説明

車両用空調装置

【課題】暖房を司るサブコンデンサと直列に接続の吸熱用のサブエバポレータの凍結時に確実な解凍を図ることを目的としている。
【解決手段】コンプレッサ33と暖房用のサブコンデンサ16と吸熱用のサブエバポレータ45と一時に溜めるアキュームレータ39とを少なくとも構成要素とする冷凍サイクル32を構成する。それから、前記サブエバポレータ45にバイパス配管53を並設し、このバイパス配管53に開閉型の電磁弁54を設ける。さらに、前記冷凍サイクル32の前記サブコンデンサ16より上流側に流量調整型の電磁弁41を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に用いられる空調装置に関し、特に電気自動車等の暖房用熱源が不足しがちな車両における車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発、又はエンジンの高効率化等が盛んに行われているが、このような車両においては、従来のエンジン走行車のようにエンジン冷却水を暖房の熱源として用いることができない、又は困難であるため、十分な暖房機能を得るための熱源の確保が模索されている。
【0003】
このような状況の下、ヒートポンプ冷暖房を行う車両用ヒートポンプ式空調装置において、車室内から排出する空気と導入される外気と熱交換して、冷房時に冷却量を暖房時に加熱量をそれぞれ減少させ、もって、省エネルギーを図るヒートポンプ式空調装置が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、別の従来技術が特許文献2に示されている。この特許文献2に開示されているヒートポンプ式自動車用空調装置は、車外に排出される空気が保有する熱を回収する熱回収暖房運転ができるモードを有している。即ち、車両の後方部にリア側内部熱交換器34をユニットケース32の風路32f内に配置したリアユニット30を備え、そのリアユニット30を用いて、第3の流量調整弁37を絞り、フロント側内部熱交換器14を放熱器(コンデンサ)として機能させることは暖房運転の場合と同様であるが、前記リア側内部熱交換器34を吸熱器(エバポレータ)として機能させ、車外に排出する空気から熱を冷媒により回収するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−204633号公報
【特許文献2】特開2000−62449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献2に開示されるシステムについては、リアユニット30を用いて、リアユニット内のリア側内部熱交換器34を吸熱器として使用するものであるが、車両の後方部に配され、そこまで冷媒配管が延設されなければならず、配管を敷設する手段も繁雑となり、コスト増の要因となっている。
【0007】
当出願人は、特願2008−172286において、冷房側と暖房側の2つの冷凍サイクルを備える車両用空調装置を提案している。この構成によれば、双方の冷凍サイクルを適宜切り替え若しくは組み合わせて、暖房運転、冷房運転のみならず中間期の適切な温度制御を可能とすることができる。
【0008】
この出願に係る発明は、車室内から車室外に排出される空気(排気)から排熱回収を図る排気熱交換器を備えている。この排気熱交換器と暖房側サイクルのエバポレータ(サブエバポレータ=第2のエバポレータ)との間には液体を媒体とした排熱回収サイクルが構成されており、排気熱交換器で回収した排熱を暖房側サイクルのエバポレータにて冷凍サイクルを流れる冷媒に吸熱させて、暖房能力の確保が図られている。
【0009】
しかしながら、熱回収能力の向上を図るため、低温の温度条件までコンプレッサが稼働するように設定すれば、熱回収能力の増加を期待できるようになるが、排熱回収サイクルを流れる媒体が0度以下となる場合も生じ、排気熱交換器に発生する凝縮水を凍結させる恐れがある。
【0010】
当然ながら、排気熱交換器が凍結すると、この排気熱交換器の通風・熱交換が阻害され、車室外に排出される空気から熱の回収を図ることができなくなり、暖房サイクルでのヒートポンプ量が極端に減少し、空調制御が不能な状態となる。したがって、排気熱交換器は、凍結を生じないように、また凍結したら凍結解凍の手段を備えておかなければならない。
【0011】
そこで、この発明は、サブエバポレータ凍結時に確実な解凍を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の車両用空調装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサを持ち、このコンプレッサの出口側に少なくとも2つの冷凍サイクルを備え、一方の冷凍サイクルは、圧縮冷媒の持つ熱を放出させるサブコンデンサと、このサブコンデンサより液化された冷媒に吸熱させるサブエバポレータと、このサブエバポレータからのガス冷媒を導き、一時的に溜めるアキュームレータとより成り、前記サブコンデンサ又はこのサブコンデンサからの熱の供給を受けるヒータコアが空調装置本体内に配され、前記サブエバポレータには、車室内から車外へ排出される空気から排熱回収を図る排気熱交換器との間に循環ポンプを備えた排熱回収サイクルを付設し、更にサブエバポレータに対してバイパス配管が並設され、このバイパス配管に開閉型の電磁弁が設けられ、前記排気熱交換器が凍結したときは、前記バイパス配管に設けられた開閉型の電磁弁を開放すると共に、前記排熱回収サイクルの循環ポンプの駆動を停止させることにある(請求項1)。
【0013】
この構成から、一方(暖房側)の冷凍サイクルが稼動している時において、排熱回収サイクルの排気熱交換器の凍結が検出されると、バイパス配管に設けられた開閉型の電磁弁が開かれ、冷媒をバイパス配管を経由させて下流のアキュームレータに流すようにし、サブエバポレータへの流入を防止する。さらに排熱回収サイクルの循環ポンプの駆動を停止させることにより、サブエポレータで吸熱された低温の媒体の循環を停止し、もって排気熱交換器の解凍を促進させることができる。
【0014】
さらに、この発明の車両用空調装置は、前記一方の冷凍サイクルの配管にあって、前記サブコンデンサの上流に、流れる冷媒の流量を可変とする流量調整型の電磁弁が設けられており、前記排気熱交換器が凍結したときは、この流量調整型の電磁弁を小開度とすることを特徴とする(請求項2)。
【0015】
この構成により、一方(暖房側)の冷凍サイクルが稼動している時において、排熱回収サイクルの排気熱交換器の凍結が検出されると、前述のバイパス配管に設けられた開閉型の電磁弁が開かれると共に、サブコンデンサ上流に設けられた流量調整型の電磁弁の開度が小開度となる。コンプレッサにより圧縮された冷媒は、小開度となった電磁弁の絞りに抗して高圧高温となり、この電磁弁を通過した後は低圧まで降下し、サブコンデンサで放熱し、バイパス経路を経由して、この一方の冷凍サイクルを循環する。これにより、排熱回収サイクルの稼動が停止しているときであっても、サブコンデンサの放熱作用(暖房作用)は継続される。
【0016】
また他方(冷房側)の冷凍サイクルは、圧縮冷媒と外気とを熱交換させるコンデンサと、このコンデンサにより液化された冷媒を膨張弁を介して断熱膨張させ、導入空気を冷却する、空調装置本体内に配されたエバポレータと、このエバポレータからのガス冷媒を導き、一時的に溜めると共に、前記コンプレッサへ接続の前記アキュームレータと、前記コンデンサまでの配管に設けられた開閉型の電磁弁とより成っている(請求項3)。
【0017】
即ち、この冷房側の冷凍サイクルにより、空調装置本体内に配されるエバポレータに冷媒が流されて導入空気を冷却する働きをし、前記暖房側(一方)の冷凍サイクルと一体となって、冷暖房の制御が行われることになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明によれば、排熱回収サイクルの排気熱交換器が凍結されると、サブエバポレータをバイパスするバイパス配管に設けられた開閉型の電磁弁が開かれ、さらに排熱回収サイクルの循環ポンプの稼動が停止する。これにより、冷媒はサブエバポレータに流れず、排熱回収サイクルの媒体が冷やされることが防止され、さらに既に低温となっている排熱回収サイクルの媒体の循環を停止し、排気熱交換器の凍結の解凍を行わせる(請求項1)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る車両用空量装置の実施例1の構成図である。
【図2】この発明に係る車両用空調装置の実施例2の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1において、車両用空調装置1は、車室3内の温度等を制御する装置であり、車両2に搭載された空調装置本体4は、空調ケース5の上流側にインテーク部6を備え、インテークドア7の作動によって内気導入口10と外気導入口11を切換えて、内気又は外気の導入を選択している。そして、ブロア12により導入される内気又は外気を下流へ送り出している。
【0022】
前記インテーク部6の下流には、導入空気を冷却するためのエバポレータ14が配され、ここを通過する空気を冷却している。このエバポレータ14は下記に説明する冷凍サイクル30の構成要素となっている。
【0023】
サブコンデンサ16は、前記空調装置本体4内で前記エバポレータ14の下流に配され、下記する冷凍サイクル30からの熱の供給を受けて、ここを通過する空気を加熱している。このサブコンデンサ16への通過空気量は、その前に設けられたミックスドア17にて制御され、この下流域でサブコンデンサ16を通過して暖められた温風と、このサブコンデンサ16をバイパスした冷風と混合することで、吹出空気温度が調温されている。
【0024】
そして、調温された空気が、選択されている吹出モードによりデフロスト吹出口18、ベント吹出口19及び足元吹出口20から車室3内に吹出される。21は熱源不足時に用いられるPTCなどの補助ヒータである。
【0025】
車室3内の後方には、排気空気から熱を回収する排気熱交換器26が設けられ、この排気熱交換器26は排気ブロア24と共に排気ケース25に包まれ、車室3内から排出される空気(内気)から熱交換して熱の回収を図っている。この排気熱交換器26には、その吹出側に吹出空気温度検出器27が設けられていて、吹出空気温度により、排気熱交換器26の凍結状態を監視している。この排気熱交換器26は下記に説明する排熱回収サイクル47を構成している。
【0026】
冷凍サイクル30は、冷媒を加圧するモータ駆動のコンプレッサ33を共通とし、該コンプレッサ33からの吐出側に2つの第1及び第2の冷凍サイクル31及び32を備えている。前記第1の冷凍サイクル31は、第1の開閉型の電磁弁34を介してコンデンサ35に接続され、このコンデンサ35で放熱され、冷媒は液化され、一方向弁36を介して前記エバポレータ14に流される。
【0027】
エバポレータ14は積層型、フィンアンドチューブ型等で、その上流側に絞り弁38を持ち、該絞り弁38により冷媒は断熱膨張され、その際に吸熱し、エバポレータ14を通る空気を冷風化する。そして、冷媒は吸熱して気化されながら、該エバポレータ14の出口からアキュームレータ39に至り、そこで、一時的に貯められた後、コンプレッサ33に吸入される。即ち、第1の冷凍サイクル31を稼働させることで、冷媒が実線矢印のように流れ、車室内を冷房する働きが行われる。
【0028】
それから、第2の冷凍サイクル32は、前記コンプレッサ33の吐出側に前記第1の開閉型の電磁弁34に並設した第2の流量調整型の電磁弁41を介して前述した空調装置本体4内に配されたサブコンデンサ16が接続され、このサブコンデンサ16で高温高圧の冷媒ガスの持つ熱が放熱される。即ち、第2の冷凍サイクル32を稼働させることで、車室内を暖房する働きが行われる。そして、サブコンデンサ16からの冷媒は、下記するサブエバポレータ45に流される。なお、前述の流量調整型の電磁弁41は連続的に流量を可変する弁である。
【0029】
サブエバポレータ45に流される冷媒は、その上流側に設けられた絞り弁46により断熱膨張され、サブエバポレータ45にて下記する排熱回収サイクル47を循環する媒体と熱交換される。熱交換する部位の構造は、冷媒が流れるサブエバポレータ45の複数の扁平チューブと、媒体が流れる排熱回収サイクル47の放熱部50の複数の扁平チューブが、それぞれ互いに重なり合って積層されてなり、この排熱回収サイクル47の媒体の熱を第2の冷凍サイクル32の冷媒に吸熱させることが可能となっている。サブエバポレータ45と放熱部50が直接接触しているため、サブエバポレータ45が低温(0度以下)となっても、氷結によって第2の冷凍サイクル32と排熱回収サイクル47の熱交換が阻害されることはない。
【0030】
この排熱回収サイクル47は、前述した排気熱交換器26で回収した温熱を、クーラントを媒体にして第1の循環ポンプ48にて前記放熱部50に循環させることにより構成されている。これにより、車室3内から車室3外へ排出される空気から回収した排熱を、放熱部50にて第2の冷凍サイクル32と熱交換させ、暖房運転時の貴重な熱源として利用することが可能となっている。なお、この排熱回収サイクル47には、他の熱源であるモータ等の機器からの排熱を吸熱するための吸熱部49も接続している。
【0031】
第2の冷凍サイクル32には、凍結解凍手段として、サブエバポレータ45に並列に接続したバイパス配管53と、このバイパス配管53に取り付けられた第3の開閉型の電磁弁54が設けられている。第3の開閉型の電磁弁54は通常は閉じられているが、排気熱交換器26の凍結を温度検出器27が検出すると、この第3の開閉弁が開かれ、冷媒がサブエバポレータ45を迂回してバイパス配管53に流れることになる。
【0032】
サブエバポレータ45、もしくはバイパス配管53からの冷媒は、前記したアキュームレータ39に至り、ここで貯められ、再びコンプレッサ33により吸引されることになる。即ち、第2の冷凍サイクル32を稼働させることで、冷媒が点線矢印のように流れ、車室内を暖房する働きが行われる。
【0033】
また、冷凍サイクル30には、暖房運転時に除湿するための連絡配管56が組込まれている。この連絡配管56は、前記第2の冷凍サイクル32の前記サブコンデンサ16の下流側から分岐し、第4の開閉型の電磁弁57及び一方向弁58を介して第1の冷凍サイクル31のコンデンサ35の下流側に接続されている。
【0034】
この連絡配管56は、暖房運転時である第2の冷凍サイクル32の稼働時に第4の開閉型の電磁弁57を開けることにより、冷媒の一部をエバポレータ14に供給する(二点鎖線矢印)。これにより量的には少ないが、エバポレータ14が働き、導入された空気を除湿し、車室内の湿度が高く、車外の温度が低い時にガラス面に発生するくもりを晴らす効果を持たすことができる。
【0035】
上記の構成において、第1の開閉型の電磁弁34を開けば、第1の冷凍サイクル31に冷媒が流れて冷房運転モードが、第2の流量調整型の電磁弁41を開けば、第2の冷凍サイクル32に冷媒が流れて暖房運転モードが、第1の開閉型の電磁弁34と第2の流量調整型の電磁弁41とを共に開けば、冷房・暖房運転モードが、そして、第2の流量調整型の電磁弁41と第4の開閉型の電磁弁57を開けば、暖房運転モードであるか除湿運転が加えられている、4モードの運転が4個の電磁弁の制御で行われる。
【0036】
暖房モード(除湿モードも含む)又は冷・暖房モード時にあっては、コンプレッサ33により加圧された冷媒は、第2の流量調整型の電磁弁41を経て、空調装置本体4内に配置されたサブコンデンサ16に流れ、導入空気を加熱して、暖房モード時の空調制御が行われる。
【0037】
そして、冷媒はサブエバポレータ45に流されて断熱膨張され、吸熱作用が行われる。熱源として排熱回収サイクル47の熱で、冷媒はサブエバポレータ47内にて気化冷媒となり、アキュームレータ39に戻され、再びコンプレッサ33にて加圧されることになる。
【0038】
この発明に係る排気熱交換器26の解凍制御を以下詳述する。この排気熱交換器26に凝縮した凝縮水が凍結すると、温度検出装置27がそれを検出することになり、この検出信号が図示しない制御コンピュータに入力され、所定のフローに従って、まず開閉型の第3の電磁弁54を閉から開に切換える。この結果、冷媒は、バイパス配管53内を流れるようになり、サブエバポレータ45への流入がなくなる。これにより、第2の冷凍サイクルと排熱回収サイクル47の熱交換がなくなり、排熱回収サイクル47のクーラント(媒体)が冷やされることがなくなる。さらに、排熱回収サイクル47の第1の循環ポンプ48が停止されることにより、既に低温となっているクーラントの循環が止められ、排気熱交換器26が冷やされることがなくなり、排気熱交換器26の凍結の解凍を図ることができる。さらに、排気ブロワ24の稼動を続ければ、排気熱交換器26の解凍をさらに迅速に促進することができる。
【0039】
また、この解凍制御が行われているとき、第2の冷凍サイクル32は、第2の流量調整型の電磁弁41を小開度状態として、稼動を継続する。コンプレッサ33により送出される冷媒は、この第2の流量調整型の電磁弁41の絞りに抗して圧縮されるため、高温高圧に高められることとなる。この高圧ガスは第2の流量調整型の電磁弁41を通過した後は低圧まで降下するが、圧縮機によって与えられた仕事分の熱量を保有しており、サブコンデンサで放熱し、バイパス経路を経由して、第2の冷凍サイクルを循環する。これにより、排熱回収サイクル47の稼動が停止しているときであっても、サブコンデンサ16の放熱作用(暖房作用)は継続される。
【0040】
そして、吹出空気温度検出器27により、サブエバポレータ45の凍結の解凍完了が検出されると、第3の開閉型の電磁弁54が開から閉に切換わり、第2の流量調整型の電磁弁41の開度も元の状態に戻り、さらに排熱回収サイクル47の第1の循環ポンプ48も稼働されることになる。
【実施例2】
【0041】
図2において、この発明の2番目の実施例が示されている。この実施例2にあって、前記実施例1と異なる所は、前記実施例1が直接サブコンデンサ16を空調装置本体4内に配している例であるのに対し、前記サブコンデンサ16からヒータコア加熱サイクル62を介して加熱媒体(水)を空調装置本体4内に配されたヒータコア61に送り、このヒータコア61を加熱するようにしている。
【0042】
即ち、第2の冷凍サイクル32に設けられたサブコンデンサ16にヒータコア加熱サイクル62の受熱部16aが添着された構成で、この受熱部16aによりサブコンデンサ16からの放熱が回収される。このサブコンデンサ16は、冷媒の流れる部位と前記受熱部16aの水が流れる部位との間にフィンを介した構成で、熱は水側に伝えられる。
【0043】
前記受熱部16aは、第2の循環ポンプ60と空調装置本体4内に配されたヒータコア61とで閉サイクルのヒータコア加熱サイクル62が構成され、回収された熱ヒータコア61に至って、放熱される。この実施例2にあっては、ヒータコア加熱サイクル62を設けたことが実施例1と異なるが、その他の構成は実施例1と同一のため、同一部分を同じ符号を付して説明を省略した。この実施例2にあっても、前述したサブエバポレータ45の凍結時には同様な解凍制御が行われること勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両空量装置
2 車両
3 車室
4 空調装置本体
6 インテーク部
12 フロント側のブロワ
14 エバポレータ
16 サブコンデンサ
17 ミックスドア
21 補助ヒータ
24 排気ブロア
25 排気ケース
26 排気熱交換器
27 温度検出器
30 冷凍サイクル
31 第1の冷凍サイクル
32 第2の冷凍サイクル
33 コンプレッサ
34 第1の開閉型の電磁弁
35 コンデンサ
39 アキュームレータ
41 第2の流量制御型の電磁弁
45 サブエバポレータ
47 排熱回収サイクル
48 第1の循環ポンプ
50 放熱部
53 バイパス配管
54 第3の開閉型の電磁弁
56 連絡配管
57 第4の開閉型の電磁弁
61 ヒータコア
62 ヒータコア加熱サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するコンプレッサを持ち、このコンプレッサの出口側に少なくとも2つの冷凍サイクルを備え、
一方の冷凍サイクルは、圧縮冷媒の持つ熱を放出させるサブコンデンサと、
このサブコンデンサより液化された冷媒に吸熱させるサブエバポレータと、
このサブエバポレータからのガス冷媒を導き、一時的に溜めるアキュームレータとより成り、
前記サブコンデンサ又はこのサブコンデンサからの熱の供給を受けるヒータコアが空調装置本体内に配され、
前記サブエバポレータには、車室内から車外へ排出される空気から排熱回収を図る排気熱交換器との間に循環ポンプを備えた排熱回収サイクルを構成し、更にサブエバポレータに対してバイパス配管が並設され、このバイパス配管に開閉型の電磁弁が設けられており、
前記排気熱交換器が凍結したときは、前記バイパス配管に設けられた開閉型の電磁弁を開放すると共に、前記排熱回収サイクルの循環ポンプを停止させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記一方の冷凍サイクルの配管にあって、前記サブコンデンサの上流側に、流れる冷媒の流量を可変とする流量調整型の電磁弁を設け、前記排気熱交換器が凍結したときは、この流量調整型の電磁弁を小開度とすることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記一方の冷凍サイクルに対し、他方の冷凍サイクルは、圧縮冷媒と外気とを熱交換させるコンデンサと、
このコンデンサにより液化された冷媒を膨張弁を介して断熱膨張させ、導入空気を冷却する、空調装置本体内に配されたエバポレータと、
このエバポレータからのガス冷媒を導き、一時的に溜めると共に、前記コンプレッサへ接続の前記アキュームレータと、
前記コンデンサまでの配管に設けられた開閉型の電磁弁とより成ることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−25830(P2011−25830A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173859(P2009−173859)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】