイミングが遅れる1または複数の第2電子機器および前記第1電子機器との両方への通信用の第2スケジュールテーブルとを記憶した記憶部と、
前記第1電子機器は起動状態であるが前記第2電子機器が起動していない場合に前記第1スケジュールテーブルを選択して前記第1電子機器と通信を行う一方、前記第1、第2電子機器の両方が起動状態である場合に前記第2スケジュールテーブルを選択して前記第1、第2電子機器の両方と通信を行う設定としている処理部と、
を備えていることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
マスターノードとなる電子制御ユニットであって、スレーブノードとなる前記電子機器とLIN(Local Interconnect Network)を介して接続され、該スレーブノードとなる前記電子機器はセンサ、スイッチ、メータ等の機器あるいは/および該機器に接続されたECUからなり、
前記スレーブノードの電子機器に対してデータ送信を要求し、前記電子機器から要求したデータを受信するものである請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
さらに、前記第1電子機器と第2電子機器の起動タイミングの間に起動される1または複数の第3電子機器に通信線を介して接続され、
前記記憶部は、前記第1電子機器と前記第3電子機器との通信用の第3スケジュールテーブルと、第1、第2、第3電子機器の全てとの通信用の第4スケジュールテーブルを記憶しており、
前記処理部は、前記第1、第3電子機器が起動状態である場合には前記第3スケジュールテーブルを選択して前記第1、第3電子機器と通信を行い、第1、第2、第3電子機器の全てが起動状態である場合には前記第4スケジュールテーブルを選択して前記第1、第2、第3電子機器との通信を選択する設定としている請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
バッテリに接続された時に起動され、該起動タイミングは前記第1電子機器の起動タイミングと同一であり、
前記第2電子機器の起動タイミングは、イグニッションキーのオンを検知してから所定時間経過後であり、
前記第3電子機器の起動タイミングはイグニッションキーがアクセサリポジションとなった時から所定時間経過後である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−213718(P2008−213718A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55702(P2007−55702)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)