車両用操作装置
【課題】操作性を向上させると共に、夜間において視認性を確保することができる車両用操作装置を得る。
【解決手段】ダイヤル部材54の外周面に当該ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するすべり抑制部材60が設けられているため、すべり抑制部材60を介してダイヤル部材54を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材54の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部材60を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材54へ伝達し、表示パネル保持部44に対してダイヤル部材54を回転させることができる。一方、装着部70には電球82が設けられており、表示パネル46を照射可能としている。すべり抑制部材60は透光性材料で形成されているため、当該すべり抑制部材60が照明することで、レンズの代わりに夜間照明として利用することができる。これにより、夜間において表示パネル46の絵表示52Aの視認性は確保される。
【解決手段】ダイヤル部材54の外周面に当該ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するすべり抑制部材60が設けられているため、すべり抑制部材60を介してダイヤル部材54を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材54の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部材60を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材54へ伝達し、表示パネル保持部44に対してダイヤル部材54を回転させることができる。一方、装着部70には電球82が設けられており、表示パネル46を照射可能としている。すべり抑制部材60は透光性材料で形成されているため、当該すべり抑制部材60が照明することで、レンズの代わりに夜間照明として利用することができる。これにより、夜間において表示パネル46の絵表示52Aの視認性は確保される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明では、車両用空調装置の操作装置において、空調装置からの空気の吹出位置、吹出量、吹出温度を調整する3つの操作ユニット(操作装置)が機械的に分離されており、車両側の意匠に合わせて配置できるようになっている。車両側の意匠に合わせることで操作装置を小型化する場合、操作ユニットのノブ(ダイヤル部材)が握りにくく、滑りやすくなり操作性が悪化する可能性がある。
【0003】
一方、操作ユニットの頂面には、空調装置からの空気の吹出位置、吹出量、吹出温度を表示する表示部が設けられているが、車両用空調装置の操作装置には、夜間における視認性も必要とされる。なお、この他にも特許文献2〜8に車両用操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−096579号公報
【特許文献2】特開2009−143422号公報
【特許文献3】特開2009−266399号公報
【特許文献4】特開2003−080925号公報
【特許文献5】特開2002−012018号公報
【特許文献6】特開2008−258116号公報
【特許文献7】実開平03−007220号公報
【特許文献8】実開平02−071912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させると共に、夜間において視認性を確保することができる車両用操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る車両用操作装置は、内部に設けられた光源によって照射される表示パネルを軸線方向の一端部に備え、少なくとも前記表示パネルの一部が透光性材料で形成された円筒状の表示パネル保持部と、前記表示パネル保持部の径方向の外側に設けられ、当該表示パネル保持部の軸線回りに回転する円筒状のダイヤル部材と、前記ダイヤル部材の外周面に当該ダイヤル部材と一体的に設けられ、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部と、透光性材料で形成され、前記ダイヤル部材と共に回転し、前記表示パネルに描かれた表示部を指す指示部と、を有している。
【0007】
請求項1記載の発明に係る車両用操作装置では、円筒状の表示パネル保持部の内部に光源が設けられており、当該光源によって、表示パネル保持部の軸線方向の一端部に備えられた表示パネルが照射されるようになっている。ここで、少なくとも表示パネルの一部が透光性材料で形成されており、光源の光が透過する。つまり、少なくとも表示パネルの一部が照明されるため、夜間において、表示パネルの視認性は確保される。
【0008】
また、表示パネル保持部の径方向の外側には、円筒状のダイヤル部材が設けられており、表示パネル保持部の軸線回りに回転するようになっている。そして、このダイヤル部材の外周面には、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部が当該ダイヤル部材と一体的に設けられている。このため、すべり抑制部を介してダイヤル部材を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材へ伝達させることができる。
【0009】
ここで、すべり抑制部が透光性材料で形成されているため、当該すべり抑制部が照明することで、車両用操作装置自体を夜間照明とすることができる。これにより、夜間照明用の部品を別途設ける必要が無く、すべり抑制部が夜間照明用のレンズを兼ねることで部品点数を削減することができ、コスト低減が可能となる。
【0010】
また、すべり抑制部には、表示パネルに描かれた表示部を指す指示部が設けられている。指示部は透光性材料で形成されているため、光源の光によってすべり抑制部を介して指示部が照明される。これにより、表示パネルのどの表示部を指示部が指しているのかが明確になり、視認性をさらに向上させることができる。
【0011】
なお、ここでの「一体的」とは、すべり抑制部とダイヤル部材とが二色成形等により一体に成形された場合の他、すべり抑制部をダイヤル部材に装着等させることによってすべり抑制部とダイヤル部材とが一体になる場合やダイヤル部材の表面に凹凸形状などによるすべり抑制部が形成された場合を含む意味である。
【0012】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置は、請求項1に記載の車両用操作装置において、前記すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成され前記ダイヤル部材を被覆する筒状体である。
【0013】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置では、すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成された筒状体であり、当該筒状体によってダイヤル部材が被覆されている。つまり、ここではすべり抑制部としての筒状体をダイヤル部材に装着等させることによってダイヤル部材の外周面にすべり抑制部を一体的に設けている。この場合、すべり抑制部の材質そのものでダイヤル部材のすべりを抑制するため、すべり抑制部の表面に例えば凹凸部等を設ける必要がない。
【0014】
例えば、すべり抑制部の表面に凹凸部が設けられた状態でダイヤル部材を回転操作し続けると、凹凸部の角部が徐々に滑らかになってしまう。したがって、経年変化により摩擦係数が低下してくるが、本発明では、すべり抑制部の材質そのもので高摩擦係数を得るため、すべり抑制部の形状で高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の発明に係る車両用操作装置は、操作性を向上させると共に、夜間において視認性を確保することができる、という優れた効果を有する。
【0016】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置は、すべり抑制部の形状によって高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両用操作装置が適用されたインストルメントパネルの外観斜視図である。
【図2】図1で示す車両用操作装置を拡大した要部拡大図である。
【図3】図2で示す車両用操作装置の一部を拡大した拡大図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本実施の形態に係る車両用操作装置の他の例を示す図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用操作装置について説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印Wは車両幅方向をそれぞれ示す。
【0019】
(車両用操作装置の構成)
図1には本発明の実施の形態に係る車両操作装置としての操作装置32、34、36が設けられたインストルメントパネル10の外観斜視図が示されており、図2には、当該操作装置32、34、36が設けられた空調操作部40が図1の要部拡大斜視図として示されている。また、図3には操作装置32、34、36を代表して操作装置32が拡大された斜視図が示されており、図4には図3で示す4−4線に沿った断面図が示されている。
【0020】
まず、ここでは図1を用いて、インストルメントパネル10についての概略説明を行い、その後で図2〜図4を用いて、操作装置32、34、36の構成について詳細を説明する。図1に示されるように、インストルメントパネル10は車室前部に設けられており、図示しない左右のフロントピラー間に架け渡されたインストルメントパネルリインフォースメントに取り付けられ、空調装置等を車両上側から覆っている。なお、ここでは、インストルメントパネル10の車幅方向左側にコンビネーションメータ16が設けられており、この車両11は左ハンドル仕様となっているが、右ハンドル仕様でも良い。
【0021】
このインストルメントパネル10における車両後部の車両幅方向両側には、サイドレジスタ18、20がそれぞれ設けられている。また、インストルメントパネル10における車両後部の車両幅方向中央部には、一対のセンターレジスタ22、24が車両幅方向に沿って設けられている。さらに、インストルメントパネル10における車両前部の車両幅方向中央部には、デフロスタ26が車両幅方向に沿って設けられている。これらのレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26からは、図示しない空調装置によって温度調整された空気が送出されるようになっている。
【0022】
また、インストルメントパネル10における車両後部側の車両幅方向中央部には、収容凹部38が設けられており、当該収容凹部38内にディスプレイ12が配置されている。このディスプレイ12はインストルメントパネル10の上面から突出するようにして配置されており、ディスプレイ12には、例えばナビゲーション情報や車両情報などが表示されるようになっている。
【0023】
インストルメントパネル10におけるディスプレイ12の下方には、前述のセンターレジスタ22、24が配置されており、当該センターレジスタ22、24の下方に空調操作部40が設けられている。この空調操作部40は、図2に示されるように、略箱状を成す装着体42を備えており、インストルメントパネル10の表側10Aに形成された開口45内へ嵌め込まれるようになっている。装着体42が開口45内へ嵌め込まれた状態で、図1に示されるように、装着体42の表面42A(意匠面)とインストルメントパネル10の表側10Aの表面(意匠面)とが略面一となる。
【0024】
図2に示されるように、装着体42の表面42Aには、操作装置32、34、36が車両幅方向に沿って所定の間隔でそれぞれ装着されている。操作装置32を操作することで(後述するダイヤル部材54を回転させることで)、図示しない空調装置によって温度調整された空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)が選択される。そして、操作装置34を操作することで、空調装置から送出される空気の温度が設定され、操作装置36を操作することで、空調装置から送出される空気の風量が設定される。なお、操作装置32、34、36の配置場所はこれに限るものではない。
【0025】
ここで、操作装置32の構成について説明する。なお、操作装置34、36は操作装置32の構成と略同一であるため、説明を割愛する。図3及び図4に示されるように、操作装置32は略円筒状を成しており、操作装置32の内周側には略円筒状を成す表示パネル保持部44を備えている。表示パネル保持部44の上面には透光性材料で形成された円板状の表示パネル46が装着されている。
【0026】
図3に示されるように、操作装置32の表示パネル46の中央部には、空調装置のON/OFF状態を示すACボタン48Aが設けられており、押圧可能とされている。このACボタン48Aを押圧することで空調装置がONの状態となり、これによって、当該ACボタン48A内に位置し矩形状に設けられた発光部50Aが発光するようになっている。つまり、発光部50Aの発光の有無によって、空調装置がONの状態であるか否かが判断できるようになっている。また、表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って、所定の間隔で表示部としての絵表示52Aが複数描かれており、空調装置によって温度調整された空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)を選択可能としている。
【0027】
なお、図2に示されるように、操作装置34の表示パネル46の中央部には、図示しないリアガラスの曇りを取るリアデフォッガーボタン48Bが設けられており、リアデフォッガーボタン48B内に設けられた発光部50Bが発光された状態で、リヤガラスに埋め込まれた熱線へ通電している状態であることが判断できるようになっている。表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って帯状の表示部52Bが図示されており(例えば、C側では青色表示がなされ、H側では赤色表示がなされる)、空調装置から送出される空気の温度を設定又は調整可能としている。
【0028】
また、操作装置36の表示パネル46の中央部には、内気循環ボタン48Cが設けられており、内気循環ボタン48C内に設けられた発光部50Cが発光された状態で、内気循環の状態であることが判断できるようになっている。表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って数字52Cが表示されており、空調装置から送出される空気の風量を設定又は調整可能としている。
【0029】
一方、図4に示されるように、操作装置32の表示パネル保持部44の径方向の外側には、略円筒状のダイヤル部材54が設けられており、表示パネル保持部44の軸線回りに回転可能とされている。表示パネル46側に位置するダイヤル部材54の軸線方向の一端部には、表示パネル46の外縁部を覆う環状部56が設けられている。また、ダイヤル部材54の軸線方向の一端側の外周面には、ダイヤル部材54の全周に亘って環状凹部58が設けられている。
【0030】
この環状凹部58に軟質弾性樹脂としての略円筒状のすべり抑制部材60が収容されている。つまり、ダイヤル部材54の外周面がすべり抑制部材60によって被覆されている。このすべり抑制部材60は、二色成形によりダイヤル部材54と一体に成形されており、ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するシリコン系の透光性材料で形成されている。また、すべり抑制部材60の軸線方向の一端部からは、表示パネル46に描かれた絵表示52Aを指す矩形状の指示片62が、環状部56の内縁部の位置まで延出している。
【0031】
ところで、装着体42には挿入穴64が形成されている。ダイヤル部材54の軸線方向の他端側には、ダイヤル部材54の軸線方向の一端側よりも外径寸法が大きくなるように設定された段部66、68が階段状に設けられている。挿入穴64にはダイヤル部材54の軸線方向の一端側が挿入可能とされており、挿入穴64の周辺部には段部66が当接可能となっている。つまり、段部66によってダイヤル部材54は抜け止めされる。
【0032】
ダイヤル部材54には、略円筒状の装着部70が装着可能とされており、装着部70におけるダイヤル部材54側に位置する当該装着部70の軸線方向の一端部には、環状リブ72が設けられている。環状リブ72の先端部には、所定の間隔で環状リブ72の内側へ向かって爪部72Aが設けられている。また、環状リブ72の内側には、環状リブ72よりも高さが低く形成された環状リブ74が設けられており、環状リブ72と環状リブ74との間に環状溝76が形成されている。
【0033】
この環状溝76内にダイヤル部材54の軸線方向の他端部が挿入される。環状溝76内にダイヤル部材54の軸線方向の他端部が挿入された状態で、ダイヤル部材54の軸線方向の他端側に設けられた段部68に爪部72Aが係止される。これにより、ダイヤル部材54は装着部70に対して抜け止めされると共に、装着部70の軸線回りに回転可能とされた状態で装着部70に装着される。
【0034】
また、装着部70の軸線方向の他端部は丸板78によって塞がれている。丸板78の外縁側には挿通孔86が設けられており、シャフト88が挿通されている。このシャフト88は、図示はしないが、空調装置からの空気が送出されるレジスタを切り換えるダンパに接続されている。また、シャフト88の先端部には太陽ギア90が固定されている。一方、ダイヤル部材54の内周面には内歯ギア92が設けられており、当該内歯ギア92と太陽ギア90の間には遊星ギア94が設けられ、内歯ギア92及び太陽ギア90と噛合している。
【0035】
また、丸板78の略中央部には略円筒状の座部80がダイヤル部材54側へ向かって突設されている。この座部80には光源としての電球82が装着されており、表示パネル46を照射可能としている。一方、ダイヤル部材54の内周面側には周方向に沿った所定の位置に遮光部84が設けられており、当該遮光部84が設けられていない領域において、ダイヤル部材54は照射可能とされる。ここで、ダイヤル部材54の周壁には光通過孔54Aが形成されており、ダイヤル部材54を照射する光が通過可能とされている。
【0036】
(車両用操作装置の作用・効果)
図4に示されるように、ダイヤル部材54の内周面に内歯ギア92が設けられ、当該内歯ギア92には遊星ギア94が噛合し、遊星ギア94にはレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)を切り換えるダンパに接続されたシャフト88に固定された太陽ギア90が噛合している。
【0037】
このため、ダイヤル部材54を回転させると(操作すると)、ダイヤル部材54の内歯ギア92を介して遊星ギア94が回転し、当該遊星ギア94を介して太陽ギア90及びシャフト88が回転する。これによって、空調装置からの空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)が選択又は変更される。
【0038】
ここで、例えば、操作装置32を小型化する場合、ダイヤル部材54の小径化が必須となるが、ダイヤル部材54の外径寸法を小径にすると、ダイヤル部材54を操作するための操作荷重が上がり、ダイヤル部材54の操作性が悪化する可能性がある。ダイヤル部材54の操作トルクは変わらないため、ダイヤル部材54の外径寸法を小径にすると、同じ操作トルクを発生させるためには操作荷重を上げなければならない。
【0039】
したがって、本実施形態では、図3及び図4に示されるダイヤル部材54の外周面には、当該ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するすべり抑制部材60が二色成形によりダイヤル部材54と一体に設けられている。このため、すべり抑制部材60を介してダイヤル部材54を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材54の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部材60を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材54へ伝達させることができる。
【0040】
また、操作装置32の回転部材をダイヤル部材54及びすべり抑制部材60の二重構造とすることで、ダイヤル部材の機能を兼ね備えたすべり抑制部材のみで回転部材を構成するよりも、回転部材の剛性を確保することができる。このため、ダイヤル部材54を操作する際に、当該ダイヤル部材54を指で触ったり摘んだりすることでダイヤル部材54が変形しないようにすることができる。
【0041】
一方、装着部70には電球82が設けられており、表示パネル46を照射可能としている。表示パネル46は透光性材料で形成されているため、電球82の照射によって当該表示パネル46は照明される。また、ダイヤル部材54では遮光部84が設けられていない領域において照射可能とされる。
【0042】
ダイヤル部材54の周壁には光通過孔54Aが形成され、すべり抑制部材60は透光性材料で形成されているため、光通過孔54Aを通過した光によってすべり抑制部材60が照明される。そして、このすべり抑制部材60が照明されることによって、すべり抑制部材60の軸線方向の一端部から延出する指示片62が照明される。
【0043】
このように、すべり抑制部材60が照明されることで、レンズの代わりに夜間照明として利用することができる。これにより、夜間において、表示パネル46に図示された絵表示52Aの視認性は確保される。また、夜間照明用の部品を別途設ける必要が無く、すべり抑制部が夜間照明用のレンズを兼ねることで部品点数を削減することができ、コスト低減が可能となる。また、すべり抑制部材60を介して指示片62が照明されることで、表示パネル46のどの表示部52を指示片62が指しているのかが明確になり、視認性をさらに向上させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施例では、ダイヤル部材54の操作性を向上させると共に、夜間において表示パネル46に図示された絵表示52A(表示部52)の視認性を確保することができる。
【0045】
なお、ここでは、ダイヤル部材54の周壁に光通過孔54Aを形成し、当該光通過孔54Aを通過した光によってすべり抑制部材60が照明されるようにしたが、ダイヤル部材54が透光性材料で形成された場合は光通過孔54Aは不要となる。また、指示片62は環状部56の内縁部の位置まで延出しているが、環状部56に切欠き部(図示省略)を形成し当該切欠き部内に指示片62が嵌るようにすると共に、指示片62を表示パネル46と対面させるようにする。これにより、表示パネル46を透過した光によって当該指示片62が照射されることとなる。このように、指示片62を直接照射させることで、当該指示片62を照明させるに当たり効率が良くなる。
【0046】
一方、本実施形態では、すべり抑制部材60として軟質弾性樹脂を用い、すべり抑制部材60の材質そのものでダイヤル部材54のすべりを抑制するため、すべり抑制部材60に凹凸部を設ける必要がない。例えば、すべり抑制部材60の表面に凹凸部が設けられた状態でダイヤル部材54を回転操作し続けると、凹凸部の角部が徐々に滑らかになってしまう。したがって、経年変化により摩擦係数が低下してくるが、本実施形態では、すべり抑制部材60の材質そのもので高摩擦係数を得るため、すべり抑制部材60の形状で高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない。但し、すべり抑制部材60に凹凸部を設ける構成を排除するものではない。
【0047】
(実施形態の補足)
本実施形態では、図4に示すすべり抑制部材60が、二色成形によりダイヤル部材54と一体に成形されている例について説明したが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば、図示はしないが、ダイヤル部材54の外周面に設けられた環状凹部58内に、軟質弾性樹脂で形成された円筒状のすべり抑制部60を装着させることによって、すべり抑制部60とダイヤル部材54とが一体となるようにしても良い。
【0048】
また、図5に示されるように、ダイヤル部材96の外周面にローレットやセレーションを形成する等して、ダイヤル部材96の外周面にすべり抑制部としての凹凸部98を形成しても良い。但し、この場合、ダイヤル部材96は摩擦係数の高いエラストマー系の樹脂であって透光性を有する材料が用いられる。このため、ダイヤル部材96の場合、光通過孔54A(図4参照)は不要となる。
【0049】
また、本実施形態では、図3に示す表示パネル46が透光性材料で形成されているが、表示パネル46のうち絵表示52A部分(表示部)のみ透光性材料で形成されても良く、絵表示52A(表示部)以外の部分のみ透光性材料で形成されても良い。また、表示パネル保持部44(図4参照)全体が透光性材料で形成されても良い。
【0050】
さらに、ここではダイヤル部材54が略円筒状を成しているが、ダイヤル部材54の周壁は連続した状態で形成されても良いし、周壁の一部に切欠きなどが形成されていても良い。表示パネル保持部44についてもダイヤル部材54と同様である。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 インストルメントパネル
11 車両
32 操作装置(車両用操作装置)
34 操作装置(車両用操作装置)
36 操作装置(車両用操作装置)
44 表示パネル保持部
46 表示パネル
54 ダイヤル部材
60 すべり抑制部材(筒状体)
62 指示片(指示部)
82 LED電球(光源)
96 ダイヤル部材
98 凹凸部(すべり抑制部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明では、車両用空調装置の操作装置において、空調装置からの空気の吹出位置、吹出量、吹出温度を調整する3つの操作ユニット(操作装置)が機械的に分離されており、車両側の意匠に合わせて配置できるようになっている。車両側の意匠に合わせることで操作装置を小型化する場合、操作ユニットのノブ(ダイヤル部材)が握りにくく、滑りやすくなり操作性が悪化する可能性がある。
【0003】
一方、操作ユニットの頂面には、空調装置からの空気の吹出位置、吹出量、吹出温度を表示する表示部が設けられているが、車両用空調装置の操作装置には、夜間における視認性も必要とされる。なお、この他にも特許文献2〜8に車両用操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−096579号公報
【特許文献2】特開2009−143422号公報
【特許文献3】特開2009−266399号公報
【特許文献4】特開2003−080925号公報
【特許文献5】特開2002−012018号公報
【特許文献6】特開2008−258116号公報
【特許文献7】実開平03−007220号公報
【特許文献8】実開平02−071912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させると共に、夜間において視認性を確保することができる車両用操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る車両用操作装置は、内部に設けられた光源によって照射される表示パネルを軸線方向の一端部に備え、少なくとも前記表示パネルの一部が透光性材料で形成された円筒状の表示パネル保持部と、前記表示パネル保持部の径方向の外側に設けられ、当該表示パネル保持部の軸線回りに回転する円筒状のダイヤル部材と、前記ダイヤル部材の外周面に当該ダイヤル部材と一体的に設けられ、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部と、透光性材料で形成され、前記ダイヤル部材と共に回転し、前記表示パネルに描かれた表示部を指す指示部と、を有している。
【0007】
請求項1記載の発明に係る車両用操作装置では、円筒状の表示パネル保持部の内部に光源が設けられており、当該光源によって、表示パネル保持部の軸線方向の一端部に備えられた表示パネルが照射されるようになっている。ここで、少なくとも表示パネルの一部が透光性材料で形成されており、光源の光が透過する。つまり、少なくとも表示パネルの一部が照明されるため、夜間において、表示パネルの視認性は確保される。
【0008】
また、表示パネル保持部の径方向の外側には、円筒状のダイヤル部材が設けられており、表示パネル保持部の軸線回りに回転するようになっている。そして、このダイヤル部材の外周面には、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部が当該ダイヤル部材と一体的に設けられている。このため、すべり抑制部を介してダイヤル部材を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材へ伝達させることができる。
【0009】
ここで、すべり抑制部が透光性材料で形成されているため、当該すべり抑制部が照明することで、車両用操作装置自体を夜間照明とすることができる。これにより、夜間照明用の部品を別途設ける必要が無く、すべり抑制部が夜間照明用のレンズを兼ねることで部品点数を削減することができ、コスト低減が可能となる。
【0010】
また、すべり抑制部には、表示パネルに描かれた表示部を指す指示部が設けられている。指示部は透光性材料で形成されているため、光源の光によってすべり抑制部を介して指示部が照明される。これにより、表示パネルのどの表示部を指示部が指しているのかが明確になり、視認性をさらに向上させることができる。
【0011】
なお、ここでの「一体的」とは、すべり抑制部とダイヤル部材とが二色成形等により一体に成形された場合の他、すべり抑制部をダイヤル部材に装着等させることによってすべり抑制部とダイヤル部材とが一体になる場合やダイヤル部材の表面に凹凸形状などによるすべり抑制部が形成された場合を含む意味である。
【0012】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置は、請求項1に記載の車両用操作装置において、前記すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成され前記ダイヤル部材を被覆する筒状体である。
【0013】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置では、すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成された筒状体であり、当該筒状体によってダイヤル部材が被覆されている。つまり、ここではすべり抑制部としての筒状体をダイヤル部材に装着等させることによってダイヤル部材の外周面にすべり抑制部を一体的に設けている。この場合、すべり抑制部の材質そのものでダイヤル部材のすべりを抑制するため、すべり抑制部の表面に例えば凹凸部等を設ける必要がない。
【0014】
例えば、すべり抑制部の表面に凹凸部が設けられた状態でダイヤル部材を回転操作し続けると、凹凸部の角部が徐々に滑らかになってしまう。したがって、経年変化により摩擦係数が低下してくるが、本発明では、すべり抑制部の材質そのもので高摩擦係数を得るため、すべり抑制部の形状で高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の発明に係る車両用操作装置は、操作性を向上させると共に、夜間において視認性を確保することができる、という優れた効果を有する。
【0016】
請求項2記載の発明に係る車両用操作装置は、すべり抑制部の形状によって高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係る車両用操作装置が適用されたインストルメントパネルの外観斜視図である。
【図2】図1で示す車両用操作装置を拡大した要部拡大図である。
【図3】図2で示す車両用操作装置の一部を拡大した拡大図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本実施の形態に係る車両用操作装置の他の例を示す図4に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用操作装置について説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印Wは車両幅方向をそれぞれ示す。
【0019】
(車両用操作装置の構成)
図1には本発明の実施の形態に係る車両操作装置としての操作装置32、34、36が設けられたインストルメントパネル10の外観斜視図が示されており、図2には、当該操作装置32、34、36が設けられた空調操作部40が図1の要部拡大斜視図として示されている。また、図3には操作装置32、34、36を代表して操作装置32が拡大された斜視図が示されており、図4には図3で示す4−4線に沿った断面図が示されている。
【0020】
まず、ここでは図1を用いて、インストルメントパネル10についての概略説明を行い、その後で図2〜図4を用いて、操作装置32、34、36の構成について詳細を説明する。図1に示されるように、インストルメントパネル10は車室前部に設けられており、図示しない左右のフロントピラー間に架け渡されたインストルメントパネルリインフォースメントに取り付けられ、空調装置等を車両上側から覆っている。なお、ここでは、インストルメントパネル10の車幅方向左側にコンビネーションメータ16が設けられており、この車両11は左ハンドル仕様となっているが、右ハンドル仕様でも良い。
【0021】
このインストルメントパネル10における車両後部の車両幅方向両側には、サイドレジスタ18、20がそれぞれ設けられている。また、インストルメントパネル10における車両後部の車両幅方向中央部には、一対のセンターレジスタ22、24が車両幅方向に沿って設けられている。さらに、インストルメントパネル10における車両前部の車両幅方向中央部には、デフロスタ26が車両幅方向に沿って設けられている。これらのレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26からは、図示しない空調装置によって温度調整された空気が送出されるようになっている。
【0022】
また、インストルメントパネル10における車両後部側の車両幅方向中央部には、収容凹部38が設けられており、当該収容凹部38内にディスプレイ12が配置されている。このディスプレイ12はインストルメントパネル10の上面から突出するようにして配置されており、ディスプレイ12には、例えばナビゲーション情報や車両情報などが表示されるようになっている。
【0023】
インストルメントパネル10におけるディスプレイ12の下方には、前述のセンターレジスタ22、24が配置されており、当該センターレジスタ22、24の下方に空調操作部40が設けられている。この空調操作部40は、図2に示されるように、略箱状を成す装着体42を備えており、インストルメントパネル10の表側10Aに形成された開口45内へ嵌め込まれるようになっている。装着体42が開口45内へ嵌め込まれた状態で、図1に示されるように、装着体42の表面42A(意匠面)とインストルメントパネル10の表側10Aの表面(意匠面)とが略面一となる。
【0024】
図2に示されるように、装着体42の表面42Aには、操作装置32、34、36が車両幅方向に沿って所定の間隔でそれぞれ装着されている。操作装置32を操作することで(後述するダイヤル部材54を回転させることで)、図示しない空調装置によって温度調整された空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)が選択される。そして、操作装置34を操作することで、空調装置から送出される空気の温度が設定され、操作装置36を操作することで、空調装置から送出される空気の風量が設定される。なお、操作装置32、34、36の配置場所はこれに限るものではない。
【0025】
ここで、操作装置32の構成について説明する。なお、操作装置34、36は操作装置32の構成と略同一であるため、説明を割愛する。図3及び図4に示されるように、操作装置32は略円筒状を成しており、操作装置32の内周側には略円筒状を成す表示パネル保持部44を備えている。表示パネル保持部44の上面には透光性材料で形成された円板状の表示パネル46が装着されている。
【0026】
図3に示されるように、操作装置32の表示パネル46の中央部には、空調装置のON/OFF状態を示すACボタン48Aが設けられており、押圧可能とされている。このACボタン48Aを押圧することで空調装置がONの状態となり、これによって、当該ACボタン48A内に位置し矩形状に設けられた発光部50Aが発光するようになっている。つまり、発光部50Aの発光の有無によって、空調装置がONの状態であるか否かが判断できるようになっている。また、表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って、所定の間隔で表示部としての絵表示52Aが複数描かれており、空調装置によって温度調整された空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)を選択可能としている。
【0027】
なお、図2に示されるように、操作装置34の表示パネル46の中央部には、図示しないリアガラスの曇りを取るリアデフォッガーボタン48Bが設けられており、リアデフォッガーボタン48B内に設けられた発光部50Bが発光された状態で、リヤガラスに埋め込まれた熱線へ通電している状態であることが判断できるようになっている。表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って帯状の表示部52Bが図示されており(例えば、C側では青色表示がなされ、H側では赤色表示がなされる)、空調装置から送出される空気の温度を設定又は調整可能としている。
【0028】
また、操作装置36の表示パネル46の中央部には、内気循環ボタン48Cが設けられており、内気循環ボタン48C内に設けられた発光部50Cが発光された状態で、内気循環の状態であることが判断できるようになっている。表示パネル46の外縁側には、当該表示パネル46の周方向に沿って数字52Cが表示されており、空調装置から送出される空気の風量を設定又は調整可能としている。
【0029】
一方、図4に示されるように、操作装置32の表示パネル保持部44の径方向の外側には、略円筒状のダイヤル部材54が設けられており、表示パネル保持部44の軸線回りに回転可能とされている。表示パネル46側に位置するダイヤル部材54の軸線方向の一端部には、表示パネル46の外縁部を覆う環状部56が設けられている。また、ダイヤル部材54の軸線方向の一端側の外周面には、ダイヤル部材54の全周に亘って環状凹部58が設けられている。
【0030】
この環状凹部58に軟質弾性樹脂としての略円筒状のすべり抑制部材60が収容されている。つまり、ダイヤル部材54の外周面がすべり抑制部材60によって被覆されている。このすべり抑制部材60は、二色成形によりダイヤル部材54と一体に成形されており、ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するシリコン系の透光性材料で形成されている。また、すべり抑制部材60の軸線方向の一端部からは、表示パネル46に描かれた絵表示52Aを指す矩形状の指示片62が、環状部56の内縁部の位置まで延出している。
【0031】
ところで、装着体42には挿入穴64が形成されている。ダイヤル部材54の軸線方向の他端側には、ダイヤル部材54の軸線方向の一端側よりも外径寸法が大きくなるように設定された段部66、68が階段状に設けられている。挿入穴64にはダイヤル部材54の軸線方向の一端側が挿入可能とされており、挿入穴64の周辺部には段部66が当接可能となっている。つまり、段部66によってダイヤル部材54は抜け止めされる。
【0032】
ダイヤル部材54には、略円筒状の装着部70が装着可能とされており、装着部70におけるダイヤル部材54側に位置する当該装着部70の軸線方向の一端部には、環状リブ72が設けられている。環状リブ72の先端部には、所定の間隔で環状リブ72の内側へ向かって爪部72Aが設けられている。また、環状リブ72の内側には、環状リブ72よりも高さが低く形成された環状リブ74が設けられており、環状リブ72と環状リブ74との間に環状溝76が形成されている。
【0033】
この環状溝76内にダイヤル部材54の軸線方向の他端部が挿入される。環状溝76内にダイヤル部材54の軸線方向の他端部が挿入された状態で、ダイヤル部材54の軸線方向の他端側に設けられた段部68に爪部72Aが係止される。これにより、ダイヤル部材54は装着部70に対して抜け止めされると共に、装着部70の軸線回りに回転可能とされた状態で装着部70に装着される。
【0034】
また、装着部70の軸線方向の他端部は丸板78によって塞がれている。丸板78の外縁側には挿通孔86が設けられており、シャフト88が挿通されている。このシャフト88は、図示はしないが、空調装置からの空気が送出されるレジスタを切り換えるダンパに接続されている。また、シャフト88の先端部には太陽ギア90が固定されている。一方、ダイヤル部材54の内周面には内歯ギア92が設けられており、当該内歯ギア92と太陽ギア90の間には遊星ギア94が設けられ、内歯ギア92及び太陽ギア90と噛合している。
【0035】
また、丸板78の略中央部には略円筒状の座部80がダイヤル部材54側へ向かって突設されている。この座部80には光源としての電球82が装着されており、表示パネル46を照射可能としている。一方、ダイヤル部材54の内周面側には周方向に沿った所定の位置に遮光部84が設けられており、当該遮光部84が設けられていない領域において、ダイヤル部材54は照射可能とされる。ここで、ダイヤル部材54の周壁には光通過孔54Aが形成されており、ダイヤル部材54を照射する光が通過可能とされている。
【0036】
(車両用操作装置の作用・効果)
図4に示されるように、ダイヤル部材54の内周面に内歯ギア92が設けられ、当該内歯ギア92には遊星ギア94が噛合し、遊星ギア94にはレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)を切り換えるダンパに接続されたシャフト88に固定された太陽ギア90が噛合している。
【0037】
このため、ダイヤル部材54を回転させると(操作すると)、ダイヤル部材54の内歯ギア92を介して遊星ギア94が回転し、当該遊星ギア94を介して太陽ギア90及びシャフト88が回転する。これによって、空調装置からの空気が送出されるレジスタ(図1で示すレジスタ18、20、22、24やデフロスタ26)が選択又は変更される。
【0038】
ここで、例えば、操作装置32を小型化する場合、ダイヤル部材54の小径化が必須となるが、ダイヤル部材54の外径寸法を小径にすると、ダイヤル部材54を操作するための操作荷重が上がり、ダイヤル部材54の操作性が悪化する可能性がある。ダイヤル部材54の操作トルクは変わらないため、ダイヤル部材54の外径寸法を小径にすると、同じ操作トルクを発生させるためには操作荷重を上げなければならない。
【0039】
したがって、本実施形態では、図3及び図4に示されるダイヤル部材54の外周面には、当該ダイヤル部材54よりも高い摩擦係数を有するすべり抑制部材60が二色成形によりダイヤル部材54と一体に設けられている。このため、すべり抑制部材60を介してダイヤル部材54を確実に回転させることができる。つまり、ダイヤル部材54の外径寸法が小さくなっても、すべり抑制部材60を介して操作荷重を効率良くダイヤル部材54へ伝達させることができる。
【0040】
また、操作装置32の回転部材をダイヤル部材54及びすべり抑制部材60の二重構造とすることで、ダイヤル部材の機能を兼ね備えたすべり抑制部材のみで回転部材を構成するよりも、回転部材の剛性を確保することができる。このため、ダイヤル部材54を操作する際に、当該ダイヤル部材54を指で触ったり摘んだりすることでダイヤル部材54が変形しないようにすることができる。
【0041】
一方、装着部70には電球82が設けられており、表示パネル46を照射可能としている。表示パネル46は透光性材料で形成されているため、電球82の照射によって当該表示パネル46は照明される。また、ダイヤル部材54では遮光部84が設けられていない領域において照射可能とされる。
【0042】
ダイヤル部材54の周壁には光通過孔54Aが形成され、すべり抑制部材60は透光性材料で形成されているため、光通過孔54Aを通過した光によってすべり抑制部材60が照明される。そして、このすべり抑制部材60が照明されることによって、すべり抑制部材60の軸線方向の一端部から延出する指示片62が照明される。
【0043】
このように、すべり抑制部材60が照明されることで、レンズの代わりに夜間照明として利用することができる。これにより、夜間において、表示パネル46に図示された絵表示52Aの視認性は確保される。また、夜間照明用の部品を別途設ける必要が無く、すべり抑制部が夜間照明用のレンズを兼ねることで部品点数を削減することができ、コスト低減が可能となる。また、すべり抑制部材60を介して指示片62が照明されることで、表示パネル46のどの表示部52を指示片62が指しているのかが明確になり、視認性をさらに向上させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施例では、ダイヤル部材54の操作性を向上させると共に、夜間において表示パネル46に図示された絵表示52A(表示部52)の視認性を確保することができる。
【0045】
なお、ここでは、ダイヤル部材54の周壁に光通過孔54Aを形成し、当該光通過孔54Aを通過した光によってすべり抑制部材60が照明されるようにしたが、ダイヤル部材54が透光性材料で形成された場合は光通過孔54Aは不要となる。また、指示片62は環状部56の内縁部の位置まで延出しているが、環状部56に切欠き部(図示省略)を形成し当該切欠き部内に指示片62が嵌るようにすると共に、指示片62を表示パネル46と対面させるようにする。これにより、表示パネル46を透過した光によって当該指示片62が照射されることとなる。このように、指示片62を直接照射させることで、当該指示片62を照明させるに当たり効率が良くなる。
【0046】
一方、本実施形態では、すべり抑制部材60として軟質弾性樹脂を用い、すべり抑制部材60の材質そのものでダイヤル部材54のすべりを抑制するため、すべり抑制部材60に凹凸部を設ける必要がない。例えば、すべり抑制部材60の表面に凹凸部が設けられた状態でダイヤル部材54を回転操作し続けると、凹凸部の角部が徐々に滑らかになってしまう。したがって、経年変化により摩擦係数が低下してくるが、本実施形態では、すべり抑制部材60の材質そのもので高摩擦係数を得るため、すべり抑制部材60の形状で高摩擦係数を得る場合と比較して経年変化が少ない。但し、すべり抑制部材60に凹凸部を設ける構成を排除するものではない。
【0047】
(実施形態の補足)
本実施形態では、図4に示すすべり抑制部材60が、二色成形によりダイヤル部材54と一体に成形されている例について説明したが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば、図示はしないが、ダイヤル部材54の外周面に設けられた環状凹部58内に、軟質弾性樹脂で形成された円筒状のすべり抑制部60を装着させることによって、すべり抑制部60とダイヤル部材54とが一体となるようにしても良い。
【0048】
また、図5に示されるように、ダイヤル部材96の外周面にローレットやセレーションを形成する等して、ダイヤル部材96の外周面にすべり抑制部としての凹凸部98を形成しても良い。但し、この場合、ダイヤル部材96は摩擦係数の高いエラストマー系の樹脂であって透光性を有する材料が用いられる。このため、ダイヤル部材96の場合、光通過孔54A(図4参照)は不要となる。
【0049】
また、本実施形態では、図3に示す表示パネル46が透光性材料で形成されているが、表示パネル46のうち絵表示52A部分(表示部)のみ透光性材料で形成されても良く、絵表示52A(表示部)以外の部分のみ透光性材料で形成されても良い。また、表示パネル保持部44(図4参照)全体が透光性材料で形成されても良い。
【0050】
さらに、ここではダイヤル部材54が略円筒状を成しているが、ダイヤル部材54の周壁は連続した状態で形成されても良いし、周壁の一部に切欠きなどが形成されていても良い。表示パネル保持部44についてもダイヤル部材54と同様である。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 インストルメントパネル
11 車両
32 操作装置(車両用操作装置)
34 操作装置(車両用操作装置)
36 操作装置(車両用操作装置)
44 表示パネル保持部
46 表示パネル
54 ダイヤル部材
60 すべり抑制部材(筒状体)
62 指示片(指示部)
82 LED電球(光源)
96 ダイヤル部材
98 凹凸部(すべり抑制部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に設けられた光源によって照射される表示パネルを軸線方向の一端部に備え、少なくとも前記表示パネルの一部が透光性材料で形成された円筒状の表示パネル保持部と、
前記表示パネル保持部の径方向の外側に設けられ、当該表示パネル保持部の軸線回りに回転する円筒状のダイヤル部材と、
前記ダイヤル部材の外周面に当該ダイヤル部材と一体的に設けられ、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部と、
透光性材料で形成され、前記ダイヤル部材と共に回転し、前記表示パネルに描かれた表示部を指す指示部と、
を有する車両用操作装置。
【請求項2】
前記すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成され前記ダイヤル部材を被覆する筒状体である請求項1に記載の車両用操作装置。
【請求項1】
内部に設けられた光源によって照射される表示パネルを軸線方向の一端部に備え、少なくとも前記表示パネルの一部が透光性材料で形成された円筒状の表示パネル保持部と、
前記表示パネル保持部の径方向の外側に設けられ、当該表示パネル保持部の軸線回りに回転する円筒状のダイヤル部材と、
前記ダイヤル部材の外周面に当該ダイヤル部材と一体的に設けられ、透光性材料で形成されると共に摩擦係数がダイヤル部材のそれよりも高く設定されたすべり抑制部と、
透光性材料で形成され、前記ダイヤル部材と共に回転し、前記表示パネルに描かれた表示部を指す指示部と、
を有する車両用操作装置。
【請求項2】
前記すべり抑制部が軟質弾性樹脂で形成され前記ダイヤル部材を被覆する筒状体である請求項1に記載の車両用操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−60059(P2013−60059A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198658(P2011−198658)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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