説明

車両用現在位置検出装置

【目的】 GPSにより推測航法の補正を行うようにした場合に、推測航法における相対方位センサ、距離センサそれぞれにメインセンサ、サブセンサを設けて切換使用する。
【構成】 距離センサ1、相対方位センサ2、相対軌跡演算部4、絶対軌跡演算部5による推測航法に対し、推測航法から求められる車両の位置、方位、車速の情報とGPS3から出力される車両の位置、方位、車速の情報により、カルマンフィルタ6にて、推測航法におけるオフセット誤差、距離係数誤差、絶対方位誤差、絶対位置誤差を求めて補正する。ここで、距離センサ1、相対方位センサ2として車輪センサをメインにし、車速センサ、ステアリングセンサをそれぞれのサブセンサとして切換使用する。その場合に、車輪センサからの信号により得られるデータを基に、車速センサの距離係数、ステアリングセンサのセンタ値を求める。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の方位および移動距離により車両の現在位置を検出する車両用現在位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車載用ナビゲーション装置においては、車両の方位変化量を検出する相対方位センサ(ジャイロ、ステアリングセンサ、車輪センサ等)と、車両の速度(距離)を検出する距離センサ(車速センサ、車輪センサ等)の出力から、車両の位置・方位・車速等を検出する推測航法が用いられている。
【0003】この推測航法の出力(位置・方位・車速等)には、センサの誤差が含まれるため、誤差が生じる。特に、位置・方位は積分的に求められるため、誤差が徐々に増大してしまう。これに対し、GPSは、絶対的な位置・方位・車速を求めることができるため、GPSが測位した場合に推測航法の出力をGPSの出力に合わせることにより補正が可能である。例えば、推測航法で得られた位置をマップマッチングにより道路地図上の道路位置に位置合わせした時の位置と、GPSで得られた位置との差が所定値より大きくなった時に、道路地図上の位置をGPSで得られた位置に修正するようにすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、推測航法で求められる位置については、GPSの出力により補正することはできるが、センサの補正はできない。このため、GPS非受信時においてセンサ出力の誤差により推測航法の出力精度が悪いという問題がある。本発明は、センサ出力の誤差を修正して現在位置を求めるようにすることを第1の目的とする。
【0005】本発明者等は、上記目的を達成するため、推測航法から求められる車両の方位、速度に関する情報と、GPSから出力される車両の方位、車両の速度に関する情報とのそれぞれの差に基づいて、センサ誤差量を求め、センサ出力の誤差修正を行うものを考えた。このものの詳細については後述する。しかしながら、相対方位センサとして、左右の車輪の車輪センサをメインのセンサとして車両の方位、移動距離を求めるようにした場合、車輪センサは車両の走行速度が低いと精度上問題があり、このため他のサブセンサとの切換使用が考えられる。この場合、相対方位センサとしてはステアリングセンサが、また距離センサとしては車速センサが考えられる。
【0006】このような場合に、それぞれのサブセンサに対してもメインセンサと特性を合わせる必要があり、その場合にサブセンサに対する誤差量の演算を独自に行っていたのではそれに対する演算量が多くなる。そこで、本発明は、相対方位センサ及び/又は距離センサにメインセンサとサブセンサを設けて切換使用する場合のサブセンサの誤差量演算を容易に行うようにすることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、車両の方位変化量に応じた信号を出力する相対方位センサ(2)と、車両の移動距離を検出する移動距離検出手段(1および103)と、前記相対方位センサからの信号に基づき、オフセット補正量によりオフセット補正して方位変化量を求めるとともにこの方位変化量により車両の方位を特定し、この車両の方位と前記距離検出手段にて検出した車両の移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段(4,5およびそれに対する演算処理)とから構成される推測航法手段(1,2,4,5およびそれに対する演算処理)と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の方位に関する情報を出力するGPS(3)と、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差に基づいて、オフセット誤差を推定する推定手段(6およびそれに対する401〜408,410,411の処理)と、この推定手段にて推定したオフセット誤差により前記オフセット補正量を修正する修正手段(409)とを備え、前記相対方位センサは、車両の方位変化量に応じた信号を出力する第1、第2のセンサを有し、それぞれのセンサは車両の方位に関する異なる物理量を検出するものであって、前記位置検出手段は、前記第1のセンサからの信号により求められる方位変化量と前記第2のセンサからの信号により求められる方位変化量を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記第1の方位センサからの信号により求められる方位変化量に対し前記オフセット補正して得られた方位変化量と前記第2のセンサからの信号により求められる方位変化量とが一致するように、前記第2のセンサに対するオフセット補正量を設定する設定手段(501〜506)を有することを特徴としている。
【0008】請求項2に記載の発明においては、車両の方位変化量に応じた信号を出力する相対方位センサ(2)と、車両の移動距離を検出する移動距離検出手段(1および103)と、前記相対方位センサからの信号に基づき、オフセット補正量によりオフセット補正して方位変化量を求めるとともにこの方位変化量により車両の方位を特定し、この車両の方位と前記距離検出手段にて検出した車両の移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段(4,5およびそれに対する演算処理)とから構成される推測航法手段(1,2,4,5およびそれに対する演算処理)と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の方位に関する情報を出力するGPS(3)と、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差に基づいて、オフセット誤差を推定する推定手段(6およびそれに対する401〜408,410,411の処理)と、この推定手段にて推定したオフセット誤差により前記オフセット補正量を修正する修正手段(409)とを備え、前記相対方位センサは、車両の左右輪の回転に応じた信号を出力する車輪センサと車両のステアリング操作量に応じた信号を出力するステアリングセンサにより構成されるものであって、前記位置検出手段は、前記車輪センサからの信号により求められる方位変化量と前記ステアリングセンサにより求められる方位変化量を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記車輪センサからの信号により求められる方位変化量に対し前記オフセット補正して得られた方位変化量を基に、前記ステアリングセンサに対するステアリング・センタ値を設定する設定手段(501〜506)を有して、ステアリング・センタ補正した値にて前記ステアリングセンサによる方位変化量を求めるものであることを特徴としている。
【0009】ここで、上記車両の方位に関する情報とは、方位そのものに限らず、方位に関係する他の情報も含む概念であり、後述するように方位と相関のある絶対位置等も含まれるものである。請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記推定手段は、オフセット誤差および車両の方位誤差を状態量X(t)とし、この誤差の時間的変化を与えるプロセス行列φおよび信号生成過程で発生する雑音ωにより、状態量X(t+1)をφ・X(t)+ωにて関係付ける信号生成過程と、状態量X(t)と観測値Y(t)とを、観測行列Hおよび観測過程で発生する雑音vにより、観測値Y(t)をH・X(t)+vにて関係付ける観測過程を形成するモデルを基に、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差により、上記観測値Y(t)を演算するとともに、その演算値を基に上記モデルから状態量X(t)を演算する状態量演算手段を有することを特徴としている。
【0010】請求項4に記載の発明においては、車両の方位を検出する方位検出手段(2,101,102)と、車両の走行速度に応じた信号を出力する距離センサ(1)と、前記距離センサからの信号により距離係数を乗じて車両の移動距離を求め、前記方位検出手段にて検出した車両の方位と前記移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段(4,5およびそれに対する演算処理)と、から構成される推測航法手段(1,2,4,5およびそれに対する演算処理)と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の速度に関する情報を出力するGPS(3)と、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差に基づいて、距離係数誤差を推定する推定手段(6およびそれに対する401〜408,410,411の処理)と、この推定手段にて推定した距離係数誤差により前記距離係数を修正する修正手段(409)とを備え、前記距離センサは、車両の走行速度に応じた信号を出力する第1、第2のセンサを有し、それぞれのセンサは車両の走行速度に関する異なる物理量を検出するものであって、前記位置検出手段は、前記第1のセンサからの信号により求められる車両の移動距離と前記第2のセンサにより求められる車両の移動距離を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記第1のセンサからの信号に対し前記修正された距離係数を乗じて得られる移動距離と第2のセンサからの信号により求められる移動距離が一致するように前記第2のセンサに対する距離係数を設定する設定手段(601〜605)を有することを特徴としている。
【0011】請求項5に記載の発明においては、車両の方位を検出する方位検出手段(2,101,102)と、車両の走行速度に応じた信号を出力する距離センサ(1)と、前記距離センサからの信号により距離係数を乗じて車両の移動距離を求め、前記方位検出手段にて検出した車両の方位と前記移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段(4,5およびそれに対する演算処理)と、から構成される推測航法手段(1,2,4,5およびそれに対する演算処理)と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の速度に関する情報を出力するGPS(3)と、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差に基づいて、距離係数誤差を推定する推定手段(6およびそれに対する401〜408,410,411の処理)と、この推定手段にて推定した距離係数誤差により前記距離係数を修正する修正手段(409)とを備え、前記距離センサは、車輪の回転に応じた信号を出力する車輪センサと車両の走行速度に応じた車速パルスを発生する車速センサにより構成されるものであって、前記位置検出手段は、前記車輪センサからの信号により求められる車両の移動距離と前記車速センサにより求められる車両の移動距離を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記車輪センサからの信号に対し前記修正された距離係数を乗じて得られる移動距離と車速センサからの車速パルス数による移動距離が一致するように車速センサに対する距離係数を設定する設定手段(601〜605)を有することを特徴としている。
【0012】ここで、上記車両の速度に関する情報とは、速度そのものに限らず、速度に関係する他の情報も含む概念であり、後述するように速度と相関のある絶対位置等も含まれるものである。請求項6に記載の発明では、請求項4又は5に記載の発明において、前記推定手段は、距離係数誤差を状態量X(t)とし、この誤差の時間的変化を与えるプロセス行列φおよび信号生成過程で発生する雑音ωにより、状態量X(t+1)をφ・X(t)+ωにて関係付ける信号生成過程と、状態量X(t)と観測値Y(t)とを、観測行列Hおよび観測過程で発生する雑音vにより、観測値Y(t)をH・X(t)+vにて関係付ける観測過程を形成するモデルを基に、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差により、上記観測値Y(t)を演算するとともに、その演算値を基に上記モデルから状態量X(t)を演算する状態量演算手段を有することを特徴としている。
【0013】なお、上記各手段のカッコ内の符号は、後述する実施例記載の具体的手段との対応関係を示すものである。また、後述するフローチャート内の各ステップはそれぞれの機能を実現する機能実現手段として構成するものである。
【0014】
【発明の作用効果】請求項1〜3に記載の発明によれば、推測航法から求められる車両の方位に関する情報と、GPSから出力される車両の方位に関する情報とのそれぞれの差に基づいて、オフセット誤差を求め、相対方位センサのオフセット補正行うようにしているから、相対方位センサに対するセンサ出力の誤差修正を行うことができる。
【0015】さらに、この場合に相対方位センサとして、第1、第2のセンサ(請求項2においては左右の車輪の車輪センサとステアリングセンサ)を用い、第1のセンサからの信号により求められる方位変化量に対しオフセット補正して得られた方位変化量と、第2のセンサから求められる方位変化量とが一致するように、第2のセンサに対するオフセット補正量を設定するようにしていから、第2のセンサのオフセット補正量を容易に求めることができる。
【0016】請求項4〜6に記載の発明によれば、推測航法から求められる車両の速度に関する情報と、GPSから出力される車両の速度に関する情報とのそれぞれの差に基づいて、距離係数誤差を求め、距離センサに対するセンサ出力の誤差修正を行うことができる。さらに、この場合に距離センサとして、第1、第2のセンサ(請求項5においては車輪センサと車速センサ)を用い、第1のセンサからの信号に対し修正された距離係数を乗じて得られる移動距離と第2のセンサから求められる移動距離が一致するように第2のセンサに対する距離係数を設定するようにしているから、第1のセンサに対する距離係数を第2のセンサに対する距離係数に合わせ込んで、それを容易に求めることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図に示す実施例について説明する。この実施例は、推測航法とGPSとの複合化を図るため、カルマンフィルタを用いている。このカルマンフィルタの概要について説明する。このカルマンフィルタにおいては、図9に示すように、信号生成過程と観測過程に分けられる。図において、線形システム(φ)があり、そのシステムの状態X(t)に対して、観測行列Hで関係付けられるX(t)の一部が観測できる場合に、フィルタはX(t)の最適な推定値を与える。ここで、ωは信号生成過程にて発生する雑音であり、vは観測過程にて発生する雑音である。このフィルタの入力はY(t)であり、出力はX(t)の最適推定値である。
【0018】時刻tまでの情報を用いた状態Xの最適推定値、すなわち状態量X(t|t)は、数1により求められる。
【0019】
【数1】X(t|t)=X(t|t−1)+K(t){Y(t)−HX(t|t−1)}
ここで、X(t|t−1)は事前推定値、K(t)はカルマンゲインであり、それぞれ数2、数3により表される。
【0020】
【数2】X(t|t−1)=φX(t−1|t−1)
【0021】
【数3】K(t)=P(t|t−1)HT (HP(t|t−1)HT +V)-1ここで、Pは状態量Xの誤差共分散であり、P(t|t−1)は誤差共分散の予測値、P(t−1|t−1)は誤差共分散であり、それぞれ数4、数5により表される。
【0022】
【数4】
P(t|t−1)=φP(t−1|t−1)φT +W
【0023】
【数5】P(t−1|t−1)=(I−K(t−1)H)P(t−1|t−2)
なお、Vは観測過程で発生する雑音vの分散、Wは信号過程で発生する雑音ωの分散である。また、A(i|j)は時刻jまでの情報に基づく時刻iでのAの推定値を表す。なお、添字のT は転置行列を意味し、-1は逆行列を意味する。Iは単位行列である。
【0024】さらに、VとWは平均0の白色ガウス雑音であり、互いに無相関である。上記のようなカルマンフィルタにおいて、状態量Xと誤差共分散Pの初期値に適当な誤差を与えてやり、新しい観測が行われる度に以上の計算を繰り返し行うことにより、状態量Xの精度が向上する。このようなカルマンフィルタを推測航法へ適用したのが本実施例である。
【0025】まず、上記の信号生成過程の定義について説明する。推測航法でのカルマンフィルタは、推測航法の誤差の補正を目的とするので、状態量Xは以下の5つの誤差値を定義する。この誤差値の時間的な変化を与えるものがプロセス行列φである。
■オフセット誤差(εG)
【0026】
【数6】εGt =εGt-1 +ω0確定的な変化はなく、前回の誤差にノイズが付加される。
■絶対方位誤差(εA)
【0027】
【数7】εAt =T×εGt-1 +εAt-1 +ω1前回の誤差に、オフセット誤差に前回からの経過時間をかけて求める方位誤差とノイズが付加される。
■距離係数誤差(εK)
【0028】
【数8】εKt =εKt-1 +ω2確定的な変化はなく、前回の誤差にノイズが付加される。
■絶対位置北方向誤差(εY)
【0029】
【数9】εYt =sin(AT +εAt-1 +εGt-1 ×T/2)×L×(1+εKt-1 )−sin(AT )×L+εYt-1前回の誤差に方位誤差・距離誤差によって生じる誤差が付加される。
■絶対位置東方向誤差(εX)
【0030】
【数10】εXt =cos(AT +εAt-1 +εGt-1 ×T/2)×L×(1+εKt-1 )−cos(AT )×L+εXt-1前回の誤差に方位誤差・距離誤差によって生じる誤差が付加される。上記の定義において、AT は真の絶対方位、Lは前回からの移動距離、Tは前回からの経過時間である。
【0031】上記の各式を状態量で偏微分し線形化すると信号生成過程は以下のように定義される。
【0032】
【数11】


【0033】上記Aは、絶対方位AT +εAt-1 +εGt-1 ×T/2を意味する。この値は真の絶対方位AT にセンサ誤差が加わったものであり、後述するように、方位変化量から求められる絶対方位Aとする。また、ω0 は、オフセット雑音(温度ドリフト等によるオフセットの変動分)、ω1 は絶対方位雑音(ジャイロのゲイン的な誤差)、ω2 は距離係数雑音(経年変化)を意味する。
【0034】次に、上記観測過程の定義について説明する。観測値は推測航法の出力と、GPSの出力の差より求める。それぞれの出力には誤差が含まれるため、観測値において、推測航法の誤差とGPSの誤差の和が得られる。この観測値Yと状態量Xを関係付け、数12のように定義される。
【0035】
【数12】


【0036】但し、観測過程で発生する雑音vはGPSの雑音であり、数13のように定義される。
【0037】
【数13】


【0038】以上の定義を基に、カルマンフィルタを用いた推測航法について説明する。図1に本実施例における概略構成を示す。この図に示すように、距離センサ1、相対方位センサ2からの信号を基に、相対軌跡演算部4、絶対位置演算部5での演算が行われ、それらの演算(推測航法演算)により、車速、相対軌跡、絶対位置、絶対方位が出力される。また、GPS3からは位置・方位・車速の出力が得られる。カルマンフィルタ6は、推測航法により得られた車速、絶対位置・絶対方位の情報およびGPS3からの車速、位置・方位の情報を基に、距離センサ1の距離係数補正、相対方位センサ2のオフセット補正、絶対位置補正、絶対方位補正を行う。なお、本実施例においては、距離センサ1として車速センサおよび左右輪の車輪センサを用い、相対方位センサ2として左右輪の車輪センサおよびステアリングセンサを用いている。
【0039】このような車載用ナビゲーション装置へカルマンフィルタを適用すると、距離センサ1の距離係数補正、相対方位センサ2のオフセット補正、および絶対方位補正、絶対位置補正により、数2に示す、事前推定X(t|t−1)は0となる。従って、数1は数14に示すようになる。
【0040】
【数14】X(t|t)=K(t)Y(t)
従って、上記信号生成過程にて定義された5つの誤差値による状態量Xは、数3〜数5によって求められるカルマンゲインK(t)および観測値Y(t)により求められる。
【0041】ここで、数3における誤差共分散Pは、数15により定義される。
【0042】
【数15】


【0043】この誤差共分散PにおけるσGG2 はオフセット誤差の大きさの見積もりを表し、σAA 2は絶対方位誤差の大きさの見積もりを表し、σKK2 は距離係数誤差の大きさの見積もりを表し、σYY2 は絶対位置北方向誤差の大きさの見積もりを表し、σXX2 は絶対位置東方向誤差の大きさの見積もりを表す。それら以外のσij2はi行とj列の相互相関値を表す。例えばσAG 2はオフセット誤差と絶対方位誤差の相互相関値を表す。
【0044】この誤差共分散Pの値は、数4の計算によって更新される。なお、初期値においては、σGG2 、σAA 2、σKK2 、σYY2 、σXX2 の各値を誤差が最大となる値に設定しておき、また相互相関値については全て0に設定しておく。また、数3におけるHは数12で示される行列を用い、Vについては数13に示されるものを用いる。また、数4におけるWは数11に示されるωの分散を用いる。
【0045】観測過程における観測値Yとしては、数12に示すように、εADRt −εAGPSt、εKDRt −εKGPSt、εYDRt −εYGPSt、εXDRt −εXGPStを用いている。ここで、添字のDRt は時刻tにおいて距離センサ1、相対方位センサ2からの信号に基づく推測航法にて求められた値を意味し、GPStは時刻tにおいてGPS3から出力される値を意味する。
【0046】εADRt −εAGPStは、推測航法により求められた絶対方位とGPS3から出力される方位の差、すなわち推測航法により求められた絶対方位には真の絶対方位とその誤差εADRt が含まれており、またGPS3から出力される方位には真の絶対方位とその誤差εAGPStが含まれているため、それらの差を取ることによりεADRt −εAGPStが得られる。
【0047】同様に、εKDRt −εKGPStは、推測航法により求められる速度とGPS3から出力される速度の差から求まる距離係数誤差であり、具体的には、(推測航法による速度−GPSによる速度)/(推測航法による速度)により求められる。また、εYDRt −εYGPStは、推測航法により求められる絶対位置のY成分とGPS3から出力される位置のY成分の誤差の差であり、εXDRt −εXGPStは、推測航法により求められる絶対位置のX成分とGPS3から出力される位置のX成分の誤差の差である。
【0048】また、数13に示す、観測過程で発生する雑音vはGPS3の雑音であり、以下のようにして求められる。GPS3における擬似距離の計測誤差(UERE)とHDOP(Horizontal Dilution of Presision)の関係により測位精度が、UERE×HDOPで求められ、この測位精度を2乗することにより、v2t、v3tが求められる。また、ドップラー周波数の計測誤差とHDOPの関係より速度精度が、ドップラー周波数の計測誤差×HDOPで求められ、この速度精度/車速にて距離係数計測誤差が求められ、これを2乗することによりv1tが求められる。さらに、車両の速度Vc と速度精度から方位精度がtan-1(速度精度/Vc)で求められ、この方位精度を2乗するこによりv0tが求められる。
【0049】従って、観測過程におけるεADRt −εAGPSt、εKDRt −εKGPSt、εYDRt −εYGPSt、εXDRt −εXGPStおよび上記雑音Vを入力とし、数3〜数5および数1を実行することにより、信号生成過程にて定義された5つの誤差値による状態量Xが求められ、これらにより距離センサ1の距離係数補正、相対方位センサ2のオフセット補正、絶対位置補正、絶対方位補正が行われる。
【0050】上記の相対軌跡演算、絶対位置演算、カルマンフィルタはマイクロコンピュータによる演算処理にて行われるため、以下これについて説明する。図2に推測航法のメインルーチンの演算処理を示す。ステップ100にて方位変化量・移動距離の演算を行う。この処理の詳細を図3に示す。まず、ステップ101にて相対方位センサ2の方位変化量を求める。ここで、相対方位センサ2としては左右輪の車輪センサとステアリングセンサを用いているため、左右輪の車輪センサからの信号に基づきそのセンサ信号の平均により車速を求め、その車速が所定値以下の低速時にはステリングセンサの出力および前回からの移動距離により方位変化量を求め、車速が所定値より大きい時には左右の車輪センサから方位変化量を求める。この左右の車輪センサからの方位変化量の求め方については公知のように、アッカーマン・ジャント理論に基づき内輪と外輪の移動距離により回転半径を求め、これとホイールベースにより方位変化量を求める。
【0051】次のステップ102にて、その方位変化量から、オフセット補正量(この補正量については後述する)に前回からの移動距離Lを掛けたものを引き、方位変化量のオフセット補正を行う。次のステップ103では、上記したように左右の車輪センサからの求まる車速により車速が所定値より大きい時には、車輪センサからの車輪パルス数(左右の車輪センサの平均)に距離係数(この距離係数についても後述する)を掛けて移動距離を算出する。また、車速が所定値以下の時の低速時には、車速センサからの車速パルスに距離係数を掛けて移動距離を算出する。この車速センサからの車速パルスに対する距離係数は後述する図8に示す処理にて車輪センサからの車輪パルスに対する距離係数を基に算出される。この点については後述する。
【0052】このステップ100の次に、ステップ200の相対軌跡演算処理を行う。この処理の詳細を図4に示す。まず、ステップ201にて、方位変化量(ステップ102にて求めたもの)を基に相対方位を更新する。この更新した相対方位およびステップ103にて求めた移動距離によりステップ202にて相対位置座標の更新を行う。この更新は、移動距離に対する相対方位のX,Y成分をそれまでの相対位置座標に加算することにより行う。この相対位置座標は相対軌跡を求めるたに行うもので、その相対軌跡と道路形状との関係により、いわゆるマップマッチングが行われる。
【0053】このステップ200の次に、ステップ300の絶対方位・絶対位置の演算処理を行う。この処理の詳細を図5に示す。まず、ステップ301にて、方位変化量(ステップ102にて求めたもの)を基に絶対方位を更新する。この更新した絶対方位およびステップ103にて求めた移動距離によりステップ202にて絶対位置座標の更新を行う。このステップ200の処理にて更新された絶対方位Aと絶対位置は後述するGPSとの複合化処理にて利用される。
【0054】このGPSとの複合化処理を行うステップ400の詳細を図6に示す。まず、ステップ401にて前回の測位又は予測計算からT1 秒経過したか否かを判定する。これはGPS3の測位が行われる毎にステップ403〜409にて推測航法の誤差を補正する処理を行うが、GPS3の測位ができない場合には誤差が大きくなるため、それに対応した誤差の予測計算をステップ410、411にて定期的に行うために設けられている。
【0055】ステップ401の判定がNOになると、ステップ402にてGPS3からの測位データがあるか否かを行う。GPS3からの測位データがあると、ステップ403以降のカルマンフィルタの演算処理に進む。まず、ステップ403にて観測値Yの計算を行う。これは、GPS3から出力される速度、位置、方位データおよび推測航法におけるステップ300の処理にて求めた絶対方位、絶対位置および図示しない速度演算処理により距離センサ1からのパルス信号に基づく車両の速度とから、数12に示した、εADRt −εAGPSt、εKDRt −εKGPSt、εYDRt −εYGPSt、εXDRt −εXGPStを計算するとともに、数13に示す、観測過程で発生する雑音vをGPS3の測位データ等を基に計算する。
【0056】ステップ404では、プロセス行列φの計算を行う。これは、前回のプロセス行列の計算時点からの移動距離L、経過時間T(これらは図示しない計測処理により別途求められている)およびステップ301にて求めた絶対方位Aにより、数11に示すプロセス行列φを求める。このようにして計算した観測値Yおよびプロセス行列φを基に、上述した数3〜数5の計算を行って数14に示す状態量Xを求める。すなわち、ステップ405では、数3により誤差共分散Pの予測計算を行う。ステップ406では、数4によりカルマンゲインKの計算を行う。ステップ407では、数5により誤差共分散Pの計算を行う。この後、カルマンゲインKおよび観測値Yに基づき、ステップ408にて、数14の計算により状態量Xを求める。この状態量Xは、数11の左辺に示すように、オフセット誤差(εG)、絶対方位誤差(εA)、距離係数誤差(εK)、絶対位置北方向誤差(εY)、絶対位置東方向誤差(εX)を表している。
【0057】これらの誤差により、ステップ409にて、図に示す計算にて推測航法誤差の修正、すなわち相対方位センサ2のオフセット補正、距離センサ1の距離係数補正、絶対方位補正、絶対位置補正が行われる。相対方位センサ2のオフセット補正により、ステップ102にて用いられるオフセット補正量が修正され、距離センサ1の距離係数補正により、ステップ103にて用いられる距離係数が修正され、絶対方位補正により、ステップ301にて用いられる絶対方位Aが修正され、絶対位置補正によりステップ302にて用いられる絶対位置が修正される。
【0058】上記の処理を、GPS3からの測位データが有る毎に繰り返し行い、上記誤差修正を行って、より正確なる推測航法データを得ることができる。なお、上記相対方位センサ2としては左右の車輪センサとスアリングセンサを車速に応じて切換使用している。従って、左右の車輪センサから求められる方位変化量とステアリングセンサから得られる方位変化量を等しくする必要がある。そこで、このような方位変化量の合わせ込みを行うため、図7に示すような処理を行う。
【0059】まず、ステップ501にて走行距離、ステアリング・カウンタ積算数、車輪方位変化量をクリアする初期設定を行った後、ステップ502にて車速が所定値以上で車輪センサの利用が可能かを判定する。この判定がYESになると、ステップ503に進み、走行距離、ステアリング・カウンタ、車輪方位変化量を積算する。この車輪方位変化量は、ステップ102にてオセット補正されたものを用いる。この積算をステップ504により規定距離以上の走行が判定されるまで、繰り返し行う。ステップ504の判定がYESになると、ステップ505にて車輪方位変化量は一定値以下か否かを判定する。この判定がYESの場合には、車輪方位変化量は小さい場合なので直線走行とみなし、ステップ506にてステアリング・カウンタ値の単純平均、すなわちステアリング・カウンタ積算値/積算回数によりステアリング・センタ値を求める。この求めたステアリング・センタ値を基に、ステップ101においてステアリングセンサによる方位変化量を求める場合には、ステアリング・センタ値により補正して方位変化量を求める。
【0060】また、上記距離センサ1としては左右の車輪センサと車速センサを車速に応じて切換使用している。従って、左右の車輪センサから求められる移動距離と車速センサから求められる移動距離を等しくする必要がある。そこで、このような移動距離の合わせ込みを行うため、図8に示すような処理を行う。まず、ステップ601にて走行距離、車速パルス数をクリアする初期設定を行った後、ステップ602にて車速が所定値以上で車輪センサの利用が可能かを判定する。この判定がYESになると、ステップ603に進み、車輪走行距離、車速パルス数を積算する。この車輪走行距離は、ステップ409にて補正された距離係数をもとに求められるものを用いる。この積算をステップ604により規定距離以上の走行が判定されるまで、繰り返し行う。ステップ604の判定がYESになると、ステップ605にて車速センサの距離係数補正を行う。
【0061】すなわち、ステップ602より604の繰り返しにより規定距離走行した時、車輪走行距離は、左右の車輪センサのパルス数の平均×車輪センサの距離係数で得られる。この値と、車速パルス数×車速センサの距離係数が等しくなるようにすれば、左右の車輪センサと車速センサを切換えても上記したカルマンフィルタによる補正制御が正しく行われる。従って、上記両値が等しくなるように車速センサの距離係数が左右の車輪センサのパルス数の平均×車輪センサの距離係数×/車速パルス数により求められる。
【0062】従って、車輪センサをメインとし、ステアリングセンサ、車速センサをサブセンサとした場合に、それぞれのサブセンサに対してカルマンフィルタが適合するような個々の演算処理はなくなり、センサが切り換わった時でも、それまでと同様の処理を行うことができる。なお、上記実施例ではカルマンフィルタを用いた誤差修正を示したが、最小2乗法による制御あるいはフィードバック制御を用いてセンサ等の誤差修正を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】推測航法のメインルーチンの演算処理を示すフローチャートである。
【図3】方位変化量・移動距離の演算処理を示すフローチャートである。
【図4】相対軌跡の演算処理を示すフローチャートである。
【図5】絶対方位・絶対位置の演算処理を示すフローチャートである。
【図6】GPSとの複合化処理を示すフローチャートである。
【図7】ステアリング・センタの設定処理を示すフローチャートである。
【図8】車速センサの距離係数の設定処理を示すフローチャートである。
【図9】カルマンフィルタのモデルを示す構成図である。
【符号の説明】
1 距離センサ
2 相対方位センサ
3 GPS
4 相対軌跡演算部
5 絶対位置演算部
6 カルマンフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の方位変化量に応じた信号を出力する相対方位センサと、車両の移動距離を検出する移動距離検出手段と、前記相対方位センサからの信号に基づき、オフセット補正量によりオフセット補正して方位変化量を求めるとともにこの方位変化量により車両の方位を特定し、この車両の方位と前記距離検出手段にて検出した車両の移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段とから構成される推測航法手段と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の方位に関する情報を出力するGPSと、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差に基づいて、オフセット誤差を推定する推定手段と、この推定手段にて推定したオフセット誤差により前記オフセット補正量を修正する修正手段とを備え、前記相対方位センサは、車両の方位変化量に応じた信号を出力する第1、第2のセンサを有し、それぞれのセンサは車両の方位に関する異なる物理量を検出するものであって、前記位置検出手段は、前記第1のセンサからの信号により求められる方位変化量と前記第2のセンサからの信号により求められる方位変化量を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記第1の方位センサからの信号により求められる方位変化量に対し前記オフセット補正して得られた方位変化量と前記第2のセンサからの信号により求められる方位変化量とが一致するように、前記第2のセンサに対するオフセット補正量を設定する設定手段を有することを特徴とする車両用現在位置検出装置。
【請求項2】 車両の方位変化量に応じた信号を出力する相対方位センサと、車両の移動距離を検出する移動距離検出手段と、前記相対方位センサからの信号に基づき、オフセット補正量によりオフセット補正して方位変化量を求めるとともにこの方位変化量により車両の方位を特定し、この車両の方位と前記距離検出手段にて検出した車両の移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段とから構成される推測航法手段と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の方位に関する情報を出力するGPSと、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差に基づいて、オフセット誤差を推定する推定手段と、この推定手段にて推定したオフセット誤差により前記オフセット補正量を修正する修正手段とを備え、前記相対方位センサは、車両の左右輪の回転に応じた信号を出力する車輪センサと車両のステアリング操作量に応じた信号を出力するステアリングセンサにより構成されるものであって、前記位置検出手段は、前記車輪センサからの信号により求められる方位変化量と前記ステアリングセンサにより求められる方位変化量を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記車輪センサからの信号により求められる方位変化量に対し前記オフセット補正して得られた方位変化量を基に、前記ステアリングセンサに対するステアリング・センタ値を設定する設定手段を有して、ステアリング・センタ補正した値にて前記ステアリングセンサによる方位変化量を求めるものであることを特徴とする車両用現在位置検出装置。
【請求項3】 前記推定手段は、オフセット誤差および車両の方位誤差を状態量X(t)とし、この誤差の時間的変化を与えるプロセス行列φおよび信号生成過程で発生する雑音ωにより、状態量X(t+1)をφ・X(t)+ωにて関係付ける信号生成過程と、状態量X(t)と観測値Y(t)とを、観測行列Hおよび観測過程で発生する雑音vにより、観測値Y(t)をH・X(t)+vにて関係付ける観測過程を形成するモデルを基に、前記推測航法手段における車両の方位に関する情報と前記GPSから出力される車両の方位に関する情報との差により、上記観測値Y(t)を演算するとともに、その演算値を基に上記モデルから状態量X(t)を演算する状態量演算手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用現在位置検出装置。
【請求項4】 車両の方位を検出する方位検出手段と、車両の走行速度に応じた信号を出力する距離センサと、前記距離センサからの信号により距離係数を乗じて車両の移動距離を求め、前記方位検出手段にて検出した車両の方位と前記移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段と、から構成される推測航法手段と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の速度に関する情報を出力するGPSと、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差に基づいて、距離係数誤差を推定する推定手段と、この推定手段にて推定した距離係数誤差により前記距離係数を修正する修正手段とを備え、前記距離センサは、車両の走行速度に応じた信号を出力する第1、第2のセンサを有し、それぞれのセンサは車両の走行速度に関する異なる物理量を検出するものであって、前記位置検出手段は、前記第1のセンサからの信号により求められる車両の移動距離と前記第2のセンサにより求められる車両の移動距離を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記第1のセンサからの信号に対し前記修正された距離係数を乗じて得られる移動距離と第2のセンサからの信号により求められる移動距離が一致するように前記第2のセンサに対する距離係数を設定する設定手段を有することを特徴とする車両用現在位置検出装置。
【請求項5】 車両の方位を検出する方位検出手段と、車両の走行速度に応じた信号を出力する距離センサと、前記距離センサからの信号により距離係数を乗じて車両の移動距離を求め、前記方位検出手段にて検出した車両の方位と前記移動距離に基づいて車両の位置を検出する位置検出手段と、から構成される推測航法手段と、GPS衛星からの衛星電波を受信して車両の速度に関する情報を出力するGPSと、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差に基づいて、距離係数誤差を推定する推定手段と、この推定手段にて推定した距離係数誤差により前記距離係数を修正する修正手段とを備え、前記距離センサは、車輪の回転に応じた信号を出力する車輪センサと車両の走行速度に応じた車速パルスを発生する車速センサにより構成されるものであって、前記位置検出手段は、前記車輪センサからの信号により求められる車両の移動距離と前記車速センサにより求められる車両の移動距離を所定のタイミングで切換使用するとともに、前記車輪センサからの信号に対し前記修正された距離係数を乗じて得られる移動距離と車速センサからの車速パルス数による移動距離が一致するように車速センサに対する距離係数を設定する設定手段を有することを特徴とする車両用現在位置検出装置。
【請求項6】 前記推定手段は、距離係数誤差を状態量X(t)とし、この誤差の時間的変化を与えるプロセス行列φおよび信号生成過程で発生する雑音ωにより、状態量X(t+1)をφ・X(t)+ωにて関係付ける信号生成過程と、状態量X(t)と観測値Y(t)とを、観測行列Hおよび観測過程で発生する雑音vにより、観測値Y(t)をH・X(t)+vにて関係付ける観測過程を形成するモデルを基に、前記推測航法手段における車両の速度に関する情報と前記GPSから出力される車両の速度に関する情報との差により、上記観測値Y(t)を演算するとともに、その演算値を基に上記モデルから状態量X(t)を演算する状態量演算手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用現在位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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