説明

車両用空調ブローダクト接続構造

【課題】 従来技術では、ダクト2部材を組み付けて嵌合しているが、嵌合部は、単に板1枚のため、位置決めが困難である。また、組付治具を使用する場合、固着点から離れたダクトの外周を位置決めの基準点としているので、製品の寸法バラツキによっては、穴位置が合わない場合が発生する。また、リベットを挿入するためのガイドがないという問題があり、その結果、組付工数が増加し、製造コストが上昇してしまっている。
【解決手段】 第一ダクト1と第二ダクト2を嵌合して、固着具5によって締結するダクト組付体において、第一ダクト1は、ガイド部9が通孔7の外周側に突出形成され、位置決め凹部Xが形成され、第二ダクト2には、嵌合凸部4が、通孔7の外周に形成され、前記位置決め凹部Xに嵌合する車両用空調ブローダクト接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に設けられた空調用のダクトとダクト延設体の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術としては、ダクト本体とダクト延設体に分割され、前記ダクト本体と前記ダクト延設体はそれぞれが嵌合する口端を設け、前記ダクト本体の口端に前記ダクト延設体の口端を内嵌し、前記ダクト本体の口端に隣接する位置にダクト分岐管を設け、前期ダクト延設体の口端が前記分岐管の一部を塞ぐように設けられる空調ダクト(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−118353号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1〜図6を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術の空調ダクトでは、ダクトを接続する際、ブロー成形した二つのダクトを嵌合して、ブラインドリベットによって締結する技術が開示されている。
しかしながら、前記従来技術では、ダクト2部材を組み付けて嵌合しているが、嵌合部は、単に板1枚のため、位置決めが困難である。
また、組付冶具を使用する場合、固着点から離れたダクトの外周を位置決めの基準点としているので、製品の寸法バラツキによっては、穴位置が合わない場合が発生する。また、リベットを挿入するためのガイドがないという問題があり、その結果、組付工数が増加し、製造コストが上昇してしまっている。
本発明は、これらの問題を解決した車両用空調ブローダクト接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成することができる本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの車両用空調ブローダクト接続構造であり、次のようなものである。
第1のダクトと第2のダクトを嵌合して、固着具によって締結するダクト組付体において、第1のダクトは、ガイド部が通孔の外周側に突出形成され、位置決め凹部が形成され、第2のダクトには、嵌合凸部が、通孔の外周に形成され、前記位置決め凹部に嵌合する構成である。
【0006】
上記の目的を達成することができる本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの車両用空調ブローダクト接続構造であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、前記ガイド部は、環状に形成されているという構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用空調ブローダクト接続構造は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)位置決め凹部とガイド部が通孔に隣接して形成されているので、位置決め作業時の部品間のズレが発生せず、それに伴う部品同士のグラツキを解消でき、組付作業の効率が向上する。
(2)リベットを止め穴へ導くガイド形状を凸形状とすることで、ダクト同士の回転規制及び位置規制をすることができる。
(3)ガイド部の形状を凸形状とすることで、ダクト内に凸部ができず、ダクトを流れる風の抵抗にならない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のダクトの接続構造の一実施例であり、(a)はダクト全体斜視図、(b)は本発明の特徴である接続構造の要部を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の二つのダクトの接続構造において、一方のダクトに設けられた凹凸部と他方のダクトに設けられた凹凸部と作業に使用する固着具とリベットの一実施例を示した説明図であり、(a)は表側からの要部概略斜視図、(b)は裏側からの要部概略斜視図である。
【図3】従来のダクトの接続構造を示す要部概略斜視断面図である。
【図4】本発明のダクトの接続構造の一実施例を示す要部概略斜視断面図である。
【図5】本発明のダクトの接続構造の一実施例において、大きな凸部を有したダクトと小さな凸部を有したダクトをリベットによって組み付けた状態を示す要部概略斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1のダクトと第2のダクトを嵌合して、固着具によって締結するダクト組付体において、第1のダクトは、環状に形成されたガイド部が通孔の外周側に突出形成され、位置決め凹部が形成され、第2のダクトには、嵌合凸部が、通孔の外周に形成され、前記位置決め凹部に嵌合する車両用空調ブローダクト接続構造である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の一実施例を添付図面で詳細に説明する。
通常、図1(a)のように、ベンチレータ等に使用されるダクトは長い形状を持つため、通常分割して形成し、別々に形成したダクトを嵌合している。
本実施例では、図2からも理解できるように、嵌合接続する一方の第一ダクト1は凸部3の高さを大きく設けたもの、他方の第二ダクト2の凸部4は前記第一ダクト1の凸部3より高さの小さいものを採用したものであり、固着具5によってリベット6を各第一
ダクト1、第二ダクト2に設けられた通孔7を通して嵌合するものである。
【0011】
次に、図3〜図5に基づいて、従来技術と本発明の車両用空調ブローダクト接続構造の違いについて説明する。
従来の技術は、図3のように、例えば別体で形成された第一ダクト1´の嵌合部と第二ダクト2´の嵌合部を嵌合するために、それぞれの第一ダクト1´、第二ダクト2´に設けられた孔7´に合わせて重ね、ツール5を用いてリベット6によって嵌合するが、図3からも理解できるようにリベット6のガイドや位置決め部位がないため、リベット6を孔7´に差し込む際に、目視だけで位置決めや挿入をしなければならず、作業効率が悪くなったり、ずれた状態や傾いた状態で嵌合することによって、ダクト同士にガタツキ等が発生してしまう危険性がある。
そこで本発明では、図4、図5からも理解できるように、第一ダクト1の外周に突出形成した凸部3の通孔7に近い側の立壁8が固着具をガイドするとともに、ダクト内壁が、第二ダクト2の位置決め凹部となっている。また、第二ダクト2の外周に突出形成した凸部4は、前記凸部3に対して低く形成して、この低く形成した凸部3により形成される位置決め凹部Yの先端側は、空間Xを形成して、ブロー成形ダクトによる肉厚バラツキが影響しない構造としている。さらに、ガイド部9は、通孔7が形成されている面から拡開する、すり鉢状に形成されており、前記ガイド部9に固着具5が当接して通孔7にガイドされる。
従って、本発明の車両用空調ブローダクト接続構造は、ダクト成形時の薄肉防止・離型性が向上するものである。
【0012】
なお、本実施例では、ダクト同士の固着手段としてリベット6を使用しているが、ネジ等ほかの部材を使用してもいいことはいうまでもない。
また、ぞれぞれのダクト1、2に設けられた凸部3、4の高さは、外側の凸部3の高さが内側の凸部4の高さより高く、凸部3の高さが作業時の固着具5の作業の邪魔にならない高さであれば良く、特に高さを規定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
各種車両のダクトの接続構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1・・・・第一ダクト
2・・・・第二ダクト
3・・・・凸部
4・・・・凸部
5・・・・固着具
6・・・・リベット
7・・・・通孔
8・・・・立壁
9・・・・ガイド部
1´・・・・第一ダクト
2´・・・・第二ダクト
7´・・・・孔
X・・・・空間
Y・・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ダクトと第二ダクトを嵌合して、固着具によって締結するダクト組付体において、第一ダクトは、ガイドが通孔の外周側に突出形成され、位置決め凹部が形成され、第二ダクトには、嵌合凸部が、通孔の外周に形成され、前記位置決め凹部に嵌合することを特徴とする車両用空調ブローダクト接続構造。
【請求項2】
前記ガイドは、環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調ブローダクト接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−254019(P2010−254019A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103965(P2009−103965)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】