説明

車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置

【課題】鉄道車両の高速走行時の外圧や、大便器からの排水圧力等により、汚水タンク内の汚水が連通された汚水配管を伝わり小便器内に噴き上げる課題を解消する。
【解決手段】汚水噴き上げ防止装置は、小便器又は手洗器の下部排出口12に接続した排水配管内に移動自在に設けた、水よりも浮力のある球状のボール13と、上記排出口12を塞ぐ、上記ボール13の直径よりも小さい穴を有する蓋15と、上記ボール13が上記排水配管の下端に設けた汚水タンク内に落下するのを防止するための落下防止手段16とよりなり、上記汚水タンク内の汚水が上記下部排出口12まで上記排水配管を伝わって上昇してきたとき、上記ボール13が浮力により上昇して上記蓋15の穴を塞ぎ、上記汚水が上記小便器又は手洗器内に噴き上げないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内に設置した小便器又は手洗器内に、上記小便器等に接続した汚水配管からの汚水の噴き上げを防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、例えば鉄道車両に搭載された汚物処理装置を示し、上記汚物処理装置においては、車両内に洋式便器1や手洗器又は小便器2が設置され、そこからの排泄物をためる汚物タンク3が床下に設置され、また、上記洋式便器(大便器)1と上記汚水タンク3とは排出弁4、移送タンク5及び移送弁6を介して汚水配管7により接続され、上記小便器2と上記汚水タンク3とは汚水配管8により接続されている。
【0003】
また、上記汚水タンク3及び上記汚水配管8にはそれぞれ排気管9及び脱臭フィルタ10が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記小便器2の排出口と上記汚水配管8とは連通しているため、車両が高速で走行することによる外圧や、大便器からの排水圧力が、小便器2に接続された汚水配管8にかかり、汚水タンク3内の汚水が上記汚水配管8を伝わって小便器2内に噴き上げてしまうことがあるという欠点があった。
【0005】
本発明は上記の欠点を無くしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置は、車両用小便器又は手洗器の下部排出口に接続した排水配管内に移動自在に設けた、水よりも浮力のある球状のボールと、上記排出口を塞ぐ、上記ボールの直径よりも小さい穴を有する蓋と、上記ボールが上記排水配管の下端に設けた汚水タンク内に落下するのを防止するための落下防止手段とよりなり、上記汚水タンク内の汚水が上記下部排出口まで上記排水配管を伝わって上昇してきたとき、上記ボールが浮力により上昇して上記蓋の穴を塞ぎ、上記汚水が上記小便器又は手洗器内に噴き上げないことを特徴とする。
【0007】
また、上記落下防止手段は、上記蓋の下面に設けた、上記ボールを上下動自在に挿入せしめる筒状本体と、上記筒状本体の下端に設けた、上記ボールの直径より小さい穴部を有する蓋部と、上記筒状本体の側面に設けた複数の開口部とよりなることを特徴とする。
【0008】
また、上記ボール及び落下防止手段はポリテトラフルオロエチレン製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両が高速で走行することによる外圧や、大便器からの排水圧力が、小便器又は手洗器に接続された排水配管にかかっても、汚水タンク内の汚水が小便器内又は手洗器内に噴き上げてしまうことがないという大きな利益がある。
【0010】
また、上記ボール及び落下防止手段をポリテトラフルオロエチレン製としたので、排水による尿石、水垢等を付着させない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置の縦断斜視図である。
【図2】図2は本発明の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置の分解斜視図である。
【図3】図3は汚物処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置は、図1及び図2に示すように、手洗器又は小便器2の本体11の下部排出口12に接続した汚水配管8内に上下動自在に挿入せしめた、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の、汚水よりも浮力のある中空の球状の逆止弁ボール13と、上記排出口12を塞ぐ、その中央に上記ボールの直径よりも小さい円形の排水穴14を有するゴム製の蓋15と、上記ボール13が上記汚水配管8内を落下して上記汚水配管8の下端に設けた汚水タンク3内に落下するのを防止するため、上記下部排出口12又は上記汚水配管8内に設けた、PTFE製の落下防止手段16とよりなり、上記落下防止手段16は、その直径が上記ボール13の直径と略等しい、上記ボール13を上下動自在に挿入せしめる筒状本体17と、上記筒状本体17の上端周側面に設けた、上記蓋15の下面と上記排出口12の上端との間で挟持して固定せしめるための鍔部18と、上記筒状本体17の下端に設けた、その中央に上記ボールの直径よりも小さい円形の穴19を有する蓋部20と、上記筒状本体17の側面に設けた複数の排水用開口部21とよりなる。
【0014】
なお、22は上記排出口に設けた目皿である。
【0015】
本発明の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置は上記のような構成であるから、車両の高速走行による外圧や大便所からの排水圧力がなく、上記汚水タンク3内の汚水が上記排水配管8内に上がってこない場合には、上記ボール13は上記筒状本体17の下端に位置し、この状態では、上記手洗器や小便器2からの水が下部排水口12に流れると、上記水は上記蓋15の排水穴14、上記筒状本体17の排水開口部21を通って、上記排出配管8内を下方に流れ、上記排出配管8の下端に設けた汚水タンク3に流れるようになる。
【0016】
また、車両の高速走行による外圧や、大便所からの排水圧力がかかり、上記汚水タンク3内の汚水が上記排水配管8内上部まで上がってくると、上記ボールは上記汚水の浮力により上昇し、更にボール13が上昇すれば、ゴム製の上記蓋15の排水穴14を上記ボール13が押圧して塞ぐから、上記汚水が上記手洗器又は小便器2内に噴き上げるという事はない。
【0017】
本発明によれば、車両が高速で走行することによる外圧や、大便器からの排水圧力が、小便器2に接続された汚水配管8にかかっても、上記汚水タンク3内の汚水が小便器2内に噴き上げてしまうことがないという大きな利益がある。
【0018】
また、上記ボール13及び落下防止手段16をポリテトラフルオロエチレン製としたので、排水による尿石、水垢等を付着させない。
【符号の説明】
【0019】
1 洋式便器
2 小便器
3 汚水タンク
4 排出弁
5 移送タンク
6 移送弁
7 汚水配管
8 汚水配管
9 排気管
10 脱臭フィルタ
11 本体
12 下部排出口
13 逆止弁ボール
14 排水穴
15 蓋
16 落下防止手段
17 筒状本体
18 鍔部
19 穴
20 蓋部
21 排水用開口部
22 目皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用小便器又は手洗器の下部排出口に接続した排水配管内に移動自在に設けた、水よりも浮力のある球状のボールと、上記排出口を塞ぐ、上記ボールの直径よりも小さい穴を有する蓋と、上記ボールが上記排水配管の下端に設けた汚水タンク内に落下するのを防止するための落下防止手段とよりなり、上記汚水タンク内の汚水が上記下部排出口まで上記排水配管を伝わって上昇してきたとき、上記ボールが浮力により上昇して上記蓋の穴を塞ぎ、上記汚水が上記小便器又は手洗器内に噴き上げないことを特徴とする車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置。
【請求項2】
上記落下防止手段は、上記蓋の下面に設けた、上記ボールを上下動自在に挿入せしめる筒状本体と、上記筒状本体の下端に設けた、上記ボールの直径より小さい穴部を有する蓋部と、上記筒状本体の側面に設けた複数の開口部とよりなることを特徴とする請求項1記載の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置。
【請求項3】
上記ボール及び落下防止手段はポリテトラフルオロエチレン製であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用小便器又は手洗器内への汚水噴き上げ防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−63143(P2011−63143A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216238(P2009−216238)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(591009451)株式会社五光製作所 (9)
【Fターム(参考)】