車両用防眩装置
【課題】遮光部材を、運転者から見て水平方向に移動させる自動タイプのもので、使い勝手がよく、モータに対する電気配線の処理が容易で、視界を極力妨げないようにする。
【解決手段】車両用防眩装置1は、運転者から見て水平方向に延びるベースプレート3と、ベースプレート3に水平方向に移動可能に設けられた遮光部材10と、ベースプレート3に設けられたDCモータからなるモータ15と、モータ15の駆動に基づき遮光部材10を移動させる移動機構と、ドライブプーリ20の回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータ28と、車両に対する光源の位置を検出する日射センサ40と、回転型ポテンショメータ28の抵抗値の変化と日射センサ40の検出信号とに基づき遮光部材10の移動位置を制御する制御回路とを具備する。
【解決手段】車両用防眩装置1は、運転者から見て水平方向に延びるベースプレート3と、ベースプレート3に水平方向に移動可能に設けられた遮光部材10と、ベースプレート3に設けられたDCモータからなるモータ15と、モータ15の駆動に基づき遮光部材10を移動させる移動機構と、ドライブプーリ20の回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータ28と、車両に対する光源の位置を検出する日射センサ40と、回転型ポテンショメータ28の抵抗値の変化と日射センサ40の検出信号とに基づき遮光部材10の移動位置を制御する制御回路とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントウインドから入射する光、特に太陽光の眩しさを防止するための車両用防眩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用防眩装置は、従来より種々考えられている。
例えば特許文献1には、手動タイプの補助防眩装置(補助サンバイザ)が示されている。具体的には、フックを介して自動車の備え付けのサンバイザに取り付けられるケースと、このケースに上下方向に進退可能に収容された遮光板とを備え、運転者が遮光板の突出量を手動にて調整し、運転者の目線に入る太陽光を遮光板にて遮ることにより眩しさを防止する構成となっている。
【0003】
特許文献2には、自動タイプの防眩装置(自動サンバイザ)が示されている。このものは、車両における運転席の天井部の前部に、備え付けのサンバイザに代えて、取り付ける構成となっている。具体的には、運転席の天井部の前部に取り付けられるケースと、このケースに前後方向に出没可能に収納された有色透明の遮光板と、モータと、このモータを駆動源として前記遮光板を移動させるための移動機構と、車両に対する太陽光の入射方向を検出するための受光センサと、制御回路とを備えている。そして、受光センサの検出信号に基づき、モータを駆動して遮光板の出入り量を制御することにより、運転者の目線に入る太陽光を遮光板にて遮る構成となっている。このものによれば、受光センサの検出信号に基づき、遮光板の突出位置が自動的に制御されるので、運転者が遮光板の位置を手動にて調整する必要がない。
【0004】
特許文献3には、遮光部材として、光の透過率を制御可能な偏光板を用いた偏光手段を備えたものが示されている。具体的には、フロントウインドの内側上部に取り付けられる有色透明なベースプレートと、偏光手段を収納してベースプレートに、運転者から見て水平方向(横方向)に移動可能に設けられた可動ケースとを備え、運転者が可動ケースの水平方向の位置を手動にて調整するとともに、偏光手段による光透過率を調整することにより眩しさを防止する構成となっている。
【0005】
また、この特許文献3には、自動タイプのものも開示されている。具体的には、偏光手段を収納してベースプレートに水平方向(横方向)に移動可能に設けられた可動ケースと、当該可動ケースの位置調整用の第1のモータおよび移動機構と、偏光手段の光透過率調整用の第2のモータおよび移動機構と、車両に対する太陽の位置および入射光の光強度を検出するための受光センサと、制御回路とを備え、受光センサの検出信号に基づき、第1のモータを駆動して可動ケース(偏光手段)の水平方向の移動位置を制御するとともに、第2のモータを駆動して偏光手段による光透過率を制御する構成となっている。
【特許文献1】実開昭63−19428号公報
【特許文献2】特開平7−329566号公報
【特許文献3】特許第3796263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2の構成のものでは、遮光板は、運転者から見て水平方向へ移動させることができない。このため、運転者から見て水平方向に広い領域まで防眩効果を得るためには、遮光板の水平方向の幅を大きくする必要がある。しかしながら、水平方向に幅の広い遮光板を下方へ大きく突出させた場合には、その遮光板により運転者の視界が広く遮られてしまうことになる。
【0007】
特許文献3の手動タイプのものでは、遮光部材(偏光手段)が水平方向に移動できるので、横方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる利点がある。しかしながら、その遮光部材を運転者が手で移動させる必要があるため、使い勝手が悪いという欠点がある。一方、特許文献3の自動タイプのものでは、遮光部材を運転者が手で移動させる必要がなく、使い勝手がよいという利点があるが、次のような欠点がある。それは、モータが水平方向に移動する可動ケースに配設されているため、そのモータに対する電気配線の処理が面倒となる。また、可動ケース内には、モータのほか、ギヤ等の移動機構も配設されているため、それらが視界を妨げるおそれもある。
【0008】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遮光部材を、運転者から見て水平方向に移動させる自動タイプのもので、使い勝手がよく、また、モータに対する電気配線の処理が容易で、しかも視界を極力妨げないようにできる車両用防眩装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明の車両用防眩装置は、車両におけるフロントウインドの内側上部に取り付けられ、運転者から見て水平方向に延びる透明なベースプレートと、このベースプレートに水平方向に移動可能に設けられた遮光部材と、前記ベースプレートに設けられたDCモータと、このDCモータと前記遮光部材との間に、前記DCモータにより回転されるドライブプーリと、このドライブプーリに掛け渡されるとともに前記遮光部材に連結されたループ状をなす線条部材とを有して設けられ、前記DCモータの駆動に基づき前記ドライブプーリおよび前記線条部材を介して前記遮光部材を移動させる移動機構と、前記ドライブプーリの回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータと、前記車両に対する光源の位置を検出する日射センサと、前記回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と前記日射センサの検出信号とに基づき前記DCモータを駆動制御することにより前記移動機構を介して前記遮光部材の移動位置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記した構成のものにおいては、回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と日射センサの検出信号とに基づき、遮光部材を、モータを駆動源としてベースプレートの水平方向に自動的に移動させる構成としているので、遮光部材の水平方向の幅を大きくすることなく、水平方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる。また、その遮光部材が適正な位置に自動的に移動される自動タイプの構成であるから、使い勝手もよい。さらに、遮光部材を移動させるための駆動源であるモータを、静止部位側であるベースプレートに設けているので、そのモータに対する電気配線の処理が容易にできる。また、そのモータで視界を妨げることも極力防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。なお、図1は本発明の防眩装置1を運転者側から見た状態の正面図、図2は防眩装置1をフロントウインド2側から見た状態の背面図、図3は防眩装置1の分解斜視図である。また、図4は図1のX1−X1線に沿う防眩装置1の縦断側面図、図5は図1のX1−X1線に沿う遮光部材10単体の縦断側面図、図6は図1のX2−X2線に沿う横断平面図、図7は図1のX3−X3線に沿う縦断側面図、図8は図1のX4−X4線に沿う縦断側面図である。
【0012】
防眩装置1は、車両におけるフロントウインド2の内側の上部に設置される。この防眩装置1のベースプレート3は、運転者から見て水平方向(図1および図2では左右方向)に長い矩形状をなしている。このベースプレート3は、有色透明のプラスチック板により形成されている。ベースプレート3の上部には、断面がほぼ円形をなす軸部4(図4参照)が左右方向にわたって形成されているとともに、この軸部4の下側に当該軸部4に沿って左右方向に延びるスリット状のガイド用開口部5が形成されている。ベースプレート3の一端部(図1および図3では右部、図2では左部)は、駆動部取付部3aとされている。
【0013】
前記軸部4には、2個のクリップ6が取り付けられている。2個のクリップ6は同一形状のもので、図4に示すように、ほぼU字状をなす挟み込み部7と、C字状をなす軸保持部8とを一体に有していて、その軸保持部8を前記軸部4に嵌め込むことにより、軸部4に回動可能に取り付けられている。このとき、軸保持部8の下部の先端部が、上記ガイド用開口部5に挿入されている。これら2個のクリップ6は、上記ガイド用開口部5の範囲内で左右方向の取付位置を調整できるようになっている。
【0014】
ベースプレート3は、2個のクリップ6の各挟み込み部7を、車両の天井部2aに設けられた備え付けのサンバイザ9(天井部側の部材に相当)に下方から挟み付けるようにして取り付けることにより、フロントウインド2の内側上部に取り付けられている。なお、サンバイザ9は、通常不透明の材料で形成されていて、不使用位置である格納位置に配置されている。ベースプレート3は、このように2個のクリップ6を介してサンバイザ9に取り付けた状態で、前記軸部4を中心にして上下方向へ回動可能となっている。
【0015】
ベースプレート3の表側(運転者側)の面には、遮光部材10が配置されている。この遮光部材10は、有色透明のプラスチック板により、上部より下部が幅広な段付きの矩形状に形成されている。また、遮光部材10の左右方向の幅は、ベースプレート3の左右方向の幅よりも小さく形成され、遮光部材10の下部は、ベースプレート3から下方へ大きく突出している。この遮光部材10には、上記ガイド用開口部5の下縁部に上方から引っ掛かる上部係合爪11(図4および図5参照)と、ベースプレート3の下縁部に下方から引っ掛かる下部係合爪12(図4および図5参照)が、それぞれ2個ずつ形成されている。遮光部材10は、これら上部係合爪11および下部係合爪12をベースプレート3に係合させることにより、ベースプレート3にこれの左右方向に移動可能に取り付けられている。
【0016】
遮光部材10において、上部係合爪11および下部係合爪12と対応する表側の面には、それらを形成するための型抜き孔13a、13bが形成されている。また、下部係合爪12の基端部には、左右方向に延びる板状部材14a,14b(図4および図5では、板状部材14aのみ示す)がそれぞれ取り付けられている。遮光部材10の裏面側のほぼ中央部において、これら板状部材14a,14b間に形成されたスリットは、後述の防振プレート25の係合部25cが係合される被係合スリット10aとされている。
【0017】
図2,図3,図6に示すように、ベースプレート3における上記駆動部取付部3aの裏面には、正逆回転可能なDCモータからなるモータ15が、回転軸15aを下向きにした状態で配置されている。このモータ15は、ベースプレート3の表面側において板状に延び且つモータ15の裏面側の外周部に沿って延びるモータバンド16(図6参照)に挟まれ固定状態に取り付けられている。
【0018】
モータ15の回転軸15aには、ウォーム歯車17が取着されている。駆動部取付部3aの裏面側において、そのウォーム歯車17の近くに位置させてアイドルギヤ18がアイドルスペーサ18aを介して回転自在に取り付けられている。アイドルギヤ18は、ウォーム歯車17に噛み合っている。また、アイドルスペーサ18aは、図3に示すように、ベースプレート3にねじ止めされる基端部よりもアイドルギヤ18に嵌め込まれる先端部の方が径小となっている。
【0019】
駆動部取付部3aの裏面側には、アイドルギヤ18の近くに位置させて、回転ドラム19と一体化されたドライブプーリ20が取り付けられている。このドライブプーリ20は、図6に示すように、ベースプレート3の裏面側の駆動部を覆うカバー21内において、その回転軸20aが軸穴21aに支持されて回転自在となっている。また、このドライブプーリ20は、アイドルギヤ18に噛み合っている。
【0020】
ここで、モータ15の回転軸15aによりウォーム歯車17が回転されると、アイドルギヤ18およびドライブプーリ20を介して回転ドラム19が回転される構成となっている。このように構成されたベースプレート3の裏面側の駆動部は、カバー21によって覆われていることから、当該駆動部に運転者等が接触し難くなっている。また、カバー21は、当該駆動部の防音カバーとしての機能も担う。
【0021】
回転ドラム19の外周部には底部が平坦に形成された溝19a(図6参照)が設けられていて、ここに線条部材を構成するワイヤ22が掛けられている。このワイヤ22は、ワイヤスプリング23を介してループ状をなしていて、適度な張力が付与された状態で、回転ドラム19の溝19aとワイヤプーリ24(図2および図3参照)との間に掛け渡されている。ワイヤプーリ24は、ベースプレート3の裏面に回転自在に取り付けられている。
【0022】
ワイヤ22は、回転ドラム19の溝19aに複数回巻き付けられている。この場合、回転ドラム19の溝19aの一部に切り欠き孔(図示せず)が形成されており、この切り欠き孔内には当該回転ドラム19(ドライブプーリ20)の軸方向に延びるロールピン(図示せず)が設けられている。ワイヤプーリ24から延びるワイヤ22は、溝19aにほぼ1回巻かれた後、切り欠き孔内にてロールピンに巻き付けられ、更に、溝19aに所定回数(この場合、2回)巻かれてワイヤプーリ24に至る。
【0023】
ベースプレート3の下縁部と遮光部材10との間には防振プレート25(防振弾性部材に相当)が配置されている。この防振プレート25は、図3に示すように、左右方向に延びる板ばね状の防振片25a,25bを有している。そして、防振プレート25は、これら防振片25a,25bを、ベースプレート3の下縁部と遮光部材10の下部係合爪12との間に挟持させることによって、遮光部材10がベースプレート3に対して振動することを防止するようになっている。
【0024】
また、防振プレート25は、ベースプレート3の表面側において上方に矩形状に延出する係合部25cと、ベースプレート3の裏面側において上方に先端部半円形状に延出する固定部25dとを有している。防振プレート25の係合部25cは、遮光部材10の裏面に形成された被係合スリット10aに係合されている。防振プレート25の固定部25dには、ほぼU字状の孔が形成されており、これにより、先端部半円形状の掛け金部25eが設けられている。この掛け金部25eには、ワイヤ22の一部が巻き付けられ、これにより、防振プレート25の固定部25dがワイヤ22に固定されている。
【0025】
即ち、防振プレート25は、その一部(ベースプレート3の表面側の係合部25c)を遮光部材10に係合させ、他の一部(ベースプレート3の裏面側の固定部25d)をワイヤ22に固定することによって、遮光部材10にワイヤ22を連結させている。このように、遮光部材10に係合した防振プレート25とワイヤ22との結合部分を防眩装置1の裏面側に設けたことによって、運転者側からの見栄えが損なわれないようにしている。
【0026】
ベースプレート3の裏面側において、上記モータ15の回転軸15aが回転駆動されると、ウォーム歯車17、アイドルギヤ18およびドライブプーリ20を介して回転ドラム19が回転され、この回転ドラム19の回転に伴いワイヤ22が、図2において右回り或いは左回りに移動する。そして、このワイヤ22の移動に伴い左右に移動する防振プレート25を介して、遮光部材10が、図1および図2において右方向或いは左方向へスライド移動される。この場合、ウォーム歯車17,アイドルギヤ18,ドライブプーリ20,回転ドラム19,ワイヤ22,ワイヤプーリ24により、モータ15の駆動に基づき遮光部材10を左右方向へ移動させる移動機構26を構成している。
【0027】
図1,図3,図6に示すように、ベースプレート3における上記駆動部取付部3aの表面には回路基板27が取り付けられており、この回路基板27には遮光部材10の位置センサとして機能する回転型ポテンショメータ28が実装されている。この場合、回転型ポテンショメータ28は、1回転以下(回転量が360°以下)の作動範囲において抵抗値を変化させる単回転型ボリュームにより構成されている。この回転型ポテンショメータ28の回転型の操作子(図示せず)には、ボリュームギヤ29の回転軸29aが取着されている。このボリュームギヤ29は、図6に示すように、ベースプレート3の表面側の駆動部を覆うカバー30内において、その回転軸29aが軸穴30aに支持されて回転自在となっている。
【0028】
駆動部取付部3aの表面側には、ボリュームギヤ29の近くに位置させてピニオンギヤ31が設けられている。このピニオンギヤ31は、ボリュームギヤ29に噛み合っている。ピニオンギヤ31は、図6に示すように、ドライブプーリ20の回転軸20aに取着されており、ドライブプーリ20と共に回転するようになっている。
【0029】
この場合、ドライブプーリ20の回転は、ピニオンギヤ31およびボリュームギヤ29からなる回転伝達機構32によって減速されて回転型ポテンショメータ28の操作子に伝達される。これにより、ドライブプーリ20の回転に連動して回転型ポテンショメータ28の抵抗値が変化するように構成されている。このように構成されたベースプレート3の表面側の駆動部は、カバー30によって覆われていることから、当該駆動部に運転者等が接触し難くなっている。また、カバー30は、当該駆動部の防音カバーとしての機能も担う。
【0030】
このような構成により、遮光部材10の左右方向の移動に応じて、ワイヤ22,回転ドラム19,ドライブプーリ20,ピニオンギヤ31,ボリュームギヤ29を介して、回転型ポテンショメータ28の操作子が回転される。即ち、遮光部材10の左右方向への移動と回転型ポテンショメータ28の操作子の回転量が同期しているので、その操作子の回転量に応じた回転型ポテンショメータ28の信号(抵抗値)に基づき、遮光部材10の移動位置を検出することができる。
【0031】
また、図6および図7に示すように、回路基板27には、スイッチ33が実装されている。このスイッチ33は、その操作子33aが押圧されると、後述の制御回路46による制御(図11参照)を開始させる動作開始スイッチとして作動し、オフ信号を出力する。一方、スイッチ33は、操作子33aの押圧が解除されると、制御回路46による制御を停止させる動作停止スイッチとして作動し、オン信号を出力する。このスイッチ33の運転者側に対向する位置には、スイッチレバー34(スイッチ作動部材に相当)が設けられている。このスイッチレバー34は、板状に延びるスイッチ押圧部34aと、このスイッチ押圧部34aに対して運転者側に所定の角度(例えば14度程度)を有して延びるレバー部34bとを備えてなる。そして、スイッチレバー34は、カバー30に設けられた上下方向に矩形状に長いスイッチ支持孔30b(図3参照)内においてピン35によって枢支され、このピン35を回動中心として上下に揺動可能となっている。
【0032】
図7に示すように、スイッチレバー34のレバー部34bと、モータバンド16の表面側の一部に切り起しによって形成された突片16aとの間には、レバースプリング36が取り付けられている。このレバースプリング36によって、スイッチレバー34のレバー部34bがカバー30の表面(運転者側の面)から突出するように付勢された構成となっている。レバー部34bがカバー30の表面から突出した状態では、スイッチ押圧部34aによって、スイッチ33の操作子33aが押圧され、当該スイッチ33からオフ信号が出力される。一方、レバー部34bがカバー30のスイッチ支持孔30b内に押し込まれた状態では、スイッチ押圧部34aによるスイッチ33の操作子33aの押圧が解除され、当該スイッチ33からオン信号が出力される。
【0033】
図1,図2,図8に示すように、吸着グリップ37は、フロントウインド2の内面上部に吸盤による吸着によって取り付けられている。この吸着グリップ37に基板ケース38が保持されていて、この基板ケース38に回路基板39が収容されている。回路基板39に、車両に対する光源(太陽)の位置を検出するための日射センサ40が配設されている。日射センサ40は、受光面41(図9参照)がフロントウインド2側に向くように配置されている。
【0034】
日射センサ40は、図9(a),(b)に示すように円筒状をなしている。この日射センサ40の内部に受光面41が形成されており、入口40aから入る光は受光面41にて受けられる構成となっている。受光面41は4分割されていて(図9(b)参照)、各受光面にフォトセンサ等の光電デバイス42,43,44,45が設けられている。各光電デバイス42〜45は、受光強度に応じた検知信号を出力する。
【0035】
図10には、防眩装置1の電気的構成がブロックによって示されている。この図10において、制御回路46は、例えばマイクロコンピュータを含む構成とされていて、回路基板39に設けられている。制御回路46は、本発明における制御手段を構成している。この制御回路46には、上記日射センサ40(光電デバイス42〜45)の検出信号と、スイッチ33のスイッチ信号、回転型ポテンショメータ28の抵抗値が入力される。制御回路46は、日射センサ40における光電デバイス42〜45の検出信号に基づき、次のようにして車両に対する光源の位置を検出する。
【0036】
具体的には、4個の光電デバイス42〜45のうち、図9(b)において右側の2個の光電デバイス42,45の検出信号の合計または平均に基づく光強度と、図9(b)において左側の2個の光電デバイス43,44の検出信号の合計または平均に基づく光強度とを比較し、これにより水平面での光源の方向(光が入る方向)を判別する。さらに、4個の光電デバイス42〜45のうち、図9(b)において上側の2個の光電デバイス42,43の検出信号の合計または平均に基づく光強度と、図9(b)において下側の2個の光電デバイス44,45の検出信号の合計または平均に基づく光強度とを比較し、これにより光源の高さ方向(光が入る方向)を判別する。制御回路46は、このようにして車両に対する光源の位置(光が入る方向)を検出する。
制御回路46は、上記スイッチ33の信号と、日射センサ40の信号と、回転型ポテンショメータ28の信号と、予め備えた制御プログラムに基づき、駆動回路47を介してモータ15を駆動制御する機能を有している。
【0037】
次に上記構成の作用について、図11の制御回路46の制御内容を示すフローチャートも参照して説明する。
ベースプレート3を、既存のサンバイザ9(図1および図2参照)の下方となる使用位置に回動させると、スイッチレバー34のレバー部34bがカバー30の表面から突出し、当該スイッチレバー34のスイッチ押圧部34aによってスイッチ33の操作子33aが押圧されて、当該スイッチ33からオフ信号が出力される。スイッチ33からオフ信号が出力されると、制御回路46は、図11のフローチャートをスタートさせる。制御回路46は、まず、日射センサ40の検出信号が所定時間(この場合、0.5秒)以上継続して入力されたか否かを判断する(ステップS1)。そして、日射センサ40の検出信号が所定時間以上継続して入力されると、制御回路46は、「YES」に従ってステップS2へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の左端を越えたか否かを判断する。
【0038】
光源がフロントウインド2の左端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS3へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の右端を越えたか否かを判断する。そして、光源がフロントウインド2の右端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS4へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の上端または下端を越えたか否かを判断する。
【0039】
光源がフロントウインド2の上端または下端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS5へ移行し、回転型ポテンショメータ28の抵抗値に基づき遮光部材10の位置を検出する。次に、制御回路46は、ステップS6へ移行して、日射センサ40の検出信号に基づき車両に対する光源(太陽)の位置を検出する。そして、これに基づき、遮光部材10が、光源と運転者の目の位置との間で、且つこれらを結ぶ線上に位置するように、遮光部材10の移動すべき移動位置を演算により求める。移動すべき移動位置を演算すると、制御回路46は、ステップS7へ移行して、遮光部材10の現在位置と、演算した移動すべき移動位置とを比較し、遮光部材10を移動させる必要があるか否かを判別する。
【0040】
遮光部材10を移動させる必要がある場合には、制御回路46は、「YES」に従ってステップS8へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10を移動すべき移動位置へ移動させる。遮光部材10が移動すべき移動位置まで到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させる(ステップS10)。これにより、遮光部材10が、光源と運転者の目の位置との間で、且つこれらを結ぶ線上に位置されるようになり、光源の光を遮光部材10にて遮ることにより眩しさを防ぐことができる。
【0041】
この後、制御回路46は、ステップS11へ移行して、スイッチ33からオン信号が出力されたか否かを判断する。スイッチ33からオン信号が出力されておらずオフ信号の出力が維持されている場合(ステップS11にて「NO」)は、制御回路46は、上記ステップS1へ戻る。そして、車両に対する光源の位置がずれたら、その位置に対応するように遮光部材10を自動的に移動させることになる(ステップS2〜S10参照)。上記ステップS7において、遮光部材10を移動させる必要がないと判断した場合には、制御回路46は、「NO」に従ってステップS11へ移行する。
【0042】
このように遮光部材10の移動位置を光源の位置に応じて自動的に制御する過程において、光源がフロントウインド2の左端を越えた場合(上記ステップ2にて「YES」)、制御回路46は、ステップS12へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の左端(左側へ一杯まで移動させた位置)へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の左端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0043】
また、上記ステップS3において、光源がフロントウインド2の右端を越えた場合、制御回路46は、「YES」に従ってステップS13へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の右端へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の右端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0044】
また、上記ステップS4において、光源がフロントウインド2の上端または下端を越えた場合、制御回路46は、「YES」に従ってステップS14へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の右端へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の右端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0045】
ベースプレート3を、既存のサンバイザ9(図1および図2参照)に重なるように格納位置(不使用位置)に回動させると、当該サンバイザ9によってスイッチレバー34のレバー部34bがカバー30のスイッチ支持孔30b内に押し込まれ、当該スイッチレバー34のスイッチ押圧部34aによるスイッチ33の操作子33aの押圧が解除されて、当該スイッチ33からオン信号が出力される。スイッチ33からオン信号が出力されると(ステップS11にて「YES」)、制御回路46は、モータ15の駆動制御を停止して、この動作を終了する。
【0046】
上記した第1の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
回転型ポテンショメータ28の抵抗値の変化と日射センサ40の検出信号とに基づき、遮光部材10を、モータ15を駆動源としてベースプレート3の左右方向に自動的に移動させる構成としているので、遮光部材10の左右方向の幅を大きくすることなく、左右方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる。また、その遮光部材10が適正な位置に自動的に移動される自動タイプの構成であるから、使い勝手もよい。さらに、遮光部材10を移動させるための駆動源であるモータ15を、静止部位側であるベースプレート3に設けているので、そのモータ15に対する電気配線の処理が容易にできる。また、そのモータ15で視界を妨げることも極力防止することができる。
【0047】
遮光部材10を移動させるための移動機構26は、モータ15により回転されるように設けられたドライブプーリ20と、このドライブプーリ20の回転ドラム19に掛け渡されるとともに遮光部材10に連結されたループ状をなすワイヤ22とを有して設けられ、モータ15の駆動に基づきドライブプーリ20およびワイヤ22を介して遮光部材10を移動させる構成としているので、遮光部材10が移動する範囲内には運転者の視界を妨げるものを極力少なくすることができる。
【0048】
また、遮光部材10の現在位置を回転型ポテンショメータ28により検出することができるので、遮光部材10の位置制御を容易に行うことができる。
また、遮光部材10を移動させるためのモータとして、パルスモータではなくDCモータを用いているので、パルス制御のためのドライブユニットを不要とすることができ、コストを抑えることができる。また、DCモータを用いることによって、高トルクで遮光部材10を移動させることができるとともに、モータ15の小型化を図ることができる。
【0049】
また、遮光部材10と回転型ポテンショメータ28とを、防振プレート25,ワイヤ22,ドライブプーリ20,回転伝達機構32を介して機械的に結合させたことによって、遮光部材10の移動量と回転型ポテンショメータ28の抵抗値との間に生じる誤差を極力抑えることができる。
【0050】
また、日射センサ40の検出信号が所定時間以上継続して入力された場合のみ、遮光部材10の移動位置の制御を行うようにしたので、例えば電柱や建物(家屋、ビル等)の影によって一時的に日射が遮られた場合に遮光部材10の移動位置の制御が行われてしまうといった不具合を解消することができ、より使い勝手を向上することができる。
【0051】
回転型ポテンショメータ28を、近年、小型化が進む単回転型ボリュームにより構成したので、駆動部全体を小型化して運転者の視界の妨げを極力防止することができると共に、見栄えが損なわれないようにしている。
【0052】
防眩装置1は、ベースプレート3の運転者側の面から突出したスイッチレバー34と、このスイッチレバー34に押圧されて作動するスイッチ33とを備え、防眩装置1が使用位置に回動されたときには、制御回路46による遮光部材10の移動位置の制御が自動的に行われ、防眩装置1が格納位置に回動されたときには、制御回路46による遮光部材10の移動位置の制御が行われないように構成した。これにより、スイッチ33を使用者(運転者)が逐一操作する必要がなくなる利点があると共に、防眩装置1が格納された状態における誤作動を極力防止することができる。
【0053】
光源がフロントウインド2の左端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させ、光源がフロントウインド2の右端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させるように構成した。また、光源がフロントウインド2の上端または下端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させるように構成した。これにより、遮光が不要な場合に、当該遮光部材10をベースプレート3の左端、或いは、右端に退避させることができる。
【0054】
遮光部材10がベースプレート3に対して振動することを防止する防振プレート25を備えたので、車両走行時の振動等による遮光部材10のがたつきや異音の発生を極力抑えることができる。
モータ15,ドライブプーリ20,ワイヤ22をベースプレート3の裏面(フロントウインド2側の面)に配置したので、運転者側から見た見栄えが損なわれてしまうことを極力防止することができる。
【0055】
また、ベースプレート3の表面側(運転者側)に配置された遮光部材10とベースプレート3の裏面側(フロントウインド2側)に配置されたワイヤ22とを連結する部材として、防振プレート25を利用したので、遮光部材10とワイヤ22の連結用の部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について図12を参照して説明する。上記した第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
本実施形態の回転型ポテンショメータ51は、上述の単回転型ボリュームに代わり、ドライブプーリ20の回転軸20aに直接連結され当該ドライブプーリ20の回転に応じて抵抗値を変化させる多回転型ボリュームにより構成されている。
【0057】
このような構成によれば、第1の実施形態に示した回転伝達機構32を介することなく、遮光部材10の位置を直接的に検出することができ、当該回転伝達機構32を不要とすることができる。これにより、使い勝手がよく、また、モータ15に対する電気配線の処理が容易で、しかも視界を極力妨げないようにできる車両用防眩装置を、より簡素な構成にて実現することができる。
【0058】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した両実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
遮光部材10は、有色透明なプラスチック板に限られず、目の細かな網状のものでも良く、また、光の透過率を可変できる偏光手段により構成してもよい。
図11のステップS1において、所定時間は0.5秒に限られるものではなく、使用する車両の種類、天候、使用者の好み等に応じて適宜変更することができる。
【0059】
図11のステップS14において、遮光部材10をベースプレート3の右端ではなく左端へ移動させるようにしてもよい。例えば、車両の前進方向に対して運転席が左側に設けられた自動車においては、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止ささると、当該遮光部材10がフロントウインド2のほぼ中央部に位置することとなり、視界の妨げとなるおそれがある。そのため、このような場合に、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させることによって、退避させた遮光部材10が視界の妨げとなることを極力防止することができる。
【0060】
ワイヤ22の回転ドラム19に対する巻き数は、要求される遮光部材10の移動可能量に応じて適宜変更することができる。
ワイヤプーリ24は、1個で構成するのではなく複数(例えば上下に2個)で構成してもよい。
ガイド用開口部5の一端部(図1および図3では右端部、図2では左端部)を、ベースプレート3の端部近くまで形成するのではなく短く形成することによって、駆動部取付部3aの面積を広くした構成としてもよい。
【0061】
板状部材14a,14bに代わり、遮光部材10の裏面に左右に所定間隔を有して対向する2つの突出部を設け、これら2つの突出部間に形成されたスリットを被係合スリット10aとして構成してもよい。
スイッチ33およびスイッチレバー34をベースプレート3側ではなく既存のサンバイザ9側に設ける構成としてもよい。また、ベースプレート3またはサンバイザ9の何れか一方にスイッチ33を設け、他方にスイッチレバー34を設ける構成としてもよい。
【0062】
制御回路46による遮光部材10の移動制御(図11参照)を開始させるための動作開始スイッチを設け、この動作開始スイッチを、スイッチレバー34を介することなく、ベースプレート3または既存のサンバイザ9に配置した構成としてもよい。この場合、ベースプレート3を、既存のサンバイザ9に重なるように収納位置に回動させた状態では、その動作開始スイッチの操作子が相手側に押されてオフ状態を維持し、ベースプレート3を、既存のサンバイザ9の下方の使用位置へ回動させることに伴い、動作開始スイッチの操作子に対する押圧が解除されて動作開始スイッチがオンする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、防眩装置を運転者側から見た状態の正面図
【図2】防眩装置をフロントウインド側から見た状態の背面図
【図3】防眩装置の分解斜視図
【図4】図1中、X1−X1線に沿う防眩装置の縦断側面図
【図5】図1中、X1−X1線に沿う遮光部材単体の縦断側面図
【図6】図1中、X2−X2線に沿う横断平面図
【図7】図1中、X3−X3線に沿う縦断側面図
【図8】図1中、X4−X4線に沿う縦断側面図
【図9】(a)は日射センサの側面図、(b)は日射センサの受光面を示す図
【図10】電気的構成を示すブロック図
【図11】制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態を示す図6相当図
【符号の説明】
【0064】
図面中、1は車両用防眩装置、2はフロントウインド、3はベースプレート、6はクリップ、9は既存のサンバイザ(天井部側の部材)、10は遮光部材、15はモータ(DCモータ)、20はドライブプーリ、22はワイヤ(線条部材)、25は防振プレート(防振弾性部材)、26は移動機構、28,51は回転型ポテンショメータ、32は回転伝達機構、33はスイッチ、34はスイッチレバー(スイッチ作動部材)、40は日射センサ、41は受光面、42〜45は光電デバイス、46は制御回路(制御手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントウインドから入射する光、特に太陽光の眩しさを防止するための車両用防眩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用防眩装置は、従来より種々考えられている。
例えば特許文献1には、手動タイプの補助防眩装置(補助サンバイザ)が示されている。具体的には、フックを介して自動車の備え付けのサンバイザに取り付けられるケースと、このケースに上下方向に進退可能に収容された遮光板とを備え、運転者が遮光板の突出量を手動にて調整し、運転者の目線に入る太陽光を遮光板にて遮ることにより眩しさを防止する構成となっている。
【0003】
特許文献2には、自動タイプの防眩装置(自動サンバイザ)が示されている。このものは、車両における運転席の天井部の前部に、備え付けのサンバイザに代えて、取り付ける構成となっている。具体的には、運転席の天井部の前部に取り付けられるケースと、このケースに前後方向に出没可能に収納された有色透明の遮光板と、モータと、このモータを駆動源として前記遮光板を移動させるための移動機構と、車両に対する太陽光の入射方向を検出するための受光センサと、制御回路とを備えている。そして、受光センサの検出信号に基づき、モータを駆動して遮光板の出入り量を制御することにより、運転者の目線に入る太陽光を遮光板にて遮る構成となっている。このものによれば、受光センサの検出信号に基づき、遮光板の突出位置が自動的に制御されるので、運転者が遮光板の位置を手動にて調整する必要がない。
【0004】
特許文献3には、遮光部材として、光の透過率を制御可能な偏光板を用いた偏光手段を備えたものが示されている。具体的には、フロントウインドの内側上部に取り付けられる有色透明なベースプレートと、偏光手段を収納してベースプレートに、運転者から見て水平方向(横方向)に移動可能に設けられた可動ケースとを備え、運転者が可動ケースの水平方向の位置を手動にて調整するとともに、偏光手段による光透過率を調整することにより眩しさを防止する構成となっている。
【0005】
また、この特許文献3には、自動タイプのものも開示されている。具体的には、偏光手段を収納してベースプレートに水平方向(横方向)に移動可能に設けられた可動ケースと、当該可動ケースの位置調整用の第1のモータおよび移動機構と、偏光手段の光透過率調整用の第2のモータおよび移動機構と、車両に対する太陽の位置および入射光の光強度を検出するための受光センサと、制御回路とを備え、受光センサの検出信号に基づき、第1のモータを駆動して可動ケース(偏光手段)の水平方向の移動位置を制御するとともに、第2のモータを駆動して偏光手段による光透過率を制御する構成となっている。
【特許文献1】実開昭63−19428号公報
【特許文献2】特開平7−329566号公報
【特許文献3】特許第3796263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2の構成のものでは、遮光板は、運転者から見て水平方向へ移動させることができない。このため、運転者から見て水平方向に広い領域まで防眩効果を得るためには、遮光板の水平方向の幅を大きくする必要がある。しかしながら、水平方向に幅の広い遮光板を下方へ大きく突出させた場合には、その遮光板により運転者の視界が広く遮られてしまうことになる。
【0007】
特許文献3の手動タイプのものでは、遮光部材(偏光手段)が水平方向に移動できるので、横方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる利点がある。しかしながら、その遮光部材を運転者が手で移動させる必要があるため、使い勝手が悪いという欠点がある。一方、特許文献3の自動タイプのものでは、遮光部材を運転者が手で移動させる必要がなく、使い勝手がよいという利点があるが、次のような欠点がある。それは、モータが水平方向に移動する可動ケースに配設されているため、そのモータに対する電気配線の処理が面倒となる。また、可動ケース内には、モータのほか、ギヤ等の移動機構も配設されているため、それらが視界を妨げるおそれもある。
【0008】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遮光部材を、運転者から見て水平方向に移動させる自動タイプのもので、使い勝手がよく、また、モータに対する電気配線の処理が容易で、しかも視界を極力妨げないようにできる車両用防眩装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明の車両用防眩装置は、車両におけるフロントウインドの内側上部に取り付けられ、運転者から見て水平方向に延びる透明なベースプレートと、このベースプレートに水平方向に移動可能に設けられた遮光部材と、前記ベースプレートに設けられたDCモータと、このDCモータと前記遮光部材との間に、前記DCモータにより回転されるドライブプーリと、このドライブプーリに掛け渡されるとともに前記遮光部材に連結されたループ状をなす線条部材とを有して設けられ、前記DCモータの駆動に基づき前記ドライブプーリおよび前記線条部材を介して前記遮光部材を移動させる移動機構と、前記ドライブプーリの回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータと、前記車両に対する光源の位置を検出する日射センサと、前記回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と前記日射センサの検出信号とに基づき前記DCモータを駆動制御することにより前記移動機構を介して前記遮光部材の移動位置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記した構成のものにおいては、回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と日射センサの検出信号とに基づき、遮光部材を、モータを駆動源としてベースプレートの水平方向に自動的に移動させる構成としているので、遮光部材の水平方向の幅を大きくすることなく、水平方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる。また、その遮光部材が適正な位置に自動的に移動される自動タイプの構成であるから、使い勝手もよい。さらに、遮光部材を移動させるための駆動源であるモータを、静止部位側であるベースプレートに設けているので、そのモータに対する電気配線の処理が容易にできる。また、そのモータで視界を妨げることも極力防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。なお、図1は本発明の防眩装置1を運転者側から見た状態の正面図、図2は防眩装置1をフロントウインド2側から見た状態の背面図、図3は防眩装置1の分解斜視図である。また、図4は図1のX1−X1線に沿う防眩装置1の縦断側面図、図5は図1のX1−X1線に沿う遮光部材10単体の縦断側面図、図6は図1のX2−X2線に沿う横断平面図、図7は図1のX3−X3線に沿う縦断側面図、図8は図1のX4−X4線に沿う縦断側面図である。
【0012】
防眩装置1は、車両におけるフロントウインド2の内側の上部に設置される。この防眩装置1のベースプレート3は、運転者から見て水平方向(図1および図2では左右方向)に長い矩形状をなしている。このベースプレート3は、有色透明のプラスチック板により形成されている。ベースプレート3の上部には、断面がほぼ円形をなす軸部4(図4参照)が左右方向にわたって形成されているとともに、この軸部4の下側に当該軸部4に沿って左右方向に延びるスリット状のガイド用開口部5が形成されている。ベースプレート3の一端部(図1および図3では右部、図2では左部)は、駆動部取付部3aとされている。
【0013】
前記軸部4には、2個のクリップ6が取り付けられている。2個のクリップ6は同一形状のもので、図4に示すように、ほぼU字状をなす挟み込み部7と、C字状をなす軸保持部8とを一体に有していて、その軸保持部8を前記軸部4に嵌め込むことにより、軸部4に回動可能に取り付けられている。このとき、軸保持部8の下部の先端部が、上記ガイド用開口部5に挿入されている。これら2個のクリップ6は、上記ガイド用開口部5の範囲内で左右方向の取付位置を調整できるようになっている。
【0014】
ベースプレート3は、2個のクリップ6の各挟み込み部7を、車両の天井部2aに設けられた備え付けのサンバイザ9(天井部側の部材に相当)に下方から挟み付けるようにして取り付けることにより、フロントウインド2の内側上部に取り付けられている。なお、サンバイザ9は、通常不透明の材料で形成されていて、不使用位置である格納位置に配置されている。ベースプレート3は、このように2個のクリップ6を介してサンバイザ9に取り付けた状態で、前記軸部4を中心にして上下方向へ回動可能となっている。
【0015】
ベースプレート3の表側(運転者側)の面には、遮光部材10が配置されている。この遮光部材10は、有色透明のプラスチック板により、上部より下部が幅広な段付きの矩形状に形成されている。また、遮光部材10の左右方向の幅は、ベースプレート3の左右方向の幅よりも小さく形成され、遮光部材10の下部は、ベースプレート3から下方へ大きく突出している。この遮光部材10には、上記ガイド用開口部5の下縁部に上方から引っ掛かる上部係合爪11(図4および図5参照)と、ベースプレート3の下縁部に下方から引っ掛かる下部係合爪12(図4および図5参照)が、それぞれ2個ずつ形成されている。遮光部材10は、これら上部係合爪11および下部係合爪12をベースプレート3に係合させることにより、ベースプレート3にこれの左右方向に移動可能に取り付けられている。
【0016】
遮光部材10において、上部係合爪11および下部係合爪12と対応する表側の面には、それらを形成するための型抜き孔13a、13bが形成されている。また、下部係合爪12の基端部には、左右方向に延びる板状部材14a,14b(図4および図5では、板状部材14aのみ示す)がそれぞれ取り付けられている。遮光部材10の裏面側のほぼ中央部において、これら板状部材14a,14b間に形成されたスリットは、後述の防振プレート25の係合部25cが係合される被係合スリット10aとされている。
【0017】
図2,図3,図6に示すように、ベースプレート3における上記駆動部取付部3aの裏面には、正逆回転可能なDCモータからなるモータ15が、回転軸15aを下向きにした状態で配置されている。このモータ15は、ベースプレート3の表面側において板状に延び且つモータ15の裏面側の外周部に沿って延びるモータバンド16(図6参照)に挟まれ固定状態に取り付けられている。
【0018】
モータ15の回転軸15aには、ウォーム歯車17が取着されている。駆動部取付部3aの裏面側において、そのウォーム歯車17の近くに位置させてアイドルギヤ18がアイドルスペーサ18aを介して回転自在に取り付けられている。アイドルギヤ18は、ウォーム歯車17に噛み合っている。また、アイドルスペーサ18aは、図3に示すように、ベースプレート3にねじ止めされる基端部よりもアイドルギヤ18に嵌め込まれる先端部の方が径小となっている。
【0019】
駆動部取付部3aの裏面側には、アイドルギヤ18の近くに位置させて、回転ドラム19と一体化されたドライブプーリ20が取り付けられている。このドライブプーリ20は、図6に示すように、ベースプレート3の裏面側の駆動部を覆うカバー21内において、その回転軸20aが軸穴21aに支持されて回転自在となっている。また、このドライブプーリ20は、アイドルギヤ18に噛み合っている。
【0020】
ここで、モータ15の回転軸15aによりウォーム歯車17が回転されると、アイドルギヤ18およびドライブプーリ20を介して回転ドラム19が回転される構成となっている。このように構成されたベースプレート3の裏面側の駆動部は、カバー21によって覆われていることから、当該駆動部に運転者等が接触し難くなっている。また、カバー21は、当該駆動部の防音カバーとしての機能も担う。
【0021】
回転ドラム19の外周部には底部が平坦に形成された溝19a(図6参照)が設けられていて、ここに線条部材を構成するワイヤ22が掛けられている。このワイヤ22は、ワイヤスプリング23を介してループ状をなしていて、適度な張力が付与された状態で、回転ドラム19の溝19aとワイヤプーリ24(図2および図3参照)との間に掛け渡されている。ワイヤプーリ24は、ベースプレート3の裏面に回転自在に取り付けられている。
【0022】
ワイヤ22は、回転ドラム19の溝19aに複数回巻き付けられている。この場合、回転ドラム19の溝19aの一部に切り欠き孔(図示せず)が形成されており、この切り欠き孔内には当該回転ドラム19(ドライブプーリ20)の軸方向に延びるロールピン(図示せず)が設けられている。ワイヤプーリ24から延びるワイヤ22は、溝19aにほぼ1回巻かれた後、切り欠き孔内にてロールピンに巻き付けられ、更に、溝19aに所定回数(この場合、2回)巻かれてワイヤプーリ24に至る。
【0023】
ベースプレート3の下縁部と遮光部材10との間には防振プレート25(防振弾性部材に相当)が配置されている。この防振プレート25は、図3に示すように、左右方向に延びる板ばね状の防振片25a,25bを有している。そして、防振プレート25は、これら防振片25a,25bを、ベースプレート3の下縁部と遮光部材10の下部係合爪12との間に挟持させることによって、遮光部材10がベースプレート3に対して振動することを防止するようになっている。
【0024】
また、防振プレート25は、ベースプレート3の表面側において上方に矩形状に延出する係合部25cと、ベースプレート3の裏面側において上方に先端部半円形状に延出する固定部25dとを有している。防振プレート25の係合部25cは、遮光部材10の裏面に形成された被係合スリット10aに係合されている。防振プレート25の固定部25dには、ほぼU字状の孔が形成されており、これにより、先端部半円形状の掛け金部25eが設けられている。この掛け金部25eには、ワイヤ22の一部が巻き付けられ、これにより、防振プレート25の固定部25dがワイヤ22に固定されている。
【0025】
即ち、防振プレート25は、その一部(ベースプレート3の表面側の係合部25c)を遮光部材10に係合させ、他の一部(ベースプレート3の裏面側の固定部25d)をワイヤ22に固定することによって、遮光部材10にワイヤ22を連結させている。このように、遮光部材10に係合した防振プレート25とワイヤ22との結合部分を防眩装置1の裏面側に設けたことによって、運転者側からの見栄えが損なわれないようにしている。
【0026】
ベースプレート3の裏面側において、上記モータ15の回転軸15aが回転駆動されると、ウォーム歯車17、アイドルギヤ18およびドライブプーリ20を介して回転ドラム19が回転され、この回転ドラム19の回転に伴いワイヤ22が、図2において右回り或いは左回りに移動する。そして、このワイヤ22の移動に伴い左右に移動する防振プレート25を介して、遮光部材10が、図1および図2において右方向或いは左方向へスライド移動される。この場合、ウォーム歯車17,アイドルギヤ18,ドライブプーリ20,回転ドラム19,ワイヤ22,ワイヤプーリ24により、モータ15の駆動に基づき遮光部材10を左右方向へ移動させる移動機構26を構成している。
【0027】
図1,図3,図6に示すように、ベースプレート3における上記駆動部取付部3aの表面には回路基板27が取り付けられており、この回路基板27には遮光部材10の位置センサとして機能する回転型ポテンショメータ28が実装されている。この場合、回転型ポテンショメータ28は、1回転以下(回転量が360°以下)の作動範囲において抵抗値を変化させる単回転型ボリュームにより構成されている。この回転型ポテンショメータ28の回転型の操作子(図示せず)には、ボリュームギヤ29の回転軸29aが取着されている。このボリュームギヤ29は、図6に示すように、ベースプレート3の表面側の駆動部を覆うカバー30内において、その回転軸29aが軸穴30aに支持されて回転自在となっている。
【0028】
駆動部取付部3aの表面側には、ボリュームギヤ29の近くに位置させてピニオンギヤ31が設けられている。このピニオンギヤ31は、ボリュームギヤ29に噛み合っている。ピニオンギヤ31は、図6に示すように、ドライブプーリ20の回転軸20aに取着されており、ドライブプーリ20と共に回転するようになっている。
【0029】
この場合、ドライブプーリ20の回転は、ピニオンギヤ31およびボリュームギヤ29からなる回転伝達機構32によって減速されて回転型ポテンショメータ28の操作子に伝達される。これにより、ドライブプーリ20の回転に連動して回転型ポテンショメータ28の抵抗値が変化するように構成されている。このように構成されたベースプレート3の表面側の駆動部は、カバー30によって覆われていることから、当該駆動部に運転者等が接触し難くなっている。また、カバー30は、当該駆動部の防音カバーとしての機能も担う。
【0030】
このような構成により、遮光部材10の左右方向の移動に応じて、ワイヤ22,回転ドラム19,ドライブプーリ20,ピニオンギヤ31,ボリュームギヤ29を介して、回転型ポテンショメータ28の操作子が回転される。即ち、遮光部材10の左右方向への移動と回転型ポテンショメータ28の操作子の回転量が同期しているので、その操作子の回転量に応じた回転型ポテンショメータ28の信号(抵抗値)に基づき、遮光部材10の移動位置を検出することができる。
【0031】
また、図6および図7に示すように、回路基板27には、スイッチ33が実装されている。このスイッチ33は、その操作子33aが押圧されると、後述の制御回路46による制御(図11参照)を開始させる動作開始スイッチとして作動し、オフ信号を出力する。一方、スイッチ33は、操作子33aの押圧が解除されると、制御回路46による制御を停止させる動作停止スイッチとして作動し、オン信号を出力する。このスイッチ33の運転者側に対向する位置には、スイッチレバー34(スイッチ作動部材に相当)が設けられている。このスイッチレバー34は、板状に延びるスイッチ押圧部34aと、このスイッチ押圧部34aに対して運転者側に所定の角度(例えば14度程度)を有して延びるレバー部34bとを備えてなる。そして、スイッチレバー34は、カバー30に設けられた上下方向に矩形状に長いスイッチ支持孔30b(図3参照)内においてピン35によって枢支され、このピン35を回動中心として上下に揺動可能となっている。
【0032】
図7に示すように、スイッチレバー34のレバー部34bと、モータバンド16の表面側の一部に切り起しによって形成された突片16aとの間には、レバースプリング36が取り付けられている。このレバースプリング36によって、スイッチレバー34のレバー部34bがカバー30の表面(運転者側の面)から突出するように付勢された構成となっている。レバー部34bがカバー30の表面から突出した状態では、スイッチ押圧部34aによって、スイッチ33の操作子33aが押圧され、当該スイッチ33からオフ信号が出力される。一方、レバー部34bがカバー30のスイッチ支持孔30b内に押し込まれた状態では、スイッチ押圧部34aによるスイッチ33の操作子33aの押圧が解除され、当該スイッチ33からオン信号が出力される。
【0033】
図1,図2,図8に示すように、吸着グリップ37は、フロントウインド2の内面上部に吸盤による吸着によって取り付けられている。この吸着グリップ37に基板ケース38が保持されていて、この基板ケース38に回路基板39が収容されている。回路基板39に、車両に対する光源(太陽)の位置を検出するための日射センサ40が配設されている。日射センサ40は、受光面41(図9参照)がフロントウインド2側に向くように配置されている。
【0034】
日射センサ40は、図9(a),(b)に示すように円筒状をなしている。この日射センサ40の内部に受光面41が形成されており、入口40aから入る光は受光面41にて受けられる構成となっている。受光面41は4分割されていて(図9(b)参照)、各受光面にフォトセンサ等の光電デバイス42,43,44,45が設けられている。各光電デバイス42〜45は、受光強度に応じた検知信号を出力する。
【0035】
図10には、防眩装置1の電気的構成がブロックによって示されている。この図10において、制御回路46は、例えばマイクロコンピュータを含む構成とされていて、回路基板39に設けられている。制御回路46は、本発明における制御手段を構成している。この制御回路46には、上記日射センサ40(光電デバイス42〜45)の検出信号と、スイッチ33のスイッチ信号、回転型ポテンショメータ28の抵抗値が入力される。制御回路46は、日射センサ40における光電デバイス42〜45の検出信号に基づき、次のようにして車両に対する光源の位置を検出する。
【0036】
具体的には、4個の光電デバイス42〜45のうち、図9(b)において右側の2個の光電デバイス42,45の検出信号の合計または平均に基づく光強度と、図9(b)において左側の2個の光電デバイス43,44の検出信号の合計または平均に基づく光強度とを比較し、これにより水平面での光源の方向(光が入る方向)を判別する。さらに、4個の光電デバイス42〜45のうち、図9(b)において上側の2個の光電デバイス42,43の検出信号の合計または平均に基づく光強度と、図9(b)において下側の2個の光電デバイス44,45の検出信号の合計または平均に基づく光強度とを比較し、これにより光源の高さ方向(光が入る方向)を判別する。制御回路46は、このようにして車両に対する光源の位置(光が入る方向)を検出する。
制御回路46は、上記スイッチ33の信号と、日射センサ40の信号と、回転型ポテンショメータ28の信号と、予め備えた制御プログラムに基づき、駆動回路47を介してモータ15を駆動制御する機能を有している。
【0037】
次に上記構成の作用について、図11の制御回路46の制御内容を示すフローチャートも参照して説明する。
ベースプレート3を、既存のサンバイザ9(図1および図2参照)の下方となる使用位置に回動させると、スイッチレバー34のレバー部34bがカバー30の表面から突出し、当該スイッチレバー34のスイッチ押圧部34aによってスイッチ33の操作子33aが押圧されて、当該スイッチ33からオフ信号が出力される。スイッチ33からオフ信号が出力されると、制御回路46は、図11のフローチャートをスタートさせる。制御回路46は、まず、日射センサ40の検出信号が所定時間(この場合、0.5秒)以上継続して入力されたか否かを判断する(ステップS1)。そして、日射センサ40の検出信号が所定時間以上継続して入力されると、制御回路46は、「YES」に従ってステップS2へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の左端を越えたか否かを判断する。
【0038】
光源がフロントウインド2の左端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS3へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の右端を越えたか否かを判断する。そして、光源がフロントウインド2の右端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS4へ移行し、入力された日射センサ40の検出信号に基づいて光源がフロントウインド2の上端または下端を越えたか否かを判断する。
【0039】
光源がフロントウインド2の上端または下端を越えていない場合、制御回路46は、「NO」に従ってステップS5へ移行し、回転型ポテンショメータ28の抵抗値に基づき遮光部材10の位置を検出する。次に、制御回路46は、ステップS6へ移行して、日射センサ40の検出信号に基づき車両に対する光源(太陽)の位置を検出する。そして、これに基づき、遮光部材10が、光源と運転者の目の位置との間で、且つこれらを結ぶ線上に位置するように、遮光部材10の移動すべき移動位置を演算により求める。移動すべき移動位置を演算すると、制御回路46は、ステップS7へ移行して、遮光部材10の現在位置と、演算した移動すべき移動位置とを比較し、遮光部材10を移動させる必要があるか否かを判別する。
【0040】
遮光部材10を移動させる必要がある場合には、制御回路46は、「YES」に従ってステップS8へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10を移動すべき移動位置へ移動させる。遮光部材10が移動すべき移動位置まで到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させる(ステップS10)。これにより、遮光部材10が、光源と運転者の目の位置との間で、且つこれらを結ぶ線上に位置されるようになり、光源の光を遮光部材10にて遮ることにより眩しさを防ぐことができる。
【0041】
この後、制御回路46は、ステップS11へ移行して、スイッチ33からオン信号が出力されたか否かを判断する。スイッチ33からオン信号が出力されておらずオフ信号の出力が維持されている場合(ステップS11にて「NO」)は、制御回路46は、上記ステップS1へ戻る。そして、車両に対する光源の位置がずれたら、その位置に対応するように遮光部材10を自動的に移動させることになる(ステップS2〜S10参照)。上記ステップS7において、遮光部材10を移動させる必要がないと判断した場合には、制御回路46は、「NO」に従ってステップS11へ移行する。
【0042】
このように遮光部材10の移動位置を光源の位置に応じて自動的に制御する過程において、光源がフロントウインド2の左端を越えた場合(上記ステップ2にて「YES」)、制御回路46は、ステップS12へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の左端(左側へ一杯まで移動させた位置)へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の左端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0043】
また、上記ステップS3において、光源がフロントウインド2の右端を越えた場合、制御回路46は、「YES」に従ってステップS13へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の右端へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の右端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0044】
また、上記ステップS4において、光源がフロントウインド2の上端または下端を越えた場合、制御回路46は、「YES」に従ってステップS14へ移行し、モータ15を駆動して、移動機構26を介し遮光部材10をベースプレート3の右端へ移動させる。遮光部材10がベースプレート3の右端に到達したら(ステップS9にて「YES」)、制御回路46は、モータ15を停止させ(ステップS10)、これにより、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させる。そして、制御回路46は、スイッチ33からのオフ信号の出力が維持されていれば(ステップS11にて「NO」)は、上記ステップS1へ戻る。
【0045】
ベースプレート3を、既存のサンバイザ9(図1および図2参照)に重なるように格納位置(不使用位置)に回動させると、当該サンバイザ9によってスイッチレバー34のレバー部34bがカバー30のスイッチ支持孔30b内に押し込まれ、当該スイッチレバー34のスイッチ押圧部34aによるスイッチ33の操作子33aの押圧が解除されて、当該スイッチ33からオン信号が出力される。スイッチ33からオン信号が出力されると(ステップS11にて「YES」)、制御回路46は、モータ15の駆動制御を停止して、この動作を終了する。
【0046】
上記した第1の実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
回転型ポテンショメータ28の抵抗値の変化と日射センサ40の検出信号とに基づき、遮光部材10を、モータ15を駆動源としてベースプレート3の左右方向に自動的に移動させる構成としているので、遮光部材10の左右方向の幅を大きくすることなく、左右方向に広い領域まで防眩効果を得ることができる。また、その遮光部材10が適正な位置に自動的に移動される自動タイプの構成であるから、使い勝手もよい。さらに、遮光部材10を移動させるための駆動源であるモータ15を、静止部位側であるベースプレート3に設けているので、そのモータ15に対する電気配線の処理が容易にできる。また、そのモータ15で視界を妨げることも極力防止することができる。
【0047】
遮光部材10を移動させるための移動機構26は、モータ15により回転されるように設けられたドライブプーリ20と、このドライブプーリ20の回転ドラム19に掛け渡されるとともに遮光部材10に連結されたループ状をなすワイヤ22とを有して設けられ、モータ15の駆動に基づきドライブプーリ20およびワイヤ22を介して遮光部材10を移動させる構成としているので、遮光部材10が移動する範囲内には運転者の視界を妨げるものを極力少なくすることができる。
【0048】
また、遮光部材10の現在位置を回転型ポテンショメータ28により検出することができるので、遮光部材10の位置制御を容易に行うことができる。
また、遮光部材10を移動させるためのモータとして、パルスモータではなくDCモータを用いているので、パルス制御のためのドライブユニットを不要とすることができ、コストを抑えることができる。また、DCモータを用いることによって、高トルクで遮光部材10を移動させることができるとともに、モータ15の小型化を図ることができる。
【0049】
また、遮光部材10と回転型ポテンショメータ28とを、防振プレート25,ワイヤ22,ドライブプーリ20,回転伝達機構32を介して機械的に結合させたことによって、遮光部材10の移動量と回転型ポテンショメータ28の抵抗値との間に生じる誤差を極力抑えることができる。
【0050】
また、日射センサ40の検出信号が所定時間以上継続して入力された場合のみ、遮光部材10の移動位置の制御を行うようにしたので、例えば電柱や建物(家屋、ビル等)の影によって一時的に日射が遮られた場合に遮光部材10の移動位置の制御が行われてしまうといった不具合を解消することができ、より使い勝手を向上することができる。
【0051】
回転型ポテンショメータ28を、近年、小型化が進む単回転型ボリュームにより構成したので、駆動部全体を小型化して運転者の視界の妨げを極力防止することができると共に、見栄えが損なわれないようにしている。
【0052】
防眩装置1は、ベースプレート3の運転者側の面から突出したスイッチレバー34と、このスイッチレバー34に押圧されて作動するスイッチ33とを備え、防眩装置1が使用位置に回動されたときには、制御回路46による遮光部材10の移動位置の制御が自動的に行われ、防眩装置1が格納位置に回動されたときには、制御回路46による遮光部材10の移動位置の制御が行われないように構成した。これにより、スイッチ33を使用者(運転者)が逐一操作する必要がなくなる利点があると共に、防眩装置1が格納された状態における誤作動を極力防止することができる。
【0053】
光源がフロントウインド2の左端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させ、光源がフロントウインド2の右端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させるように構成した。また、光源がフロントウインド2の上端または下端を越えた場合には、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止させるように構成した。これにより、遮光が不要な場合に、当該遮光部材10をベースプレート3の左端、或いは、右端に退避させることができる。
【0054】
遮光部材10がベースプレート3に対して振動することを防止する防振プレート25を備えたので、車両走行時の振動等による遮光部材10のがたつきや異音の発生を極力抑えることができる。
モータ15,ドライブプーリ20,ワイヤ22をベースプレート3の裏面(フロントウインド2側の面)に配置したので、運転者側から見た見栄えが損なわれてしまうことを極力防止することができる。
【0055】
また、ベースプレート3の表面側(運転者側)に配置された遮光部材10とベースプレート3の裏面側(フロントウインド2側)に配置されたワイヤ22とを連結する部材として、防振プレート25を利用したので、遮光部材10とワイヤ22の連結用の部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について図12を参照して説明する。上記した第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
本実施形態の回転型ポテンショメータ51は、上述の単回転型ボリュームに代わり、ドライブプーリ20の回転軸20aに直接連結され当該ドライブプーリ20の回転に応じて抵抗値を変化させる多回転型ボリュームにより構成されている。
【0057】
このような構成によれば、第1の実施形態に示した回転伝達機構32を介することなく、遮光部材10の位置を直接的に検出することができ、当該回転伝達機構32を不要とすることができる。これにより、使い勝手がよく、また、モータ15に対する電気配線の処理が容易で、しかも視界を極力妨げないようにできる車両用防眩装置を、より簡素な構成にて実現することができる。
【0058】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した両実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
遮光部材10は、有色透明なプラスチック板に限られず、目の細かな網状のものでも良く、また、光の透過率を可変できる偏光手段により構成してもよい。
図11のステップS1において、所定時間は0.5秒に限られるものではなく、使用する車両の種類、天候、使用者の好み等に応じて適宜変更することができる。
【0059】
図11のステップS14において、遮光部材10をベースプレート3の右端ではなく左端へ移動させるようにしてもよい。例えば、車両の前進方向に対して運転席が左側に設けられた自動車においては、遮光部材10をベースプレート3の右端に停止ささると、当該遮光部材10がフロントウインド2のほぼ中央部に位置することとなり、視界の妨げとなるおそれがある。そのため、このような場合に、遮光部材10をベースプレート3の左端に停止させることによって、退避させた遮光部材10が視界の妨げとなることを極力防止することができる。
【0060】
ワイヤ22の回転ドラム19に対する巻き数は、要求される遮光部材10の移動可能量に応じて適宜変更することができる。
ワイヤプーリ24は、1個で構成するのではなく複数(例えば上下に2個)で構成してもよい。
ガイド用開口部5の一端部(図1および図3では右端部、図2では左端部)を、ベースプレート3の端部近くまで形成するのではなく短く形成することによって、駆動部取付部3aの面積を広くした構成としてもよい。
【0061】
板状部材14a,14bに代わり、遮光部材10の裏面に左右に所定間隔を有して対向する2つの突出部を設け、これら2つの突出部間に形成されたスリットを被係合スリット10aとして構成してもよい。
スイッチ33およびスイッチレバー34をベースプレート3側ではなく既存のサンバイザ9側に設ける構成としてもよい。また、ベースプレート3またはサンバイザ9の何れか一方にスイッチ33を設け、他方にスイッチレバー34を設ける構成としてもよい。
【0062】
制御回路46による遮光部材10の移動制御(図11参照)を開始させるための動作開始スイッチを設け、この動作開始スイッチを、スイッチレバー34を介することなく、ベースプレート3または既存のサンバイザ9に配置した構成としてもよい。この場合、ベースプレート3を、既存のサンバイザ9に重なるように収納位置に回動させた状態では、その動作開始スイッチの操作子が相手側に押されてオフ状態を維持し、ベースプレート3を、既存のサンバイザ9の下方の使用位置へ回動させることに伴い、動作開始スイッチの操作子に対する押圧が解除されて動作開始スイッチがオンする必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、防眩装置を運転者側から見た状態の正面図
【図2】防眩装置をフロントウインド側から見た状態の背面図
【図3】防眩装置の分解斜視図
【図4】図1中、X1−X1線に沿う防眩装置の縦断側面図
【図5】図1中、X1−X1線に沿う遮光部材単体の縦断側面図
【図6】図1中、X2−X2線に沿う横断平面図
【図7】図1中、X3−X3線に沿う縦断側面図
【図8】図1中、X4−X4線に沿う縦断側面図
【図9】(a)は日射センサの側面図、(b)は日射センサの受光面を示す図
【図10】電気的構成を示すブロック図
【図11】制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図12】本発明の第2の実施形態を示す図6相当図
【符号の説明】
【0064】
図面中、1は車両用防眩装置、2はフロントウインド、3はベースプレート、6はクリップ、9は既存のサンバイザ(天井部側の部材)、10は遮光部材、15はモータ(DCモータ)、20はドライブプーリ、22はワイヤ(線条部材)、25は防振プレート(防振弾性部材)、26は移動機構、28,51は回転型ポテンショメータ、32は回転伝達機構、33はスイッチ、34はスイッチレバー(スイッチ作動部材)、40は日射センサ、41は受光面、42〜45は光電デバイス、46は制御回路(制御手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフロントウインドの内側上部に取り付けられ、運転者から見て水平方向に延びる透明なベースプレートと、
このベースプレートに水平方向に移動可能に設けられた遮光部材と、
前記ベースプレートに設けられたDCモータと、
このDCモータと前記遮光部材との間に、前記DCモータにより回転されるドライブプーリと、このドライブプーリに掛け渡されるとともに前記遮光部材に連結されたループ状をなす線条部材とを有して設けられ、前記DCモータの駆動に基づき前記ドライブプーリおよび前記線条部材を介して前記遮光部材を移動させる移動機構と、
前記ドライブプーリの回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータと、
前記車両に対する光源の位置を検出する日射センサと、
前記回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と前記日射センサの検出信号とに基づき前記DCモータを駆動制御することにより前記移動機構を介して前記遮光部材の移動位置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする車両用防眩装置。
【請求項2】
前記回転型ポテンショメータは、1回転以下の作動範囲において前記抵抗値を変化させる単回転型ボリュームにより構成され、
この単回転型ボリュームと前記ドライブプーリとの間に、前記ドライブプーリの回転を減速して前記単回転型ボリュームに伝達する回転伝達機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用防眩装置。
【請求項3】
前記回転型ポテンショメータは、前記ドライブプーリに直接連結され当該ドライブプーリの回転に応じて前記抵抗値を変化させる多回転型ボリュームにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用防眩装置。
【請求項4】
前記ベースプレートの運転者側の面から突出したスイッチ作動部材と、
このスイッチ作動部材に押圧されて作動するスイッチとを備え、
前記スイッチ作動部材は、前記ベースプレートが前記車両の天井部側に格納されたときに、当該天井部側の部材によって押圧されて前記スイッチを作動させるように構成され、
前記制御手段は、前記スイッチ作動部材を介して前記スイッチが作動すると、前記DCモータの駆動を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの左端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの左端に停止させるように前記DCモータを駆動制御し、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの右端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの右端に停止させるように前記DCモータを駆動制御することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの上端または下端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの左端または右端に停止させるように前記DCモータを駆動制御することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号が所定時間以上継続して入力された場合に、前記DCモータの駆動制御を開始することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項8】
前記ベースプレートと前記遮光部材との間に挟持され、前記遮光部材が前記ベースプレートに対して振動することを防止する防振弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項9】
前記DCモータおよび前記ドライブプーリは、前記ベースプレートの前記フロントウインド側の面に設けられ、
前記線条部材は、前記ベースプレートの前記フロントウインド側において前記ドライブプーリに掛け渡され、
前記遮光部材は、前記ベースプレートの前記運転者側の面に設けられ、
前記防振弾性部材は、一部を前記遮光部材に係合させ、他の一部を前記線条部材に固定することによって、前記遮光部材に前記線条部材を連結させていることを特徴とする請求項8記載の車両用防眩装置。
【請求項1】
車両におけるフロントウインドの内側上部に取り付けられ、運転者から見て水平方向に延びる透明なベースプレートと、
このベースプレートに水平方向に移動可能に設けられた遮光部材と、
前記ベースプレートに設けられたDCモータと、
このDCモータと前記遮光部材との間に、前記DCモータにより回転されるドライブプーリと、このドライブプーリに掛け渡されるとともに前記遮光部材に連結されたループ状をなす線条部材とを有して設けられ、前記DCモータの駆動に基づき前記ドライブプーリおよび前記線条部材を介して前記遮光部材を移動させる移動機構と、
前記ドライブプーリの回転に連動して抵抗値が変化する回転型ポテンショメータと、
前記車両に対する光源の位置を検出する日射センサと、
前記回転型ポテンショメータの抵抗値の変化と前記日射センサの検出信号とに基づき前記DCモータを駆動制御することにより前記移動機構を介して前記遮光部材の移動位置を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする車両用防眩装置。
【請求項2】
前記回転型ポテンショメータは、1回転以下の作動範囲において前記抵抗値を変化させる単回転型ボリュームにより構成され、
この単回転型ボリュームと前記ドライブプーリとの間に、前記ドライブプーリの回転を減速して前記単回転型ボリュームに伝達する回転伝達機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用防眩装置。
【請求項3】
前記回転型ポテンショメータは、前記ドライブプーリに直接連結され当該ドライブプーリの回転に応じて前記抵抗値を変化させる多回転型ボリュームにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用防眩装置。
【請求項4】
前記ベースプレートの運転者側の面から突出したスイッチ作動部材と、
このスイッチ作動部材に押圧されて作動するスイッチとを備え、
前記スイッチ作動部材は、前記ベースプレートが前記車両の天井部側に格納されたときに、当該天井部側の部材によって押圧されて前記スイッチを作動させるように構成され、
前記制御手段は、前記スイッチ作動部材を介して前記スイッチが作動すると、前記DCモータの駆動を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの左端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの左端に停止させるように前記DCモータを駆動制御し、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの右端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの右端に停止させるように前記DCモータを駆動制御することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号に基づいて前記光源が前記フロントウインドの上端または下端を越えたと判断すると、前記遮光部材を前記ベースプレートの左端または右端に停止させるように前記DCモータを駆動制御することを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記日射センサの検出信号が所定時間以上継続して入力された場合に、前記DCモータの駆動制御を開始することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項8】
前記ベースプレートと前記遮光部材との間に挟持され、前記遮光部材が前記ベースプレートに対して振動することを防止する防振弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の車両用防眩装置。
【請求項9】
前記DCモータおよび前記ドライブプーリは、前記ベースプレートの前記フロントウインド側の面に設けられ、
前記線条部材は、前記ベースプレートの前記フロントウインド側において前記ドライブプーリに掛け渡され、
前記遮光部材は、前記ベースプレートの前記運転者側の面に設けられ、
前記防振弾性部材は、一部を前記遮光部材に係合させ、他の一部を前記線条部材に固定することによって、前記遮光部材に前記線条部材を連結させていることを特徴とする請求項8記載の車両用防眩装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−23753(P2010−23753A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189736(P2008−189736)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)
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