説明

車両用情報表示装置

【課題】簡便な構成でありながら、運転者による操作と助手席側乗員による操作とを精度良く判別することが可能な車両用情報表示装置を提供すること。
【解決手段】運転者がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出する接触センサ13をステアリングホイールに設け、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持していることが検出されると、車両が走行中であっても、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4による操作入力を受け付けるようにした。このため、高精度に、運転者による操作は制限しつつ運転者以外の乗員による操作を許容することができるので、安全性を確保しつつ、車載用ナビゲーション装置20の操作に関しての乗員の利便性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用情報表示装置に関し、特に、車両用情報表示装置を安全に操作できるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した車両用情報表示装置としては、例えば、車両周辺の地図を表示したり、車両の出発地から目的地に到るまでの経路を設定し、その経路に従って経路誘導を行なうための情報を表示する車載用ナビゲーション装置が知られている。
【0003】
車載用ナビゲーション装置では、例えば、目的地の設定、経路誘導の開始、表示地図のスクロール、表示地図の縮尺の変更等を初めとする各種の操作を、表示画面に表示したタッチスイッチによって実行可能としている。このような車載用ナビゲーション装置は、運転者や助手席の乗員が操作し易く、かつ表示画面が観易いように運転席と助手席との間のインストルメントパネル等に設置される。
【0004】
ただし、運転者が車両を運転する際には、運転者は車両の運転に専念すべきであるため、車両の走行中は、原則として、車載用ナビゲーション装置の各種の機能を実行するためのスイッチ操作が行なえないようになっている。すなわち、車両の走行中は、表示地図の縮尺の変更等の、操作が簡単であって車載用ナビゲーションにとって必要最小限のスイッチ操作のみ実行可能となり、その他のスイッチ操作は禁止される。
【0005】
しかしながら、従来の車載用ナビゲーション装置は、車両の走行中、一律に各種機能を実行するためのスイッチ操作を禁止する。このため、運転者はもちろんのこと、車両の運転に直接関与しない助手席の乗員もスイッチ操作を行なうことができず、利便性の点で問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、特許文献1に記載された車載用ナビゲーション装置においては、表示画面を備える前面パネルの運転席側部分に、超音波の発信部と受信部とからなるセンサを設けている。このセンサは、車両の走行中に、発信部から超音波を放射する。車載ナビゲーション装置は、この超音波の放射領域を運転者の手が横切ったことを反射波の受信によって検出すると、表示画面のタッチスイッチや表示画面の周りに配置したパネルスイッチによる所定の操作を禁止する。逆に、運転者の手や腕が超音波の放射領域を横切ることなくスイッチ操作が行なわれた場合、助手席の乗員によるスイッチ操作であると推測でき、その場合には、タッチスイッチやパネルスイッチのスイッチ操作を可能とする。
【0007】
その他にも、例えば、特許文献2には、操作者が運転席着座者か助手席着座者かを識別可能な画像を撮影するカメラを設け、操作パネルが操作されたときに、自動車が走行中であり、かつ操作が運転席着座者により行われたと判定されると、当該操作を無効とするカーナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−292261号公報
【特許文献2】特開2005−274409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の車載用ナビゲーション装置では、運転者による操作であるか助手席側の乗員による操作であるのかを判別するために、超音波センサなどの高価なセンサやカメラを設けることが必要である。
【0010】
このため、装置全体のコストが上昇し、さらには、センサを配設するためのスペース分だけ装置の体格が大型化するとの問題が生じる。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成でありながら、運転者による操作と助手席側乗員による操作とを精度良く判別することが可能な車両用情報表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用情報表示装置は、
運転席及び助手席の乗員から視認可能な位置に設けられる情報表示部と、
運転席と助手席との間の領域であって、両席の乗員の到達可能範囲に配置される、情報表示部を操作するための操作部と、
操作部に対して行われた操作に応じて、情報表示部を制御する制御手段と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
走行状態検出手段によって車両が走行状態であることが検出されたとき、操作部による情報表示部の操作を制限する制限手段と、を備えた車両用情報表示装置であって、
運転席の乗員によって操舵されるステアリングホイールに設けられ、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出する検出手段を有し、
制限手段は、検出手段が、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出すると、走行状態検出手段により車両が走行中であることが検出されていても、操作部による情報表示部の操作の制限を解除することを特徴とする。
【0013】
運転席の乗員(運転者)が、ステアリングホイールを把持している場合には、運転者は、操作部を操作することは困難である。そのため、請求項1に係る車両用情報表示装置では、ステアリングホイールに、運転者がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出する検出手段を設け、運転者がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出すると、車両が走行中であっても、操作部による情報表示部の操作の制限を解除することとした。
【0014】
上述した検出手段は、運転者の手や指がステアリングホイールに接していることを検出することができれば十分であるため、従来技術のように、高価な、そして車両用情報表示装置の体格を大型化させるようなセンサを用いる必要がない。その一方、車両が走行中である場合における、制限手段による操作の制限の解除は、運転者がステアリングホイールの所定部位を把持していることを条件として実行されるので、高精度に、運転者による操作は制限しつつ運転者以外の乗員による操作を許容することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載したように、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、制限手段は、操舵角検出手段によって検出されるステアリングホイールの操舵角が所定角度以上である場合には、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることが検出手段によって検出されても、操作部による情報表示部の操作を制限したままとすることが好ましい。
【0016】
ステアリングホイールが操舵されて車両が旋回しているとき、運転者がステアリングホイールを把持する部位は、通常、操舵角度に応じて変化する。従って、運転者は、ステアリングホイールの所定部位を把持し続けることが困難であり、安定的に、操作部による操作の制限が解除された状態にならない可能性が高い。さらに、車両の旋回時には、運転者は車両の周囲を目視により確認する必要性が高まるが、例えば助手席の乗員が操作部の操作のために身を乗り出したりすると、運転者による確認の妨げとなる場合がある。このような理由から、ステアリングホイールの操舵角が所定角度以上である場合には、操作部による情報表示部の操作を制限したままとするのである。
【0017】
請求項3に記載したように、検出手段は、少なくとも運転席の乗員の助手席側の手が、ステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出するものであっても良い。操作部は、運転席と助手席との間の領域であって、両席の乗員の到達可能範囲に配置される。従って、運転者の助手席側の手が、ステアリングホイールの所定部位を把持していれば、運転者が操作部を操作することは極めて困難であると考えられるためである。
【0018】
ただし、運転者が両手でステアリングホイールの所定部位をそれぞれ把持している場合には、確実に運転者は操作部を操作することはできないのに対して、運転者の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持している場合には、運転者が、無理矢理、操作部を操作しようしている状況である可能性も残る。そのため、請求項4に記載したように、制限手段は、検出手段が、運転席の乗員の両手がステアリングホイールの所定部位をそれぞれ把持していることを検出しているときには、操作部による情報表示部の操作に関する制限をすべて解除し、運転席の乗員の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出しているときには、操作部による情報表示部の操作に関する制限の一部のみを解除するようにしても良い。
【0019】
また、請求項4に記載の車両用情報表示装置において、請求項5に記載したように、運転席の乗員の視線方向を検出する視線方向検出手段を備え、制限手段は、視線方向検出手段により運転席の乗員の視線方向が操作部以外の方向であることが検出された場合、検出手段が、運転席の乗員の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出していても、操作部による情報表示部の操作に関する制限をすべて解除するようにしても良い。例えば運転者の居眠りなどを検出するために、車室内に運転者の表情を撮影するカメラを設ける場合がある。このような場合に、他の用途のために設けられたカメラを利用して、すなわち、カメラによって撮影された画像から運転者の視線方向を検出することができる。そして、運転者の視線方向が操作部以外の方向であれば、運転者は操作部の操作を行なう可能性は非常に低いと考えられる。従って、このような場合、運転者が片手でしかステアリングホイールを把持していなくとも、操作部による情報表示部の操作に関する制限をすべて解除しても差し支えない。
【0020】
請求項6に記載したように、検出手段は、ステアリングホイールの所定部位に設けられた接触センサから構成したり、請求項7に記載したように、検出手段は、ステアリングホイールを把持しつつ操作される、ステアリングホイールに設けられたステアリングスイッチから構成したりすることができる。いずれの場合でも、運転者がステアリングホイールの所定部位を把持している状態を検出することができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態における車載用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】接触センサ13の一例を説明するための説明図である。
【図3】接触センサ13の他の例を説明するための説明図である。
【図4】車載用ナビゲーション装置における、スイッチ入力に関する処理を示すフローチャートである。
【図5】変形例における車載用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】変形例による車載用ナビゲーション装置における、スイッチ入力に関する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による車両用情報表示装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、車両用情報表示装置として、車載用ナビゲーション装置を用いた例について説明する。ただし、本発明の車両用情報表示装置は、車載用ナビゲーション装置に限られるものではなく、例えば、マルチインフォメーションディスプレイなどであっても良い。
【0023】
図1は、本実施形態による車載用ナビゲーション装置20の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、車載用ナビゲーション装置20は、GPS受信機7、車速センサ8、地磁気センサ9、ジャイロスコープ10等からなる位置検出器を備えている。さらに、車載用ナビゲーション装置20は、タッチスイッチ3、パネルスイッチ4、パーキングブレーキスイッチ11、地図データ入力機器12、接触センサ13、及び操舵角センサ14を備えている。これらの各スイッチやセンサからの信号は、位置検出器からの信号とともに、ナビゲーションECU1に入力される。また、ナビゲーションECU1には、地図等の表示や音声報知を行なうために、表示装置5及びスピーカ6が接続されている。
【0024】
上述したように、位置検出器は、衛星からの電波を受信して、その受信電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機7、車両の走行距離を算出するために当該車両の走行速度を検出する車速センサ8、地磁気センサ9、及びジャイロスコープ10を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、ナビゲーションECU1では、複数のセンサにより各々補完しながら車両の現在位置を算出する。なお、各センサの精度によっては、位置検出器を上述した内の一部のセンサで構成しても良い。また、位置検出器として、上述した以外のセンサ、例えばステアリングの操舵角を検出する操舵角センサや、車体に発生するヨーを検出するヨーレートセンサなどを用いてもよい。
【0025】
表示装置5は、例えば液晶ディスプレイによって構成される。表示装置5の画面には位置検出器によって検出された車両の現在位置に基づいて表示される自車両マーク、地図データ入力機器12より入力される地図データ、更に目的地が設定されている場合には、その目的地までの誘導経路等が表示される。
【0026】
また、表示装置5には、タッチスイッチ3を構成するために、車載用ナビゲーション装置20に各種の機能を実行させたり、地図表示の設定状態を変更したりするための操作スイッチも表示される。この操作スイッチの種類や表示位置はナビゲーションECU1によって制御される。
【0027】
タッチスイッチ3は、表示装置5の表示画面に各種の操作スイッチが表示された状態で、操作者が、いずれかの操作スイッチが表示された画面位置に触れることによって、その操作スイッチの操作を行うものである。このため、表示装置5の表示画面には、操作者のタッチした位置を検出するためのタッチセンサが設けられる。また、表示装置5には、その表示画面の周囲に、タッチスイッチ3と同様に、各種の操作を行なうためのパネルスイッチ4も設けられている。
【0028】
スピーカ6は、音声案内や各種警告音等の出力に使用されるものであり、例えば、車両に装備されたスピーカであっても良いし、カーナビゲーション装置に内蔵されたものであっても良い。
【0029】
パーキングブレーキスイッチ11は、パーキングブレーキがかけられている場合にオンし、パーキングブレーキが解除されている場合にはオフするように構成されている。本実施形態では、このパーキングブレーキスイッチ11からの検出信号に基づいて、車両が走行している状態か、停止している状態かを識別する。ただし、車両の走行状態と停止状態との識別は、他のセンサやスイッチからの信号に基づいて行っても良い。例えば、上述した車速センサ8の検出信号や、図示しない変速機のシフト位置を検出するセンサの検出信号を用いたり、さらには複数のセンサやスイッチの信号を組み合わせたりして、車両が走行状態であるか、停止状態であるかを識別することも可能である。
【0030】
地図データ入力機器12は、道路データや目印データ等の各種の地図データをナビゲーションECU1に入力するためのものである。この地図データ入力機器12は、各種の地図データを記憶する記憶媒体を備える。その記憶媒体としては、データ量からCD−ROMやDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカードやハードディスクなどの媒体を用いてもよい。
【0031】
接触センサ13は、運転者の両手に関して、ステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出するためのものである。この接触センサ13として、図2に示すように、運転者の両手が通常それぞれグリップする部位において、ステアリングホイールのリム部に埋設され、運転者のグリップによる圧力を検出する圧力センサを用いることができる。その他にも、運転者の両手がステアリングホイールの所定部位に接触したときの静電容量変化を利用したタッチセンサを用いても良い。
【0032】
さらに、上述したような、運転者の両手がステアリングホイールの所定部位に接触していることを直接的に検出するセンサ以外にも、例えば、図3に示すようなステアリングスイッチを、接触センサ13として用いることも可能である。ステアリングスイッチは、車両のオーディオやエアコンなどの車載機器を、運転者がステアリングホイールから手を離さずに操作できるようにするために、ステアリングホイールのスポーク部やハブ部に設けられるものである。従って、ステアリングスイッチが操作されるときには、運転者は、ステアリングスイッチ近傍のステアリングホイールの所定部位を把持した状態であるとみなすことができる。このような理由から、各種の車載機器を操作するためにステアリングホイールに設置されるステアリングスイッチを接触センサ13として利用することができるのである。
【0033】
なお、接触センサ13は、運転者の助手席側の手のみに関して、ステアリングホイールの所定部位に接触していることを検出するものであっても良い。
【0034】
操舵角センサ14は、車両が直進状態となるステアリングホイールの位置を中立位置として、ステアリングホイールが右方向あるいは左方向に回転されたとき、その回転角をステアリングホイールの操舵角として検出するものである。
【0035】
ナビゲーションECU1は通常のコンピュータから構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、入出力回路、及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、車載ナビゲーション装置が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPUが所定の演算処理を実行する。
【0036】
また、ナビゲーションECU1の内部には、タッチスイッチ3及びパネルスイッチ4からのスイッチ操作信号を入力し、そのスイッチ操作に対応する制御信号を生成したり、そのスイッチ操作が禁止されている旨を報知したりするための報知信号を生成するスイッチ入力制御部2が設けられている。
【0037】
このように構成された車載用ナビゲーション装置20は、運転席と助手席との間のインストルメントパネル等、運転席及び助手席の乗員によってタッチスイッチ3やパネルスイッチ4が操作可能な位置に設置される。
【0038】
次に、本実施形態の特徴部分に係わる、ナビゲーションECU1におけるスイッチ入力制御部2が実行する処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
まず、図4のステップS100において、パーキングブレーキがオンされているか否かをパーキングブレーキスイッチ11からの検出信号に基づいて判断する。このステップS100において、パーキングブレーキがオンされている、すなわち車両停止中と判断すると、ステップS130に進み、タッチスイッチ3及びパネルスイッチ4からのすべてのスイッチ入力を受け付ける、全スイッチ入力受付状態とする。一方、ステップS100においてパーキングブレーキがオンされていない、すなわち車両走行中と判断すると、ステップS110に進む。
【0040】
ステップS110では、接触センサ13による検出信号に基づいて、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持しているか否かを判定する。
【0041】
運転者が、助手席側の手によってステアリングホイールの所定部位を把持している場合、運転者は、運転席と助手席との間の領域に設置された車載用ナビゲーション装置のタッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作することは極めて困難である。さらに、運転者の両手がステアリングホイールの所定部位を把持している場合、運転者は、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作することは不可能となる。
【0042】
そのため、本実施形態による車載用ナビゲーション装置では、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持していることが検出されると、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作するのは運転者以外の乗員であるとみなして、ステップS120に進む。ステップS120では、詳しくは後述するが、全スイッチ入力受付状態とするための付加的な条件が満たされているか否かを判定する。換言すれば、ステップS120において判定される条件は付加的なものであり、省略することが可能なものである。従って、単にステップS110において「Yes」と判定されたことに基づき、ステップS130に進んで、全スイッチ入力状態としても良い。
【0043】
一方、ステップS110において、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持していないと判定される、運転者がタッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作する可能性があるため、ステップS140に進んで、受け付けるのは、表示地図の拡大縮小などの最低限必要な一部のスイッチ操作のみとし、残りの大部分のスイッチ操作の受け付けを禁止するスイッチ入力制限状態とする。
【0044】
このように、本実施形態では、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持していることが検出されると、車両が走行中であっても、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4による操作入力を受け付けるようにした。このため、高精度に、運転者による操作は制限しつつ運転者以外の乗員による操作を許容することができる。従って、安全性を確保しつつ、車載用ナビゲーション装置20の操作に関しての乗員の利便性を向上することができる。
【0045】
なお、接触センサ13は、運転者の手や指がステアリングホイールに接していることを検出することができれば十分であるため、本実施形態では、従来技術のように、高価な、そして車載用ナビゲーション装置の体格を大型化させるようなセンサを用いる必要がないという利点がある。
【0046】
ステップS120では、操舵角センサ14によって検出されたステアリングホイールの操舵角が所定角度より大きいか否かを判定する。そして、この判定処理において、検出された操舵角が所定角度以下であると判定されると、ステップS130に進んで、全スイッチ入力状態とし、所定角度より大きいと判定されると、ステップS140に進み、スイッチ入力制限状態とする。
【0047】
ステアリングホイールが操舵されて車両が旋回しているとき、運転者がステアリングホイールを把持する部位は、通常、ステアリングホイールが操舵される角度に応じて変化する。従って、運転者は、ステアリングホイールの所定部位を把持し続けることが困難になる。その結果、安定的に、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4のすべてのスイッチに対する操作入力を受け付ける全スイッチ入力受付状態とはならない可能性が高い。さらに、車両の旋回時には、運転者は車両の周囲を目視により確認する必要性が高まるが、例えば助手席の乗員が操作部の操作のために身を乗り出したりすると、運転者による確認の妨げとなる場合がある。このような理由から、ステアリングホイールの操舵角が所定角度以上である場合には、ステップS140に進み、スイッチ入力制限状態に設定し、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4に対する操作入力を制限したままとするのである。
【0048】
そして、ステップS150において、タッチスイッチ3もしくはパネルスイッチ4においていずれかのスイッチ入力がなされたと判定されると、ステップS160に進む。ステップS160では、上述したステップS130またはS140において設定された全スイッチ入力受付状態もしくはスイッチ入力制限状態に応じた処理を行なう。すなわち、全スイッチ入力受付状態に設定されている場合には、すべてのスイッチ入力を受け付けるとともに、そのスイッチ入力に応じた操作を実行するための制御信号を生成する。一方、スイッチ入力制限状態に設定されている場合には、操作が禁止されているスイッチ入力があった場合、走行中には操作ができない旨の警告を表示装置5及びスピーカ6を介して行なう。なお、スイッチ入力制限状態であっても、もともと操作が禁止されていないスイッチ入力があった場合には、そのスイッチ入力に対応する操作を実行する。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0050】
例えば、上述した実施形態においては、少なくとも運転者の助手席側の手がステアリングホイールの所定部位を把持していることが検出されると、車両が走行中であっても、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4による操作入力を受け付けるようにした。
【0051】
しかしながら、運転者が両手でステアリングホイールの所定部位をそれぞれ把持している場合には、確実に運転者はタッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作することはできないのに対して、運転者の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持している場合には、運転者が、無理矢理、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4を操作しようしている状況である可能性も残る。そのため、接触センサ13が、運転席の乗員の両手がステアリングホイールの所定部位をそれぞれ把持していることを検出しているときには、全スイッチ入力受付状態に設定する。その一方、運転者の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出しているときには、全てのスイッチ入力を受け付けるのではなく、一部のスイッチ入力(例えば目的地の設定のためのスイッチ入力など)のみについて操作制限を解除しても良い。
【0052】
さらに、車両にドライバモニタリングシステムが搭載されている場合には、図5に示すように、車載用ナビゲーション装置にドライバモニタリングシステム15を接続するように構成しても良い。ドライバモニタリングシステム15は、運転者の表情を撮影するカメラを備え、そのカメラ画像から運転者の居眠りなど注意力低下状態を検出すると、警告音などを発したりするものである。
【0053】
車載用ナビゲーション装置20にドライバモニタリングシステム15を接続すると、そのドライバモニタリングシステム15から、運転者の表情を撮影したカメラ画像を取得することが可能となる。そして、車載用ナビゲーション装置20は、取得したカメラ画像から運転者の視線方向を検出することができる。
【0054】
運転者の視線方向が検出できる場合に、ナビゲーションECU1におけるスイッチ入力制御部2が実行する処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと同じ処理に対しては同じ参照符号を付与することにより、詳細な説明を省略する。
【0055】
図6のフローチャートでは、図4のフローチャートに対して、ステップS122,S124,及びS126の処理が追加されている。
【0056】
追加されたステップS122の処理は、ステップS120においてステアリング操舵角が所定角度以下であると判定されたときに実行され、接触センサ13による検出信号に基づき、運転者は、両手でステアリングホイールの所定部位を把持しているのか、それとも助手席側の片手のみでステアリングホイールの所定部位を把持しているのかを判定するものである。
【0057】
このステップS122において、運転者は両手でステアリングホイールの所定部位を把持していると判定されると、運転者がタッチスイッチ3などを操作することは不可能であるため、ステップS130の処理に進んで、全スイッチ入力受付状態に設定する。一方、ステップS122において、運転者の助手席側の手のみがステアリングホイールの所定部位を把持していると判定されると、ステップS124の処理に進む。
【0058】
ステップS124では、ドライバモニタリングシステム15から取得したカメラ画像に基づいて検出した運転者の視線方向が、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4の方向であるか、それ以外の方向であるかを判定する。
【0059】
運転者の視線方向がタッチスイッチ3やパネルスイッチ4以外の方向である場合、運転者は助手席側の手でしかステアリングホイールを把持していなくとも、タッチスイッチ3やパネルスイッチ4を用いて操作入力を行なう可能性は非常に低いと考えられる。そのため、この場合、ステップS130に進んで、全スイッチ入力受付状態に設定する。一方、運転者の視線方向がタッチスイッチ3やパネルスイッチ4の方向である場合には、運転者が助手席側とは逆側の手でタッチスイッチ3などを操作する可能性が残るので、ステップS126に進み、一部のスイッチ入力のみについて操作制限を解除する、入力制限一部緩和状態に設定する。
【0060】
ただし、運転者が、助手席側の手でしかステアリングホイールの所定部位を把持しておらず、かつ運転者の視線方向がタッチスイッチ3やパネルスイッチ4の方向を向いている場合、安全性を考慮し、ステップS140に進んで、スイッチ入力制限状態を維持するようにしても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 ナビゲーションECU
2 スイッチ入力制御部
3 タッチスイッチ
4 パネルスイッチ
5 表示装置
7 GPS受信機
8 車速センサ
9 地磁気センサ
10ジャイロスコープ
11 パーキングブレーキスイッチ
12 地図データ入力機器
13 接触センサ
14 操舵角センサ
20 車載用カーナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席及び助手席の乗員から視認可能な位置に設けられる情報表示部と、
運転席と助手席との間の領域であって、両席の乗員の到達可能範囲に配置される、前記情報表示部を操作するための操作部と、
前記操作部に対して行われた操作に応じて、前記情報表示部を制御する制御手段と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段によって車両が走行状態であることが検出された場合、前記操作部による前記情報表示部の操作を制限する制限手段と、を備えた車両用情報表示装置であって、
運転席の乗員によって操舵されるステアリングホイールに設けられ、前記運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出する検出手段を有し、
前記制限手段は、前記検出手段が、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出すると、前記走行状態検出手段により車両が走行中であることが検出されていても、前記操作部による前記情報表示部の操作の制限を解除することを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項2】
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、
前記制限手段は、前記操舵角検出手段によって検出される前記ステアリングホイールの操舵角が所定角度以上である場合には、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることが前記検出手段によって検出されても、前記操作部による前記情報表示部の操作を制限したままとすることを特徴とする請求項1に記載の車両用情報表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、少なくとも運転席の乗員の助手席側の手が、前記ステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用情報表示装置。
【請求項4】
前記制限手段は、前記検出手段が、運転席の乗員の両手が前記ステアリングホイールの所定部位をそれぞれ把持していることを検出しているときには、前記操作部による前記情報表示部の操作に関する制限をすべて解除し、運転席の乗員の助手席側の手のみが前記ステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出しているときには、前記操作部による前記情報表示部の操作に関する制限の一部のみを解除することを特徴とする請求項3に記載の車両用情報表示装置。
【請求項5】
運転席の乗員の視線方向を検出する視線方向検出手段を備え、
前記制限手段は、前記視線方向検出手段により運転席の乗員の視線方向が前記操作部以外の方向であることが検出された場合、前記検出手段が、運転席の乗員の助手席側の手のみが前記ステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出していても、前記操作部による前記情報表示部の操作に関する制限をすべて解除することを特徴とする請求項4に記載の車両用情報表示装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記ステアリングホイールの所定部位に設けられた接触センサからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用情報表示装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記ステアリングホイールを把持しつつ操作される、ステアリングホイールに設けられたステアリングスイッチからなり、当該ステアリングスイッチが操作されているとき、運転席の乗員がステアリングホイールの所定部位を把持していることを検出するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153329(P2012−153329A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16463(P2011−16463)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】