説明

車両用空気調和装置

【課題】ユニットケース内に入り込んだ水が分割ケースの結合部から車室内に漏洩する事態を確実に阻止し、水漏れ防止に対する信頼性を向上することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【解決手段】空調ユニットのユニットケース10が上下複数の分割ケース23,24,25により形成されており、該分割ケース23,24,25が分割端面30A,30B,32に設けられているインロー部34を介して一体に結合されている車両用空気調和装置において、インロー部34を構成する一方の分割ケース24,25と他方の分割ケース23のケース内側分割端面30B,32間に、上下方向に一定の高さおよび幅を有する空間35が形成され、該空間35を封鎖すべく一方の分割ケース24,25の分割端面32位置から他方の分割ケース23の内側面36に接する位置まで延長された延長壁面37が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下複数に分割されている分割ケースを一体に結合した構成のユニットケースを備えた車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用空気調和装置の空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)は、空気流路が形成されているユニットケースの内部に、エバポレータ、ヒータコア、エアミックスダンパおよび複数の吹出しモード切替えダンパ等が組み込まれた構成とされている。このユニットケースは、成形上の制約や内部に上記機器類が組み込まれることから、通常、複数に分割された樹脂製の分割ケースを一体に結合した構成とされている。
【0003】
これらの分割ケースは、一方の分割ケースの分割端面に設けられている凸部と、他方の分割ケースの分割端面に設けられている凹部とを嵌合することによって構成されるインロー部を介して一体に結合され、結合部からの空気漏れや水漏れが防止されるようになっている。しかし、インロー結合したとしても、毛細管現象により水が浸入して水漏れが発生する可能性があることから、特許文献1−4に示されるように、弾性シール材を介装したもの、分割端面への水の浸入を遮断する段付き部を設けたもの、インロー部が形成されている分割端部を一定の隙間をもって覆う庇壁を設けたもの等が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3356101号公報
【特許文献2】特許第4075681号公報
【特許文献3】特開2005−184921号公報
【特許文献4】特開2006−347481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、弾性シール材を介装したものでは、別部品とされている弾性シール材を組み込む必要があるため、組み立て工数や部品費が増加する等の問題があった。
また、単に段付き部や庇壁を設けたものでは、追加部品を必要としないものの、ユニットケース内に入り込んだ水がその内面に沿って段部や庇壁内に飛散し、それがインロー部の根元部位や分割端面に到達して付着した場合、そこから毛細管現象によりユニットケース内の静圧上昇に伴いユニットケースの外面側に押し出され、車室内へと浸入するリスクがあり、更なる改善策が望まれていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ユニットケース内に入り込んだ水が分割ケースの結合部から車室内に漏洩する事態を確実に阻止し、水漏れ防止に対する信頼性を向上することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用空気調和装置は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる車両用空気調和装置は、エバポレータおよびヒータコアが内蔵され、ブロアユニットからの送風空気を温調した後、車室内に吹出す空調ユニットのユニットケースが少なくとも上下複数の分割ケースにより形成されており、該分割ケースが分割端面に設けられているインロー部を介して一体に結合されている車両用空気調和装置において、前記インロー部を構成する一方の分割ケースと他方の分割ケースのケース内側分割端面間に、上下方向に一定の高さおよび幅を有する空間が形成され、該空間を封鎖すべく一方の分割ケースの分割端面位置から他方の分割ケースの内側面に接する位置まで延長された延長壁面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、上下複数の分割ケースが分割端面に設けられているインロー部を介して一体に結合されているユニットケースにあって、インロー部を構成する一方の分割ケースと他方の分割ケースのケース内側分割端面間に、上下方向に一定の高さおよび幅を有する空間が形成され、該空間を封鎖すべく一方の分割ケースの分割端面位置から他方の分割ケースの内側面に接する位置まで延長された延長壁面が設けられているため、外気取入れ口からブロアユニットを経てユニットケース側に入り込んだ水が、ユニットケース内にて飛散し、該ケース内の静圧上昇に伴ってその内面を伝う等により分割ケースの分割端面からインロー部に浸入しようとしても、その水は、まず延長壁面によって分割ケースのケース内側分割端面間に形成されている空間への浸入が阻止され、また仮に延長壁面で封鎖されている空間内に浸入したとしても、該空間の存在によってインロー部への到達が阻止される。従って、ユニットケース内に入り込んだ水が、毛細管現象により分割ケースのインロー部を越えてユニットケースの外面側、すなわち車室内側に漏洩する事態を確実に阻止することができ、水漏れ防止に対する信頼性を向上することができる。なお、ユニットケース内に浸入した水は、エバポレータ設置部位の下部に形成されているドレンパンに集められ、ドレン排出穴を介して車室外へと排出される。
【0009】
さらに、本発明の車両用空気調和装置は、上記の車両用空気調和装置において、前記空間は、一定量の水を保水しても前記インロー部への毛細管現象による水の浸入を阻止できる高さ方向および幅方向寸法を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、空間が、一定量の水を保水してもインロー部への毛細管現象による水の浸入を阻止できる高さ方向および幅方向寸法を有しているため、仮に延長壁面で封鎖されている空間内にユニットケースの内面を伝って水が浸入したとしても、その水が空間部から更にインロー部へと毛細管現象によって浸入する事態を阻止することができる。従って、ユニットケース内に浸入した水の車室内への漏出を確実に防止することができる。
【0011】
さらに、本発明の車両用空気調和装置は、上述のいずれかの車両用空気調和装置において、前記延長壁面が接する前記他方の分割ケースの内側面とそのケース内側分割端面との間の角部、または前記延長壁面の前記他方の分割ケースの内側面に接する先端面側の角部のいずれか一方または双方に、面取りまたはアールが設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、延長壁面が接する他方の分割ケースの内側面とそのケース内側分割端面との間の角部、または延長壁面の他方の分割ケースの内側面に接する先端面側の角部のいずれか一方または双方に、面取りまたはアールが設けられているため、上下複数の分割ケースの分割端面に設けられているインロー部を嵌め合せて一体に結合する際、一方の分割ケースに設けられている延長壁面を、面取りまたはアールをガイド面として他方の分割ケースの内側面に当接させることができる。従って、延長壁面の先端面が他方の分割ケースのケース内側分割端面に当接して分割ケースの組み付け性を阻害することもなく、上下分割ケースをスムーズに一体に組み立て結合することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、外気取入れ口からブロアユニットを経てユニットケース側に入り込んだ水が、ユニットケース内にて飛散し、該ケース内の静圧上昇に伴ってその内面を伝う等により分割ケースの分割端面からインロー部に浸入しようとしても、その水は、まず延長壁面によって分割ケースのケース内側分割端面間に形成されている空間への浸入が阻止され、また仮に延長壁面で封鎖されている空間内に浸入したとしても、該空間の存在によってインロー部への到達が阻止されるため、ユニットケース内に入り込んだ水が、毛細管現象により分割ケースのインロー部を越えてユニットケースの外面側、すなわち車室内側に漏洩する事態を確実に阻止することができ、水漏れ防止に対する信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空気調和装置を車両前方側から見た側面図である。
【図2】図1に示す車両用空気調和装置のA−A断面図である。
【図3】図1に示す車両用空気調和装置のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る車両用空気調和装置を車両前方側から見た側面図が示され、図2には、そのA−A断面図、図3には、そのB−B断面図が示されている。
車両用空気調和装置1は、空調ユニット(HVACユニット;Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)2と、ブロアユニット3と、該ブロアユニット3に結合され、外気または内気を切替え導入するインテークボックス4とを備えている。
【0016】
ブロアユニット3は、HVACユニット2の一側に配置されており、後述する下部分割ケース23と一体成形されている渦巻き状ファンケーシング5、該ファンケーシング5内に回転自在に支持されている図示省略の羽根車、該羽根車を回転駆動するモータ6等を備えている。また、ブロアユニット3の渦巻き状ファンケーシング5の上面に設けられている吸込み口にインテークボックス4が接続されている。インテークボックス4は、外気を導入する外気導入口7、図示省略された車室内空気を導入する内気導入口、両導入口から外気または内気を切替え導入する切替えダンパおよびエアフィルタ等を備えている。
【0017】
HVACユニット2は、後述する分割構造のユニットケース10を備え、該ユニットケース10内には、ブロアユニット3から送られてくる空気流を前後方向に変換し、下流側へと流通させる空気流路11が形成されている。空気流路11の上流部位には、図示省略の冷凍サイクルを構成するエバポレータ12が略鉛直に配設されている。この空気流路11は、エバポレータ12の下流側においてバイパス流路13と加熱流路14とに分岐されている。バイパス流路13と加熱流路14との分岐部には、エアミックスダンパ15が配設され、バイパス流路13と加熱流路14とに流通される空気流の流量割合が調整可能とされている。加熱流路14には、図示省略のエンジン冷却水回路からの冷却水が循環されるヒータコア16が略鉛直に配設されている。
【0018】
バイパス流路13と加熱流路14とは、エアミックスダンパ15下流のエアミックス域17で合流されており、その下流側に形成されているデフ吹出し流路18、フェース吹出し流路19およびフット吹出し流路20に連通されている。デフ吹出し流路18とフェース吹出し流路19との間には、デフ/フェースダンパ21が設けられ、また、フット吹出し流路20の入り口には、フットダンパ22が設けられている。これら吹出しモード切替え用のデフ/フェースダンパ21およびフットダンパ22の開閉によって空調風の吹出しモードが、フェースモード、フットモード、デフモード、デフ/フットモード、バイレベルモード等に選択的に切替え可能とされている。
【0019】
分割構造のユニットケース10は、下部分割ケース23と上部分割ケース24とに上下に2分割され、更に上部分割ケース24は、左右上部分割ケース24A,24Bに2分割されている。下部分割ケース23は、渦巻き状ファンケーシング5と一体成形または該ファンケーシング5と一体に結合された構成とされており、上部が開放され、そこに上部分割ケース24が結合可能な構成とされている。下部分割ケース23のファンケーシング5側の上部には、上部ケース25が組み付けられている。
【0020】
また、下部分割ケース23には、エバポレータ12が設置されており、該エバポレータ12の設置部位の底面には、エバポレータ12から流下するドレン水およびインテークボックス4の外気導入口7からブロアユニット3を経てユニットケース10に入り込んだ水等を集めるドレンパン26が形成されている。ドレンパン26の最下位部位には、集められたドレン水を車室外に排出するためのドレン排出穴27が設けられている。なお、下部分割ケース23には、ドレン水の下流側への飛び出しを防止するとともに、エバポレータ12の下部域を通過した空気流をエアミックスダンパ15側に向けてガイドする案内壁28が設けられている。
【0021】
分割構造のユニットケース10を構成している下部分割ケース23、上部分割ケース24の左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25は、互いに分割端面に設けられている凸部と凹部とが嵌め合わされることにより構成されるインロー部を介して一体に結合され、ビス等を介して締め付け固定されており、結合部からの空気漏れや水漏れが防止されるようになっている。
【0022】
特に、下部分割ケース23と上部分割ケース24の左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25との間の上下分割面については、図3に示されるように、単なるインロー結合に止まらず、以下のような結合構造とされている。
下部分割ケース23側には、ケース外側分割端面30Aから上方に突出されているインロー結合用の凸部31が設けられており、一方、上部分割ケース24の左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25側の分割端面32には、凸部31が嵌合されるインロー結合用の凹部33が設けられている。この凸部31と凹部33は、互いに嵌合されることによってインロー部34を構成している。
【0023】
下部分割ケース23のケース内側分割端面30Bは、ケース外側分割端面30Aに対して所定寸法だけ上下方向の下方位置に設定されており、左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25側の分割端面32との間において、上下方向に一定の高さおよび幅を有する空間35を形成している。この空間35は、左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25側の分割端面32から、下部分割ケース23のケース内側面36に接する位置まで延長された延長壁面37によって封鎖されている。
【0024】
延長壁面37により封鎖された空間35は、一定量の水を保水してもインロー部34の根元部位への毛細管現象による水の浸入を阻止できる十分な高さ方向および幅方向寸法を有する空間として機能するものであり、ユニットケース10内に入り込んだ水が毛細管現象によりインロー部34を越えてユニットケース10の外面側に漏洩する事態に対し、二重構造のバリアを形成している。
【0025】
また、下部分割ケース23のケース内側分割端面30Bと延長壁面37との角部および/または左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25側の延長壁面37の先端面側の角部には、それぞれ面取りまたはアール38,39が設けられている。この面取りまたはアール38,39は、下部分割ケース23と上部分割ケース24の左右上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25とを一体に結合する際、延長壁面37を下部分割ケース23のケース内側面36にガイドするためのものであり、いずれか一方のみを設けた構成としてもよい。
【0026】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記車両用空気調和装置1の運転時、インテークボックス4から取り入れられた外気または内気は、ブロアユニット3を介してHVACユニット2側に送風され、空気流路11内を下流側へと流通される。この空気流は、空気流路11内を下流側へと流通される間にエバポレータ12により冷却され、エアミックスダンパ15の開度に応じてバイパス流路13と加熱流路14とに分流される。加熱流路14側に分流された空気流は、ヒータコア16により加熱され、温風となってエアミックス域17に至り、ここでバイパス流路13からの冷風と混合されることにより設定温度の温調風に調整される。
【0027】
この温調風は、吹出しモード切替え用のデフ/フェースダンパ21、フットダンパ22の開閉によって選択的に切替えられるフェースモード、フットモード、デフモード、デフ/フットモード、バイレベルモード等の吹出しモードに応じ、デフ吹出し流路18、フェース吹出し流路19およびフット吹出し流路20のいずれかから車室内へと吹出されることによって、車室内の空調に供される。
【0028】
かかる車両用空気調和装置1に対し、雨天時や洗車時等にインテークボックス4の外気導入口7から水が入り込み、ブロアユニット3を経てHVACユニット2のユニットケース10内に浸入する。この水は、ブロアユニット3からの送風によりユニットケース10内で飛散され、特にエバポレータ12の上流側において、下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25との間の結合面からユニットケース10の外部、すなわち車室内側に漏洩し易く、水漏れが生じないようにする必要がある。
【0029】
然るに、本実施形態においては、下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25とをインロー部34を介して結合することにより、水漏れを防止しているだけでなく、ユニットケース10内の静圧上昇で水が毛細管現象によりインロー部34を乗り越えてユニットケース10の外面側に押し出され、車室内に漏洩する事態に対して二重構造のバリアを形成し、車室内への水の漏洩を阻止可能な構成を採用している。
【0030】
つまり、ユニットケース10内で飛散された水は、該ケース10内の静圧上昇に伴ってその内面を伝う等により下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25との分割端面からインロー部34に浸入しようとしても、その水は、まず左右の上部分割ケース24A,24Bおよび上部ケース25の分割端面32から下方に延長され、下部分割ケース23のケース内側面36に接している延長壁面37によって、下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25とのケース内側分割端面30B,32間に形成されている空間35への浸入が阻止される。そして、仮に延長壁面37とケース内側面36との間の隙間を介して封鎖空間35内に浸入したとしても、該空間35の存在によってインロー部34への到達が阻止される。
【0031】
特に、空間35は、該空間35に浸入した水が更に毛細管現象によりインロー部34に浸入する事態を阻止できるように、上下方向に一定の高さ寸法および幅方向寸法を有する空間とされているため、ユニットケース内で飛散した水が直接インロー部34の根元部位や分割端面32に到達し、それがインロー部34へと毛細管現象により浸入する現象を確実に抑止することができる。
従って、ユニットケース10内に入り込んだ水が、毛細管現象により上下に分割されている下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25とのインロー結合部を乗り越えてユニットケース10の外面側、すなわち車室内側に漏洩する事態を確実に阻止することができ、水漏れ防止に対する信頼性を向上することができる。
【0032】
なお、上記空間35の具体的寸法としては、幅方向寸法が0.5〜1.5mm程度が好ましい。0.4mm未満では、インロー部34の根元部位へ毛細管現象により水が浸入する可能性が高くなり、1.5mmを超えると、ケースの肉厚が厚くなってしまい、成形性の悪化を招く可能性が生じる。一方、例えば、延長壁面37を10mmとした場合、高さ方向寸法は、3.0〜8.0mm程度が好ましい。3.0mm未満では、空間35に保水された場合の余裕度が少なすぎてインロー部34の微小隙間に水が到達してしまい、毛細管現象が生じる可能性がある。また、8.0mmを超えると、下部分割ケース23と延長壁面37との当接部分が少なくなりすぎてケースが左右方向にぐらついてしまう可能性があり、組み付け性の悪化が懸念される。このため、延長壁面37と下部分割ケース23との当接部分は、少なくとも2.0mm以上確保することが望ましい。
【0033】
また、ユニットケース10内に浸入した水は、エバポレータ12の設置部位の下部に形成されているドレンパン26に集められ、ドレン排出穴27を介して車室外へと排出されるので、HVACユニット2のデフ吹出し流路18、フェース吹出し流路19およびフット吹出し流路20等を経て車室内に吹出されることはない。
【0034】
さらに、本実施形態においては、上部分割ケース24および上部ケース25側の延長壁面37が接する下部分割ケース23の内側面36とそのケース内側分割端面30Bとの間の角部、または延長壁面37の下部分割ケース23の内側面36に接する先端面側の角部のいずれか一方または双方に、面取りまたはアール38,39が設けられているため、複数の下部分割ケース23,上部分割ケース24および上部ケース25の分割端面に設けられているインロー部34を嵌め合せて一体に結合する際、一方の上部分割ケース24および上部ケース25側に設けられている延長壁面37を、面取りまたはアール38,39をガイド面として下部分割ケース23の内側面36に当接させることができる。
従って、延長壁面37の先端面が下部分割ケース23のケース内側分割端面30Bに当接して下部分割ケース23と上部分割ケース24および上部ケース25との組み付け性を阻害するようなこともなく、上下分割ケース23,24,25等をスムーズに一体に組み立て結合することができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ユニットケース10を下部分割ケース23と、左右の上部分割ケース24A,24Bと、上部ケース25とに分割した例について説明したが、ユニットケース10の分割形態は、これに限定されるものではなく、左右の上部分割ケース24A,24Bを一体化する、下部分割ケース23をファンケーシング6と分割する等の形態に変形してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、ブロアユニット3をHVACユニット2の一側に配置した例について説明したが、ブロアユニット3がHVACユニット2の前面側あるいは後面側に上下方向に配置されている縦型のHVACユニット等にも同様に適用できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用空気調和装置
2 空調ユニット(HVACユニット)
3 ブロアユニット
10 ユニットケース
12 エバポレータ
16 ヒータコア
23 下部分割ケース
24,上部分割ケース
24A,24B 左右上部分割ケース
25 上部ケース
30A ケース外側分割端面
30B ケース内側分割端面
31 凸部
32 分割端面
33 凹部
34 インロー部
35 空間
36 ケース内側面
37 延長壁面
38,39 面取りまたはアール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エバポレータおよびヒータコアが内蔵され、ブロアユニットからの送風空気を温調した後、車室内に吹出す空調ユニットのユニットケースが少なくとも上下複数の分割ケースにより形成されており、該分割ケースが分割端面に設けられているインロー部を介して一体に結合されている車両用空気調和装置において、
前記インロー部を構成する一方の分割ケースと他方の分割ケースのケース内側分割端面間に、上下方向に一定の高さおよび幅を有する空間が形成され、該空間を封鎖すべく一方の分割ケースの分割端面位置から他方の分割ケースの内側面に接する位置まで延長された延長壁面が設けられていることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
前記空間は、一定量の水を保水しても前記インロー部への毛細管現象による水の浸入を阻止できる高さ方向および幅方向寸法を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
前記延長壁面が接する前記他方の分割ケースの内側面とそのケース内側分割端面との間の角部、または前記延長壁面の前記他方の分割ケースの内側面に接する先端面側の角部のいずれか一方または双方に、面取りまたはアールが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−251555(P2011−251555A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124741(P2010−124741)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】