説明

車両用空調装置のリンク機構

【課題】車両用空調装置のリンク機構について、部品点数の追加を必須とせず、追加部品の着脱による工数を増加させることがなく、且つ構造の簡素化を図って所定の仕様において無駄な構造を生じさせることもなく、オートエアコン設定とマニュアルエアコン設定との双方に対応可能な構成とする。
【解決手段】HVACユニット1に取り付けられるリンク機構17は、マニュアルエアコン用の操作部から引き出された動力伝達部材65が連結可能な連結部43と、オートエアコン用の制御部46からの入力信号を受けて可動するアクチュエータ47が連結可能な連結部44とを有し、これらの連結部43、44のうち、いずれか一方の連結部43、44により連結された動力伝達部材65又はアクチュエータ47を介した入力に基づき吹出モード切換用ドア等の連動機器を制御するものとし、他方の連動機器を制御するための入力に用いない連結部44、43については、上記連動機器以外の機器を作動させる動力を出力するために用いるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車等の車両に用いられる空調装置に関し、特にこの空調装置のHVACユニットに組み付けられるリンク機構の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のHVAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニットを用いた車両用空調装置において、操作パネル及びHVACユニットをマニュアルエアコン設定とオートエアコン設定とのいずれにも共用可能とすることを目的とした発明は、例えば特許文献1等に示されるように様々なものが既に開発されている。
【0003】
そして、制御機構からの動力がオートエアコン設定ではアクチュエータを介して入力され、マニュアルエアコン仕様ではケーブルやギア等を介して入力されると共に、各種ドアやウォータバルブ等の連動機器に動力を出力するためのリンク機構として、当該リンク機構に係わる一部の形状の相違があっても異なる仕様に対し容易に対応可能とした空調装置のリンクプレート構造の発明が例えば特許文献2に示されるように既に公知となっている。
【0004】
この特許文献2に示される空調装置のリンクプレート構造は、かかる特許文献2の図2(a)に示されるリンク機構を標準の機構として設定しつつ、例えばウォータバルブ等の連動機器が追加される仕様である場合には、特許文献2の図2(b)に示されるように、リンクプレート(エアミックスドアレバー)にピンが形成された連結部材を組み付け、この連結部材のピンで、一方端部が連動機器と連結された駆動ケーブルの他端部を留めるようにしたものである。
【0005】
オートエアコン設定のHVACユニットでは、マニュアルエアコン設定にはない後席用のエアコン仕様を有する場合があり、この場合にはオートエアコン時では後席用の空気吹出口のドア開閉を前席用の空気吹出口のドア開閉と連動させることが望まれるところ、この特許文献2に示される空調装置のリンクプレート構造によっても、リンクプレートに連動部材を組み付け、この連動部材にピンを介して駆動レバーを連結させ、さらに駆動ケーブルを後席用の空気吹出口のドアのレバーに連結することで、新たなリンク機構を追加することなく後席用の空気吹出口のドアと前席用の空気吹出口のドアとの連動の要望に応えることができ、これに伴いリンク機構をマニュアルエアコン設定とオートエアコン設定とのいずれにも共用可能とすることが可能ではある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−154840号公報
【特許文献2】特開2002−274158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献2に示される空調装置のリンクプレート構造では、異なる仕様に対応させるためには連結部材の着脱を行うことから、リンクプレートが連結部材を組み付けるための構造を常設的に有している必要があるので、連結部材の組み付けを不要とする仕様では、この連結部材を組み付けるための構造が遊んでしまい、リンク機構に構造上の無駄を生じさせることとなる。
【0008】
また、上記した特許文献2に示される空調装置のリンクプレート構造では、所定の連動機器が追加される仕様では連結部材を必要とするのでリンク機構全体として見ると部品点数が増加するという不都合も生じ、連結部材の着脱という工程が増加する。
【0009】
そこで、本発明は、オートエアコン設定又はマニュアルエアコン設定専用の部品点数の追加を必要とせず、追加部品の着脱による工数を増加させることがなく、且つ構造の簡素化を図って所定の仕様において無駄な構造を生じさせることもなく、オートエアコン設定とマニュアルエアコン設定との双方に共用可能な車両用空調装置のリンク機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車両用空調装置のリンク機構は、車両の車内又は車外から導入された空気を空調する空調手段及びこの空調された空気を前記車内に適宜供給する空気供給手段を備えたHVACユニットと、オートエアコンの処理が可能な制御部又はマニュアルエアコンの処理が可能な操作部の少なくともいずれか一方とを有する車両用空調装置において、前記制御部からの電気信号を受けて可動するアクチュエータが連結可能なオートエアコン用連結部と、前記操作部から引き出された動力伝達部材が連結可能なマニュアルエアコン用連結部とを有し、前記オートエアコン用連結部及び前記マニュアルエアコン用連結部のうちいずれかの連結部により連結された前記アクチュエータ又は前記動力伝達部材を介した入力に基づき吹出モード用のドア等の連動機器を制御するリンク機構を前記HVACユニットに取り付け、前記リンク機構の前記オートエアコン用連結部及び前記マニュアルエアコン用連結部のうち前記連動機器を制御するための入力に用いない連結部について、前記連動機器以外の機器を作動させる動力を出力するために用いることを特徴としている(請求項1)。
【0011】
ここで、空調手段は、例えば、冷却用熱交換器、加熱用熱交換器(メインヒータ、サブヒータの双方を含む)、エアミックスドア等が該当する。空気供給手段は、例えばデフ吹出用開口部、センターベント吹出用開口部、サイドベント吹出用開口部、フット吹出用開口部及び、前席用フット吹出口及びサイドベントドア、センターベント・デフ開閉ドア、センターベント・デフ切分けドア、フットドア等の吹出モード用のドアが該当する。マニュアルエアコン用連結部及びオートエアコン用連結部は、リンク機構を構成するメインリンク部材に対し回転自在に連結される動力入力レバーに設けても、当該メインリンク部材に設けても良い。動力伝達部材は、例えばロッドやワイヤー等である。
【0012】
より具体的には、この発明に係る車両用空調装置のリンク機構は、前記車両用空調装置についてオートエアコンの設定がなされている場合には、前記HVACユニットの空気供給手段以外に後席用空気吹出口とこの後席用空気吹出口を開閉するための後席用吹出ドアを有するものとし(請求項2)、前記車両用空調装置についてマニュアルエアコンの設定がなされている場合には、前記HVACユニットの空調手段を構成する、車両の車内又は車外から導入された空気を加熱するための加熱用熱交換器に対し温水を供給する回路に弁装置を設けたものとし、前記マニュアルエアコン用連結部について前記操作部から引き出された動力伝達部材と連結することで前記リンク機構に対する制御が行われると共に、前記オートエアコン用連結部について前記弁装置を開閉する動力を出力するために用いる(請求項3)。
【0013】
これにより、リンク機構は、オートエアコンの処理をする制御部からの電気信号を受けて可動するアクチュエータが連結可能なオートエアコン用連結部と、マニュアルエアコンの処理をする操作部から引き出された動力伝達部材が連結可能なマニュアルエアコン用連結部とを有するので、オートエアコンとマニュアルエアコンとの両方でリンク機構を用いることができると共に、オートエアコン用連結部及びマニュアルエアコン用連結部のうち連動機器を制御するための入力に用いない連結部については、かかる連動機器以外の機器、例えば後席用空気吹出口を開閉する後席用開閉ドアや加熱用熱交換器に温水を供給する温水循環サイクルを開閉させる弁装置を作動させる動力を出力するために用いるので、かかる連結部が遊んだ状態とならず、オートエアコン設定時又はマニュアルエアコン設定時のいずれの場合でもリンク機構に構造上の無駄が生ずることがない。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、これらの発明によれば、リンク機構について、オートエアコンの処理をする制御部からの電気信号を受けて可動するアクチュエータが連結可能なオートエアコン用連結部と、マニュアルエアコンの処理をする操作部から引き出された動力伝達部材が連結可能なマニュアルエアコン用連結部との双方を有した構成とすることで、リンク機構全体について追加部品を必要とせずにオートエアコンとマニュアルエアコンとの両方で用いることを可能としたので、オートエアコンとマニュアルエアコン専用の部品点数の増加を抑制し、これに伴って追加部品の異なる仕様毎の着脱による工数の増加も防止し、リンク機構の製造コストの増大や追加部品の誤取付けをなくすことができる。
【0015】
しかも、このようなマニュアルエアコン用連結部及びオートエアコン用連結部を有するリンク機構としたにもかかわらず、連動機器を制御するための入力に用いない連結部については、かかる連動機器以外の機器、例えば後席用空気吹出口を開閉する後席用開閉ドアや加熱用熱交換器に温水を供給する温水循環サイクルを開閉させる弁装置を作動させる動力を出力するために用いられるので、かかる連結部が遊んだ状態とならず、オートエアコン設定時及びマニュアルエアコン設定時の双方においてリンク機構に対して構造上の無駄が生ずることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明に係るリンク機構と各種ドアとの連結状態を示した概略図である。
【図2】図2は、同上のリンク機構の主要部を示した拡大図である。
【図3】図3は、各種ドアの種類と各モードにおける態様を示した説明図である。
【図4】図4は、車両用空調装置としてオートエアコンを設定した場合でDEFモードにおけるリンク機構の配置構成を示した説明図である。
【図5】図5は、車両用空調装置としてマニュアルエアコンを設定した場合でDEFモードにおけるリンク機構の配置構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1、図4及び図5において、この発明に係る車両用空調装置の主な構成体となるHVACユニット1が示されている。尚、図1ではHVACユニット1はオートエアコン設定に対応したものとして図示されている。
【0019】
このHVACユニットは、内外気導入口、この内外気導入口を切り換えるためのインテークドア、及び送風機からなる空気導入手段を備えた図示しないインテークユニットの空気の下流側と開口部2を介して接続されており、図4及び図5に示されるように、エバポレータ等の冷却用熱交換器3、ヒータコア等の加熱用熱交換器4、これらの冷却用熱交換器3及び加熱用熱交換器4の間に配置されて加熱用熱交換器4を通過する空気量と加熱用熱交換器4をバイパスする空気量との割合を調整するエアミックスドア5から少なくとも構成された空調手段を空調ケース6内に収納している。これにより、エアミックスドア5の開度が0度よりも大きく100度よりも小さなミックスモードでは冷却用熱交換器3で冷却された空気が加熱用熱交換器4で加熱された温風と加熱用熱交換器4で加熱されない冷風とに振り分けられた後、この温風と冷風とが加熱用熱交換器4よりも空気流路の下流側のエアミックスチャンバ(図示せず。)で混合される。
【0020】
そして、HVACユニットは、この実施例では、特に図1で示されるように、エアミックスチャンバよりも空気流路の下流側にて空調ケース3に開口したデフ吹出用開口部8、センターベント吹出用開口部9、サイドベント吹出用開口部10、10、前席用フット吹出用開口部11と、空調ケース3内に収納されてセンターベント吹出用開口部9とデフ吹出用開口部8との双方について開閉を行うセンターベント・デフ開閉兼用ドア12、サイドベント吹出用開口部10の開閉を行うサイドベントドア13、13及びセンターベント吹出用開口部9から送出される空気とデフ吹出用開口部8から送出される空気との切り分けを行うセンターベント・デフ切り分けドア14、前席用フット吹出用開口部11近傍に配置されてフット用空気流路を開閉するフットドア15とからなる空気供給手段を有している。
【0021】
これらのセンターベント・デフ開閉兼用ドア12、サイドベントドア13、13、センターベント・デフ切り分けドア14及びフットドア15は、図1、図2、図4及び図5に示されるリンク機構17により稼働される。
【0022】
リンク機構17は、この実施例では、主な構成部品としてメインリンク部材20を備えており、このメインリンク部材20は、2つのサイドベントドア13、13を連結してこれらのサイドベントドア13、13の回転中心となる回転軸棒18に対し、この回転軸棒18の端部が挿入される筒状の回転軸棒19を有している。また、リンク機構17は、この実施例では、空調ケース3に回転可能に連結されると共にメインリンク部材20に形成された溝部21aに対しピン22がこの溝部21aの側縁に沿って摺動可能に装着されたレバー23と、センターベント・デフ切り分けドア14の回転中心となる回転軸棒24の端部に装着されると共に前記レバー23にロッド25を介して連結されたレバー26とを有している。更に、リンク機構17は、この実施例では、空調ケース3に回転可能に連結されると共にメインリンク部材20に形成された溝部21bに対しピン27がこの溝部21aの側縁に沿って摺動可能に装着されたレバー28と、センターベント・デフ開閉兼用ドア12の回転中心となる回転軸棒29の端部に装着されると共に前記レバー28にロッド30を介して連結されたレバー31とを有している。更にまた、リンク機構17は、この実施例では、サイドベントドア13、13の回転軸棒19とフットドア15とを連結する連結部材32を有している。
【0023】
そして、このリンク機構17では、後述する動力入力レバー35の歯36とメインリンク部材20の回転軸棒19の外面に形成された歯車37とが噛み合った状態にあり、外部からの動力が動力入力レバー35を介してメインリンク部材20に伝達されて、メインリンク部材20が所定方向に回転することで、回転軸棒18がこのメインリンク部材20の回転を直接に受けて回転すると共に、メインリンク部材20の溝部21a、20bに沿ってピン22、27が溝部21a、21bの側縁に押圧されて摺動することでレバー23、28が回転し、レバー23、28の回転がロッド25、29を介してレバー26、31に伝達されてレバー26、31が回転するので、センターベント・デフ開閉兼用ドア12、サイドベントドア13、13、及びセンターベント・デフ切り分けドア14が回転し、更にサイドベントドア13の回転軸棒18の回転が連結部材32を介して前席用のフットドア15に伝達されて前席用のフットドア15が回転する。
【0024】
これに伴い、図3に示されるように、サイドベントドア13、13は、VENTモードでは開き、FOOTモード及びDEFモードでは閉じる(但し、微妙に開いている。)との動作を得ることができ、センターベント・デフ開閉兼用ドア12は、VENTモード及びDEFモードでは開き、FOOTモードでは閉じる(但し、微妙に開いている。)との動作を得ることができ、センターベント・デフ切り分けドア14は、VENTモードではベント吹出用開口部9の方を開き、DEFモードではデフ吹出用開口部8の方を開くとの動作を得ることができ、そして、前席用のフットドア15は、VENTモード及びDEFモードでは閉じ、FOOTモードでは開くとの動作を得ることができる。尚、図1、図4及び図5では、DEFモード時における各ドア12、14、15の位置及びリンク機構17の状態が示されている。
【0025】
動力入力レバー35は、図2(b)に示されように、この実施例では、空調ケース3に回転可能に連結される回転部39と、この回転部39の外縁の一部に複数設けられた歯36と、回転部39の歯36を有しない部位から外側に向けて延出した2つの延出部41、42とから成り、延出部41、42は下記する動力伝達部材53、56、65、66が連結可能な連結部43、44を有している。この実施例では、連結部43、44と連結する対象との関係から、延出部41は車両進行方向の後方に向けて延び、延出部42は車両進行方向の前方に向けて延びているが、連結部43、44の延びる方向並びに連結部43、44とで異なる方向に延びる構成に限定されず、HVACユニット1の構成や配置等に応じて、連結部43、44はいずれの方向に延びるものとしても且つ同じ方向に延びるものとしても良い。
【0026】
しかるに、車両用空調装置をオートエアコンに設定した場合には、図1及び図4に示されるように、制御部46からの入力信号を受けて作動するアクチュエータ47を取り付けると共に、図4に示されるように、後席の足元に延びる後席用フット吹出用開口部49を備えた後席用フット吹出用ダクト50をHVACユニット1に装着し、この後席用フット吹出用開口部49の近傍に後席用フットドア51を配置する。
【0027】
そして、レバー52をアクチュエータ47に対し回転自在に装着し、このレバー52と動力入力レバー35の延出部42の連結部44とをロッド又はワイヤー等の動力伝達部材53を介して連結させて、アクチュエータ47から動力入力レバー35、ひいてはメインリンク部材20に動力を供給可能とすると共に、後席用フットドア51の回転軸棒54の端部にレバー55を装着し、このレバー55と動力入力レバー35の延出部41の連結部43とをロッド又はワイヤー等の動力伝達部材56を介して連結させて、動力入力レバー35の回転を後席用フットドア51に伝達させて後席用フットドア51を回転させ、後席用フット吹出用開口部49を開閉する。
【0028】
これに対し、車両用空調装置をオートエアコンに設定した場合には、図5に示されるように、加熱用熱交換器4は熱源58と配管59を介して接続されて温水供給サイクル60が構成されていると共に、この配管59上に温水の流動をON/OFFする弁装置(ウォータバルブ)61が設けられたものとする。
【0029】
そして、例えば車両のフロントパネル等に組み込まれる等した操作部63の操作スイッチ64と動力入力レバー35の延出部41の連結部43とをロッド又はワイヤー等の動力伝達部材65を介して連結させて、操作スイッチ64の操作により動力伝達部材65が押し出され又は引っ張られて動力入力レバー35、ひいてはメインリンク部材20に動力を供給可能とすると共に、弁装置61と動力入力レバー35の延出部42の連結部44とをロッド又はワイヤー等の動力伝達部材66を介して連結させて、動力伝達部材66が押し出され又は引っ張られて弁装置61が回転して弁を開閉する。
【0030】
以上により、動力入力レバー35は、車両用空調装置をオートエアコンに設定した場合とマニュアルエアコンに設定した場合との双方でメインリンク部材20に装着された状態にあり、仕様に応じて動力入力レバー35の着脱が不要であると共に、オートエアコン設定時には動力入力レバー35に動力を入力しない延出部41の連結部43は後席用フットドア51の開閉のための動力の出力用に使用し、マニュアルエアコン設定時には動力入力レバー35に動力を入力しない延出部42の連結部44は弁装置61の開閉のための動力の出力用に使用するので、動力入力レバー35の連結部43、44が遊んでしまうことがなく、動力入力レバー35をオートエアコンとマニュアルエアコンとの共用とする場合でも構造上の無駄が防止される。
【0031】
最後に、リンク機構17は、これまでの説明では、外部からの動力が動力入力レバー35の連結部43、44に伝達され、この動力入力レバー35からメインリンク部材20に伝達される構成となっているが必ずしもこれに限定されないもので、図示しないが、メインリンク部材20に上記した連結部43、44を設けると共に、オートエアコン時には動力入力レバー35に動力を入力しない延出部41の連結部43は後席用フットドア51の開閉のための動力の出力用に使用し、マニュアルエアコン時には動力入力レバー35に動力を入力しない延出部42の連結部44は弁装置61の開閉のための動力の出力用に使用するようにしても良い。これにより、動力入力レバー35が不要となるのでリンク機構17をオートエアコンとマニュアルエアコンとの共用とする場合でも構造上の無駄が防止されるとの効果の他に部品点数の削減を図ることもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 HVACユニット
3 冷却用熱交換器
4 加熱用熱交換器
5 エアミックスドア
8 デフ吹出用開口部
9 センターベント吹出用開口部
10 サイドベント吹出用開口部
11 前席用フット吹出用開口部
12 センターベント・デフ開閉兼用ドア
13 サイドベントドア
14 センターベント・デフ切分けドア
15 フットドア
17 リンク機構
20 メインリンク部材
23 レバー
25 ロッド
26 レバー
28 レバー
30 ロッド
31 レバー
32 連結部材
35 動力入力レバー
41 延出部
42 延出部
43 連結部
44 連結部
46 制御部
47 アクチュエータ
49 後席用フット吹出用開口部
50 後席用フット吹出用ダクト
51 後席用フットドア
52 レバー
53 動力伝達部材
55 レバー
56 動力伝達部材
58 熱源
59 配管
60 温水供給サイクル
61 弁装置
63 操作部
64 操作スイッチ
65 動力伝達部材
66 動力伝達部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車内又は車外から導入された空気を空調する空調手段及びこの空調された空気を前記車内に適宜供給する空気供給手段を備えたHVACユニットと、オートエアコンの処理が可能な制御部又はマニュアルエアコンの処理が可能な操作部の少なくともいずれか一方とを有する車両用空調装置において、
前記制御部からの電気信号を受けて可動するアクチュエータが連結可能なオートエアコン用連結部と、前記操作部から引き出された動力伝達部材が連結可能なマニュアルエアコン用連結部とを有し、前記オートエアコン用連結部及び前記マニュアルエアコン用連結部のうちいずれかの連結部により連結された前記アクチュエータ又は前記動力伝達部材を介した入力に基づき吹出モード用のドア等の連動機器を制御するリンク機構を前記HVACユニットに取り付け、
前記リンク機構の前記オートエアコン用連結部及び前記マニュアルエアコン用連結部のうち前記連動機器を制御するための入力に用いない連結部について、前記連動機器以外の機器を作動させる動力を出力するために用いることを特徴とする車両用空調装置のリンク機構。
【請求項2】
前記車両用空調装置についてオートエアコンの設定がなされている場合には、前記HVACユニットの空気供給手段以外に後席用空気吹出口とこの後席用空気吹出口を開閉するための後席用吹出ドアを有するものとし、
前記オートエアコン用連結部について前記アクチュエータと連結することで前記リンク機構に対する制御が行われると共に、前記マニュアルエアコン用連結部について前記後席用開閉ドアを開閉する動力を出力するために用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置のリンク機構。
【請求項3】
前記車両用空調装置についてマニュアルエアコンの設定がなされている場合には、前記HVACユニットの空調手段を構成する車両の車内又は車外から導入された空気を加熱するための加熱用熱交換器に対し温水を供給する回路に弁装置を設けたものとし、
前記マニュアルエアコン用連結部について前記操作部から引き出された動力伝達部材と連結することで前記リンク機構に対する制御が行われると共に、前記オートエアコン用連結部について前記弁装置を開閉する動力を出力するために用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置のリンク機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195173(P2010−195173A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41767(P2009−41767)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】