車両用防音部材
【目的】 エンジン騒音および排気系の騒音等がフロアパネル下方空間に放射されて、車外騒音の主因となるのを防止するとともに、車室内の静粛性を高めた車両用防音部材を提供することを目的とする。
【構成】 ダッシュロアパネル10の後方で、かつサイドシルパネル13の内側に位置するトーボード11,フロアパネル12の全区域あるいは部分的にパネル下面側に厚み50mm以下の背後空気層40を介して穿孔板30を設置するとともに、この穿孔板30の厚みおよび孔31の径,ピッチ,それに背後空気層40の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を応用して、ターゲットとなる特定周波数域の騒音を有効に吸音する。
【構成】 ダッシュロアパネル10の後方で、かつサイドシルパネル13の内側に位置するトーボード11,フロアパネル12の全区域あるいは部分的にパネル下面側に厚み50mm以下の背後空気層40を介して穿孔板30を設置するとともに、この穿孔板30の厚みおよび孔31の径,ピッチ,それに背後空気層40の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を応用して、ターゲットとなる特定周波数域の騒音を有効に吸音する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンルームから車外へ放射される騒音、及びフロア下方空間を経由して車室内に伝播する騒音を低減する車両用防音部材に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、図10に示すように、乗用車のエンジンルームE内には、フードパネル1の内面に設置されるフードインシュレータ2や、ダッシュパネル3の内側面に設置されるダッシュフロントインシュレータ4、及びエンジン5の下面側に設置されるインシュレータエンジンアンダーカバー6等各種インシュレータが設定されている。
【0003】そして、エンジンルームE内で発生する騒音は、上記吸音材であるフードインシュレータ2,ダッシュフロントインシュレータ4,インシュレータエンジンアンダーカバー6等によりその一部は吸音されるが、騒音の残りはエンジン5の後方下側の開口から車外に排出され、車体のフロアパネル7と路面との空間部を経由して、路面からの反射により騒音の音圧が上昇し、車外騒音の主因となり、かつ、この車外騒音が再び車室内に侵入して、車室内の静粛性をも損う要因となっている。
【0004】更に、排気管からの放射音も車外騒音の主因となり、同様にフロアパネル7下面と路面との空間を経由し、フロアパネル7側から車室内に伝播し、車室内の騒音レベルを引き上げ、車室内の静粛性に悪影響を与えている。
【0005】これらの対策として、実開昭60−155682号公報に示すものがある。
【0006】このものは、図11に示すように、ダッシュロア部から斜め下方に突出させた第1吸音壁8と、フロアパネル7に設定した第2吸音壁9とにより、エンジンルームEからの騒音が車外を経由してフロアパネル7を通じて車室内に侵入するのを防止するという構成である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11に示す防音材を設置した場合、第1吸音壁8は前方下側に突出した状態で設置されているため、走行中路面に段差等があった場合、第1吸音壁8が損傷しやすく、脱落する可能性が高く、突出の度合を小さく設定した場合、その吸音効果が小さい。
【0008】さらに、第1吸音壁8,第2吸音壁9の構成は、主に、車室内への騒音を目的としているため、孔開き鋼板に吸音材を充填させた構成であるが、吸音される騒音の周波数レベルが制約されるとともに、重量が増大するという欠点があり、車外騒音への支配的周波数域での満足のいく防音性能を達成するものとはいえない。
【0009】また、エンジン下側に遮音板等を設置して、車外騒音を防止する試みもあるが、そうした場合、エンジンルームE内の熱の逃げ場がなく、エンジンの冷却機能に支障を与えるという不具合がある。
【0010】この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的とするところは、ヘルムホルツの吸音原理を採用することにより、エンジンルームからフロアパネルの下方空間に伝播される騒音を有効に吸音することにより、車外騒音を大幅に低減することができるとともに、車室内の静粛性を向上させることができる車両用防音材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ダッシュロアパネルより後方で、かつサイドシルパネルの内側に位置するトーボードパネルおよびフロアパネルの下面側に設置される車両用防音部材において、この防音部材は、トーボードパネル,フロアパネルの下面側に厚み50mm以下の背後空気層を介して穿孔板を設置するとともに、穿孔板の厚み、孔の径、ピッチおよび背後空気層の厚みをそれぞれ調整することにより、ヘルムホルツ共鳴式で算出される周波数fの範囲を200〜2KHzに設定し、当該周波数域の騒音を吸音することを特徴とする穿孔板としては、樹脂板,金属板等が使用できるが、成形性,軽量化の点で樹脂板が好ましい。
【0012】また、穿孔板に形成される孔の周囲には、表面側あるいは裏面側および両面に突出するフランジを設けることが特徴である。
【0013】このとき、穿孔板として樹脂板を使用すれば、フランジ形成が簡単に行なえる。
【0014】さらに、穿孔板の孔の前方側に凸部を設け、石跳ね,泥跳ね等から孔周縁を保護して、常に一定した吸音メカニズムを確保することが特徴である。
【0015】加えて、背後空気層内にグラスウール等の多孔質吸音材を設定すれば、ヘルムホルツの共鳴機能に加えて、多孔性吸音機能が得られる。
【0016】
【作用】以上の構成から明らかなように、トーボードパネルおよびフロアパネルの下面側に、背後空気層を介して穿孔板を設置するという構成であるため、穿孔板の厚み(あるいはフランジ寸法),孔径,孔ピッチ及び、背後空気層の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して、特定周波数域の騒音を有効に吸音することができる。
【0017】また、穿孔板の孔周囲にフランジを設定すれば、ヘルムホルツ共鳴式における板厚大の設定を容易に行なえるとともに、穿孔板の強度も向上する。
【0018】さらに、穿孔板の孔前方側に凸部を設定すれば、石跳ね,泥跳ね等から孔周縁部分を保護できるため、孔周辺が破損せず、また、孔に目詰まりが生じることがなく、ヘルムホルツの共鳴機構を長期にわたり良好に維持できる。
【0019】加えて、背後空気層に多孔質吸音材を設定すれば、吸音材の多孔性吸音機構により特に高い周波数域の騒音を有効に低減することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係る車両用防音部材の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】図1は本発明に係る車両用防音部材の一実施例の設置箇所を示す平面図、図2,図3は同車両用防音部材の設置箇所をそれぞれ示す各断面図、図4は本発明に係る車両用防音部材の構成を示す要部断面図、図5は本発明に係る車両用防音部材の吸音性能を示すグラフ、図6ないし図9は本発明に係る車両用防音部材の別実施例の構成を示す要部断面図である。
【0022】まず、本発明に係る車両用防音部材20の設置箇所は、図1ないし図3に示すように、ダッシュロアパネル10後方に位置する車体パネルの全区域あるいは一部区域に設置することが可能である。
【0023】この実施例では、図示するように、ダッシュロアパネル10の後方側に位置するトーボードパネル11とフロアパネル12の全域に設置されており、フロアパネル12の両側に位置するサイドシルインナーパネル13にまたがって設けられており、車両の中央部のミッショントンネル部14はこの実施例では設けられていないが、このミッショントンネル部14のパネル形状に沿って設置することも可能である。
【0024】次いで、この車両用防音部材20の構成を、フロアパネル12下面側に設置した場合について、図4を説明すると、フロアパネル12の下面側に穿孔板30が両者間に厚み50mm以下の背後空気層40が形成されるように取付けられており、この穿孔板30には、縦方向,横方向にそれぞれ一定ピッチで複数の孔31が開設されている。
【0025】この穿孔板30は、本実施例ではポリプロピレン樹脂板を使用したが、金属板でもよく、ミッショントンネル部14内のプロペラシャフト15、およびサイドシルインナーパネル13の下面よりも上方位置にボルト16等の固定手段を介して車体側に取付けられており、走行中車両が路面上の段差等を乗り越えたときにも、穿孔板30に損傷を与えることがないように、その位置設定がなされている。
【0026】本発明による車両用防音部材20は、多数の孔31を有する穿孔板30をフロアパネル12やトーボードパネル11の下面側に所定厚み(50mm以下)の背後空気層40を設けるように取付け、ヘルムホルツの吸音原理により、特定周波数域の騒音を有効に吸音することを特徴としている。
【0027】例えば、車の構造上の差異やエンジンの相違により特定周波数域の音圧レベルが高くなり、特に、エンジンルームEからの騒音は車外に一旦排出され、路面に反射して音圧上昇(ビルドアップ)した状態で車外へ放射し、また、一方で車室内に伝播されるが、本発明による車両用防音部材20を設置した場合、以下に示す方法でターゲットとなる特定周波数域の騒音に対して有効な防音特性を発揮することができる。
【0028】一般に、ヘルムホルツの共鳴原理の一般式は、
【数2】
上式中、C;音速β;開口率t;板厚b;開口半径d;背後空気層の厚みで表わされる。
【0029】穿孔板30の厚み3mm,背後空気層40の厚み20mm,孔31の径10mm,孔31のピッチ間隔32.3mm(開口率7.5%)とした場合、(1)式にそれぞれの値を当てはめた場合、f=1KHzが算出され、この1KHzの騒音を有効に吸音できる。
【0030】この(1)式に各数値を当てはめる場合、穿孔板30の孔31の径は5〜30mm,穿孔板30の厚み1〜10mm,背後空気層40の厚み10〜50mm,孔31のピッチ間隔15〜100mmの範囲内において数値を適宜調整することにより、吸音対象となる特定周波数域の騒音を有効に吸音することができる。
【0031】なお、参考までにベストモードとして、板厚3mmの穿孔板30に32.3mmピッチで径10mmの孔31を、フロアパネル12との距離すなわち背後空気層40の厚み20mmに設定した場合と、対策なし(穿孔板を設置しないケース)の両者の各周波数に対する吸音性能の差の絶対値を図5に示すグラフにて示す。
【0032】このグラフから明らかなように、本発明に係る車両用防音部材20を適用すれば、法規に基づく車外騒音測定の結果、従来のものに比べ、200〜2KHzの周波数域で0.2〜2dBの騒音レベルの低下が得られることが判明した。
【0033】次いで、図6ないし図9に基づいて、本発明に係る車両用防音部材20の別実施例について詳細に説明する。
【0034】図6は穿孔板30の孔31周囲にフランジ32を設けた実施例をそれぞれ示している。
【0035】このフランジ32の構成としては、図6(a)に示すように、穿孔板30の下面側に突出するように設けてもよく、図6(b)に示すように、内面側に突出するようにしてもよく、さらに、図6(c)に示すように両面に突出させてもよい。
【0036】本実施例では穿孔板30としてポリプロピレン樹脂板を使用しているため、これらフランジ32の形成が簡単に行なえるとともに、このフランジ32により強度が向上するという付随的な利点がある。
【0037】さらに、このように孔31の周囲にフランジ32を形成すれば、穿孔板30の厚みを薄く設定しても、ヘルムホルツの共鳴式中、tで示す寸法をフランジ32の長さとすることができるため、ヘルムホルツの共鳴系におけるtの寸法調整に有効である。
【0038】次いで、本発明による防音部材20の設置箇所がフロアパネル12やトーボードパネル11のように、路面からの石跳ねや泥跳ねが頻繁に生じる部位であるため、図7に示すように、穿孔板30の孔31周囲を保護する構成が有効である。
【0039】すなわち、図7(a)に示すように、穿孔板30を波形に成形し、凹凸部33,34を設け、凹部34内に孔引を設定し、路面からの石跳ね,泥跳ね等は矢印で示すように、この凸部33により阻止され、孔31周囲に石跳ね,泥跳ねが生じることがないため、孔31の径や厚みが変動したりすることがなく、良好なヘルムホルツ共鳴機構を長期にわたり維持することができる。
【0040】また、図7(b)に示すように、穿孔板30の内面をフラット状態で表面側のみ凹凸部33,34を形成してもよく、図7(c)に示すように、孔31の周囲に凹部34を設け、穿孔板30の一般面に比べ、孔31の設置面を内側に来るように設置してもよく、凹部34は溝状、エンボス状いずれでもかまわない。
【0041】さらに、図8は背後空気層40内にグラスウール等の多孔性吸音材50を介挿した実施例を示すものであり、多孔質吸音材50のもつ多孔性吸音作用が特に高い周波数域の騒音に対して有効であるため、本発明のヘルムホルツの吸音メカニズムによる特定周波数域の騒音の低減と、多孔質吸音材50の利用による高い周波数域の騒音の低減とを組み合わせれば、より有効な防音対策が施せる。
【0042】その際、多孔質吸音材50の設置方法としては、図8(a)に示すように、背後空気層40内の空間全てを多孔質吸音材50で充填してもよく、図8(b)に示すように、穿孔板30の内面側にラミネートしておき、多孔質吸音材50とフロアパネル12との間に空気層41を設けてもよく、また図8(c)に示すように、フロアパネル12の下面に多孔質吸音材50を固着しておき、穿孔板30と多孔質吸音材50との間に空気層42を設定するようにしてもよい。
【0043】この場合、穿孔板30の形状等により適宜多孔質吸音材50の設置方法は選択されてよいが、吸音メカニズムからすれば、図8(a)が優れている。
【0044】更に、多孔質吸音材50の固定方法として、穿孔板30の内面側にサポートピン35を立設し、図8(d)に示すように、多孔質吸音材50をサポートピン35の先端で押圧保持しても良く、また、図8(e)に示すように、多孔質吸音材50に設けた取付孔51内にサポートピン35を挿入して支持固定しても良い。
【0045】また、図9に示すように、穿孔板30に形成する孔31並びに凸部33の形成方法を、図示するように、フロントタイヤ60を起点として同心円状に設定してもよい。
【0046】この場合、フロントタイヤ60からの石跳ね(矢印Aで示す)に対しては、石跳ね方向に直角となるように凸部33が位置するため、石跳ねを確実に防止することができ、しかもエンジンルームEからの騒音の伝播(矢印Bで示す)に対しては、凸部33が邪魔でなくなるため、吸音性能がより向上するという利点がある。
【0047】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明による車両用防音部材は、以下に記載する格別の作用効果を有する。
【0048】(1)ダッシュロアパネルの後方に位置するトーボードパネル,フロアパネルの全区域あるいはその一部のパネルの下面側に所定厚みの背後空気層を介して穿孔板を取付け、穿孔板の厚み,孔の径およびピッチ,それに背後空気層の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を応用し、エンジンルームから車外に放射され、かつ車室内に伝播してくる騒音に対して、特定周波数域の騒音を有効に吸音することができるため、きめ細かな吸音対策が可能となり、車外騒音を大幅に低減することができ、かつ車室内の静粛性向上に大きく貢献することができるという効果を有する。
【0049】(2)ダッシュロアパネルより下方の車体パネルの下面側に50mm以内のクリアランスを介して穿孔板を設置するというものであり、車両走行時、路面の段差等を乗り越えたときに穿孔板の損傷,脱落等のおそれがなく、耐久性が向上するという効果を有する。
【0050】(3)請求項2記載の発明によれば、穿孔板の孔周囲にフランジを設定すれば、穿孔板の厚みを薄くしても、ヘルムホルツ共鳴式における板厚tを大きく確保できるため、背後空気層の厚みを薄く設定でき、路面との距離を多くとれるとともに、ヘルムホルツ共鳴式へのチューニングが容易になるとともに、強度アップも果たすことができるという種々の効果を有する。
【0051】(4)請求項3記載の発明によれば、特に、石跳ね,泥跳ね等が頻繁に生じる箇所に本発明の車両用防音部材が設定されることから、穿孔板の孔内への目詰まりが防止できるとともに、石跳ね等により孔周辺が損傷することがなく、ヘルムホルツの共鳴機構を長期にわたり維持することができるという効果を有する。
【0052】(5)請求項4記載の発明によれば、背後空気層に多孔質吸音材を設置するというものであるから、ヘルムホルツの共鳴機構に加えて多孔性吸音機構を併設するものであるから、特定の周波数域の騒音低減に加えて、高い周波数域の騒音に対しても有効に吸音できるため、防音性能がより向上するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防音部材の設置箇所の一実施例を示す平面図。
【図2】図1中II−II線断面図。
【図3】図1中III −III 線断面図。
【図4】本発明による車両用防音部材の要部構成を示す断面図。
【図5】本発明による防音部材の吸音性能を示すグラフ。
【図6】本発明に係る車両用防音部材の別実施例の要部構成を示す各断面図。
【図7】本発明に係る車両用防音部材のさらに別実施例の構成を示す要部断面図。
【図8】本発明に係る車両用防音部材の別実施例の要部構成を示す断面図。
【図9】本発明に係る車両用防音部材のさらに別実施例の構成を示す平面図。
【図10】エンジンルームに設置される各種防音部材の設置箇所を示す説明図。
【図11】従来の防音部材の構成を示す断面図。
【符号の説明】
10 ダッシュロアパネル
11 トーボードパネル
12 フロアパネル
20 車両用防音部材
30 穿孔板
31 孔
32 フランジ
33 凸部
34 凹部
35 サポートピン
40,41,42 背後空気層
50 多孔質吸音材
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンルームから車外へ放射される騒音、及びフロア下方空間を経由して車室内に伝播する騒音を低減する車両用防音部材に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、図10に示すように、乗用車のエンジンルームE内には、フードパネル1の内面に設置されるフードインシュレータ2や、ダッシュパネル3の内側面に設置されるダッシュフロントインシュレータ4、及びエンジン5の下面側に設置されるインシュレータエンジンアンダーカバー6等各種インシュレータが設定されている。
【0003】そして、エンジンルームE内で発生する騒音は、上記吸音材であるフードインシュレータ2,ダッシュフロントインシュレータ4,インシュレータエンジンアンダーカバー6等によりその一部は吸音されるが、騒音の残りはエンジン5の後方下側の開口から車外に排出され、車体のフロアパネル7と路面との空間部を経由して、路面からの反射により騒音の音圧が上昇し、車外騒音の主因となり、かつ、この車外騒音が再び車室内に侵入して、車室内の静粛性をも損う要因となっている。
【0004】更に、排気管からの放射音も車外騒音の主因となり、同様にフロアパネル7下面と路面との空間を経由し、フロアパネル7側から車室内に伝播し、車室内の騒音レベルを引き上げ、車室内の静粛性に悪影響を与えている。
【0005】これらの対策として、実開昭60−155682号公報に示すものがある。
【0006】このものは、図11に示すように、ダッシュロア部から斜め下方に突出させた第1吸音壁8と、フロアパネル7に設定した第2吸音壁9とにより、エンジンルームEからの騒音が車外を経由してフロアパネル7を通じて車室内に侵入するのを防止するという構成である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11に示す防音材を設置した場合、第1吸音壁8は前方下側に突出した状態で設置されているため、走行中路面に段差等があった場合、第1吸音壁8が損傷しやすく、脱落する可能性が高く、突出の度合を小さく設定した場合、その吸音効果が小さい。
【0008】さらに、第1吸音壁8,第2吸音壁9の構成は、主に、車室内への騒音を目的としているため、孔開き鋼板に吸音材を充填させた構成であるが、吸音される騒音の周波数レベルが制約されるとともに、重量が増大するという欠点があり、車外騒音への支配的周波数域での満足のいく防音性能を達成するものとはいえない。
【0009】また、エンジン下側に遮音板等を設置して、車外騒音を防止する試みもあるが、そうした場合、エンジンルームE内の熱の逃げ場がなく、エンジンの冷却機能に支障を与えるという不具合がある。
【0010】この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的とするところは、ヘルムホルツの吸音原理を採用することにより、エンジンルームからフロアパネルの下方空間に伝播される騒音を有効に吸音することにより、車外騒音を大幅に低減することができるとともに、車室内の静粛性を向上させることができる車両用防音材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ダッシュロアパネルより後方で、かつサイドシルパネルの内側に位置するトーボードパネルおよびフロアパネルの下面側に設置される車両用防音部材において、この防音部材は、トーボードパネル,フロアパネルの下面側に厚み50mm以下の背後空気層を介して穿孔板を設置するとともに、穿孔板の厚み、孔の径、ピッチおよび背後空気層の厚みをそれぞれ調整することにより、ヘルムホルツ共鳴式で算出される周波数fの範囲を200〜2KHzに設定し、当該周波数域の騒音を吸音することを特徴とする穿孔板としては、樹脂板,金属板等が使用できるが、成形性,軽量化の点で樹脂板が好ましい。
【0012】また、穿孔板に形成される孔の周囲には、表面側あるいは裏面側および両面に突出するフランジを設けることが特徴である。
【0013】このとき、穿孔板として樹脂板を使用すれば、フランジ形成が簡単に行なえる。
【0014】さらに、穿孔板の孔の前方側に凸部を設け、石跳ね,泥跳ね等から孔周縁を保護して、常に一定した吸音メカニズムを確保することが特徴である。
【0015】加えて、背後空気層内にグラスウール等の多孔質吸音材を設定すれば、ヘルムホルツの共鳴機能に加えて、多孔性吸音機能が得られる。
【0016】
【作用】以上の構成から明らかなように、トーボードパネルおよびフロアパネルの下面側に、背後空気層を介して穿孔板を設置するという構成であるため、穿孔板の厚み(あるいはフランジ寸法),孔径,孔ピッチ及び、背後空気層の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を利用して、特定周波数域の騒音を有効に吸音することができる。
【0017】また、穿孔板の孔周囲にフランジを設定すれば、ヘルムホルツ共鳴式における板厚大の設定を容易に行なえるとともに、穿孔板の強度も向上する。
【0018】さらに、穿孔板の孔前方側に凸部を設定すれば、石跳ね,泥跳ね等から孔周縁部分を保護できるため、孔周辺が破損せず、また、孔に目詰まりが生じることがなく、ヘルムホルツの共鳴機構を長期にわたり良好に維持できる。
【0019】加えて、背後空気層に多孔質吸音材を設定すれば、吸音材の多孔性吸音機構により特に高い周波数域の騒音を有効に低減することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係る車両用防音部材の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】図1は本発明に係る車両用防音部材の一実施例の設置箇所を示す平面図、図2,図3は同車両用防音部材の設置箇所をそれぞれ示す各断面図、図4は本発明に係る車両用防音部材の構成を示す要部断面図、図5は本発明に係る車両用防音部材の吸音性能を示すグラフ、図6ないし図9は本発明に係る車両用防音部材の別実施例の構成を示す要部断面図である。
【0022】まず、本発明に係る車両用防音部材20の設置箇所は、図1ないし図3に示すように、ダッシュロアパネル10後方に位置する車体パネルの全区域あるいは一部区域に設置することが可能である。
【0023】この実施例では、図示するように、ダッシュロアパネル10の後方側に位置するトーボードパネル11とフロアパネル12の全域に設置されており、フロアパネル12の両側に位置するサイドシルインナーパネル13にまたがって設けられており、車両の中央部のミッショントンネル部14はこの実施例では設けられていないが、このミッショントンネル部14のパネル形状に沿って設置することも可能である。
【0024】次いで、この車両用防音部材20の構成を、フロアパネル12下面側に設置した場合について、図4を説明すると、フロアパネル12の下面側に穿孔板30が両者間に厚み50mm以下の背後空気層40が形成されるように取付けられており、この穿孔板30には、縦方向,横方向にそれぞれ一定ピッチで複数の孔31が開設されている。
【0025】この穿孔板30は、本実施例ではポリプロピレン樹脂板を使用したが、金属板でもよく、ミッショントンネル部14内のプロペラシャフト15、およびサイドシルインナーパネル13の下面よりも上方位置にボルト16等の固定手段を介して車体側に取付けられており、走行中車両が路面上の段差等を乗り越えたときにも、穿孔板30に損傷を与えることがないように、その位置設定がなされている。
【0026】本発明による車両用防音部材20は、多数の孔31を有する穿孔板30をフロアパネル12やトーボードパネル11の下面側に所定厚み(50mm以下)の背後空気層40を設けるように取付け、ヘルムホルツの吸音原理により、特定周波数域の騒音を有効に吸音することを特徴としている。
【0027】例えば、車の構造上の差異やエンジンの相違により特定周波数域の音圧レベルが高くなり、特に、エンジンルームEからの騒音は車外に一旦排出され、路面に反射して音圧上昇(ビルドアップ)した状態で車外へ放射し、また、一方で車室内に伝播されるが、本発明による車両用防音部材20を設置した場合、以下に示す方法でターゲットとなる特定周波数域の騒音に対して有効な防音特性を発揮することができる。
【0028】一般に、ヘルムホルツの共鳴原理の一般式は、
【数2】
上式中、C;音速β;開口率t;板厚b;開口半径d;背後空気層の厚みで表わされる。
【0029】穿孔板30の厚み3mm,背後空気層40の厚み20mm,孔31の径10mm,孔31のピッチ間隔32.3mm(開口率7.5%)とした場合、(1)式にそれぞれの値を当てはめた場合、f=1KHzが算出され、この1KHzの騒音を有効に吸音できる。
【0030】この(1)式に各数値を当てはめる場合、穿孔板30の孔31の径は5〜30mm,穿孔板30の厚み1〜10mm,背後空気層40の厚み10〜50mm,孔31のピッチ間隔15〜100mmの範囲内において数値を適宜調整することにより、吸音対象となる特定周波数域の騒音を有効に吸音することができる。
【0031】なお、参考までにベストモードとして、板厚3mmの穿孔板30に32.3mmピッチで径10mmの孔31を、フロアパネル12との距離すなわち背後空気層40の厚み20mmに設定した場合と、対策なし(穿孔板を設置しないケース)の両者の各周波数に対する吸音性能の差の絶対値を図5に示すグラフにて示す。
【0032】このグラフから明らかなように、本発明に係る車両用防音部材20を適用すれば、法規に基づく車外騒音測定の結果、従来のものに比べ、200〜2KHzの周波数域で0.2〜2dBの騒音レベルの低下が得られることが判明した。
【0033】次いで、図6ないし図9に基づいて、本発明に係る車両用防音部材20の別実施例について詳細に説明する。
【0034】図6は穿孔板30の孔31周囲にフランジ32を設けた実施例をそれぞれ示している。
【0035】このフランジ32の構成としては、図6(a)に示すように、穿孔板30の下面側に突出するように設けてもよく、図6(b)に示すように、内面側に突出するようにしてもよく、さらに、図6(c)に示すように両面に突出させてもよい。
【0036】本実施例では穿孔板30としてポリプロピレン樹脂板を使用しているため、これらフランジ32の形成が簡単に行なえるとともに、このフランジ32により強度が向上するという付随的な利点がある。
【0037】さらに、このように孔31の周囲にフランジ32を形成すれば、穿孔板30の厚みを薄く設定しても、ヘルムホルツの共鳴式中、tで示す寸法をフランジ32の長さとすることができるため、ヘルムホルツの共鳴系におけるtの寸法調整に有効である。
【0038】次いで、本発明による防音部材20の設置箇所がフロアパネル12やトーボードパネル11のように、路面からの石跳ねや泥跳ねが頻繁に生じる部位であるため、図7に示すように、穿孔板30の孔31周囲を保護する構成が有効である。
【0039】すなわち、図7(a)に示すように、穿孔板30を波形に成形し、凹凸部33,34を設け、凹部34内に孔引を設定し、路面からの石跳ね,泥跳ね等は矢印で示すように、この凸部33により阻止され、孔31周囲に石跳ね,泥跳ねが生じることがないため、孔31の径や厚みが変動したりすることがなく、良好なヘルムホルツ共鳴機構を長期にわたり維持することができる。
【0040】また、図7(b)に示すように、穿孔板30の内面をフラット状態で表面側のみ凹凸部33,34を形成してもよく、図7(c)に示すように、孔31の周囲に凹部34を設け、穿孔板30の一般面に比べ、孔31の設置面を内側に来るように設置してもよく、凹部34は溝状、エンボス状いずれでもかまわない。
【0041】さらに、図8は背後空気層40内にグラスウール等の多孔性吸音材50を介挿した実施例を示すものであり、多孔質吸音材50のもつ多孔性吸音作用が特に高い周波数域の騒音に対して有効であるため、本発明のヘルムホルツの吸音メカニズムによる特定周波数域の騒音の低減と、多孔質吸音材50の利用による高い周波数域の騒音の低減とを組み合わせれば、より有効な防音対策が施せる。
【0042】その際、多孔質吸音材50の設置方法としては、図8(a)に示すように、背後空気層40内の空間全てを多孔質吸音材50で充填してもよく、図8(b)に示すように、穿孔板30の内面側にラミネートしておき、多孔質吸音材50とフロアパネル12との間に空気層41を設けてもよく、また図8(c)に示すように、フロアパネル12の下面に多孔質吸音材50を固着しておき、穿孔板30と多孔質吸音材50との間に空気層42を設定するようにしてもよい。
【0043】この場合、穿孔板30の形状等により適宜多孔質吸音材50の設置方法は選択されてよいが、吸音メカニズムからすれば、図8(a)が優れている。
【0044】更に、多孔質吸音材50の固定方法として、穿孔板30の内面側にサポートピン35を立設し、図8(d)に示すように、多孔質吸音材50をサポートピン35の先端で押圧保持しても良く、また、図8(e)に示すように、多孔質吸音材50に設けた取付孔51内にサポートピン35を挿入して支持固定しても良い。
【0045】また、図9に示すように、穿孔板30に形成する孔31並びに凸部33の形成方法を、図示するように、フロントタイヤ60を起点として同心円状に設定してもよい。
【0046】この場合、フロントタイヤ60からの石跳ね(矢印Aで示す)に対しては、石跳ね方向に直角となるように凸部33が位置するため、石跳ねを確実に防止することができ、しかもエンジンルームEからの騒音の伝播(矢印Bで示す)に対しては、凸部33が邪魔でなくなるため、吸音性能がより向上するという利点がある。
【0047】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明による車両用防音部材は、以下に記載する格別の作用効果を有する。
【0048】(1)ダッシュロアパネルの後方に位置するトーボードパネル,フロアパネルの全区域あるいはその一部のパネルの下面側に所定厚みの背後空気層を介して穿孔板を取付け、穿孔板の厚み,孔の径およびピッチ,それに背後空気層の厚みを調整することにより、ヘルムホルツの共鳴原理を応用し、エンジンルームから車外に放射され、かつ車室内に伝播してくる騒音に対して、特定周波数域の騒音を有効に吸音することができるため、きめ細かな吸音対策が可能となり、車外騒音を大幅に低減することができ、かつ車室内の静粛性向上に大きく貢献することができるという効果を有する。
【0049】(2)ダッシュロアパネルより下方の車体パネルの下面側に50mm以内のクリアランスを介して穿孔板を設置するというものであり、車両走行時、路面の段差等を乗り越えたときに穿孔板の損傷,脱落等のおそれがなく、耐久性が向上するという効果を有する。
【0050】(3)請求項2記載の発明によれば、穿孔板の孔周囲にフランジを設定すれば、穿孔板の厚みを薄くしても、ヘルムホルツ共鳴式における板厚tを大きく確保できるため、背後空気層の厚みを薄く設定でき、路面との距離を多くとれるとともに、ヘルムホルツ共鳴式へのチューニングが容易になるとともに、強度アップも果たすことができるという種々の効果を有する。
【0051】(4)請求項3記載の発明によれば、特に、石跳ね,泥跳ね等が頻繁に生じる箇所に本発明の車両用防音部材が設定されることから、穿孔板の孔内への目詰まりが防止できるとともに、石跳ね等により孔周辺が損傷することがなく、ヘルムホルツの共鳴機構を長期にわたり維持することができるという効果を有する。
【0052】(5)請求項4記載の発明によれば、背後空気層に多孔質吸音材を設置するというものであるから、ヘルムホルツの共鳴機構に加えて多孔性吸音機構を併設するものであるから、特定の周波数域の騒音低減に加えて、高い周波数域の騒音に対しても有効に吸音できるため、防音性能がより向上するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防音部材の設置箇所の一実施例を示す平面図。
【図2】図1中II−II線断面図。
【図3】図1中III −III 線断面図。
【図4】本発明による車両用防音部材の要部構成を示す断面図。
【図5】本発明による防音部材の吸音性能を示すグラフ。
【図6】本発明に係る車両用防音部材の別実施例の要部構成を示す各断面図。
【図7】本発明に係る車両用防音部材のさらに別実施例の構成を示す要部断面図。
【図8】本発明に係る車両用防音部材の別実施例の要部構成を示す断面図。
【図9】本発明に係る車両用防音部材のさらに別実施例の構成を示す平面図。
【図10】エンジンルームに設置される各種防音部材の設置箇所を示す説明図。
【図11】従来の防音部材の構成を示す断面図。
【符号の説明】
10 ダッシュロアパネル
11 トーボードパネル
12 フロアパネル
20 車両用防音部材
30 穿孔板
31 孔
32 フランジ
33 凸部
34 凹部
35 サポートピン
40,41,42 背後空気層
50 多孔質吸音材
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダッシュロアパネル(10)より後方で、かつサイドシルパネル(13)の内側に位置するトーボードパネル(11)およびフロアパネル(12)の下面側に設置される車両用防音部材(20)において、この防音部材(20)は、トーボードパネル(11),フロアパネル(12)の下面側に厚み50mm以下の背後空気層(40)を介して穿孔板(30)を設置するとともに、穿孔板(30)の厚み、孔(31)の径、ピッチおよび背後空気層(40)の厚みをそれぞれ調整することにより、次式で算出される周波数fの範囲を200〜2KHzに設定し、当該周波数域の騒音を吸音することを特徴とする車両用防音部材。
【数1】
上式中、C;音速β;開口率t;板厚b;開口半径d;背後空気層の厚み
【請求項2】 穿孔板(30)に設けられる孔(31)の周縁にフランジ(32)が周設されていることを特徴とする請求項1記載の車両用防音部材。
【請求項3】 穿孔板(30)に形成される孔(31)は凹部(34)に設定されていることにより、孔(31)周縁への異物の衝突を抑え、孔(31)内への異物の侵入を規制したことを特徴とする請求項1,2記載の車両用防音部材。
【請求項4】 背後空気層(40)内に多孔質吸音材(50)が設置されていることを特徴とする請求項1,2,3記載の車両用防音部材。
【請求項1】 ダッシュロアパネル(10)より後方で、かつサイドシルパネル(13)の内側に位置するトーボードパネル(11)およびフロアパネル(12)の下面側に設置される車両用防音部材(20)において、この防音部材(20)は、トーボードパネル(11),フロアパネル(12)の下面側に厚み50mm以下の背後空気層(40)を介して穿孔板(30)を設置するとともに、穿孔板(30)の厚み、孔(31)の径、ピッチおよび背後空気層(40)の厚みをそれぞれ調整することにより、次式で算出される周波数fの範囲を200〜2KHzに設定し、当該周波数域の騒音を吸音することを特徴とする車両用防音部材。
【数1】
上式中、C;音速β;開口率t;板厚b;開口半径d;背後空気層の厚み
【請求項2】 穿孔板(30)に設けられる孔(31)の周縁にフランジ(32)が周設されていることを特徴とする請求項1記載の車両用防音部材。
【請求項3】 穿孔板(30)に形成される孔(31)は凹部(34)に設定されていることにより、孔(31)周縁への異物の衝突を抑え、孔(31)内への異物の侵入を規制したことを特徴とする請求項1,2記載の車両用防音部材。
【請求項4】 背後空気層(40)内に多孔質吸音材(50)が設置されていることを特徴とする請求項1,2,3記載の車両用防音部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図8】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図8】
【図11】
【公開番号】特開平6−298014
【公開日】平成6年(1994)10月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−91547
【出願日】平成5年(1993)4月19日
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【公開日】平成6年(1994)10月25日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)4月19日
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
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