説明

車両用熱交換装置

【課題】複数の異なる熱交換器に装着可能な送風機組立体を提供する。
【解決手段】車両用の熱交換装置100は、熱交換器102と、ファンのシュラウド部材を含む送風機組立体104とを備える。熱交換器102は、複数のチューブによって提供される熱交換面122を有する。ファンシュラウドは、熱交換面を覆うように設けられる。シュラウド部材128には、その垂直壁146に、第1の係止部140と、第2の係止部142とが設けられる。第1の係止部140と、第2の係止部142との一方は、熱交換器102の端部に設けられた端板120に係止される。端板120は、第1の係止部140と第2の係止部142との間、または、第2の係止部142と垂直壁146との間に位置付けられ、保持される。この構成によると、送風機組立体104は、少なくとも2種類の熱交換器に装着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、本発明に関連する背景技術を開示するが、それは公知の従来技術として開示されるものではない。
【0003】
車両用の熱交換装置は、一般的には、熱交換器と、ファンのシュラウド部材を含む送風機組立体との組み合わせ物として構成されている。送風機組立体は、熱交換器に対して、車両における横方向の両方の端部においてボルトによって固定されている。
【0004】
大型の車両においては、それらの大型の熱交換器、例えばラジエータに起因して、熱交換装置の上部に追加的な係合装置、例えばクリップが必要となることがあった。
【0005】
上述の熱交換装置は、その所期の目的を達成している。この種の車両用熱交換装置として、以下の特許文献に記載の装置が知られている。なお、特許文献1と特許文献2との間、特許文献5と特許文献6との間、および、特許文献7と特許文献8との間には優先権主張による対応関係がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,980,132号
【特許文献2】特開昭52−50429号公報
【特許文献3】米国特許第5,341,871号
【特許文献4】米国特許第5,474,121号
【特許文献5】米国特許第6,682,319号
【特許文献6】特開2002−205558号公報
【特許文献7】米国特許第7,044,203号
【特許文献8】特開2004−108672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術では、熱交換器の厚さの違いのために、同じ種類の送風機組立体は、多様な車両の多種類の熱交換器に困難なく適用することはできなかった。
【0008】
本発明の目的は、汎用性の高い送風機組立体を含む熱交換装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、多数の種類の熱交換器に適用することができる送風機組立体を含む熱交換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0011】
本発明の熱交換装置(100)は、熱交換器(102)を備える。熱交換器は、垂直方向に積み重ねるように配置された複数のチューブを備えることができる。熱交換器は、複数のチューブの両端に対応して配置された2つのタンクを備えることができる。さらに、熱交換器は、複数のチューブの上側の端に配置された端板(120)を備えることができる。端板は、エンドプレートとも呼ばれる。熱交換器(102)は、互いに並行に配列された複数のチューブ、これら複数のチューブの長手方向の両端に設けられたタンク、および複数のチューブの配列方向の上端に設けられた端板(120)を有することができる。
【0012】
熱交換装置は、熱交換器を通過する空気の流れを生成するファン(130)を備える。熱交換装置は、ファンの軸に連結された電動のモータ(132)を備える。熱交換装置は、熱交換器に装着され、ファンによって生成される空気の流れを案内するシュラウド部材(128)を備える。このシュラウド部材は、さらに、その垂直壁(146)に、第1の係止部(140)と、第2の係止部(142)とを有する。係止部は、フックとも呼ばれる。第1の係止部と第2の係止部との一方は、熱交換器に装着される。第1の係止部は、第1の板状部分(154)を備える形態にて具体化することができる。第1の板状部分は、第1の板状部分と垂直壁との間に第1の隙間(B)を区画する。
【0013】
第2の係止部は、第2の板状部分(156)を備える形態にて具体化することができる。第2の板状部分は、第2の板状部分と垂直壁との間に第2の隙間(C)を区画する。第1の隙間(B)は、第2の隙間(C)より大きくなるように区画されている。熱交換器の端板(120)は、第1の板状部分(154)と第2の板状部分(156)との間に、または、第2の板状部分(156)と垂直壁(146)との間に保持される。
【0014】
この構成によると、シュラウド部材は、異なる厚さをもつ2種類の熱交換器を保持することができる。
【0015】
本発明の他の観点においては、第2の板状部分は、端板に向けて突出する第1の突出部分(152)を備える。この構成によると、シュラウド部材は、端板をより強固に保持することができる。
【0016】
本発明の他の観点においては、第2の板状部分は、第1の突出部分の近傍に存在する切欠部(158)を有する。この構成によると、第1の突出部分の近傍の第2の板状部分は、第2の板状部分の残部に対して、相対的に曲がることができる。そして、第1の突出部分の近傍の第2の板状部分は、第2の板状部分の曲げに起因する弾性によって端板を押すことができる。
【0017】
本発明のさらに他の観点において、垂直壁は、端板に向けて突出する第2の突出部分(148)を備える。この構成によると、シュラウド部材は端板をより強固に保持することができる。
【0018】
本発明のさらに他の観点において、垂直壁は、第2の突出部分の近傍に存在する切欠部(160)を有する。この構成によると、第2の突出部分の近傍の垂直壁は、垂直壁の残部に対して、相対的に曲がることができる。そして、第2の突出部分の近傍の垂直壁は、垂直壁の曲げに起因する弾性によって端板を押すことができる。
【0019】
なお、特許請求の範囲および上記手段の項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
この発明を適用可能な分野はこの明細書における開示によって明らかにされる。この発明の概要における説明と具体的な例示とは、具体的な説明を与える用途だけを意図したものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る熱交換装置の分解斜視図である。
【図2】図2は、第1実施形態における熱交換器の斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態における送風機組立体の斜視図である。
【図4】図4は、比較的薄いチューブ式ラジエータを保持している係止部と突出部とを示す熱交換装置の部分拡大斜視図である。
【図5】図5は、比較的厚いチューブ式ラジエータを保持している係止部と突出部とを示す熱交換装置の部分拡大斜視図である。
【図6】図6は、図5に図示した熱交換装置を送風機組立体が設けられた面から見た部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用の熱交換装置100の分解斜視図である。熱交換装置100は、熱交換器102と、この熱交換器102に装着された送風機組立体104とを備える。熱交換器102は、車両の図示されない熱源と熱交換する熱交換媒体が流通可能に構成されている。送風機組立体104は、ファンのシュラウド部材を含む。送風機組立体104は、ボルト106によって熱交換器102に固定されている。さらに、送風機組立体104は、噛み合わせによる結合部分108によって熱交換器102に固定されている。このような熱交換装置100は、車両の余剰熱を放出するために車両の前方の端部に設けられる。
【0024】
結合部分108は、送風機組立体104に設けられた結合片と、この結合片に噛み合い可能な熱交換器102に設けられた結合片とを有する。複数の結合部分108は、車両への搭載状態における熱交換装置の横方向の両端に分散して設けられている。熱交換装置100の横方向の一端に少なくともひとつの結合部分108が設けられている。熱交換装置100の他端にも少なくともひとつの結合部分108が設けられている。複数の結合部分108は、熱交換装置100の中央より下に配置されている。複数の結合部分108は、熱交換器102に対して送風機組立体104が正規の位置に位置付けられた状態において、それらの相対的な移動を、車両への搭載状態における左右方向に関して、さらには、正規の位置からさらに下方向に関して規制するように構成することができる。複数の結合部分108は、熱交換器102に対する送風機組立体104の移動を、正規の位置から上方向に関して許容するように構成することができる。
【0025】
送風機組立体104は、ボルト106が貫通して配置されるボルト穴を有する複数のステー部を備える。熱交換器102は、ボルト106を受け入れ、ボルト106がねじ込まれるボルト穴部118を備える。ボルト106、ステー部、およびボルト穴部118は、ボルト106による締付部を構成している。複数の締付部は、車両への搭載状態における熱交換装置の横方向の両端に分散して設けられている。熱交換装置100の横方向の一端に少なくともひとつの締付部が設けられている。熱交換装置100の他端にも少なくともひとつの締付部が設けられている。複数の締付部は、熱交換装置100の中央より上に配置されている。複数の締付部は、結合部分108よりも上に配置されている。
【0026】
図2は、第1実施形態における熱交換器102の斜視図である。熱交換器102は、車両の余剰熱を放出するためのラジエータである。熱交換器102は、第1タンク110と、第2タンク112とを有する。これら一対のタンク110、112は、入口タンク110、および出口タンク112とも呼ばれる。入口タンク110は、入口ポート114を備える。出口タンク112は、出口ポート116を備える。両方のタンク110、112は、結合部分108と、ボルト穴部118とを備える。熱交換器102は、さらに、熱交換器のコアによって提供される熱交換面122と、端板120、124とを備える。熱交換面122は、水平方向に延びるように配置され、かつ、垂直方向に交互に積層された、複数のチューブと複数のフィンとによって提供されている。複数のチューブは、互いに並行に配列されている。複数のチューブは、入口タンク110内の流体を導入し、出口タンク112に流体を流しだすように、これら入口タンク110と出口タンク112とに接続されている。複数のチューブの長手方向の両端にタンク110、112が設けられている。複数のフィンは、隣接するチューブの間に配置され、熱交換のための表面積を大きくするために貢献する。上側の端板120は、熱交換面122の上端に配置されている。端板120は、複数の前記チューブの配列方向、言い換えると積層方向の上端に設けられている。下側の端板124は、熱交換面122の下端に配置されている。端板120、124は、熱交換器102の上端の縁と、下端の縁とを規定している。熱交換器102は、搭載用の緩衝部材126を介して車両に搭載されている。緩衝部材126は、例えばゴム製のブッシュを備える。
【0027】
図3は、第1実施形態における送風機組立体の斜視図である。送風機組立体104は、ファン130と、電動のモータ132と、シュラウド部材128とを備える。ファン130は、熱交換器を通過する空気の流れを生成する。ファン130は、軸流ファンである。ファン130は、熱交換面122に面して配置される。モータ132は、固定子と回転子との間の隙間を軸方向に有するモータ、または上記隙間を径方向に有するモータのいずれかによって提供される。シュラウド部材128は、樹脂成型品である。シュラウド部材128は、ファン130とモータ132とを支持するファンブラケットでもある。シュラウド部材128は、熱交換器102に装着されている。シュラウド部材128は、ファン130によって生成される空気の流れを案内する。シュラウド部材128は、ほぼ四角形のフレーム134を有する。フレーム134は、円形の開口部136を区画形成している。さらに、フレーム134は、モータステー138を有する。モータ132は、モータステー138に装着されている。モータステー138は、開口部136のほぼ中央に位置付けられており、複数の放射状のスポーク部材144に支持されている。スポーク部材144は、フレーム134に接続されている。フレーム134は、ボルト106が貫通して配置されるボルト穴部118を有する。さらに、フレーム134は、結合部分108を有する。これらボルト穴部118と結合部分108とは、車両の横方向に対応する端部に配置されている。フレーム134は、その垂直方向の上側の端部に、垂直壁146を有する。垂直壁146は、熱交換器102の熱交換面122と平行に広がる板状の部材である。垂直壁146は、第1の係止部140と、第2の係止部142とを提供している。さらに、垂直壁146は、第2の突出部分148を提供している。なお、図3には第2の突出部分148は図示されていない。第2の突出部分148は、図4および図6に図示されている。第1の係止部140と第2の係止部142との一方は、熱交換器102に装着される。送風機組立体104は、モータ132への通電を制御することによりモータ132およびファン130を制御する制御装置150を有する。制御装置150は、スポーク部材144に支持されている。
【0028】
図4は、比較的薄いチューブ式ラジエータを保持している係止部と突出部とを示す熱交換装置の部分拡大斜視図である。図中には、図1から図3において環Aによって指示された部分の、熱交換器102側から見た形状が図示されている。図中には、第1の係止部140、第2の係止部142、第1の突出部分152、および第2の突出部分148が図示されている。図示されるように、送風機組立体104は、第1の係止部140と第1の突出部分152とを用いることによって、比較的薄いチューブ式ラジエータを保持している。
【0029】
熱交換器102の端板120は、ほぼU字型の断面形状を有している。端板120は、熱交換器102の端に向けて開いたブラケット型の断面を有するともいえる。端板120は、熱交換器102のコア部に隣接して設けられた底板を有する。端板120は、垂直に立ち上がった垂直部分120aを有する。この実施形態では、端板120は、2つの垂直部分120aを有する。垂直部分120aのひとつは、底板の2つの縁のうち、熱交換器102の前面側に位置する縁から立ち上がる前板である。垂直部分120aの他のひとつは、底板の2つの縁のうち、熱交換器102の後面側に位置する縁から立ち上がる後板である。この実施形態では、後板が、送風機組立体104と係合するための垂直部分120aを提供している。後板は、熱交換面122の延長上にほぼ平行に伸び出している。後板は、ほぼ一直線の縁を提供している。
【0030】
フレーム134の垂直壁146は、端板120の垂直部分120aと平行に配置されている。垂直壁146は、第1の係止部140、第2の係止部142、および第2の突出部分148を備える。この実施形態では、端板120の縁は、第1の係止部140と第2の係止部142との間に挟まれて拘束されている。第1の係止部140と第2の係止部142とは、互いにずれて配置されている。
【0031】
第1の係止部140と第2の係止部142とは、車両の横方向、言い換えると、熱交換装置100の幅方向に関して、互いに重複して位置することがないように、互いにずれて配置されている。また、第1の係止部140と第2の係止部142とは、車両の前後方向、言い換えると、熱交換装置100の厚さ方向に関して、異なる突出量を提供するように、互いにずれて配置されている。
【0032】
フレーム134の上辺には、複数の係止部群が設けられている。フレーム134の上辺には、2つの係止部群が、左右に対称に配置されている。ひとつの係止部群には、ひとつの第1の係止部140と、ひとつの第2の係止部142とが含まれる。2つの第1の係止部140は、フレーム134の上辺において左右対称に配置されている。さらに、2つの第2の係止部142も、フレーム134の上辺において左右対称に配置されている。
【0033】
より具体的には、第1の係止部140は第1の板状部分154を有する。第1の板状部分154は、そのひとつの平面(垂直壁146と対向する内側面)と、フレーム134の垂直壁146との間に、第1の隙間Bを区画している。第2の係止部142は第2の板状部分156を備える。第2の板状部分156は、そのひとつの平面(垂直壁146と対向する内側面)と、フレーム134の垂直壁146との間に、第2の隙間Cを区画している。隙間Bは、隙間Cより大きい。第1の板状部分154と第2の板状部分156とは、垂直壁146および垂直部分120aに対してほぼ平行となるように形成されている。この実施形態では、第1の係止部140と第2の係止部142とは、車両の前後方向に沿って切断した断面において、L字型の断面形状を有している。
【0034】
係止部140、142は、垂直部分120aにシュラウド部材128、すなわち送風機組立体104を引っ掛けた状態とするフックとしてのカギ型、もしくは逆L字型と呼びうる形状を有する。それらは、垂直壁146の上部から熱交換器102へ向けて延び出し、垂直部分120aの上に配置されるか、または載せられる支持片を有する。さらに、係止部140、142は、上記支持片の先端部から、垂直部分120aに沿って下方向へ延び出す脱落防止片を有する。この脱落防止片は、第1の板状部分154と第2の板状部分156とによって提供されている。脱落防止片は、それ自身と垂直壁146との間に垂直部分120aを位置付け、熱交換器102と送風機組立体104とが、熱交換器102の厚さ方向に離れることを阻止する。
【0035】
第2の板状部分156には、第1の突出部分152が設けられている。第1の突出部分152は、第2の板状部分156から、端板120の垂直部分120aに向けて突出している。第2の板状部分156は、対をなして設けられた第1の切欠部158を有する。これら第1の切欠部158は、第1の突出部分152の近傍に存在する。より具体的には、これらの第1の切欠部158は、第1の突出部分152の横方向の両側の周辺に設けられている。これらの第1の切欠部158は、第2の板状部分156の下側の先端縁に到達するように形成されている。
【0036】
より具体的には、これら第1の切欠部158は、第2の板状部分156のうち、第1の突出部分152が設けられた部位と、第2の板状部分156の残部とが、相対的に熱交換装置100の厚さ方向に容易に変形できるように形成されている。第1の切欠部158は、第2の板状部分156を厚さ方向に関して貫通しており、第2の板状部分156の下側の先端縁から上方向へ延びて、第1の突出部分152の両側に到達している。第1の突出部分152は、第1の板状部分154と第2の板状部分156との間に区画される厚さ方向の隙間を、狭めるとともに、その隙間を第2の板状部分156の弾性変形によってわずかに可変にする。
【0037】
したがって、送風機組立体104は、第1の突出部分152によって、端板120をより強固に保持することができる。この構成では、第2の板状部分156のうち、第1の突出部分152が設けられた部位は、曲がることができる。第2の板状部分156のその曲がった部位は、その部位の弾性によって端板120を押すことができる。
【0038】
図5は、比較的厚いチューブ式ラジエータを保持している係止部と突出部とを示す熱交換装置の部分拡大斜視図である。図中には、図1から図3において環Aによって指示された部分の、熱交換器102側から見た形状が図示されている。図中には、第1の係止部140、第2の係止部142、第1の突出部分152、および第2の突出部分148が図示されている。図示されるように、送風機組立体104は、第2の係止部142と第2の突出部分148とを用いることによって、比較的厚いチューブ式ラジエータを保持している。
【0039】
図6は、図5に図示した熱交換装置を送風機組立体が設けられた面から見た部分拡大斜視図である。図中には、図5の視点とは反対側から見た第2の突出部分148と第2の切欠部160とが図示されている。
【0040】
第2の突出部分148は、垂直壁146に設けられている。第2の突出部分148は、第2の切欠部160によって囲まれている。第2の切欠部160は、逆U字型と呼べる形状を有している。第2の切欠部160は、垂直壁146を貫通して形成されている。第2の切欠部160によって囲まれた垂直壁146の部位は、第2の突出部分148を提供している。第2の突出部分148は、垂直壁146の残部に対して突出するように、端板120に向けて曲げられている。第2の突出部分148は、垂直壁146の残部から第2の板状部分156に向けて突出している。
【0041】
したがって、送風機組立体104は、第2の突出部分148によって、端板120をより強固に保持することができる。垂直壁146のうち、第2の突出部分148が設けられた部位は、曲がることができる。垂直壁146の曲がった部位は、その部位の弾性によって端板120を押すことができる。
【0042】
この実施形態では、ひとつの係止部群には、ひとつの第1の係止部140と、ひとつの第2の係止部142と、ひとつの第1の突出部分152と、2つの第2の突出部分148とが含まれる。2つの第2の突出部分148は、第2の係止部142の左右両側に配置されている。ひとつの第2の突出部分148は、第1の係止部140と第2の係止部142との間に配置されている。
【0043】
この実施形態によると、第1の板状部分154と第2の板状部分156との間には、熱交換器102の端板120を保持する第1の保持スロットが形成される。さらに、第2の板状部分156と垂直壁146との間には、熱交換器102の端板120を保持する第2の保持スロットが形成される。これら第1の保持スロットと第2の保持スロットとは、熱交換器102の厚さ方向に関して、垂直壁146から異なる距離に位置している。熱交換装置においては、第1の保持スロットと第2の保持スロットとの一方だけが端板120を保持するために利用される。
【0044】
さらに、第1の保持スロットを区画する2つの部材(第1の板状部分154と第2の板状部分156)のいずれか一方には、第1の保持スロット内に向けて突出する第1の突出部分152を設けることができる。さらに、この第1の突出部分152が設けられた部材(第1の板状部分154と第2の板状部分156とのいずれか一方)は、第1の突出部分152が設けられていない部材より弾性変形しやすい形状に形成されている。この実施形態では、切欠部158により第2の板状部分156の一部だけが弾性変形が容易に形成されている。これにより、第1の保持スロットは、端板120をガタなく保持することができる。
【0045】
同様に、第2の保持スロットを区画する2つの部材(第2の板状部分156と垂直壁146)のいずれか一方には、第2の保持スロット内に向けて突出する第2の突出部分148を設けることができる。さらに、この第2の突出部分148が設けられた部材(第2の板状部分156と垂直壁146とのいずれか一方)は、第2の突出部分148が設けられていない部材より弾性変形しやすい形状に形成されている。この実施形態では、切欠部160により垂直壁146の一部だけが弾性変形が容易に形成されている。これにより、第2の保持スロットは、端板120をガタなく保持することができる。
【0046】
図4に図示された薄いチューブ式ラジエータと、図5および図6に図示された厚いチューブ式ラジエータとは、同じ幅のタンク110、112を有する。しかし、端板120とチューブの厚さの違いのために、図示された薄いチューブ式ラジエータと、厚いチューブ式ラジエータとは異なる。ここで、チューブの厚さは、扁平なチューブの幅に相当する。言い換えると、チューブの厚さは、車両の前後方向、または熱交換器102における通風方向に関するチューブの寸法である。従って、送風機組立体104は、異なる厚さを持つ少なくとも2種類の熱交換器を保持することができる。
【0047】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は本発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は本発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。
【0048】
構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に」、「連結され」、「接続され」、または「結合され」と記載されて表現されるとき、それは、他の構成要素または構成層に対して上に直接にあるか、直接に連結されているか、直接に接続されているか、または直接に結合されていることを意味しているか、または、他の介在要素または介在層が存在していることを意味している。反対に、構成要素または構成層が、他の構成要素または構成層に対して、「上に直接に」、「直接に連結され」、「直接に接続され」、または「直接に結合され」と記載されて表現されるとき、そこには他の介在要素または介在層が存在しないことを意味している。構成要素の間の関係を表現する他の用語も、同様に解釈されるべきである。例えば、「間に」と「間に直接に」との意味、および「隣接して」と「直接に隣接して」との意味である。ここでは、用語「および/または」は、関連付けて挙げられた複数の要素のうちのひとつまたは複数の組み合わせのいかなるものも、そしてすべてを含むものである。
【0049】
ここでは、様々な要素、部品、領域、層、および/または部分を記述するために、第1、第2、第3といった用語が用いられているが、それらの要素、部品、領域、層、および/または部分は、それらの用語によって限定的に解釈されるべきではない。これらの用語は、ひとつの要素、部品、領域、層、または部分を、他のそれらから区別するために単に使用されているにすぎない。第1、第2といった用語、および他の数的な用語は、明白に記載されている場合を除いて、特定の手順、または順序を示唆するものではない。したがって、例示された実施形態の開示の範囲内において、第1の要素、部品、領域、層、または部分は、第2の要素、部品、領域、層、または部分と名付けることもできる。
【0050】
「内」、「外」、「下」、「低」、「降」、「上」、「高」など空間における相対的な位置を表す用語は、図示された状態における、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する相対的な関係を説明するために、専ら説明と理解の容易化のために用いられたものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。空間における相対的な位置を表す用語は、図示された状態における配置方向に加えて、装置の使用または作動における他の異なる配置方向を包含するように意図されている。例えば、図中における装置がひっくり返して位置される場合、他の要素または特徴との関係で「下」または「低」といった用語で記述された要素または特徴は、当該他の要素または特徴との関係で「上」あるいは「高」といえる配置方向に位置付けられる。したがって、例示された用語「下」は、「上」と「下」との両方の配置方向を包含する用語として意図され、使用されている。なお、装置はさらに他の配置方向に配置することができる。例えば、90度回転させた配置方向、または他の配置方向である。かかる場合、空間における相対的な位置を表す用語は、それぞれの配置に従って適合的に解釈されることを意図して使用されている。
【0051】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0052】
100 熱交換装置、102 熱交換器、104 送風機組立体、106 ボルト、108 結合部分、110 入口タンク、112 出口タンク、114 入口ポート、116 出口ポート、118 ボルト穴部、120 端板、122 熱交換面、124 端板、126 緩衝部材、128 シュラウド部材、130 ファン、132 モータ、134 フレーム、136 開口部、138 モータステー、140 第1の係止部、142 第2の係止部、144 スポーク部材、146 垂直壁、148 第2の突出部分、150 制御装置、152 第1の突出部分、154 第1の板状部分、156 第2の板状部分、158 第1の切欠部、160 第2の切欠部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の熱交換装置(100)において、
並行に配列された複数のチューブ、これら複数のチューブの長手方向の両端に設けられたタンク、および複数の前記チューブの配列方向の上端に設けられた端板(120)を有する熱交換器(102)と、
前記熱交換器を通過する空気の流れを生成するファン(130)と、
前記ファンの軸に連結された電動のモータ(132)と、
前記熱交換器に装着され、前記ファンによって生成される空気の流れを案内するシュラウド部材(128)とを備え、
前記シュラウド部材は、その垂直壁(146)に、第1の係止部(140)と第2の係止部(142)とを備え、それら係止部の一方は前記熱交換器に装着されており、
前記第1係止部は、前記垂直壁との間に第1の隙間(B)を区画する第1の板状部分(154)を備え、
前記第2係止部は、前記垂直壁との間に第2の隙間(C)を区画する第2の板状部分(156)を備え、
前記第1の隙間(B)は、前記第2の隙間(C)より大きく区画されており、
前記端板(120)が、前記第1の板状部分(154)と前記第2の板状部分(156)との間、または、前記第2の板状部分(156)と前記垂直壁(146)との間に保持されていることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記第2の板状部分は、前記端板に向けて突出する第1の突出部分(152)を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第2の板状部分は、前記第1の突出部分の近傍に設けられた切欠部(158)を備えることを特徴とする請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記垂直壁は、前記端板に向けて突出する第2の突出部分(148)を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記垂直壁は、前記第2の突出部分の近傍に設けられた切欠部(160)を備えることを特徴とする請求項4に記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−225209(P2011−225209A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88574(P2011−88574)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(500164385)デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド (49)
【Fターム(参考)】