説明

車両用灯具

【課題】灯具内におけるミリ波レーダの配置上の制約を回避する。
【解決手段】ランプボディ10と前面カバー20とからなる灯室に、光源ユニット30を配置した車両用灯具であって、灯室には、ミリ波レーダ40を設けるとともに、光源ユニット30の前に、ミリ波レーダ40から放射されるミリ波を灯具前方へ反射させる反射部と、前記光源からの光を透過させる透過部と、を備えたプレート60を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミリ波レーダを搭載した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両追尾等の機能を実現するためのレーザレーダを搭載した車両が実用化されている。レーザレーダは、その機能から車両の前方に配置する必要があり、前照灯の灯具ユニット内部にレーザレーダを搭載した車両用灯具も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−260777号公報 第3頁〜第5頁 図12
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
灯具ユニット内にレーザレーダを配置する場合、光源とレーザレーダとが干渉しないように配置する必要がある。しかし、その際には灯具としての機能を損なうことがないように光源の位置が優先され、レーザレーダは配置上の制約を受けるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ランプボディと前面カバーとからなる灯室に、光源を配置した車両用灯具であって、前記灯室に、ミリ波レーダを設けるとともに、前記光源の前に、前記ミリ波レーダから放射されるミリ波を灯具前方へ反射させる反射部と、前記光源からの光を透過させる透過部と、を備えたプレートを設けたことを特徴とする。この構成によれば、透過と反射を利用することにより、ミリ波の進行方向と光の進行方向とを略同一にそろえることができ、ミリ波レーダの配置上の制約を回避することができる。
【0005】
本発明において、前記光源は、光軸が略水平になるように設けられ、前記ミリ波レーダは、レーダ放射面が上方を向くように前記ランプボディ下部に設けられることを特徴とする。この構成によれば、反射によりミリ波レーダの進行方向を曲げることができるので、ミリ波レーダを光源近傍に配置することなく、ミリ波の進行方向と光の進行方向とを略同一にそろえることができ、ミリ波レーダの配置上の制約を回避することができる。また、バルブの発熱で昇温した空気は、灯室の上部に向かうため下方に位置するレーダにはバルブの発熱の影響が少なくなりレーダに装備する耐熱性能を軽減する事が出きる。
【0006】
本発明において、前記プレートは、光源からの光を前面カバーに向けて反射するリフレクタに固定され、リフレクタとともに傾動可能にランプボディに支持されていることを特徴とする。この構成によれば、プレートがリフレクタと一体化されているので、ランプおよびリフレクタのエイミング時にミリ波レーダの上下方向の送信角度も同時に調整できる。また、ユニット化により組立作業性にも優れる。
【0007】
本発明において、前記プレートは、金属部材によってスリットが形成されていることを特徴とする。スリット型(図2参照)では、スリット状の金属部材をミリ波の電界方向に並べ、隣り合う金属部材の幅を、ある長さまで狭くする事により、透明板の部分もミリ波が反射される(全反射)ため、ミリ波を効率よく前方へ反射させることが出来る(プレート全体が反射部として機能する)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施の形態1における車両用灯具の構成を示す縦断面図である。車両用灯具は、ランプボディ10、前面カバー20、光源ユニット30、ミリ波レーダ40、エクステンションリフレクタ50、プレート60を備える。
【0009】
ランプボディ10は、前面カバー20を支持、固定してハウジングを形成し、光源ユニット30やミリ波レーダ40を収納する。光源ユニット30は、灯具前方に照射光Lを照射するための光源を含むユニットで、光源バルブ31とリフレクタ32で構成されている。リフレクタ32は、光源バルブ31から出射した光を効果的に前方へ反射するように、その反射面が適切な形状に成型されている。尚、光源ユニット30は、傾動調整機構73によってランプボディ10に対して傾動調整可能に適切に支持、固定されている。また、ハウジング内には、前照用の光源以外の別用途の光源ユニットを配置してもかまわない。
【0010】
ミリ波レーダ40は、ミリ波Rを送受信するレーダであり、前方車両の追尾等を行うために用いられる。ミリ波レーダ40は、ランプボディ10に支持部材41により支持、固定され、下側のエクステンションリフレクタ50が接する面(上面)から垂直上方へミリ波Rを送信する。エクステンションリフレクタ50は、光源ユニット30からの出射光を効果的に反射するもので、同時にプレート60を支持、固定する役割をも担っている。プレート60は、光源ユニット30からの出射光をそのまま前方へ透過させる一方、ハウジング内下部に配置されたミリ波レーダ40から送信されるミリ波Rを灯具前方へ反射する。ミリ波レーダ40は熱対策等の理由により一部がランプボディ外側に露出していても良い。また、ミリ波レーダをランプボディ側方側に設置しても良い。
【0011】
図2から図4は、プレート60の構成例を示す模式図である。プレート60は、合成樹脂などの透明板で形成されていて、表面の一部に銅箔が施されている。従って、透明板の部分では可視光である光源ユニット30からの出射光を透過させ、銅箔の部分ではミリ波レーダ40から送信されるミリ波Rを反射させるという2つの機能を実現することができる。尚、プレート60はミリ波レーダに固定されていて良い。プレート60上に施す銅箔の形状パターンとしては、スリット型(図2)、ドーナツ型(図3)、ドット型(図4)などが考えられる。スリット型(図2)では、銅箔の部分をミリ波Rの電界方向にスリット状に並べ、隣り合う銅箔の部分の幅をある長さまで狭くする事により、透明板の部分もミリ波Rが反射(全反射)されるため、ミリ波Rを効率よく前方へ反射できる。
【0012】
上記構成の車両用灯具において、光源ユニット30から灯具前方へ出射された光は、プレート60をそのまま透過して前方へ進行する。一方、ミリ波レーダ40から垂直上方に送信されたミリ波Rは、プレート60で反射して同様に灯具前方へ進行する。つまり、プレート60は、ミリ波レーダ40から送信されたミリ波Rを灯具前方へ的確に反射するような角度に調整してエクステンションリフレクタ50に支持、固定されている。尚、支持部材によりレーダレーダをランプボディに傾動させてミリ波Rの送信方向を調整させても良い。
【0013】
図5は本発明の実施の形態2における車両用灯具の構成を示す縦断面図である。実施の形態1と比較して、バルブ71とリフレクタ72で構成されている光源ユニット70のリフレクタ72の前方側開放部が延設され、プレート60を支持、固定している点が異なる。この光源ユニット70とプレート60とで構成されるユニットが、ランプボディ10によって傾動調整機構73によって支持、固定されている。光源ユニット70とプレート60がユニットとして構成されるため、光源ユニット70のエイミング作業時にレーダレーダの上下方向の送信角度も同時に調整できる。また、ユニット化により組立作業性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における車両用灯具の構成を示す縦断面図
【図2】プレートの構成例を示す模式図(スリット状)
【図3】プレートの構成例を示す模式図(ドーナツ状)
【図4】プレートの構成例を示す模式図(ドット状)
【図5】本発明の実施の形態2における車両用灯具の構成を示す縦断面図
【符号の説明】
【0015】
10 ランプボディ
20 前面カバー
30 光源ユニット
31 ランプ
32 リフレクタ
40 ミリ波レーダ
50 エクステンションリフレクタ
60 プレート
61 銅箔パターン部
70 光源ユニット
71 ランプ
72 リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと前面カバーとからなる灯室に、光源を配置した車両用灯具であって、
前記灯室に、ミリ波レーダを設けるとともに、
前記光源の前に、前記ミリ波レーダから放射されるミリ波を灯具前方へ反射させる反射部と、前記光源からの光を透過させる透過部と、を備えたプレートを設けたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源は、光軸が略水平になるように設けられ、前記ミリ波レーダは、レーダ放射面が上方を向くように前記ランプボディ下部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記プレートは、光源からの光を前面カバーに向けて反射するリフレクタに固定され、リフレクタとともに傾動可能にランプボディに支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記プレートは、金属部材によってスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−186740(P2008−186740A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20299(P2007−20299)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】