説明

車両試験装置

【課題】車両のブレーキテストとスピードテストの複合試験に適用できて、ブレーキテスト時にも駆動ローラの回転の停止を可能にした車両試験装置を提供する。
【解決手段】前後の駆動ローラ2、2上に被験車両の車輪を載置してブレーキテスト又はスピードテストをする式の車両複合試験装置1において、前記前後の駆動ローラ2、2間に配置されるロック検出ローラ4aにより前記車輪の停止を検出して前記駆動ローラ2、2を停止する駆動ローラのロック手段4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両の車両試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前後の駆動ローラ上に被験車両の車輪を載置してブレーキテストのみを行う車両試験装置において、前記前後の駆動ローラ間に配設されるロック検出ローラにより前記車輪の停止を検出して前記駆動ローラを停止するロック手段を設けたものが知られており、又前後の駆動ローラ上に被験車両の車輪を載置してブレーキテストとスピードテストを行う車両複合試験装置も知られている(非特許文献1)。
【非特許文献1】「BANZAI MASTER CATALOG AUTOMOTIVE SERVICE EQUIPMENT No.90D」、日本、発行所 株式会社バンザイ、発行年月日 平成10年9月1日、第23頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この従来の車両試験装置によれば、車両にブレーキをかけたときに前記前後の駆動ローラの回転を停止するロック手段がブレーキテストのみの試験装置に設けられていて、ブレーキテストとスピードテストが実施可能な前記複合試験装置に適用するためには解決すべき問題点があった。
【0004】
本発明はブレーキテスト時に駆動ローラの回転の停止を可能にすることを車両複合試験装置にも適用可能にした車両試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成すべく、前後の駆動ローラ上に被験車両の車輪を載置してブレーキテスト又はスピードテストをする式の車両複合試験装置において、前記前後の駆動ローラ間に配設されるロック検出ローラにより前記車輪の停止を検出して前記駆動ローラを停止する駆動ローラのロック手段を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ブレーキテストにおいて車両の車輪が停止したときに駆動ローラも停止させるロック手段が車両複合試験装置にも適用可能となり、その構造が簡単である効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態の実施例を次に示す。
【実施例1】
【0008】
本発明の実施例1を図面に従って説明する。
【0009】
図1は本実施例の車両複合試験装置1の平面図を示し、図2は同上車両複合試験装置1の正面図である。
【0010】
車両複合試験装置1において、1aはそのフレームを示し、該フレーム1aの左右において前後の駆動ローラ2が軸支され、これら駆動ローラ2はモータ3に連結されている。
【0011】
13は前後の駆動ローラ2間に配設されている中間リフト、4はロック手段を示す。該ロック手段4は図3に示す如く上下動制御可能なロック検出ローラ4aと車両の車輪の回転或いは停止を検出する回転停止検出器4b(図4参照)と該検出器4bからの停止検出信号を入力して前記モータ3の回転の停止の制御信号を出力する制御器(図示せず)とからなる。
【0012】
前記ロック検出ローラ4aは前記中間リフト13の両側部に根部を枢支した両アーム5の先端部に軸支され、前記中間リフト13の基部に根部で枢支したシリンダー6のロッドの先端部を前記アーム5の中間部に枢支し、これらシリンダー6とアーム5により昇降手段を形成した。
【0013】
又前記回転停止検出器4bはロータリーエンコーダからなり、前記ロック検出ローラ4aの一端部の内部に設けられており、スペースをとらないようにしている。尚7は軸受を示す。
【0014】
次に本実施例の車両複合試験装置1の作動及びその効果について説明する。
【0015】
車両複合試験装置1を車両のブレーキテストに使用するときは、該試験装置1上に被験車両の前輪又は後輪を乗り上げて、前後の駆動ローラ2上に静止させる。
【0016】
次にシリンダ6を作動させてロック手段4を立ち上げ、ロック検出ローラ4aを前記車輪の外周部に当接させる。
【0017】
それからモータ3により、前記前後の駆動ローラ2を回転させると、駆動ローラ2の回転によって前記車輪も回転するが、前記ロック検出ローラ4aも該車輪の回転につれて回転をする。
【0018】
次いで、前記被験車両のブレーキを踏み込んで前記車輪を停止させる。
【0019】
前記ロック検出ローラ4aは、前記車輪の停止と共に回転を停止するが、モータ3によって駆動されている前後の駆動ローラ2は停止せずに廻り続けようとする。このとき、前記ロック手段4の具備している回転停止検出器4bが前記ロック検出ローラ4aの停止を読み取って、前記モータ3の駆動電流を断ち、前記駆動ローラ2を停止させるように作動する。
【0020】
このため、前記車輪と駆動ローラ2とが摺れ合って高熱を発したり、又は前記モータ3に無駄な電流を流させたりする心配がなく、安全である。
【0021】
又、車両複合試験装置1を車両のスピードテストに用いるときは、該試験装置1上に被験車両の駆動輪(前輪又は後輪)を乗り上げて、前後の駆動ローラ2上に静止させる。
【0022】
そしてロック手段4は立ち上げず、前記駆動輪とロック検出ローラ4aとは接触しない状態を保持する。
【0023】
次いで被検車両のエンジンにより、前記駆動輪を駆動して回転させ、該駆動輪の回転によって前記試験装置1の駆動ローラ2を回転させて、試験装置1が具備するタコメータ(回転計)の回転速度と当該被験車両の回転計のそれとを比較して、被験車両の回転計の検査(スピードメータテスト)を行なうことができる。
【0024】
このように、本発明の車両複合試験装置1は、簡単な切り換えにより車両のブレーキテストとスピードメータテストの両方を安全に行なうことができる効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の車両複合試験装置は、車検を行なう車両整備工場等において利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1の車両複合試験装置の平面図である。
【図2】同上車両複合試験装置の正面図である。
【図3】同上車両複合試験装置の一部のロック手段の側面図である。
【図4】同上ロック手段の一部をカットした正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 車両複合試験装置
2 駆動ローラ
4 ロック手段
4a ロック検出ローラ
4b 回転停止検出器
6 昇降手段のシリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の駆動ローラ上に被験車両の車輪を載置してブレーキテスト又はスピードテストをする式の車両複合試験装置において、前記前後の駆動ローラ間に配設されるロック検出ローラにより前記車輪の停止を検出して前記駆動ローラを停止する駆動ローラのロック手段を設けたことを特徴とする車両試験装置。
【請求項2】
前記ロック検出ローラ内に、該ロック検出ローラの回転の停止を検出する検出器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両試験装置。
【請求項3】
前記ロック検出ローラはブレーキテストのときに前記車輪に接触することとスピードテストのときに該車輪に非接触となることを可能にする昇降手段を具備していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−309615(P2008−309615A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157330(P2007−157330)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000253444)萬歳工業株式会社 (4)