車両誘導装置
【課題】車両正対を、短時間で、容易かつ正確に行うこと。
【解決手段】車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、制御手段は、高さ検出手段が検出した検出情報と車両停止位置情報とを比較して検査車両の停止位置の形状情報を判定し、表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が仮車両停止線に重なるように映し出す車両誘導装置。
【解決手段】車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、制御手段は、高さ検出手段が検出した検出情報と車両停止位置情報とを比較して検査車両の停止位置の形状情報を判定し、表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が仮車両停止線に重なるように映し出す車両誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民間の車検場、予備検査場等の測定作業ベイに配設される車両整備工場(民間の車検場や予備検査場も含まれる)用の車両誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特許出願人が提案したものである。特許文献1に記載の発明の主な課題は、民間の車検場を含む車両整備工場の床面に関する情報、被試験車両の輪郭情報等を制御手段ないし記憶部を介して解析し、解析データをヘッドライトテスター側の車両正対のために生かすことができることである。該目的を解決するための手段として、車両停止状態解析装置は、レール上を走行するヘッドライトテスターが配設されていると共に、車両導入用基準標識を有する車両整備工場の床面と、前記基準標識に沿って解析領域に停止した被試験車両を撮影するために床面よりも上方又は下方のいずれかに設置された撮像手段と、前記ヘッドライトテスターと被試験車両との正対の横ずれ量を解析するために撮像手段に接続され、かつ、撮像手段が撮影した被試験車両の輪郭情報及び記憶部に格納されている基準情報に基づいて前記横ずれ量を算出する輝度差演算機能を有する制御手段と、この制御手段に接続され、かつ、算出結果を出力する出力部とから成る。
【0003】
しかしながら、上記構成の車両停止状態解析装置は、あくまでも、車両正対の「横ズレ量」を解析するものであることから、例えば車両進入後にヘッドライトテスターの基準面に検査車両の停止位置を合わせるためには、運転手(作業員)が検査車両から降りる必要があり、その結果、作業時間が増えるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−2606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の所期の目的は、運転手が表示手段に表れる当該検査車両の進行状況を見ながら、車両正対を、短時間で、容易かつ正確に行うことである。第2の目的は、昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を用いて当該検査車両のランプの高さを特定(判定)し、該特定情報及び記億部の車両停止位置情報に基づいて、表示手段に当該検査車両の位置情報と共に車両の撮像情報を加味して表示を行うようにすることである。その他の目的は従属項によって特定され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、前記表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように映し出すことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両を撮影する半導体固定素子カメラと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段を含む制御手段を介して撮像する表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線を前記表示手段に描くと共に、前記半導体固定素子カメラから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線を表示手段に出力し、該仮想車両輪郭線は、表示手段の表示画面上、仮想車両輪郭線マッチング手段を介して、該仮想車両輪郭線のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(a)従来、車両正対を取る際の運転手は、床面上の現実(生)の車両導入基準線や車両停止線を頼りにしていたので、窓から顔を出したり、時には何度か切り返しをしたり、床面上の車両停止線が検査車両の停止直前で肉眼では見えない情態で検査車両の運転を行っていた(感覚に依存していた)ので、正確な車両正対ができなかった。請求項1に記載の発明は、車両正対時、運転手は検査車両の停止位置の情報を、ヘッドライトテスターに設けた表示画面を見ながら、検査車両のライトの映像が仮車両停止線に重なる位置まで運ぶことができる。付言すると、運転手は常に表示画面上で検査車両の姿勢及び停止位置を視覚に基づき把握することができるので、車両正対を極めて容易かつ正確に行うことができる。また請求項6に記載の発明も、車両正対時、運転手は検査車両の停止位置の情報を、ヘッドライトテスターに設けた表示画面を見ながら、検査車両のライトの撮像情報と仮車両停止線とが互いに重なる位置まで運ぶことができる。
(b)請求項2に記載の発明は、昇降用操作ハンドル側、又は駆動モータ側に設けた検出歯車を介して電気的な出力値を得ることができるから、微調整的な値を得ることができる。したがって、受光部の正確な高さ情報を得ることができる。
(c)請求項3に記載の発明は、前記(a)の効果を得ることができると共に、カメラを所望する位置に配設することができる。
(d)請求項4に記載の発明は、当該検査車両に最適な停止位置を示す形状情報を自動的に選択することができる。
(e)請求項5に記載の発明は、車両正対を取る際の運転手は、表示画面と共に、従来の床面上の現実(生)の車両導入基準線や車両停止線も目安にすることができる。
(f)請求項7に記載の発明は、表示手段は、ヘッドライトテスターの受光部の上面に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部の上面には、前記表示手段の筐体の平坦状背面部分を受け入れる凹所を有する表示手段用支持体が固定されているので、美感上優れていると共に、所定角度で表示手段を確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1乃至図11は本発明の第1実施形態を示す各説明図。図12及び図13は本発明の第2実施形態を示す各説明図。図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図。図15は本発明の第4実施形態を示す各説明図。図16及び図17は本発明の第5実施形態を示す各説明図。図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図。
【図1】平面視からの概略説明図。
【図2】ヘッドライトテスターの正面視からの概略説明図。
【図3】要部の概念図。
【図4】検査車両のライトの高さ位置を求める場合の概略説明図。
【図5】検査車両が待機中のヘッドライトテスターに向かって進入し、車両停止線で停止した状態の平面視からの概略説明図。
【図6】図5に於いて、側面視からの概略説明図。
【図7】図6に於いて、運転手がヘッドライトテスターを正面から見た概略説明図。
【図8】車両誘導装置のブロック図。
【図9】高さ検出手段、記憶手段の情報、制御部等の説明図。
【図10】記憶手段の停止位置に関する情報の説明図。
【図11】車両正対時、表示手段に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)。
【図12】第2実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図13】作業員が目視するランプの映像の位置情報の説明図。
【図14】第3実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図15】第4実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図16】第5実施形態の車両誘導装置のブロック図。
【図17】第5実施形態の図11と同様の概略説明図。
【図18】表示手段の設計変更例を示す概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)全体の環境説明
図を参照にして本発明の第1実施形態を説明する。図1は平面視からの概略説明図、図2はヘッドライトテスターの正面視からの概略説明図、図3は要部の概念図、図4は検査車両のライトの高さ位置を求める場合の概略説明図、図5は検査車両Vが待機中のヘッドライトテスター3に向かって進入し、車両停止線5(本実施形態では表示画面上の仮車両停止線)で停止した状態の平面視からの概略説明図、図6は側面視からの概略説明図である。
【0011】
図1乃至図6に於いて、1は車両整備工場の床面、2は床面上に敷設されたレール、3はレール上2を走行するヘッドライトテスター(以下、「テスター」という。)、4は床面1上に設けられた車両導入用基準線(現実の線)、5はレール2よりも前方の所定位置の床面上に該レール2と平行に設けられた床面の車両停止線(現実の線)、6は前記車両導入用基準線4及び車両停止線5を含む所定の作業ベイ(検査或いは計測)領域(以下、ここでは「正対領域」という。)である。
【0012】
車両停止線5はテスター3のレンズ面18との間に所定の距離(例えば受光部の基準箇所から1m、3m等の当業者の常識的距離)を有して床面1に設けられている。図6で示すように、検査車両Vには運転手(作業員)7が乗っている。さらに、本実施形態の車両誘導装置は、車両停止線5に向かって進入して来る検査車両Vを撮影する少なくとも単数のカメラ8及び該カメラからの出力信号を、後述の記憶手段31の検査車両の停止位置に関する情報32を制御する制御手段30を介して映し出すと共に、その重畳表示手段30bは検査車両Vを運転している運転手7の視覚から該検査車両Vの現在位置を判別することができるよう表示する表示手段9をそれぞれ備えている。
【0013】
(2)テスターの車両正対と具体的構成
テスター3は、普通一般のテスター(例えば特開昭63−19529号公報、特許第3249629号公報、特開2001−13039号公報などに記載のテスター)と同様に、手動(昇降用操作ハンドル15a)又は自動(駆動モータ)の駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え、車両整備工場の正対領域6を有する床面に敷設されたレール2上を走行する。
【0014】
テスター3の駆動源、駆動手段等の内部構造は、例えば特開昭63−19529号公報、特許第3249629号公報等に具体的に記載された周知事項なので、ここでは詳細な説明は割愛するが、普通一般にテスター3は、走行用駆動源の駆動力により、レール2に沿って往復自在なだけでなく、昇降用駆動源の駆動力により、床面1と鉛直な方向に上下動することによって上下方向の位置決めができるようになっている。
【0015】
またテスター3は、当該上下方向の位置決めされた任意位置において、手動又は自動で上下方向及び左右方向に所定量の回動が可能に装備されており、これにより、受光部17に内蔵した光学系の光軸の方向を調整できるようになっている。
【0016】
そして、上記構成のテスター3を用いて検査車両VのヘッドライトHLの配光特性等を測定する場合、その前提として車両正対が必要とされている。「車両正対」は、検査車両Vの外観上の中心線をテスター3の光学系の光軸と平行にさせる操作をいう。
【0017】
本発明は、この車両正対時、検査車両Vを運転する運転手7が、昇降体10を構成する運転手用の表示手段9の前向き表示画面9aの表示情報を見ながら、例えばテスター3の手前1[m]の距離である床面1の停止位置(車両停止線5)にぴったりと停止できるようにすることを目的とする。検査車両Vは、図1で示すように、望ましくはレール2の敷設方向に対して直角に進入させる。そして、テスター3の受光部17の側壁中央部に設けたレーザ25のレーザ光線を、作業員が予め検査車両VのヘッドライトHLに目掛けて水平方向に発射し、該レーザ光線の当る位置が、望ましくはヘッドライトHLのバルブ(中心位置)になるように、例えば昇降用操作ハンドル15aを回す。
【0018】
この昇降用操作ハンドル15aを回すと、実施形態では、検査車両VのライトHLの高さ位置hを電気的に検出するための高さ検出手段11が、ポテンションメータ11cなので、昇降体10の受光部17の高さ情報hを正確に取得することができる。この受光部17の高さ情報hは、「車両停止」を実行するために、検査車両VのヘッドライトHLのバルブ(中心位置)とテスター3の光学系の光軸とが「目安」として略平行になる位置情報である。
【0019】
ところで、ここで「昇降体」とは、台座14と、該台座上に設けられた受光部17と、該受光部の上壁に固定的に設けられた操作部(入力部)19と、前記受光部17に回動自在に軸支された、又は前記台座14に支持アーム20を介して受光部17の上方に配設された運転手用の表示手段9とから成る。
【0020】
さらに、テスター3の具体的構成を説明する。各図に於いて、2は床面1に敷設されたレールである。検査車両Vは、レール2に対して直交するように、しかも、望ましくは床面上の生の車両停止線5の真上にヘッドライト(ランプ)HLが来るように車両導入用基準線4に沿って停止する。12はレール上を左右に走行する走行台車で、この走行台車12は下面に滑車を有している。
【0021】
13は走行台車の上面の一端部寄りの部位に立設された複数本の垂直支持部材で、これらの垂直支持部材13は、例えば台車12の上面の左端寄りの部位に長板状の取付けベース板を介して前後方向に合計2本立設されている。
【0022】
14は基端部側が垂直支持部材13に摺接嵌合すると共に、他端部側が水平方向に延在する台座である。この台座14のケース状基端部の壁面には、台座昇降用駆動手段15を構成する操作ハンドル15a、又は/及び駆動モータ15aが設けられている。台座昇降用駆動手段(台座用移動装置とも称される)15が、例えば手動式の場合には、図3の概念図で示すように図示しない駆動チェーンと噛み合う単数又は複数の駆動歯車15bが設けられている。そして、該駆動歯車15bには、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置hを検出するための高さ検出手段11の検出歯車11aが噛合している。
【0023】
しかして、前記高さ検出手段11は、本実施形態では、昇降手段(駆動手段)15の駆動歯車15bに噛合する検出歯車11aと、いわば入力と出力の両方を兼用する該検出歯車11aの回転量を出力軸として出力する回転軸11bと、該回転軸の回転量を電気的な抵抗値として検出するポテンションメータ11cとで構成され、前記ポテンションメータ11cの検出情報aは制御部30へと出力される。
【0024】
昇降手段(駆動手段)15が駆動モータ15aである場合には、該駆動モータ15aは、図8の仮想線で示すように、操作部(入力部)19にも設けられた図示しないスイッチを「ON」することにより、制御手段30から電源が駆動モータ15aに供給される。この場合、テスタ3は、図示しないバッテリーを備えている。なお、図示しないラックは垂直支柱13に沿って形成され、また昇降手段(駆動手段)15の駆動歯車15bと噛み合うチェーンの一部等は垂直支柱13の上端部に設けた上部ボックス16に配設されている。
【0025】
実施化レベルの一つは、少なくとも操作ハンドル15aの操作力(駆動力)により横長状の台座14が垂直支柱13に沿って昇降動する。また他の実施化レベルでは、駆動モータ15aに駆動力により、横長状の台座14が垂直支柱13に沿って昇降動する。このように台座昇降用駆動手段15は台座乃至支持部材に亘って配設されている。
【0026】
17は台座14の上面に固定的に載置され、かつ前面に集光レンズ18を有する受光部である。この受光部17の内部構造の詳細は割愛する。19は受光部17の筐体の上面17aに固定的に設けられ操作ボックスを有する操作部である。この操作部19の傾斜状の前面パネルには、複数個の操作ボタン等が配設されている。
【0027】
付言すると、入力部としての操作部19の前記操作ボタンの一つは、本装置の起動スイッチの役割を果たすことから、該起動スイッチの基づき、前回の車両正対時の際に用いた位置情報をリセットすることができる。また、受光部17は、その筐体の一側壁の中央部に水平方向のラインレーザ光線Lを発射(図4を参照)するレーザ(例えばラインレーザ)25を備えている。
【0028】
20は基端部が台座14に固定され、一方、上端部が角度方向に折れ曲がった支持アームで、この支持アーム20は、例えば角パイプであり、該支持アーム20の上端部に受光部17の筐体の上面17aの上方に所定間隙を有して薄型の表示画面9aを有する表示手段9が取り付けられている。
【0029】
そして、前述したカメラ8は、本実施形態では、垂直支持部材13の上端部側、例えば上部ボックス16の一側壁16aに取付け板21を介してやや傾斜状態に固定されている。
【0030】
なお、特に図示しないが、検査車両Vを撮影するカメラ8は、テスター3の垂直支柱13の上端部側、或は検査車両を上から撮影する正対領域(例えば天井)、或はまた検査車両を側面から撮影する正対領域(例えば床面1に立設した支柱の上端部)のいずれかに配設することができる。またカメラ8は、設計如何によっては、受光部17の上壁、操作ボックス19の上壁、表示手段9の上方等に支持部材を介して配設することもできる。
【0031】
ところで、本実施形態のテスター3は、垂直支持部材13の下端部が走行台車12の上面に設けられた案内手段(一対のガイドレール、それらの嵌合部、水平可動台等)22を介して検査車両Vの前後方向に移動可能である。また、現に存在する車両導入用基準線4及び車両停止線5の各色は、床面1のそれと相違する。その理由は、例えば図4で示すように、制御手段30は、記憶手段31の停止位置に関する情報32に基づいて表示画面9aに当該検査車両Vの先端部のライトHLの映像と仮車両停止線とが互いに重なるように描くからである。
【0032】
したがって、実施形態如何によって、例えば車両整備工場の床面1に、レール2に直交する車両導入用基準線4と、該レール2に対して所定の距離を有して平行する車両停止線5がそれぞれ設けられている場合には、現実の線である車両導入用基準線4及び車両停止線5と仮想基準線である仮車両停止線を混同しないようにするためである。もちろん、被試験車両Vの色と仮車両停止線のそれとが完全に一致する場合も有り得るが、そのような場合には、仮車両停止線の色については、たとえば仮車両停止線の輝度が車両停止線5のそれよりも上回るような色に採択し得る。
【0033】
(3)ブロック図と基準情報等
まず、図8は車両誘導装置のブロック図である。この図8に於いて、8はテスター3の上部ボックス16の垂直側壁に取付け板21を介して傾斜状に設けられたカメラで、このカメラ8は、前述したように、車両正対時、正対領域6に入り込んでくる検査車両Vを撮影する。実施形態では、カメラ8は上部ボックス16に直接又は間接的に設けられ、或は固定的又は軸受け手段を介して上下方向に首振り可能に設けられる。
【0034】
30はカメラ8からの信号(検査車両Vの斜め上方からの情報)を取得して表示手段9の表示画面9aにそのまま立体的映像として映し出すように画像を処理する制御手段で、この制御手段30は、本実施形態ではテスター3の制御手段が使用されている。制御手段30は、入力部19からの入力信号、高さ検出手段11(駆動源側の検出歯車の回転量を電気的に検出するポテンションメータ11c)からの検出信号a、重畳表示手段30bからの制御信号をそれぞれ処理する。
【0035】
付言すると、制御手段30は、図9で示すように、テスター3に設けられかつ検査車両VのライHLの高さ位置を電気的に検出するための高さ検出手段11が検出した昇降体の高さ情報aと、記億部の比較係数としての車両停止位置情報(A)とを比較すると共に、当該検査車両の停止位置の形状情報(B)を判定する判定手段30aを用いて、表示手段9に車両導入基準線4に相当する仮車両正対基準線Y及び床面の車両停止線5に相当する仮車両停止線Xを描くと共に、該表示手段9の表示画面9a上、前記仮車両正対基準線Yに沿って進行して来る前記検査車両VのライトHLの映像が重畳表示手段30bを用いて前記仮車両停止線に重なるように映し出す。本実施形態では、検査車両Vの映像のライトHLを含む先端部が仮車両停止線Xに重なり合うように映す。
【0036】
次に、図10は記憶手段31に格納されている車両の停止位置に関する情報32の説明図である。本実施形態では、前述したように、記憶手段31には比較係数としての車両停止位置情報(A)と、該車両停止位置情報に関連付け(紐付)される検査車両の停止位置の形状情報(C)が格納されているが、前記形状情報(C)は、枝葉としての背景データを有し、該背景データの中に線データ(床面の停止位置線等を含む)を有している、いわば絵の如く、「透明の枝葉に仮車両停止線Xと単数又は複数の仮車両正対基準線Y」が描かれている。前記仮車両停止線Xは前述した生の車両停止線5に相当し、一方、前記仮車両正対基準線Yは前述した生の車両導入基準線4に相当する。
【0037】
本実施形態では、背景データと線データとの組み合わせから成る形状情報(C)は、高さ検出手段11で検出された昇降体の高さ情報と比較係数としての車両停止位置情報(A)とを比較・判定する判定手段30aの判定結果に基づき、当該表示画面上における線(特に停止線)の位置が決定される。
【0038】
なお、形状情報(B)を構成する主な要素は、面(ポリゴン)、形状位置としてのX座標やY座標としての点、点同士を結ぶ線(リンク)、線の形状タイプ(実線、破線、直線、曲線)、線同士が交差したノード情報(交点情報)、文字情報、色情報等である。
【0039】
次に図11は、車両正対時、表示手段9に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)である。まず図11の(イ)は、検査車両Vの進入前、カメラ8で作業ベイ(正対領域)6の床面1を表示画面9aに映し出している状態である。この図11の(イ)の表示画面9aを得るには、前述したように操作部19の操作ボタンを操作して、起動スイッチON、初期化の実行等を行う。この時表示画面9aには、床面1に存在する生の車両導入用基準線4と、この車両導入用基準線に交差する車両停止線5が遠近状態に映し出されている。
【0040】
次に図11の(ロ)は、図4で示すように、作業員がレーザ光線Lを検査車両VのライトHLを目掛けて発射し、当該検査車両VのライトHLの高さを求める段階である。ここでの昇降手段15の操作は、正確な光軸を求める行為ではなく、あくまでも受光部17を台座14を介して上下に移動させ、受光部17の中央部に位置するレーザ25から発射される水平方向のレーザ光線Lが、当該検査車両VのライトHLの中心に一致するようにする行為である。
【0041】
作業員の目安により水平方向のレーザ光線LがライトHLの中心に一致したならば、制御部30の判定手段30aは、例えば電気的な高さ検出手段11で検出された昇降体の高さ情報aと車両停止位置基準情報(A)とを比較・判定し、当該表示画面上における形状情報(仮車両停止線)の種類と位置を判定する。
【0042】
次に図11の(ハ)は、判定手段30aの判定結果に基づき、生の車両導入用基準線4及び車両停止線5が映し出されている表示画面9aに、検査車両Vに対する最適枝葉の形状情報(C)を表示する。この場合自動的に最適枝葉の形状情報(C)が設定される。この時、運転手7の視点から表示画面9aを見るならば、生の車両導入用基準線4と仮車両正対基準線Yは略一致しているものの、生の車両停止線5と仮車両停止線Xは一致していない。何故ならば、実施形態のように、カメラ8の向きが斜め前方を指向しているので、検査車両Vの映像は、補正手段により、斜め上方から立体的に見えるからである。
【0043】
最後に図11の(ニ)は、少なくとも、仮車両停止線X及び仮車両正対基準線Yが同時に描かれている表示画面9aに、重畳表示手段30bを介して検査車両VのライトHLの映像が重なった概略説明図である。この時、運転手7は表示画面9aを見ながら、検査車両Vの現在位置を確認しつつ、検査車両VのランプHLが水平状態(カメラ8が上方に位置する実施形態の場合)の仮車両停止線Xに重なるまで、或は検査車両VのランプHLが垂直状態(カメラ8が車両の側方に位置する実施形態の場合)の仮車両停止線Xに重なるまで、視覚上の感覚を頼りにして停止する。
【0044】
以上のように、本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え車両整備工場の正対領域6を有する床面1に敷設されたレール2上を走行するヘッドライトテスター3と、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両Vを撮影するカメラ8と、このカメラからの出力信号を制御手段30を介して映し出す運転手用の表示手段9と、比較係数としての車両停止位置情報(A)及び形状情報(C)を有する記憶手段31と、前記ヘッドライトテスター3に設けられかつ検査車両のライトHLの床面からの高さ位置hを検出するために前記昇降体10の受光部17の高さを電気的に検出する高さ検出手段11を備え、車両正対時、前記制御手段30は、前記高さ検出手段11が検出した検出情報aと前記車両停止位置情報(A)とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報(C)を判定し、前記表示手段9に床面1の車両停止線5に相当する仮車両停止線Xを描くと共に、進行中の前記検査車両のライトHLの映像が前記仮車両停止線Xに重なるように映し出す。
【実施例】
【0045】
この欄では、本発明の第2実施形態等を説明する。したがって、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0046】
図12及び図13は本発明の第2実施形態を示す各説明図、図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図、図15は本発明の第4実施形態を示す各説明図、図16及び図17は本発明の第5実施形態を示す各説明図、図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図である。
【0047】
まず、図12及び図13の第2実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、昇降手段(駆動手段)15を駆動させる前提条件として、作業員7が目視により、操作部19の傾斜状前壁に設けられた窓部(ランプ映像用磨りガラス)41、焦点レンズ42、ハーフミラー43をそれぞれ介して、検査車両VのライトHLから発せられるライト光(ランプ映像)Lを見る点である。しかして、前記窓部41には、図13で示すように、例えばランプ映像の中心となるべき指標(+印)Mが付されている。
【0048】
このように、本願発明では、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置を検出するための前提条件として、予め光学系の手段を用いることを加味しても良い。
【0049】
次に、図14の第3実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置を検出するために、ハーフミラー43、スクリーン44等の光学系手段と、CCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラ45とを用いた点である。
【0050】
この場合半導体固定素子カメラ45からの出力情報に基づいてライト光(ランプ映像)Lの中心を求めるので、昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段11Aは、図示しない比較判定部を含む垂直方向正対位置検出処理回路が採用されている。付言すると、この第3実施形態の高さ検出手段11Aも電気的な検出手段(検出回路)である点で、実質的に第1実施形態の高さ検出手段11と同様である。
【0051】
次に、図15の第4実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、CCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラ45Aが昇降体の受光部以外に配設した点である。この第4実施形態の高さ検出手段11Aは前記第3実施形態のそれと同一なので、詳細な説明は割愛する。
【0052】
次に、図16及び図17の第5実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、(a)カメラ8AがCCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラである点、(b)半導体固定素子カメラカメラ8Aで撮影された出力信号は、A/D変換機34を介してデジタル信号に変換される点、したがって、制御手段30はデジタル信号に変換された画像情報を取得する点、(c)制御手段30が取得した画像情報は、画像処理手段36を介して当該検査車両Vの仮想車両輪郭線V1を表示手段9に出力する点、(d)制御手段30は、仮想車両輪郭線V1のライトHL、HLの映像が仮車両停止線Xに重なるように制御する仮想車両輪郭線マッチング手段37を有している点である。
【0053】
図17は、車両正対時、表示手段9に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)である。このフローチャートの説明は、画像処理手段36及び仮想車両輪郭線マッチング手段37を除き、実質的には第1実施形態の作用と同一なので、該第1実施形態の作用の説明を援用する。
【0054】
したがって、第3実施形態の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え車両整備工場の正対領域6を有する床面1に敷設されたレール2上を走行するヘッドライトテスター3と、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両Vを撮影する半導体固定素子カメラ8Aと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段36を含む制御手段30を介して撮像する表示手段9と、比較係数としての車両停止位置情報(A)及び形状情報(C)を有する記憶手段31と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトHLの高さ位置hを検出するために前記昇降体10の受光部17の高さを電気的に検出する高さ検出手段11を備え、車両正対時、前記制御手段30は、前記高さ検出手段11が検出した検出情報aと前記車両停止位置情報(A)とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報(C)を判定し、当該当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線Xを前記表示手段9に描くと共に、前記半導体固定素子カメラ8Aから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線V1を表示手段9に出力し、該仮想車両輪郭線V1は、表示手段9の表示画面9a上、仮想車両輪郭線マッチング手段37を介して、該仮想車両輪郭線V1のライトの映像HLが前記仮車両停止線Xに重なるように制御する。
【0055】
最後に、図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図である。この実施形態は、本発明の第6実施形態に相当するが、要部の一つである表示手段9Aを改良したものである。すなわち、第4実施形態の液晶型表示手段9Aは、ヘッドライトテスター3の受光部17の上面17aの中央部に直接又は間接的に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部17の上面17aには、前記表示手段9Aの筐体の突起状かつ平坦状背面部分9bを受け入れる支持凹所40aを有する表示手段用支持体40が固定されている。
【0056】
このように構成すると、第1実施形態の表示手段9の如く、長い支持アームを介してヘッドライトテスター3に運転手用表示手段9を取り付ける必要はなく、美感上優れていると共に、所定角度(傾倒状態)で表示手段を確実に支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、主に自動車の整備業界で利用される。
【符号の説明】
【0058】
X…仮車両停止線、Y…仮車両正対基準線、V…検査車両、1…床面、2…レール、3…ヘッドライトテスター(テスター)、4…車両導入基準線、5…車両停止線、6…正対領域、7…運転手、8、8A…カメラ、9…表示手段、9a…表示画面、HL…ヘッドライト(ランプ)、10…昇降体、11,11A…高さ検出手段、11a…検出歯車、11b…回転軸(出力軸)、11c…ポテンションメータ、12…走行台車、13…垂直支柱、15…昇降手段、15a…昇降用操作ハンドル、15b…駆動歯車、17…受光部、18…レンズ面(基準面)、19…操作ボックス(入力部)、20…支持アーム、22…案内手段、25…レーザ、30…制御手段、30a…判定手段、30b…重畳表示手段、31…記憶手段、32…停止位置情報、A…比較係数、B…高さ情報、C…形状情報。
【技術分野】
【0001】
本発明は、民間の車検場、予備検査場等の測定作業ベイに配設される車両整備工場(民間の車検場や予備検査場も含まれる)用の車両誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特許出願人が提案したものである。特許文献1に記載の発明の主な課題は、民間の車検場を含む車両整備工場の床面に関する情報、被試験車両の輪郭情報等を制御手段ないし記憶部を介して解析し、解析データをヘッドライトテスター側の車両正対のために生かすことができることである。該目的を解決するための手段として、車両停止状態解析装置は、レール上を走行するヘッドライトテスターが配設されていると共に、車両導入用基準標識を有する車両整備工場の床面と、前記基準標識に沿って解析領域に停止した被試験車両を撮影するために床面よりも上方又は下方のいずれかに設置された撮像手段と、前記ヘッドライトテスターと被試験車両との正対の横ずれ量を解析するために撮像手段に接続され、かつ、撮像手段が撮影した被試験車両の輪郭情報及び記憶部に格納されている基準情報に基づいて前記横ずれ量を算出する輝度差演算機能を有する制御手段と、この制御手段に接続され、かつ、算出結果を出力する出力部とから成る。
【0003】
しかしながら、上記構成の車両停止状態解析装置は、あくまでも、車両正対の「横ズレ量」を解析するものであることから、例えば車両進入後にヘッドライトテスターの基準面に検査車両の停止位置を合わせるためには、運転手(作業員)が検査車両から降りる必要があり、その結果、作業時間が増えるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−2606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の所期の目的は、運転手が表示手段に表れる当該検査車両の進行状況を見ながら、車両正対を、短時間で、容易かつ正確に行うことである。第2の目的は、昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を用いて当該検査車両のランプの高さを特定(判定)し、該特定情報及び記億部の車両停止位置情報に基づいて、表示手段に当該検査車両の位置情報と共に車両の撮像情報を加味して表示を行うようにすることである。その他の目的は従属項によって特定され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、前記表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように映し出すことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両を撮影する半導体固定素子カメラと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段を含む制御手段を介して撮像する表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線を前記表示手段に描くと共に、前記半導体固定素子カメラから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線を表示手段に出力し、該仮想車両輪郭線は、表示手段の表示画面上、仮想車両輪郭線マッチング手段を介して、該仮想車両輪郭線のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(a)従来、車両正対を取る際の運転手は、床面上の現実(生)の車両導入基準線や車両停止線を頼りにしていたので、窓から顔を出したり、時には何度か切り返しをしたり、床面上の車両停止線が検査車両の停止直前で肉眼では見えない情態で検査車両の運転を行っていた(感覚に依存していた)ので、正確な車両正対ができなかった。請求項1に記載の発明は、車両正対時、運転手は検査車両の停止位置の情報を、ヘッドライトテスターに設けた表示画面を見ながら、検査車両のライトの映像が仮車両停止線に重なる位置まで運ぶことができる。付言すると、運転手は常に表示画面上で検査車両の姿勢及び停止位置を視覚に基づき把握することができるので、車両正対を極めて容易かつ正確に行うことができる。また請求項6に記載の発明も、車両正対時、運転手は検査車両の停止位置の情報を、ヘッドライトテスターに設けた表示画面を見ながら、検査車両のライトの撮像情報と仮車両停止線とが互いに重なる位置まで運ぶことができる。
(b)請求項2に記載の発明は、昇降用操作ハンドル側、又は駆動モータ側に設けた検出歯車を介して電気的な出力値を得ることができるから、微調整的な値を得ることができる。したがって、受光部の正確な高さ情報を得ることができる。
(c)請求項3に記載の発明は、前記(a)の効果を得ることができると共に、カメラを所望する位置に配設することができる。
(d)請求項4に記載の発明は、当該検査車両に最適な停止位置を示す形状情報を自動的に選択することができる。
(e)請求項5に記載の発明は、車両正対を取る際の運転手は、表示画面と共に、従来の床面上の現実(生)の車両導入基準線や車両停止線も目安にすることができる。
(f)請求項7に記載の発明は、表示手段は、ヘッドライトテスターの受光部の上面に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部の上面には、前記表示手段の筐体の平坦状背面部分を受け入れる凹所を有する表示手段用支持体が固定されているので、美感上優れていると共に、所定角度で表示手段を確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1乃至図11は本発明の第1実施形態を示す各説明図。図12及び図13は本発明の第2実施形態を示す各説明図。図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図。図15は本発明の第4実施形態を示す各説明図。図16及び図17は本発明の第5実施形態を示す各説明図。図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図。
【図1】平面視からの概略説明図。
【図2】ヘッドライトテスターの正面視からの概略説明図。
【図3】要部の概念図。
【図4】検査車両のライトの高さ位置を求める場合の概略説明図。
【図5】検査車両が待機中のヘッドライトテスターに向かって進入し、車両停止線で停止した状態の平面視からの概略説明図。
【図6】図5に於いて、側面視からの概略説明図。
【図7】図6に於いて、運転手がヘッドライトテスターを正面から見た概略説明図。
【図8】車両誘導装置のブロック図。
【図9】高さ検出手段、記憶手段の情報、制御部等の説明図。
【図10】記憶手段の停止位置に関する情報の説明図。
【図11】車両正対時、表示手段に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)。
【図12】第2実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図13】作業員が目視するランプの映像の位置情報の説明図。
【図14】第3実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図15】第4実施形態の概略説明図(ブロック図も含む)。
【図16】第5実施形態の車両誘導装置のブロック図。
【図17】第5実施形態の図11と同様の概略説明図。
【図18】表示手段の設計変更例を示す概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)全体の環境説明
図を参照にして本発明の第1実施形態を説明する。図1は平面視からの概略説明図、図2はヘッドライトテスターの正面視からの概略説明図、図3は要部の概念図、図4は検査車両のライトの高さ位置を求める場合の概略説明図、図5は検査車両Vが待機中のヘッドライトテスター3に向かって進入し、車両停止線5(本実施形態では表示画面上の仮車両停止線)で停止した状態の平面視からの概略説明図、図6は側面視からの概略説明図である。
【0011】
図1乃至図6に於いて、1は車両整備工場の床面、2は床面上に敷設されたレール、3はレール上2を走行するヘッドライトテスター(以下、「テスター」という。)、4は床面1上に設けられた車両導入用基準線(現実の線)、5はレール2よりも前方の所定位置の床面上に該レール2と平行に設けられた床面の車両停止線(現実の線)、6は前記車両導入用基準線4及び車両停止線5を含む所定の作業ベイ(検査或いは計測)領域(以下、ここでは「正対領域」という。)である。
【0012】
車両停止線5はテスター3のレンズ面18との間に所定の距離(例えば受光部の基準箇所から1m、3m等の当業者の常識的距離)を有して床面1に設けられている。図6で示すように、検査車両Vには運転手(作業員)7が乗っている。さらに、本実施形態の車両誘導装置は、車両停止線5に向かって進入して来る検査車両Vを撮影する少なくとも単数のカメラ8及び該カメラからの出力信号を、後述の記憶手段31の検査車両の停止位置に関する情報32を制御する制御手段30を介して映し出すと共に、その重畳表示手段30bは検査車両Vを運転している運転手7の視覚から該検査車両Vの現在位置を判別することができるよう表示する表示手段9をそれぞれ備えている。
【0013】
(2)テスターの車両正対と具体的構成
テスター3は、普通一般のテスター(例えば特開昭63−19529号公報、特許第3249629号公報、特開2001−13039号公報などに記載のテスター)と同様に、手動(昇降用操作ハンドル15a)又は自動(駆動モータ)の駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え、車両整備工場の正対領域6を有する床面に敷設されたレール2上を走行する。
【0014】
テスター3の駆動源、駆動手段等の内部構造は、例えば特開昭63−19529号公報、特許第3249629号公報等に具体的に記載された周知事項なので、ここでは詳細な説明は割愛するが、普通一般にテスター3は、走行用駆動源の駆動力により、レール2に沿って往復自在なだけでなく、昇降用駆動源の駆動力により、床面1と鉛直な方向に上下動することによって上下方向の位置決めができるようになっている。
【0015】
またテスター3は、当該上下方向の位置決めされた任意位置において、手動又は自動で上下方向及び左右方向に所定量の回動が可能に装備されており、これにより、受光部17に内蔵した光学系の光軸の方向を調整できるようになっている。
【0016】
そして、上記構成のテスター3を用いて検査車両VのヘッドライトHLの配光特性等を測定する場合、その前提として車両正対が必要とされている。「車両正対」は、検査車両Vの外観上の中心線をテスター3の光学系の光軸と平行にさせる操作をいう。
【0017】
本発明は、この車両正対時、検査車両Vを運転する運転手7が、昇降体10を構成する運転手用の表示手段9の前向き表示画面9aの表示情報を見ながら、例えばテスター3の手前1[m]の距離である床面1の停止位置(車両停止線5)にぴったりと停止できるようにすることを目的とする。検査車両Vは、図1で示すように、望ましくはレール2の敷設方向に対して直角に進入させる。そして、テスター3の受光部17の側壁中央部に設けたレーザ25のレーザ光線を、作業員が予め検査車両VのヘッドライトHLに目掛けて水平方向に発射し、該レーザ光線の当る位置が、望ましくはヘッドライトHLのバルブ(中心位置)になるように、例えば昇降用操作ハンドル15aを回す。
【0018】
この昇降用操作ハンドル15aを回すと、実施形態では、検査車両VのライトHLの高さ位置hを電気的に検出するための高さ検出手段11が、ポテンションメータ11cなので、昇降体10の受光部17の高さ情報hを正確に取得することができる。この受光部17の高さ情報hは、「車両停止」を実行するために、検査車両VのヘッドライトHLのバルブ(中心位置)とテスター3の光学系の光軸とが「目安」として略平行になる位置情報である。
【0019】
ところで、ここで「昇降体」とは、台座14と、該台座上に設けられた受光部17と、該受光部の上壁に固定的に設けられた操作部(入力部)19と、前記受光部17に回動自在に軸支された、又は前記台座14に支持アーム20を介して受光部17の上方に配設された運転手用の表示手段9とから成る。
【0020】
さらに、テスター3の具体的構成を説明する。各図に於いて、2は床面1に敷設されたレールである。検査車両Vは、レール2に対して直交するように、しかも、望ましくは床面上の生の車両停止線5の真上にヘッドライト(ランプ)HLが来るように車両導入用基準線4に沿って停止する。12はレール上を左右に走行する走行台車で、この走行台車12は下面に滑車を有している。
【0021】
13は走行台車の上面の一端部寄りの部位に立設された複数本の垂直支持部材で、これらの垂直支持部材13は、例えば台車12の上面の左端寄りの部位に長板状の取付けベース板を介して前後方向に合計2本立設されている。
【0022】
14は基端部側が垂直支持部材13に摺接嵌合すると共に、他端部側が水平方向に延在する台座である。この台座14のケース状基端部の壁面には、台座昇降用駆動手段15を構成する操作ハンドル15a、又は/及び駆動モータ15aが設けられている。台座昇降用駆動手段(台座用移動装置とも称される)15が、例えば手動式の場合には、図3の概念図で示すように図示しない駆動チェーンと噛み合う単数又は複数の駆動歯車15bが設けられている。そして、該駆動歯車15bには、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置hを検出するための高さ検出手段11の検出歯車11aが噛合している。
【0023】
しかして、前記高さ検出手段11は、本実施形態では、昇降手段(駆動手段)15の駆動歯車15bに噛合する検出歯車11aと、いわば入力と出力の両方を兼用する該検出歯車11aの回転量を出力軸として出力する回転軸11bと、該回転軸の回転量を電気的な抵抗値として検出するポテンションメータ11cとで構成され、前記ポテンションメータ11cの検出情報aは制御部30へと出力される。
【0024】
昇降手段(駆動手段)15が駆動モータ15aである場合には、該駆動モータ15aは、図8の仮想線で示すように、操作部(入力部)19にも設けられた図示しないスイッチを「ON」することにより、制御手段30から電源が駆動モータ15aに供給される。この場合、テスタ3は、図示しないバッテリーを備えている。なお、図示しないラックは垂直支柱13に沿って形成され、また昇降手段(駆動手段)15の駆動歯車15bと噛み合うチェーンの一部等は垂直支柱13の上端部に設けた上部ボックス16に配設されている。
【0025】
実施化レベルの一つは、少なくとも操作ハンドル15aの操作力(駆動力)により横長状の台座14が垂直支柱13に沿って昇降動する。また他の実施化レベルでは、駆動モータ15aに駆動力により、横長状の台座14が垂直支柱13に沿って昇降動する。このように台座昇降用駆動手段15は台座乃至支持部材に亘って配設されている。
【0026】
17は台座14の上面に固定的に載置され、かつ前面に集光レンズ18を有する受光部である。この受光部17の内部構造の詳細は割愛する。19は受光部17の筐体の上面17aに固定的に設けられ操作ボックスを有する操作部である。この操作部19の傾斜状の前面パネルには、複数個の操作ボタン等が配設されている。
【0027】
付言すると、入力部としての操作部19の前記操作ボタンの一つは、本装置の起動スイッチの役割を果たすことから、該起動スイッチの基づき、前回の車両正対時の際に用いた位置情報をリセットすることができる。また、受光部17は、その筐体の一側壁の中央部に水平方向のラインレーザ光線Lを発射(図4を参照)するレーザ(例えばラインレーザ)25を備えている。
【0028】
20は基端部が台座14に固定され、一方、上端部が角度方向に折れ曲がった支持アームで、この支持アーム20は、例えば角パイプであり、該支持アーム20の上端部に受光部17の筐体の上面17aの上方に所定間隙を有して薄型の表示画面9aを有する表示手段9が取り付けられている。
【0029】
そして、前述したカメラ8は、本実施形態では、垂直支持部材13の上端部側、例えば上部ボックス16の一側壁16aに取付け板21を介してやや傾斜状態に固定されている。
【0030】
なお、特に図示しないが、検査車両Vを撮影するカメラ8は、テスター3の垂直支柱13の上端部側、或は検査車両を上から撮影する正対領域(例えば天井)、或はまた検査車両を側面から撮影する正対領域(例えば床面1に立設した支柱の上端部)のいずれかに配設することができる。またカメラ8は、設計如何によっては、受光部17の上壁、操作ボックス19の上壁、表示手段9の上方等に支持部材を介して配設することもできる。
【0031】
ところで、本実施形態のテスター3は、垂直支持部材13の下端部が走行台車12の上面に設けられた案内手段(一対のガイドレール、それらの嵌合部、水平可動台等)22を介して検査車両Vの前後方向に移動可能である。また、現に存在する車両導入用基準線4及び車両停止線5の各色は、床面1のそれと相違する。その理由は、例えば図4で示すように、制御手段30は、記憶手段31の停止位置に関する情報32に基づいて表示画面9aに当該検査車両Vの先端部のライトHLの映像と仮車両停止線とが互いに重なるように描くからである。
【0032】
したがって、実施形態如何によって、例えば車両整備工場の床面1に、レール2に直交する車両導入用基準線4と、該レール2に対して所定の距離を有して平行する車両停止線5がそれぞれ設けられている場合には、現実の線である車両導入用基準線4及び車両停止線5と仮想基準線である仮車両停止線を混同しないようにするためである。もちろん、被試験車両Vの色と仮車両停止線のそれとが完全に一致する場合も有り得るが、そのような場合には、仮車両停止線の色については、たとえば仮車両停止線の輝度が車両停止線5のそれよりも上回るような色に採択し得る。
【0033】
(3)ブロック図と基準情報等
まず、図8は車両誘導装置のブロック図である。この図8に於いて、8はテスター3の上部ボックス16の垂直側壁に取付け板21を介して傾斜状に設けられたカメラで、このカメラ8は、前述したように、車両正対時、正対領域6に入り込んでくる検査車両Vを撮影する。実施形態では、カメラ8は上部ボックス16に直接又は間接的に設けられ、或は固定的又は軸受け手段を介して上下方向に首振り可能に設けられる。
【0034】
30はカメラ8からの信号(検査車両Vの斜め上方からの情報)を取得して表示手段9の表示画面9aにそのまま立体的映像として映し出すように画像を処理する制御手段で、この制御手段30は、本実施形態ではテスター3の制御手段が使用されている。制御手段30は、入力部19からの入力信号、高さ検出手段11(駆動源側の検出歯車の回転量を電気的に検出するポテンションメータ11c)からの検出信号a、重畳表示手段30bからの制御信号をそれぞれ処理する。
【0035】
付言すると、制御手段30は、図9で示すように、テスター3に設けられかつ検査車両VのライHLの高さ位置を電気的に検出するための高さ検出手段11が検出した昇降体の高さ情報aと、記億部の比較係数としての車両停止位置情報(A)とを比較すると共に、当該検査車両の停止位置の形状情報(B)を判定する判定手段30aを用いて、表示手段9に車両導入基準線4に相当する仮車両正対基準線Y及び床面の車両停止線5に相当する仮車両停止線Xを描くと共に、該表示手段9の表示画面9a上、前記仮車両正対基準線Yに沿って進行して来る前記検査車両VのライトHLの映像が重畳表示手段30bを用いて前記仮車両停止線に重なるように映し出す。本実施形態では、検査車両Vの映像のライトHLを含む先端部が仮車両停止線Xに重なり合うように映す。
【0036】
次に、図10は記憶手段31に格納されている車両の停止位置に関する情報32の説明図である。本実施形態では、前述したように、記憶手段31には比較係数としての車両停止位置情報(A)と、該車両停止位置情報に関連付け(紐付)される検査車両の停止位置の形状情報(C)が格納されているが、前記形状情報(C)は、枝葉としての背景データを有し、該背景データの中に線データ(床面の停止位置線等を含む)を有している、いわば絵の如く、「透明の枝葉に仮車両停止線Xと単数又は複数の仮車両正対基準線Y」が描かれている。前記仮車両停止線Xは前述した生の車両停止線5に相当し、一方、前記仮車両正対基準線Yは前述した生の車両導入基準線4に相当する。
【0037】
本実施形態では、背景データと線データとの組み合わせから成る形状情報(C)は、高さ検出手段11で検出された昇降体の高さ情報と比較係数としての車両停止位置情報(A)とを比較・判定する判定手段30aの判定結果に基づき、当該表示画面上における線(特に停止線)の位置が決定される。
【0038】
なお、形状情報(B)を構成する主な要素は、面(ポリゴン)、形状位置としてのX座標やY座標としての点、点同士を結ぶ線(リンク)、線の形状タイプ(実線、破線、直線、曲線)、線同士が交差したノード情報(交点情報)、文字情報、色情報等である。
【0039】
次に図11は、車両正対時、表示手段9に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)である。まず図11の(イ)は、検査車両Vの進入前、カメラ8で作業ベイ(正対領域)6の床面1を表示画面9aに映し出している状態である。この図11の(イ)の表示画面9aを得るには、前述したように操作部19の操作ボタンを操作して、起動スイッチON、初期化の実行等を行う。この時表示画面9aには、床面1に存在する生の車両導入用基準線4と、この車両導入用基準線に交差する車両停止線5が遠近状態に映し出されている。
【0040】
次に図11の(ロ)は、図4で示すように、作業員がレーザ光線Lを検査車両VのライトHLを目掛けて発射し、当該検査車両VのライトHLの高さを求める段階である。ここでの昇降手段15の操作は、正確な光軸を求める行為ではなく、あくまでも受光部17を台座14を介して上下に移動させ、受光部17の中央部に位置するレーザ25から発射される水平方向のレーザ光線Lが、当該検査車両VのライトHLの中心に一致するようにする行為である。
【0041】
作業員の目安により水平方向のレーザ光線LがライトHLの中心に一致したならば、制御部30の判定手段30aは、例えば電気的な高さ検出手段11で検出された昇降体の高さ情報aと車両停止位置基準情報(A)とを比較・判定し、当該表示画面上における形状情報(仮車両停止線)の種類と位置を判定する。
【0042】
次に図11の(ハ)は、判定手段30aの判定結果に基づき、生の車両導入用基準線4及び車両停止線5が映し出されている表示画面9aに、検査車両Vに対する最適枝葉の形状情報(C)を表示する。この場合自動的に最適枝葉の形状情報(C)が設定される。この時、運転手7の視点から表示画面9aを見るならば、生の車両導入用基準線4と仮車両正対基準線Yは略一致しているものの、生の車両停止線5と仮車両停止線Xは一致していない。何故ならば、実施形態のように、カメラ8の向きが斜め前方を指向しているので、検査車両Vの映像は、補正手段により、斜め上方から立体的に見えるからである。
【0043】
最後に図11の(ニ)は、少なくとも、仮車両停止線X及び仮車両正対基準線Yが同時に描かれている表示画面9aに、重畳表示手段30bを介して検査車両VのライトHLの映像が重なった概略説明図である。この時、運転手7は表示画面9aを見ながら、検査車両Vの現在位置を確認しつつ、検査車両VのランプHLが水平状態(カメラ8が上方に位置する実施形態の場合)の仮車両停止線Xに重なるまで、或は検査車両VのランプHLが垂直状態(カメラ8が車両の側方に位置する実施形態の場合)の仮車両停止線Xに重なるまで、視覚上の感覚を頼りにして停止する。
【0044】
以上のように、本発明の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え車両整備工場の正対領域6を有する床面1に敷設されたレール2上を走行するヘッドライトテスター3と、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両Vを撮影するカメラ8と、このカメラからの出力信号を制御手段30を介して映し出す運転手用の表示手段9と、比較係数としての車両停止位置情報(A)及び形状情報(C)を有する記憶手段31と、前記ヘッドライトテスター3に設けられかつ検査車両のライトHLの床面からの高さ位置hを検出するために前記昇降体10の受光部17の高さを電気的に検出する高さ検出手段11を備え、車両正対時、前記制御手段30は、前記高さ検出手段11が検出した検出情報aと前記車両停止位置情報(A)とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報(C)を判定し、前記表示手段9に床面1の車両停止線5に相当する仮車両停止線Xを描くと共に、進行中の前記検査車両のライトHLの映像が前記仮車両停止線Xに重なるように映し出す。
【実施例】
【0045】
この欄では、本発明の第2実施形態等を説明する。したがって、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0046】
図12及び図13は本発明の第2実施形態を示す各説明図、図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図、図15は本発明の第4実施形態を示す各説明図、図16及び図17は本発明の第5実施形態を示す各説明図、図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図である。
【0047】
まず、図12及び図13の第2実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、昇降手段(駆動手段)15を駆動させる前提条件として、作業員7が目視により、操作部19の傾斜状前壁に設けられた窓部(ランプ映像用磨りガラス)41、焦点レンズ42、ハーフミラー43をそれぞれ介して、検査車両VのライトHLから発せられるライト光(ランプ映像)Lを見る点である。しかして、前記窓部41には、図13で示すように、例えばランプ映像の中心となるべき指標(+印)Mが付されている。
【0048】
このように、本願発明では、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置を検出するための前提条件として、予め光学系の手段を用いることを加味しても良い。
【0049】
次に、図14の第3実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、検査車両VのライトHLの床面からの高さ位置を検出するために、ハーフミラー43、スクリーン44等の光学系手段と、CCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラ45とを用いた点である。
【0050】
この場合半導体固定素子カメラ45からの出力情報に基づいてライト光(ランプ映像)Lの中心を求めるので、昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段11Aは、図示しない比較判定部を含む垂直方向正対位置検出処理回路が採用されている。付言すると、この第3実施形態の高さ検出手段11Aも電気的な検出手段(検出回路)である点で、実質的に第1実施形態の高さ検出手段11と同様である。
【0051】
次に、図15の第4実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、CCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラ45Aが昇降体の受光部以外に配設した点である。この第4実施形態の高さ検出手段11Aは前記第3実施形態のそれと同一なので、詳細な説明は割愛する。
【0052】
次に、図16及び図17の第5実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、(a)カメラ8AがCCD素子、CMOS素子等の半導体固定素子カメラである点、(b)半導体固定素子カメラカメラ8Aで撮影された出力信号は、A/D変換機34を介してデジタル信号に変換される点、したがって、制御手段30はデジタル信号に変換された画像情報を取得する点、(c)制御手段30が取得した画像情報は、画像処理手段36を介して当該検査車両Vの仮想車両輪郭線V1を表示手段9に出力する点、(d)制御手段30は、仮想車両輪郭線V1のライトHL、HLの映像が仮車両停止線Xに重なるように制御する仮想車両輪郭線マッチング手段37を有している点である。
【0053】
図17は、車両正対時、表示手段9に表示される一態様を示す概略説明図(フローチャート)である。このフローチャートの説明は、画像処理手段36及び仮想車両輪郭線マッチング手段37を除き、実質的には第1実施形態の作用と同一なので、該第1実施形態の作用の説明を援用する。
【0054】
したがって、第3実施形態の車両誘導装置は、駆動源を含む昇降手段15と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱13に沿って上下動する昇降体10とを備え車両整備工場の正対領域6を有する床面1に敷設されたレール2上を走行するヘッドライトテスター3と、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両Vを撮影する半導体固定素子カメラ8Aと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段36を含む制御手段30を介して撮像する表示手段9と、比較係数としての車両停止位置情報(A)及び形状情報(C)を有する記憶手段31と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトHLの高さ位置hを検出するために前記昇降体10の受光部17の高さを電気的に検出する高さ検出手段11を備え、車両正対時、前記制御手段30は、前記高さ検出手段11が検出した検出情報aと前記車両停止位置情報(A)とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報(C)を判定し、当該当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線Xを前記表示手段9に描くと共に、前記半導体固定素子カメラ8Aから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線V1を表示手段9に出力し、該仮想車両輪郭線V1は、表示手段9の表示画面9a上、仮想車両輪郭線マッチング手段37を介して、該仮想車両輪郭線V1のライトの映像HLが前記仮車両停止線Xに重なるように制御する。
【0055】
最後に、図18は表示手段の設計変更例を示す概略説明図である。この実施形態は、本発明の第6実施形態に相当するが、要部の一つである表示手段9Aを改良したものである。すなわち、第4実施形態の液晶型表示手段9Aは、ヘッドライトテスター3の受光部17の上面17aの中央部に直接又は間接的に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部17の上面17aには、前記表示手段9Aの筐体の突起状かつ平坦状背面部分9bを受け入れる支持凹所40aを有する表示手段用支持体40が固定されている。
【0056】
このように構成すると、第1実施形態の表示手段9の如く、長い支持アームを介してヘッドライトテスター3に運転手用表示手段9を取り付ける必要はなく、美感上優れていると共に、所定角度(傾倒状態)で表示手段を確実に支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、主に自動車の整備業界で利用される。
【符号の説明】
【0058】
X…仮車両停止線、Y…仮車両正対基準線、V…検査車両、1…床面、2…レール、3…ヘッドライトテスター(テスター)、4…車両導入基準線、5…車両停止線、6…正対領域、7…運転手、8、8A…カメラ、9…表示手段、9a…表示画面、HL…ヘッドライト(ランプ)、10…昇降体、11,11A…高さ検出手段、11a…検出歯車、11b…回転軸(出力軸)、11c…ポテンションメータ、12…走行台車、13…垂直支柱、15…昇降手段、15a…昇降用操作ハンドル、15b…駆動歯車、17…受光部、18…レンズ面(基準面)、19…操作ボックス(入力部)、20…支持アーム、22…案内手段、25…レーザ、30…制御手段、30a…判定手段、30b…重畳表示手段、31…記憶手段、32…停止位置情報、A…比較係数、B…高さ情報、C…形状情報。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、前記表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように映し出す車両誘導装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、高さ検出手段は、駆動源側の検出歯車の回転量を電気的に検出するポテンションメータであることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、検査車両を撮影するカメラは、ヘッドライトテスターの垂直支柱、或は検査車両を上から撮影する正対領域、或はまた検査車両を側面から撮影する正対領域のいずれかに配設されていることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、記億部の形状情報は車両停止位置情報と関連付け(紐付)されることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項5】
請求項1に於いて、車両整備工場の床面には、レールに直交する車両導入用基準線と、前記レールに平行する車両停止線がそれぞれ設けられていることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項6】
駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両を撮影する半導体固定素子カメラと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段を含む制御手段を介して撮像する表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線を前記表示手段に描くと共に、前記半導体固定素子カメラから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線を表示手段に出力し、該仮想車両輪郭線は、表示手段の表示画面上、仮想車両輪郭線マッチング手段を介して、該仮想車両輪郭線のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように制御する車両誘導装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項6に於いて、表示手段は、ヘッドライトテスターの受光部の上面に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部の上面には、前記表示手段の筐体の背面部分を受け入れる支持凹所を有する表示手段用支持体が固定されていることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項1】
駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設されかつ前記床面に進入して来る検査車両を撮影するカメラと、このカメラからの出力信号を制御手段を介して映し出す運転手用の表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、前記表示手段に床面の車両停止線に相当する仮車両停止線を描くと共に、進行中の前記検査車両のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように映し出す車両誘導装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、高さ検出手段は、駆動源側の検出歯車の回転量を電気的に検出するポテンションメータであることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、検査車両を撮影するカメラは、ヘッドライトテスターの垂直支柱、或は検査車両を上から撮影する正対領域、或はまた検査車両を側面から撮影する正対領域のいずれかに配設されていることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、記億部の形状情報は車両停止位置情報と関連付け(紐付)されることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項5】
請求項1に於いて、車両整備工場の床面には、レールに直交する車両導入用基準線と、前記レールに平行する車両停止線がそれぞれ設けられていることを特徴とする車両誘導装置。
【請求項6】
駆動源を含む昇降手段と、該昇降手段の駆動力により垂直支柱に沿って上下動する昇降体とを備え車両整備工場の正対領域を有する床面に敷設されたレール上を走行するヘッドライトテスターと、該ヘッドライトテスター又は前記正対領域のいずれかに配設され、かつ、前記床面に進入して来る検査車両を撮影する半導体固定素子カメラと、この半導体固定素子カメラからの出力信号を、画像処理手段を含む制御手段を介して撮像する表示手段と、比較係数としての車両停止位置情報及び形状情報を有する記憶手段と、前記ヘッドライトテスターに設けられかつ検査車両のライトの高さ位置を検出するために前記昇降体の受光部の高さを電気的に検出する高さ検出手段を備え、車両正対時、前記制御手段は、前記高さ検出手段が検出した検出情報と前記車両停止位置情報とを比較して前記検査車両の停止位置の形状情報を判定し、当該検査車両に適合する生の車両停止線に相当する仮車両停止線を前記表示手段に描くと共に、前記半導体固定素子カメラから当該検査車両の撮像情報を取得すると、当該検査車両の仮想車両輪郭線を表示手段に出力し、該仮想車両輪郭線は、表示手段の表示画面上、仮想車両輪郭線マッチング手段を介して、該仮想車両輪郭線のライトの映像が前記仮車両停止線に重なるように制御する車両誘導装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項6に於いて、表示手段は、ヘッドライトテスターの受光部の上面に回転可能に軸支されていると共に、前記受光部の上面には、前記表示手段の筐体の背面部分を受け入れる支持凹所を有する表示手段用支持体が固定されていることを特徴とする車両誘導装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−53866(P2013−53866A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190572(P2011−190572)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390012885)三栄工業株式会社 (16)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390012885)三栄工業株式会社 (16)
[ Back to top ]