説明

車両用死角補助システム

【課題】運転者の車両周囲における視認性を高めて、車両発進の際における障害物の巻き込みを防止し、運転の安全性を向上させることができる車両用死角補助システムを提供する。
【解決手段】車両外部における障害物の存在を運転者に認識させる車両用死角補助システムであって、車両外部の前方下方を写す車両室内の助手席側フロントピラー24の上部に配設した前方視認用ミラー23bと、車両外部の側方下方を写す車両室内の助手席側ルーフ25に配設した側方視認用ミラー23aとを備えるフロントアンダーミラー23を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席から見て直接目視で死角となる範囲を減少させて、車両発進の際等における障害物の巻き込みを防止する車両用死角補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両は運転席から外部のより広い状況を確認することができるように、運転席から見て助手席側におけるドアの外側下方、及びボンネットの前側下方(以下、「車両前方」という)等による死角をなるべく少なくすることが好ましい。
【0003】
そこで、従来、運転席から見て助手席側におけるドアの外側下方及び車両前方等による死角を少なくする手段として、助手席側のフロントピラー(Aピラーという場合もある)の上部に、車両前方の死角となる範囲を写し出す前方視認用補助ミラーと、助手席側におけるドアの外側下方の死角となる範囲を写し出す側方視認用補助ミラーを有したフロントアンダーミラーを設けてなる車両の死角視認補助装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図15は、特許文献1に開示される死角視認補助装置を概略的に示す図である。図15に示す死角視認補助装置は、低速走行時において死角となる範囲を低減するために、車両の速度を検出する図示せぬ車速センサを備え、該車速センサからの信号が所定速度以下であると判断した場合に、運転席からでは死角となる車両前方下部を写し出すことができるように前方下側を指向している凸面鏡で形成された液晶シャッタ付の前方視認用補助ミラー部101と、同じく運転席からでは死角となる車両ドアの外側下方を写し出すことができるように外側下方を指向している凸面鏡で形成された液晶シャッタ付の側方視認用補助ミラー部102を設けたフロントアンダーミラー103を、フロントピラー104の上部に、該フロントピラー104の前後方向の幅内で設けている。したがって、前方視認用補助ミラー部101と側方視認用補助ミラー部102は、各々フロントピラー104に沿って上下に細長く、かつ各補助ミラー部101,102の前後方向の幅は、フロントピラー104の幅Wの略半分の大きさとなっている。また、特許文献1に開示される車外視認装置では、車速センサにより車両の走行速度は検出するが、車両外部の障害物を検出する機能は有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−232212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の死角視認補助装置では、フロントピラーの幅の略半分の大きさで、前方視認用補助ミラー部と側方視認用補助ミラー部を設けているので、鏡面で写せる範囲が狭く、また表示面積も小さくて見にくいという問題点があった。このため、例え各補助ミラー部に障害物が写し出されていても、運転者が瞬時には気がつきづらく、見落とす危険性があった。
【0007】
特に、従来の死角視認補助装置では、車両外部の障害物を検出する機能を有していないため、運転席からでは死角となる車両前方下部、及び車両ドアの外側下方に、例えばしゃがみ込んでいる幼児、あるいは物等の障害が存在しても、周囲が暗い等、鏡面にハッキリと写し出されていないときには運転者が瞬時には気がつきづらく、見落とす危険性があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、運転者の車両周囲における視認性を高めて、車両発進の際における障害物の巻き込みを防止し、運転の安全性を向上させることができる車両用死角補助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用死角補助システムは、車両外部における障害物の存在を運転者に認識させる車両用死角補助システムであって、車両室内の助手席側ピラー上部に配設され、前記車両外部の前方下方を写す前方視認用ミラーと、前記車両室内の助手席側ルーフに配設され、前記車両外部の側方下方を写す側方視認用ミラーと、を備えるフロントアンダーミラーを設けた。
【0010】
従来のフロントアンダーミラーでは、フロントピラーの上部に、前方視認用補助ミラー部と側方視認用ミラー部をそれぞれフロントピラーの幅の略半分の幅で設けていたので、鏡面で写せる範囲が狭く、また表示面積も小さくて見にくいという問題点があったが、この構成によれば、側方視認用ミラーを車両室内の助手席側ルーフに配設するとともに、前方視認用ミラーを助手席側ピラー上部に配設しているので、設置スペースにさほど制限を受けることがない。このため、鏡面の面積を拡げて、表示範囲を大きくすることができる。したがって、視認性が向上し、例えば車両を発進させる際における鏡面内の障害物を見落とすような問題が解決でき、車両発進の際の障害物の巻き込み等がなくなる。また、フロントアンダーミラーは、車両室内に設けられているので、車両外観等に悪い影響を与えることがない。さらに、歩行者等との衝突も防げる。また、さらに室内設置タイプであるため、防水構造及び車両への取付構造を簡易化でき、コストの低減と軽量化が可能になる。
【0011】
上記構成において、前記前方視認用ミラーの鏡面における曲率半径と前記側方視認用ミラーの鏡面における曲率半径を略同一とし、該曲率半径を略200ミリに形成してなる、構成を採用できる。
【0012】
この構成によれば、側方視認用ミラーの鏡面における凸面鏡の曲率と前方視認用ミラーの鏡面における凸面鏡の曲率は略同一であるので、両ミラーから得られる車外の景色の距離感がほぼ同じになる。さらに、その曲率半径を約200ミリに設定しているので、歪みの少ない被写体像を視認することができる。
【0013】
上記構成において、前記前方視認用ミラーの鏡面及び前記側方視認用ミラーの鏡面を、ボールジョイントを介して車体側に傾動自在に取り付けてなる、構成を採用できる。
【0014】
この構成によれば、前方視認用ミラーの鏡面及び前記側方視認用ミラーの鏡面をボールジョイントの部分で回動させることにより、各鏡面のアイポイントを運転者に合わせて簡単に調整して最適視界を得ることができる。
【0015】
上記構成において、前記前方視認用ミラーに、前記車両の前側不要部が写り込む部分をカットした切欠部を設けてなる、構成を採用できる。
【0016】
この構成によれば、前方視認用ミラーは、本来、車両の前側不要部が写り込む左上部の一部を予め切欠した状態にしているので、前方視認用ミラーには、運転者が必要とする情報だけ写り込むことになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、側方視認用ミラーにおける鏡面の面積及び前方視認用ミラーにおける鏡面の面積を各々拡げて、表示範囲を大きくすることができるので、視認性が向上する。これにより、例えば車両を発進させる際における鏡面内の障害物を見落とすような問題を解決することができ、車両発進時の障害物の巻き込み等の事故をなくして、運転の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る車両用死角補助システムが搭載される車両の平面図である。
【図2】同上車両用死角補助システムの制御系に関するブロック図である。
【図3】フロントアンダーミラーが設けられた同上車両の室内に要部構造を示す図である。
【図4】同上車両室内における側方視認用ミラー部分の正面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4に示す側方視認用ミラー部分の分解斜視図である。
【図7】同上車両室内における前方視認用ミラー部分の正面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】図7に示す前方視認用ミラー部分の分解斜視図である。
【図10】同上車両に搭載されたドアミラーを示し、(a)は通常使用時における鏡面像の一例、(b)は鏡面を下側に向けた時における鏡面像の一例を示す図である。
【図11】側方視認用ミラー部分の一変形例を示す断面図である。
【図12】前方視認用ミラー部分の一変形例を示す断面図である。
【図13】警告灯を側方視認用ミラー周辺に設けた一例を示す図である。
【図14】警告灯を前方視認用ミラー周辺に設けた一例を示す図である。
【図15】従来の死角視認補助装置を設けた車両室内の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0020】
図1乃至図3は本発明の実施形態を示し、図1は本発明に係る車両用死角補助システムが搭載される車両の平面図、図2は同上車両用死角補助システムの制御系に関するブロック図、図3はフロントアンダーミラーが設けられた車室内を示す図である。
【0021】
図1乃至図3において、本発明に係る車両用死角補助システムが搭載される車両10は、本実施形態では仕向地が左側走行の国の仕様であって、運転席が右側、助手席が左側である。したがって、以下、「左側」とは助手席側を示すものとする。
【0022】
前記車両10は、その外側において左右のドア11a,11bの上部にそれぞれ取り付けられている、車両後方を写し出すドアミラー12a,12bを備えている。ドアミラー12a,12bにはパワーユニット13(図2参照)が各々内蔵されており、そのパワーユニット13を運転席から遠隔操作すると、鏡面の角度を自由に調整できるようになっている。また、少なくとも左側のドアミラー12aは、図2に示すエレクトロニックコントロールユニット(以下、「ECU」という)14によりパワーユニット13を介して鏡面39(図10参照)の角度を調整し、図1に示す車両10の左側後部における、通常運転席からでは死角となる車両10の後輪付近を確認できる視野範囲Cを写し出すことが可能になっているとともに、車両10の外側周囲が暗いときには車両10の左側下部を照らことができるパドルランプ15(図2参照)が設けられている。
【0023】
次に、図2に示す制御系に関するブロック図について説明する。図2に示す制御系は車両10に搭載されているもので、車両10の電気的な制御を総合的に行うためのマイクロコンピュータである前記ECU14と、該ECU14にそれぞれ接続されている前方用センサ16、側方用センサ17、後方用センサ18、車速センサ19、明るさ検出センサ20、警告音装置21、及びフロントアンダーミラー用警告灯22(以下、「警告灯22」という)等で構成されている。
【0024】
前記前方用センサ16は、図1に示す車両10の通常運転席からでは死角となる前方下部における視野範囲A内にしゃがみ込んでいる幼児、あるいは物等の障害物を検出し、その検出した信号をECU14に送信するセンサである。
【0025】
前記側方用センサ17は、図1に示す車両10の通常運転席からでは死角となる側方下部における視野範囲B内にしゃがみ込んでいる幼児、あるいは物等の障害物を検出し、その検出した信号をECU14に送信するセンサである。
【0026】
前記後方用センサ18は、車両10の通常運転席からでは死角となる後側方下部における視野範囲C内にしゃがみ込んでいる幼児、あるいは物等の障害物を検出し、その検出した信号をECU14に送信するセンサである。
【0027】
前記車速センサ19は、車輪の回転速度またはエンジン回転数に基づいて車速を検出し、その検出した信号をECU14に送信するセンサである。
【0028】
前記明るさ検出センサ20は、車両外側周囲の明るさを検出し、その検出した信号をECU14に送信するセンサである。
【0029】
前記警告音装置21は、警告音を発生する装置であり、例えば前方用センサ16、側方用センサ17、後方用センサ18が障害物を検出すると、ECU14等からの信号を受けて電子音等の警告音を発生して運転者に障害物の存在を報知する。
【0030】
前記警告灯22は、警告光を発生する装置であり、例えば前方用センサ16、側方用センサ17、後方用センサ18が障害物を検出すると、ECU14等からの信号を受けて発光して運転者に障害物の存在を報知する。該警告灯22は、LED等を光源としてなる灯具であり、車室内に設けられた後述するフロントアンダーミラー23(図3参照)の鏡面内または鏡面周辺部に設けられる。
【0031】
次に、車室に配設された前記フロントアンダーミラー23について説明する。図3に示すように、フロントアンダーミラー23は、車室内の左側上部に設けられており、ルーフ25に設けた側方視認用ミラー23aとフロントピラー24の上部に設けた前方視認用ミラー23bとにより構成されている。
【0032】
図4乃至図6に示すように、側方視認用ミラー23aは、前面側に設けられた鏡面26と該鏡面26を固定支持してルーフ25のルーフトリムカバー25aに取り付けられたミラーホルダー27とでなる。そして、側方視認用ミラー23aは、ミラーホルダー27の背面側に設けられたストッパー片28及び弾性係止爪部材29をルーフトリムカバー25a側に形成されている係合孔30,30にそれぞれ係合させてルーフ25に取り付けられている。また、ルーフトリムカバー25aと鏡面26の間の空間内には、鏡面26の端に近い箇所に位置して、前記警告灯22が配設されている。
【0033】
さらに、側方視認用ミラー23aの鏡面26は凸面鏡で、またハーフミラーとして形成されている。また、鏡面26は左側下方を指向しており、特に助手席側における車外の側方下部、すなわち図1に示した視野範囲Bを写し出すことができるとともに、鏡面26がハーフミラーで形成されているので、警告灯22が点灯されていない時には警告灯22は隠されて鏡面26内には運転席からほとんど視認することはできないが、警告灯22が点灯したときには、その点灯した光は鏡面26を透過して運転席から視認することができるようになっている。
【0034】
図7乃至図9に示すように、前方視認用ミラー23bは、前面側に設けられた鏡面31と該鏡面31を固定支持してフロントピラー24のピラートリムカバー24aに取り付けられたミラーホルダー32とでなる。そして、前方視認用ミラー23bは、ミラーホルダー32の背面側に設けられたストッパー片33及び弾性係止爪部材34をピラートリムカバー24a側に形成されている係合孔35,35にそれぞれ係合させてフロントピラー24に取り付けられている。また、ピラートリムカバー24aと鏡面31の間の空間内には、鏡面31の端に近い箇所、すなわちミラーホルダー32に設けられている窓孔32aに対応して、前記警告灯22が配設されている。
【0035】
さらに、前方視認用ミラー23bの鏡面31は凸面鏡で、またハーフミラーとして形成されている。また、鏡面31は前方下方を指向しており、特に車外の前方下部、すなわち図1に示した視野範囲Aを写し出すことができるとともに、鏡面31がハーフミラーで形成されているので、警告灯22が点灯されていない時には警告灯22は隠されて鏡面31内には運転席からほとんど視認することはできないが、警告灯22が点灯したときには、その点灯した光は鏡面31内を透過して運転席から視認することができるようになっている。
【0036】
なお、前方視認用ミラー23bは、左上部の一部36を切欠して左上部を幅狭にし、正面視非四角形状に形成している。これは、前方視認用ミラー23bが前方下方を写したとき、左上部にボンネットの端等の前側不要物が写り込んでその前側不要物を運転者が障害物と誤認するのを防止するのに、左上部にボンネットの端等の前側不要物が写り込まないようにするための切欠部である。したがって、前方視認用ミラー23bの左上部の一部36を切欠した状態とすることにより、運転者は前方視認用ミラー23bの鏡面31を通して真に必要とする情報だけを得て視認性を高めることができる。
【0037】
また、側方視認用ミラー23aの鏡面26における凸面鏡の曲率と前方視認用ミラー23bの鏡面31における凸面鏡の曲率は略同一である。すなわち、両ミラー23a,23bの曲率を略同一にすると、車外の景色が同じように見えて距離感が得られやすい。さらに、実験によればその曲率半径は約200ミリが視認範囲と見易さのバランスが最良で、その前後の曲率半径では写り込まれた被写体像に歪みが生じて視認性が低下することがわかった。
【0038】
次に、このように構成された車両用死角補助システムが搭載された車両において、運転席からの直接目視では死角となる、図1に示した車外の視野範囲A,B,Cを確認する方法について説明する。
【0039】
図3に示すように、フロントアンダーミラー23は、車室内の左側上部に設けられており、ルーフ25に設けた助手席側車外の側方下部(視野範囲B)を指向している側方視認用ミラー23aとフロントピラー24の上部に設けた助手席側車外の側方下部(視野範囲A)を指向している前方視認用ミラー23bとにより構成されているので、運転者は運転席に座った状態で側方視認用ミラー23aと前方視認用ミラー23bを見ることにより、運転席からの直接目視で死角となる視野範囲A及び視野範囲Bを視認することができる。
【0040】
また、運転席からの直接目視で死角となる視野範囲A及び視野範囲Bに加えて視野範囲Cに幼児等がしゃがみ込んでいるようなときには、そのしゃがみ込んでいる位置によって、前方用センサ16、側方用センサ17、後方用センサ18の何れかが「障害物あり」として検出し、その信号をECU14に送信する。
【0041】
前方用センサ16、側方用センサ17、後方用センサ18から「障害物あり」の信号を受けたECU14は、警告音装置21に信号を送って警告音装置21から警告音を発生させるとともに、前方用センサ16からの信号を受けた場合は前方視認用ミラー23b内の警告灯22を点灯させ、側方用センサ17からの信号を受けた場合は側方視認用ミラー23a内の警告灯22を点灯させ、後方用センサ18から信号を受けた場合は前方視認用ミラー23b内及び側方視認用ミラー23a内の各警告灯22をそれぞれ点滅させる。これにより、警告灯22の点灯状態を知ることにより、運転者は車両10のどの部分に障害物があるかを運転席で認識し、それに応じたミラー23a、23b及びドアミラー12aを見ることにより、障害物を容易に知ることができる。
【0042】
また、ECU14は、後方用センサ18から「障害物あり」の信号を受けた場合は、ドアミラー12aのパワーユニット13を制御し、図10の(a)に示すように鏡面36が略水平方向を向いた通常使用視野モードから同図(b)に示すように鏡面36を下側に向けて車両10の後輪付近を見ることができる視野範囲Cを視認するモードに切り替える。同時に、明るさ検出センサ20から送信されて来る信号より、車外の明るさを認識し、車外が暗所である場合にはドアミラー12aのパドルランプ15を点灯させて視野範囲Cにおける障害物の視認を容易にする。
【0043】
したがって、従来のフロントアンダーミラーでは、フロントピラーの上部に、前方視認用補助ミラー部と側方視認用ミラー部をそれぞれフロントピラーの幅の略半分の幅で設けていたので、鏡面で写せる範囲が狭く、また表示面積も小さくて見にくいという問題点があったが、本実施の形態で示した車両用死角補助システムが搭載される車両10によれば、側方視認用ミラー23aを車両室内の助手席側ルーフ25に配設するとともに、前方視認用ミラー23bを助手席側におけるフロントピラー24の上部に配設しているので、設置スペースにさほど制限を受けることがない。このため、鏡面26,31の面積を拡げて、表示範囲を大きくすることができる。これにより、視認性が向上し、例えば車両を発進させる際における鏡面26,31内の障害物を見落とすような問題が解決でき、車両発進の際の障害物の巻き込み等を防止でき、運転の安全性が向上する。また、フロントアンダーミラー23は、車両室内に設けられているので、車両外観等に悪い影響を与えることがない。さらに、歩行者等との衝突も防げる。また、さらに室内設置タイプであるため、防水構造及び車両への取付構造を簡易化でき、コストの低減と軽量化が可能になる。
【0044】
なお、上記実施形態では、側方視認用ミラー23aはルーフ25に角度調整不能に固定され、前方視認用ミラー23bはフロントピラー24に角度調整不能に固定された構造を示したが、側方視認用ミラー23aの場合では、例えば図11に示すように、ルーフパネル36と鏡面26を固定支持しているミラーホルダー27aの間に、一端側をルーフパネル36側に固定するとともに他端側をミラーホルダー27aに固定して取り付けられたボールジョイント37を設けた構成とする。そして、側方視認用ミラー23aの鏡面26をミラーホルダー27Aと共に回動させて傾きを手動で調整し、鏡面26のアイポイントを運転者に合わせて調整して最適視界を得るようにすることも可能である。
【0045】
また、前方視認用ミラー23bの場合も、例えば図12に示すように、フロントピラーパネル38と鏡面31を固定支持しているミラーホルダー32Aの間に、一端側をフロントピラーパネル38側に固定するとともに他端側をミラーホルダー32Aに固定して取り付けられたボールジョイント37を設けた構成とする。そして、前方視認用ミラー23bの鏡面31ルダールダーれいをミラーホルダー32aと共に回動させて傾きを手動で調整し、鏡面31のアイポイントを運転者に合わせて調整して最適視界を得るようにすることも可能である。
【0046】
また、上記実施の形態では、側方視認用ミラー23aの鏡面26及び前方視認用ミラー23bの鏡面31をそれぞれハーフミラーとし、各ミラー23a,23bの裏側に警告灯22を配置した構造を開示したが、例えば図13に示すように側方視認用ミラー23aの外側周辺部に警告灯22を設ける、及び、例えば図14に示すように前方視認用ミラー23aの外側周辺部に警告灯22を設ける構造にしてもよい。
【0047】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0048】
10 車両
12a,12b ドアミラー
13 パワーユニット
14 エレクトロニックコントロールユニット(ECU)
15 パドルランプ
16 前方用センサ
17 側方用センサ
18 後方用センサ
20 明るさ検出センサ
21 警告音装置
22 フロントアンダーミラー用警告灯
23 フロントアンダーミラー
23a 側方視認用ミラー
23b 前方視認用ミラー
24 フロントピラー
25 ルーフ
26 鏡面
31 鏡面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部における障害物の存在を運転者に認識させる車両用死角補助システムであって、
車両室内の助手席側ピラー上部に配設され、前記車両外部の前方下方を写す前方視認用ミラーと、前記車両室内の助手席側ルーフに配設され、前記車両外部の側方下方を写す側方視認用ミラーと、を備えるフロントアンダーミラーを設けたことを特徴とする車両用死角補助システム。
【請求項2】
前記前方視認用ミラーの鏡面における曲率半径と前記側方視認用ミラーの鏡面における曲率半径を略同一とし、該曲率半径を略200ミリに形成してなることを特徴とする請求項1記載の車両用死角補助システム。
【請求項3】
前記前方視認用ミラーの鏡面及び前記側方視認用ミラーの鏡面を、ボールジョイントを介して車体側に傾動自在に取り付けてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用死角補助システム。
【請求項4】
前記前方視認用ミラーに、前記車両の前側不要部が写り込む部分をカットした切欠部を設けてなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用死角補助システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−25234(P2012−25234A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164264(P2010−164264)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)