説明

車両用窓きせ装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用窓きせ装置に係り、窓きせ部分に対してカ−テン部品等の艤装用部材が併設されているものに好適な車両用窓きせ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の窓周囲の構造、特に鉄道車両の窓部においては、見栄えの向上のため、窓きせ部分に曲面を多く用いた立体的な構造を採用している。前記立体的な構造を得るため、窓きせ装置をアルミニウム製押出し型材或いは繊維強化プラスチック(以下、単にFRPという)によって構成していた。前記押出し型材によって構成された窓きせ部材は、カーテンレールを一体に形成しているものもある。この押出し型材製の窓きせ部材は、その形状が直線的であり、窓周囲に設置する場合、窓周囲の各辺毎に独立して取付けられる構造となっていた。また、前記FRPによって構成された窓きせ部材は、それ自体を抜き型方式によって製作され、金属製のカーテンレールとは別部材として車体の骨部材に取付けられていた。
【0003】複数の強化ガラス或いは強化ガラスと生ガラスを重ねた合わせ窓ガラス等によって構成された窓ガラスの縁を覆う内きせとよばれる内装材も、FRP等によって構成される。この内きせは、窓ガラスの車体への取付け部である縁を覆うように構成されており、前記窓ガラス或いは窓きせ部材とは独立して取付けられていた。前記内きせよりも車内側には、カーテン装置が設置されており、該カーテン装置も前記他の部材に対し独立して車体の骨部材に取付けられる構成となっていた。前述の内きせおよびカ−テン装置の取付部構造は、車内側からそれぞれの締結部材が極力見えないように工夫が施されている。前記カ−テン装置としては、カーテン収納時にカーテン部分が見えない、ロ−ルアップ式のものが多く採用されている。また、テ−ブルや帽子掛けなどを車体の骨部材に、窓きせとは独立して取付けられている。
【0004】これらに関する構造として、例えば、旅客車工学概論(株式会社レ−ルウェイ・システム・リサ−チ 昭和61年7月7日発行)第279頁の図に記載された車両用窓きせ装置が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年の鉄道車両は、乗客へのサ−ビスアップのため車内のデザイン向上、見栄え向上が図られている。具体的には、車体の窓開口部に窓ガラスを設置し、該窓ガラスの内側に内きせ、カーテン装置、窓きせ部材を順に取付けている。前記窓きせ部材によってカーテン装置および内きせの取付け部を覆い隠す構造となっている。前記各窓艤装部品は、個々に車体の骨部材に固定される。車体の窓開口部の周囲に設置されている骨部材は、溶接によって組立てられる。したがって、各骨部材相互の位置関係を精度良く構成することは困難である。溶接によって組立てられた前記各骨部材に、前記内きせ、カーテン装置、窓きせ部材等の窓艤装品を取付ける場合には、前記骨部材と前記各窓艤装品との間に、スペーサを挿入する必要がある。前記スペーサによって骨部材に対する各窓艤装品の位置を調整して、前記各窓艤装品を前記各骨部材に取付けている。また、前記各窓艤装品の前記各骨部材への取付作業は、両者の位置合わせを行った後に、下穴を開け、タップ立てを行い、ねじ止めしなければならない。前記各艤装品毎に、前記作業を繰り換えさなければならず、多大な労力と時間が必要であった。
【0006】前記ロ−ルアップ式のカーテン装置は、カーテンを巻取る窓上部に設置されたローラと、窓の両側部に平行に設置される二つのカーテンレールとから構成されている。前記各カ−テンレールは、個々に骨部材に取付けられるが、取付け作業においてはお互いの間隔および平行度を調整しながらの作業となり、時間と労力が必要であるとともに熟練が必要であった。
【0007】本発明の第一の目的は、車体への取付けが簡単に行え、見栄えの良い車両用窓きせ装置を提供することにある。
【0008】本発明の第二の目的は、車内側表面に艤装品取付け用締結具が露出することなく見栄えのよい車両用窓きせ装置を容易に製作できる車両用窓きせ装置の製作方法を提供することにある。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第一の目的は、鉄道車両の車体の窓開口部周囲に設置された骨組部材の車内側表面を覆う窓きせ本体と、前記窓きせ本体に取付けられるカーテンレールとから構成されており、前記窓きせ本体は、前記骨組部材の車内側から見た前面および側面を覆うようにL字型断面形状に形成されており、前記カーテンレールは、前記窓きせ本体の車内側から見て裏面側の位置であって、前記骨組部材の側面に向い合った位置に取付けられており、前記カーテンレールの溝は、窓きせ本体に向けて配置されており、前記窓きせ本体の前記カーテンレールの溝に向い合った位置には、カーテン棒の移動範囲に一致させて開口部が形成されており、前記開口部はカーテン棒の端部が挿入され移動可能な大きさに形成されており、前記窓きせ本体には、カーテンを収納するカーテン収納部が形成されており、前記窓きせ本体は、車体の窓開口部周囲に設置された前記骨組部材に固定することにより車体に取付けられているにより、達成される。
【0011】上記第二の目的は、車体の窓縁を覆う窓きせ本体を一体成形する工程と、前記窓きせ本体にカ−テンの移動範囲に対応した開口部を形成する工程と、前記窓きせ本体の車内側から見た裏面側に前記開口部に溝を一致させてカ−テンレールを接着によって取付ける工程と、からなる車両用窓きせ装置の製作方法により、達成される。
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例を図1R>1ないし図5によって説明する。同図において、車体1は、複数の外板2と各種の骨部材を組合せた骨組とから構成されている。複数の外板2は前記骨組の外側に取付けられる。車体1の窓開口部6の周囲には幕帯3、腰帯4および側柱5の骨部材が設置されている。幕帯3は窓開口部6の上辺部近傍に、腰帯4は窓開口部6の下辺部近傍にそれぞれ配置されている。幕帯3、腰帯4は、それぞれの長手方向を車体の長手方向に沿わせて配置されている。側柱5は窓開口部6の車体長手方向の両側位置に、その長手方向を車体の上下方向に沿わせて配置されている。窓開口部6の車内側には、窓ガラス7が設置されている。この窓ガラス7としては、例えば複数の強化ガラス或いは強化ガラスと生ガラスを重ねた合わせ窓ガラス等が用いられる。窓ガラス7と外板2との間には、気密を保つためのシール剤が充填されている。窓ガラス7は、その全周の縁に設置された枠部材を幕帯3、腰帯4および側柱5に固定することにより、車体1に取付けられている。
【0015】窓きせ装置10は、内きせ11と窓きせ本体12とから構成されている。窓きせ装置10は、図1に示すように四角形の窓開口部6の全周に対応した四辺すなわち前記幕帯3、腰帯4およびを両側の側柱5を覆う部分を一体に構成している。前記内きせ11は、前記窓ガラス7の縁を、その全周に亘って覆っている。窓ガラス7のコーナ部に対応する内きせ11のコーナ部は、比較的大きな円弧状に形成されており、窓ガラス7の縁を体裁良く覆っている。内きせ11の窓ガラス7側の縁には、押さえゴム11aが取付けられている。この押さえゴム11aによって内きせ11と窓ガラス7との間の隙間をふさいでいる。
【0016】窓きせ本体12は、FRP製であって、内きせ11と一体に構成されており、幕帯3、腰帯4および側柱5の車内側に位置して、幕帯3、腰帯4および側柱5の車内側表面を覆っている。窓きせ本体12の側柱5を覆う部分の断面形状は、図3に示すように側柱5の車内側から見た前面および側面を覆うように、L字型に形成されている。窓きせ本体12のL字型部分よりも車外側は、後に説明するカーテンレールを収納するカーテンレール設置部12aを構成するために、窓の中央側へ張り出した形状となっている。カーテンレール収納部12aの窓の中央側に内きせ11が形成されている。この内きせ11も、それ自体の強度および剛性を確保するため、L字型断面形状に形成されている。側柱5に平行な内きせ11は、窓きせ本体12よりも厚く構成されている。窓きせ本体12および内きせ11の部分は、窓ガラスに近づくにしたがって、向かい合った窓きせ本体12同士の間隔すなわち上下方向および左右方向の間隔を短くしている。すなわち、窓きせ本体12および内きせ11を抜き型方式にて製作することを考慮して、抜き勾配を有している。
【0017】窓きせ本体12の腰帯4を覆う部分は、図2R>2に示すようにU字型に形成されており、上面は水平に、かつ、平面に構成され、下端部分を前記腰帯4にビスによって固定されている。この位置の内きせ11は、断面形状がL字型をなし、厚さは窓きせ本体12とほぼ同様に構成されている。窓きせ本体12の幕帯3を覆う部分は、カ−テン装置20の巻ロール21を収納する部分と前記幕帯3を覆うU字型断面部とから構成されている。前記U字型断面部分の上端部を、幕帯3に連結された別の骨部材にビスによって固定されている。前記カーテン装置20は、窓きせ本体12の車内側に取付けられている。このカーテン装置20は、本窓きせ装置10の上方に設置される荷棚と窓きせ装置10との間に設置される荷棚きせ30によって覆われる構成となっている。
【0018】カーテン装置20は、巻ロール21、二本のカーテンレール22、カーテン23およびカーテン棒24から構成されている。巻ロール21は、図2および図4に示すように窓きせ本体12の上辺部の車内側の面に、取付金25を介して取付けられる。取付金25は、巻ロール21よりも長い構成となっている。取付金25の長手方向両端には、巻ロール21を回転可能に保持する軸受21aを備えたフランジ25aを備えている。軸受21aには、巻取るための巻き取ばねが内蔵されている。取付金25は、複数のビス26によって窓きせ本体12の上辺部に固定されている。取付金25を支える窓きせ本体12の上辺部には、金属板がFRPの中に埋め込まれている。この金属板によって取付金25は、窓きせ本体12に強固に取付けられている。二本のカーテンレール22は、窓きせ本体12のカーテンレール設置部12aの側柱5に向い合った面にすなわち車内側から見て裏面側に、側柱5とほぼ平行に配置されている。窓きせ本体12のカーテンレール設置部12aには、カーテン棒24が移動する範囲に対応した長さを有する開口部12bが形成されている。カーテンレール22は、金属製で、チャンネル型断面に形成されている。前記カーテンレール22は、その溝が前記開口部12bに向くように配置されており、前記溝すなわちカーテン案内部が前記開口部12bを介して車内側へ露出している。カーテンレール22は、金属製の取付金22aにスポット溶接のより固定されており、カーテンレール設置部12aの位置に取付金22aによって保持される。取付金22aは、略L字型断面に形成されている。この取付金22aの各縁を接着剤29によって窓きせ本体12の裏面に取付けることにより、カーテンレール22を窓きせ本体12に固定する。この取付金22aの各縁は、窓きせ本体12の裏面および内きせ11の裏面に、重ね合わされて、表面に接着剤を塗布するオーバレイ処理により、窓きせ本体12および内きせ11に固定されている。このように取付金22aは、溶接のような熱を用いない非加熱締結手段によって、窓きせ本体12の裏面および内きせ11の裏面に取付けられている。
【0019】なお、前記非加熱締結手段としては、窓きせ本体12および内きせ11の内部に支持部材となる金属片を埋め込んでおき、この金属片にビス或いはボルト等を用いて締結してもよい。この場合、窓きせ本体12および内きせ11の取付金22aを固定する部分の厚さが少し厚くなるが、特に問題はない。例えば、窓きせ本体および内きせをアルミニウム合金或いは構造用鋼を用い、かつ、塑性加工すなわち深絞り加工によって製作してもよい。このような場合には、前記取付金を溶接によって窓きせ本体および内きせに取付けるが、窓きせ本体および内きせ表面に熱影響による変色或いは歪みが生じるため、補修作業が必要となる。前記非加熱締結手段を用いる構造においては、前記補修作業を行う必要はない。
【0020】前記取付金22aは、窓きせ本体12の側柱5を覆う部分に、側柱5に沿って配置されている。取付金22aの長手方向の両端部には、この取付金22aと窓きせ本体12のカーテンレール設置部12aとの間に形成される隙間をふさぐためのふさぎ板22bが設けられている。取付金22aがふさぎ板22bを備えていることにより、開口部12bからごみ等を挿入する悪戯を防止することができる。
【0021】前記窓きせ装置10の製作方法について説明する。まず、繊維質材料およびプラスチック材料を型に順次施工して窓きせ本体12を製作する。プラスチク材料が固まった後に、窓きせ本体12を型から取外す。できあがった窓きせ本体12に対して、カーテンレール設置部12aに機械加工によって開口部12bを形成する。開口部12bはカーテンの移動範囲に一致した長さに加工される。さらに、必要によって窓きせ本体12の縁部分或いは取付金22aの取付け部について機械加工を行って、窓きせ本体12自体の寸法精度と取付金22aなどの他の部材との組合せ精度の向上を図る。
【0022】前記機械加工が終了した窓きせ本体12に対して、取付金22aをオーバレイ処理によって取付ける。取付金22aの幅方向の一方の縁部分を窓きせ本体12の裏面に接着剤29によって取付ける。取付金22aの幅方向の他方の縁部分を内きせ11の裏面に接着剤29によって取付ける。なお、前記取付金22aには、予めカーテンレール22が取付けられている。一つの窓きせ本体12に対して二つの取付金22aすなわち二本のカーテンレール22を取付ける。このとき、各取付金22aは、二本のカーテンレール22の平行度および間隔を専用の治具によって位置決めした状態で、窓きせ本体12に固定される。取付金25の取付作業としては、まず、窓きせ本体12の上辺部にビス26のためのねじ穴加工を行う。この時、窓きせ本体12の上辺部に取付金25を位置決めしておいて、該取付金25と窓きせ本体12の上辺部とに同時にねじ穴加工を行う。このようにして形成されたねじ穴に、ビス26を螺合することによって、取付金25を窓きせ本体12の上辺部に取り付ける。このようにして、窓きせ装置10は、完成する。 カ−テン棒24を端に取付たけたカ−テン23を巻取ってある巻ロール21は、前記窓きせ装置10に設置されている取付金25の軸受21aに対して、着脱自在である。また、カーテンレール22の上端は、巻ロール21側へ開放した形状となっている。カーテンレール設置部12aは、取付金25が設置されている部分よりも下方の位置までしか形成されてはいない。すなわち、カーテンレール設置部12aの上端は、図4から明らかなように、取付金25よりも下方の位置となる。カーテンレール設置部12aの上端部12eにおいて、カーテンレール22はその溝をカ−テン棒24を挿入可能に開放して配置されている。したがって、巻ロール21を両側の軸受21aに装着し、この状態でカ−テン棒24の各端部を両側のカーテンレール22の溝にそれぞれ挿入する。このように、巻ロール21およびカ−テン棒24の窓きせ装置10への着脱は、非常に簡単に行える。
【0023】窓きせ装置10の車体への取付は、窓きせ本体12の腰帯4を覆う部分すなわち該窓きせ本体12の下辺部をビスによって腰帯4に固定するとともに、窓きせ本体12の幕帯3を覆う部分すなわち該窓きせ本体12の上辺部をビスによって幕帯3に固定する。
【0024】カーテン案内部材であるカーテンレール22は、カーテン案内部がチャンネル型断面形状となっているが、I字型断面形状のものを用いてもよい。I字型断面形状のカーテンレールの場合、カ−テン棒の端部をチャンネル型に形成して、前記I字型断面の一端に対して掛合可能な構造とする。
【0025】窓きせ本体12の両側部分の前面には、巻ロール21よりも下方で、上方の内窓きせ11よりも上方の位置に、水平方向に伸びた溝が形成されており、この溝に荷棚きせ30の端部が一致するように構成されている。
【0026】各カーテンレール22は、カ−テン棒24を案内できる状態で、窓きせ本体12に固定されている。したがって、窓きせ本体12を幕帯3および腰帯4に固定するだけで、各カーテンレール22を利用することができる。この実施例では、車体1を構成する骨組に対して各カーテンレール22を位置決めして直接取付ける必要が無く、車体1内部における艤装作業を短時間に、かつ、簡単に行うことができる。従来、車体の骨組にライナ−調整により寸法調整を行いながら取付けていた取付作業が不要になり、前記カ−テンレ−ルの取付作業の簡略化を図ることができる。また、ライナ−調整が不要であるため、カ−テンレ−ルの取付精度があがり、カ−テンの上昇下降の際の動作不良をなくすことができる。窓きせ本体12は、内きせ11を一体に構成しており、窓きせ本体12を幕帯3および腰帯4に固定するだけで、内きせを車体に直接取り付ける必要が無く、車体1への艤装作業の簡略化が図れる。カーテンレール22は、窓きせ本体12の裏面に配置され、その溝を開口部12bに一致させて配置されていることから、車内側から乗客の目に触れにくく、車内の見栄えを向上できる。
【0027】内きせ11は、L字型断面形状に構成されていることから、平板状に形成されたものに比べて強度が高く、開口部12bの加工に伴う破損、変形を防止できる。また、内きせ11の端部に設けた押えゴム11aを窓ガラス7に確実に押え付けることができる。さらに、内きせ11の厚さを窓きせ本体12の部分よりも厚く構成することにより、前記破損、変形が生じないようにしている。
【0028】カーテン収納時の見栄えのよいロールアップ式のカーテン装置を、簡単な艤装作業にて取付けることができる。二つのカーテンレール22は、窓きせ本体12に設置した状態で、平行度および両者の間隔が精度よく構成されていることから、円滑な動作が得られる。車体内部での調整作業が不要となる。カーテンレール22に対応させてカーテンレール設置部12aを形成しており、窓きせ部分の外周を極力広くして、乗客の視界を確保することができる。
【0029】カーテンレール22を固定している取付金22aは、窓きせ本体12に対して非加熱締結手段によって固定されているため、窓きせ本体12に熱による変形、変色が生じることがない。アルミニウム合金製板材に樹脂シートを貼り合わせ、塑性加工によって、前記窓きせ本体を構成する場合においても、樹脂シートに損傷を与えること無く、必要な部品の取付けが行える。
【0030】カーテンレール22を備えた窓きせ装置を、車体の骨部材に取付けることにより、前記カーテンレール22を個々に取付ける必要が無く、鉄道車両の製作が容易で、安価に行える。窓きせ本体12を一体成形した後に、開口部の加工、カーテン部材の取付けと種類のことなる作業を順次行うため、作業性の向上が図れる。
【0031】また、車体の軽量化のために、窓きせ本体は板厚を薄くしていため、剛性が低くなり、車両の振動等によって加振されて振動音を発生する恐れがあったが、前記カ−テンレ−ル22と取付金22aの端を前記窓きせ本体12および内きせ11の裏側にオ−バレイ処理により固定しているため、窓きせ単体での剛性が上がり、振動の発生を防ぐことができる。
【0032】窓きせ本体12の車体への取付け構造の別の例としては、例えば、骨組に板ばねを設けておき、該窓きせ本体12の上辺側は板ばねに窓きせを差し込み、下辺側をネジによって固定する方法もある。この場合、取付作業はさらに簡略化できる。このような構成によれば、窓きせ本体12を固定するだけで、窓まわりの内装材を取付けることが可能となり、従来、内きせ、カ−テン装置、窓きせの3部材を調整し取付けていた方法に比べ、取付作業の大幅な簡略化と取付精度向上を図ることが可能となる。
【0033】さらに、カ−テン装置20を該窓きせ本体12にあらかじめ組み込んでいるため、窓きせ本体12の上辺部分の形状を上下方向に短くすることができる。カ−テン23の交換は、カ−テンきせ30を外すだけで、巻ロール21を外すことができるようになるため、交換の容易化が図れる。
【0034】本発明の第2の実施例を、図6および図7によって説明する。同図において、本実施例は横引きカーテンに用いられる窓きせ装置の例である。窓きせ本体112の基本的な構成は、前記実施例とほぼ同様である。すなわち、四角形をなす窓ガラス7の周囲に対応して、窓きせ本体112は全体がFRP製で、四角形に形成されている。窓きせ本体112の前記実施例との相違点は、カーテンレール122が取付金122aを介して、窓きせ本体112の上辺部に設置されている点である。窓きせ本体112の上辺部に、下方へ突出したカーテンレール設置部112aが形成されている。カーテンレール設置部112aには、カーテンレール122を車内側へ露出させる開口部112bが形成されている。窓きせ本体112の一方の側部分には、カーテン123を収納するカーテン収納部130が形成されている。カーテン収納部130は、チャンネル状断面形状のカーテン収納具131を取付金131aによって窓きせ本体112の一方の側部分に取付ける構造となっている。
【0035】カーテンレール122は、窓きせ本体112に取付けられ、また、カーテン収納具131も窓きせ本体112に取付けられている。したがって、窓きせ本体112を車体の骨部材に固定するだけで、カーテンレール122およびカーテン収納具131を所定の位置に設置することができる。また、窓きせ本体112には、前記実施例と同様に内きせが、一体に構成されており、前記実施例と同様な作用、効果を発揮することができる。取付金122aおよび取付金131aは、オーバレイ方式によって、窓きせ本体112に取付けられている。
【0036】本発明の第3の実施例を、図8および図9によって説明する。同図において、本実施例はロールアップ式カーテン装置を備えた窓きせ装置の例であり、窓きせ本体212に内きせを設けない構造のものである。すなわち、窓きせ本体212は、幕帯3、腰帯4、側柱5の車内側表面を覆うように構成され、窓ガラス7側の端部は該窓ガラス7に接近しているが、前記各実施例のように押さえゴムを設けた構造とはなっていない。カーテンレール222は、取付金222aに固定されている。取付金222aは、オーバレイ方式によって、窓きせ本体212に取付けられている。
【0037】窓きせ本体212は、内きせを有していないため、前記各実施例に比べて構造を簡略化できると共に、軽量化を図ることができる。また、窓きせ本体212は、断面形状が前記各実施例に比べて、簡単な形状となっていることから、抜き型の形状を簡略化できる。窓きせ本体212の製作が容易になると共に型費の低減によってコスト低減が図れる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、窓きせ本体に他の艤装部材を取付けていることにより、窓きせ装置の車体への取付けが簡単に行えるとともに、窓きせ装置の見栄えを向上させることができる。
【0039】また、本発明によれば、窓きせ本体の車内側表面に艤装品取付け用締結具が露出しておらず、車両内装の見栄えを向上できるとともに、窓きせ装置容易要に構成することができる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用窓きせ装置の第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A部断面図である。
【図3】図1のB−B部断面図である。
【図4】図1の車両用窓きせ装置の巻ロール部分の水平方向断面図である。
【図5】図1の車両用窓きせ装置のカーテンレール下端位置の水平方向断面図である。
【図6】本発明の車両用窓きせ装置の第2の実施例を示す垂直方向断面図である。
【図7】図6に示した車両用窓きせ装置の水平方向断面図である。
【図8】本発明の車両用窓きせ装置の第3の実施例を示す垂直方向断面図である。
【図9】図6に示した車両用窓きせ装置の水平方向断面図である。
【符号の説明】
10…窓きせ装置、11…内きせ、12…窓きせ本体、20…カ−テン装置、22…カーテンレール、22a…取付金、12…押えゴム、13、14…ライナ−、15…カ−テンレ−ル、16、21…テ−ブル

【特許請求の範囲】

【請求項1】
鉄道車両の車体の窓開口部周囲に設置された骨組部材の車内側表面を覆う窓きせ本体と、前記窓きせ本体に取付けられるカーテンレールとから構成されており、前記窓きせ本体は、前記骨組部材の車内側から見た前面および側面を覆うようにL字型断面形状に形成されており、前記カーテンレールは、前記窓きせ本体の車内側から見て裏面側の位置であって、前記骨組部材の側面に向い合った位置に取付けられており、前記カーテンレールの溝は、窓きせ本体に向けて配置されており、前記窓きせ本体の前記カーテンレールの溝に向い合った部分には、カーテン棒の移動範囲に一致させて開口部が形成されており、前記開口部はカーテン棒の端部が挿入され移動可能な大きさに形成されており、前記窓きせ本体には、カーテンを収納するカーテン収納部が形成されており、前記窓きせ本体は、車体の窓開口部周囲に設置された前記骨組部材に固定することにより車体に取付けられている、ことを特徴とする車両用窓きせ装置。
【請求項2】請求項1に記載の車両用窓きせ装置において、前記窓きせ本体に、前記窓ガラスの縁を覆う内きせを一体に形成した、ことを特徴とする車両用窓きせ装置。

【請求項3】
請求項1に記載の車両用窓きせ装置において、前記カーテンレールは、四辺からなる窓きせ本体の車体に設置した状態で上下方向に伸びる二辺に設置されており、前記窓きせ本体の上辺部にカーテンを収納する部分が構成されている、ことを特徴とする車両用窓きせ装置。

【請求項4】
請求項3に記載の車両用窓きせ装置において、前記カーテンレールは、窓きせ本体の一部を車内側へ突出させて構成した突出部に設置されていることを特徴とする車両用窓きせ装置。

【請求項5】
請求項1に記載の車両用窓きせ装置において、前記カーテン案内部材は、四辺からなる窓きせ本体の車体に設置した状態で上辺部に、設置されていることを特徴とする車両用窓きせ装置。

【請求項6】
車体の窓縁を覆う窓きせ本体を一体成形する工程と、前記窓きせ本体にカ−テンの移動範囲に対応した開口部を形成する工程と、前記窓きせ本体の車内側から見た裏面側に前記開口部に溝を一致させてカ−テンレールを接着によって取付ける工程と、からなる車両用窓きせ装置の製作方法。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【特許番号】特許第3179698号(P3179698)
【登録日】平成13年4月13日(2001.4.13)
【発行日】平成13年6月25日(2001.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−33348
【出願日】平成8年2月21日(1996.2.21)
【公開番号】特開平9−226574
【公開日】平成9年9月2日(1997.9.2)
【審査請求日】平成10年7月3日(1998.7.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390010973)日立笠戸エンジニアリング株式会社 (20)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【出願人】(596023809)日化プラスチック株式会社 (1)
【参考文献】
【文献】実開 平3−121967(JP,U)
【文献】実開 平4−112166(JP,U)
【文献】実開 昭56−84418(JP,U)
【文献】実開 昭63−188271(JP,U)
【文献】実開 昭64−22574(JP,U)
【文献】実公 昭37−12183(JP,Y1)