説明

車両用灯具

【課題】光源の交換をワンタッチで容易に行うことができる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】放電灯(光源)3とこれを駆動する点灯装置4を一体化して成るバーナー5をリフレクタ2に一体に形成されたホルダ6に着脱可能に嵌合保持して成る車両用灯具1において、前記ホルダ6に前記バーナー5を挿入嵌合してその一部(フランジ)を前記ホルダ6に形成された座面6Aに押し当て、前記ホルダ6の外面に一対のバーナーホルダ16を嵌め込んで両者を結合一体化し、両バーナーホルダ16と前記ホルダ6の座面6Aとで前記バーナー5の一部(フランジ)を挟持して該バーナー5を前記ホルダ6に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源とこれを駆動する点灯装置を一体化して成るバーナーをリフレクタに一体に形成されたホルダに着脱可能に嵌合保持して成る車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘッドランプ等の車両用灯具には、光源として明るくて寿命が長いメタルハライドランプ(HIDランプ)等の放電灯を使用するものがあるが、この放電灯を点灯させるためには、該放電灯に高電圧を印加する点灯装置(制圧回路やバラスト)が必要となる。
【0003】
斯かる車両用灯具として、リフレクタ等に設けられたソケットに放電灯をスプリングやバヨネット等の固定手段によって係着させた後、接続端子を有する点灯装置を放電灯の口金部分に被着させるものが例えば特許文献1において提案されている。
【0004】
ところが、上記構成を有する車両用灯具においては、ソケットに放電灯と点灯装置の重量が加わるため、車両走行時の衝撃や振動等によって放電灯が振動し、配光特性にチラツキが発生したり、光軸に狂いが生じる等の問題が発生する可能性があった。
【0005】
そこで、特許文献2には、リフレクタに形成されたホルダ(光源取付部)に放電灯に対応する座部と点灯装置に対応する電源係着部(バヨネット受け部とバヨネットスプリング)を設け、座部に載置された放電灯をリフレクタと点灯装置とで挟持する構成を採用した車両用灯具が提案されている。このような車両用灯具によれば、点灯装置が放電灯を介することなくリフレクタによって支持されるため、点灯装置の重量によって放電灯が車両走行時に共振するという不具合を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−315624号公報
【特許文献2】特開2000−156104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2において提案された車両用灯具では、放電灯と点灯装置が各々独立に構成され、両者がリフレクタのホルダに個別に取り付けられるため、放電灯の交換を容易に行うことができず、交換作業に多くの手間と時間を要するという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、光源の交換をワンタッチで容易に行うことができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、光源とこれを駆動する点灯装置を一体化して成るバーナーをリフレクタに一体に形成されたホルダに着脱可能に嵌合保持して成る車両用灯具において、前記ホルダに前記バーナーを挿入嵌合してその一部を前記ホルダに形成された座面に押し当て、前記ホルダの外面に一対のバーナーホルダをスライド可能に嵌め込んで両者を結合一体化し、両バーナーホルダと前記ホルダの座面とで前記バーナーの一部を挟持して該バーナーを前記ホルダに固定することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記光源として放電灯を使用し、該放電灯の口金の外周に形成されたフランジを前記ホルダの座面に押し当てるとともに、該フランジを前記バーナーホルダと前記ホルダの座面とで挟持するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記左右一対のバーナーホルダをそれぞれの相対向する位置に形成された係合爪と係合孔との係合によって結合一体化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、ホルダにバーナーを挿入嵌合してその一部をホルダに形成された座面に押し当てた状態で、ホルダの外面に一対のバーナーホルダを嵌め込んで両者を結合一体化するだけでバーナーを容易にホルダに取り付けることができる。又、ホルダに取り付けられたバーナーは、結合一体化されたバーナーホルダを分離するだけで容易にホルダから取り外される。このようにバーナーをホルダに対して容易に取り付け及び取り外しすることができるため、光源の交換をワンタッチで容易に行うことができる。
【0013】
又、光源と一体化された点灯装置は光源を介することなくホルダに直接取り付けられるため、車両走行時の衝撃や振動等による放電灯の振動が抑制され、配光特性にチラツキが発生したり、光軸に狂いが生じる等の不具合が発生することがない。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、放電灯の口金の外周に形成されたフランジをホルダの座面に押し当てた状態で、該フランジをバーナーホルダとホルダの座面とで挟持することによってバーナーをホルダに確実に取り付けることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、左右一対のバーナーホルダをそれぞれの相対向する位置に形成された係合爪と係合孔との係合によってワンタッチで容易に結合一体化することができ、これによってバーナーをホルダに簡単に取り付けることができる。又、結合一対化された一対のバーナーホルダ同士の係合を解除すれば、両者を容易に分離させてバーナーをホルダからワンタッチで簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両用灯具要部の分解斜視図である。
【図2】(a)は本発明に係る車両用灯具のバーナー開放時の状態を示す部分平断面図、(b)は(a)のA部拡大詳細図である。
【図3】(a)は本発明に係る車両用灯具のバーナー固定時の状態を示す部分平断面図、(b)は(a)のB部拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用灯具要部の分解斜視図、図2(a)は同車両用灯具のバーナー開放時の状態を示す部分平断面図、図2(b)は図2(a)のA部拡大詳細図、図3(a)は同車両用灯具のバーナー固定時の状態を示す部分平断面図、図3(b)は図3(a)のB部拡大詳細図である。
【0019】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、不図示の車両前部の左右に設けられるヘッドランプであって、不図示のハウジングとその前面開口部を不図示のレンズによって覆うことによって画成される不図示の灯室内にリフレクタ2と光源である放電管(HIDランプ)3及び該放電管を点灯させるための点灯装置4を収容することによって構成されている。尚、ヘッドランプである車両用灯具1の基本構成は左右について同じであるため、以下、一方の車両用灯具1についてのみ図示及び説明する。
【0020】
ところで、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、放電灯3とこれを点灯させる矩形ブロック状の点灯装置4とはバーナー5として一体化されている。ここで、放電灯3は、図2及び図3に示すように、細長い円管状の放電管3Aとその端部に取り付けられた円筒状の口金3Bとで構成されており、口金3Bの外周にはリング状のフランジ3aが形成されている。
【0021】
又、前記リフレクタ2は、車両前方(図2及び図3の右方)に向かって開口するパラボラ状の部品であって、その内面は回転楕円状の反射面を構成している。そして、このリフレクタ2の背面の中央部には車両後方に向かって開口する矩形ボックス状のホルダ6が一体に形成されている。
【0022】
上記ホルダ6の矩形の座面6Aの中央には、前記バーナー5の放電灯3を通すための円孔7が形成されており、同座面6Aの円孔7の上下にはボス8が形成されている。そして、各ボス8にはネジ孔8aがそれぞれ形成されている。又、ホルダ6の上下面には車両前後方向に長い切欠き9がそれぞれ形成されており、上下面の切欠き9を挟んだ左右には円柱状のピン10(下方のピン10は不図示)がそれぞれ突設されている。
【0023】
而して、バーナー5は後述する要領でホルダ6に嵌め込まれて固定されるが、該バーナー5とホルダ6との間には略矩形のアースプレート11が設けられる。このアースプレート11は、リフレクタ2からバーナー5へのアース取りのための部品であって、略矩形の金属板によって構成され、その中央にはバーナー5の放電灯3が通過するための円孔12が形成されている。尚、アースプレート11に形成された円孔12の内径は、ホルダ6に形成された円孔7の内径及び放電灯3の口金3Bに形成されたフランジ3aの外径よりも大きく設定されている。
【0024】
又、アースプレート11の上下には、前記ホルダ6の上下に設けられたボス8に合致するブラケット13が突設されており、これらのブラケット13には円孔13aがそれぞれ形成されている。更に、アースプレート11の円孔12の上部周縁には、ホルダ6に嵌め込まれたバーナー5を所定の力で下方へ押さえるバネ性を有した爪14が形成されており、左右の側端縁の上下からはフック15が車両後方に向かって一体に延びている。
【0025】
ところで、バーナー5のホルダ6への固定には左右一対のバーナーホルダ16が使用されるが、これらのバーナーホルダ16は矩形ボックスを左右に2分割した形状を有しており、両者は同形状に形成され、互いに上下を逆にして(180°回転させて)使用される。
【0026】
左右の各バーナーホルダ16の端壁には半円状の嵌合孔17(図1には一方のみ図示)がそれぞれ形成されており、上下面には左右方向に長い長孔18がそれぞれ形成されている。又、これらのバーナーホルダ16の上下面には係合爪19と係合孔20が互い違いとなるよう(つまり、一方の係合爪19が他方の係合孔20に係合するよう)それぞれ形成されている。具体的には、左側のバーナーホルダ16の上面に係合孔20、下面に係合爪19が形成され、右側のバーナーホルダ16の上面に係合爪19、下面に係合孔20がそれぞれ形成されている。尚、各バーナーホルダ16に形成された嵌合孔17の内径(包絡円の内径)は、放電灯3の口金3Bに形成されたフランジ3aの外径よりも小さく設定されている。
【0027】
而して、左右のバーナーホルダ16は、ホルダ6を左右から覆うようにホルダ6の外面に嵌め込まれており、各バーナーホルダ16の上下面に形成された長孔18にはホルダ6の上下面に突設されたピン10が係合している。従って、各バーナーホルダ16は、ピン10が長孔18内で相対的に摺動し得る範囲でホルダ6の上下面に沿って左右方向(図1及び図2の矢印a,b方向)にスライドすることができる。
【0028】
次に、本実施の形態に係る車両用灯具1におけるバーナー5のホルダ6への取付要領について説明する。
【0029】
放電灯3と点灯装置を4一体化して成るバーナー5をリフレクタ2のホルダ6に取り付けるには、先ず、アースプレート11をホルダ6に嵌め込み、これの左右に形成された計4つのフック15をホルダ6の左右側壁の端縁に引っ掛けるとともに、上下のブラケット13をホルダ側の上下のボス8に合わせ、これらのブラケット13の円孔13aに挿通するビス21をホルダ6側のボス8のネジ孔8aにねじ込むことによってアースプレート11がホルダ6に取り付けられる。尚、このとき、アースプレート11の円孔12とホルダ6の円孔7とは中心同士が一致した状態で互いに連通している。
【0030】
次に、バーナー5が放電灯3を先にしてホルダ6内に差し込まれる。すると、放電灯3がアースプレート11の円孔12とホルダ6の円孔7を貫通して図2に示すようにリフレクタ2の内部へと差し込まれ、該放電灯3の口金3Bに形成されたフランジ3aがホルダ6の座面6Aに押し付けられる。尚、このとき、左右のバーナーホルダ16は、図2に示すように互いに離れて結合されていない。
【0031】
上述のように、バーナー5がホルダ6に差し込まれ、放電灯3の口金3Bのフランジ3aがホルダ6の座面6Aに押し当てられた状態から左右のバーナーホルダ16をホルダ6の上下面に沿って互いに近接する方向(図1及び図2の矢印a方向)にスライドさせ、互いに対向する一方の係合爪19を他方の係合孔20に係合させれば、両バーナーホルダ16が図3に示すように結合一体化される。すると、バーナーホルダ16の端壁の嵌合孔17の周縁が放電灯3の口金3Bに形成されたフランジ3aと点灯装置4との間の溝22に係合してフランジ3aをホルダ6の座面6Aとの間で挟持する。即ち、バーナー5は、口金3Bのフランジ3aがホルダ6の座面6Aと左右のバーナーホルダ16によって挟持されることによってホルダ6に確実に固定される。
【0032】
以上説明した要領でホルダ6に取り付けられたバーナー5をホルダ6から取り外すには、左右のバーナーホルダ16の係合爪19と係合孔20との係合による結合を解除し、両バーナーホルダ16をホルダ6の上下面に沿って互いに離れる方向(図1及び図2の矢印b方向)にスライドさせれば、該バーナーホルダ16とホルダ6の座面6Aによる口金3Bのフランジ3aの挟持が解除されるため、バーナーホルダ16をそのまま引き抜いてホルダ6から簡単に取り外すことができ、例えば放電灯3を新しいものと交換することができる。
【0033】
そして、例えば放電灯3の交換が終了すると、前記と同様の要領でバーナー5をホルダ6に簡単に取り付けることができる。
【0034】
以上のように、本実施の形態に係る車両用灯具1によれば、ホルダ6にバーナー5を挿入嵌合して口金3Bのフランジ3aをホルダ6に形成された座面6Aに押し当てた状態で、ホルダ6の外面にスライド可能に嵌め込まれた左右一対のバーナーホルダ16を結合一体化するだけでバーナー5を容易にホルダ6に取り付けることができる。又、ホルダ6に取り付けられたバーナー5は、結合一体化されたバーナーホルダ16の結合を解除して両者を分離するだけで容易にホルダ6から取り外される。このようにバーナー5をホルダ6に対して容易に取り付け及び取り外しすることができるため、放電灯3の交換をワンタッチで容易に行うことができる。
【0035】
又、放電灯3と一体化された点灯装置4は放電灯3を介することなくホルダ6に直接取り付けられるため、車両走行時の衝撃や振動等による放電灯3の振動が抑制され、配光特性にチラツキが発生したり、光軸に狂いが生じる等の不具合が発生することがない。
【0036】
更に、本実施の形態に係る車両用灯具1によれば、左右一対のバーナーホルダ16をそれぞれの相対向する位置に形成された係合爪19と係合孔20との係合によってワンタッチで容易に結合一体化することができ、結合一対化された一対のバーナーホルダ16同士の係合を解除して両者を容易に分離させることができる。
【0037】
尚、以上は本発明を特にヘッドランプに適用した形態について説明したが、本発明は、ヘッドランプ以外の他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用灯具
2 リフレクタ
3 放電灯(光源)
3A 放電管
3B 口金
3a 口金のフランジ
4 点灯装置
5 バーナー
6 ホルダ
6A ホルダの座面
7 ホルダの円孔
8 ホルダのボス
8a ボスのネジ孔
9 切欠き
10 ピン
11 アースプレート
12 アースプレートの円孔
13 アースプレートのブラケット
13a ブラケットの円孔
14 爪
15 フック
16 バーナーホルダ
17 バーナーホルダの嵌合孔
18 バーナーホルダの長孔
19 バーナーホルダの係合爪
20 バーナーホルダの係合孔
21 ビス
22 溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源とこれを駆動する点灯装置を一体化して成るバーナーをリフレクタに一体に形成されたホルダに着脱可能に嵌合保持して成る車両用灯具において、
前記ホルダに前記バーナーを挿入嵌合してその一部を前記ホルダに形成された座面に押し当て、前記ホルダの外面に一対のバーナーホルダをスライド可能に嵌め込んで両者を結合一体化し、両バーナーホルダと前記ホルダの座面とで前記バーナーの一部を挟持して該バーナーを前記ホルダに固定したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源として放電灯を使用し、該放電灯の口金の外周に形成されたフランジを前記ホルダの座面に押し当てるとともに、該フランジを前記バーナーホルダと前記ホルダの座面とで挟持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記左右一対のバーナーホルダをそれぞれの相対向する位置に形成された係合爪と係合孔との係合によって結合一体化することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−171194(P2011−171194A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35499(P2010−35499)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】