車両重量測定装置
【課題】 走行車両の通過速度が速い場合でも走行車両の重量を正確に測定する車両重量測定装置を提供することである。
【解決手段】 一対の第1のロードセル部5a,5bと、一対の第2のロードセル部6a,6bと、演算部9と、表示部10と、格納部12とを有する車両重量測定装置であって、演算部9は、一対の第2のロードセル部6a,6bからの電気信号を受信して車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部12に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部5a,5bで検出された荷重の増加勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【解決手段】 一対の第1のロードセル部5a,5bと、一対の第2のロードセル部6a,6bと、演算部9と、表示部10と、格納部12とを有する車両重量測定装置であって、演算部9は、一対の第2のロードセル部6a,6bからの電気信号を受信して車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部12に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部5a,5bで検出された荷重の増加勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の重量を測定する車両重量測定装置に関し、特に、走行車両の重量を測定可能な車両重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の重量を測定する場合には、走行中の車両は重量計上で一旦停止して静止状態で重量を測定する方法が広く用いられている。一方で、作業効率の向上や交通渋滞の緩和の観点から、最近では、車両が走行した状態で重量を測定する方法が注目されている。しかしながら、走行中の車両の重量測定は、静止状態の重量測定に比べて精度が劣り、測定値の信頼性が低いという課題を抱えていた。そこで、このような不具合を解消するためにいくつかの開発がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「走行中の車両の重量を測定して特性を識別する装置」という名称で、光ファイバセンサとスイッチング機構を用いて、走行中の車両の重量、車軸の数、車軸上の重量分布、ホイールベース、車軸幅、各車軸上のタイヤの数、各車軸のタイヤ上の重量分布、車両の速度及びタイヤの踏み跡等の特性を求める装置に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、上方及び下方表面を有して車道上に載置される長い基部装置と、この基部装置の上方表面にその長手方向に相互に隔置されて形成される複数の平行な細長いみぞ手段と、これら複数のみぞ手段に支持され、みぞ手段の長さに沿って延びる細長い光ファイバ感知装置と、光を透過させる光ファイバ感知装置の各々の一端部に設置される光源装置と、透過光を受光し光ファイバ感知装置の各々の他の端部に設置される受光装置と、光ファイバ感知装置の各々と接触し走行中の車両の重量を受けたときにそこを通って送られる光の強度を変える接触グリッド装置とを有するものである。また、走行中の車両の各車軸上のタイヤと接触して、車両の速度、車両の車軸の数、タイヤ位置及び車両のホイールベースを示す信号を供給可能な複数の信号供給オン・オフ・スイッチ装置が、光ファイバ感知装置と同一面で略平行位置に設置されている。
【0004】
そして、車道において光ファイバ装置を備える基部装置上を車両が通過すると、光ファイバ装置において光源装置から発して受光装置において受光される光が車両の重みによって減衰し、この光の減衰量を計算することによって走行車両の各車軸の重量を求めることができ、それぞれの車軸の合成重量が車両の全重量となる。また、接触グリッド装置は、複数の光ファイバ装置に特定の重量範囲に対する所望の感度を選択的に与えるためのものであり、グリッド構造を変えることにより、各光ファイバ装置において光ファイバに加わる荷重に対する光ファイバを通過する伝達損失を、拡大された重量範囲内で車両の重量を正確に測定するために必要とされる動的重量範囲に敏感になるように調整することができる。そして、信号供給オン・オフ・スイッチ装置は、車両の速度、車両の車軸の数、タイヤ位置及び車両のホイールベースを認識可能にするが、特に、得られる車両の速度は、車両の動的重量に影響を及ぼし、車両重量を減少させる走行車両に生じる揚力を補償するために使用され、より正確な車両重量の測定を可能としている。
【0005】
また、特許文献2には、「走行中車両の静止重量計測方法およびその装置」という名称で、走行する車両の変動する秤量値の時系列データについて信頼性が高い演算処理を行って静止重量値を算出する走行中車両の静止重量計測方法とその装置に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明において、車両の動的重量測定装置は、走行時の車両の重量を秤量する秤量手段と、この秤量手段によって得られた秤量値データを時系列秤量値データとして順次取り込む入力手段と、時系列秤量値データから最大値を求めてこの最大値に対して所定の範囲内にあるデータ群から周期性を算出する周期性評価手段と、所定の範囲内にある範囲内データ群から周期性に基づいて有効データ区間を設定する有効データ区間設定手段と、この有効データ区間における範囲内データ群から車両の静止重量値を演算する演算手段と、静止重量値を出力する出力手段とから構成されている。
そして、車両全体が載置可能な秤量台を備える秤量手段において、秤量台上を車両が走行すると、秤量手段が備えるロードセルによって秤量値の時系列データが得られ、この時系列データは、車両の前輪、前輪と後輪、後輪がそれぞれ秤量台に載った際の秤量値が別個の3個のピークとして表される。車両の全重量は、前輪と後輪が含まれるピークを分析するか、或いは、前輪のみ又は後輪のみを含むピークをそれぞれ分析して合算して得られるが、これらのピークの分析にあたって、最大値及び周期性の算出や有効データ区間の設定を行っているので、従来技術に比べて精度の高い計測方法及びその装置を提供することを可能にしている。
【0006】
そして、特許文献3には、「重心位置検出機能を有する積載重量計」という名称で、軸重量方式により貨物自動車の重量を測定するとともに積荷の片寄りを検出可能な重心位置検出機能を有する積載重量計に関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、車両の前輪及び後輪におけるそれぞれの一軸重量を路面と同じ高さで順次測定する軸重計と、車両の前輪及び後輪のいずれか一方の一軸重量と、前輪及び後輪の一軸重量を加算して求めた全重量と、前輪と後輪との間の車軸間距離とを用い手車両の前後方向の重心位置を求める前後重心位置決定手段とを有するものである。
そして、左右対で構成される軸重計上に前輪又は後輪の車輪を静止状態にして載せると、順次、前輪又は後輪についての一軸重量が得られ、得られた前輪と後輪の各一軸重量を加算すると車両の全重量になる。ここで、前輪と後輪との間の車軸間距離をL、前輪の一軸重量をWf 、後輪の一軸重量をWb 、前輪から重心の位置までの距離をLx とすると、前後方向の重心位置は、Lx =L×(Wb /(Wb +Wf ))によって求めることができる。さらに、重心位置ズレ算出手段によって、重心位置Lx と測定対象の車両の理想荷重下での重心位置Ls との比較によって重心の位置ズレを求めることもできる。さらに、左右の車輪はそれぞれ独立した重量測定が可能で、前後の右側のみの車輪の重量の合計重量を求めて、前輪及び後輪の一軸重量や予め格納手段に格納されている各種車両の車輪の横方向の幅に関する情報に基づいて左右方向の重心位置を求めることもできる。
【特許文献1】特許第2639749号公報
【特許文献2】特許第2710785号公報
【特許文献3】特許第3164899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、走行車両の重量を光ファイバを利用して測定しているが、光ファイバの光の減衰と車両重量の関係については具体的に明示されておらず、測定される車両重量の信頼性が低いという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明においては、走行車両の速度に関しては言及されておらず、ロードセルを用いて走行車両の重量を測定するにあたって、走行車両の時間に対する重量変化は安定して得られることを前提にしているが、特に、車両の速度が速い場合のロードセルから得られる情報は信頼性が低くなると考えられるので、車両速度に関する補正が必要であるという課題があった。
【0009】
そして、特許文献3に開示された発明では、基本的に静止した車両の重量測定を対象としており、走行中の車両は一旦停止してから測定を行う必要があり、走行車両の重量測定は不可能であり、また、静止車両の重量測定では作業効率が低下したり交通渋滞を招いたりするという課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、走行車両の通過速度が速い場合でも走行車両の重量を正確に測定する車両重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である車両重量測定装置は、車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第1のロードセル部と、
一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に第1のロードセル部の前後に離間して設置され、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第2のロードセル部と、
第1のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
演算部は、一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【0012】
このような構成の車両重量測定装置によれば、走行車両の左右一対の車輪がそれぞれ一対の載荷台に載荷されるように通過すると、一対の載荷台に設けられる一対の第1のロードセル部は、一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、第1のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出し、表示部は、演算部で算出される荷重を表示するように作用する。
また、格納部では、第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な検出所要時間と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の演算用荷重に関するデータを格納している。
そして、一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に第1のロードセル部の前後に離間して設置される一対の第2のロードセル部は、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して得られる二の電気信号の時間差から車両の車輪の通過時間を算出する。
さらに、演算部は、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配として第1の勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配としての第2の勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するように作用する。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対のロードセル部と、
少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
演算部は、ロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【0014】
このような構成の車両重量測定装置においては、走行車両が一対の載荷台上を通過すると、一対のロードセル部は、一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、ロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出し、表示部は、演算部で算出される荷重を表示するように作用する。
また、格納部では、ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な検出所要時間と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の演算用荷重に関するデータを格納している。
そして、演算部は、ロードセル部によって時系列で取得される電気信号から車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配として第1の勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配としての第2の勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するように作用する。
【0015】
そして、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出するものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、そして、車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して車両の全重量を算出するように作用する。
なお、本願において、一軸重量とは、一の車軸にかかる車両の重量を意味し、車軸そのものとは区別するものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が基準値よりも大きい場合は警報信号を生成し、表示部は、警報信号を受信して警報を発生する警報手段を備えるものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が基準値よりも大きい場合は警報信号を生成するように作用し、また、表示部の警報手段は、警報信号を受信して警報を発生するように作用する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の車両重量測定装置において、車両のナンバープレートを撮像して、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置と、予め車両重量測定の対象となる車両の全重量許容値及び当該車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を対応させて格納する第2の格納部とを備え、
演算部はプレート番号読み取り装置で読み取った車両プレート番号をキーとして、第2の格納部を検索して全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成するものとして備えられ、
さらに、警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、プレート番号読み取り装置が、測定対象である車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を認識可能に作用し、また、この車両プレート番号に対応させて全重量許容値を格納しておくことで、演算部では、車両プレート番号を介して測定された全重量が許容値を超えていないかどうかの判断可能に作用する。
車両毎に設置されているナンバープレートの車両プレート番号に着目し、この車両プレート番号を介して、それぞれの車両の全重量許容値を管理可能に作用するものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の車両重量測定装置において、全重量許容値に代えて車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号に対応させて格納し、演算部は測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いた載荷重量値と載荷重量許容値とを比較して、載荷重量値が載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とするものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、全重量許容値に代えて風袋重量値と載荷重量許容値を格納しておき、測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いて載荷重量値を算出し、これと載荷重量許容値を比較して警報信号を生成するように作用するものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1に記載の車両重量測定装置において、予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
演算部は、車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と一対の第2のロードセル部間距離から車両の速度を算出し、
一対の第1のロードセル部又は一対の第2のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と車両の速度から、車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部を検索して、車両の全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、測定対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離とこの車両の全重量許容値を対応させて第3の格納部に格納しておき、車両の速度を一対の第2のロードセル部で測定される車輪の通過時間から算出し、さらに、第1のロードセル部あるいは第2のロードセル部において検出される荷重の電気信号を受信して、第1の車軸と第2の車軸の通過時間を測定して、先の車両速度から第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出するように作用する。そこで、算出された第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部に格納された全重量許容値を検索して抽出し、その全重量許容値と測定された全重量を比較して、許容値を超えた際に警報信号を生成して警報を発生させるという作用を有する。
第1の車軸と第2の車軸は、車両において特に限定するものではないが、2軸のみを備える車両であれば、当然に前方の車軸が第1の車軸、後方の車軸が第2の車軸に該当する。また、3車軸以上備えた車両では、前方に備えられる車軸のうち一の車軸を第1の車軸、後方に備えられる車軸のうち一の車軸を第2の車軸として選択することが望ましい。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項2に記載の車両重量測定装置において、予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
演算部は、車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間とロードセル部の車両の進行方向における長さから車両の速度を算出し、
一対のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と車両の速度から、車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部を検索して、車両の全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、請求項7に記載される発明が2対のロードセル部を用いて、車両の速度及び第1の車軸と第2の車軸の通過時間を測定・算出したのに対し、一対のロードセル部でそれぞれ測定・算出するように作用するものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の車両重量測定装置において、全重量許容値に代えて車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を車両の第1の車軸と第2の車軸間距離に対応させて格納し、演算部は測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いた載荷重量値と載荷重量許容値とを比較して、載荷重量値が載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においても、請求項7又は請求項8に記載の発明と同様に作用する。
【0022】
最後に、請求項10記載の発明は、請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出する過程及び前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を求める過程の開始から終了までの時間、あるいはこれらの過程の開始から終了までの時間に予め定めた時間を加えた時間において待ち信号を生成し、待ち信号を受信して待ち状態を示すための光を発生する発光手段を備えるものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、一軸荷重あるいは複数の一軸荷重を加算する演算を行う際には、待ち状態を示す発光手段が、次の車両の車両重量測定装置に対する進入を防止するように作用する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の車両重量測定装置においては、車両は載荷台を速い速度で通過して第1のロードセル部によって測定される荷重が本来測定されるべき真の荷重に満たない場合でも、第1のロードセルで測定される荷重検出特性の増加勾配である第1の勾配と、予め測定されて格納される既知の荷重の荷重検出特性の増加勾配である第2の勾配が一致することを利用して、第1の勾配に一致する第2の勾配に係る荷重を算出することにより、正確な重量の測定を可能にしている。
【0024】
また、本発明の請求項2に記載の車両重量測定装置においては、演算部は、一対のロードセル部によって検出される電気信号の時間変化から通過時間を算出するので、請求項1に記載の車両重量測定装置のように一対の第2のロードセル部を設置する必要がなく、装置の軽量化や小型化が可能となる。
【0025】
そして、本発明の請求項3に記載の車両重量測定装置においては、車両の左右一対の車輪の一軸重量を順次算出して加算して全重量を求めるので、複数の車軸を備える大型の車両においても正確に重量を測定することができる。
【0026】
本発明の請求項4に記載の車両重量測定装置においては、車両の左右一対の車輪からかかる荷重の差と基準値を比較して測定の正確さを判断し、この差が基準値よりも大きい場合は警報が発生するので、測定者に再測定を促すことができる。
【0027】
本発明の請求項5乃至請求項9に記載の車両重量測定装置においては、請求項3又は請求項4に記載の発明の効果に加えて、測定・算出された全重量と全重量許容値を比較して、許容値を超えていないかどうかの評価を行うことができる。
特に、請求項5及び請求項6に記載の車両重量測定装置では、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置を備えることで、個々の車両毎にこの車両プレート番号と全重量許容値、あるいはこれに風袋重量を加えたものを対応させ、車両プレート番号を介して、車両重量測定を管理することができる。測定対象として追加の車両が発生した場合でも車両プレート番号とその車両に対する全重量許容値、あるいはこれに風袋重量を加えたものを対応させて第2の格納部に格納することで、容易に車両重量の測定が可能である。
特に、請求項7乃至請求項9に記載の車両重量測定装置では、プレート番号読み取り装置を不要として、経済的な効果を発揮することができる。
【0028】
本発明の請求項10に記載の車両重量測定装置においては、被測定対象の一の車両の測定が終了しない段階での次の車両の車両重量測定装置への進入を抑制することが可能である。従って、全体として精度の高い車両重量測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る車両重量測定装置を図1乃至図8を参照しながら説明する。
図1は、本発明の本実施の形態に係る車両重量測定装置の構成図である。
図1において、車両重量測定装置1は、進行方向Aの車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台2a,2bを備え、この一対の載荷台2a,2bには左右一対の車輪から一対の載荷台2a,2bにかかる荷重をそれぞれ電気信号として検出する一対の第1のロードセル5a,5bが設置されている。また、載荷台2aには、進行方向Aにおいて第1のロードセル5aの前後位置に離間して一対の第2のロードセル6a,6bが配置されており、この一対の第2のロードセル6a,6bは載荷台2aを通過する車両のいずれか一方の車輪から、第1のロードセル5aの前後位置における荷重を電気信号として検出する。なお、一対の載荷台2a,2bの前後には、符号3a,3b及び符号4a,4bで示されるスローププレートが設置されており、車両の左右一対の車輪が円滑に一対の載荷台2a,2bに乗降できるようになっている。
【0030】
そして、一対の第1のロードセル5a,5b及び一対の第2のロードセル6a,6bは、それぞれアンプ7に接続され、続いて、A/D変換器8、演算部9の順に接続されている。アンプ7は、一対の第1のロードセル5a,5b及び一対の第2のロードセル6a,6bにおいて検出された電気信号を増幅するものであり、そして、増幅されたこれらの電気信号はA/D変換器8に送信される。A/D変換器8では、アナログの電気信号をデジタル信号に変換して演算部9に送信する。演算部9では、詳細については後述するが、演算回路を用いて各種演算を行い、その演算結果データを接続される表示部10やメモリ12に送信し、表示部10では演算結果データを表示し、メモリ12では演算結果データや測定データを読み出し可能に格納する。また、表示部10は警報手段11を備えており、演算部9において警報信号が生成された場合は、視覚的又は聴覚的に認識可能な警報を表示あるいは出力することができる。さらに、本実施の形態に係る車両重量測定装置1は、プリンター21を備えており、演算部9によって処理されて得られた演算結果データを受信して印字することができたり、グラフなどを描画することができる。プリンター21の出力部、すなわち、印刷された用紙が排出される部分には特に防塵対策として、カバーなどを設けるとよい。また、このプリンター21をはじめ車両重量測定装置1の電源は、通常のAC100V電源を用いることもできるし、車両に搭載された例えばDC12V電源を利用することもできる。
なお、車両の進行方向に対して、一対の第1のロードセル5a,5bは予め所望の幅を備えるようにして、一対の第1のロードセル5a,5bからの電気信号から演算部9が車両の通過時間を算出可能にすれば、一対の第2のロードセル6a,6bを設置しなくてもよい。
また、一対の第2のロードセル6a,6bはなるべく一対の第1のロードセル5a,5b隣接するように設けることが望ましい。これは、後述するように、一対の第1のロードセル5a,5bの幅を通過する時間を一対の第2のロードセル6a,6bから得て、その速度を演算するためである。なお、図1では、第1のロードセル5aからアンプ7に接続される信号線と第2のロードセル6bからアンプ7に接続される信号線が交わるように見えるが、別系統の信号線として構成されるものである。
【0031】
さらに、車両重量測定装置1は、メモリ12の他にデータベース23を備えており、予め被測定対象である車両の全重量許容値データ24、載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26、すなわち、荷を降ろした状態における重量データが格納されている。これらのデータは、それぞれ車両のナンバープレートに掲示される内容を車両プレート番号データ27及び車軸間距離データ28と対に格納されている。なお、車両プレート番号データ27は、4桁の数字以外に登録地名とその横に表示される車種を表す小さな数字の部分やひらがな部分も含む概念である。
本実施の形態では、全重量許容値データ24、載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26を格納しているが、全重量許容値データ24のみ、あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26の組合せのみを格納してもよい。また、車両プレート番号データ27及び車軸間距離データ28も同様で、車両プレート番号データ27のみを先の全重量許容値データ24あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26と対にして格納してもよいし、車両プレート番号データ27に代えて車軸間距離データ28のみを先の全重量許容値データ24あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26と対にして格納してもよい。
符号29は、撮像装置を示しており、この撮像装置29によって被測定車両のナンバープレートに表示される車両プレート番号を読み取り、その画像信号を演算部9へ送信するものである。
ランプ22は、演算部9において被測定車両の重量を算出している過程において点灯し、次の被測定車両が、車両重量測定装置1に進入してこないように抑制するものである。例えば、重量算出時には、赤ランプを点灯させ、その重量の算出が終了し、次の被測定車両の進入を許可する場合には、青ランプを点灯させるように、異なる色のランプを点灯させるようにしてもよい。
撮像装置29からの画像信号や、データベース23に格納されるデータは、被測定車両の識別や測定された全重量が許容値内になっているか否かの評価に用いられるが、その使用法については後述する。
【0032】
次に、車両重量測定装置の測定方法について図2乃至図8を参照しながら説明する。
まず、最初に、メモリ12に格納されるデータについて図2を参照しながら説明する。メモリ12には、所望の荷重範囲において複数の既知の荷重を第1のロードセル5a,5bによって測定し、得られる荷重検出特性から演算部9によって算出される種々の特性値が予め格納されている。
図2は、本実施の形態に係る車両重量測定装置の第1のロードセル5a,5bによって検出される既知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
図2において、荷重検出特性13,14,15は、いずれも測定を開始して短時間の間に荷重Wは急激に増大し、その後はそれぞれ一定の荷重値Wa1,Wa2,Wa3を示している。演算部9では、荷重が一定の値を示し始めるときの時間を測定し、この時間を検出所要時間taと定義する。検出所要時間taは、ta1<ta2<ta3となり、荷重が大きいほど短くなる傾向を示している。そして、後述する未知の測定対象の真の荷重を算出するために用いる、それぞれの荷重検出特性の荷重の増加勾配(以下、既知の荷重の荷重検出特性における荷重の増加勾配を第2の勾配という。)を求めるために荷重演算時間tkを決定し、荷重演算時間tkのときの荷重を演算用荷重Wkとして読み取る。
なお、本実施の形態においては、荷重Wが大きい方が、検出所要時間が短くなっているが、ロードセルの特性によっては必ずしもこのようにならない場合も考えられる。
【0033】
この荷重演算時間tkは固定値であり、予め設定される荷重範囲内で測定される検出所要時間taの最小値よりも短い時間に設定する必要がある。
この理由について、図2を参照しながら説明する。もし、荷重演算時間tkを検出所要時間taの最小値よりも長い時間に設定する場合を考える。例えば、図2中において、荷重演算時間tkをta1とta2の間に設定する。このような場合では、荷重検出特性14では、演算用荷重Wkが、荷重の増大する途中に存在するので第2の勾配は正確に算出できる。一方、荷重検出特性13では、演算用荷重Wkが既に荷重Wa1に一致して一定値を取っているため、真の第2の勾配よりも緩やかな勾配となってしまい、真の第2の勾配を算出することができないのである。
メモリ12では、このような特性値をまとめて表1に示されるようなデータテーブル状のデータ構造を備えて読み出し可能に格納している。
【0034】
【表1】
【0035】
表1において、Waは荷重値(トン)、taは検出所要時間(秒)、tkは荷重演算時間(秒)、Wkは演算用荷重(トン)、Wk/tkは第2の勾配(トン/秒)を表している。
本実施の形態では、測定可能な荷重範囲を1トンから10トンとし、この荷重範囲内で、検出所要時間taを測定し、検出所要時間taの最小値(0.5秒)よりも短い時間0.4秒を荷重演算時間tkと決めて、荷重演算時間tkのときの演算用荷重Wkをそれぞれ測定し、さらに第2の勾配Wk/tkを算出している。なお、第2の勾配Wk/tkは、必ずしも算出して格納する必要はなく、演算部において、予め格納された荷重演算時間tkと演算用荷重Wkを随時読み出して演算するようにしてもよい。
【0036】
次に、第2のロードセル6a,6bによって検出される荷重について図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る車両重量測定装置の一対の第2のロードセル6a,6bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図3において、荷重検出特性16は、時間t1と時間t2において二つのピークを示している。前述したように、一対の第2のロードセル6a,6bは、いずれか一方の第1のロードセル5aの車両の進行方向の前後位置に離間して配置されており、早い時間t1に現れる第1のピークは、車両の進行方向に対して第1のロードセル5aの前位置に配置される側の第2のロードセル6aが検出する荷重であり、遅い時間t2に現れる第2のピークは、車両の進行方向に対して第1のロードセル5aの後位置に配置される側の第2のロードセル6bが検出する荷重である。したがって、演算部においてこれらのピークの時間t1と時間t2を測定して、これらの時間差Δ|t1−t2|を算出すると、この時間差Δ|t1−t2|は車両が第1のロードセル5aを通過する通過時間に略同値を示すものであり、通過時間として扱うことができる。このように一対の第2のロードセル6a,6bを用いると、車両の車輪の通過時間を簡単に算出することができる。なお、時間差Δ|t1−t2|と通過時間をできるだけ一致させるためには、一対の第2のロードセル6a,6bは第1のロードセル5aにできるだけ近接して設置することが望ましい。
【0037】
次に、未知の荷重の測定対象の測定結果について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において測定車両の通過時間が遅い場合に第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図4において、荷重検出特性17では、荷重Wは測定開始直後に増大した後、検出所要時間taxからtxの間は一定の荷重値Wxを示し、そして、時間txを過ぎた後に急激に低下している。ここで、測定車両は、横軸において時間tが0のときからtxまでの間に第1のロードセル5a,5bを通過しており、時間txは通過時間となる。荷重検出特性17は、前述の図2に示した荷重検出特性のように、一定の荷重値Wxを示しているので、演算部9は、時間taxからtxの間の任意の時間における荷重値Wxを読み取れば真の荷重を得ることができる。演算部9において、荷重検出特性が変化する箇所、すなわち、特性の変曲点を認識可能にすれば、図4において検出所要時間tax及び通過時間txを決定することができるので、検出所要時間tax又は通過時間txのときの荷重Wxを読み取ることが可能となる。この場合、前述の一対の第2のロードセル6a,6bを用いた通過時間の算出は不要であるので、一対の第2のロードセル6a,6bは設置しなくてもよい。
【0038】
一方、一対の第2のロードセル6a,6bを用いて通過時間txを算出すると、演算部9での演算処理がより簡単なものとなる。この場合、図4の横軸上に示されるtamaxを用いる。tamaxは、先に説明した表1に示され、メモリに格納されている検出所要時間taの最大値である。表1では、tamax=2.0秒となる。演算部9では、まず、一対の第2のロードセル6a,6bで測定された通過時間txと検出所要時間tamaxを比較する。通過時間txが検出所要時間tamaxよりも長くなっている場合は、測定が予め設定される車両重量測定装置1の測定荷重範囲においては、真の荷重を検出するために必要な時間を備えた測定結果であることを意味しているので、演算部9は、通過時間txのときの荷重を読み取るだけで簡単に真の荷重を得ることができる。したがって、演算部は、上述のように荷重検出特性17の変曲点を認識する演算処理を省略することができる。
但し、これは通過時間txが十分長く、すなわち、tamaxよりも通過時間txが長い場合に成立するものであり、以下のとおり、通過時間txがtamaxよりも短い場合を考慮する必要がある。
【0039】
次に、図5は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において測定車両の通過時間が速い場合に第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図5において、荷重検出特性18では、荷重Wは測定開始後にWxで最大となりその後直ちに低下している。また、荷重検出特性18では、測定車両は、横軸において時間tが0のときからtxまでの間に第1のロードセル5a,5bを通過しており、通過時間はtxとなる。なお、この通過時間txは、演算部において荷重検出特性18から読み取るようにしてもよいし、前述の一対の第2のロードセル6a,6bによって測定してもよい。
一方、破線で示す荷重検出特性19は、メモリに格納され、予め測定される既知の荷重が荷重検出特性18の場合における真の荷重に対応するものであり、検出所要時間ta以降は一定の荷重、すなわち真の荷重Waを示している。これらの二つの荷重検出特性を比較すると、荷重検出特性18では、通過時間txは検出所要時間taに達せず、また、最大荷重Wxも真の荷重Waを示していないことがわかる。すなわち、通過時間txが検出所要時間tamaxよりも短い場合は、通過時間txのときの荷重Wxを読み取っても真の荷重Waを得ることができない。
しかし、荷重検出特性18と荷重検出特性19を比較すると、いずれの荷重検出特性においても測定開始初期の荷重の増加勾配が等しくなっていることがわかる。したがって、演算部9では、荷重演算時間tkにおける荷重検出特性18の荷重Wxkの増加勾配(以下、測定対象の荷重の荷重演算時間tkに対する増加勾配を第1の勾配とする。)を算出し、得られる第1の勾配と略一致する第2の勾配を有する荷重検出特性19の情報をメモリ12から抽出すれば、真の荷重Wを決定することができる。すなわち、第1の勾配が決まれば真の荷重Wは決まるので、真の荷重Wは次式で表される。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、第1の勾配の算出には、先に説明した荷重演算時間tkと、荷重演算時間tkのときの荷重検出特性18における荷重Wxkを用いる。
また、前述の表1に示すように、既知の荷重Waにおいて荷重演算時間tkに対する演算用荷重Wkは測定されており、Wa=f(Wk/tk)として表現可能であるため、式(1)は経験式として求めることが可能である。例えば最小二乗法などで、1次関数或いは2次関数など、適宜決定可能であるが、1次関数、2次関数或いはそれ以外の関数形にするかは特に限定するものではない。
【0042】
続いて、演算部における処理方法について図6乃至図8を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両重量の演算方法を説明するためのフローチャートである。
図6において、演算部では、まず、ステップS1において、車両の通過時間txを測定、算出する。この通過時間txは、前述したように、一対の第2のロードセル6a,6bによって検出される二つの荷重ピークの時間差を測定し、これを演算部で処理することによって得られる。演算部9では、アンプ7及びA/D変換器8により適宜処理された一対の第2のロードセル6a,6bからの電気信号を受信してその荷重検出特性から二つのピークを検出して通過時間txを算出し、データとしてメモリ12に格納する。
又は、第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性からの変曲点を測定し、これをA/D変換器8によりデジタル変換した上で、演算部9で解析して読み取り、その時間を通過時間txとしてもよい。
【0043】
次に、ステップS2において、演算部9は、通過時間txと検出所要時間taの最大値tamaxを比較する。このステップS2では、演算部9は、メモリ12に格納されている検出所要時間taの中で最大値tamax及び通過時間txを読み出し、通過時間txと比較する。
【0044】
通過時間txが検出所要時間の最大値tamax以上の場合は、ステップS3に進む。このステップS3では、演算部9は、真の荷重Wとして、これを式(2)により算出し、メモリ12に格納して荷重Wの演算処理を終了する。
【0045】
【数2】
【0046】
一方、通過時間txが検出所要時間の最大値tamaxよりも小さい場合は、ステップS4に進む。このステップS4では、先に説明したように、演算部9は、荷重演算時間tkのときの荷重Wxkを読み取って、真の荷重Wを先の式(1)により算出し、メモリ12に格納して荷重Wの演算処理を終了する。
【0047】
なお、得られる荷重Wは一対の第1のロードセル5a,5bのいずれか一方の第1のロードセルの測定結果に基づいて算出されるものであり、いずれか他方の第1のロードセルについてもステップS1からステップS4までの同様の演算処理が行われるものである。但し、一対の第1のロードセル5a,5bを通過する通過時間txはいずれの第1のロードセルにおいても等しいので、いずれか他方の第1のロードセル5a,5bについての演算処理においては、ステップS1における通過時間txの算出は省略して、いずれか一方の第1のロードセル5a,5bについて算出された通過時間txをメモリ12に格納しておき、この格納された通過時間txを読み出すようにするとよい。
【0048】
次に、図7は、本実施の形態に係る車両重量測定装置における車両重量を演算する工程を示す工程図である。
車両重量測定装置1では、設置される一対の第1のロードセル5a,5bに左右の車輪がそれぞれ載荷されて右の車輪からかかる荷重Wrと左の車輪からかかる荷重Wlをそれぞれ求めている。また、通常、車両は少なくとも前後に2対の車軸を有しており、車両重量測定装置1では、前輪からかかる荷重が測定されて、続いて後輪からかかる荷重が測定される。
したがって、図7において、ステップS1では、まず、前輪一軸重量を算出する。演算部9では、メモリ12に格納されている左右の前輪からかかる荷重WrとWlを読み出して、これらを加算して、左右一対の前輪からかかる荷重の合計を算出する。この合計値は、前輪一軸重量となる。
次に、ステップS2では、後輪一軸重量を算出する。ステップS1の場合と同様に、演算部9では、メモリ12に格納されている左右の後輪からかかる荷重WrとWlを読み出して、これらを加算して、左右一対の後輪からかかる荷重の合計を算出する。この合計値は、後輪一軸重量となる。
そして、最後に、ステップS3において、全重量を算出する。このステップS3では、ステップS1及びステップS2において算出された前輪一軸重量と後輪一軸重量を加算して全重量を算出する。
なお、車両が2対以上の車軸を有する場合は、各車軸についての一軸重量を算出し、算出される全ての一軸重量を加算して全重量とする。
本実施の形態においては、左右の車輪の荷重Wr,Wlをそれぞれ測定して加算することで一軸重量を演算したが、いずれか一方のみの荷重を測定、算出し、これを2倍するような簡略化を実施してもよいことは言うまでもないが、精度を向上させるためには別個独立に演算することが望ましい。
【0049】
このように算出される全重量であるが、この全重量が算出される過程においては、演算部9が作動しており、短時間にその作動が終了すればよいが、被測定車両が車両重量測定装置1を通過してしばらくしても演算部9が作動しているような場合には、車両重量測定装置1への次の被測定車両の進入を防止する必要がある。そこで、少なくとも図7に示されるステップS1の前輪一軸重量の算出工程からステップS3の全重量算出工程まので間は、次の車両の侵入を排除するために、図1に示されるランプ22が点灯あるいは点滅するようにしておくとよい。
また、ステップS3の全重量算出工程が完了した時点、あるいはその時点から予め定めた時間を経過した時点で、ランプ22の点灯が終了あるいは、点灯色が変化するように設定しておいてもよい。その際には、例えば最初に第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれかにおいて荷重を検知した際に、点灯を開始あるいはその点灯色が変化するようにしておけば、進入を抑制するタイミングと促すタイミングを分けることが可能となる。
点灯色としては、例えば最初に第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれかにおいて荷重を検出した際に点灯するのを赤色とし、ステップS3の全重量算出工程が完了した時点あるいはその時点から予め定めた時間を経過した時点で点灯するのを青色と定めておくことで、赤色の際には進入が禁止され、青色の際には進入が許可されるように設定することが可能となる。
【0050】
次に、図1に示される撮像装置29を用いて、算出された全重量が予めデータベース23に格納された全重量許容値データ24内であるか否かの評価、あるいは算出された載荷重量値がデータベース23に格納された載荷重量許容値データ25内であるか否かの評価を行い、許容値を超えている場合に警報を発生させる方法について説明を加える。
説明には、図1の他、図8及び図9を参照する。
図1に示される撮像装置29は、載荷台2a,2bの近傍に備えられ、車両重量測定装置1に進入してくる被測定車両のナンバープレートを捉えて、その車両プレートに表示される車両プレート番号を撮像可能に構成されている。撮像装置29で撮像された車両プレート番号は、演算部9に送信され、画像解析によって、その車両プレート番号は認識される。この工程が、図8に示されるステップS1である。
演算部9において、読み取られた車両プレート番号をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車両プレート番号データ27を検索する。演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える全重量許容値データ24を抽出する(ステップS2)。
また、図7において説明したように全重量を算出し(ステップS3)、その算出された全重量と全重量許容値(全重量許容値データ24)とを比較する(ステップS4)。ステップS2からステップS4までは全て演算部9における動作となる。
全重量が全重量許容値を超えている場合には、演算部9は警報信号を発生し、この警報信号は警報手段11で受信され、警報を発する(ステップS5)。
なお、本図においては、ステップS1とステップS2の後に全重量を算出するステップS3が設けられているが、これらの順序を逆にしてステップS3の後に、ステップS1及びステップS2を実行しても何ら差し支えない。
【0051】
次に、図9を参照しながら、全重量が許容値を超えているか否かではなく、載荷重量値が許容値を超えているかを評価する場合を説明する。
図8とステップS1までは同様であるが、ステップS2以降が異なる。図9では、読み取られた車両プレート番号をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車両プレート番号データ27を検索する。演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える風袋重量値データ26を抽出する(ステップS2)。
次に、同様にして、演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える載荷重量許容値データ25を抽出する(ステップS3)。
その後、図7を用いて説明したとおり全重量を算出し(ステップS4)、その算出された全重量から先に抽出された風袋重量値(風袋重量値データ26)を減算して、載荷重量値を算出し(ステップS5)、その算出された載荷重量値と載荷重量許容値(載荷重量許容値データ25)と比較する(ステップS6)。ステップS2からステップS6までは全て演算部9における動作となる。
載荷重量値が載荷重量許容値を超えている場合には、演算部9は警報信号を発生し、この警報信号は警報手段11で受信され、警報を発する(ステップS7)。
なお、本図においては、ステップS1乃至ステップS3の後に全重量を算出するステップS4が設けられているが、これらの順序を逆にしてステップS4の後に、ステップS1乃至ステップS3を実行しても何ら差し支えない。但し、載荷重量値は全重量の算出及び風袋重量値の抽出の後でなければ算出できないので、少なくともステップS5はステップS2及びステップS4の後工程とする必要があることは言うまでもない。
【0052】
次に、図10及び図11を参照しながら、撮像装置29を設けることなく図8や図9を参照しながら説明したように全重量や載荷重量値を評価して警報を発生させる場合の実施の形態について説明を加える。
図10のステップS6以降が、図8のステップS3以降に相当するのでそれ以降の説明は省略する。
図10において、第2のロードセル6a,6bで検知されたそれぞれの荷重のピークの時間(時点)を演算部9で測定して、その時間差を算出し(ステップS1)、第2のロードセル6a,6b間の距離あるいは第1のロードセル5aの幅とほぼ等しい場合には、その幅を用いてもよいが、被測定対象の車両の走行速度を算出する(ステップS2)。
本実施の形態においては、第2のロードセル6a,6bを用いてステップS1に記載される時間差を算出しているが、第1のロードセル5a,5bの幅が十分あり、第1のロードセル5a,5bの端から端までの時間差を算出可能であれば、その時間差を用いてもよい。
ステップS3では、被測定対象の車両の車軸、特に、前輪の車軸と後輪の車軸を選択して、その車軸間の通過時間の算出を行うことが望ましい。車両の車軸数は、前輪1、後輪1あるいは2の場合が多いが、それ以外の場合でもよく、但し、通過時間をある程度の精度を維持して算出することを考えるならば、前輪における車軸と後輪における車軸を選択して、その車軸間の通過時間の算出を行うことが望ましいのである。
車軸間の通過時間の算出は、第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれか1つのロードセルにおいて、該当する前側の車軸の車輪が通過する際に検出される荷重のピークの時間(時点)と該当する後側の車軸の車輪が通過する際に検出される荷重のピークの時間(時点)との時間差を用いる。
ステップS2で、既に車両速度を算出しているため、この車両速度とステップS3で算出された車軸間通過時間を用いて、車軸間距離を算出する(ステップS4)。
この算出された車軸間距離をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車軸間距離データ28を検索する。演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える全重量許容値データ24を抽出する(ステップS5)。
それ以降は、既に図8を参照して説明した実施の形態と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS1からステップS7まで、演算部9が実行する動作となる。
【0053】
次に、図11を参照して、全重量が許容値を超えているか否かではなく、載荷重量値が許容値を超えているかを評価する場合を説明する。図11のステップS7以降が図9のステップS4以降に相当するのでそれ以降の説明は省略する。
また、図11におけるステップS1からステップS4までは図10を参照して説明した実施の形態と同様であるので説明を省略する。
ステップS5では、算出された車軸間距離をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車軸間距離データ28を検索する。演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える風袋重量値データ26を抽出する。
次に、同様にして、演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える載荷重量許容値データ25を抽出する(ステップS6)。
ステップS7以降は、先に図10を参照して説明した実施の形態と同様となるので説明を省略する。
この図11のステップS1からステップS9まで、演算部9が実行する動作である。
【0054】
以上、図8乃至図11を参照しながら説明した実施の形態においては、予め全重量あるいは載荷重量値に対する許容値をデータベースに格納しておき、車両重量測定装置1を用いて測定した全重量あるいは載荷重量値を用いて、そのまま自動的に評価することができるので、逐一車両の車種などを確認しながら許容値を求めた上で許容値との関係の評価を行う必要がなく、迅速に測定・評価を行うことが可能である。
また、評価のベースとなる許容値を検索する際にも、本実施の形態において測定された荷重を基礎として算出された量や現場で撮像された画像を用いて得られる情報を基礎としているため、一旦データベースに正しいデータを格納しておけば、精度を高くすることが可能であり、誤評価などを避けることが可能である。
【0055】
最後に、図12は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において警報の発生方法を説明するためのフローチャートである。
図12において、ステップS1は左右車輪からかかる荷重Wの差を算出する。このステップS1では、一対の第1のロードセル5a,5bの測定結果に基づいて演算されメモリ12に格納されている、右車輪からかかる荷重Wrと左車輪からかかる荷重Wlを読み出して、これらの差ΔWを算出する。なお、この差ΔWに代わって、例えば、荷重Wrと荷重Wlのうち最大値を示す方の値で差ΔWを割ったものを用いてもよい。
そして、ステップS2において、ΔWを基準値と比較する。基準値は任意に設定可能であり、予め設定した値をメモリ12に格納しておく。演算部9では、メモリ12に格納される基準値を読み出して、ステップS1において算出されたΔWと比較する。
【0056】
そして、ΔWが基準値よりも大きい場合はステップS3へ進む。ステップS3では警報信号が発生する。この場合、演算部9において警報信号を生成して、表示部10に送信される。そして、表示部10において警報信号が受信されると、表示部に警報表示が示される。あるいは、演算部9において生成された警報信号を警報手段11が受信して、警報を発生させるように作動するようにする。ΔWが基準値よりも大きい場合は、いずれかの車輪が正確に第1のロードセル5a,5b上に載荷されていないなど、測定に不備があると考えられ、警報によって測定者は再測定の必要性を認識することができる。なお、警報手段11は特に限定されるものではなく、例えば、ブザーなどの音声を発生させたり、警告表示を表示したり、これら両方を行うようにすることもできる。そして、警報が発生すると演算処理は終了となる。
また、ΔWが基準値よりも小さい場合も演算処理は終了となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、請求項1乃至請求項4に記載された本発明は、簡単な構成で走行状態の車両の重量を正確に測定できる車両重量測定装置を提供可能であり、工事現場や高速道路など計量を必要とする施設において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の本実施の形態に係る車両重量測定装置の構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両重量測定装置の第1のロードセルによって検出される既知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図3】本実施の形態に係る車両重量測定装置の一対の第2のロードセルによって測定される荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図4】本実施の形態に係る車両重量測定装置において通行時間が遅い場合に第1のロードセルによって検出される未知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図5】本実施の形態に係る車両重量測定装置において通行時間が速い場合に第1のロードセルによって検出される未知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図6】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両重量の演算方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る車両重量測定装置における車両重量を演算する工程を示す工程図である。
【図8】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両プレート番号を読み取って全重量許容値をベースに全重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両プレート番号を読み取って載荷重量許容値をベースに載荷重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車軸間距離を算出して全重量許容値をベースに全重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車軸間距離を算出して載荷重量許容値をベースに載荷重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施の形態に係る車両重量測定装置において警報の発生方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…車両重量測定装置 2a,2b…載荷台 3a,3b,4a,4b…スローププレート 5a,5b…第1のロードセル 6a,6b…第2のロードセル 7…アンプ 8…A/D変換器 9…演算部 10…表示部 11…警報手段 12…メモリ 13〜19…荷重検出特性 21…プリンター 22…ランプ 23…データベース 24…全重量許容値データ 25…載荷重量許容値データ 26…風袋重量値データ 27…車両プレート番号データ 28…車軸間距離データ 29…撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の重量を測定する車両重量測定装置に関し、特に、走行車両の重量を測定可能な車両重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の重量を測定する場合には、走行中の車両は重量計上で一旦停止して静止状態で重量を測定する方法が広く用いられている。一方で、作業効率の向上や交通渋滞の緩和の観点から、最近では、車両が走行した状態で重量を測定する方法が注目されている。しかしながら、走行中の車両の重量測定は、静止状態の重量測定に比べて精度が劣り、測定値の信頼性が低いという課題を抱えていた。そこで、このような不具合を解消するためにいくつかの開発がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「走行中の車両の重量を測定して特性を識別する装置」という名称で、光ファイバセンサとスイッチング機構を用いて、走行中の車両の重量、車軸の数、車軸上の重量分布、ホイールベース、車軸幅、各車軸上のタイヤの数、各車軸のタイヤ上の重量分布、車両の速度及びタイヤの踏み跡等の特性を求める装置に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、上方及び下方表面を有して車道上に載置される長い基部装置と、この基部装置の上方表面にその長手方向に相互に隔置されて形成される複数の平行な細長いみぞ手段と、これら複数のみぞ手段に支持され、みぞ手段の長さに沿って延びる細長い光ファイバ感知装置と、光を透過させる光ファイバ感知装置の各々の一端部に設置される光源装置と、透過光を受光し光ファイバ感知装置の各々の他の端部に設置される受光装置と、光ファイバ感知装置の各々と接触し走行中の車両の重量を受けたときにそこを通って送られる光の強度を変える接触グリッド装置とを有するものである。また、走行中の車両の各車軸上のタイヤと接触して、車両の速度、車両の車軸の数、タイヤ位置及び車両のホイールベースを示す信号を供給可能な複数の信号供給オン・オフ・スイッチ装置が、光ファイバ感知装置と同一面で略平行位置に設置されている。
【0004】
そして、車道において光ファイバ装置を備える基部装置上を車両が通過すると、光ファイバ装置において光源装置から発して受光装置において受光される光が車両の重みによって減衰し、この光の減衰量を計算することによって走行車両の各車軸の重量を求めることができ、それぞれの車軸の合成重量が車両の全重量となる。また、接触グリッド装置は、複数の光ファイバ装置に特定の重量範囲に対する所望の感度を選択的に与えるためのものであり、グリッド構造を変えることにより、各光ファイバ装置において光ファイバに加わる荷重に対する光ファイバを通過する伝達損失を、拡大された重量範囲内で車両の重量を正確に測定するために必要とされる動的重量範囲に敏感になるように調整することができる。そして、信号供給オン・オフ・スイッチ装置は、車両の速度、車両の車軸の数、タイヤ位置及び車両のホイールベースを認識可能にするが、特に、得られる車両の速度は、車両の動的重量に影響を及ぼし、車両重量を減少させる走行車両に生じる揚力を補償するために使用され、より正確な車両重量の測定を可能としている。
【0005】
また、特許文献2には、「走行中車両の静止重量計測方法およびその装置」という名称で、走行する車両の変動する秤量値の時系列データについて信頼性が高い演算処理を行って静止重量値を算出する走行中車両の静止重量計測方法とその装置に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明において、車両の動的重量測定装置は、走行時の車両の重量を秤量する秤量手段と、この秤量手段によって得られた秤量値データを時系列秤量値データとして順次取り込む入力手段と、時系列秤量値データから最大値を求めてこの最大値に対して所定の範囲内にあるデータ群から周期性を算出する周期性評価手段と、所定の範囲内にある範囲内データ群から周期性に基づいて有効データ区間を設定する有効データ区間設定手段と、この有効データ区間における範囲内データ群から車両の静止重量値を演算する演算手段と、静止重量値を出力する出力手段とから構成されている。
そして、車両全体が載置可能な秤量台を備える秤量手段において、秤量台上を車両が走行すると、秤量手段が備えるロードセルによって秤量値の時系列データが得られ、この時系列データは、車両の前輪、前輪と後輪、後輪がそれぞれ秤量台に載った際の秤量値が別個の3個のピークとして表される。車両の全重量は、前輪と後輪が含まれるピークを分析するか、或いは、前輪のみ又は後輪のみを含むピークをそれぞれ分析して合算して得られるが、これらのピークの分析にあたって、最大値及び周期性の算出や有効データ区間の設定を行っているので、従来技術に比べて精度の高い計測方法及びその装置を提供することを可能にしている。
【0006】
そして、特許文献3には、「重心位置検出機能を有する積載重量計」という名称で、軸重量方式により貨物自動車の重量を測定するとともに積荷の片寄りを検出可能な重心位置検出機能を有する積載重量計に関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、車両の前輪及び後輪におけるそれぞれの一軸重量を路面と同じ高さで順次測定する軸重計と、車両の前輪及び後輪のいずれか一方の一軸重量と、前輪及び後輪の一軸重量を加算して求めた全重量と、前輪と後輪との間の車軸間距離とを用い手車両の前後方向の重心位置を求める前後重心位置決定手段とを有するものである。
そして、左右対で構成される軸重計上に前輪又は後輪の車輪を静止状態にして載せると、順次、前輪又は後輪についての一軸重量が得られ、得られた前輪と後輪の各一軸重量を加算すると車両の全重量になる。ここで、前輪と後輪との間の車軸間距離をL、前輪の一軸重量をWf 、後輪の一軸重量をWb 、前輪から重心の位置までの距離をLx とすると、前後方向の重心位置は、Lx =L×(Wb /(Wb +Wf ))によって求めることができる。さらに、重心位置ズレ算出手段によって、重心位置Lx と測定対象の車両の理想荷重下での重心位置Ls との比較によって重心の位置ズレを求めることもできる。さらに、左右の車輪はそれぞれ独立した重量測定が可能で、前後の右側のみの車輪の重量の合計重量を求めて、前輪及び後輪の一軸重量や予め格納手段に格納されている各種車両の車輪の横方向の幅に関する情報に基づいて左右方向の重心位置を求めることもできる。
【特許文献1】特許第2639749号公報
【特許文献2】特許第2710785号公報
【特許文献3】特許第3164899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、走行車両の重量を光ファイバを利用して測定しているが、光ファイバの光の減衰と車両重量の関係については具体的に明示されておらず、測定される車両重量の信頼性が低いという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明においては、走行車両の速度に関しては言及されておらず、ロードセルを用いて走行車両の重量を測定するにあたって、走行車両の時間に対する重量変化は安定して得られることを前提にしているが、特に、車両の速度が速い場合のロードセルから得られる情報は信頼性が低くなると考えられるので、車両速度に関する補正が必要であるという課題があった。
【0009】
そして、特許文献3に開示された発明では、基本的に静止した車両の重量測定を対象としており、走行中の車両は一旦停止してから測定を行う必要があり、走行車両の重量測定は不可能であり、また、静止車両の重量測定では作業効率が低下したり交通渋滞を招いたりするという課題があった。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、走行車両の通過速度が速い場合でも走行車両の重量を正確に測定する車両重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である車両重量測定装置は、車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第1のロードセル部と、
一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に第1のロードセル部の前後に離間して設置され、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第2のロードセル部と、
第1のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
演算部は、一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【0012】
このような構成の車両重量測定装置によれば、走行車両の左右一対の車輪がそれぞれ一対の載荷台に載荷されるように通過すると、一対の載荷台に設けられる一対の第1のロードセル部は、一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、第1のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出し、表示部は、演算部で算出される荷重を表示するように作用する。
また、格納部では、第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な検出所要時間と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の演算用荷重に関するデータを格納している。
そして、一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に第1のロードセル部の前後に離間して設置される一対の第2のロードセル部は、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して得られる二の電気信号の時間差から車両の車輪の通過時間を算出する。
さらに、演算部は、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配として第1の勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配としての第2の勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するように作用する。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対のロードセル部と、
少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
演算部は、ロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するものである。
【0014】
このような構成の車両重量測定装置においては、走行車両が一対の載荷台上を通過すると、一対のロードセル部は、一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力し、演算部は、ロードセル部からの電気信号を受信して車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出し、表示部は、演算部で算出される荷重を表示するように作用する。
また、格納部では、ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な検出所要時間と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の演算用荷重に関するデータを格納している。
そして、演算部は、ロードセル部によって時系列で取得される電気信号から車両の通過時間を算出し、この通過時間と格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、通過時間が短い場合には、通過時間中の荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配として第1の勾配を演算し、荷重演算時間中に検出される演算用荷重の増加勾配としての第2の勾配と比較して、第1の勾配が略一致する第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出するように作用する。
【0015】
そして、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出するものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、そして、車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して車両の全重量を算出するように作用する。
なお、本願において、一軸重量とは、一の車軸にかかる車両の重量を意味し、車軸そのものとは区別するものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が基準値よりも大きい場合は警報信号を生成し、表示部は、警報信号を受信して警報を発生する警報手段を備えるものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が基準値よりも大きい場合は警報信号を生成するように作用し、また、表示部の警報手段は、警報信号を受信して警報を発生するように作用する。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の車両重量測定装置において、車両のナンバープレートを撮像して、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置と、予め車両重量測定の対象となる車両の全重量許容値及び当該車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を対応させて格納する第2の格納部とを備え、
演算部はプレート番号読み取り装置で読み取った車両プレート番号をキーとして、第2の格納部を検索して全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成するものとして備えられ、
さらに、警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、プレート番号読み取り装置が、測定対象である車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を認識可能に作用し、また、この車両プレート番号に対応させて全重量許容値を格納しておくことで、演算部では、車両プレート番号を介して測定された全重量が許容値を超えていないかどうかの判断可能に作用する。
車両毎に設置されているナンバープレートの車両プレート番号に着目し、この車両プレート番号を介して、それぞれの車両の全重量許容値を管理可能に作用するものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の車両重量測定装置において、全重量許容値に代えて車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号に対応させて格納し、演算部は測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いた載荷重量値と載荷重量許容値とを比較して、載荷重量値が載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とするものである。
このような構成の車両重量測定装置においては、全重量許容値に代えて風袋重量値と載荷重量許容値を格納しておき、測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いて載荷重量値を算出し、これと載荷重量許容値を比較して警報信号を生成するように作用するものである。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1に記載の車両重量測定装置において、予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
演算部は、車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と一対の第2のロードセル部間距離から車両の速度を算出し、
一対の第1のロードセル部又は一対の第2のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と車両の速度から、車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部を検索して、車両の全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、測定対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離とこの車両の全重量許容値を対応させて第3の格納部に格納しておき、車両の速度を一対の第2のロードセル部で測定される車輪の通過時間から算出し、さらに、第1のロードセル部あるいは第2のロードセル部において検出される荷重の電気信号を受信して、第1の車軸と第2の車軸の通過時間を測定して、先の車両速度から第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出するように作用する。そこで、算出された第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部に格納された全重量許容値を検索して抽出し、その全重量許容値と測定された全重量を比較して、許容値を超えた際に警報信号を生成して警報を発生させるという作用を有する。
第1の車軸と第2の車軸は、車両において特に限定するものではないが、2軸のみを備える車両であれば、当然に前方の車軸が第1の車軸、後方の車軸が第2の車軸に該当する。また、3車軸以上備えた車両では、前方に備えられる車軸のうち一の車軸を第1の車軸、後方に備えられる車軸のうち一の車軸を第2の車軸として選択することが望ましい。
【0020】
請求項8記載の発明は、請求項2に記載の車両重量測定装置において、予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
演算部は、車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間とロードセル部の車両の進行方向における長さから車両の速度を算出し、
一対のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と車両の速度から、車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、第3の格納部を検索して、車両の全重量許容値を抽出し、全重量と全重量許容値を比較して、全重量が全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、請求項7に記載される発明が2対のロードセル部を用いて、車両の速度及び第1の車軸と第2の車軸の通過時間を測定・算出したのに対し、一対のロードセル部でそれぞれ測定・算出するように作用するものである。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の車両重量測定装置において、全重量許容値に代えて車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を車両の第1の車軸と第2の車軸間距離に対応させて格納し、演算部は測定された車両の全重量から風袋重量値を差し引いた載荷重量値と載荷重量許容値とを比較して、載荷重量値が載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とするものである。
このように構成される車両重量測定装置においても、請求項7又は請求項8に記載の発明と同様に作用する。
【0022】
最後に、請求項10記載の発明は、請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の車両重量測定装置において、演算部は、車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出する過程及び前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を求める過程の開始から終了までの時間、あるいはこれらの過程の開始から終了までの時間に予め定めた時間を加えた時間において待ち信号を生成し、待ち信号を受信して待ち状態を示すための光を発生する発光手段を備えるものである。
このように構成される車両重量測定装置においては、一軸荷重あるいは複数の一軸荷重を加算する演算を行う際には、待ち状態を示す発光手段が、次の車両の車両重量測定装置に対する進入を防止するように作用する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の車両重量測定装置においては、車両は載荷台を速い速度で通過して第1のロードセル部によって測定される荷重が本来測定されるべき真の荷重に満たない場合でも、第1のロードセルで測定される荷重検出特性の増加勾配である第1の勾配と、予め測定されて格納される既知の荷重の荷重検出特性の増加勾配である第2の勾配が一致することを利用して、第1の勾配に一致する第2の勾配に係る荷重を算出することにより、正確な重量の測定を可能にしている。
【0024】
また、本発明の請求項2に記載の車両重量測定装置においては、演算部は、一対のロードセル部によって検出される電気信号の時間変化から通過時間を算出するので、請求項1に記載の車両重量測定装置のように一対の第2のロードセル部を設置する必要がなく、装置の軽量化や小型化が可能となる。
【0025】
そして、本発明の請求項3に記載の車両重量測定装置においては、車両の左右一対の車輪の一軸重量を順次算出して加算して全重量を求めるので、複数の車軸を備える大型の車両においても正確に重量を測定することができる。
【0026】
本発明の請求項4に記載の車両重量測定装置においては、車両の左右一対の車輪からかかる荷重の差と基準値を比較して測定の正確さを判断し、この差が基準値よりも大きい場合は警報が発生するので、測定者に再測定を促すことができる。
【0027】
本発明の請求項5乃至請求項9に記載の車両重量測定装置においては、請求項3又は請求項4に記載の発明の効果に加えて、測定・算出された全重量と全重量許容値を比較して、許容値を超えていないかどうかの評価を行うことができる。
特に、請求項5及び請求項6に記載の車両重量測定装置では、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置を備えることで、個々の車両毎にこの車両プレート番号と全重量許容値、あるいはこれに風袋重量を加えたものを対応させ、車両プレート番号を介して、車両重量測定を管理することができる。測定対象として追加の車両が発生した場合でも車両プレート番号とその車両に対する全重量許容値、あるいはこれに風袋重量を加えたものを対応させて第2の格納部に格納することで、容易に車両重量の測定が可能である。
特に、請求項7乃至請求項9に記載の車両重量測定装置では、プレート番号読み取り装置を不要として、経済的な効果を発揮することができる。
【0028】
本発明の請求項10に記載の車両重量測定装置においては、被測定対象の一の車両の測定が終了しない段階での次の車両の車両重量測定装置への進入を抑制することが可能である。従って、全体として精度の高い車両重量測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係る車両重量測定装置を図1乃至図8を参照しながら説明する。
図1は、本発明の本実施の形態に係る車両重量測定装置の構成図である。
図1において、車両重量測定装置1は、進行方向Aの車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台2a,2bを備え、この一対の載荷台2a,2bには左右一対の車輪から一対の載荷台2a,2bにかかる荷重をそれぞれ電気信号として検出する一対の第1のロードセル5a,5bが設置されている。また、載荷台2aには、進行方向Aにおいて第1のロードセル5aの前後位置に離間して一対の第2のロードセル6a,6bが配置されており、この一対の第2のロードセル6a,6bは載荷台2aを通過する車両のいずれか一方の車輪から、第1のロードセル5aの前後位置における荷重を電気信号として検出する。なお、一対の載荷台2a,2bの前後には、符号3a,3b及び符号4a,4bで示されるスローププレートが設置されており、車両の左右一対の車輪が円滑に一対の載荷台2a,2bに乗降できるようになっている。
【0030】
そして、一対の第1のロードセル5a,5b及び一対の第2のロードセル6a,6bは、それぞれアンプ7に接続され、続いて、A/D変換器8、演算部9の順に接続されている。アンプ7は、一対の第1のロードセル5a,5b及び一対の第2のロードセル6a,6bにおいて検出された電気信号を増幅するものであり、そして、増幅されたこれらの電気信号はA/D変換器8に送信される。A/D変換器8では、アナログの電気信号をデジタル信号に変換して演算部9に送信する。演算部9では、詳細については後述するが、演算回路を用いて各種演算を行い、その演算結果データを接続される表示部10やメモリ12に送信し、表示部10では演算結果データを表示し、メモリ12では演算結果データや測定データを読み出し可能に格納する。また、表示部10は警報手段11を備えており、演算部9において警報信号が生成された場合は、視覚的又は聴覚的に認識可能な警報を表示あるいは出力することができる。さらに、本実施の形態に係る車両重量測定装置1は、プリンター21を備えており、演算部9によって処理されて得られた演算結果データを受信して印字することができたり、グラフなどを描画することができる。プリンター21の出力部、すなわち、印刷された用紙が排出される部分には特に防塵対策として、カバーなどを設けるとよい。また、このプリンター21をはじめ車両重量測定装置1の電源は、通常のAC100V電源を用いることもできるし、車両に搭載された例えばDC12V電源を利用することもできる。
なお、車両の進行方向に対して、一対の第1のロードセル5a,5bは予め所望の幅を備えるようにして、一対の第1のロードセル5a,5bからの電気信号から演算部9が車両の通過時間を算出可能にすれば、一対の第2のロードセル6a,6bを設置しなくてもよい。
また、一対の第2のロードセル6a,6bはなるべく一対の第1のロードセル5a,5b隣接するように設けることが望ましい。これは、後述するように、一対の第1のロードセル5a,5bの幅を通過する時間を一対の第2のロードセル6a,6bから得て、その速度を演算するためである。なお、図1では、第1のロードセル5aからアンプ7に接続される信号線と第2のロードセル6bからアンプ7に接続される信号線が交わるように見えるが、別系統の信号線として構成されるものである。
【0031】
さらに、車両重量測定装置1は、メモリ12の他にデータベース23を備えており、予め被測定対象である車両の全重量許容値データ24、載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26、すなわち、荷を降ろした状態における重量データが格納されている。これらのデータは、それぞれ車両のナンバープレートに掲示される内容を車両プレート番号データ27及び車軸間距離データ28と対に格納されている。なお、車両プレート番号データ27は、4桁の数字以外に登録地名とその横に表示される車種を表す小さな数字の部分やひらがな部分も含む概念である。
本実施の形態では、全重量許容値データ24、載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26を格納しているが、全重量許容値データ24のみ、あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26の組合せのみを格納してもよい。また、車両プレート番号データ27及び車軸間距離データ28も同様で、車両プレート番号データ27のみを先の全重量許容値データ24あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26と対にして格納してもよいし、車両プレート番号データ27に代えて車軸間距離データ28のみを先の全重量許容値データ24あるいは載荷重量許容値データ25及び風袋重量値データ26と対にして格納してもよい。
符号29は、撮像装置を示しており、この撮像装置29によって被測定車両のナンバープレートに表示される車両プレート番号を読み取り、その画像信号を演算部9へ送信するものである。
ランプ22は、演算部9において被測定車両の重量を算出している過程において点灯し、次の被測定車両が、車両重量測定装置1に進入してこないように抑制するものである。例えば、重量算出時には、赤ランプを点灯させ、その重量の算出が終了し、次の被測定車両の進入を許可する場合には、青ランプを点灯させるように、異なる色のランプを点灯させるようにしてもよい。
撮像装置29からの画像信号や、データベース23に格納されるデータは、被測定車両の識別や測定された全重量が許容値内になっているか否かの評価に用いられるが、その使用法については後述する。
【0032】
次に、車両重量測定装置の測定方法について図2乃至図8を参照しながら説明する。
まず、最初に、メモリ12に格納されるデータについて図2を参照しながら説明する。メモリ12には、所望の荷重範囲において複数の既知の荷重を第1のロードセル5a,5bによって測定し、得られる荷重検出特性から演算部9によって算出される種々の特性値が予め格納されている。
図2は、本実施の形態に係る車両重量測定装置の第1のロードセル5a,5bによって検出される既知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
図2において、荷重検出特性13,14,15は、いずれも測定を開始して短時間の間に荷重Wは急激に増大し、その後はそれぞれ一定の荷重値Wa1,Wa2,Wa3を示している。演算部9では、荷重が一定の値を示し始めるときの時間を測定し、この時間を検出所要時間taと定義する。検出所要時間taは、ta1<ta2<ta3となり、荷重が大きいほど短くなる傾向を示している。そして、後述する未知の測定対象の真の荷重を算出するために用いる、それぞれの荷重検出特性の荷重の増加勾配(以下、既知の荷重の荷重検出特性における荷重の増加勾配を第2の勾配という。)を求めるために荷重演算時間tkを決定し、荷重演算時間tkのときの荷重を演算用荷重Wkとして読み取る。
なお、本実施の形態においては、荷重Wが大きい方が、検出所要時間が短くなっているが、ロードセルの特性によっては必ずしもこのようにならない場合も考えられる。
【0033】
この荷重演算時間tkは固定値であり、予め設定される荷重範囲内で測定される検出所要時間taの最小値よりも短い時間に設定する必要がある。
この理由について、図2を参照しながら説明する。もし、荷重演算時間tkを検出所要時間taの最小値よりも長い時間に設定する場合を考える。例えば、図2中において、荷重演算時間tkをta1とta2の間に設定する。このような場合では、荷重検出特性14では、演算用荷重Wkが、荷重の増大する途中に存在するので第2の勾配は正確に算出できる。一方、荷重検出特性13では、演算用荷重Wkが既に荷重Wa1に一致して一定値を取っているため、真の第2の勾配よりも緩やかな勾配となってしまい、真の第2の勾配を算出することができないのである。
メモリ12では、このような特性値をまとめて表1に示されるようなデータテーブル状のデータ構造を備えて読み出し可能に格納している。
【0034】
【表1】
【0035】
表1において、Waは荷重値(トン)、taは検出所要時間(秒)、tkは荷重演算時間(秒)、Wkは演算用荷重(トン)、Wk/tkは第2の勾配(トン/秒)を表している。
本実施の形態では、測定可能な荷重範囲を1トンから10トンとし、この荷重範囲内で、検出所要時間taを測定し、検出所要時間taの最小値(0.5秒)よりも短い時間0.4秒を荷重演算時間tkと決めて、荷重演算時間tkのときの演算用荷重Wkをそれぞれ測定し、さらに第2の勾配Wk/tkを算出している。なお、第2の勾配Wk/tkは、必ずしも算出して格納する必要はなく、演算部において、予め格納された荷重演算時間tkと演算用荷重Wkを随時読み出して演算するようにしてもよい。
【0036】
次に、第2のロードセル6a,6bによって検出される荷重について図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る車両重量測定装置の一対の第2のロードセル6a,6bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図3において、荷重検出特性16は、時間t1と時間t2において二つのピークを示している。前述したように、一対の第2のロードセル6a,6bは、いずれか一方の第1のロードセル5aの車両の進行方向の前後位置に離間して配置されており、早い時間t1に現れる第1のピークは、車両の進行方向に対して第1のロードセル5aの前位置に配置される側の第2のロードセル6aが検出する荷重であり、遅い時間t2に現れる第2のピークは、車両の進行方向に対して第1のロードセル5aの後位置に配置される側の第2のロードセル6bが検出する荷重である。したがって、演算部においてこれらのピークの時間t1と時間t2を測定して、これらの時間差Δ|t1−t2|を算出すると、この時間差Δ|t1−t2|は車両が第1のロードセル5aを通過する通過時間に略同値を示すものであり、通過時間として扱うことができる。このように一対の第2のロードセル6a,6bを用いると、車両の車輪の通過時間を簡単に算出することができる。なお、時間差Δ|t1−t2|と通過時間をできるだけ一致させるためには、一対の第2のロードセル6a,6bは第1のロードセル5aにできるだけ近接して設置することが望ましい。
【0037】
次に、未知の荷重の測定対象の測定結果について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において測定車両の通過時間が遅い場合に第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図4において、荷重検出特性17では、荷重Wは測定開始直後に増大した後、検出所要時間taxからtxの間は一定の荷重値Wxを示し、そして、時間txを過ぎた後に急激に低下している。ここで、測定車両は、横軸において時間tが0のときからtxまでの間に第1のロードセル5a,5bを通過しており、時間txは通過時間となる。荷重検出特性17は、前述の図2に示した荷重検出特性のように、一定の荷重値Wxを示しているので、演算部9は、時間taxからtxの間の任意の時間における荷重値Wxを読み取れば真の荷重を得ることができる。演算部9において、荷重検出特性が変化する箇所、すなわち、特性の変曲点を認識可能にすれば、図4において検出所要時間tax及び通過時間txを決定することができるので、検出所要時間tax又は通過時間txのときの荷重Wxを読み取ることが可能となる。この場合、前述の一対の第2のロードセル6a,6bを用いた通過時間の算出は不要であるので、一対の第2のロードセル6a,6bは設置しなくてもよい。
【0038】
一方、一対の第2のロードセル6a,6bを用いて通過時間txを算出すると、演算部9での演算処理がより簡単なものとなる。この場合、図4の横軸上に示されるtamaxを用いる。tamaxは、先に説明した表1に示され、メモリに格納されている検出所要時間taの最大値である。表1では、tamax=2.0秒となる。演算部9では、まず、一対の第2のロードセル6a,6bで測定された通過時間txと検出所要時間tamaxを比較する。通過時間txが検出所要時間tamaxよりも長くなっている場合は、測定が予め設定される車両重量測定装置1の測定荷重範囲においては、真の荷重を検出するために必要な時間を備えた測定結果であることを意味しているので、演算部9は、通過時間txのときの荷重を読み取るだけで簡単に真の荷重を得ることができる。したがって、演算部は、上述のように荷重検出特性17の変曲点を認識する演算処理を省略することができる。
但し、これは通過時間txが十分長く、すなわち、tamaxよりも通過時間txが長い場合に成立するものであり、以下のとおり、通過時間txがtamaxよりも短い場合を考慮する必要がある。
【0039】
次に、図5は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において測定車両の通過時間が速い場合に第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性を示すグラフ図である。
図5において、荷重検出特性18では、荷重Wは測定開始後にWxで最大となりその後直ちに低下している。また、荷重検出特性18では、測定車両は、横軸において時間tが0のときからtxまでの間に第1のロードセル5a,5bを通過しており、通過時間はtxとなる。なお、この通過時間txは、演算部において荷重検出特性18から読み取るようにしてもよいし、前述の一対の第2のロードセル6a,6bによって測定してもよい。
一方、破線で示す荷重検出特性19は、メモリに格納され、予め測定される既知の荷重が荷重検出特性18の場合における真の荷重に対応するものであり、検出所要時間ta以降は一定の荷重、すなわち真の荷重Waを示している。これらの二つの荷重検出特性を比較すると、荷重検出特性18では、通過時間txは検出所要時間taに達せず、また、最大荷重Wxも真の荷重Waを示していないことがわかる。すなわち、通過時間txが検出所要時間tamaxよりも短い場合は、通過時間txのときの荷重Wxを読み取っても真の荷重Waを得ることができない。
しかし、荷重検出特性18と荷重検出特性19を比較すると、いずれの荷重検出特性においても測定開始初期の荷重の増加勾配が等しくなっていることがわかる。したがって、演算部9では、荷重演算時間tkにおける荷重検出特性18の荷重Wxkの増加勾配(以下、測定対象の荷重の荷重演算時間tkに対する増加勾配を第1の勾配とする。)を算出し、得られる第1の勾配と略一致する第2の勾配を有する荷重検出特性19の情報をメモリ12から抽出すれば、真の荷重Wを決定することができる。すなわち、第1の勾配が決まれば真の荷重Wは決まるので、真の荷重Wは次式で表される。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、第1の勾配の算出には、先に説明した荷重演算時間tkと、荷重演算時間tkのときの荷重検出特性18における荷重Wxkを用いる。
また、前述の表1に示すように、既知の荷重Waにおいて荷重演算時間tkに対する演算用荷重Wkは測定されており、Wa=f(Wk/tk)として表現可能であるため、式(1)は経験式として求めることが可能である。例えば最小二乗法などで、1次関数或いは2次関数など、適宜決定可能であるが、1次関数、2次関数或いはそれ以外の関数形にするかは特に限定するものではない。
【0042】
続いて、演算部における処理方法について図6乃至図8を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両重量の演算方法を説明するためのフローチャートである。
図6において、演算部では、まず、ステップS1において、車両の通過時間txを測定、算出する。この通過時間txは、前述したように、一対の第2のロードセル6a,6bによって検出される二つの荷重ピークの時間差を測定し、これを演算部で処理することによって得られる。演算部9では、アンプ7及びA/D変換器8により適宜処理された一対の第2のロードセル6a,6bからの電気信号を受信してその荷重検出特性から二つのピークを検出して通過時間txを算出し、データとしてメモリ12に格納する。
又は、第1のロードセル5a,5bによって検出される荷重検出特性からの変曲点を測定し、これをA/D変換器8によりデジタル変換した上で、演算部9で解析して読み取り、その時間を通過時間txとしてもよい。
【0043】
次に、ステップS2において、演算部9は、通過時間txと検出所要時間taの最大値tamaxを比較する。このステップS2では、演算部9は、メモリ12に格納されている検出所要時間taの中で最大値tamax及び通過時間txを読み出し、通過時間txと比較する。
【0044】
通過時間txが検出所要時間の最大値tamax以上の場合は、ステップS3に進む。このステップS3では、演算部9は、真の荷重Wとして、これを式(2)により算出し、メモリ12に格納して荷重Wの演算処理を終了する。
【0045】
【数2】
【0046】
一方、通過時間txが検出所要時間の最大値tamaxよりも小さい場合は、ステップS4に進む。このステップS4では、先に説明したように、演算部9は、荷重演算時間tkのときの荷重Wxkを読み取って、真の荷重Wを先の式(1)により算出し、メモリ12に格納して荷重Wの演算処理を終了する。
【0047】
なお、得られる荷重Wは一対の第1のロードセル5a,5bのいずれか一方の第1のロードセルの測定結果に基づいて算出されるものであり、いずれか他方の第1のロードセルについてもステップS1からステップS4までの同様の演算処理が行われるものである。但し、一対の第1のロードセル5a,5bを通過する通過時間txはいずれの第1のロードセルにおいても等しいので、いずれか他方の第1のロードセル5a,5bについての演算処理においては、ステップS1における通過時間txの算出は省略して、いずれか一方の第1のロードセル5a,5bについて算出された通過時間txをメモリ12に格納しておき、この格納された通過時間txを読み出すようにするとよい。
【0048】
次に、図7は、本実施の形態に係る車両重量測定装置における車両重量を演算する工程を示す工程図である。
車両重量測定装置1では、設置される一対の第1のロードセル5a,5bに左右の車輪がそれぞれ載荷されて右の車輪からかかる荷重Wrと左の車輪からかかる荷重Wlをそれぞれ求めている。また、通常、車両は少なくとも前後に2対の車軸を有しており、車両重量測定装置1では、前輪からかかる荷重が測定されて、続いて後輪からかかる荷重が測定される。
したがって、図7において、ステップS1では、まず、前輪一軸重量を算出する。演算部9では、メモリ12に格納されている左右の前輪からかかる荷重WrとWlを読み出して、これらを加算して、左右一対の前輪からかかる荷重の合計を算出する。この合計値は、前輪一軸重量となる。
次に、ステップS2では、後輪一軸重量を算出する。ステップS1の場合と同様に、演算部9では、メモリ12に格納されている左右の後輪からかかる荷重WrとWlを読み出して、これらを加算して、左右一対の後輪からかかる荷重の合計を算出する。この合計値は、後輪一軸重量となる。
そして、最後に、ステップS3において、全重量を算出する。このステップS3では、ステップS1及びステップS2において算出された前輪一軸重量と後輪一軸重量を加算して全重量を算出する。
なお、車両が2対以上の車軸を有する場合は、各車軸についての一軸重量を算出し、算出される全ての一軸重量を加算して全重量とする。
本実施の形態においては、左右の車輪の荷重Wr,Wlをそれぞれ測定して加算することで一軸重量を演算したが、いずれか一方のみの荷重を測定、算出し、これを2倍するような簡略化を実施してもよいことは言うまでもないが、精度を向上させるためには別個独立に演算することが望ましい。
【0049】
このように算出される全重量であるが、この全重量が算出される過程においては、演算部9が作動しており、短時間にその作動が終了すればよいが、被測定車両が車両重量測定装置1を通過してしばらくしても演算部9が作動しているような場合には、車両重量測定装置1への次の被測定車両の進入を防止する必要がある。そこで、少なくとも図7に示されるステップS1の前輪一軸重量の算出工程からステップS3の全重量算出工程まので間は、次の車両の侵入を排除するために、図1に示されるランプ22が点灯あるいは点滅するようにしておくとよい。
また、ステップS3の全重量算出工程が完了した時点、あるいはその時点から予め定めた時間を経過した時点で、ランプ22の点灯が終了あるいは、点灯色が変化するように設定しておいてもよい。その際には、例えば最初に第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれかにおいて荷重を検知した際に、点灯を開始あるいはその点灯色が変化するようにしておけば、進入を抑制するタイミングと促すタイミングを分けることが可能となる。
点灯色としては、例えば最初に第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれかにおいて荷重を検出した際に点灯するのを赤色とし、ステップS3の全重量算出工程が完了した時点あるいはその時点から予め定めた時間を経過した時点で点灯するのを青色と定めておくことで、赤色の際には進入が禁止され、青色の際には進入が許可されるように設定することが可能となる。
【0050】
次に、図1に示される撮像装置29を用いて、算出された全重量が予めデータベース23に格納された全重量許容値データ24内であるか否かの評価、あるいは算出された載荷重量値がデータベース23に格納された載荷重量許容値データ25内であるか否かの評価を行い、許容値を超えている場合に警報を発生させる方法について説明を加える。
説明には、図1の他、図8及び図9を参照する。
図1に示される撮像装置29は、載荷台2a,2bの近傍に備えられ、車両重量測定装置1に進入してくる被測定車両のナンバープレートを捉えて、その車両プレートに表示される車両プレート番号を撮像可能に構成されている。撮像装置29で撮像された車両プレート番号は、演算部9に送信され、画像解析によって、その車両プレート番号は認識される。この工程が、図8に示されるステップS1である。
演算部9において、読み取られた車両プレート番号をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車両プレート番号データ27を検索する。演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える全重量許容値データ24を抽出する(ステップS2)。
また、図7において説明したように全重量を算出し(ステップS3)、その算出された全重量と全重量許容値(全重量許容値データ24)とを比較する(ステップS4)。ステップS2からステップS4までは全て演算部9における動作となる。
全重量が全重量許容値を超えている場合には、演算部9は警報信号を発生し、この警報信号は警報手段11で受信され、警報を発する(ステップS5)。
なお、本図においては、ステップS1とステップS2の後に全重量を算出するステップS3が設けられているが、これらの順序を逆にしてステップS3の後に、ステップS1及びステップS2を実行しても何ら差し支えない。
【0051】
次に、図9を参照しながら、全重量が許容値を超えているか否かではなく、載荷重量値が許容値を超えているかを評価する場合を説明する。
図8とステップS1までは同様であるが、ステップS2以降が異なる。図9では、読み取られた車両プレート番号をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車両プレート番号データ27を検索する。演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える風袋重量値データ26を抽出する(ステップS2)。
次に、同様にして、演算部9で読み取られた車両プレート番号と一致する車両プレート番号データ27を備える載荷重量許容値データ25を抽出する(ステップS3)。
その後、図7を用いて説明したとおり全重量を算出し(ステップS4)、その算出された全重量から先に抽出された風袋重量値(風袋重量値データ26)を減算して、載荷重量値を算出し(ステップS5)、その算出された載荷重量値と載荷重量許容値(載荷重量許容値データ25)と比較する(ステップS6)。ステップS2からステップS6までは全て演算部9における動作となる。
載荷重量値が載荷重量許容値を超えている場合には、演算部9は警報信号を発生し、この警報信号は警報手段11で受信され、警報を発する(ステップS7)。
なお、本図においては、ステップS1乃至ステップS3の後に全重量を算出するステップS4が設けられているが、これらの順序を逆にしてステップS4の後に、ステップS1乃至ステップS3を実行しても何ら差し支えない。但し、載荷重量値は全重量の算出及び風袋重量値の抽出の後でなければ算出できないので、少なくともステップS5はステップS2及びステップS4の後工程とする必要があることは言うまでもない。
【0052】
次に、図10及び図11を参照しながら、撮像装置29を設けることなく図8や図9を参照しながら説明したように全重量や載荷重量値を評価して警報を発生させる場合の実施の形態について説明を加える。
図10のステップS6以降が、図8のステップS3以降に相当するのでそれ以降の説明は省略する。
図10において、第2のロードセル6a,6bで検知されたそれぞれの荷重のピークの時間(時点)を演算部9で測定して、その時間差を算出し(ステップS1)、第2のロードセル6a,6b間の距離あるいは第1のロードセル5aの幅とほぼ等しい場合には、その幅を用いてもよいが、被測定対象の車両の走行速度を算出する(ステップS2)。
本実施の形態においては、第2のロードセル6a,6bを用いてステップS1に記載される時間差を算出しているが、第1のロードセル5a,5bの幅が十分あり、第1のロードセル5a,5bの端から端までの時間差を算出可能であれば、その時間差を用いてもよい。
ステップS3では、被測定対象の車両の車軸、特に、前輪の車軸と後輪の車軸を選択して、その車軸間の通過時間の算出を行うことが望ましい。車両の車軸数は、前輪1、後輪1あるいは2の場合が多いが、それ以外の場合でもよく、但し、通過時間をある程度の精度を維持して算出することを考えるならば、前輪における車軸と後輪における車軸を選択して、その車軸間の通過時間の算出を行うことが望ましいのである。
車軸間の通過時間の算出は、第1のロードセル5a,5bあるいは第2のロードセル6a,6bのいずれか1つのロードセルにおいて、該当する前側の車軸の車輪が通過する際に検出される荷重のピークの時間(時点)と該当する後側の車軸の車輪が通過する際に検出される荷重のピークの時間(時点)との時間差を用いる。
ステップS2で、既に車両速度を算出しているため、この車両速度とステップS3で算出された車軸間通過時間を用いて、車軸間距離を算出する(ステップS4)。
この算出された車軸間距離をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車軸間距離データ28を検索する。演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える全重量許容値データ24を抽出する(ステップS5)。
それ以降は、既に図8を参照して説明した実施の形態と同様であるので説明を省略する。なお、ステップS1からステップS7まで、演算部9が実行する動作となる。
【0053】
次に、図11を参照して、全重量が許容値を超えているか否かではなく、載荷重量値が許容値を超えているかを評価する場合を説明する。図11のステップS7以降が図9のステップS4以降に相当するのでそれ以降の説明は省略する。
また、図11におけるステップS1からステップS4までは図10を参照して説明した実施の形態と同様であるので説明を省略する。
ステップS5では、算出された車軸間距離をキーとして、演算部9はデータベース23にアクセスして車軸間距離データ28を検索する。演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える風袋重量値データ26を抽出する。
次に、同様にして、演算部9で算出された車軸間距離と一致する車軸間距離データ28を備える載荷重量許容値データ25を抽出する(ステップS6)。
ステップS7以降は、先に図10を参照して説明した実施の形態と同様となるので説明を省略する。
この図11のステップS1からステップS9まで、演算部9が実行する動作である。
【0054】
以上、図8乃至図11を参照しながら説明した実施の形態においては、予め全重量あるいは載荷重量値に対する許容値をデータベースに格納しておき、車両重量測定装置1を用いて測定した全重量あるいは載荷重量値を用いて、そのまま自動的に評価することができるので、逐一車両の車種などを確認しながら許容値を求めた上で許容値との関係の評価を行う必要がなく、迅速に測定・評価を行うことが可能である。
また、評価のベースとなる許容値を検索する際にも、本実施の形態において測定された荷重を基礎として算出された量や現場で撮像された画像を用いて得られる情報を基礎としているため、一旦データベースに正しいデータを格納しておけば、精度を高くすることが可能であり、誤評価などを避けることが可能である。
【0055】
最後に、図12は、本実施の形態に係る車両重量測定装置において警報の発生方法を説明するためのフローチャートである。
図12において、ステップS1は左右車輪からかかる荷重Wの差を算出する。このステップS1では、一対の第1のロードセル5a,5bの測定結果に基づいて演算されメモリ12に格納されている、右車輪からかかる荷重Wrと左車輪からかかる荷重Wlを読み出して、これらの差ΔWを算出する。なお、この差ΔWに代わって、例えば、荷重Wrと荷重Wlのうち最大値を示す方の値で差ΔWを割ったものを用いてもよい。
そして、ステップS2において、ΔWを基準値と比較する。基準値は任意に設定可能であり、予め設定した値をメモリ12に格納しておく。演算部9では、メモリ12に格納される基準値を読み出して、ステップS1において算出されたΔWと比較する。
【0056】
そして、ΔWが基準値よりも大きい場合はステップS3へ進む。ステップS3では警報信号が発生する。この場合、演算部9において警報信号を生成して、表示部10に送信される。そして、表示部10において警報信号が受信されると、表示部に警報表示が示される。あるいは、演算部9において生成された警報信号を警報手段11が受信して、警報を発生させるように作動するようにする。ΔWが基準値よりも大きい場合は、いずれかの車輪が正確に第1のロードセル5a,5b上に載荷されていないなど、測定に不備があると考えられ、警報によって測定者は再測定の必要性を認識することができる。なお、警報手段11は特に限定されるものではなく、例えば、ブザーなどの音声を発生させたり、警告表示を表示したり、これら両方を行うようにすることもできる。そして、警報が発生すると演算処理は終了となる。
また、ΔWが基準値よりも小さい場合も演算処理は終了となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、請求項1乃至請求項4に記載された本発明は、簡単な構成で走行状態の車両の重量を正確に測定できる車両重量測定装置を提供可能であり、工事現場や高速道路など計量を必要とする施設において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の本実施の形態に係る車両重量測定装置の構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両重量測定装置の第1のロードセルによって検出される既知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図3】本実施の形態に係る車両重量測定装置の一対の第2のロードセルによって測定される荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図4】本実施の形態に係る車両重量測定装置において通行時間が遅い場合に第1のロードセルによって検出される未知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図5】本実施の形態に係る車両重量測定装置において通行時間が速い場合に第1のロードセルによって検出される未知の荷重の荷重検出特性を示すグラフ図である。
【図6】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両重量の演算方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る車両重量測定装置における車両重量を演算する工程を示す工程図である。
【図8】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両プレート番号を読み取って全重量許容値をベースに全重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車両プレート番号を読み取って載荷重量許容値をベースに載荷重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車軸間距離を算出して全重量許容値をベースに全重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係る車両重量測定装置において車軸間距離を算出して載荷重量許容値をベースに載荷重量の評価を行い、警報を発生させる方法を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施の形態に係る車両重量測定装置において警報の発生方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…車両重量測定装置 2a,2b…載荷台 3a,3b,4a,4b…スローププレート 5a,5b…第1のロードセル 6a,6b…第2のロードセル 7…アンプ 8…A/D変換器 9…演算部 10…表示部 11…警報手段 12…メモリ 13〜19…荷重検出特性 21…プリンター 22…ランプ 23…データベース 24…全重量許容値データ 25…載荷重量許容値データ 26…風袋重量値データ 27…車両プレート番号データ 28…車軸間距離データ 29…撮像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第1のロードセル部と、
前記一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に前記第1のロードセル部の前後に離間して設置され、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第2のロードセル部と、
前記第1のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
前記第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
前記演算部は、前記一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、前記通過時間が短い場合には、前記通過時間中の前記荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、前記荷重演算時間中に検出される前記演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、前記第1の勾配が略一致する前記第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出することを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項2】
車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対のロードセル部と、
少なくとも一方の前記ロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
前記ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
前記演算部は、前記ロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、前記通過時間が短い場合には、前記通過時間中の前記荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、前記荷重演算時間中に検出される前記演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、前記第1の勾配が略一致する前記第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出することを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両重量測定装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が前記基準値よりも大きい場合は警報信号を生成し、前記表示部は、前記警報信号を受信して警報を発生する警報手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両重量測定装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両重量測定装置において、
前記車両のナンバープレートを撮像して、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置と、
予め車両重量測定の対象となる車両の全重量許容値及び当該車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を対応させて格納する第2の格納部とを備え、
前記演算部は、前記プレート番号読み取り装置で読み取った車両プレート番号をキーとして、前記第2の格納部を検索して前記全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成するものとして備えられ、
さらに、前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項6】
前記全重量許容値に代えて前記車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を前記車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号に対応させて格納し、
前記演算部は測定された前記車両の全重量から前記風袋重量値を差し引いた載荷重量値と前記載荷重量許容値とを比較して、前記載荷重量値が前記載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の車両重量測定装置。
【請求項7】
予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
前記演算部は、前記車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
前記一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記一対の第2のロードセル部間距離から前記車両の速度を算出し、
前記一対の第1のロードセル部又は一対の第2のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、前記車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と前記車両の速度から、前記車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、前記第3の格納部を検索して、前記車両の全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両重量測定装置。
【請求項8】
予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
前記演算部は、前記車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
前記少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記ロードセル部の前記車両の進行方向における長さから前記車両の速度を算出し、
前記一対のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、前記車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と前記車両の速度から、前記車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、前記第3の格納部を検索して、前記車両の全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両重量測定装置。
【請求項9】
前記全重量許容値に代えて前記車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を前記車両の第1の車軸と第2の車軸間距離に対応させて格納し、
前記演算部は測定された前記車両の全重量から前記風袋重量値を差し引いた載荷重量値と前記載荷重量許容値とを比較して、前記載荷重量値が前記載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車両重量測定装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出する過程及び前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を求める過程の開始から終了までの時間、あるいはこれらの過程の開始から終了までの時間に予め定めた時間を加えた時間において待ち信号を生成し、
前記待ち信号を受信して待ち状態を示すための光を発生する発光手段を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の車両重量測定装置。
【請求項1】
車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第1のロードセル部と、
前記一対の載荷台の少なくともいずれか一方に、車両の進行方向に前記第1のロードセル部の前後に離間して設置され、載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対の第2のロードセル部と、
前記第1のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
前記第1のロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
前記演算部は、前記一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、前記通過時間が短い場合には、前記通過時間中の前記荷重演算時間中に第1のロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、前記荷重演算時間中に検出される前記演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、前記第1の勾配が略一致する前記第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出することを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項2】
車両の左右一対の車輪を載荷可能な一対の載荷台にそれぞれ設けられこの一対の載荷台にかかる荷重をそれぞれ検出して電気信号として出力する一対のロードセル部と、
少なくとも一方の前記ロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を算出する演算部と、
この演算部で算出される荷重を表示する表示部と、
前記ロードセル部の荷重検出特性に関して、所望の荷重と、その所望の荷重の検出に必要な時間(以下、検出所要時間という。)と、この検出所要時間の最小値よりも短く予め設定された荷重演算時間と、その荷重演算時間経過時の荷重(以下、演算用荷重という。)に関するデータを格納する格納部と、を有する車両重量測定装置であって、
前記演算部は、前記ロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記格納部に格納される検出所要時間の最大値を比較して、前記通過時間が短い場合には、前記通過時間中の前記荷重演算時間中にロードセル部で検出された荷重の増加勾配(以下、第1の勾配という。)を演算し、前記荷重演算時間中に検出される前記演算用荷重の増加勾配(以下、第2の勾配という。)と比較して、前記第1の勾配が略一致する前記第2の勾配に係る荷重を、荷重として算出することを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両重量測定装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重の差を算出して、予め設定される基準値と比較して算出される差が前記基準値よりも大きい場合は警報信号を生成し、前記表示部は、前記警報信号を受信して警報を発生する警報手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両重量測定装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両重量測定装置において、
前記車両のナンバープレートを撮像して、車両プレート番号を読み取るプレート番号読み取り装置と、
予め車両重量測定の対象となる車両の全重量許容値及び当該車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号を対応させて格納する第2の格納部とを備え、
前記演算部は、前記プレート番号読み取り装置で読み取った車両プレート番号をキーとして、前記第2の格納部を検索して前記全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成するものとして備えられ、
さらに、前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする車両重量測定装置。
【請求項6】
前記全重量許容値に代えて前記車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を前記車両のナンバープレートに記載される車両プレート番号に対応させて格納し、
前記演算部は測定された前記車両の全重量から前記風袋重量値を差し引いた載荷重量値と前記載荷重量許容値とを比較して、前記載荷重量値が前記載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の車両重量測定装置。
【請求項7】
予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
前記演算部は、前記車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
前記一対の第2のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記一対の第2のロードセル部間距離から前記車両の速度を算出し、
前記一対の第1のロードセル部又は一対の第2のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、前記車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と前記車両の速度から、前記車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、前記第3の格納部を検索して、前記車両の全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両重量測定装置。
【請求項8】
予め車両重量測定の対象となる車両の第1の車軸と第2の車軸間距離及び当該車両の全重量許容値を対応させて格納する第3の格納部とを備え、
前記演算部は、前記車両の少なくとも第1及び第2の車軸に係る左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出し、前記車両に設置される第1及び第2の車軸を含む車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を算出し、
前記少なくとも一方のロードセル部からの電気信号を受信して前記車両の車輪の通過時間を算出し、この通過時間と前記ロードセル部の前記車両の進行方向における長さから前記車両の速度を算出し、
前記一対のロードセル部のいずれかのロードセル部からの電気信号を受信して、前記車両の第1の車軸の左右いずれか一方の車輪から第2の車軸の左右いずれか一方の車輪までの車輪間通過時間を算出し、
この車輪間通過時間と前記車両の速度から、前記車両の第1の車軸と第2の車軸間の距離を算出し、
この第1の車軸と第2の車軸間距離をキーとして、前記第3の格納部を検索して、前記車両の全重量許容値を抽出し、前記全重量と前記全重量許容値を比較して、前記全重量が前記全重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成し、
前記警報信号を受信して警報を発生する第2の警報手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両重量測定装置。
【請求項9】
前記全重量許容値に代えて前記車両の風袋重量値及び載荷重量許容値を前記車両の第1の車軸と第2の車軸間距離に対応させて格納し、
前記演算部は測定された前記車両の全重量から前記風袋重量値を差し引いた載荷重量値と前記載荷重量許容値とを比較して、前記載荷重量値が前記載荷重量許容値よりも大きい場合は警報信号を生成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車両重量測定装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記車両の左右一対の車輪からかかるそれぞれの荷重を加算して一軸重量を算出する過程及び前記車両に設置される複数の車軸に対して得られる複数の一軸重量を加算して全重量を求める過程の開始から終了までの時間、あるいはこれらの過程の開始から終了までの時間に予め定めた時間を加えた時間において待ち信号を生成し、
前記待ち信号を受信して待ち状態を示すための光を発生する発光手段を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載の車両重量測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−25106(P2009−25106A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187694(P2007−187694)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000154772)株式会社宝計機製作所 (10)
【出願人】(507242743)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000154772)株式会社宝計機製作所 (10)
【出願人】(507242743)
[ Back to top ]