説明

車両用輻射熱暖房装置

【課題】乗員と直接接触する部分の温度を低下させることができる車両用輻射熱暖房装置を提供する。
【解決手段】車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての電気ヒータ2と、電気ヒータ2より車室内側に配置された外装部材3とを備え、外装部材3の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、外装部材3の熱通過率K’を、(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333の関係を満たすように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射熱によって車室内を暖房する車両用輻射熱暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、車室内の内装部材の表面に沿って配置された面状の電気ヒータと、電気ヒータの表面に配置された表面部材と、電気ヒータの裏面に配置された背面部材とを備える車両用輻射熱暖房装置が開示されている。
【0003】
この特許文献1の車両用輻射熱暖房装置は、背面部材の熱伝導率を表面部材の熱伝導率より低くすることで、暖房装置背面への放熱を抑制し、表面への熱伝導を効率的に行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−52710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の車両用輻射熱暖房装置では、暖房装置の表面温度が上がりやすくなるので、乗員が暖房装置に接触した際の温度が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、乗員と直接接触する部分の温度を低下させることができる車両用輻射熱暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、加熱手段(2)より車室内側に配置された外装部材(3)とを備え、外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴としている。
【0008】
これによれば、後述する実施形態に示すように、乗員の皮膚と外装部材(3)との接触安定時の接触部分の温度Ts’(∞)を333K(60℃)以下とすることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させることが可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)には、その表裏を貫通する貫通孔(31)が形成されていることを特徴としている。
【0010】
これによれば、加熱手段(2)の輻射熱を貫通孔(31)を介して直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の車両用輻射熱暖房装置において、加熱部材(2)の車室内側の面と外装部材(3)とが非接触の状態とされていることを特徴としている。
【0012】
これによれば、加熱手段(2)の車室内側の面と外装部材(3)とが直接接触していないので、加熱部材(2)から外装部材(3)に伝わる熱量を低下させることができる。このため、外装部材(3)における乗員と直接接触する部分の温度をより低下させることが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)における貫通孔(31)の内周面は、外装部材(3)より反射率の高い高反射材(32)により被覆されていることを特徴としている。
【0014】
これによれば、加熱手段(2)からの輻射熱が外装部材(3)における貫通孔(31)の内周面に吸収されることを抑制できるので、乗員は加熱手段(2)からの輻射熱をより多く受けることが可能となる。したがって、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、加熱部材(2)および外装部材(3)における車室内側の面は、外装部材(3)より放射率が高い高放射材(33)により被覆されていることを特徴としている。
【0016】
これによれば、加熱部材(2)および外装部材(3)における車室内側の面からの輻射熱量を増大させることができるので、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)の車室内側には、加熱手段(2)の車室内側の面を加熱手段(2)と非接触の状態で覆うカバー部材(8)が取り付けられており、カバー部材(8)の吸収率は、加熱手段(2)の車室内側の面の吸収率より低いことを特徴としている。
【0018】
このように、外装部材(3)の車室内側にカバー部材(8)を取り付けることで、貫通孔(31)の径を大きくしたとしても、カバー部材(8)により、乗員の指等が貫通孔(31)内を通って加熱手段(2)に直接接触することを抑制できる。ここで、外装部材(3)に形成された貫通孔(31)の径を大きくすると、貫通孔(31)を介して直接乗員に伝えることができる輻射熱量を増大させることができる。
【0019】
したがって、外装部材(3)の車室内側にカバー部材(8)を取り付ける構成とすることで、乗員の指等が貫通孔(31)内を通って加熱手段(2)に直接接触することを抑制しつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0020】
このとき、カバー部材(8)の吸収率を加熱手段(2)の車室内側の面の吸収率より低くすることで、加熱手段(2)からの輻射熱がカバー部材(8)により吸収されることを抑制できる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明では、請求項5に記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)の車室内側には、加熱手段(2)の車室内側の面を加熱手段(2)と非接触の状態で覆うカバー部材(8)が取り付けられており、カバー部材(8)の吸収率は、高放射材(33)の吸収率より低いことを特徴としている。
【0022】
このように、外装部材(3)の車室内側にカバー部材(8)を取り付けることで、貫通孔(31)の径を大きくしたとしても、カバー部材(8)により、乗員の指等が貫通孔(31)内を通って加熱手段(2)に直接接触することを抑制できる。ここで、外装部材(3)に形成された貫通孔(31)の径を大きくすると、貫通孔(31)を介して直接乗員に伝えることができる輻射熱量を増大させることができる。
【0023】
したがって、外装部材(3)の車室内側にカバー部材(8)を取り付ける構成とすることで、乗員の指等が貫通孔(31)を介して加熱手段(2)に直接接触することを抑制しつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0024】
このとき、カバー部材(8)の吸収率を高放射材(33)の吸収率より低くすることで、加熱手段(2)からの輻射熱がカバー部材(8)により吸収されることを抑制できる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明にように、請求項6または7に記載の車両用輻射熱暖房装置において、カバー部材(8)は、網状またはフィルム状に形成されていてもよい。
【0026】
また、請求項9に記載の発明では、請求項6または7に記載の車両用輻射熱暖房装置において、カバー部材(8)は、熱線透過性を有する樹脂により構成されていることを特徴としている。
【0027】
これによれば、加熱手段(2)からの熱線がカバー部材(8)を透過して乗員に伝わるので、乗員に伝えることができる輻射熱量を確保しつつ、乗員の指等が貫通孔(31)を介して加熱手段(2)に直接接触することをより確実に抑制できる。
【0028】
また、請求項10に記載の発明では、請求項1に記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)は、加熱手段(2)を全面に亘って覆う面状に形成されており、外装部材(3)における車室内側の面は、外装部材(3)より放射率が高い高放射材(33)により被覆されていることを特徴としている。
【0029】
これによれば、外装部材(3)からの輻射熱量を増大させることができるので、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0030】
また、請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)は、加熱手段(2)と接触する第1外装部材(3a)と、第1外装部材(3a)に接触する第2外装部材(3b)とからなる二層構造とされており、第1外装部材(3a)は、第2外装部材(3b)よりも耐熱性が高いことを特徴としている。
【0031】
これによれば、外装部材(3)のうち、加熱手段(2)と直接接触しない第2外装部材(3b)を耐熱性の低い材質により構成することができるので、外装部材(3)が単層構造とされている場合と比較して、製造コストを低減することが可能となる。
【0032】
また、請求項12に記載の発明では、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、加熱手段(2)における外装部材(3)が配置されている面と反対側の面には、背面部材(4)が設けられており、背面部材(4)の熱抵抗は、外装部材(3)の熱抵抗より高いことを特徴としている。
【0033】
これによれば、車両用輻射熱暖房装置の背面(背面部材(4)側)への放熱を抑制し、外装部材(3)への熱伝導を効率的に行うことができる。このため、効率的に乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0034】
また、請求項13に記載の発明では、車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、山部(301)と谷部(302)とが交互に連続配置された襞折り形状の外装部材(3)とを備え、加熱手段(2)は、外装部材(3)の谷部(302)における車室内側の面に配置されており、外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴としている。
【0035】
これによれば、後述する実施形態に示すように、乗員の皮膚と外装部材(3)との接触安定時の接触部分の温度Ts’(∞)を333K(60℃)以下とすることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させることが可能となる。
【0036】
さらに、外装部材(3)を襞折り形状にするとともに、加熱手段(2)を外装部材(3)の谷部(302)における車室内側の面に配置することで、加熱手段(2)の輻射熱を直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0037】
また、請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)の谷部(302)における加熱部材(2)が配置された面と反対側の面と接触するように配置された背面部材(4)を備え、背面部材(4)の熱抵抗は、外装部材(3)の熱抵抗より高いことを特徴としている。
【0038】
これによれば、車両用輻射熱暖房装置の背面(背面部材(4)側)への放熱を抑制し、外装部材(3)への熱伝導を効率的に行うことができる。このため、効率的に乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0039】
また、請求項15に記載の発明では、車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、放物面形状に形成された外装部材(3)とを備え、加熱手段(2)は、棒状または面状に形成されており、加熱部材(2)の少なくとも一部は、外装部材(3)の放物面形状の焦点を通るように配置され、外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴としている。
【0040】
これによれば、後述する実施形態に示すように、乗員の皮膚と外装部材(3)との接触安定時の接触部分の温度Ts’(∞)を333K(60℃)以下とすることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させることが可能となる。
【0041】
さらに、外装部材(3)を放物面形状に形成するとともに、加熱部材(2)の少なくとも一部が外装部材(3)の放物面形状の焦点を通るように配置することで、放物面形状の焦点に配置された加熱部材(2)で発生した電磁波を反射させて放物面の対称軸と平行な方向に進行する平行電磁波とすることができる。このため、加熱手段(2)の輻射熱をより効率的に直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0042】
また、請求項16に記載の発明では、請求項1ないし15のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式2
(数2)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦313
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴としている。
【0043】
これによれば、後述する実施形態に示すように、乗員の皮膚と外装部材(3)との接触安定時の接触部分の温度Ts’(∞)を313K(40℃)以下とすることができるので、乗員と直接接触する部分の温度をより低下させることが可能となる。
【0044】
また、請求項17に記載の発明では、請求項1ないし16のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置において、加熱手段(2)は、PTC特性を有していることを特徴としている。
【0045】
これによれば、加熱手段(2)は、温度が上昇すると抵抗値が上昇して所定の温度になるという自己温度調節機能を有する。このため、温度コントロールが不要で安全性の高い車両用輻射熱暖房装置を実現することができる。
【0046】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1の全体構成を示す模式的な断面図である。
【図2】第1実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】本第2実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】第3実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。
【図5】第4実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】第5実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。
【図7】第6実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。
【図8】第7実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。
【図9】第8実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図10】カバー部材8の熱線透過率と乗員の温熱感との関係を示す特性図である。
【図11】第9実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図12】第10実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】第11実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0049】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。図1は本第1実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1の全体構成を示す模式的な断面図である。また、図2は本第1実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、図1の上下前後の各矢印方向は車両用輻射熱暖房装置1を車両へ搭載した状態における方向を示している。
【0050】
また、この車両用輻射熱暖房装置1が搭載される車両は、エンジン冷却水を熱源として車室内を暖房する暖房装置も備えている。したがって、本実施形態の車両用輻射熱暖房装置1は、エンジン始動時のようにエンジン冷却水から車室内暖房用の熱源を充分に得ることができない場合に始動させて、図1の二点鎖線で示す乗員の足元周辺の即効暖房を行う補助暖房装置として用いられる。
【0051】
車両用輻射熱暖房装置1は、電気ヒータ2、外装部材3、背面部材4等を備えて構成される。車両用輻射熱暖房装置1は、車室内最前部にて車両計器板等を構成するインストルメントパネル5の外側(車室内側)、より詳細にはステアリングコラムの下面に配置されている。なお、図1では、車両用輻射熱暖房装置1の車両搭載位置等を明確にするために、ハンドル6およびシート7等も図示している。
【0052】
電気ヒータ2は、通電により発熱する通電発熱体であるニクロム線21を有して構成されている。したがって、本実施形態では、電気ヒータ2が車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源である加熱手段を構成する。また、本実施形態では、電気ヒータ2は面状に形成されている。なお、電気ヒータ2には、図示しないスイッチ手段を介してバッテリから電源が供給される。
【0053】
外装部材3は、電気ヒータ2より車室内側に配置されている。外装部材3は面状に形成されており、電気ヒータ2の車室内側の面(以下、表面ともいう)を全面に亘って覆うように配置されている。本実施形態では、外装部材3は、電気ヒータ2の表面に直接接触して設けられている。
【0054】
背面部材4は、面状に形成されており、電気ヒータ2の車室内側と反対側の面、すなわちインストルメントパネル5側の面(以下、背面ともいう)を全面に亘って覆うように配置されている。本実施形態では、背面部材4は、電気ヒータ2の背面に直接接触して設けられている。また、背面部材4の熱抵抗は、外装部材3の熱抵抗より高くなるように設定されている。
【0055】
ここで、外装部材3の熱通過率をK’[W/(m・K)]、乗員(人体)の熱通過率をK4[W/(m・K)]、乗員(人体)の通常時の血流温度をTm[K]、車両用輻射熱暖房装置1の外装部材3から熱を受け取った後の乗員(人体)の血流温度をTj[K]、電気ヒータ2の表面温度をTh[K]、乗員(人体)の皮膚と外装部材3との接触安定時の接触部分の温度(以下、接触部温度という)をTs’(∞)[K]、外装部材3の熱伝導率をλ’[W/(m・K)]、外装部材3の厚さをd’[m]、電気ヒータ2から外装部材3への熱流束をq4[W/m]、外装部材3から乗員(人体)への熱流速をq4’[W/m]としたとき、下記の数式3〜5が成立する。
(数3)
Tj=(Tm+Ts’(∞))/2
(数4)
q4=K4×(Ts’(∞)−Tj)
(数5)
q4’=K’×(Th−Ts’(∞))=λ’/d’×(Th−Ts’(∞))
また、電気ヒータ2から外装部材3への熱流束q4と外装部材3から乗員(人体)への熱流速q4’は等しいので、次式に示す関係が成立する。
(数6)
q4=q4’
ここで、接触部温度Ts’(∞)は、数式3〜6より、次式で表される。
(数7)
Ts’(∞)=(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)
本実施形態では、接触部温度Ts’(∞)が333K(60℃)以下となるように設定されている。このため、外装部材3の熱通過率K’は、次の数式8にて示される関係を満たすように設定されている。
(数8)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
以上説明したように、外装部材3の熱通過率K’を、上記数式8にて示される関係を満たすように設定することで、接触部温度Ts’(∞)を333K(60℃)以下とすることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させることが可能となる。
【0056】
さらに、接触部温度Ts’(∞)が313K(40℃)以下となるように設定する、すなわち、外装部材3の熱通過率K’を次の数式9にて示される関係を満たすように設定することで、乗員と直接接触する部分の温度をより低下させることが可能となる。
(数9)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦313
また、背面部材4の熱抵抗を、外装部材3の熱抵抗より高く設定することで、車両用輻射熱暖房装置の背面(背面部材4側)への放熱を抑制し、外装部材3への熱伝導を効率的に行うことができる。このため、効率的に乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、外装部材3に貫通孔31を形成した点が異なるものである。
【0058】
図3は本第2実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図3に示すように、外装部材3には、その表裏を貫通する貫通孔31が複数形成されている。この貫通孔31を介して、電気ヒータ2からの輻射エネルギが直接車室内に放出されるようになっている。
【0059】
本実施形態のように、外装部材3に貫通孔31を形成することで、電気ヒータ2の輻射熱を貫通孔31を介して直接乗員に伝えることができる。これにより、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、外装部材3を二層構造とした点が異なるものである。
【0061】
図4は本第3実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。図4に示すように、外装部材3は、電気ヒータ2と直接接触する第1外装部材3aと、第1外装部材3aに直接接触する第2外装部材3bとからなる二層構造とされている。このとき、第2外装部材3bは、第1外装部材3aより車室内側に配置されており、電気ヒータ2と直接接触しないように配置されている。
【0062】
また、第1外装部材3aは、第2外装部材3bよりも耐熱性が高くなっている。具体的には、第1外装部材3aはフッ素ゴムまたはシリコーンゴムにより構成されており、第2外装部材3bは発泡樹脂により構成されている。
【0063】
以上説明したように、外装部材3を二層構造とすることで、外装部材3のうち、電気ヒータ2と直接接触しない第2外装部材3bを耐熱性の低い材質により構成することができる。このため、外装部材3が単層構造とされている場合と比較して、製造コストを低減することが可能となる。さらにこの場合、外装部材3のうち、電気ヒータ2と直接接触する第1外装部材3aを、第2外装部材3bより熱伝導率の高い材質により構成することも可能となる。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図5に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第3実施形態と比較して、電気ヒータ2の表面と外装部材3とを非接触とした点が異なるものである。
【0065】
図5は本第4実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図5に示すように、電気ヒータ2は矩形ブロック状に形成されており、背面部材4の車室内側の面に複数個並列に配置されている。また、外装部材3は、電気ヒータ2の表面、すなわち車室内側の面と非接触とした状態で配置されている。換言すると、外装部材3の貫通孔31の内部に、電気ヒータ2が配置されている。
【0066】
本実施形態では、電気ヒータ2は、その側面、すなわち車室内側の面および背面部材4と接触している面の両面を除いた面において、外装部材3と接触している。また、外装部材3は上記第3実施形態と同様に二層構造とされており、第1外装部材3aと電気ヒータ2の側面が接触するとともに、第2外装部材3bと電気ヒータ2とが直接接触しないように構成されている。
【0067】
以上説明したように、電気ヒータ2の車室内側の面と外装部材3とを非接触の状態、すなわち直接接触しない状態とすることで、電気ヒータ2から外装部材3に伝わる熱量を低下させることができる。このため、外装部材3における乗員と直接接触する部分の温度をより低下させることが可能となる。また、この場合、第1外装部材3を、樹脂と比較して熱伝導率の高い金属により構成することも可能となる。
【0068】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図6に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第2実施形態と比較して、貫通孔31の内周面に高反射材32を被覆した点が異なるものである。
【0069】
図6は本第5実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。図6に示すように、外装部材3における貫通孔31の内周面は、外装部材3より反射率の高い高反射材32により被覆されている。高反射材32としては、例えばアルミニウムを用いることができる。
【0070】
本実施形態によれば、電気ヒータ2からの輻射熱が外装部材3における貫通孔31の内周面に吸収されることを抑制できるので、乗員は電気ヒータ2からの輻射熱をより多く受けることが可能となる。したがって、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0071】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図7に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第2実施形態と比較して、電気ヒータ2および外装部材3の表面に高放射材33を被覆した点が異なるものである。
【0072】
図7は本第6実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。図7に示すように、電気ヒータ2および外装部材3における車室内側の面は、外装部材3より放射率が高い高放射材33により被覆されている。
【0073】
本実施形態によれば、電気ヒータ2および外装部材3における車室内側の面からの輻射熱量を増大させることができるので、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0074】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図8に基づいて説明する。本第7実施形態は、上記第2実施形態と比較して、外装部材3の車室内側に網状のカバー部材8を取り付けた点が異なるものである。
【0075】
図8は本第7実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示す正面図である。図8に示すように、外装部材3の車室内側の面には、網状のカバー部材8が取り付けられている。このカバー部材8は、電気ヒータ2の表面より吸収率が低い材料(例えば金属)により構成されている。また、カバー部材8の網目の粗さは、貫通孔31の開口面積より細かくなっている。本実施形態では、カバー部材8の網目の粗さは、乗員の指が網目を通らない程度の細かさに設定されている。
【0076】
以上説明したように、外装部材3の車室内側にカバー部材8を取り付けることで、貫通孔31の径を大きくしたとしても、カバー部材8により、乗員の指等が貫通孔31を介して電気ヒータ2に直接接触することを抑制できる。ここで、外装部材3に形成された貫通孔31の径を大きくすると、貫通孔31を介して直接乗員に伝えることができる輻射熱量を増大させることができる。
【0077】
したがって、外装部材3の車室内側にカバー部材8を取り付ける構成とすることで、乗員の指等が貫通孔31を介して電気ヒータ2に直接接触することを抑制しつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0078】
このとき、カバー部材8の吸収率を電気ヒータ2の車室内側の面の吸収率より低くすることで、電気ヒータ2からの輻射熱がカバー部材8に吸収されることを抑制できる。
【0079】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図9および図10に基づいて説明する。本第8実施形態は、上記第7実施形態と比較して、カバー部材8を熱線透過性を有する樹脂により構成した点が異なるものである。
【0080】
図9は本第8実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図9に示すように、本実施形態のカバー部材8は、平板状に形成されているとともに、熱線透過性を有する樹脂(以下、熱線透過樹脂という)により構成されている。熱線透過樹脂としては、例えば、PETフィルム(ポリエチレンテレフタレート製のフィルム)を採用することができる。
【0081】
ところで、図10は、カバー部材8の熱線透過率と乗員の温熱感との関係を示す特性図である。なお、図10の横軸はカバー部材8の熱線透過率であり、縦軸は乗員の温熱感である。また、図10の算出条件は、電気ヒータ2の表面温度が300℃、電気ヒータ2表面の面積が300×300mm、形態係数が0.126である。
【0082】
車両用輻射熱暖房装置1としての最低限の性能を確保するためには、乗員に対して少なくとも0(どちらでもない)以上の温熱感を与える必要がある。このため、図10より、本実施形態ではカバー部材8の熱線透過率を0.13以上に設定した。
【0083】
以上説明したように、カバー部材8を、熱線透過性を有する樹脂により構成することで、電気ヒータ2からの熱線がカバー部材8を透過して乗員に伝わるので、乗員に伝えることができる輻射熱量を確保しつつ、乗員の指等が貫通孔31を介して電気ヒータ2に直接接触することをより確実に抑制できる。
【0084】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図11に基づいて説明する。本第9実施形態は、上記第1実施形態と比較して、外装部材3を襞折り形状とした点が異なるものである。
【0085】
図11は本第9実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図11に示すように、外装部材3は、山部301と谷部302とが交互に連続配置された襞折り形状に形成されている。また、背面部材4は、外装部材3の谷部302と接触するように配置されている。
【0086】
電気ヒータ2は、棒状に形成されているとともに、同一平面において蛇行形状をなすように形成されている。また、電気ヒータ2は、外装部材3の谷部302における背面部材4と反対側の面、すなわち車室内側の面と接触するように配置されている。
【0087】
以上説明したように、外装部材3を襞折り形状にするとともに、電気ヒータ2を外装部材3の谷部302における背面部材4と反対側の面に配置することで、電気ヒータ2の輻射熱を直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感を向上させることが可能となる。
【0088】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について図12に基づいて説明する。本第10実施形態は、上記第9実施形態と比較して、外装部材3の表面を断面放物線状に形成した点が異なるものである。
【0089】
図12は本第10実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図12に示すように、外装部材3の表面、すなわち車室内側の面は、断面放物線状に形成されている。具体的には、外装部材3の表面には、断面放物線状に形成されるとともに、当該放物線の対称軸に対して直交する方向に延びる半筒状面303が複数個(本実施形態では4個)並列に形成されている。
【0090】
また、電気ヒータ2は、各半筒状面303の放物線の焦点を通るように配置されている。このとき、電気ヒータ2と半筒状面303とは非接触状態になっている。
【0091】
以上説明したように、外装部材3を断面放物線状に形成するとともに、棒状に形成された電気ヒータ2が外装部材3の放物線状の焦点を通るように配置することで、電気ヒータ2で発生した電磁波を反射させて放物面の対称軸と平行な方向に進行する平行電磁波とすることができる。このため、電気ヒータ2の輻射熱をより効率的に直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0092】
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態について図13に基づいて説明する。本第11実施形態は、上記第10実施形態と比較して、外装部材3の表面を回転放物面状に形成するとともに、電気ヒータ2を円板状に形成した点が異なるものである。
【0093】
図13は本第11実施形態に係る車両用輻射熱暖房装置1を示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。図13に示すように、外装部材3の表面、すなわち車室内側の面には、回転放物面304が複数形成されている。各回転放物面304の内部には、面状に形成された電気ヒータ2が配置されている。本実施形態では、電気ヒータ2は円板状に形成されている。
【0094】
電気ヒータ2は、円板状の中心が回転放物面304の焦点を通るように配置されている。このとき、電気ヒータ2と回転放物面304とは非接触状態になっている。また、電気ヒータ2は、その背面(車室内側の面と反対側の面)において、支持部材22により回転放物面304に固定されている。
【0095】
以上説明したように、外装部材3を回転放物面状に形成するとともに、円板状に形成された電気ヒータ2の中心が外装部材3の回転放物面304の焦点を通るように配置することで、電気ヒータ2で発生した電磁波を反射させて放物面の対称軸と平行な方向に進行する平行電磁波とすることができる。このため、電気ヒータ2の輻射熱をより効率的に直接乗員に伝えることができるので、乗員と直接接触する部分の温度を低下させつつ、乗員の暖房感をより向上させることが可能となる。
【0096】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0097】
(1)上記第3実施形態では、複数の貫通孔31が形成された外装部材3において、当該外装部材3を二層構造とした例について説明したが、これに限らず、貫通孔が形成されていない、すなわち平面状に形成された外装部材3において、当該外装部材3を二層構造としてもよい。
【0098】
(2)上記第4実施形態では、外装部材3を二層構造としたものにおいて、電気ヒータ2の表面と外装部材3とを非接触状態とした例について説明したが、これに限らず、外装部材3を単層構造としたものにおいて、電気ヒータ2の表面と外装部材3とを非接触状態としてもよい
(3)上記第4実施形態では、電気ヒータ2の側面を外装部材3と接触させた例について説明したが、これに限らず、電気ヒータ2の側面を外装部材3と非接触状態としてもよい。
【0099】
(4)上記第7実施形態では、カバー部材8を網状に形成した例について説明したが、これに限らず、カバー部材8をフィルム状に形成してもよい。
【0100】
(5)上記第7実施形態では、電気ヒータ2および外装部材3の表面に高放射材33を被覆していない例について説明したが、これに限らず、電気ヒータ2および外装部材3の表面に高放射材33を被覆してもよい。この場合、カバー部材8の吸収率を、高放射材33の吸収率より低く設定することで、電気ヒータ2からの輻射熱がカバー部材8により吸収されることを抑制できる。
【0101】
(6)上述した各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0102】
2 電気ヒータ(加熱手段)
3 外装部材
4 背面部材
8 カバー部材
31 貫通孔
32 高反射材
33 高放射材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、
前記加熱手段(2)より前記車室内側に配置された外装部材(3)とを備え、
前記外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、
前記外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴とする車両用輻射熱暖房装置。
【請求項2】
前記外装部材(3)には、その表裏を貫通する貫通孔(31)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項3】
前記加熱部材(2)の前記車室内側の面と前記外装部材(3)とが非接触の状態とされていることを特徴とする請求項2に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項4】
前記外装部材(3)における前記貫通孔(31)の内周面は、前記外装部材(3)より反射率の高い高反射材(32)により被覆されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項5】
前記加熱部材(2)および前記外装部材(3)における前記車室内側の面は、前記外装部材(3)より放射率が高い高放射材(33)により被覆されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項6】
前記外装部材(3)の前記車室内側には、前記加熱手段(2)の前記車室内側の面を前記加熱手段(2)と非接触の状態で覆うカバー部材(8)が取り付けられており、
前記カバー部材(8)の吸収率は、前記加熱手段(2)の前記車室内側の面の吸収率より低いことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項7】
前記外装部材(3)の前記車室内側には、前記加熱手段(2)の前記車室内側の面を前記加熱手段(2)と非接触の状態で覆うカバー部材(8)が取り付けられており、
前記カバー部材(8)の吸収率は、前記高放射材(33)の吸収率より低いことを特徴とする請求項5に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項8】
前記カバー部材(8)は、網状またはフィルム状に形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項9】
前記カバー部材(8)は、熱線透過性を有する樹脂により構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項10】
前記外装部材(3)は、前記加熱手段(2)を全面に亘って覆う面状に形成されており、
前記外装部材(3)における前記車室内側の面は、前記外装部材(3)より放射率が高い高放射材(33)により被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項11】
前記外装部材(3)は、前記加熱手段(2)と接触する第1外装部材(3a)と、前記第1外装部材(3a)に接触する第2外装部材(3b)とからなる二層構造とされており、
前記第1外装部材(3a)は、前記第2外装部材(3b)よりも耐熱性が高いことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項12】
前記加熱手段(2)における前記外装部材(3)が配置されている面と反対側の面には、背面部材(4)が設けられており、
前記背面部材(4)の熱抵抗は、前記外装部材(3)の熱抵抗より高いことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項13】
車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、
山部(301)と谷部(302)とが交互に連続配置された襞折り形状の外装部材(3)とを備え、
前記加熱手段(2)は、前記外装部材(3)の前記谷部(302)における前記車室内側の面に配置されており、
前記外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、
前記外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴とする車両用輻射熱暖房装置。
【請求項14】
前記外装部材(3)の前記谷部(302)における前記加熱部材(2)が配置された面と反対側の面と接触するように配置された背面部材(4)を備え、
前記背面部材(4)の熱抵抗は、前記外装部材(3)の熱抵抗より高いことを特徴とする請求項13に記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項15】
車室内を暖房する輻射熱を発生させる熱源としての加熱手段(2)と、
放物面形状に形成された外装部材(3)とを備え、
前記加熱手段(2)は、棒状または面状に形成されており、
前記加熱部材(2)の少なくとも一部は、前記外装部材(3)の放物面形状の焦点を通るように配置され、
前記外装部材(3)の熱通過率をK’[W/(m・K)]、人体の熱通過率をK4[W/(m・K)]、人体の血流温度をTm[K]としたとき、
前記外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式1
(数1)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦333
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴とする車両用輻射熱暖房装置。
【請求項16】
前記外装部材(3)の熱通過率K’は、下記の数式2
(数2)
(2×Th×K’+Tm×K4)/(2×K’+K4)≦313
にて示される関係を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。
【請求項17】
前記加熱手段(2)は、PTC特性を有していることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1つに記載の車両用輻射熱暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−56531(P2012−56531A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204217(P2010−204217)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】