説明

車両用通信システム、携帯通信端末、および、車両用機器

【課題】高性能化する携帯通信端末を十分に活用した車両用通信システムを提供する。
【解決手段】コンテンツを配信する配信センター4と、配信センター4から配信されるコンテンツを取得するコンテンツ取得処理部22およびコンテンツを実行する端末側アプリケーションを有する携帯通信端末2と、携帯通信端末2と互いに通信可能に接続され、コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有する車載機3と、を備える車両用通信システム1は、コンテンツ取得処理部22により取得したコンテンツを、携帯通信端末2と車載機3との接続が確立されていない状態では、携帯通信端末2の端末側アプリケーションにて実行し、携帯通信端末2と車載機3との接続が確立されている状態では、端末側アプリケーションと車両側アプリケーションとを連携して動作可能とし、車載機3の車両側アプリケーションにて実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを配信する配信センターと、コンテンツを実行可能な携帯通信端末と、コンテンツを実行可能であり、この携帯通信端末と互いに通信可能に接続される車両用機器とを備える車両用通信システム、さらに、この車両用通信システムを構築する携帯通信端末および車両用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、ナビゲーション装置などの車両用機器が、携帯電話機などの携帯通信端末を通信媒体として外部の通信網に接続するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−106854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1のようなシステムでは、携帯通信端末は単なる通信媒体、つまりモデムとして利用されているに過ぎない。一方で、近年では、例えばスマートフォンなど高性能の携帯通信端末が普及しつつあり、このような携帯通信端末を、単にモデムとして利用するのでは、その携帯通信端末の高い性能を十分に活かすことができない。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高性能化する携帯通信端末を十分に活用した車両用通信システム、さらに、この車両用通信システムを構築する携帯通信端末および車両用機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明は、コンテンツを配信する配信センターと、この配信センターから配信されるコンテンツを取得するコンテンツ取得手段およびコンテンツを実行する端末側アプリケーションを有する携帯通信端末と、この携帯通信端末と互いに通信可能に接続され、コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有する車両用機器と、を備える車両用通信システムである。そして、この車両用通信システムでは、携帯通信端末と車両用機器との接続が確立されていない状態では、コンテンツ取得手段により取得したコンテンツが、携帯通信端末の端末側アプリケーションにて実行される。一方、携帯通信端末と車両用機器との接続が確立されている状態では、端末側アプリケーションと車両側アプリケーションとが連携して動作可能となり、コンテンツ取得手段により取得したコンテンツが、車両用機器の車両側アプリケーションにて実行される。
この車両用通信システムにおいて、配信センターからコンテンツを取得する処理は、近年、高性能化が進んでいる携帯通信端末にコンテンツ取得手段を備えることにより、この携帯通信端末が主体となって実行する。従って、携帯通信端末の高い性能を十分に活用して配信センターからコンテンツを取得する車両用通信システムを実現することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明によれば、携帯通信端末は、車両用機器との接続が確立されている状態において、車両用機器から送信された要求の解析結果に応じて、コンテンツ取得手段によりコンテンツを取得する。さらに、請求項3に記載した発明によれば、車両用機器は、配信要求手段によって、コンテンツの配信を要求し、携帯通信端末は、解析手段によって、配信要求手段が配信を要求するコンテンツを取得するために配信センターとの接続が必要であるか否かを解析する。そして、解析手段が配信センターとの接続が必要であると解析した場合に、携帯通信端末は、配信センターとの接続を確立し、コンテンツ取得手段によって、配信センターからコンテンツを取得する。
このように、高性能の携帯通信端末による解析結果に応じて配信センターからコンテンツを取得する車両用通信システムを実現することができる。
【0007】
請求項4に記載した発明によれば、端末側アプリケーションが起動されている状態で、ユーザ操作により車両側アプリケーションが起動されると、車両用機器から携帯通信端末へ所定プロファイルによる接続確立の要求がなされ、この要求に応じて、所定プロファイルの接続が確立し、端末側アプリケーションと車両側アプリケーションとが連携して動作可能となる。この請求項4に記載した発明は、携帯通信端末および車両用機器を互いに連携して動作可能な状態とするための処理の一例を具体的に特定したものである。
さらに、請求項5に記載した発明によれば、携帯通信端末および車両用機器が1つの所定プロファイルによって互いに通信可能に接続される構成であっても、車両側アプリケーションには各コンテンツを実行する複数のアプリケーションが含まれ、これら各アプリケーションには、コンテンツを実行するコンテンツ実行機能と、当該コンテンツ実行機能とは異なる別機能を実現するライブラリがさらに含まれていることから、コンテンツ実行機能と当該コンテンツ実行機能とは異なる別機能とを同時に実行可能とすることができる。つまり、車両用機器は、1つのコンテンツを実行することで複数の機能を提供可能となる。
【0008】
また、請求項6に記載した発明よれば、携帯通信端末および車両用機器が複数の所定プロファイルによって互いに通信可能に接続される構成であっても、車両側アプリケーションには各コンテンツを実行する複数のアプリケーションが含まれ、さらに、これらアプリケーションは所定プロファイルの数よりも多く備えられている。そして、これら各アプリケーションには、それぞれ、コンテンツを実行するコンテンツ実行機能と、当該コンテンツ実行機能とは異なる別機能を実現するライブラリがさらに含まれていることから、コンテンツ実行機能と当該コンテンツ実行機能とは異なる別機能とを同時に実行可能とすることができる。このように、携帯通信端末および車両用機器が複数の所定プロファイルによって互いに通信可能に接続される構成において、車両側アプリケーションに各コンテンツを実行するアプリケーションが所定プロファイルの数よりも多く備えられている場合であっても、車両用機器は、各コンテンツをそれぞれ実行することで、各コンテンツの機能とは別にさらに複数の機能を提供可能となる。
【0009】
請求項7に記載した発明によれば、配信センターは、接続が確立された携帯通信端末を認証する認証サーバと、認証サーバが認証した携帯通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツサーバと、を備える。このように、配信センターに認証機能を付与することで、コンテンツの配信対象である携帯通信端末を管理できるようになり、コンテンツが不必要に配信、つまり、拡散されてしまったり、外部から配信センターへの攻撃を未然に防止したりすることができる。
この場合、請求項8に記載した発明のように、さらに、携帯通信端末は、認証サーバから認証を受けると、コンテンツサーバに直接アクセス可能となる構成とするとよい。これにより、一旦認証を受けた携帯通信端末については、コンテンツサーバにアクセスすることについて自由度が増すようになり、携帯通信端末を過度に管理してしまうことを回避することができる。
【0010】
請求項9に記載した発明は携帯通信端末に係る発明であり、請求項10に記載した発明は車両用機器に係る発明である。これら請求項9に記載した携帯通信端末と請求項10に記載した車両用機器とを備えて上記した請求項1から8の何れか1項に記載した車両用通信システムを構築することにより、上記の車両用通信システムに係る発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による車両用通信システムの全体構成を概略的に示す図
【図2】車両用通信システムを構築する携帯通信端末、車載機、および、配信センターの構成を模式的に示す図
【図3】携帯通信端末と車載機との接続が確立されている状態を機能ブロックで示す図
【図4】接続が確立された携帯通信端末および車載機が連携して動作している状態を模式的に示す図
【図5】コンテンツの構成の一例を模式的に示す図
【図6】携帯通信端末および車載機が連携して動作する場合の制御内容を示すフローチャート
【図7】携帯通信端末が単独で動作する場合の制御内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、Bluetooth(登録商標)を単にBTと称する。
図1に示すように、車両用通信システム1は、携帯通信端末2と、車両用機器としての車載機3と、配信センター4と、を備えている。本実施形態では、携帯通信端末2として、近年、高性能化が進むいわゆるスマートフォン(Smart Phone)を想定している。この携帯通信端末2は、通信網100を介して外部の配信センター4に接続することで、当該配信センター4から配信されるコンテンツを取得する。配信センター4は、いわゆるインターネットラジオ、音楽配信サービス、各種の検索サービス、各種の予約サービスなどを実現する各種のコンテンツを格納しているとともに、外部の端末や機器から配信要求を受けたコンテンツを、通信網100を介して配信する。この場合、図1には、コンテンツA〜Cが例示されている。
【0013】
図2に示すように、携帯通信端末2は、端末側制御部5、電話通信部6、BTモジュール7、USB(Universal Serial Bus)モジュール8、記憶部9、表示部10、キー入力部11、マイクロホン12、スピーカ13、およびバッテリ14に接続している電力供給部15などを備えている。端末側制御部5は、図示しないCPU、RAM、ROMおよびI/Oバスなどを有する周知のマイクロコンピュータで構成されている。端末側制御部5は、ROMあるいは記憶部9などに記憶されているコンピュータプログラムに従って、通信動作やデータ管理動作、ならびに後述するコンテンツの取得および実行など携帯通信端末2の動作全般を制御する。
【0014】
また、この端末側制御部5は、コンピュータプログラムを実行することにより、コンテンツ実行処理部21、コンテンツ取得処理部22、解析処理部23をソフトウェアによって仮想的に実現する。コンテンツ実行処理部21は、特許請求の範囲に記載した端末側アプリケーションによるコンテンツ実行機能により実現されるものであり、コンテンツ取得処理部22は、特許請求の範囲に記載したコンテンツ取得手段に相当し、解析処理部23は、特許請求の範囲に記載した解析手段に相当する。
コンテンツ実行処理部21は、各種のコンテンツを実行するコンテンツ実行処理を行う。コンテンツ取得処理部22は、配信センター4からコンテンツを取得するコンテンツ取得処理を行う。解析処理部23は、車載機3が配信を要求するコンテンツを取得するために配信センター4との接続が必要であるか否かを解析する解析処理を行う。
【0015】
端末側制御部5は、車載機3との接続が確立されていない状態では、各種のコンテンツを、コンテンツ実行処理部21によるコンテンツ実行処理によって携帯通信端末2単独で実行可能である。
電話通信部6は、通信網100との間で電話通信を実行する。この場合、通信網100は、図示しない携帯電話基地局や基地局制御装置などの周知の公衆回線網を使用する携帯電話通信サービスを提供する設備を含むものである。また、端末側制御部5は、コンテンツ取得処理部22によるコンテンツ取得処理を実行することにより、この電話通信部6を介して、通信網100に接続している配信センター4から各種のコンテンツを取得する。
【0016】
BTモジュール7は、車載機3との間で、近距離無線通信としてBT通信回線を通じたBT通信を行う。BTモジュール7は、BTの通信規格で規定されている複数のプロファイルを同時接続可能に、つまり、いわゆるマルチ接続可能に構成されている。これら複数のプロファイルは、機能ごとに定義された通信プロファイルを意味している。この場合、プロファイルとしては、仮想シリアルポート化したデータ通信を規定するSPP(Serial Port Profile)、ハンズフリー通話を規定するHFP(Hands Free Profile)、電話帳データの転送を規定するPBAP(Phone Book Access Profile)、同じく電話帳データの転送を規定するOPP(Object Push Profile)、音データの転送を規定するA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、音データの制御に係る制御データの転送を規定するAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)、インターネットへのダイヤルアップ接続を規定するDUN(Dial-up Networking Profile)、電子メールデータの転送を規定するMAP(Message Access Profile)などが規定されている。
【0017】
BTモジュール7は、コンテンツの種類やコンテンツに対する操作に関する情報をアプリケーション実行状態情報として車載機3との間で通信する。なお、コンテンツに対する操作とは、例えばコンテンツの実行操作、停止操作、選択操作などである。
この場合、アプリケーション実行状態情報として通信される情報には、例えばコンテンツが音楽コンテンツであれば、楽曲の種類や楽曲を何分まで再生しているかといったコンテンツの実行状態に関する情報、あるいは、楽曲に対する早送りや停止などの操作に関する情報を含んでいる。更に、アプリケーションの実行状態そのもの、すなわち、コンテンツを実行するために起動されているアプリケーションプログラムの種類(例えば楽曲再生用アプリケーションやWEBブラウザなど)、当該アプリケーションプログラムの起動操作や停止操作、ならびに、使用者がどのアプリケーションプログラムを選択したかの操作などをも含んでいる。すなわち、アプリケーション実行状態とは、所望のコンテンツを実行するにあたって使用者が入力した様々な操作を含む情報を意味している。また、BTモジュール7は、いわゆるハンズフリーに対応した図示しないマイクロホンなどにも接続可能に構成されている。
【0018】
USBモジュール8は、車載機3との間でUSB通信回線によりデータ通信を行う。記憶部9は、各種データを記憶する記憶領域を有しており、各種のコンピュータプログラムやコンテンツ、そのコンテンツを実行するためのコンテンツアプリケーション、アプリケーション連携機能を実現する連携アプリケーションなどの各種プログラム、および、各プログラムで使用されるデータなどを記憶している。この記憶部9は、例えばメモリカードなど取り外し可能な記憶媒体で構成してもよい。この記憶部9に記憶される各種アプリケーションには、端末側アプリケーションが含まれる。
表示部10は、例えば液晶表示器や有機EL表示器などで構成されており、端末側制御部5の表示指令信号に基づいて各種の情報を表示する。この表示部10は、例えば周知の電話帳や受信したメール、取得したコンテンツに関する情報およびコンテンツに対する操作画面などを表示する。
【0019】
キー入力部11は、表示部10の画面上に設けられたタッチスイッチ、いわゆるタッチパネルと、表示部10の周囲や近傍に設けられているスイッチ類とを含む各種の図示しない操作キーを備えている。タッチスイッチは、周知の感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式あるいはそれらを組み合わせた方式のものを用いて構成されている。キー入力部11は、使用者が操作キーを操作したことに応じて操作検出信号を端末側制御部5へ出力する。そして、端末側制御部5は、キー入力部11から入力された操作検出信号を解析して使用者による操作内容を特定するとともに、その操作内容をBT通信により接続相手側の機器である車載機3に通知する。
【0020】
マイクロホン12は、通話時には使用者が発した音声を送話音声として入力し、スピーカ13は、通話相手から電話通信部6により受信した音声を受話音声として出力する。また、スピーカ13は、各種のコンテンツを実行している場合には、そのコンテンツに含まれる音声データなどを出力する機能も備えている。バッテリ14は、携帯通信端末2の本体に対して着脱可能に設けられており、電力供給部15は、このバッテリ14から供給される電力を動作電力として端末側制御部5などの各機能部へ電力を供給する。
【0021】
車載機3は、装置側制御部31、BTモジュール32、USBモジュール33、記憶部34、音声処理部35、表示制御部36、表示部37、操作入力部38、操作スイッチ39、信号入力部40および位置取得部41などを備えている。この車載機3は、本実施形態では車両の車室内に搭載されている。車載機3の装置側制御部31は、図示しないCPU、RAM、ROMおよびI/Oバスなどを有する周知のマイクロコンピュータで構成されている。装置側制御部31は、ROMあるいは記憶部34などに記憶されているコンピュータプログラムに従って、通信動作やデータ管理動作など車載機3の動作全般を制御する。
【0022】
また、装置側制御部31は、コンピュータプログラムを実行することにより、コンテンツ実行処理部51、配信要求処理部52をソフトウェアによって仮想的に実現する。コンテンツ実行処理部51は、特許請求の範囲に記載した車両側アプリケーションによるコンテンツ実行機能により実現されるものであり、配信要求処理部52は、特許請求の範囲に記載した配信要求手段に相当する。
コンテンツ実行処理部51は、各種のコンテンツを実行するコンテンツ実行処理を行う。配信要求処理部52は、コンテンツの配信を要求するコンテンツ配信要求処理を行う。
【0023】
装置側制御部31は、携帯通信端末2との接続が確立されていない状態では、各種のコンテンツを、コンテンツ実行処理部51によるコンテンツ実行処理によって車載機3単独で実行可能である。また、装置側制御部31は、携帯通信端末2との接続が確立されている状態では、携帯通信端末2が配信センター4から取得したコンテンツを当該携帯通信端末2から引き継いで、コンテンツ実行処理部51によるコンテンツ実行処理によって携帯通信端末2と連携しながら実行可能である。
【0024】
BTモジュール32は、携帯通信端末2との間でBT通信回線を通じてデータ通信を行う。具体的には、BTモジュール32は、携帯通信端末2で取得したコンテンツの送受信および携帯通信端末2で入力されたコンテンツに対する操作などの受信、および、車載機3側でのコンテンツの実行状態や操作入力部38から入力された操作の携帯通信端末2側への送信、つまり、通知を行う。
【0025】
USBモジュール33は、接続ケーブル55により携帯通信端末2に接続され、携帯通信端末2との間でUSB通信回線によりデータ通信を行う。記憶部34は、例えばハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶媒体で構成されており、各種のコンピュータプログラムやコンテンツ、そのコンテンツを実行するためのコンテンツアプリケーション、アプリケーション連携機能を実現する連携アプリケーションなどの各種のプログラム、および、各プログラムで使用されるデータなどを記憶している。記憶部34は、車載機3に内蔵されている構成であってもよいし、車載機3から取り外し可能な外部記憶媒体を用いる構成であってもよい。この記憶部34に記憶される各種アプリケーションには、車両側アプリケーションが含まれる。
【0026】
音声処理部35は、マイクロホン35a、および、スピーカ35bを有するオーディオアンプ35cに接続している。また、音声処理部35は、装置側制御部31、BTモジュール32およびUSBモジュール33に接続している。この音声処理部35は、周知の音声入力処理および音声出力処理を行う。具体的には、マイクロホン35aは、車室内の例えばハンドルの近傍など使用者が発した音声を集音し易い部位に配置されており、オーディオアンプ35cは、車室内において車載機3の外部に設けられている。音声処理部35は、マイクロホン35aから入力された音声に基づいて車載機3の操作などの指示を装置側制御部31に出力する一方、装置側制御部31やBTモジュール32などからの指示に基づいてスピーカ35bから音声を出力する。本実施形態では、スピーカ35bは、いわゆるステレオスピーカである。
【0027】
表示制御部36は、表示部37に接続しており、装置側制御部31からの指示に基づいて表示部37に表示する内容すなわち表示画面を制御する。表示部37は、例えば液晶表示器や有機ELで構成されており、表示制御部36の表示指令信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部37は、その画面上にタッチスイッチ、いわゆるタッチパネルが設けられている。タッチスイッチは、周知の感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式あるいはそれらを組み合わせた方式のものを用いて構成されている。この表示部37は、車載機3の操作やコンテンツの実行状態やコンテンツに対する操作を入力するための操作画面などを表示する。
【0028】
操作入力部38は、表示部37の周囲に設けられている複数のスイッチ類を有する操作スイッチ39に接続している。操作入力部38は、使用者によるタッチパネルの操作および操作スイッチ39の操作を検知し、その操作検知信号操作を装置側制御部31に出力する。具体的には、操作入力部38は、使用者がタッチスイッチなどを操作して操作スイッチ39から操作検知信号が入力されると、その入力された操作検知信号を装置側制御部31へ出力し、装置側制御部31は、操作入力部38から入力された操作検知信号を解析して使用者の操作内容を特定する。この操作入力部38から操作検知信号が入力されると、装置側制御部31は、特定した操作内容に基づいて表示指令信号を表示制御部36に出力するとともに、その操作内容をBTモジュール32を通じてBT通信により接続相手側の機器である携帯通信端末2側に通知する。
【0029】
信号入力部40は、車両に搭載されている図示しないACC(アクセサリ)スイッチに接続しており、ACCスイッチから出力されたACC信号が入力されると、ACC信号を装置側制御部31へ出力する。装置側制御部31は、信号入力部40から出力されたACC信号のオンオフに基づいて図示しない電源回路のオンオフを制御する。すなわち、装置側制御部31は、ACC信号がオフからオンに遷移したタイミングで電源回路をオンし、つまり、車載機3を起動し、ACC信号がオンからオフに遷移したタイミングで電源回路をオフ、つまり、車載機3を停止する。なお、電源回路のオンオフ用に装置側制御部31とは異なるマイクロコンピュータを設けた構成であってもよい。
【0030】
位置取得部41は、図示しない周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサおよびGPS受信機などを備えている。位置取得部41は、これら地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ及びGPS受信機などから入力される検出信号を互いに補完することにより車両の位置情報を取得する。この場合、位置取得部41は、要求される検出精度で車両の位置情報を取得可能であれば、これら全ての要素を備える必要はなく、また、ステアリングの舵角を検出するステアリングセンサや各車輪の回転を検出する車輪センサなどと組み合わされて構成されていてもよい。位置取得部41は、取得した自車両の位置情報を装置側制御部31に出力する。装置側制御部31は、位置取得部41で取得した車両の位置情報に基づいて、いわゆるナビゲーション処理を行う。すなわち、本実施形態では、車載機3としてナビゲーション装置を利用している。
【0031】
このような構成の車両用通信システム1において、携帯通信端末2および車載機3が互いに通信可能に接続されていない場合、すなわち、BT通信による接続が確立されていない場合には、携帯通信端末2は、単独で動作可能である。一方、携帯通信端末2および車載機3は、互いに通信可能に接続されると、相互に連携して動作可能な状態となる。
具体的には、携帯通信端末2と車載機3とが相互に通信可能に接続されていない状態において、携帯通信端末2は、自身で取得したコンテンツを、自ら実行する。即ち、例えば、配信センター4のコンテンツ配信機能によりコンテンツAが配信されている場合、そのコンテンツAは、使用者による携帯通信端末2への操作に応じ、携帯通信端末2が自身で取得する。そして、携帯通信端末2は、自身が有するコンテンツAに対応したアプリケーションプログラムであるコンテンツアプリAにて、コンテンツAを実行する。このように携帯通信端末2が単独で動作する場合の制御内容については、後述する動作説明においてさらに詳細に説明する。
【0032】
一方、携帯通信端末2と車載機3とが相互に通信可能に接続された状態で携帯通信端末2側にて連携アプリケーションが起動し、車載機3側にて連携アプリケーションが起動すると、図3に示すように、携帯通信端末2と車載機3とは、アプリケーション連携機能が有効化される。その結果、携帯通信端末2で取得したコンテンツを、車載機3にて実行することが可能となる。例えば、配信センター4のコンテンツ配信機能によりコンテンツAが配信されている場合、そのコンテンツAは、車載機3からの要求に応じて携帯通信端末2によって取得され、その取得されたコンテンツAが携帯通信端末2を通じて車載機3に受け渡される。そして、車載機3は、コンテンツAに対応したアプリケーションプログラムであるコンテンツアプリAにて、携帯通信端末2を介して取得したコンテンツAを実行する。
【0033】
この状態、つまり、アプリケーション連携機能が有効化された状態では、携帯通信端末2は、配信センター4から取得したコンテンツAを受け渡すための通信媒体として機能している。つまり、携帯通信端末2と車載機3とがBT通信により接続された状態においては、携帯通信端末2と車載機3とは互いに各連携アプリケーションを起動することで相互に協働し、携帯通信端末2で取得したコンテンツを相互に連携しながら車載機3側で実行する。このため、図4に示すように、車載機3が設けられている車両内に携帯通信端末2が持ち込まれ、携帯通信端末2と車載機3との間でBT通信回線が確立された状態では、例えば音楽配信のコンテンツAに含まれる楽曲は、車載機3に接続されているスピーカ35bから出力される。また、車載機3の表示部37には、コンテンツアプリAの実行時画面として、コンテンツAに対する操作を入力するための操作メニュー画面71が表示される。なお、図4では通信網100および配信センター4の図示を省略している。
【0034】
このとき、携帯通信端末2は、基本的には、表示部10の表示状態をブラックアウト状態、つまり、表示なしの状態とするが、表示部10に、連携アプリケーションを実行中である旨、もしくは、車載機3にてコンテンツアプリAを実行中である旨を示すようにしてもよい。また、本実施形態の場合、携帯通信端末2は、コンテンツAに対する操作が禁止されているため、使用者は、コンテンツAに対する操作を入力する場合には、携帯通信端末2ではなく、車載機3に対して入力する。つまり、近距離通信システム1は、携帯通信端末2と車載機3とが接続され車載機3による操作が可能な状態においては、車載機3に比べて一般的に操作キーや画面が小さい携帯通信端末2を使用者が操作あるいは注視することにより安全性が低下するおそれを抑制している。
なお、アプリケーション連携機能が有効化された状態においては、車載機3で実行しているコンテンツを携帯通信端末2の表示部10やスピーカ13を介して出力するように構成することも可能である。
【0035】
配信センター4は、図2に示すように、認証サーバ61とコンテンツサーバ62とを備えている。認証サーバ61は、携帯通信端末との接続や課金などに関する処理を担うものである。この認証サーバ61には、所定の携帯通信端末、例えば、この車両用通信システム1によるコンテンツ配信サービスを契約した者が所有する携帯通信端末が登録端末として登録されている。そして、この認証サーバ61は、接続された携帯通信端末が登録端末である場合には、その携帯通信端末を配信許可端末として認証するとともに、その携帯通信端末に対してコンテンツを配信することを指示するコンテンツ配信指示をコンテンツサーバ62に送信する。
【0036】
コンテンツサーバ62は、各種のコンテンツを保有し、認証サーバ61からのコンテンツ配信指示に応じて、配信許可端末として認証された携帯通信端末にコンテンツを配信するものである。この場合、各種のコンテンツごとに複数のサーバが設けられている。この場合、図2には、コンテンツサーバ62a〜62dが例示されている。即ち、例えば、コンテンツサーバ62aには、コンテンツAとして、例えば音楽コンテンツが格納されており、コンテンツサーバ62bには、コンテンツBとして、例えばインターネットラジオコンテンツが格納されており、コンテンツサーバ62cには、コンテンツCとして、例えば、検索サービスコンテンツが格納されており、コンテンツサーバ62dには、コンテンツDとして、例えば、予約サービスコンテンツが格納されている。なお、1つのコンテンツサーバに複数のコンテンツを格納しておくことも当然に可能である。
【0037】
また、車載機3は、携帯通信端末2から受信した各コンテンツを実行するための各コンテンツアプリケーション(コンテンツアプリとも称する)に、それぞれ複数の機能をライブラリとして付加することが可能である。即ち、図5に示すように、例えば、検索サービスコンテンツを実行するためのコンテンツアプリにインターネットラジオ機能をライブラリとして付加したり、予約サービスコンテンツを実行するためのコンテンツアプリにインターネットラジオ機能をライブラリとして付加したりすることが可能である。これにより、検索サービスコンテンツによる例えばグルメや旅行などの検索サービスを提供しながら、その検索処理に付随して、インターネットラジオライブラリによってインターネットラジオを同時に流したり、予約サービスコンテンツによる例えば映画チケットやレストランなどの予約サービスを提供しながら、その予約処理に付随して、インターネットラジオによってインターネットラジオを同時に流したりすること、つまり、主たるコンテンツサービスと当該コンテンツサービスに付随する従たるコンテンツサービスとが同時に実現可能である。また、例えば、検索サービスコンテンツを実行するためのコンテンツアプリにインターネットラジオ機能や予約サービス機能などをライブラリとして付加すること、即ち、1つのコンテンツを実行するための1つのコンテンツアプリに複数の機能を付加することも可能である。
【0038】
また、配信許可端末として認証された携帯通信端末は、以降においては、認証サーバ61を介することなくコンテンツサーバ62に直接アクセス可能となる。
なお、携帯通信端末2および車載機3は、この場合、所定の通信規格として、上記した複数のプロファイルのうち特にSPPによる接続が確立されることによって、互いに通信可能に接続されるように構成されている。
【0039】
ここで、SPPは、接続確立時に接続要求元の装置、あるいは、通信相手装置を提示可能なプロファイルである。このSPPでは、一方の装置、この場合、接続要求元である車載機3は、仮想シリアルポートを設定するとともに、他方の装置、この場合、通信相手装置である携帯通信端末2に接続要求を出力する。仮想シリアルポートを設定した一方の装置、この場合、車載機3は、自身を示す情報、つまり、接続要求元を特定する情報であり、この場合、例えば「spp(車載機3)」という信号を通信相手である装置、この場合、携帯通信端末2に通知する。この車載機3からの接続要求に応じて、通知を受けた通信相手装置である他方の装置、この場合、携帯通信端末2は、その通知情報に基づいて接続要求元の装置が所定の装置、この場合、車載機3であることを確認した上で、その接続要求元の装置との間でSPPによる接続を確立する。従って、携帯通信端末2は、車載機3との間でBT通信回線が確立された場合に、SPPにおける通知情報に基づいて、BT通信の通信相手装置が車載機3であるか否かを把握できるようになっている。従って、本実施形態では、携帯通信端末2は、このようなSPPの機能を利用して、つまり、SPPによる接続が確立したか否かを基準として、車載機3に通信可能に接続されたか否かを判断するように構成されている。また、携帯通信端末2は、車載機3に通信可能に接続されると、接続が確立されたことを示す接続確立情報、例えば「spp(携帯通信端末2)」という信号を車載機3に通知する。これにより、車載機3も、確立されたBT通信の通信相手装置が携帯通信端末2であることを把握できるようになっている。従って、本実施形態では、車載機3も、このようなSPPの機能を利用して、つまり、SPPによる接続が確立したか否かを基準として、携帯通信端末2に通信可能に接続されたか否かを判断するように構成されている。
【0040】
また、SPPは、任意のコマンドを規定することが可能であり、各種の情報やデータを送受信することができる自由度の高いプロファイルである。そのため、様々な情報やデータの送受信を必要とする本実施形態の携帯通信端末2および車載機3は、SPPをBT通信のプロファイルとして採用している。
【0041】
次に、上記した構成の車両用通信システム1の動作について図6を参照して説明する。なお、以下に説明する処理は、携帯通信端末2では端末側制御部5により実行され、車載機3では装置側制御部31により実行され、配信センター4では例えば認証サーバ61が有する図示しないセンター側制御部により実行されるものであるが、説明の簡略化のため、それぞれ携帯通信端末2、車載機3、および、配信センター4を主体にして説明する。
まず、携帯通信端末2では、当該携帯通信端末2が車室内に持ち込まれる前、あるいは、当該携帯通信端末2が車室内に持ち込まれた直後に、使用者による操作に応じて、携帯通信端末2自身の連携アプリケーションが起動される(ステップS1)。そして、携帯通信端末2にて自身の連携アプリケーションが起動されている状態で、使用者による操作に応じて、車載機3自身の連携アプリケーションが起動されると(ステップS2)、携帯通信端末2および車載機3は、この場合、SPPによるコネクション確立処理を実行する(ステップS3,S4)。これにより、携帯通信端末2および車載機3は、互いに通信可能に接続された状態となる。
【0042】
ここで、携帯通信端末2の連携アプリケーションが起動され、コンテンツAを実行中に携帯通信端末2を車室内に持ち込んだ場合、SPPによるコネクションが確立すると、コンテンツAの実行は終了される。使用者は、車載機3のタッチパネルを操作し、所望のコンテンツを再度実行させることとなる。
車載機3は、SPPにより携帯通信端末2と通信可能に接続されると、使用者によるタッチパネルの操作に応じて、コンテンツ配信要求処理を実行する(ステップS5)。このコンテンツ配信要求処理では、車載機3は、コンテンツの配信を要求するコンテンツ配信要求情報をSPPにより携帯通信端末2へ送信する。このコンテンツ配信要求情報には、要求するコンテンツの種類など当該コンテンツを特定するための情報が含まれる。
【0043】
一方、携帯通信端末2は、車載機3からコンテンツ配信要求情報を受信すると、その情報の解析処理を実行する(ステップS6)。この解析処理では、携帯通信端末2は、車載機3が配信を要求するコンテンツを取得するために配信センター4との接続が必要であるか否かを判定する。この場合、携帯通信端末2は、コンテンツ配信要求情報を解析することによって、車載機3が配信を要求しているコンテンツを特定する。そして、その特定したコンテンツが、その時点において携帯通信端末2が有しているコンテンツであれば、携帯通信端末2は、配信センター4との接続が不要であると判定する。一方、その特定したコンテンツが、その時点において携帯通信端末2が有していないコンテンツであれば、携帯通信端末2は、配信センター4との接続が必要であると判定する。
【0044】
この解析処理の結果、配信センター4との接続が不要であると判定した場合(ステップS7:NO)、つまり、車載機3が配信を要求しているコンテンツを当該携帯通信端末2が有している場合には、携帯通信端末2は、配信センター4との接続を確立することなく、そのコンテンツを車載機3に送信して受け渡す(ステップS8)。
一方、上記の解析処理の結果、配信センター4との接続が必要であると判定した場合(ステップS7:YES)、つまり、車載機3が配信を要求しているコンテンツを当該携帯通信端末2が有していない場合には、携帯通信端末2は、配信センター4との接続確立処理を実行する(ステップS9)。
【0045】
携帯通信端末2は、配信センター4との接続を確立すると、コンテンツ取得要求処理を実行する(ステップS10)。このコンテンツ取得要求処理では、携帯通信端末2は、車載機3から受信したコンテンツ配信要求情報を配信センター4に送信する。
配信センター4は、携帯通信端末2からコンテンツ配信要求情報を受信すると、携帯通信端末の認証処理を実行する(ステップS11)。この認証処理では、配信センター4は、そのコンテンツ配信要求情報を送信した携帯通信端末2が予め登録を受けている登録端末であるか否かを判定する。そして、その携帯通信端末2が登録端末である場合には、配信センター4は、その携帯通信端末を、コンテンツの配信を許可する配信許可端末として認証する。一方、その携帯通信端末2が登録端末でない場合には、配信センター4は、その携帯通信端末を、コンテンツの配信を許可する配信許可端末として認証しないようになっている。
【0046】
配信センター4は、上記の認証処理によって、コンテンツ配信要求情報を送信した携帯通信端末2を配信許可端末として認証した場合(ステップS12:YES)には、その携帯通信端末2に、配信が要求されたコンテンツを配信する(ステップS13)。一方、配信センター4は、コンテンツ配信要求情報を送信した携帯通信端末2を配信許可端末として認証しなかった場合(ステップS12:NO)には、その携帯通信端末2にコンテンツを配信しないようになっている。
【0047】
携帯通信端末2は、配信センター4が配信したコンテンツを取得すると、そのコンテンツを車載機3に送信して受け渡す(ステップS14)。車載機3は、携帯通信端末2から受け取ったコンテンツ、つまり、上記のステップS8によって送信された携帯通信端末2が配信要求時に既に有していたコンテンツ、あるいは、上記のステップS14によって送信された携帯通信端末2が配信要求に応じて配信センター4から新たに取得したコンテンツを、自身のコンテンツ実行処理部によって実行する(ステップS15)。
【0048】
次に、携帯通信端末2が単独で動作する場合の制御内容について図7を参照して説明する。即ち、携帯通信端末2は、車載機3と互いに通信可能に接続されていない状態では、使用者による携帯通信端末2への操作に応じ、配信センター4との接続確立処理を実行する(ステップA1)。
携帯通信端末2は、配信センター4との接続を確立すると、コンテンツ取得要求処理を実行する(ステップA2)。このコンテンツ取得要求処理では、携帯通信端末2は、コンテンツ配信要求情報を配信センター4に送信する。この場合、コンテンツ配信要求情報は、例えば使用者による携帯通信端末2への操作に応じて配信が要求されたコンテンツを特定する情報である。
【0049】
配信センター4は、携帯通信端末2からコンテンツ配信要求情報を受信すると、携帯通信端末の認証処理を実行する(ステップA3)。この認証処理は、上述した認証処理、つまり、図6に示したステップS11の処理と同内容である。
配信センター4は、この認証処理によって、コンテンツ配信要求情報を送信した携帯通信端末2を配信許可端末として認証した場合(ステップA4:YES)には、その携帯通信端末2に、配信が要求されたコンテンツを配信する(ステップA5)。一方、配信センター4は、コンテンツ配信要求情報を送信した携帯通信端末2を配信許可端末として認証しなかった場合(ステップA4:NO)には、その携帯通信端末2にコンテンツを配信しないようになっている。
携帯通信端末2は、配信センター4が配信したコンテンツを取得すると、そのコンテンツを、自身のコンテンツ実行処理部によって実行する(ステップA6)。
【0050】
以上に説明したように本実施形態によれば、車両用通信システム1は、コンテンツを配信する配信センター4と、この配信センター4から配信されるコンテンツを取得するコンテンツ取得処理部22およびコンテンツを実行する端末側アプリケーションを有する携帯通信端末2と、この携帯通信端末2と互いに通信可能に接続され、コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有する車載機3と、を備える。そして、この車両用通信システム1では、携帯通信端末2と車載機3との接続が確立されていない状態では、コンテンツ取得処理部22により取得したコンテンツが、携帯通信端末2の端末側アプリケーションにて実行される。一方、携帯通信端末2と車載機3との接続が確立されている状態では、端末側アプリケーションと車両側アプリケーションとが互いに連携して動作可能となり、コンテンツ取得処理部22により取得したコンテンツが、車載機3が有する車両側アプリケーションにて実行される。
【0051】
この車両用通信システム1において、配信センター4からコンテンツを取得するコンテンツ取得処理は、近年、高性能化が進んでいる携帯通信端末2にコンテンツ取得処理部22を備えることにより、この携帯通信端末2が主体となって実行する。従って、携帯通信端末2の高い性能を十分に活用して配信センター4からコンテンツを取得する車両用通信システム1を実現することができる。
また、携帯通信端末2は、車載機3との接続が確立されている状態において、その車載機3から送信された要求、つまり、コンテンツ配信要求の解析結果に応じて、コンテンツ取得処理部22によりコンテンツを取得する。さらに、車載機3は、配信要求処理部52によって、コンテンツの配信を要求し、携帯通信端末2は、解析処理部23によって、車載機3が配信を要求するコンテンツを取得するために配信センター4との接続が必要であるか否かを解析する。そして、携帯通信端末2は、解析処理部23による解析の結果、配信センターとの接続が必要であると解析した場合に、配信センター4との接続を確立して、コンテンツ取得処理部22によって配信センター4からコンテンツを取得する。
このように、高性能の携帯通信端末2にて情報の解析処理を行った上で、配信センター4からコンテンツを取得する車両用通信システム1を実現する。
【0052】
また、携帯通信端末2および車載機3は、携帯通信端末2および車載機3が互いに通信可能に接続されている状態でこれら携帯通信端末2および車載機3を互いに連携して動作可能とする連携アプリケーションを有する。そして、本実施形態では、携帯通信端末2にて端末側の連携アプリケーションが起動されている状態で、ユーザ操作により車載機3にて車両側の連携アプリケーションが起動されると、車載機3から携帯通信端末2へ所定プロファイル、この場合、SPPによる接続確立の要求がなされ、この要求に応じて、SPPによる接続が確立し、携帯通信端末2側の連携アプリケーションと車載機3側の連携アプリケーションとが連携して動作可能な状態となる動作例を開示した。この動作例は、携帯通信端末2および車載機3を互いに連携して動作可能な状態とするための処理の一例であり、従って、本発明は、この動作例に限定されるものではない。例えば、車載機3にて自身の連携アプリケーションが起動されている状態で、携帯通信端末2にて自身の連携アプリケーションが起動されることで、携帯通信端末2および車載機3を互いに連携して動作可能な状態としたり、携帯通信端末2の連携アプリケーションと車載機3の連携アプリケーションとを同時に起動することで、携帯通信端末2および車載機3を互いに連携して動作可能な状態としたりすることも当然に可能である。
【0053】
また、本実施形態において、携帯通信端末2および車載機3は、1つの所定プロファイル、この場合、一のSPPによる接続が確立されることによって、互いに通信可能に接続される。即ち、車両用通信システム1は、コンテンツに関する各種データを携帯通信端末2と車載機3との間で送受信するリソースを1つのみ有する構成である。従って、携帯通信端末2および車載機3は、互いに連携して動作可能な状態では、この1つのリソースを介して1つのコンテンツしか相互に連携して実行することができない。しかし、各コンテンツを実行するアプリケーションに、コンテンツ実行機能とは異なる別機能であって当該コンテンツ実行機能と同時実行可能な機能をライブラリとして付加しておくことで、携帯通信端末2と車載機3とが1つのリソースを介して互いに連携して動作する場合であっても、車載機3は、1つのコンテンツを実行することで複数の機能を提供可能となる。
【0054】
なお、通信規格としては、SPPに限られるものではない。また、携帯通信端末2と車載機3との間に確立する連携動作に係る接続を複数備える構成とすることによって、複数のコンテンツを同時に実行可能とすることもできる。
また、一のSPPとは、1種類のプロファイルという意味ではなく、例えば複数のSPPによる接続が確立されている状態において、それら複数のSPP接続のうちの1つという意味も含む。
【0055】
また、携帯通信端末2および車載機3は、1つの所定プロファイルではなく複数の所定プロファイルによって互いに通信可能に接続するように構成することも可能である。このとき、車両側アプリケーションには、各コンテンツを実行するアプリケーションが、それら所定プロファイルの数、つまり、携帯通信端末2および車載機3を互いに連携動作可能に接続するリソースの数よりも多く備えられる場合がある。このような場合においても、各アプリケーションに、それぞれ、各コンテンツを実行するコンテンツ実行機能とは異なる別機能を実現するライブラリを含ませることで、コンテンツ実行機能と別機能とを同時に実行可能とすることができる。
【0056】
また、配信センター4は、接続が確立された携帯通信端末2を認証する認証サーバ61と、認証サーバ61が認証した携帯通信端末に対してコンテンツを提供するコンテンツサーバ62と、を備える。このように、配信センター4に認証機能や課金管理機能を付与することで、コンテンツの配信対象である携帯通信端末2を一括管理できるようになり、コンテンツが不必要に配信、つまり、コンテンツの配信が許可されていない携帯通信端末にコンテンツが拡散してしまったり、外部から配信センター4への攻撃を未然に防止したりすることができる。
さらに、携帯通信端末2は、認証サーバ61から一旦認証を受けると、以降においては、認証サーバ61を介することなくコンテンツサーバ62に直接アクセス可能となる。これにより、認証サーバの処理負荷や、携帯通信端末2がコンテンツを取得するのに要する時間を短縮することができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した一実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
携帯通信端末2としてスマートフォンを採用した例を示したが、携帯通信端末2は、近年、スマートフォンと同様に高性能化している携帯電話機など、その他の通信端末であってもよい。
通信網100を介して電話通信部6によりコンテンツを受信する構成例を示したが、例えば、携帯通信端末2は、いわゆる無線LANやWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)によりコンテンツを取得する構成であってもよい。
【0058】
コンテンツの種類や画面表示、あるいはアプリケーションプログラムの種類、ならびにそれらの実行状態などは一例であり、これに限定されない。コンテンツは、例えば、いわゆるストリーミングにより配信されるストリーミング型のものだけでなく、取得後に携帯通信端末2内に記憶されるようなダウンロード型のものであってもよい。
車両用機器としての車載機3にナビゲーション装置を採用した例を示したが、必ずしもナビゲーション装置である必要ではない。例えば案内機能を有するアプリケーションプログラムを記憶部34などに記憶しておけば、使用者はそのアプリケーションを起動することでナビゲーション機能の利用が可能になる機器を車両用機器として採用してもよい。また、車両用機器は、例えば、車両に組み込まれる車載装置のほか、例えば車両に着脱可能な携帯型の無線装置などで構成することもできる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、1は車両用通信システム、2は携帯通信端末、3は車載機(車両用機器)、4は配信センター、21はコンテンツ実行処理部(コンテンツ実行手段)、22はコンテンツ取得処理部(コンテンツ取得手段)、23は解析処理部(解析手段)、51はコンテンツ実行処理部(コンテンツ実行手段)、52は配信要求処理部(配信要求手段)、61は認証サーバ、62はコンテンツサーバを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを配信する配信センターと、
前記配信センターから配信される前記コンテンツを取得するコンテンツ取得手段および前記コンテンツを実行する端末側アプリケーションを有する携帯通信端末と、
前記携帯通信端末と互いに通信可能に接続され、前記コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有する車両用機器と、
を備える車両用通信システムであって、
前記携帯通信端末と前記車両用機器との接続が確立されていない状態では、前記コンテンツ取得手段により取得した前記コンテンツが、前記携帯通信端末の前記端末側アプリケーションにて実行され、
前記携帯通信端末と前記車両用機器との接続が確立されている状態では、前記端末側アプリケーションと前記車両側アプリケーションとが連携して動作可能となり、前記コンテンツ取得手段により取得した前記コンテンツが、前記車両用機器の前記車両側アプリケーションにて実行されることを特徴とする車両用通信システム。
【請求項2】
前記携帯通信端末と前記車両用機器との接続が確立されている状態において、前記携帯通信端末は、前記車両用機器から送信された要求の解析結果に応じて前記コンテンツ取得手段により前記コンテンツを取得することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
【請求項3】
前記車両用機器は、前記コンテンツの配信を要求する配信要求手段を備え、
前記携帯通信端末は、前記配信要求手段が配信を要求する前記コンテンツを取得するために前記配信センターとの接続が必要であるか否かを解析する解析手段を備え、
前記コンテンツ取得手段は、前記解析手段が前記配信センターとの接続が必要であると解析した場合に、前記配信センターとの接続を確立し、前記配信センターから前記コンテンツを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用通信システム。
【請求項4】
前記端末側アプリケーションが起動されている状態で、ユーザ操作により前記車両側アプリケーションが起動されると、
前記車両用機器から前記携帯通信端末への所定プロファイルによる接続の要求に応じて、前記所定プロファイルの接続を確立させ、前記端末側アプリケーションと前記車両側アプリケーションとが連携して動作可能となることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項5】
前記携帯通信端末および前記車両用機器は、1つの所定プロファイルによって互いに通信可能に接続されるように構成され、
前記車両側アプリケーションは、各コンテンツを実行する複数のアプリケーションを含み、
各アプリケーションは、前記コンテンツを実行するコンテンツ実行機能とは異なる別機能を実現するライブラリを含み、前記コンテンツ実行機能と前記別機能とを同時に実行可能とすることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項6】
前記携帯通信端末および前記車両用機器は、複数の所定プロファイルによって互いに通信可能に接続されるように構成され、
前記車両側アプリケーションは、各コンテンツを実行する複数のアプリケーションを含み、これらアプリケーションは、前記所定プロファイルの数よりも多く備えられ、
各アプリケーションは、前記コンテンツを実行するコンテンツ実行機能とは異なる別機能を実現するライブラリを含み、前記コンテンツ実行機能と前記別機能とを同時に実行可能とすることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項7】
前記配信センターは、
前記携帯通信端末を認証する認証サーバと、
前記認証サーバが認証した前記携帯通信端末に対して前記コンテンツを提供するコンテンツサーバと、
を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の車両用通信システム。
【請求項8】
前記携帯通信端末は、前記認証サーバから認証を受けると、前記コンテンツサーバに直接アクセス可能となることを特徴とする請求項7に記載の車両用通信システム。
【請求項9】
配信センターから配信されるコンテンツを取得するコンテンツ取得手段および前記コンテンツを実行する端末側アプリケーションを有し、前記コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有する車両用機器と互いに通信可能に接続され、前記配信センターおよび前記車両用機器とともに車両用通信システムを構成する携帯通信端末であって、
前記車両用機器との接続が確立されていない状態では、前記コンテンツ取得手段により取得した前記コンテンツを前記端末側アプリケーションにて実行し、
前記車両用機器との接続が確立されている状態では、前記端末側アプリケーションが前記車両側アプリケーションと連携して動作可能となり、前記車両側アプリケーションにて実行されるコンテンツを前記コンテンツ取得手段により取得し、前記車両用機器へ送信することを特徴とする携帯通信端末。
【請求項10】
配信センターから配信されるコンテンツを取得するコンテンツ取得手段および前記コンテンツを実行する端末側アプリケーションを有する携帯通信端末と互いに通信可能に接続され、前記コンテンツを実行する車両側アプリケーションを有し、前記配信センターおよび前記携帯通信端末とともに車両用通信システムを構成する車両用機器であって、
前記携帯通信端末との接続が確立されている状態では、前記車両側アプリケーションが前記端末側アプリケーションと連携して動作可能となり、前記コンテンツ取得手段により取得した前記コンテンツを前記車両側アプリケーションにて実行することを特徴とする車両用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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