説明

車両用空調装置

【課題】助手席および運転席の乗員に不快感を与えてしまうことのない空調装置を提供する部品点数を減らすことのできるモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】第1温調空気を生成する第1混合手段と、第2温調空気を生成する第2混合手段と、吹出口モード設定手段50と、助手席側の第1温度設定部21と、運転席側の第2温度設定部22と、第1,第2日射量検出部41,42と、第1,第2内気温検出部27,28と、第1,第2温度設定部21,22の設定温度と第1,第2日射量検出部41,42が検出する日射量と第1,第2内気温検出部27,28が検出する温度とに基づいてアシスト目標吹出温度とドライバ目標吹出温度とを求めて第1,第2混合手段を制御する演算処理部23とを備え、吹出口モードは、フットモードとベントモードとバイレベルモードとを有し、演算処理部23は、検出した日射量と温度とが所定範囲外のとき、快適な吹出口モードを求めて、設定されている吹出口モードをその快適な吹出口モードに変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フットモードとベントモードとバイレベルモードの吹出口モードを有する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷却および加熱された空気の混合を行なって助手席側用の温調空気を生成する第1混合手段と、冷却および加熱された空気の混合を行なって運転席側用の温調空気を生成する第2混合手段とを備えた車両用空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる車両用空調装置は、設定された吹出口モードに応じて第1,第2混合手段で生成した助手席側用の温調空気と運転席側用の温調空気をフット吹出口またはベント吹出口あるいはフット吹出口およびベント吹出口からそれぞれ吹き出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−244437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような車両用空調装置にあっては、吹出口モード設定手段によって例えばベントモードを設定すると、助手席側および運転席側のベント吹出口から第1,第2混合手段で温調された温調空気が吹き出されるものであるから、例えば、運転席側が暑く助手席が寒いとき、運転席側の車室内の設定温度を低く設定し、助手席側の車室内の設定温度を高く設定した場合、吹出口モードをベントモードに設定すると、冷たい温調空気が運転席のベント吹出口から吹き出し、熱い温調空気が助手席のベント吹出口から吹き出される。このため、助手席に座っている乗員は熱い温調空気を顔に受けることになり、不快感を感じてしまうとともに足下の寒さが解消されない等の問題があった。
【0006】
この問題を解消するには、助手席側と運転席側でそれぞれ独立して吹出口モードを設定できるようにすればよいが、その空調部の構造および動作制御が複雑になってしまう問題がある。
【0007】
この発明の目的は、助手席側と運転席側でそれぞれ独立して吹出口モードを設定できなくても、助手席および運転席の乗員に不快感を与えてしまうことのない空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、温度調整された助手席側用の第1温調空気を生成する第1混合手段と、温度調整された運転席側用の第2温調空気を生成する第2混合手段と、所望の一対の吹出口から第1温調空気と第2温調空気をそれぞれ吹き出させる吹出口モードを設定する吹出口モード設定手段と、助手席側の車室内の温度を設定する第1温度設定手段と、運転席側の車室内の温度を設定する第2温度設定手段と、車室内および車室外の環境条件を検出する環境条件検出手段と、前記第1,第2温度設定手段の設定温度と前記環境条件検出手段が検出する環境条件とに基づいて助手席側に吹き出す空気の目標温度であるアシスト目標吹出温度と運転席側に吹き出す空気の目標温度であるドライバ目標吹出温度とを求めるとともに、この求めたアシスト目標吹出温度およびドライバ目標吹出温度となるように前記第1,第2混合手段を制御する演算制御手段とを備え、前記吹出口モードは、前記第1温調空気および第2温調空気を助手席および運転席の乗員の足下に向けて吹き出すフットモードと助手席および運転席の乗員の顔側に向けて吹き出すベントモードとその両方に向けて吹き出すバイレベルモードとを有する車両用空調装置であって、
前記演算制御手段は、前記環境条件検出手段が検出した環境条件に合った快適な吹出口モードを求め、前記吹出口モード設定手段によって設定されている吹出口モードをその快適な吹出口モードに変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、環境条件に合った快適な吹出口モードが設定されるので、助手席および運転席の両乗員に不快感を与えてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係る車両用空調装置の空調部の構成を示した説明図である。
【図2】車両用空調装置の空調制御部の構成を示したブロック図である。
【図3】車両用空調装置の動作を示したフロー図である。
【図4】外気温と日射量から季節を判断するためのマップである。
【図5】目標吹出温度から快適な吹出口モードを求めるマップである。
【図6】第2実施例の車両用空調装置の動作を示したフロー図である。
【図7】目標吹出温度から快適な吹出口モードを求めるマップである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明に係る車両用空調装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
[第1実施例]
この発明に係る車両用空調装置は、図1に示す空調部1と空調制御部20(図2参照)とから構成されている。
【0013】
図1に示す空調部1は、内気または外気を取り入れて空気調和する空気量を決定するエアイントレット部2と、循環する冷媒およびエンジンを循環する温水により吸熱もしくは加熱された空気を混合するクーラ部3と、吹出口モードをベントおよびフットなどにする吹出口部4と有している。
【0014】
エアイントレット部2には、内気吸入口5および外気吸入口6のいずれか、または、両者を適当な比率で導入するかを選択して車室内の空気もしくは車室外の空気を取り入れるエアイントレットドア7と、このエアイントレットドア7により取り入れる空気量を調整するブロア8を回転するブロア用モータ9とが設けられている。
【0015】
また、クーラ部3には、図示しない冷凍サイクルを構成するとともに循環する冷媒によりエアイントレット部3からの空気を吸熱させるエバポレータ10が設けられ、このエバポレータ10で吸熱され低温となった空気をエンジンに循環する比較的高温の冷却水により加熱させるヒータ14が設けられている。エバポレータ10の下流には、助手席側の空気混合を行う第1エアミックスドア13aおよび運転手席側の空気混合を行う第2エアミックスドア13bが設けられている。
【0016】
そして、エバポレータ10と第1エアミックスドア13aとヒータ14とで助手席用の温調空気(第1温調空気)を生成する第1混合手段が構成され、エバポレータ10と第2エアミックスドア13bとヒータ14とで運転席用の温調空気(第2温調空気)を生成する第2混合手段が構成される。
【0017】
吹出口部4には、クーラ部3の第1エアミックスドア13aにより空気混合された空気を助手席側に吹き出す吹出口および第2エアミックスドア13bにより空気混合された空気を運転手席側に吹き出す吹出口がある。助手席側の吹出口には、第1ベント吹出口17a、第1フット吹出口18aおよび第1デフロスト吹出口15aがある。また、運転手席側の吹出口には、第2ベント吹出口17b、第2フット吹出口18bおよび第2デフロスト吹出口15bがある。これらの吹出口には、開閉して助手席側および運転手席側の吹出口を所望の吹出口モードにするモードドア12a〜12dが設けられている。モードドア12a〜12dは、リンク機構を介して1つのアクチュエータによって開閉される。
【0018】
すなわち、助手席側および運転席側の吹出口モードがそれぞれ同一に設定される。つまり、助手席および運転席側ともベントモード,フットモード,バイレベルモードがそれぞれ同一に設定される。
【0019】
ベントモードは第1,第2ベント吹出口17a,17bから温調空気を吹き出させるものであり、フットモードは第1,第2フット吹出口18a,18bから温調空気を吹き出させるものである。また、バイレベルモードは第1,第2ベント吹出口17a,17bおよび第1,第2フット吹出口18a,18bから温調空気を吹き出させるものである。
【0020】
図2は、空調制御部20の構成を示したブロック図である。
【0021】
空調制御部20は、助手席側の車室内の温度を設定する第1温度設定部(第1温度設定手段)21と、運転席側の車室内の温度を設定する第2温度設定部(第2温度設定手段)22と、車外の外気温を検出する外気温検出部24と、助手席側の車室内の温度を検出する第1内気温検出部(第1内気温検出手段)27と、運転席側の車室内の温度を検出する第2内気温検出部(第2内気温検出手段)28と、助手席側の日射量を検出する第1日射量検出部(第1日射量検出手段)41と、運転席側の日射量を検出する第2日射量検出部(第2日射量検出手段)42と、A/D変換部25と、日射量から季節を求めるマップや快適な吹出口モードを求めるためのマップなどを記憶した記憶部(記憶手段)26と、吹出口モードとしてベントモード,フットモード,バイレベルモード等を設定する吹出口モード設定手段50と、各検出部の各温度と日射量と第1,第2温度設定部21,22の設定温度等とに基づいて助手席側の目標吹出温度であるアシスト目標吹出温度XMと運転手席側の目標吹出口温度であるドライバ目標吹出温度XMを算出したりする演算処理部(演算制御手段)23等とを備えている。
【0022】
演算処理部23は、エアイントレットドア7を開閉すべく、駆動部29dを介してエアイントレットドア用アクチュエータ34を駆動して内気または外気もしくは両者を取り入れる。このエアイントレットドア7により取り入れられた空気は、演算処理部23により目標吹出口温度となるように駆動部29bを介して第1エアミックスドア13aを開閉し温度調整される。
【0023】
また、演算処理部23は、第2温度設定部22により所望の温度設定値が入力されると、第2日射量検出部42により運転手席側の日射、外気温検出部24により車外の外気温、第2内気温検出部28により運転手席側の車室内の内気温をそれぞれA/D変換部25によってディジタル値に変換する。
【0024】
助手席側および運転手席側の一応の空気調和が終了した場合には、モードドア12a〜12dをモード設定用アクチュエータ31で開閉して適当な吹出口モードにして、空気調和がより効果的になるようにしている。
【0025】
また、吹出口モード設定手段50によりベントモード,フットモード,バイレベルモード等を設定すると、モード設定用アクチュエータ31がその設定されたモードに応じて各モードドア12a〜12dを図1に示す実線位置や破線位置などに切り換える。
【0026】
なお、図2では、内気吸入口5および外気吸入口6の吸込口温度をそれぞれ検出する吸込口温度検出部と、エンジン水温を検出するエンジン水温検出部は省略してある。
[動 作]
次に、上記のように構成される車両用空調装置の動作を図3に示すフロー図に基づいて説明する。
【0027】
ステップ1では、第1,第2温度設定部21,22により設定された設定温度と、外気温検出部24が検出する外気温度と、第1,第2内気温検出部27,28が検出する助手席および運転席側の車室内の室内温度と、第1,第2日射量検出部41,42が検出する助手席および運転席側の日射量と、吸込口温度検出部(図示せず)が検出する内気吸入口5および外気吸入口6の吸込口温度と、エンジン水温検出部(図示せず)が検出するエンジン水温とを演算処理部23がA/D変換器25を介して読み込む。
【0028】
ステップ2では、ステップ1で読み込んだ各種の温度や日射量に基づいて運転席側に吹き出す空気の目標温度であるドライバ目標吹出温度XMを算出する。この目標吹出温度XMの算出は、従来と同じ式によって算出するものであるからその説明は省略する。
【0029】
ステップ3では、ステップ2と同様にして助手席側に吹き出す空気の目標温度であるアシスト目標吹出温度XMを算出する。
【0030】
ステップ4では、第1,第2日射量検出部41,42が検出する日射量と外気温に基づいて、夏か冬かを判断する。
【0031】
この判断は、下記の式で求めた値Fと、図4に示すマップM1から判断する。このマップM1は記憶部26に記憶されている。
【0032】
F=Tam−(A×Qsun+B)
ただし、Tamは外気温度、Qsunは日射量、A,Bは定数である。日射量は第1,第2日射量検出部41,42が検出する多い方の値を使用する。
【0033】
そして、Fの値が例えばF1であるときには、図4に示すマップM1から冬と判断し、F2のときには夏と判断する。
【0034】
ステップ4で夏と判断されるとステップ5へ進み、冬と判断されるとステップ6へ進む。
【0035】
ステップ5では、ステップ2で求めたドライバ目標吹出温度XMとステップ3で求めたアシスト目標吹出温度XMのうち、小さい方の値の目標吹出温度を用いて、図5に示すマップM2から快適な吹出口モードを求める。すなわち、環境条件に合った快適な吹出口モードを求める。
【0036】
図5に示すマップM2は、目標吹出温度XM(環境条件)に対する快適な吹出口モードを示したものであり、このマップM2は記憶部26に記憶されている。
【0037】
いま、例えばドライバ目標吹出温度XMが20度、アシスト目標吹出温度が40度のときには、目標吹出温度XM=20度を用いて図5に示すマップM2からベントモードであることを求める。
【0038】
そして、演算処理部23はベントモードを設定し、第1ベント吹出口17aから40度の温調空気が吹き出され、第2ベント吹出口17aから20度の温調空気が吹き出される。
【0039】
例えば、フットモードが設定されていた場合、第1フット吹出口18aから40度の温調空気が吹き出され,第2フット吹出口18bから20度の温調空気が吹き出されることになり、この場合、運転者は涼しさを実感しないことになるが、ベントモードに変更されることにより、運転者は涼しさを実感することになる。
【0040】
一方、助手席に座っている乗員には、40度の温調空気が顔周辺に当たることになるが、実際には夏の場合、このような高い温度になることはなく、せいぜい30度程度の温調空気なので、不快感を感じることはない。すなわち、両乗員とも不快感を感じてしまうことは防止されることになる。
【0041】
ステップ6では、ステップ2で求めたドライバ目標吹出温度XMとステップ3で求めたアシスト目標吹出温度XMのうち、大きい方の値の目標吹出温度を用いて、図5に示すマップM2から快適な吹出口モードを求める。
【0042】
例えば、ドライバ目標吹出温度XMが20度、アシスト目標吹出温度が40度のときには、目標吹出温度XM=40度を用いて図5に示すマップM2からフットモードであることを求める。
【0043】
そして、演算処理部23は、既に設定されている吹出口モードを変更してフットモードを設定する。これにより、第1フット吹出口18aから40度の温調空気が吹き出され,第2フット吹出口18bから20度の温調空気が吹き出されることになる。
【0044】
例えば、吹出口モード設定手段50によりベントモードが設定されていた場合、第1ベント吹出口17aから40度の温調空気が吹き出され,第2ベント吹出口17bから20度の温調空気が吹き出されることになり、この場合、助手席に座っている乗員は足下が冷えたままとなり、寒さを感じたまま40度の温調空気が顔周辺に当たることになるので不快感を感じることなる。しかし、ベントモードを変更してフットモードに設定することにより、第1フット吹出口18aから40度の温調空気が吹き出されるので,助手席に座っている乗員は足下から身体全体に亘って暖められていき、寒さを感じなくなる。
【0045】
一方、運転手は、第2フット吹出口18bから20度の温調空気が吹き出されるが、実際には冬の場合、このような低い温度になることはなく、せいぜい30度程度の温調空気なので、運転手の足下が冷えてしまうことはない。
【0046】
すなわち、両乗員とも不快感を感じてしまうことは防止されることになる。
【0047】
ところで、ステップ1では、第1,第2温度設定部21,22の設定温度と、外気温検出部24が検出する外気温度と、第1,第2内気温検出部27,28が検出する助手席および運転席側の車室内の室内温度と、第1,第2日射量検出部41,42が検出する助手席および運転席側の日射量と、吸込口温度検出部が検出する内気吸入口5および外気吸入口6の吸込口温度と、エンジン水温検出部が検出するエンジン水温とを読み込み、これらの温度や日射量に基づいてドライバ目標吹出温度XMとアシスト目標吹出温度をステップ2,3で算出しているが、少なくとも第1,第2温度設定部21,22の設定温度と、第1,第2内気温検出部27,28が検出する室内温度と、第1,第2日射量検出部41,42が検出する日射量とでドライバ目標吹出温度XMとアシスト目標吹出温度を算出すればよい。
【0048】
そして、外気温検出部24と第1,第2内気温検出部27,28と第1,第2日射量検出部41,42と吸込口温度検出部とエンジン水温検出部とが環境条件検出手段を構成するが、この環境条件検出手段は少なくとも第1,第2内気温検出部27,28と第1,第2日射量検出部41,42を有していればよい。
[第2実施例]
図6は第2実施例の空調制御部の動作を示したフロー図である。この第2実施例の空調制御部は、第1実施例の空調制御部20と同様な構成なのでその説明は省略する。以下、図6のフロー図に基づいて第2実施例の動作について説明する。
【0049】
ステップ10では、第2温度設定部22により設定された設定温度と、外気温検出部24が検出する外気温度と、第2内気温検出部28が検出する運転席側の車室内の室内温度と、第2日射量検出部42が検出する運転席側の日射量と、吸込口温度検出部(図示せず)が検出する内気吸入口5および外気吸入口6の吸込口温度とに基づいてドライバ目標吹出温度XMを算出する。
【0050】
ステップ11では、第1温度設定部21により設定された設定温度と、外気温検出部24が検出する外気温度と、第1内気温検出部27が検出する助手席側の車室内の室内温度と、第1日射量検出部41が検出する助手席側の日射量と、吸込口温度検出部(図示せず)が検出する内気吸入口5および外気吸入口6の吸込口温度とに基づいてアシスト目標吹出温度XMを算出する。
【0051】
ステップ12では、ステップ10で算出したドライバ目標吹出温度XMに基づいて図7に示すマップM3から吹出口モードを求め、ステップ11で算出したアシスト目標吹出温度XMに基づいて図7に示すマップM3から吹出口モードを求める。
【0052】
図7に示すマップM3は目標吹出温度XMに対する快適な吹出口モードを示したものであり、このマップM3は記憶部26に記憶されている。
【0053】
いま、例えばドライバ目標吹出温度XMが20度、アシスト目標吹出温度XMが40度のとき、図7に示すマップにより運転席側では快適な吹出口モードとしてベントモードが求められ、助手席側では快適な吹出口モードとしてフットモードが求められる。
【0054】
ステップ13では、タイマのカウントが30秒経過したか否かが判断され、ノーであればステップ19へ進み、イエスであればステップ14へ進む。
【0055】
ステップ14では、前回はドライバ目標吹出温度XMにより決まるモードポジションにいたかが、すなわち、前回の吹出口モードがドライバ目標吹出温度XMによって決まったモードであるか否かが判断され、イエスであればステップ15へ進む。
【0056】
ステップ15では、ドライバ目標吹出温度XMによって決まるモードポジションに、すなわち吹出口モードがベントモードに設定され、第2ベント吹出口17bから20度の温調空気が吹き出され,第1ベント吹出口17aから40度の温調空気が吹き出される。
【0057】
ステップ16では、タイマのカウントが1つアップされリターンしてステップ10へ進む。
【0058】
ステップ14でノーと判断された場合にはステップ17へ進む。
【0059】
ステップ17では、アシスト目標吹出温度XMによって決まるモードポジションに、すなわち吹出口モードがフットモードに設定され、第2フット吹出口18bから20度の温調空気が吹き出され、第1フット吹出口18aから40度の温調空気が吹き出される。
【0060】
ステップ18では、タイマのカウントが1つアップされリターンしてステップ10へ進む。
【0061】
ステップ10〜ステップ16の処理動作は、タイマのカウントが30秒になるまで繰り返し行われる。つまり、ベントモードが30秒間行われる。そして、タイマのカウントが30秒になると、ステップ13でノーと判断されてステップ19へ進み、タイマがリセットされる。
【0062】
ステップ20では、前回はドライバ目標吹出温度XMによって決まるモードポジションにいたかが、すなわち、前回の吹出口モードがドライバ目標吹出温度XMによって決まったモードであるか否かが判断され、イエスであればステップ17へ進み、ノーであればステップ15へ進む。
【0063】
すなわち、ベントモードが30秒間行われた後、ステップ10〜13,19,20,17,18の処理が行われてフットモードが設定される。この後、ステップ10〜14,17,18の処理が30秒間繰り返し行われる。つまり、フットモードが30秒間行われる。
【0064】
このようにして、ステップ12で求めた快適なベントモードとフットモードを交互に30秒間づつ行なわれていく。
【0065】
このように、運転手および助手席の乗員にそれぞれ快適なモードを30秒間づつ交互に設定することになる。すなわち、第2ベント吹出口17bから20度の温調空気が,第1ベント吹出口17aから40度の温調空気がそれぞれ30秒間吹き出され、この後、第2フット吹出口18bから20度の温調空気が、第1フット吹出口18aから40度の温調空気がそれぞれ30秒間吹き出され、これら動作が繰り返し行われていく。
【0066】
つまり、両乗員にとって30秒間づつ交互に快適な温調空気を浴びることになるので、両乗員は不快感を感じてしまうことが防止される。
【0067】
また、時間の経過とともに車室内の温度はアシスト目標吹出温度XMとドライバ目標吹出温度XMとの中間の値に近づいていくので、長時間に亘ってベントモードとフットモードを交互に行うようにしても両乗員に不快感を与えてしまうこともない。
【0068】
この実施例では、ステップ10〜ステップ20の処理動作でベントモードとフットモードを交互に30秒間づつ行なっているが、必ずしも30秒間である必要はない。また、そのフロー図に限定されるものではなく、ベントモードとフットモードを交互に所定時間づつ行えればどのようなフロー図であってもよい。
【0069】
この発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々設計変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
21 第1温度設定部(第1温度設定手段)
22 第2温度設定部(第2温度設定手段)
23 演算処理部(演算制御手段)
27 第1内気温度検出部(第1内気温度検出手段)
28 第2内気温度検出部(第2内気温度検出手段)
41 第1日射量検出部(第1日射量検出手段)
42 第2日射量検出部(第2日射量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整された助手席側用の第1温調空気を生成する第1混合手段と、温度調整された運転席側用の第2温調空気を生成する第2混合手段と、所望の一対の吹出口から第1温調空気と第2温調空気をそれぞれ吹き出させる吹出口モードを設定する吹出口モード設定手段と、助手席側の車室内の温度を設定する第1温度設定手段と、運転席側の車室内の温度を設定する第2温度設定手段と、車室内および車室外の環境条件を検出する環境条件検出手段と、前記第1,第2温度設定手段の設定温度と前記環境条件検出手段が検出する環境条件とに基づいて助手席側に吹き出す空気の目標温度であるアシスト目標吹出温度と運転席側に吹き出す空気の目標温度であるドライバ目標吹出温度とを求めるとともに、この求めたアシスト目標吹出温度およびドライバ目標吹出温度となるように前記第1,第2混合手段を制御する演算制御手段とを備え、前記吹出口モードは、前記第1温調空気および第2温調空気を助手席および運転席の乗員の足下に向けて吹き出すフットモードと助手席および運転席の乗員の顔側に向けて吹き出すベントモードとその両方に向けて吹き出すバイレベルモードとを有する車両用空調装置であって、
前記演算制御手段は、前記環境条件検出手段が検出した環境条件に合った快適な吹出口モードを求め、前記吹出口モード設定手段によって設定されている吹出口モードをその快適な吹出口モードに変更することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調装置であって、
前記環境条件検出手段は、助手席側の日射量を検出する第1日射量検出手段と、運転席側の日射量を検出する第2日射量検出手段と、外気温を検出する外気温検出手段とを少なくとも有し、
前記演算制御手段は、前記第1日射量検出手段または第2日射量検出手段が検出した日射量と外気温検出手段が検出する外気温とから季節を判断し、この季節に対応して前記アシスト目標吹出温度またはドライバ目標吹出温度を選択し、この選択した目標吹出温度に応じて、前記の設定されている吹出口モードをその快適な吹出口モードに変更することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
目標吹出温度と、フットモード,バイレベルモードおよびベントモードとの関係を示すマップを記憶した記憶手段を備え、
前記演算制御手段は、季節を冬と判断したとき前記アシスト目標吹出温度とドライバ目標吹出温度の値の大きい方の目標吹出温度を選択し、夏と判断したとき前記アシスト目標吹出温度とドライバ目標吹出温度の値の小さい方の目標吹出温度を選択し、この選択した目標吹出温度に基づいて前記記憶手段のマップからフットモード,バイレベルモードおよびベントモードのいずれかのモードを快適な吹出口モードとして求めることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用空調装置であって、
目標吹出温度と、前記フットモード,バイレベルモードおよびベントモードとの関係を示すマップを記憶した記憶手段を備え、
前記環境条件検出手段は、助手席側の日射量を検出する第1日射量検出手段と、運転席側の日射量を検出する第2日射量検出手段と、助手席側の車室内の温度を検出する第1内気温検出手段と、運転席側の車室内の温度を検出する第2内気温検出手段とを少なくとも有し、
前記演算制御手段は、第1,第2日射量検出手段が検出する日射量と、第1,第2内気温検出手段が検出する温度と、前記第1,第2温度設定手段によって設定する設定温度とに基づいて、前記アシスト目標吹出温度とドライバ目標吹出温度とを求め、この求めたアシスト目標吹出温度とドライバ目標吹出温度に基づいて前記記憶手段のマップからそれぞれの目標吹出温度に対するフットモード,バイレベルモードおよびベントモードのいずれかのモードを快適な吹出口モードとしてそれぞれ求め、この求めたモードが異なるとき、その異なるモードを所定時間づつ交互に行うことを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−163003(P2010−163003A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5973(P2009−5973)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】