説明

車両用空気調和装置

【課題】防水カバー等を用いることなく、空調ユニット(HVACユニット)の膨張弁カバーや上下分割ケースの合せ面等から車室内への浸水を防止することができる簡素な防水構造を備えた車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車室内に配設される空調ユニットの上下分割ケースの合せ面を跨ぐように、該ケースの外面側に上下に2分されている膨張弁カバー6,7が設けられ、該膨張弁カバー6,7内に膨張弁が配設可能されているとともに、該膨張弁カバー6,7内がトーボードに設けられている開口部を介してエンジンルームに貫通されている車両用空気調和装置において、膨張弁カバー6,7の上下合せ面に、内面側9が低くされ、外面側10が高くされた段差部11が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に配置される空調ユニット側に設けられている膨張弁が、エンジンルームと車室内とを仕切るトーボードに穿設されている開口部に臨んで配設されている車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車室内を空調する車両用空気調和装置において、従来から、車両のエンジンルームと車室内とを仕切っているトーボードに開口部を設け、該開口部に空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)側に設けられている膨張弁を臨ませて配設し、この膨張弁を介してエンジンルーム内に配設されている圧縮機、コンデンサ等の機器と車室内側に配設されている空調ユニット内のエバポレータとを冷媒配管により接続している車両用空気調和装置が知られている。
【0003】
このような車両用空気調和装置では、空調ユニットを構成する上下分割ケースの合せ面を跨ぐように膨張弁の外周側を覆う膨張弁カバーを設け、この膨張弁カバーをトーボードの開口部の周囲にダッシュ側パッキンを挟んで密着させて設置し、開口部を介してエンジンルーム側から車室内側にかかる水、例えば雨水や冠水した道路を走行している時に飛び跳ねた水などが浸入するのを防止しているが、膨張弁が配設されている膨張弁カバー内には、トーボードの開口部を介してエンジンルーム側から水が入り込むようになっている。従って、膨張弁が配設されている部分に膨張弁カバーや空調ユニットの上下分割ケースの合せ面が臨んでいると、該合せ面を伝って水が車室内に浸入してしまう可能性がある。
【0004】
そこで、膨張弁が配設されている部分にゴム製の防水カバーを装備し、車室内側への水の浸入を防止するようにしている。特許文献1には、膨張弁に接続される冷媒配管を挟持するとともに、パッキン材が一体に接着されている一対の分割部材からなる防水カバーによりトーボードの開口部を塞ぐようにした防水構造が開示されている。また、特許文献2には、膨張弁の外周を覆う上下ケースの合せ面を嵌合リブで互いに嵌合し、その前面をトーボードに前方パッキンを介して密接するとともに、室内側配管を通す後方開口部にリブを介して後方パッキンを設置し、車室内への浸水防止性と膨張弁の交換容易性とを両立させた車両用空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4075689号公報
【特許文献2】特開2007−118654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の如く、防水カバーやパッキン等を組み込んで車室内への浸水を防止するものでは、防水カバーやパッキン等を組み込まなければならないため、組立て性が悪化し、しかも部品点数が増加することから、構造が複雑化するとともに、コストアップ要因となる等の課題があった。空調ユニット(HVACユニット)は、内部にエバポレータが組み込まれ、ユニット内で発生したドレン水を車室外に排出するドレン排出口を備えているため、トーボードの開口部から膨張弁の配設部分に入り込んだ水が空調ユニット内に浸入しても問題はないが、空調ユニットを構成する上下分割ケースや膨張弁カバーの合せ面(嵌合面)を介して車室内に浸水しないようにすることが重要であり、かかる観点から防水構造の簡素化が望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、防水カバー等を用いることなく、空調ユニット(HVACユニット)の膨張弁カバーや上下分割ケースの合せ面等から車室内への浸水を防止することができる簡素な防水構造を備えた車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の車両用空気調和装置は、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明にかかる車両用空気調和装置は、車室内に配設される空調ユニットの上下分割ケースの合せ面を跨ぐように、その外面側に上下に2分されている膨張弁カバーが設けられ、該膨張弁カバー内に膨張弁が配設可能されているとともに、該膨張弁カバー内がトーボードに設けられている開口部を介してエンジンルームに貫通されている車両用空気調和装置において、前記膨張弁カバーの上下合せ面に、内面側が低くされ、外面側が高くされた段差部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、トーボードに設けられている開口部を介してエンジンルームに貫通されている膨張弁カバー内の上下合せ面に、内面側が低くされ、外面側が高くされた段差部が形成されているため、膨張弁が配設されている膨張弁カバー内にエンジンルーム側からトーボードの開口部を介して水が入り込んだ場合、この水が上下に2分されている膨張弁カバーの合せ面および上下分割ケースの合せ面を介して車室内へと浸入する可能性があるが、膨張弁カバーの上下合せ面に形成されている段差部により、該水が低位とされている内面側から高位とされている外面側へと段差部を乗り越えて浸水する事態を阻止することができる。従って、防水カバーを省略しても、水が上下膨張弁カバーおよび上下分割ケースの合せ面から外表面を伝い車室内側へと浸水する事態を防ぐことができ、防水構造の簡素化、部品削減によるコスト低減並びに組立ての容易化等を図ることができる。
【0010】
さらに、本発明の車両用空気調和装置は、上記の車両用空気調和装置において、前記段差部の低位面と高位面との間に、上下方向に延在し、毛細管現象により水が上昇しない程度の幅寸法とされた隙間が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、段差部の低位面と高位面との間に、上下方向に延在し、毛細管現象により水が上昇しない程度の幅寸法とされた隙間が設けられているため、膨張弁カバーの上下合せ面に浸入した水が段差部を毛細管現象によって乗り越え、上下合せ面から外表面を伝い車室内側へと浸水する事態をも阻止することができる。従って、段差部に隙間を形成するだけの簡素な構成により防水性能を一段と向上し、膨張弁カバーおよび上下分割ケースの合せ面から車室内側への水の浸入を確実に防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の車両用空気調和装置は、上記の車両用空気調和装置において、前記隙間内に浸入した水が前記上下分割ケースの内部側に流れるように、前記膨張弁カバーと上下分割ケースの間が仕切り無し構造とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、隙間内に浸入した水が上下分割ケースの内部側に流れるように、膨張弁カバーと上下分割ケースの間が仕切り無し構造とされているため、膨張弁カバーの上下合せ面から隙間内に浸入した水は、そのまま仕切り無しとされている膨張弁カバーと上下分割ケースの間を経て上下分割ケースの内部側に流れ、上下分割ケースの下部ケース側に設けられているドレン排出口より車室外へと排出される。従って、隙間内に浸入した水が溜まり込み、それが段差部を乗り越えて車室内側へと浸水する事態をも確実に阻止することができる。
【0014】
さらに、本発明の車両用空気調和装置は、上述のいずれかの車両用空気調和装置において、前記段差部の前記低位面および前記高位面には、前記隙間を挟んで内面側と外面側とにそれぞれ遮風用のインロー部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、段差部の低位面および高位面に、隙間を挟んで内面側と外面側とにそれぞれ遮風用のインロー部が設けられているため、隙間を挟むように内面側と外面側に設けられているインロー部により、上下分割ケース内を流通する空気流が膨張弁カバー内に設けられている隙間を介して外部側に漏えいするのを遮断することができる。従って、膨張弁カバー内に防水用の隙間を設けることによる遮風性能の低下を確実に抑止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、膨張弁が配設されている膨張弁カバー内にエンジンルーム側からトーボードの開口部を介して水が入り込んだ場合に、この水が上下に2分されている膨張弁カバーの合せ面および上下分割ケースの合せ面を介して車室内へと浸入する可能性があるが、膨張弁カバーの上下合せ面に形成されている段差部により、該水が低位とされている内面側から高位とされている外面側へと段差部を乗り越えて浸水する事態を阻止することができるため、防水カバーを省略しても、水が膨張弁カバーおよび上下分割ケースの合せ面から外表面を伝って車室内側へと浸水する事態を防ぐことができ、防水構造の簡素化、部品削減によるコスト低減並びに組立ての容易化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空気調和装置の空調ユニットを膨張弁の配置方向から見た側面図である。
【図2】図1に示す空調ユニットの左側面図である。
【図3】図1に示す空調ユニットの上下分割ケースの分解斜視図である。
【図4】図1に示す空調ユニットのa−a断面相当図である。
【図5】図1に示す空調ユニットのb−b断面相当図である。
【図6】図5に示す空調ユニットのc−c断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る車両用空気調和装置の空調ユニットを膨張弁の配置方向から見た側面図が示され、図2には、その左側面図が示され、図3には、その上下分割ケースの分解斜視図が示されている。
車両用空気調和装置の空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)1は、上下に分割された上分割ケース2および下分割ケース3を備えている。この上下分割ケース2,3は、図示省略されている他の分割ケースと共に空調ユニット1の外郭を形成するユニットケース本体を構成している。
【0019】
空調ユニット1のユニットケース本体内には、上流側に設けられている空気取入れ口から下流側に設けられている複数の空気吹出し口に向う空気流路が形成され、この空気流路中に、エバポレータ4、図示省略のヒータコア、エアミックスダンパおよび複数の吹出しモード切替えダンパ等が配設されることによって、公知の如く、空調ユニット(HVACユニット)1が構成されている。
【0020】
この空調ユニット(HVACユニット)1は、図2に示されるように、車両のエンジンルームEと車室内Pとを仕切るトーボードDと、車室内Pに設置されているインストルメントパネル(図示省略)との間の空間部に、助手席側から車両のセンター部にかけて左右方向に設置されるのが通常である。トーボードDと対向する上下分割ケース2,3の側面には、上下分割ケース2,3間の合せ面を跨ぐように、冷凍サイクル用の膨張弁5が設置されている。この膨張弁5は、いわゆるブロック型膨張弁5とされており、そのブロック本体5Aが上下分割ケース2,3間に設けられている開口部を閉鎖するように取付けられている。
【0021】
上下分割ケース2,3には、膨張弁5の周りを取り囲むように、上下に2分されている膨張弁カバー6,7が設けられている。この上下膨張弁カバー6,7は、それぞれ上下分割ケース2,3と一体に成形してもよいが、本実施形態では、上膨張弁カバー6だけを上分割ケース2と一体成形し、下膨張弁カバー7については、別体で成形して下分割ケース3に嵌合組み付けし、一体化するようにしている。この上下膨張弁カバー6,7の前端面は、図2に示されるように、ダッシュ側パッキンKを挟んでトーボードDに密着されて設置されるようになっている。なお、上下膨張弁カバー6,7の分割面は、上下分割ケース2,3の分割面と同一面とされている。
【0022】
トーボードDには、膨張弁5が配設されている上下膨張弁カバー6,7の内面側9をエンジンルームE側に貫通する開口部(図示省略)が設けられており、該開口部を介してエンジンルームE側に配設されている圧縮機、コンデンサ等の機器と膨張弁5とを接続する冷媒配管が接続可能とされている。なお、膨張弁5は、ユニットケース本体内に設けられているエバポレータ4と冷媒配管8(図4参照)を介して接続されており、圧縮機、コンデンサ、膨張弁5およびエバポレータ4等で公知の冷凍サイクルを構成している。
【0023】
上記のように、膨張弁5が配設されている上下膨張弁カバー6,7の内面側9は、エンジンルームE側に貫通されており、エンジンルームE側からトーボードDの開口部を介して水が入り込む構成とされている。この水が仮に膨張弁5の取付け部よりユニットケース本体(上下分割ケース2,3)の内部に浸入しても、ユニットケース本体にはエバポレータ4で発生したドレン水を車室外に排出するドレン排出口が設けられており、浸入した水をドレン排出口より車室外に排出できるため、問題にはならない。しかし、上下膨張弁カバー6,7の内面側9には、上下膨張弁カバー6,7の合せ面が臨んでおり、この合せ面から浸入した水が上下膨張弁カバー6,7および上下分割ケース2,3の外表面等を伝い車室内P側へと浸水する事態は回避しなければならない。
【0024】
そこで、上下膨張弁カバー6,7の合せ面には、図6に示されるように、内面側9が低くされ、外面側10が高くされた段差部11が設けられている。また、この段差部11の低位面12と高位面13との間には、上下方向に延在し、毛細管現象により水が上昇しない程度の幅寸法とされた隙間14が形成されている。なお、この隙間14は、段差部11高さ等にもよるが、ここでは幅方向寸法が少なくとも1mm以上、好ましくは2〜5mm程度とされている。
【0025】
また、段差部11を構成する低位面12および高位面13には、隙間14を挟むように合せ面の内面側9と外面側10とに、上下膨張弁カバー6,7の一方側の設けられた嵌合リブ15と、他方側に設けられ、該嵌合リブ15が嵌合される嵌合溝16とからなる構成される遮風用のインロー部17が設けられており、このインロー部17によってユニットケース本体内を流れる空気流が隙間14を経て外部側に漏えいするのを遮断できるように構成されている。
【0026】
さらに、上下膨張弁カバー6,7と上下分割ケース2,3との間には、図5に示されるように、仕切りが設けられておらず、上下膨張弁カバー6,7の合せ面に形成される隙間14に浸入した水は、そのまま隙間14内を上下分割ケース2,3側へと流れ、ユニットケース本体(上下分割ケース2,3)内に流入されるようになっている。
【0027】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記空調ユニット(HVACユニット)1は、車室内P側のインストルメントパネル内に上下膨張弁カバー6,7の前端面がダッシュ側パッキンKを挟んでトーボードDに密着されるように搭載される。この空調ユニット1とエンジンルームEに配設されている圧縮機およびコンデンサ等の室外側機器とが、空調ユニット1側に設置されている膨張弁5に接続される冷媒配管を介して接続されることによって、閉サイクルの冷凍サイクルが構成され、空気調和装置が運転可能に車両側に装備される。
【0028】
車両側のエンジンルームEと車室内Pとを仕切るトーボードDには、冷媒配管を接続するための開口部が設けられており、該開口部を介して空調ユニット1のユニットケース本体を構成する上下分割ケース2,3の外面に設けられている上下膨張弁カバー6,7の内面側9は、エンジンルームEに貫通されることから、車両が走行中等において上下膨張弁カバー6,7の内面側9には、エンジンルームE側から水が入り込む。しかるに、この水は、上下膨張弁カバー6,7の合せ面等から車室内Pに浸水することはない。
【0029】
つまり、上下膨張弁カバー6,7の合せ面には、内面側9が低くされ、外面側10が高くされた段差部11が設けられているため、上下膨張弁カバー6,7の内面側9にエンジンルームE側からトーボードDの開口部を介して水が入り込んでも、この水が低位面12とされている内面側9から高位面13とされている外面側10へと段差部11を乗り越えて浸水する事態を阻止することができる。従って、防水カバーを省略しても、水が上下膨張弁カバー6,7および上下分割ケース2,3の合せ面から外表面を伝い車室内P側へと浸入する事態を防ぐことができ、防水構造の簡素化、部品削減によるコスト低減並びに組立ての容易化等を図ることができる。
【0030】
また、上記段差部11の低位面12と高位面13との間に、上下方向に延在し、毛細管現象により水が上昇しない程度、すなわち幅方向寸法が少なくとも1mm以上、好ましくは2〜5mm程度とされた隙間14を形成しているため、上下膨張弁カバー6,7の上下合せ面に浸入した水が段差部11を毛細管現象により乗り越え、上下合せ面から上下膨張弁カバー6,7および上下分割ケース2,3の外表面を伝い車室内P側へと浸水する事態をも阻止することができる。従って、段差部11に隙間14を形成するだけの簡素な構成により防水性能を一段と向上し、上下膨張弁カバー6,7および上下分割ケース2,3の合せ面から車室内P側への水の浸入を確実に防止することができる。
【0031】
なお、上下膨張弁カバー6,7の内面側9に入り込んだ水や隙間14に浸入した水が、膨張弁5の取付け部から上下分割ケース2,3内に浸入したり、隙間14からそのまま上下分割ケース2,3内に流入したりしても、これらの水は、ユニットケース本体に設けられているドレン排出口から車室外へと排出されるため、車室内P側に漏えいすることはなく、特に問題とはならない。
【0032】
また、隙間14内に浸入した水が上下分割ケース2,3の内部側に流れるように、上下膨張弁カバー6,7と上下分割ケース2,3の間は仕切り無しの構造とされている。このため、上下膨張弁カバー6,7の上下合せ面から隙間14内に浸入した水は、そのまま仕切り無しとされている上下膨張弁カバー6,7と上下分割ケース2,3の間を経て上下分割ケース2,3の内部側に流れ、ユニットケース本体(上下分割ケース2,3)に設けられているドレン排出口より車室外へと排出される。従って、隙間14内に浸入した水が溜まり込み、それが段差部11を乗り越えて車室内P側へと浸水する事態をも確実に阻止することができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、段差部11の低位面12および高位面13に、隙間14を挟むように内面側9と外面側10とにそれぞれ遮風用のインロー部17を設けている。このため、該インロー部17によって、ユニットケース本体内を流通する空気流が上下膨張弁カバー6,7内に設けられている防水用の隙間14を介して外部に漏えいするのを遮断することができる。従って、上下膨張弁カバー6,7内に防水用の隙間14を設けることによる遮風性能の低下を確実に抑止することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、上下膨張弁カバー6,7の下側の膨張弁カバー7を下側分割ケース3と別体で成形し、下側分割ケース3に嵌合組み付けするようにしているが、この場合、下側膨張弁カバー7の嵌合部に下側分割ケース3側に水を導くための導水リブを設けてもよい。また、段差部11の隙間14に浸入した水が、上下分割ケース2,3側に導かれるように、段差部11の低位面12を僅かに上下分割ケース2,3側に傾斜させてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 空調ユニット(HVACユニット)
2 上分割ケース
3 下分割ケース
5 膨張弁
6 上膨張弁カバー
7 下膨張弁カバー
9 内面側
10 外面側
11 段差部
12 低位面
13 高位面
14 隙間
17 インロー部
D トーボード
E エンジンルーム
P 車室内



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配設される空調ユニットの上下分割ケースの合せ面を跨ぐように、その外面側に上下に2分されている膨張弁カバーが設けられ、該膨張弁カバー内に膨張弁が配設可能されているとともに、該膨張弁カバー内がトーボードに設けられている開口部を介してエンジンルームに貫通されている車両用空気調和装置において、
前記膨張弁カバーの上下合せ面に、内面側が低くされ、外面側が高くされた段差部が形成されていることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記段差部の低位面と高位面との間に、上下方向に延在し、毛細管現象により水が上昇しない程度の幅寸法とされた隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記隙間内に浸入した水が前記上下分割ケースの内部側に流れるように、前記膨張弁カバーと上下分割ケースの間が仕切り無し構造とされていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
前記段差部の前記低位面および前記高位面には、前記隙間を挟んで内面側と外面側とにそれぞれ遮風用のインロー部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空気調和装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−201391(P2011−201391A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69915(P2010−69915)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】