説明

車両

【課題】車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行すると共にその他車両の車体を覆うボデーを備えた車両に関し、他車両の車体の傾斜に伴ってボデーを傾斜させることで他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができると共に、ボデーを傾斜させた場合でも、ボデーと地面との接触または接触する恐れを回避することができる車両を提供すること。
【解決手段】情報通信装置154により乗員車両10の旋回情報を受信すると、その受信した旋回情報に基づいて、ボデー411が傾斜および昇降する。これにより、乗員部11を傾斜させて旋回する乗員車両10と連係走行する場合でも、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができると共に、ボデー411を傾斜させた場合でも、地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行すると共にその他車両の車体を覆うボデーを備えた車両に関し、特に、他車両の車体の傾斜に伴ってボデーを傾斜させることで他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができると共に、ボデーを傾斜させた場合でも、ボデーと地面との接触または接触する恐れを回避することができる車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の枯渇問題に鑑み、車両の省燃費化が強く要求されている。そこで、車両を小型化することにより省燃費化を図る種々の研究が行われている。車両の小型化による省燃費化としては、例えば、特開2005−145296号公報に開示されるように、車両を一人乗りの2輪車として構成する形態が最も効率的であるといえる。
【0003】
しかしながら、省燃費化を図るべく小型化された車両は、軽量であると共に車輪のトレッド幅が狭いため、旋回時の遠心力により旋回内輪側が浮き上がり易く、十分に減速しなければ車両の横転を招く。
【0004】
そこで、本願発明者は、乗員が乗車する乗員部を旋回内輪側へ傾斜させる構造を利用する技術に到達した(未公知)。この技術によれば、乗員部に乗車する乗員を旋回内輪側へ傾斜させることで、車両の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、遠心力に対する対抗力を増加させることができ、旋回内輪の浮き上がりを防止することが可能となる。
【0005】
また、本願発明者は、乗員を保護するためのボデーを備えた他車両を連係して一体的に走行させることで、乗員を風雨等の被害からしのぐ方法を考案した(未公知)。
【特許文献1】特開2005−145296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この場合には、旋回内輪の浮き上がりを防止するべく上述した技術(乗員部を旋回内輪側へ傾斜させる構造)を採用すると、乗員部に乗車する乗員とボデーとが接触する又は接触する恐れがあるという問題点があった。
【0007】
このため、本願発明者は、乗員部の傾斜に伴ってボデーを傾斜させることで、乗員とボデーとの接触または接触する恐れを回避する方法を考案したが、この場合には、傾斜させたボデーが地面と接触する又は接触する恐れがあるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行すると共にその他車両の車体を覆うボデーを備えた車両に関し、他車両の車体の傾斜に伴ってボデーを傾斜させることで他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができると共に、ボデーを傾斜させた場合でも、ボデーと地面との接触または接触する恐れを回避することができる車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を解決するために請求項1記載の車両は、車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行するものであって、前記他車両の車体の少なくとも一部を収容するボデーと、前記他車両の旋回情報に基づいて、前記ボデーを傾斜させるボデー傾斜手段と、そのボデー傾斜手段により前記ボデーをさせた場合に、前記ボデーを昇降させるボデー昇降手段と、を備えている。
【0010】
請求項2記載の車両は、請求項1記載の車両において、前記旋回情報は、前記他車両の旋回操作に基づく前記車体の傾斜量である。
【0011】
請求項3記載の車両は、請求項1又は2に記載の車両において、前記ボデーの高さを検出するボデー高さ検出手段と、前記ボデーの傾斜量を検出するボデー傾斜量検出手段と、前記ボデー傾斜手段により前記ボデーを傾斜させた場合に、前記ボデー高さ検出手段により検出した前記ボデーの高さと、前記ボデー傾斜量検出手段により検出した前記ボデーの傾斜量とに基づいて、前記ボデーが地面に接触するか否かを判断する接触判断手段と、を備え、前記ボデー昇降手段は、前記接触判断手段により前記ボデーが地面に接触すると判断された場合に、前記ボデーを昇降させる。
【0012】
請求項4記載の車両は、請求項1から3のいずれかに記載の車両において、前記他車両の位置情報を検出する位置情報検出手段と、その位置情報検出手段により検出した前記他車両の位置情報と、前記他車両の旋回情報に基づいて、前記ボデーが前記他車両の車体の少なくとも一部を収容できるか否かを判断する収容判断手段と、を備え、前記ボデー昇降手段は、前記収容判断手段により前記ボデーが前記他車両の車体の少なくとも一部を収容できないと判断された場合に、前記ボデーを昇降させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の車両によれば、他車両の旋回情報に基づいて、ボデー傾斜手段によりボデーが傾斜される。これにより、車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行する場合でも、他車両の車体の傾斜に伴ってボデーを傾斜させることで、他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができるという効果がある。
【0014】
ここで、例えば、乗員が乗車する乗員部を旋回内輪側へ傾斜させることで旋回性能の向上を図るように構成された他車両と連係して走行する場合でも、他車両(乗員部)とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができれば、乗員部を必要な分だけ旋回内輪側へ傾斜させることができるので、その分、他車両の旋回性能の向上を図ることができる。
【0015】
また、ボデー傾斜手段によりボデーが傾斜された場合には、ボデー昇降手段によりボデーが昇降される。これにより、他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避するべくボデーを傾斜させた場合でも、ボデーの傾斜に伴ってボデーを昇降させることで、地面とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができるという効果がある。
【0016】
このように、ボデーを傾斜させることで他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避し、かつ、ボデーを昇降させることで地面とボデーとの接触または接触する恐れを回避することができれば、ボデーを剛体として構成することができるので、例えば、ボデーをリンク機構で構成し、そのリンク機構を傾斜させボデーを変形させることで他車両とボデーとの接触または接触する恐れを回避する場合と比べ、ボデー構造の簡略化を図りつつボデー剛性の低下を抑制することができるという効果がある。
【0017】
請求項2記載の車両によれば、請求項1記載の車両の奏する効果に加え、他車両の車体の傾斜量に基づいて、ボデーが傾斜される。即ち、他車両の車体の傾斜量に応じた傾斜量でボデーを傾斜させることができるので、他車両とボデーとの接触または接触する恐れを高精度に回避することができるという効果がある。
【0018】
請求項3記載の車両によれば、請求項1又は2に記載の車両の奏する効果に加え、ボデー傾斜手段によりボデーが傾斜された場合に、ボデーの高さと傾斜量とに基づいて、ボデーが地面に接触するか否かが接触判断手段により判断される。そして、その接触判断手段により、ボデーが地面に接触すると判断された場合に、ボデー昇降手段によりボデーが地面に接触しないように昇降される。よって、不必要にボデーを昇降させることがないので、その分、制御コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0019】
請求項4記載の車両によれば、請求項1から3のいずれかに記載の車両の奏する効果に加え、他車両の位置情報と旋回情報とに基づいて、他車両の車体の少なくとも一部をボデーに収容できるか否かが収容判断手段により判断される。そして、その収容判断手段により、他車両の車体の少なくとも一部をボデーに収容できないと判断された場合に、ボデー昇降手段によりボデーが他車両の車体の少なくとも一部を収容できるように昇降される。よって、他車両の車体の少なくとも一部がボデーからはみ出すことを防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、第1実施の形態における連係車両1の正面図であり、図1(b)は、連係車両1の側面図である。なお、図1では、乗員Pが乗員車両10の乗員部11に乗車した状態を示している。また、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、連係車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0021】
まず、図1を参照して、連係車両1の概略構成について説明する。連係車両1は、乗員Pが乗車するための乗員部11を有する乗員車両10と、その乗員車両10の乗員部11を覆い乗員部11に乗車した乗員Pを保護するためのボデー111を有するボデー車両110とを備え、それら乗員車両10とボデー車両110とが連係して一体的に走行することで連係走行する車両であり、旋回時には、乗員車両10の乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させると共にボデー車両110のボデー111を変形させることで、乗員車両10の旋回性能の向上を図りつつ、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避することができるように構成されている(図12(a)参照)。
【0022】
なお、ボデー車両110は、後述する乗員車両10の情報通信装置54(図2参照)から送信された走行情報(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を後述する情報通信装置154(図6参照)により受信し、その受信した走行情報に基づいて後述する回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R、図6参照)及びボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C、図6参照)を駆動制御することで、乗員車両10と連係走行することができるように構成されている。
【0023】
次に、図1を参照して、乗員車両10の詳細構成について説明する。乗員車両10は、乗員Pが乗車するための乗員部11と、その乗員部11の下方(矢印D側)に設けられる左右の車輪12L,12Rとを主に備えて構成されている。
【0024】
乗員部11は、図1に示すように、座席11a、アームレスト11b及びフットレスト11cを主に備えている。座席11aは、乗員Pが着座するための部位であり、乗員Pの尻部を支持する座面部11a1と、乗員Pの背部を支持する背面部11a2とを主に備えている。
【0025】
座席11aの左右両側(矢印L側及び矢印R側)には、図1に示すように、乗員Pの上腕部を支持するための一対のアームレスト11bが設けられている。そのアームレスト11bの一方(矢印L側)には、走行切替スイッチ50が配設されている。乗員Pは、この走行切替スイッチ50を切り替えることで(オン又はオフ)、他車両(例えば、ボデー車両110)との連係走行において、主導車両としての主導走行を行うのか又は従属車両としての従属走行を行うのかを指示する。また、アームレスト11bの他方(矢印R側)には、ジョイスティック装置51が配設されている。乗員Pは、このジョイスティック装置51を操作することで、乗員車両10の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を指示する。
【0026】
座席11aの前方側(矢印F側)下方には、図1に示すように、乗員Pの足部を支持するためのフットレスト11cが設けられている。また、座席11aの後方側(矢印B側)には、後述する制御装置70(図2参照)等を収納するためのケース11dが配設され、座席11の底面側(矢印D側)には、後述する回転駆動装置52やアクチュエータ装置53等の駆動源となるバッテリー装置(図示せず)が配設されている。
【0027】
左右の車輪12L,12Rは、後述する車輪支持装置30に支持されており、その車輪支持装置30が後述する乗員部支持部材40を介して、乗員部11に連結されている(図3参照)。なお、詳細構成については、後に説明する。
【0028】
次に、図2を参照して、乗員車両10の電気的構成について説明する。図2は、乗員車両10の電気的構成を示したブロック図である。制御装置70は、乗員車両10の各部を制御するための制御装置であり、図2に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、ジョイスティック装置51等の複数の装置が接続されている。
【0029】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図10に図示される旋回制御処理のフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0030】
走行切替スイッチ50は、上述したように、他車両との連係走行において、主導車両としての主導走行を行うのか又は従属車両としての従属走行を行うのかを指示するためのスイッチである。CPU71は、この走行切替スイッチ50が乗員Pによりオンされた場合に主導走行を行うことが指示されたと判断する一方、オフされた場合に従属走行を行うことが指示されたと判断する。なお、走行切替スイッチ50は、オン及びオフの状態をそれぞれ維持可能なロックタイプスイッチにより構成されている。例えば、乗員Pによってオフからオンの状態に切り替えられると、次にオフへ切り替えられるまでオンの状態が維持される。
【0031】
ジョイスティック装置51は、上述したように、乗員車両10を運転する際に乗員Pが操作するための装置であり、乗員Pにより操作される操作レバー(図1参照)と、その操作レバーの操作状態を検出するための前後センサ51a及び左右センサ51bと、それら各センサ51a,51bの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0032】
前後センサ51aは、操作レバーの前後方向(矢印F−B方向、図1参照)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、前後センサ51aの検出結果に基づいて、回転駆動装置52を駆動制御する。これにより、乗員車両10は、乗員Pが指示した進行方向および走行速度で走行される。
【0033】
左右センサ51bは、操作レバーの左右方向(矢印L−R方向、図1参照)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、左右センサ51bの検出結果に基づいて、回転駆動装置52及びアクチュエータ装置53をそれぞれ駆動制御する。これにより、乗員車両10は、乗員が指示した旋回方向および旋回半径で旋回される。
【0034】
即ち、操作レバーが左右方向に操作されると、CPU71は、左右センサ51bの検出結果に基づいて、旋回方向と旋回半径とを判断し、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角が付与されるように、アクチュエータ装置53を駆動制御すると共に(図5(b)参照)、旋回半径に応じて左右の車輪12L,12Rが差動されるように、回転駆動装置52を駆動制御する。なお、このように、本実施の形態では、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与してキャンバースラストを発生させることで、乗員車両10を旋回させる。よって、左右の車輪12L,12Rの中心線は互いに平行に保持されており、左右に操舵されることはない。但し、操舵機構を設けても良い。
【0035】
回転駆動装置52は、左右の車輪12L,12Rを回転駆動させるための駆動装置であり、左の車輪12Lに回転駆動力を付与するLモータ52Lと、右の車輪12Rに回転駆動力を付与するRモータ52Rと、それら各モータ52L,52RをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えて構成されている。なお、本実施の形態では、各モータ52L,52Rが電動モータで構成されると共に、各車輪12L,12Rごとにインホイールモータとして配設されている。このように、Lモータ52L及びRモータ52Rが左右の車輪12L,12Rにそれぞれ回転駆動力を付与するように構成することで、例えば、デファレンシャル装置を設けると共にそのデファレンシャル装置と左右の車輪12L,12Rとを等速ジョイントで連結するといった複雑な構成を設けることなく、左右の車輪12L,12Rを差動させることができる。
【0036】
アクチュエータ装置53は、車輪支持装置30を傾斜させるための駆動装置であり、車輪支持装置30の前方側(図4参照、矢印F側)に配設されるFアクチュエータ53Fと車輪支持装置30の後方側(図4参照、矢印B側)に配設されるBアクチュエータ53Bと、それら各アクチュエータ53F,53BをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、各アクチュエータ53F,53Bが伸縮式の電動アクチュエータ、即ち、ボールねじ機構(外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有しねじ軸に嵌合されるナットと、それらナットとねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、ねじ軸又はナットを回転駆動する電動モータとを備え、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動されることで、ねじ軸とナットとが相対移動する機構)を利用した伸縮可能な電動アクチュエータとして構成されている。
【0037】
情報通信装置54は、上述したように、乗員Pがジョイスティック装置51により指示した乗員車両10の走行状態など各種の情報を所定距離内に存在する他車両(例えば、ボデー車両110)と送受信するための装置であり、赤外線により情報の送受信を行うための赤外線ポート54aと、その赤外線ポート54aにより送受信した情報をCPU71に出力するための処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0038】
位置情報検出装置55は、所定距離内に存在する他車両(例えば、ボデー車両110)との相対位置を検出するための装置であり、超音波により他車両との相対位置および相対距離を検出するための超音波センサ55aと、その超音波センサ55aの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0039】
姿勢検出装置56は、乗員部11の傾斜角を検出するための装置であり、乗員部11の角速度および傾斜角を検出するためのジャイロセンサ56aと、そのジャイロセンサ56aの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0040】
なお、図2に示す他の入出力装置57としては、例えば、乗員車両10の走行速度や走行距離などを検出する検出装置(図示せず)、その検出装置により検出された走行速度や走行距離などを表示して乗員Pに報知する表示装置(図示せず)、或いは、乗員車両10に作用する加速度を検出する加速度センサ(図示せず)などが例示される。
【0041】
次に、図3及び図4を参照して、車輪支持装置30について説明する。図3は、車輪支持装置30の正面図であり、図4は、車輪支持装置30の上面図である。なお、図3では、理解を容易とするために図面を簡略化してフットレスト11cの図示が省略されていると共に、左右の車輪12L,12Rが断面視されている。また、図4では、乗員部11の図示が省略されていると共に、乗員部支持部材40の一部および左右の車輪12L,12Rが断面視されている。
【0042】
車輪支持装置30は、上述したように、左右の車輪12L,12Rを支持するための装置であり、図3及び図4に示すように、Rモータ52R及びLモータ52Lと、それらRモータ52R及びLモータ52Lに両端が軸支される上部リンク31と、その上部リンク31と同様に、Rモータ52R及びLモータ52Lに両端が軸支される下部リンク32とを主に備えて構成されている。
【0043】
Rモータ52Rは、上述したように、右の車輪12Rに回転駆動力を付与するための駆動装置であり、図3及び図4に示すように、乗員車両10の外方側(矢印R側)にはハブ52aが、乗員車両10の内方側(矢印L側)には上部軸支プレート52b及び下部軸支プレート52cが、それぞれ配設されている。なお、Rモータ52RとLモータ52Lとは互いに同一の構成であるため、Lモータ52Lについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
ハブ52aは、右の車輪12Rのホイール12Raがハブナット及びハブボルトにより締結固定される部位であり、Rモータ52Rの駆動軸の軸心と同心の円板状体に形成されている。Rモータ52Rの駆動軸が回転駆動されると、その回転が、ハブ52aを介して、ホイール12Raに伝達され、その結果、右の車輪12Rが回転駆動される。
【0045】
上部軸支プレート52b及び下部軸支プレート52cは、上部リンク31及び下部リンク32の端部をそれぞれ軸支するための部材であり、図3及び図4に示すように、Rモータ52Rの側面(矢印L側面)に溶接固定されている。
【0046】
上部リンク31及び下部リンク32は、Rモータ52R及びLモータ52Lと共に4節の平行リンク機構を構成するための部材であり、正面視略矩形状の板状体として、互いに同一の形状で構成されている。上述のように構成された車輪支持装置30によれば、上部リンク31の両端がRモータ52R及びLモータ52Lの上部軸支プレート52bにそれぞれ回転可能に軸支され、その上部リンク31と同様に、下部リンク32の両端がRモータ52R及びLモータ52Lの下部軸支プレート52cにそれぞれ回転可能に軸支されることで、それら上部リンク31及び下部リンク32とRモータ52R及びLモータ52Lとにより、車輪支持装置30が4節の平行リンク機構として構成される。よって、車輪支持装置30を傾斜させることで、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与することができる。
【0047】
このように、Rモータ52R及びLモータ52Lが回転駆動装置52と車輪支持装置30とを兼用する構成としたので、部品点数を低減して、構造を簡素化することができる。その結果、軽量化や部品・組立コストの削減を図ることができる。
【0048】
また、図3及び図4に示すように、車輪支持装置30の前方側(矢印F側)及び後方側(矢印B側)には、Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bがそれぞれ配設されている。Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bは、上述したように、車輪支持装置30を傾斜させるための駆動装置であり、その両端が車輪支持装置30の互いに隣り合わない関節部に接続されている。
【0049】
即ち、図3及び図4に示すように、Fアクチュエータ53Fは、その下端(本体部側)がRモータ52Rの下部軸支プレート52cに支持軸80Fcを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)がLモータ52Lの上部軸支プレート52bに支持軸80Fbを介して軸支される。これにより、Fアクチュエータ53Fが車輪支持装置30の対角線上にたすき掛けされる。
【0050】
また、図4に示すように、Bアクチュエータ53Bは、その下端(本体部側)がLモータ52Lの下部軸支プレート52cに支持軸80Bdを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)がRモータ52Rの上部軸支プレート52bに支持軸80Baを介して軸支される。これにより、Bアクチュエータ53Bが車輪支持装置30の対角線上にたすき掛けされる。即ち、Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bが互いに交差する向きに配置される。
【0051】
このように、Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bを互いに交差する向きに配置する構成としたので、互いに同じ向きに配置する場合と比較して、車輪支持装置30をいずれの方向に対しても均等な駆動力で傾斜させることができ、傾斜駆動の安定化を図ることができる。なお、本実施の形態では、2個のアクチュエータ(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)により車輪支持装置30を傾斜させる構成としたが、2個のアクチュエータ(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の内のいずれか1のアクチュエータのみで構成しても良い。
【0052】
また、図3及び図4に示すように、車輪支持装置30の前方側(矢印F側)及び後方側(矢印B側)には、ばね60F,60Bがそれぞれ配設されている。ばね60F,60Bは、車輪支持装置30がいずれの方向へ傾斜された場合でも、その車輪支持装置30に付勢力を付勢して中立位置へ復帰させるための部材であり、金属製のコイルスプリングとして、互いに同一の形状で構成されている。
【0053】
これらばね60F,60Bは、上述したFアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bの場合と同様に、その両端が車輪支持装置30の互いに隣り合わない関節部に接続されている。
【0054】
即ち、図3及び図4に示すように、ばね60Fは、その下端側がLモータ52Lの下部軸支プレート52cに支持軸80Fdを介して軸支される一方、その上端側がRモータ52Rの上部軸支プレート52bに支持軸80Faを介して軸支される。これにより、ばね60FがFアクチュエータ53Fと直交しつつ、車輪支持装置30の対角線上にたすき掛けされる。
【0055】
また、図4に示すように、ばね60Bは、その下端がRモータ52Rの下部軸支プレート52cに支持軸80Bcを介して軸支される一方、その上端側がLモータ52Lの上部軸支プレート52bに支持軸80Bbを介して軸支される。これにより、ばね60BがBアクチュエータ53Bと直交しつつ、車輪支持装置30の対角線上にたすき掛けされる。
【0056】
このように、ばね60F,60Bを備え、車輪支持装置30がいずれの方向へ傾斜される場合でも、その車輪支持装置30へ付勢力を付勢して中立位置へ復帰させることができるので、Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53Bを常時駆動して車輪支持装置30を中立位置に保持することを不要とすることができる。よって、車輪支持装置30を中立位置に保持するための制御及び駆動を不要として、制御コスト及び駆動コストの削減を図ることができる。
【0057】
次に、図3及び図4を参照して、乗員部支持部材40について説明する。乗員部支持部材40は、上述したように、車輪支持装置30と乗員部11とを連結する部材であり、図3及び図4に示すように、第1部材41と第2部材42とを備えている。第1部材41は、車輪支持装置30の上部リンク31及び下部リンク32に軸支される部材であり、鉄鋼材料から図3及び図4の矢印L方向視(又は、矢印R方向視)略U字状に形成され、その上端部が第2部材42に接続されている。第2部材42は、乗員部11(座席11a)を底面側(矢印D側、図3参照)から支持するための部材であり、鉄鋼材料から正面視略U字状に形成されている。
【0058】
この乗員部支持部材40によれば、第1部材41が上部リンク31及び下部リンク32の略中央部に回転可能に軸支されることで、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11を傾斜させることができる(図5(b)参照)。
【0059】
次に、図5を参照して、上述のように構成された車輪支持装置30の動作について説明する。図5は、車輪支持装置30の傾斜動作を説明するための模式図であり、車輪支持装置30の正面図に対応し、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。なお、図5では、Lモータ52L及びRモータ52R等が模式的に図示されると共に、ばね60F,60B等の図示が省略されている。
【0060】
図5(a)に示すように、車輪支持装置30が中立位置にある場合には、左右の車輪12L,12Rのキャンバー角は0°である。また、車体支持部材40の傾斜角も0°である。そして、Fアクチュエータ53Fが伸長駆動されると、図5(b)に示すように、車輪支持装置30が傾斜され、左右の車輪12L,12Rに所定のキャンバー角θR,θLが付与されると共に、車体支持部材40に所定の傾斜角θAが付与される。なお、本実施の形態では、車輪支持装置30が平行リンク機構として構成されているので、キャンバー角θR,θLと傾斜角θAとは全て同値となる。
【0061】
次に、図1に戻って、ボデー車両110の詳細構成について説明する。ボデー車両110は、乗員車両10の乗員部11を覆い乗員部11に乗車した乗員Pを保護するためのボデー111と、そのボデー111を支持する左右の車輪112L,112Rとを主に備えて構成されている。
【0062】
ボデー111は、図1に示すように、上枠部材111a、下枠部材111b及び4本の側柱部材111cを主に備えている。上枠部材111aは、ボデー111の天井部分の骨格をなす部材であり、鉄鋼材料から矩形枠状体に構成されている。下枠部材111bは、ボデー111の床部分の骨格をなす部材であり、鉄鋼材料から矩形枠状体に構成されている。側柱部材111cは、上枠部材111a及び下枠部材111bと共に4節の平行リンク機構を構成するための部材であり、正面視略矩形状の柱状体として、それぞれ同一の形状で構成されている。上述のように構成されたボデー111によれば、側柱部材111cの両端が上枠部材111a及び下枠部材111bの前面側(矢印F側)両端部および後面側(矢印B側)両端部にそれぞれ回転可能に軸支されることで、それら側柱部材111cと上枠部材111a及び下枠部材111bとにより、ボデー111が4節の平行リンク機構として構成される。
【0063】
また、このボデー111の上面側(矢印U側)及び前面側(矢印F側)には、透明な合成樹脂から構成される平板111d,111eが設けられており、この平板111d,111eにより乗員Pを風雨等の被害から保護することができる。なお、平板111eは、上枠部材111aのみに固定され、ボデー111の幅寸法よりも大きい幅寸法で形成されている。これにより、ボデー111の変形を可能としつつ、ボデー111が変形した場合でも、乗員Pを風雨の被害から保護することができる。
【0064】
更に、図1に示すように、ボデー111には、Cアクチュエータ153Cが配設されている。Cアクチュエータ153Cは、ボデー111を変形させるための駆動装置であり(図9(b)参照)、その両端がボデー111の互いに隣り合う節に接続されている。
【0065】
即ち、図1に示すように、Cアクチュエータ153Cは、その下端(本体部側)が4本の側柱部材111cの内の1の側柱部材111cに支持軸180aを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)が上枠部材111aに支持軸(図示せず)を介して軸支される。
【0066】
左右の車輪112L,112Rは、後述する車輪支持装置130に支持されており、その車輪支持装置130が後述する連結部材140を介して、ボデー111に連結されている(図9参照)。なお、詳細構成については、後に説明する。
【0067】
次に、図6を参照して、ボデー車両110の電気的構成について説明する。図6は、ボデー車両110の電気的構成を示したブロック図である。制御装置170は、ボデー車両110の各部を制御するための制御装置であり、図6に示すように、CPU171、ROM172及びRAM173を備え、これらはバスライン174を介して入出力ポート175に接続されている。また、入出力ポート175には、ボデー変形装置153等の複数の装置が接続されている。
【0068】
CPU171は、バスライン174により接続された各部を制御する演算装置である。ROM172は、CPU171により実行される制御プログラム(例えば、図11に図示される旋回制御処理のフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM173は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0069】
回転駆動装置152は、左右の車輪112L,112Rを回転駆動させるための駆動装置であり、左の車輪112Lに回転駆動力を付与するLモータ152Lと、右の車輪112Rに回転駆動力を付与するRモータ152Rと、それら各モータ152L,152RをCPU171からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路及び駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えて構成されている。なお、本実施の形態では、Lモータ152L及びRモータ152Rが電動モータで構成されると共に、各車輪112L,112Rごとにインホイールモータとして配設されている。このように、Lモータ152L及びRモータ152Rが左右の車輪112L,112Rにそれぞれ回転駆動力を付与するように構成することで、例えば、デファレンシャル装置を設けると共にそのデファレンシャル装置と左右の車輪112L,112Rとを等速ジョイントで連結するといった複雑な構成を設けることなく、左右の車輪112L,112Rを差動させることができる。
【0070】
ボデー変形装置153は、ボデー111を変形させるための駆動装置であり、ボデー111に配設されるCアクチュエータ153Cと(図1参照)、そのCアクチュエータ153CをCPU171からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路及び駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、Cアクチュエータ153Cが伸縮式の電動アクチュエータ、即ち、ボールねじ機構(外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有しねじ軸に嵌合されるナットと、それらナットとねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、ねじ軸又はナットを回転駆動する電動モータとを備え、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動されることで、ねじ軸とナットとが相対移動する機構)を利用した伸縮可能な電動アクチュエータとして構成されている。
【0071】
情報通信装置154は、上述したように、乗員Pがジョイスティック装置51により指示した乗員車両10の走行状態など各種の情報を所定距離内に存在する他車両(例えば、乗員車両10)と送受信するための装置であり、赤外線により情報の送受信を行うための赤外線ポート154aと、その赤外線ポート154aにより送受信した情報をCPU171に出力するための処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0072】
位置情報検出装置155は、所定距離内に存在する他車両(例えば、乗員車両10)との相対位置を検出するための装置であり、超音波により他車両との相対位置および相対距離を検出するための超音波センサ155aと、その超音波センサ155aの検出結果を処理してCPU171に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0073】
なお、図6に示す他の入出力装置157としては、例えば、ボデー車両110の走行速度や走行距離などを検出する検出装置(図示せず)や、ボデー車両110に作用する加速度を検出する加速度センサ(図示せず)などが例示される。
【0074】
次に、図7を参照して、車輪支持装置130について説明する。図7(a)は、車輪支持装置130の正面図であり、図7(b)は、車輪支持装置130の上面図である。なお、図7(a)では、理解を容易とするために図面を簡略化してボデー111の図示が省略されていると共に、左右の車輪112L,112Rが断面視されている。また、図7(b)では、ボデー111の図示が省略されていると共に、連結部材140の一部および左右の車輪12L,12Rが断面視されている。
【0075】
車輪支持装置130は、上述したように、左右の車輪112L,112Rを支持するための装置であり、図7に示すように、Rモータ152R及びLモータ152Lと、それらRモータ152R及びLモータ152Lに両端が軸支される上部リンク131と、その上部リンク131と同様に、Rモータ152R及びLモータ152Lに両端が軸支される下部リンク132とを主に備えて構成されている。
【0076】
Rモータ152Rは、上述したように、右の車輪112Rに回転駆動力を付与するための駆動装置であり、図7に示すように、ボデー車両110の外方側(矢印R側)にはハブ152aが、ボデー車両110の内方側(矢印L側)には上部軸支プレート152b及び下部軸支プレート152cが、それぞれ配設されている。なお、Rモータ152RとLモータ152Lとは互いに同一の構成であるため、Lモータ152Lについては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
ハブ152aは、右の車輪112Rのホイール112Raがハブナット及びハブボルトにより締結固定される部位であり、Rモータ152Rの駆動軸の軸心と同心の円板状に形成されている。Rモータ152Rの駆動軸が回転駆動されると、その回転が、ハブ152aを介して、ホイール112Ra伝達され、その結果、右の車輪112Rが回転駆動される。
【0078】
上部軸支プレート152b及び下部軸支プレート152cは、上部リンク131及び下部リンク132の端部をそれぞれ軸支するための部材であり、図7に示すように、Rモータ152Rの側面(矢印L側面)に溶接固定されている。
【0079】
上部リンク131及び下部リンク132は、Rモータ152R及びLモータ152Lと共に4節の平行リンク機構を構成するための部材であり、正面視略矩形状の板状体として、互いに同一の形状で構成されている。上述のように構成された車輪支持装置130によれば、上部リンク131の両端がRモータ152R及びLモータ152Lの上部軸支プレート152bにそれぞれ回転可能に軸支され、その上部リンク131と同様に、下部リンク132の両端がRモータ152R及びLモータ152Lの下部軸支プレート152cにそれぞれ回転可能に軸支されることで、それら上部リンク131及び下部リンク132とRモータ152R及びLモータ152Lとにより、車輪支持装置130が4節の平行リンク機構として構成される。よって、車輪支持装置130を傾斜させることで、左右の車輪112L,112Rにキャンバー角を付与することができる。
【0080】
このように、Rモータ152R及びLモータ152Lが回転駆動装置152と車輪支持装置130とを兼用する構成としたので、部品点数を低減して、構造を簡素化することができる。その結果、軽量化や部品・組立コストの削減を図ることができる。
【0081】
次に、図8を参照して、連結部材140について説明する。図8(a)は、連結部材140の正面図であり、図8(b)は、連結部材140の側面図である。連結部材140は、上述したように、車輪支持装置130とボデー111とを連結する部材であり、図8に示すように、第1部材141と第2部材142とを備えている。第1部材141は、車輪支持装置130の上部リンク131及び下部リンク132に軸支される部材であり、図8(b)に示すように、側面視略U字状に形成され、その上端部が第2部材142に接続されている。なお、図8(a)に示すように、第1部材141の上方(矢印U側)に穿設される貫通孔141aは、上部リンク131に軸支される部位であり、第1部材141の下方(矢印D側)に穿設される貫通孔141bは、下部リンク132に軸支される部位である。
【0082】
第2部材142は、ボデー111(上枠部材111a及び下枠部材111b)に軸支される部材であり、側面視略T字状に形成されている。なお、図8(a)に示すように、第2部材142の上方(矢印U側)に穿設される貫通孔142aは、ボデー111の上枠部材111aに軸支される部位であり、第2部材142の下方(矢印D側)に穿設される貫通孔142bは、ボデー111の下枠部材111bに軸支される部位である。
【0083】
この連結部材140によれば、第1部材141が上部リンク131及び下部リンク132の略中央部に回転可能に軸支されると共に、第2部材142がボデー111の上枠部材111a及び下枠部材111bに回転可能に軸支されることで、ボデー111の変形に伴って、車輪支持装置130を傾斜させることができ、その結果、左右の車輪112L,112Rにキャンバー角を付与することができる(図9(b)参照)。
【0084】
次に、図9を参照して、上述のように構成された車輪支持装置130の動作について説明する。図9は、車輪支持装置130の傾斜動作を説明するための模式図であり、車輪支持装置130の正面図に対応し、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。なお、図9では、Lモータ152L及びRモータ152R等が模式的に図示されると共に、平板111d,111e等の図示が省略されている。
【0085】
図9(a)に示すように、ボデー111が中立位置にある場合には、連結部材140の傾斜角は0°である。また、車輪支持装置130の傾斜角も0°となり、左右の車輪112L,112Rのキャンバー角は0°となる。そして、Cアクチュエータ153Cが伸長駆動されると、図9(b)に示すように、ボデー111に所定の傾斜角θBが付与されると共に、連結部材140にも同等の傾斜角θBが付与される。これにより、車輪支持装置130が傾斜され、左右の車輪112L,112Rに所定のキャンバー角θR,θLが付与される。なお、本実施の形態では、車輪支持装置130が平行リンク機構として構成されているので、キャンバー角θR,θLと傾斜角θBとは全て同値となる。
【0086】
次に、図10を参照して、乗員車両10の制御装置70で実行される処理について説明する。図10は、乗員車両10の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図10の説明においては、図12を適宜参照して説明する。図12(a)は、連係車両1の正面図であり、左旋回中の状態を示している。また、図12(b)は、ボデー車両のボデーが変形しない連係車両の正面図であり、図12(a)と同様に、左旋回中の状態を示している。即ち、図12(a)及び図12(b)は共に、紙面手前側へ向けて前進走行しつつ、紙面右側へ向けて旋回している状態を示している。なお、図12(b)では、ボデー車両のボデーが模式的に図示されている。また、図12(a)では、理解を容易とするために図面を簡素化して平板111d,111eの図示が省略されていると共に、主要な構成のみに符号を付している。
【0087】
図10に示す旋回制御処理は、制御装置70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU71は、旋回制御処理に関し、まず、ボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行うのか否か、即ち、走行切替スイッチ50がオンされているか否かを判断する(S11)。その結果、走行切替スイッチ50がオンされていない、即ち、オフされていると判断される場合には(S11:No)、ボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行わないということであるので、この旋回制御処理を終了する。
【0088】
一方、S11の処理において、走行切替スイッチ50がオンされていると判断される場合には(S11:Yes)、ボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行うということであるので、次いで、ボデー車両110との相対位置を位置情報検出装置55により検出し(S12)、S13以降の処理へ移行する。
【0089】
次いで、乗員Pによる旋回指示があるか否か、即ち、ジョイスティック装置51(操作レバー)が左右方向に操作されているか否かを判断する(S13)。その結果、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていないと判断される場合には(S13:No)、乗員Pによる旋回指示がないということであるので、この旋回制御処理を終了する。なお、ジョイスティック装置51の左右方向への操作は、上述したように、左右センサ51bにより検出される。
【0090】
一方、S13の処理において、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていると判断される場合には(S13:Yes)、乗員Pによる旋回指示があるということであるので、次いで、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とを前後センサ51a及び左右センサ51bにより検出し(S14,S15)、S16以降の処理へ移行する。
【0091】
S16以降の処理では、まず、S14及びS15の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出する(S16)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度で乗員車両10が走行できるように、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径で乗員車両10が旋回できるように、Lモータ52LとRモータ52Rとの差動(左右の車輪12L,12Rの回転数差)を算出する。
【0092】
次いで、S14及びS15の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両10を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S17)。但し、本実施の形態では、上述したように、乗員部11の傾斜角θAとキャンバー角θR,θLとが全て同値となるため(図5(b)参照)、キャンバー角θR又はキャンバー角θLを算出しても良い。なお、乗員車両10に発生する遠心力の算出式や乗員部11の傾斜角θAの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0093】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両10が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S18)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S18:Yes)、S20の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両10の転倒を招く傾斜角である場合には(S18:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両10の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S19)、S20以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両10の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0094】
S20以降の処理では、まず、S14及びS15の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、ボデー車両110のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数を算出する(S20)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度でボデー車両110が走行できるように、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径でボデー車両110が旋回できるように、Lモータ152LとRモータ152Rとの差動(左右の車輪112L,112Rの回転数差)を算出する。
【0095】
次いで、S17又はS19の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー111の傾斜角θB(図9(b)参照)を算出する(S21)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー111の傾斜角θBの算出は、ROM72内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー111の傾斜角θBとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー111の傾斜角θBは、ボデー111を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー111の最大傾斜角として設定されている。
【0096】
ボデー111の傾斜角θBを算出した後は、S12の処理で検出したボデー車両110との相対位置に基づいて、算出したボデー111の傾斜角θBで乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S22)。なお、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、乗員部11とボデー111との相対傾斜角が、ROM72内に予め記憶された乗員部11とボデー111との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー111とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0097】
S22の処理の結果、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S22:Yes)、S24以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S22:No)、S12の処理で検出したボデー車両110との相対位置に基づいて、ボデー111の傾斜角θBを再算出した後(S23)、S24以降の処理へ移行する。なお、ボデー車両110との相対位置に基づくボデー111の傾斜角θBの再算出は、ROM72内に予め記憶されたボデー車両110との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S21の処理で算出したボデー111の傾斜角θBに補正係数を乗じることで行われる。
【0098】
S24以降の処理では、まず、S20の処理で算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、S21又はS23の処理で算出したボデー111の傾斜角θBとを情報通信装置54によりボデー車両110へ送信する(S24)。次いで、S16の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S25)、S17又はS19の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S26)、この旋回制御処理を終了する。
【0099】
これにより、左右の車輪12L,12Rを差動させることができると共に、図12(a)に示すように、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与して左右の車輪12L,12Rにキャンバースラストを発生させることができるので、乗員Pによる旋回指示に基づいて、乗員車両10を旋回させることができる。
【0100】
また、この場合には、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11に連結される乗員部支持部材40を、左右の車輪12L,12Rの傾斜と同時に、かかる左右の車輪12L,12Rと同方向へ傾斜させることができる。これにより、図12(a)に示すように、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させ、乗員車両10の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、遠心力(図12の矢印A)に対する対抗力を増加させることができ、旋回内輪(図12(a)では左の車輪12L)の浮き上がりを防止することができる。その結果、乗員車両10の旋回性能の向上を図ることができる。
【0101】
次に、図11を参照して、ボデー車両110の制御装置170で実行される処理について説明する。図11は、ボデー車両110の制御装置170で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図11の説明においては、図10の場合と同様に、図12を適宜参照して説明する。
【0102】
図11に示す旋回制御処理は、制御装置170の電源が投入されている間、CPU171によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU171は、旋回制御処理に関し、まず、情報通信装置154により、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S31)。その結果、受信していないと判断される場合には(S31:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0103】
一方、S31の処理において、受信したと判断される場合には(S31:Yes)、次いで、S31の処理で受信したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S32)、S31の処理で受信したボデー111の傾斜角θBに基づいて、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S33)、この旋回制御処理を終了する。
【0104】
これにより、図12(a)に示すように、ボデー111を変形させることができるので、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させて旋回する乗員車両10と連係走行する場合でも、乗員車両10の乗員部11の傾斜に伴ってボデー111を変形させることで、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避することができる。従って、乗員車両10の乗員部11を必要な分だけ旋回内輪側へ傾斜させることができるので、その分、乗員車両10の旋回性能の向上を図ることができる。ここで、ボデー111が変形しない場合には、図12(b)のB部に示すように、乗員部11とボデー111とが接触する又は接触する恐れがある。
【0105】
また、この場合には、ボデー111の変形に伴って、車輪支持装置130に連結される連結部材140を、ボデー111の変形と同時に、かかるボデー111と同方向へ傾斜させることができる。これにより、左右の車輪112L,112Rにキャンバー角を付与して左右の車輪112L,112Rにキャンバースラストを発生させることができるので、ボデー車両110を旋回させることができる。更に、ボデー111の変形に伴って、左右の車輪112L,112Rにキャンバー角が付与されるので、左右の車輪112L,112Rを傾斜させるためのアクチュエータ装置が不要となり、その分、構造の簡略化を図ることができる。
【0106】
上述したように、本実施の形態におけるボデー車両110によれば、ボデー111が4節の平行リンク機構で構成されると共に、その4節の平行リンク機構がボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)により傾斜されることでボデー111が変形するので、ボデー111を変形させるための構造を簡略化することができる。即ち、ボデー111を4節の平行リンク機構で構成することにより、少なくとも1のアクチュエータ(Cアクチュエータ153C)のみがあれば、ボデー111を変形させることが可能となる。その結果、車両重量の低減を図ることができると共に、部品コストや組立コストといった車両コストの削減を図ることができる。
【0107】
また、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)により4節の平行リンク機構を傾斜させることでボデー111を変形させるので、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)を乗員車両10の旋回操作に応じて駆動制御することにより、乗員車両10の乗員部11の傾斜とボデー111の変形とのタイムラグを抑制することができる。
【0108】
更に、乗員車両10がボデー車両110のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを算出する構成としたので、ボデー車両110は、情報通信装置154によりボデー111の傾斜角θBを受信するだけで、自らボデー111の傾斜角θBを算出する必要なく、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)を駆動制御することができる。従って、ボデー車両110の制御負担の軽減を図ることができる。
【0109】
次に、図13及び図14を参照して、第2実施の形態について説明する。図13は、第2実施の形態における乗員車両10の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートであり、図14は、第2実施の形態におけるボデー車両110の制御装置170で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0110】
第1実施の形態では、乗員車両10がボデー車両110のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを算出する場合を説明したが、第2実施の形態では、ボデー車両110が自らLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを算出する。なお、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0111】
まず、図13を参照して、乗員車両10の旋回制御処理について説明する。第2実施の形態では、S18又はS19の処理を実行した後、S220以降の処理を実行する。
【0112】
S220以降の処理では、まず、S14及びS15の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)と、S17又はS19の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAとを情報通信装置54によりボデー車両110へ送信する(S220)。
【0113】
次いで、S16の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S221)、S17又はS19の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S222)、この旋回制御処理を終了する。
【0114】
次に、図14を参照して、ボデー車両110の旋回制御処理について説明する。第2実施の形態では、まず、情報通信装置154により、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)と、乗員部11の傾斜角θAとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S231)。その結果、受信していないと判断される場合には(S231:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0115】
一方、S231の処理において、受信したと判断される場合には(S231:Yes)、次いで、乗員車両10との相対位置を位置情報検出装置155により検出し(S232)、S233以降の処理へ移行する。
【0116】
S233以降の処理では、まず、S231の処理で受信したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数を算出する(S233)。
【0117】
次いで、S231の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAと、S232の処理で検出した乗員車両10との相対位置とに基づいて、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S234)。なお、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー111との間隔を算出する算出式(図示せず)を用いて、乗員部11とボデー111との間隔が、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー111との所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー111とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0118】
S234の処理の結果、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S234:Yes)、S238以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S234:No)、S231の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー111の傾斜角θB(図9(b)参照)を算出する(S235)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー111の傾斜角θBの算出は、ROM172内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー111の傾斜角θBとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー111の傾斜角θBは、ボデー111を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー111の最大傾斜角として設定されている。
【0119】
ボデー111の傾斜角θBを算出した後は、S232の処理で検出した乗員車両10との相対位置に基づいて、算出したボデー111の傾斜角θBで乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S236)。なお、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、乗員部11とボデー111との相対傾斜角が、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー111との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー111とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0120】
S236の処理の結果、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S236:Yes)、S238以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S236:No)、S232の処理で検出した乗員車両10との相対位置に基づいて、ボデー111の傾斜角θBを再算出した後(S237)、S238以降の処理へ移行する。なお、乗員車両10との相対位置に基づくボデー111の傾斜角θBの再算出は、ROM172内に予め記憶された乗員車両10との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S235の処理で算出したボデー111の傾斜角θBに補正係数を乗じることで行われる。
【0121】
S238以降の処理では、S233の処理において算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S238)、S235又はS237の処理で算出したボデー111の傾斜角θBに基づいて、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S239)、この旋回制御処理を終了する。なお、S235又はS237の処理をスキップした場合には、S239の処理でのボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)の駆動制御は行わない。
【0122】
上述したように、本実施の形態におけるボデー車両110によれば、ボデー車両110が自らLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを算出する構成としたので、ボデー車両110は、乗員車両10による乗員部11の傾斜角θAの算出と並行して、ボデー111の傾斜角θBを算出することができる。これにより、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)とボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)との駆動制御におけるタイムラグを抑制することができる。
【0123】
また、位置情報検出装置155により検出した乗員車両10との相対位置と、情報通信装置154により受信したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否か(乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下であるか否か)を接触判断手段(S234)により判断すると、その接触判断手段(S234)により乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できない(乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下である)と判断された場合に(S234:No)、ボデー111が変形する。これにより、不必要にボデー111を変形させることを防止して、制御コストの削減を図ることができる。また、接触判断手段(S234)により乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できない(乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下である)と判断された場合のみボデー111を傾斜させるので、その分、ボデー111の耐久性の向上を図ることができる。
【0124】
更に、情報受信手段154により受信した乗員部11の傾斜角θAに応じてボデー111の傾斜角θBを算出し、ボデー111を変形させることができるので、乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを高精度に回避することができる。
【0125】
次に、図15から図17を参照して、第3実施の形態について説明する。図15は、第3実施の形態における連係車両200の正面図であり、図16は、第3実施の形態における乗員車両10の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。図17(a)は、乗員車両210の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートであり、図17(b)は、第3実施の形態におけるボデー車両110の制御装置170で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。なお、図15では、乗員Pが乗員車両10の乗員部11に、乗員Psが乗員車両210の乗員部11に、それぞれ乗車した状態を示している。また、図15では、平板111d,111eの図示が省略されている。
【0126】
第1実施の形態における連係車両1は、1台の乗員車両10とボデー車両110とにより構成され、それら乗員車両10とボデー車両110とが連係走行する場合を説明したが、第3実施の形態における連係車両200は、2台の乗員車両10,210とボデー車両110とにより構成され、それら2台の乗員車両10,210とボデー車両110とが連係走行するように構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、乗員車両10と乗員車両210とは互いに同一の構成であるため、乗員車両210については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0127】
まず、図15を参照して、連係車両200の概略構成について説明する。連係車両200は、乗員Pが乗車する乗員車両10と、乗員Psが乗車する乗員車両210と、それら2台の乗員車両10,210の各乗員部11を覆い各乗員部11に乗車した乗員P,Psを保護するためのボデー111を有するボデー車両110とを備え、それら2台の乗員車両10,210とボデー車両110とが連係走行するように構成されている。
【0128】
なお、乗員車両210は、乗員車両10の情報通信装置54(図2参照)から送信された走行情報(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を情報通信装置54(図2参照)により受信し、その受信した走行情報に基づいて回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R、図2参照)及びアクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B、図2参照)を駆動制御することで、乗員車両10と連係走行することができるように構成されている。
【0129】
次に、図16を参照して、乗員車両10の旋回制御処理について説明する。第3実施の形態では、まず、乗員車両210及びボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行うのか否か、即ち、走行切替スイッチ50がオンされているか否かを判断する(S311)。その結果、走行切替スイッチ50がオンされていない、即ち、オフされていると判断される場合には(S311:No)、乗員車両210及びボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行わないということであるので、この旋回制御処理を終了する。
【0130】
一方、S311の処理において、走行切替スイッチ50がオンされていると判断される場合には(S311:Yes)、乗員車両210及びボデー車両110との連係走行において主導車両としての主導走行を行うということであるので、次いで、乗員車両210及びボデー車両110との相対位置を位置情報検出装置55により検出し(S312)、S313以降の処理へ移行する。
【0131】
次いで、乗員Pによる旋回指示があるか否か、即ち、ジョイスティック装置51(操作レバー)が左右方向に操作されているか否かを判断する(S313)。その結果、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていないと判断される場合には(S313:No)、乗員Pによる旋回指示がないということであるので、この旋回制御処理を終了する。なお、ジョイスティック装置51の左右方向への操作は、上述したように、左右センサ51bにより検出される。
【0132】
一方、S313の処理において、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていると判断される場合には(S313:Yes)、乗員Pによる旋回指示があるということであるので、次いで、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とを前後センサ51aおよび左右センサ51bにより検出し(S314,S315)、S316以降の処理へ移行する。
【0133】
S316以降の処理では、まず、S314及びS315の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を差出する(S316)。なお、本実施の形態では、その算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、乗員車両210のLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、ボデー車両110のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0134】
次いで、S314及びS315の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両10を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S317)。なお、本実施の形態では、その算出した乗員部11の傾斜角θAと、乗員車両210の乗員部11の傾斜角とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0135】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両10,210が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S318)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S318:Yes)、S320の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両10,210の転倒を招く傾斜角である場合には(S318:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両10,210の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S319)、S320以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両10,210の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている。
【0136】
S320以降の処理では、まず、S317又はS319の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー111の傾斜角θB(図9(b)参照)を算出する(S320)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー111の傾斜角θBの算出は、ROM72内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー111の傾斜角θBとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー111の傾斜角θBは、ボデー111を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー111の最大傾斜角として設定されている。
【0137】
ボデー111の傾斜角θBを算出した後は、S312の処理で検出した乗員車両210及びボデー車両110との相対位置に基づいて、算出したボデー111の傾斜角θBで乗員車両10,210の各乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S321)。なお、乗員車両10,210の各乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、各乗員部11とボデー111との相対傾斜角が、ROM72内に予め記憶された各乗員部11とボデー111との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、各乗員部11とボデー111との間隔が所定間隔以下の場合に、各乗員部11とボデー111とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0138】
S321の処理の結果、乗員車両10,210の各乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S321:Yes)、S323以降の処理へ移行するが、乗員車両10,210の各乗員部11とボデー111との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S321:No)、S312の処理で検出した乗員車両210及びボデー車両110との相対位置に基づいて、ボデー111の傾斜角θBを再算出した後(S322)、S323以降の処理へ移行する。なお、乗員車両210及びボデー車両110との相対位置に基づくボデー111の傾斜角θBの再算出は、ROM72内に予め記憶された乗員車両210及びボデー車両110との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S320の処理で算出したボデー111の傾斜角θBに補正係数を乗じることで行われる。
【0139】
S323以降の処理では、まず、S316の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、S317又はS319の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAとを情報通信装置54により乗員車両210へ送信すると共に、S316の処理で算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、S320又はS322の処理で算出したボデー111の傾斜角θBとを情報通信装置54によりのボデー車両110へ送信する(S323)。次いで、S316の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S324)、S317又はS319の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S325)、この旋回制御処理を終了する。
【0140】
次に、図17(a)を参照して、乗員車両210の旋回制御処理について説明する。乗員車両210では、まず、情報通信装置54により、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、乗員部11の傾斜角θAとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S331)。その結果、受信していないと判断される場合には(S331:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0141】
一方、S331の処理において、受信したと判断される場合には(S331:Yes)、次いで、S331の処理で受信したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S332)、S331の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S333)、この旋回制御処理を終了する。
【0142】
次に、図17(b)を参照して、ボデー車両110の旋回制御処理について説明する。第3実施の形態では、まず、情報通信装置154により、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー111の傾斜角θBとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S341)。その結果、受信していないと判断される場合には(S341:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0143】
一方、S341の処理において、受信したと判断される場合には(S341:Yes)、次いで、S341の処理で受信したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S342)、S341の処理で受信したボデー111の傾斜角θBに基づいて、ボデー変形装置153(Cアクチュエータ153C)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S343)、この旋回制御処理を終了する。
【0144】
次に、図18から図25を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態における連係車両1は、1台の乗員車両10とボデー車両110とにより構成され、それら乗員車両10とボデー車両110とが連係走行する場合を説明したが、第4実施の形態における連係車両300は、2台の乗員車両310により構成され、それら2台の乗員車両310が並走し連係走行するように構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0145】
まず、図18を参照して、連係車両300の概略構成について説明する。図18は、第4実施の形態における連係車両300の正面図である。なお、図18では、乗員P,Psが2台の乗員車両310の各乗員部11にそれぞれ乗車した状態を示している。また、図18の矢印U−D,L−R,F−Bは、連係車両300の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0146】
連係車両300は、2台の乗員車両310を備え、それら2台の乗員車両310が連係走行する車両であり、旋回時には、2台の乗員車両310の各乗員部11を旋回内輪側へそれぞれ傾斜させると共に2台の乗員車両310のいずれか一方の乗員車両310(本実施の形態では、矢印R側の乗員車両310)の乗員部11を昇降させることで、各乗員車両310の旋回性能の向上を図りつつ、各乗員P,Psの快適性の向上を図ることができるように構成されている(図25(a)参照)。なお、本実施の形態では、乗員Pが乗車する乗員車両310(矢印L側の乗員車両310)を連係走行において主導走行を行う主導車両とし、乗員Psが乗車する乗員車両310(矢印R側の乗員車両310)を連係走行において従属走行を行う従属車両とする。
【0147】
次に、図19から図21を参照して、乗員車両310の詳細構成について説明する。なお、第1実施の形態における乗員車両10と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0148】
まず、図19を参照して、乗員車両310の電気的構成について説明する。図19は、乗員車両310の電気的構成を示したブロック図である。第4実施の形態における制御装置370は、乗員車両310の各部を制御するための制御装置であり、第1実施の形態における制御装置70に対し、乗員部昇降装置58(UDアクチュエータ58UD)が入出力ポート75に追加して接続されている。
【0149】
乗員部昇降装置58は、後述する乗員部支持部材340の第1部材341及び第2部材342に駆動力を付与して乗員部11を昇降させるための駆動装置であり、乗員部支持部材340(第1部材341及び第2部材342)に配設されるUDアクチュエータ58UDと、そのUDアクチュエータ58UDをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、UDアクチュエータ58UDが伸縮式の電動アクチュエータ、即ち、ボールねじ機構(外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有しねじ軸に嵌合されるナットと、それらナットとねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、ねじ軸又はナットを回転駆動する電動モータとを備え、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動されることで、ねじ軸とナットとが相対移動する機構)を利用した伸縮可能な電動アクチュエータとして構成されている。
【0150】
次に、図20及び図21を参照して、乗員部支持部材340について説明する。図20は、乗員車両310の部分拡大図であり、図21(a)は、乗員部支持部材340の第1部材341の正面図であり、図21(b)は、その第1部材341の側面図である。また、図21(c)は、乗員部支持部材340の第2部材342の正面図であり、図21(d)は、その第2部材342の底面図である。
【0151】
第4実施の形態における乗員部支持部材340は、車輪支持装置30と乗員部11とを連結する部材であり、第1実施の形態における乗員部支持部材40に対し、第1部材341と第2部材342とが分離され別体で構成されている。
【0152】
乗員部支持部材340は、図20に示すように、第1部材341と第2部材342とを備え、第1部材341が車輪支持装置30の上部リンク31及び下部リンク32に軸支されると共に、第2部材342が乗員部11(座席11a)を底面側(矢印D側)から支持する。
【0153】
第1部材341は、図21に示すように、鉄鋼材料から側面視略U字状に形成されるリンク支持部341aと、鉄鋼材料から側面視略逆T字状に形成されるT字状部341bとを備え、それらリンク支持部341aとT字状部341bとが接続され構成されている。また、図21(a)に示すように、T字状部341bには、貫通孔341b1が穿設されている。なお、図21(a)に示すように、リンク支持部341aに穿設される貫通孔341a1,341a2は、上部リンク31及び下部リンク32にそれぞれ軸支される部位である。
【0154】
第2部材342は、図21(c)及び図21(d)に示すように、鉄鋼材料から正面視略U字状に形成される座席支持部342aと、鉄鋼材料から正面視略矩形状に形成される中空の中空部342bとを備え、その中空部342bの一端が座席支持部342aの底面略中央部(図21(d)参照)に接続され構成されている。また、図21(c)に示すように、中空部342bには、貫通孔342b1が穿設されている。なお、中空部342bに、上述した第1部材341のT字状部341bが挿入されることで、第2部材342が第1部材341に摺動可能に支持される(図20参照)。
【0155】
この乗員部支持部材340によれば、第1部材341が上部リンク31及び下部リンク32の略中央部に回転可能に軸支されることで、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11を傾斜させることができる(図25(a)参照)。
【0156】
また、図20に示すように、乗員部支持部材340の前方側(矢印F側)には、UDアクチュエータ58UDが配設されている。UDアクチュエータ58UDは、上述したように、乗員部支持部材340の第1部材341及び第2部材342に駆動力を付与して乗員部11を昇降させるための駆動装置であり、その両端が乗員部支持部材340の第1部材341及び第2部材342にそれぞれ接続されている。
【0157】
即ち、図20に示すように、UDアクチュエータ58UDは、その下端(本体部側)が第1部材341の貫通孔341b1に支持軸380aを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)が第2部材342の貫通孔342b1に支持軸380bを介して軸支される。
【0158】
上述のように構成された乗員部支持部材340によれば、第1部材341及び第2部材342にUDアクチュエータ58UDの駆動力が付与されることで、第1部材341と第2部材342との相対間隔が伸縮され、その結果、乗員部11を昇降させることができる。
【0159】
次に、図22から図24を参照して、乗員車両310の制御装置370で実行される処理について説明する。まず、図22を参照して、乗員車両310の旋回制御処理について説明する。図22は、第4実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0160】
図22に示す旋回制御処理は、制御装置370の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU71は、旋回制御処理に関し、まず、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うのか否か、即ち、走行切替スイッチ50がオンされているか否かを判断する(S411)。その結果、走行切替スイッチ50がオンされていると判断される場合には(S411:Yes)、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うということであるので、主導旋回制御処理を実行し(S412)、この旋回制御処理を終了する。
【0161】
一方、走行切替スイッチ50がオンされていない、即ち、オフされていると判断される場合には(S411:No)、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行わない、即ち、従属車両としての従属走行を行うということであるので、従属旋回制御処理を実行し(S413)、この旋回制御処理を終了する。
【0162】
次に、図23を参照して、乗員車両310の主導旋回制御処理について説明する。図23は、第4実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図23の説明においては、図25を適宜参照して説明する。図25(a)は、連係車両300の正面図であり、左旋回中の状態を示している。また、図25(b)は、従来の連係車両の正面図であり、図25(a)と同様に、左旋回中の状態を示している。即ち、図25(a)及び図25(b)は共に、紙面手前側へ向けて前進走行しつつ、紙面右側へ向けて旋回している状態を示している。なお、図25では、理解を容易とするために、主要な構成のみに符号を付している。
【0163】
図23に示す主導旋回制御処理(S412)は、上述したように、図22に示す旋回制御処理のS411の処理において、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うと判断される場合に(S411:Yes)、実行される処理である。CPU71は、主導旋回制御処理(S412)に関し、まず、乗員Pによる旋回指示があるか否か、即ち、ジョイスティック装置51(操作レバー)が左右方向に操作されているか否かを判断する(S421)。その結果、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていないと判断される場合には(S421:No)、乗員Pによる旋回指示がないということであるので、この主導旋回制御処理を終了する。なお、ジョイスティック装置51の左右方向への操作は、上述したように、左右センサ51bにより検出される。
【0164】
一方、S421の処理において、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていると判断される場合には(S421:Yes)、乗員Pによる旋回指示があるということであるので、次いで、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とを前後センサ51aおよび左右センサ51bにより検出し(S422,S423)、S424以降の処理へ移行する。
【0165】
S424以降の処理では、まず、S422及びS423の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出する(S424)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度で乗員車両310が走行できるように、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径で乗員車両310が旋回できるように、Lモータ52LとRモータ52Rとの差動(左右の車輪12L,12Rの回転数差)を算出する。なお、本実施の形態では、その算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両のLモータ52L及びRモータ52Rの回転数とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0166】
次いで、S422及びS423の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両310を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S425)。なお、乗員車両310に発生する遠心力の算出式や乗員部11の傾斜角θAの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。また、本実施の形態では、その算出した乗員部11の傾斜角θAと、連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両の乗員部11の旋回内輪側への傾斜角とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0167】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両310が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S426)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S426:Yes)、S428の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両310の転倒を招く傾斜角である場合には(S426:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S427)、S428以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0168】
S428以降の処理では、まず、他車両との相対位置を位置情報検出装置55により検出する(S428)。次いで、S425又はS427の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAと、S428の処理で検出した他車両との相対位置とに基づいて、乗員部11の昇降量L(図25(b)参照)を算出する(S429)。なお、乗員部11の昇降量Lの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0169】
乗員部11の昇降量Lを算出した後は、S424の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、S425又はS427の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAと、S429の処理で算出した乗員部11の昇降量Lとを情報通信装置54により連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両へ送信する(S430)。次いで、S424の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S431)、S425又はS427の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S432)、この主導旋回制御処理を終了する。
【0170】
これにより、左右の車輪12L,12Rを差動させることができると共に、図25(a)に示すように、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与して左右の車輪12L,12Rにキャンバースラストを発生させることができるので、乗員Pによる旋回指示に基づいて、乗員車両310を旋回させることができる。
【0171】
また、この場合には、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11に連結される乗員部支持部材340を、左右の車輪12L,12Rの傾斜と同時に、かかる左右の車輪12L,12Rと同方向へ傾斜させることができる。これにより、図25(a)に示すように、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させ、乗員車両310の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、遠心力(図25の矢印A)に対する対抗力を増加させることができ、旋回内輪(図25(a)では左の車輪12L)の浮き上がりを防止することができる。その結果、乗員車両310の旋回性能の向上を図ることができる。
【0172】
次に、図24を参照して、乗員車両310の制御装置370で実行される従属旋回制御処理について説明する。図24は、第4実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図24の説明においては、図23の説明と同様に、図25を適宜参照して説明する。
【0173】
図24に示す従属旋回制御処理(S413)は、上述したように、図22に示す旋回制御処理のS411の処理において、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行わない、即ち、従属車両としての従属走行を行うと判断される場合に(S411:No)、実行される処理である。CPU71は、従属旋回制御処理(S413)に関し、まず、情報通信装置54により、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、乗員部11の傾斜角θAと、乗員部11の昇降量Lとを連係走行において主導車両としての主導走行を行う他車両から受信したか否かを判断する(S441)。その結果、受信していないと判断される場合には(S441:No)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0174】
一方、S441の処理において、受信したと判断される場合には(S441:Yes)、次いで、S441の処理で受信したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52)の駆動制御(回転数の制御)を行う(S442)。その後、S441の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S443)、S441の処理で受信した乗員部11の昇降量Lに基づいて、乗員部昇降装置58(UDアクチュエータ58UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S444)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0175】
これにより、左右の車輪12L,12Rを差動させることができると共に、図25(a)に示すように、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与して左右の車輪12L,12Rにキャンバースラストを発生させることができるので、乗員Pによる旋回指示に基づいて、乗員車両310を旋回させることができる。
【0176】
また、この場合には、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11に連結される乗員部支持部材340を、左右の車輪12L,12Rの傾斜と同時に、かかる左右の車輪12L,12Rと同方向へ傾斜させることができる。これにより、図25(a)に示すように、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させ、乗員車両310の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、遠心力(図25の矢印A)に対する対抗力を増加させることができ、旋回内輪(図25(a)では左の車輪12L)の浮き上がりを防止することができる。その結果、乗員車両310の旋回性能の向上を図ることができる。
【0177】
上述したように、本実施の形態における乗員車両310によれば、図25(a)に示すように、2台の乗員車両310の各乗員部11の相対的な高さ位置、即ち、乗員P,Psが着座するそれぞれの座席11a(座面図11a1)の高さ位置を一致させることができる。よって、旋回性能の向上を図るべく乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させて旋回する2台の乗員車両310が並走し連係走行する場合でも、旋回内側に位置する乗員Pが旋回外側に位置する乗員Psを見下ろす格好、或いは、旋回外側に位置する乗員Psが旋回内側に位置する乗員Pを見上げる格好でコミュニケーションを図らなければならないといった乗員P,Psへの不快感を解消して(図25(a)参照)、乗員P,Psの快適性の向上を図ることができる。
【0178】
また、連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310は、情報通信装置54により受信した旋回情報(本実施の形態では、乗員部11の昇降量L)に応じて、乗員部11を昇降させるので、乗員部11の昇降を乗員部11の傾斜と同期させて行うことができると共に、かかる乗員部11の昇降と乗員部11の傾斜との同期精度を確保することができる。
【0179】
また、連係走行において主導車両としての主導走行を行う乗員車両310が従属車両としての従属走行を行う乗員車両310の乗員部11の昇降量Lを算出する構成としたので、連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310は、情報通信装置54により乗員部11の昇降量Lを受信するだけで、自ら乗員部11の昇降量Lを算出する必要なく、乗員部昇降装置58(UDアクチュエータ58UD)を駆動制御することができる。従って、その分、制御負担の軽減を図ることができる。
【0180】
更に、連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310は、位置情報検出装置55により検出した他車両との相対位置と、情報通信装置54により受信した旋回情報(本実施の形態では、乗員部11の昇降量L)とに応じて、乗員部11を昇降させるので、2台の乗員車両310の相対位置に応じた昇降量Lで乗員部11を昇降させることができ、2台の乗員車両310の各乗員部11の相対的な高さ位置を高精度に一致させることができる。
【0181】
次に、図26及び図27を参照して、第5実施の形態について説明する。図26は、第5実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートであり、図27は、第5実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0182】
第4実施の形態では、連係走行において主導車両としての主導走行を行う乗員車両310が従属車両としての従属走行を行う乗員車両310の乗員部11の昇降量Lを算出する場合を説明したが、第5実施の形態では、連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310が自ら乗員部11の昇降量Lを算出する。なお、第4実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0183】
まず、図26を参照して、乗員車両310の主導旋回制御処理について説明する。第5実施の形態では、S426又はS427の処理を実行した後、S528以降の処理を実行する。
【0184】
S528以降の処理では、まず、S422及びS423の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)を情報通信装置54により連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両へ送信する(S528)。
【0185】
次いで、S424の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S529)、S425又はS427の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S530)、この主導旋回制御処理を終了する。
【0186】
次に、図27を参照して、乗員車両310の従属旋回制御処理について説明する。第5実施の形態では、まず、情報通信装置54により、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)を連係走行において主導車両としての主導走行を行う他車両から受信したか否かを判断する(S541)。その結果、受信していないと判断される場合には(S541:No)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0187】
一方、S541の処理において、受信したと判断される場合には(S541:Yes)、次いで、S541の処理で受信したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出する(S542)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度で乗員車両310が走行できるように、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径で乗員車両310が旋回できるように、Lモータ52LとRモータ52Rとの差動(左右の車輪12L,12Rの回転数差)を算出する。
【0188】
次いで、S541の処理で受信したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両310を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S543)。なお、乗員車両310に発生する遠心力の算出式や乗員部11の傾斜角θAの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0189】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両310が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S544)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S544:Yes)、S546の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両310の転倒を招く傾斜角である場合には(S544:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S545)、S546以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0190】
S546以降の処理では、まず、他車両との相対位置を位置情報検出装置55により検出する(S546)。次いで、S543又はS545の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAと、S546の処理で検出した他車両との相対位置とに応じて、乗員部11の昇降量L(図25(b)参照)を算出する(S547)。なお、乗員部11の昇降量Lの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0191】
乗員部11の昇降量Lを算出した後は、S542の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行う(S548)。次いで、S543又はS545の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S549)、S547の処理で算出した乗員部11の昇降量Lに基づいて、乗員部昇降装置58(UDアクチュエータ58UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S550)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0192】
上述したように、本実施の形態における乗員車両310によれば、連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310が自ら乗員部11の昇降量Lを算出する構成としたので、連係走行において主導車両としての主導走行を行う乗員車両310と制御負担を分担して、乗員部11の昇降と乗員部11の傾斜とのタイムラグを抑制することができる。
【0193】
次に、図28から図35を参照して、第6実施の形態について説明する。第1実施の形態における連係車両1は、ボデー車両110のボデー111がリンク機構として構成され、そのリンク機構を傾斜させることでボデー111を変形させる場合を説明したが、第6実施の形態における連係車両400は、ボデー車両410のボデー411が剛体として構成され、そのボデー411が傾斜および昇降可能に構成されている。なお、第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0194】
まず、図28を参照して、連係車両400の概略構成について説明する。図28(a)は、本発明における車両の一実施の形態であるボデー車両410を有する第6実施の形態における連係車両400の正面図であり、図28(b)は、連係車両400の側面図である。なお、図28では、乗員Pが乗員車両10の乗員部11に乗車した状態を示している。また、図28の矢印U−D,L−R,F−Bは、連係車両400の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0195】
連係車両400は、乗員車両10と、その乗員車両10の乗員部11を覆い乗員部11に乗車した乗員Pを保護するためのボデー411を有するボデー車両410とを備え、それら乗員車両10とボデー車両410とが連係走行する車両であり、旋回時には、乗員車両10の乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させると共にボデー車両410のボデー411を傾斜、かつ、昇降させることで、乗員車両10の旋回性能の向上を図りつつ、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避すると共に、地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができるように構成されている(図35(a)参照)。
【0196】
なお、ボデー車両410は、乗員車両10の情報通信装置54(図2参照)から送信された走行情報(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を情報通信装置154(図29参照)により受信し、その受信した走行情報に基づいて回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R、図29参照)及び後述するアクチュエータ装置159(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B、図29参照)を駆動制御することで、乗員車両10と連係走行することができるように構成されている。
【0197】
次に、図28から図32を参照して、ボデー車両410の詳細構成について説明する。ボデー車両410は、乗員車両10の乗員部11を覆い乗員部11に乗車した乗員Pを保護するためのボデー411と、そのボデー411を支持する左右の車輪112L,112Rとを主に備えて構成されている。なお、第1実施の形態におけるボデー車両110と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0198】
第6実施の形態におけるボデー411は、図28に示すように、鉄鋼材料から略直方体状の矩形枠状体に構成され、剛体として構成されている。また、このボデー411の上面側(矢印U側)及び前面側(矢印F側)には、透明な合成樹脂から構成される平板411a,411bが設けられており、この平板411a,411bにより乗員Pを風雨等の被害から保護することができる。
【0199】
また、図28に示すように、ボデー411には、UDアクチュエータ158UDが配設されている。UDアクチュエータ158UDは、ボデー411を昇降させるための駆動装置であり(図32(b)参照)、その両端がボデー411及び後述する連結部材440にそれぞれ接続されている。
【0200】
即ち、図28に示すように、UDアクチュエータ158UDは、その上端側(ロッド側)がボデー411に支持軸(図示せず)を介して軸支される一方、その下端(本体部側)が連結部材440に支持軸180cを介して軸支されている。
【0201】
上述のように構成されたボデー411によれば、ボデー411及び連結部材440にUDアクチュエータ158UDの駆動力が付与されることで、ボデー411と連結部材440との相対距離が伸縮され、その結果、ボデー411を昇降させることができる。
【0202】
左右の車輪112L,112Rは、後述する車輪支持装置430に支持されており、その車輪支持装置430が連結部材440及びボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)を介して、ボデー411に連結されている(図32参照)。なお、詳細構成については、後に説明する。
【0203】
次に、図29を参照して、ボデー車両410の電気的構成について説明する。図29は、第6実施の形態におけるボデー車両410の電気的構成を示したブロック図である。第6実施の形態における制御装置470は、ボデー車両410の各部を制御するための制御装置であり、第1実施の形態における制御装置170に対し、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)、アクチュエータ装置159(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)、ボデー高さ検出装置176、及び、ボデー傾斜量検出装置177が入出力ポート175に追加して接続されている。
【0204】
ボデー昇降装置158は、ボデー411を昇降させるための駆動装置であり、ボデー411及び連結部材440に配設されるUDアクチュエータ158UDと、そのUDアクチュエータ158UDをCPU171からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。
【0205】
アクチュエータ装置159は、車輪支持装置430を傾斜させるための駆動装置であり、車輪支持装置430の前方側(図30(b)参照、矢印F側)に配設されるFアクチュエータ159Fと車輪支持装置430の後方側(図30(b)参照、矢印B側)に配設されるBアクチュエータ159Bと、それら各アクチュエータ159F,159BをCPU171からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。
【0206】
なお、本実施の形態では、各アクチュエータ158UD,159F,159Bが伸縮式の電動アクチュエータ、即ち、ボールねじ機構(外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、そのねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有しねじ軸に嵌合されるナットと、それらナットとねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、ねじ軸又はナットを回転駆動する電動モータとを備え、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動されることで、ねじ軸とナットとが相対移動する機構)を利用した伸縮可能な電動アクチュエータとして構成されている。
【0207】
ボデー高さ検出装置176は、ボデー411の高さを検出するための装置であり、回転センサ176aと、その回転センサ176aの検出結果を処理してCPU171に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、回転センサ176aがUDアクチュエータ158UDに設けられ、そのUDアクチュエータ158UDにおいて、ねじ軸又はナットが電動モータにより回転駆動される際の回転数を検出する非接触式の回転センサとして構成されている。この回転数は、ねじ軸とナットとの相対変位量に比例するので、CPU171は、回転センサ176aから入力された検出結果(回転数)に基づいて、ボデー411の昇降量からボデー411の高さを得ることができる。
【0208】
ボデー傾斜量検出装置177は、ボデー411の傾斜量を検出するための装置であり、ボデー411の傾斜角を検出するためのジャイロセンサ177aと、そのジャイロセンサ177aの検出結果を処理してCPU171に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
【0209】
次に、図30を参照して、車輪支持装置430について説明する。図30(a)は、車輪支持装置430の正面図であり、図30(b)は、車輪支持装置430の上面図である。なお、図30(a)では、理解を容易とするために図面を簡略化してボデー411の図示が省略されていると共に、左右の車輪112L,112Rが断面視されている。また、図30(b)では、ボデー411の図示が省略されていると共に、連結部材440の一部および左右の車輪112L,112Rが断面視されている。
【0210】
第6実施の形態における車輪支持装置430は、上述したように、左右の車輪112L,112Rを支持するための装置であり、第1実施の形態における車輪支持装置130に対し、車輪支持装置430の前方側(矢印F側)及び後方側(矢印B側)に、Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bと、ばね160F,160Bがそれぞれ追加して配設されている。
【0211】
Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bは、上述したように、車輪支持装置430を傾斜させるための装置であり、図30に示すように、その両端が車輪支持装置430の互いに隣り合わない関節部に接続されている。
【0212】
即ち、図30に示すように、Fアクチュエータ159Fは、その下端(本体部側)がRモータ152Rの下部軸支プレート152cに支持軸180Fcを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)がLモータ152Lの上部軸支プレート152bに支持軸180Fbを介して軸支される。これにより、Fアクチュエータ159Fが車輪支持装置430の対角線上にたすき掛けされる。
【0213】
また、図30(b)に示すように、Bアクチュエータ159Bは、その下端(本体部側)がLモータ152Lの下部軸支プレート152cに支持軸180Bdを介して軸支される一方、その上端側(ロッド側)がRモータ152Rの上部軸支プレート152bに支持軸180Baを介して軸支される。これにより、Bアクチュエータ159Bが車輪支持装置430の対角線上にたすき掛けされる。即ち、Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bが互いに交差する向きに配置される。
【0214】
このように、Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bを互いに交差する向きに配置する構成としたので、互いに同じ向きに配置する場合と比較して、車輪支持装置430をいずれの方向に対しても均等な駆動力で傾斜させることができ、傾斜駆動の安定化を図ることができる。なお、本実施の形態では、2個のアクチュエータ(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)により車輪支持装置430を傾斜させる構成としたが、2個のアクチュエータ(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)の内のいずれか1のアクチュエータのみで構成しても良い。
【0215】
ばね160F,160Bは、車輪支持装置430がいずれの方向へ傾斜された場合でも、その車輪支持装置430に付勢力を付勢して中立位置へ復帰させるための部材であり、金属製のコイルスプリングとして、互いに同一の形状で構成されている。
【0216】
これらばね160F,160Bは、上述したFアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bの場合と同様に、その両端が車輪支持装置430の互いに隣り合わない関節部に接続されている。
【0217】
即ち、図30に示すように、ばね160Fは、その下端側がLモータ152Lの下部軸支プレート152cに支持軸180Fdを介して軸支される一方、その上端側がRモータ152Rの上部軸支プレート152bに支持軸180Faを介して軸支される。これにより、ばね160FがFアクチュエータ159Fと直交しつつ、車輪支持装置430の対角線上にたすき掛けされる。
【0218】
また、図30(b)に示すように、ばね160Bは、その下端がRモータ152Rの下部軸支プレート152cに支持軸180Bcを介して軸支される一方、その上端側がLモータ152Lの上部軸支プレート152bに支持軸180Bbを介して軸支される。これにより、ばね160BがBアクチュエータ159Bと直交しつつ、車輪支持装置430の対角線上にたすき掛けされる。
【0219】
このように、ばね160F,160Bを備え、車輪支持装置430がいずれの方向へ傾斜される場合でも、その車輪支持装置430へ付勢力を付勢して中立位置へ復帰させることができるので、Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159Bを常時駆動して車輪支持装置430を中立位置に保持することを不要とすることができる。よって、車輪支持装置430を中立位置に保持するための制御及び駆動を不要として、制御コスト及び駆動コストの削減を図ることができる。
【0220】
次に、図31を参照して、連結部材440について説明する。図31(a)は、連結部材440の正面図であり、図31(b)は、連結部材440の側面図である。第6実施の形態における連結部材440は、上述したように、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)と共に車輪支持装置430とボデー411とを連結する部材であり、第1実施の形態における連結部材140に対し、第2部材442が異なる形状で構成されている。
【0221】
第2部材442は、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)を介してボデー411を支持するための部材であり、鉄鋼材料から側面視略L字状に形成されている。なお、図31(a)に示すように、第2部材442の上方(矢印U側)に穿設される貫通孔442aは、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)に軸支される部位である。
【0222】
この連結部材440によれば、第1部材141が上部リンク131及び下部リンク132の略中央部に回転可能に軸支されることで、車輪支持装置430の傾斜に伴って、ボデー411を傾斜させることができる(図32(b)参照)。
【0223】
次に、図32を参照して、上述のように構成された車輪支持装置430の動作について説明する。図32は、車輪支持装置430の傾斜動作を説明するための模式図であり、車輪支持装置430の正面図に対応し、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。なお、図32では、Lモータ152L及びRモータ152R等が模式的に図示されると共に、ばね160F,160B等の図示が省略されている。また、図32(b)では、理解を容易とするためにボデー411の一部の図示が省略されている。
【0224】
図32(a)に示すように、車輪支持装置430が中立位置にある場合には、左右の車輪112L,112Rのキャンバー角は0°である。また、連結部材440の傾斜角も0°である。そして、Fアクチュエータ159Fが伸長駆動されると、図32(b)に示すように、車輪支持装置430が傾斜され、左右の車輪112L,112Rに所定のキャンバー角θR,θLが付与されると共に、連結部材440に所定の傾斜角θCが付与される。なお、本実施の形態では、車輪支持装置430が平行リンク機構として構成されているので、キャンバー角θR,θLと傾斜角θCとは全て同値となる。
【0225】
ここで、図32(b)に示すように、連結部材440に所定の傾斜角θCが付与されると、その連結部材440の傾斜に伴って、ボデー411に傾斜角θCが付与される。この場合には、図32(b)のA部に示すように、地面とボデー411との間隔が所定間隔以上となるように、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)によりボデー411を上昇(昇降量H)させることで地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避する。
【0226】
次に、図33を参照して、乗員車両10の制御装置70で実行される処理について説明する。図33は、第6実施の形態における乗員車両10の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図33の説明においては、図35を適宜参照して説明する。図35(a)は、連係車両400の正面図であり、左旋回中の状態を示している。また、図35(b)は、ボデー車両のボデーが傾斜しない連係車両の正面図であり、図35(a)と同様に、左旋回中の状態を示している。即ち、図35(a)及び図35(b)は共に、紙面手前側へ向けて前進走行しつつ、紙面右側へ向けて旋回している状態を示している。なお、図35(b)では、ボデー車両のボデーが模式的に図示されている。また、図35では、理解を容易とするために、主要な構成のみに符号を付している。
【0227】
図35に示す旋回制御処理は、制御装置70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU71は、旋回制御処理に関し、まず、ボデー車両410との連係走行において主導車両としての主導走行を行うのか否か、即ち、走行切替スイッチ50がオンされているか否かを判断する(S611)。その結果、走行切替スイッチ50がオンされていない、即ち、オフされていると判断される場合には(S611:No)、ボデー車両410との連係走行において主導車両としての主導走行を行わないということであるので、この旋回制御処理を終了する。
【0228】
一方、S611の処理において、走行切替スイッチ50がオンされていると判断される場合には(S611:Yes)、ボデー車両410との連係走行において主導車両としての主導走行を行うということであるので、次いで、乗員Pによる旋回指示があるか否か、即ち、ジョイスティック装置51(操作レバー)が左右方向に操作されているか否かを判断する(S612)。その結果、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていないと判断される場合には(S612:No)、乗員Pによる旋回指示がないということであるので、この旋回制御処理を終了する。なお、ジョイスティック装置51の左右方向への操作は、上述したように、左右センサ51bにより検出される。
【0229】
一方、S612の処理において、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていると判断される場合には(S612:Yes)、乗員Pによる旋回指示があるということであるので、次いで、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とを前後センサ51aおよび左右センサ51bにより検出し(S613,S614)、S615以降の処理へ移行する。
【0230】
S615以降の処理では、まず、S613及びS614の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出する(S615)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度で乗員車両10が走行できるように、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径で乗員車両10が旋回できるように、Lモータ52LとRモータ52Rとの差動(左右の車輪12L,12Rの回転数差)を算出する。なお、本実施の形態では、その算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、ボデー車両410のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0231】
次いで、S613及びS614の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両10を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S616)。但し、本実施の形態では、上述したように、乗員部11の傾斜角θAとキャンバー角θR,θLとが全て同値となるため(図5(b)参照)、キャンバー角θR又はキャンバー角θLを算出しても良い。なお、乗員車両10に発生する遠心力の算出式や乗員部11の傾斜角θAの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0232】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両10が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S617)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S617:Yes)、S619の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両10の転倒を招く傾斜角である場合には(S617:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両10の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S618)、S619以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両10の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0233】
S619以降の処理では、まず、ボデー車両410との相対位置を位置情報検出装置55により検出する(S619)。次いで、S616又はS618の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー411の傾斜角θC(図32(b)参照)を算出する(S620)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー411の傾斜角θCの算出は、ROM72内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー411の傾斜角θCとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー411の傾斜角θCは、ボデー411を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー411の最大傾斜角として設定されている。
【0234】
ボデー411の傾斜角θCを算出した後は、S619の処理で検出したボデー車両410との相対位置に基づいて、算出したボデー411の傾斜角θCで乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S621)。なお、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、乗員部11とボデー411との相対傾斜角が、ROM72内に予め記憶された乗員部11とボデー411との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、乗員部11とボデー411との間隔が所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー411とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0235】
S621の処理の結果、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S621:Yes)、S623以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S621:No)、S619の処理で検出したボデー車両410との相対位置に基づいて、ボデー411の傾斜角θCを再算出した後(S622)、S623以降の処理へ移行する。なお、ボデー車両410との相対位置に基づくボデー411の傾斜角θCの再算出は、ROM72内に予め記憶されたボデー車両410との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S620の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに補正係数を乗じることで行われる。
【0236】
S623以降の処理では、まず、S620又はS622の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに基づいて、ボデー411の昇降量H(図32(b)参照)を算出する(S623)。なお、ボデー411の傾斜角θCに基づくボデー411の昇降量Hの算出は、ROM72内に予め記憶されたボデー411の傾斜角θCとボデー411の昇降量Hとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。
【0237】
ボデー411の昇降量Hを算出した後は、S615の処理で算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、S620又はS622の処理で算出したボデー411の傾斜角θCと、S623の処理で算出したボデー411の昇降量Hとを情報通信装置54によりボデー車両410へ送信する(S624)。次いで、S615の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S625)、S616又はS618の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S626)、この旋回制御処理を終了する。
【0238】
これにより、左右の車輪12L,12Rを差動させることができると共に、図35(a)に示すように、左右の車輪12L,12Rにキャンバー角を付与して左右の車輪12L,12Rにキャンバースラストを発生させることができるので、乗員Pによる旋回指示に基づいて、乗員車両10を旋回させることができる。
【0239】
また、この場合には、車輪支持装置30の傾斜に伴って、乗員部11に連結される乗員部支持部材40を、左右の車輪12L,12Rの傾斜と同時に、かかる左右の車輪12L,12Rと同方向へ傾斜させることができる。これにより、図35(a)に示すように、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させ、乗員車両10の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、遠心力(図35の矢印A)に対する対抗力を増加させることができ、旋回内輪(図35(a)では左の車輪12L)の浮き上がりを防止することができる。その結果、乗員車両10の旋回性能の向上を図ることができる。
【0240】
次に、図34を参照して、ボデー車両410の制御装置470で実行される処理について説明する。図34は、第6実施の形態におけるボデー車両410の制御装置470で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。ここで、図34の説明においては、図33の場合と同様に、図35を適宜参照して説明する。
【0241】
図34に示す旋回制御処理は、制御装置470の電源が投入されている間、CPU171によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU171は、旋回制御処理に関し、まず、情報通信装置154により、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー411の傾斜角θCと、ボデー411の昇降量Hとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S631)。その結果、受信していないと判断される場合には(S631:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0242】
一方、S631の処理において、受信したと判断される場合には(S631:Yes)、次いで、S631の処理で受信したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R)の駆動制御(回転数の制御)を行う(S632)。その後、S631の処理で受信したボデー411の傾斜角θCに基づいて、アクチュエータ装置159(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S633)、S631の処理で受信したボデー411の昇降量Hに基づいて、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S634)、この旋回制御処理を終了する。
【0243】
これにより、左右の車輪112L,112Rを差動させることができると共に、左右の車輪112L,112Rにキャンバー角を付与して左右の車輪112L,112Rにキャンバースラストを発生させることができるので、ボデー車両410を旋回させることができる。
【0244】
また、この場合には、車輪支持装置430の傾斜に伴って、ボデー411に連結される連結部材440を、左右の車輪112L,112Rの傾斜と同時に、かかる左右の車輪112L,112Rと同方向へ傾斜させることができる。これにより、図35(a)に示すように、ボデー411を傾斜させることができるので、ボデー411を傾斜させるためのアクチュエータ装置が不要となり、その分、構造の簡略化を図ることができる。
【0245】
上述したように、本実施の形態におけるボデー車両410によれば、図35(a)に示すように、乗員部11を旋回内輪側へ傾斜させて旋回する乗員車両10と連係走行する場合でも、乗員車両10の乗員部11の傾斜に伴ってボデー411を傾斜させることで、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができる。従って、乗員車両10の乗員部11を必要な分だけ旋回内輪側へ傾斜させることができるので、その分、乗員車両10の旋回性能の向上を図ることができる。ここで、ボデー411が傾斜しない場合には、図35(b)のB部に示すように、乗員部11とボデー411とが接触する又は接触する恐れがある。
【0246】
また、乗員車両10の乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避するべくボデー411を傾斜させた場合でも、ボデー411の傾斜に伴ってボデー411を昇降させることで、地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができる。
【0247】
このように、ボデー411を傾斜させることで乗員車両10の乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避し、かつ、ボデー411を昇降させることで地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができれば、ボデー411を剛体として構成することができるので、例えば、ボデー411をリンク機構で構成し、そのリンク機構を傾斜させボデー411を変形させることで乗員車両10の乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避する場合と比べ、ボデー構造の簡略化を図りつつボデー剛性の低下を抑制することができる。
【0248】
更に、ボデー411を剛体として構成することができれば、ボデー411の傾斜に伴って平板411a,411bを変形させたり、ボデー411が傾斜する分だけ平板411bを大型化したりする必要がないので、その分、車両コストの削減を図ることができる。
【0249】
次に、図36及び図37を参照して、第7実施の形態について説明する。図36は、第7実施の形態における乗員車両10の制御装置70で実行される旋回制御処理を示すフローチャートであり、図37は、第7実施の形態におけるボデー車両410の制御装置470で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0250】
第6実施の形態では、乗員車両10がボデー車両410のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー411の傾斜角θCと、ボデー411の昇降量Hとを算出する場合を説明したが、第7実施の形態では、ボデー車両410が自らLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー411の傾斜角θCと、ボデー411の昇降量Hとを算出する。なお、第6実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0251】
まず、図36を参照して、乗員車両10の旋回制御処理について説明する。第7実施の形態では、S617又はS618の処理を実行した後、S719以降の処理を実行する。
【0252】
S719以降の処理では、まず、S613及びS614の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)と、S616又はS618の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAとを情報通信装置54によりボデー車両410へ送信する(S719)。
【0253】
次いで、S615の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S720)、S616又はS618の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S721)、この旋回制御処理を終了する。
【0254】
次に、図37を参照して、ボデー車両410の旋回制御処理について説明する。第7実施の形態では、まず、情報通信装置154により、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)及び左右方向への操作状態(操作量)と、乗員部11の傾斜角θAとを乗員車両10から受信したか否かを判断する(S731)。その結果、受信していないと判断される場合には(S731:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0255】
一方、S731の処理において、受信したと判断される場合には(S731:Yes)、次いで、乗員車両10との相対位置を位置情報検出装置155により検出し(S732)、S733以降の処理へ移行する。
【0256】
S733以降の処理では、まず、S731の処理で受信したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数を算出する(S733)。
【0257】
次いで、S731の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAと、S732の処理で検出した乗員車両10との相対位置とに基づいて、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S734)。なお、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー411との間隔を算出する算出式(図示せず)を用いて、乗員部11とボデー411との間隔が、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー411との所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー411とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0258】
S734の処理の結果、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S734:Yes)、S744以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S734:No)、S731の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー411の傾斜角θC(図32(b)参照)を算出する(S735)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー411の傾斜角θCの算出は、ROM172内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー411の傾斜角θCとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー411の傾斜角θCは、ボデー411を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー411の最大傾斜角として設定されている。
【0259】
ボデー411の傾斜角θCを算出した後は、S732の処理で検出した乗員車両10との相対位置に基づいて、算出したボデー411の傾斜角θCで乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S736)。なお、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、乗員部11とボデー411との相対傾斜角が、ROM172内に予め記憶された乗員部11とボデー411との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、乗員部11とボデー411との間隔が所定間隔以下の場合に、乗員部11とボデー411とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0260】
S736の処理の結果、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S736:Yes)、S738以降の処理へ移行するが、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S736:No)、S732の処理で検出した乗員車両10との相対位置に基づいて、ボデー411の傾斜角θCを再算出した後(S737)、S738以降の処理へ移行する。なお、乗員車両10との相対位置に基づくボデー411の傾斜角θCの再算出は、ROM172内に予め記憶された乗員車両10との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S735の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに補正係数を乗じることで行われる。
【0261】
S738以降の処理では、まず、ボデー411の高さをボデー高さ検出装置176により検出すると共に(S738)、ボデー411の傾斜量をボデー傾斜量検出装置177により検出する(S739)。次いで、S738及びS739の処理で検出したボデー411の高さと傾斜量とに基づいて、S735又はS737の処理で算出したボデー411の傾斜角θCでボデー411を傾斜させた場合に、ボデー411が地面に接触するか否かを判断する(S740)。なお、ボデー411が地面に接触するか否かの判断は、ROM172内に予め記憶されたボデー411と地面との間隔を算出する算出式(図示せず)を用いて、ボデー411と地面との間隔が、ROM172内に予め記憶されたボデー411と地面との所定間隔以下の場合に、ボデー411が地面に接触すると判断する。
【0262】
S740の処理の結果、ボデー411が地面に接触しないと判断される場合には(S740:No)、S743以降の処理へ移行するが、ボデー411が地面に接触すると判断される場合には(S740:Yes)、S735又はS737の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに基づいて、ボデー411の昇降量H(図32(b)参照)を算出する(S741)。なお、ボデー411の傾斜角θCに基づくボデー411の昇降量Hの算出は、ROM172内に予め記憶されたボデー411の傾斜角θCとボデー411の昇降量Hとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。
【0263】
ボデー411の昇降量Hを算出した後は、その算出したボデー411の昇降量Hに基づいて、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行う(S742)。その後、S735又はS737の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに基づいて、アクチュエータ装置159(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S743)、S733の処理で算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152R)の駆動制御(回転数の制御)を行い(S744)、この旋回制御処理を終了する。
【0264】
上述したように、本実施の形態におけるボデー車両410によれば、ボデー車両410が自らLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー411の傾斜角θCと、ボデー411の昇降量Hとを算出する構成としたので、ボデー車両410は、乗員車両10による乗員部11の傾斜角θAの算出と平行して、ボデー411の傾斜角θC及び昇降量Hを算出することができる。これにより、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)とアクチュエータ装置159(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)及びボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)との駆動制御におけるタイムラグを抑制することができる。
【0265】
また、ボデー411が地面に接触するか否か(ボデー411と地面との間隔が所定間隔以下であるか否か)を接触判断手段(S740)により判断すると、その接触判断手段(S740)によりボデー411が地面に接触する(ボデー411と地面との間隔が所定間隔以下である)と判断された場合には(S740:Yes)、ボデー411が地面に接触しないように昇降される。よって、不必要にボデー411を昇降させることがないので、その分、制御コストの削減を図ることができる。また、このように、接触判断手段(S740)によりボデー411が地面に接触する(ボデー411と地面との間隔が所定間隔以下である)と判断された場合のみボデー411を昇降させることができれば、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)のメンテナンスコストの削減や耐久性の向上を図ることができる。
【0266】
また、情報受信手段154により受信した乗員部11の傾斜角θAに応じた傾斜角θCでボデー411を傾斜させることができるので、乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを高精度に回避することができる。
【0267】
なお、図37に示すフローチャート(旋回制御処理)において、請求項3記載の接触判断手段としてはS740の処理が該当する。
【0268】
次に、図38から図41を参照して、第8実施の形態について説明する。第6実施の形態における連係車両400は、1台の乗員車両10とボデー車両410とにより構成され、それら乗員車両10とボデー車両410とが連係走行する場合を説明したが、第8実施の形態における連係車両500は、2台の乗員車両310とボデー車両410とにより構成され、それら2台の乗員車両310とボデー車両410とが連係走行するように構成されている。なお、第4実施の形態および第6実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0269】
まず、図38を参照して、連係車両500の概略構成について説明する。図38は、第8実施の形態における連係車両500の正面図である。なお、図38では、乗員P,Psが2台の乗員車両310の各乗員部11にそれぞれ乗車した状態を示している。また、図38の矢印U−D,L−R,F−Bは、連係車両500の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0270】
連係車両500は、乗員P,Psが乗車する2台の乗員車両310と、それら2台の乗員車両310の各乗員部11を覆い各乗員部11に乗車した乗員P,Psを保護するためのボデー411を有するボデー車両410とを備え、それら2台の乗員車両310とボデー車両410とが連係走行するように構成されている。
【0271】
なお、本実施の形態では、乗員Pが乗車する乗員車両310(矢印R側の乗員車両310)を連係走行において主導走行を行う主導車両とし、乗員Psが乗車する乗員車両310(矢印L側の乗員車両310)を連係走行において従属走行を行う従属車両とする。
【0272】
次に、図39から図41を参照して、乗員車両310の制御装置370で実行される処理およびボデー車両410の制御装置470で実行される処理について説明する。まず、図39を参照して、乗員車両310の旋回制御処理について説明する。図39は、第8実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0273】
図39に示す旋回制御処理は、制御装置370の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理である。CPU71は、旋回制御処理に関し、まず、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うのか否か、即ち、走行切替スイッチ50がオンされているか否かを判断する(S811)。その結果、走行切替スイッチ50がオンされていると判断される場合には(S811:Yes)、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うということであるので、主導旋回制御処理を実行し(S812)、この旋回制御処理を終了する。
【0274】
一方、走行切替スイッチ50がオンされていない、即ち、オフされていると判断される場合には(S811:No)、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行わない、即ち、従属車両としての従属走行を行うということであるので、従属旋回制御処理を実行し(S813)、この旋回制御処理を終了する。
【0275】
次に、図40を参照して、乗員車両310の主導旋回制御処理について説明する。図40は、第8実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0276】
図40に示す主導旋回制御処理(S812)は、上述したように、図39に示す旋回制御処理のS811の処理において、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行うと判断される場合に(S811:Yes)、実行される処理である。CPU71は、主導旋回制御処理(S812)に関し、まず、乗員Pによる旋回指示があるか否か、即ち、ジョイスティック装置51(操作レバー)が左右方向に操作されているか否かを判断する(S821)。その結果、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていないと判断される場合には(S821:No)、乗員Pによる旋回指示がないということであるので、この主導旋回制御処理を終了する。なお、ジョイスティック装置51の左右方向への操作は、上述したように、左右センサ51bにより検出される。
【0277】
一方、S821の処理において、ジョイスティック装置51が左右方向に操作されていると判断される場合には(S821:Yes)、乗員Pによる旋回指示があるということであるので、次いで、ジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とを前後センサ51aおよび左右センサ51bにより検出し(S822,S823)、S824以降の処理へ移行する。
【0278】
S824以降の処理では、まず、S822及びS823の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出する(S824)。即ち、ジョイスティック装置51の前後方向への操作状態に対応する進行方向および走行速度で乗員車両310が走行できるように、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数を算出すると共に、ジョイスティック装置51の左右方向への操作状態に対応する旋回方向および旋回半径で乗員車両310が旋回できるように、Lモータ52LとRモータ52Rとの差動(左右の車輪12L,12Rの回転数差)を算出する。なお、本実施の形態では、その算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両のLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、ボデー車両410のLモータ152L及びRモータ152Rの回転数とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0279】
次いで、S822及びS823の処理で検出したジョイスティック装置51(操作レバー)の前後方向への操作状態(操作量)と左右方向への操作状態(操作量)とに基づいて、乗員車両310を旋回させた場合に発生する遠心力を算出し、その遠心力と釣り合う乗員部11の旋回内輪側への傾斜角θA(図5(b)参照)を算出する(S825)。なお、乗員車両310に発生する遠心力の算出式や乗員部11の傾斜角θAの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。また、本実施の形態では、その算出した乗員部11の傾斜角θAと、連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両の乗員部11の旋回内輪側への傾斜角とが同値となるように構成されている。但し、個別に算出しても良い。
【0280】
乗員部11の傾斜角θAを算出した後は、その算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であるか否か、即ち、車輪支持装置30を構造上傾斜可能な傾斜角であるか、かつ、乗員車両310が旋回内側へ転倒しない傾斜角であるか否かを判断する(S826)。算出した傾斜角θAが許容範囲内の値であれば(S826:Yes)、S828の処理へ移行するが、算出した傾斜角θAが、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角を超えている場合や乗員車両310の転倒を招く傾斜角である場合には(S826:No)、乗員部11の傾斜角θAを車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角または乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角に再算出した後(S827)、S828以降の処理へ移行する。なお、車輪支持装置30の構造上傾斜可能な傾斜角および乗員車両310の転倒を回避できる限界の傾斜角は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0281】
S828以降の処理では、まず、他車両およびボデー車両410との相対位置を位置情報検出装置55により検出する(S828)。次いで、S825又はS827の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、ボデー411の傾斜角θC(図32(b)参照)を算出する(S829)。なお、乗員部11の傾斜角θAに基づくボデー411の傾斜角θCの算出は、ROM72内に予め記憶された乗員部11の傾斜角θAとボデー411の傾斜角θCとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。但し、このテーブルに記憶されるボデー411の傾斜角θCは、ボデー411を構造上傾斜可能な傾斜角がボデー411の最大傾斜角として設定されている。
【0282】
ボデー411の傾斜角θCを算出した後は、S828の処理で検出した他車両およびボデー車両410との相対位置に基づいて、算出したボデー411の傾斜角θCで乗員車両310の各乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かを判断する(S830)。なお、乗員車両310の各乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できるか否かの判断は、各乗員部11とボデー411との相対傾斜角が、ROM72内に予め記憶された乗員部11とボデー411との所定の相対傾斜角を超える場合、即ち、各乗員部11とボデー411との間隔が所定間隔以下の場合に、各乗員部11とボデー411とが接触する又は接触する恐れがあると判断する。
【0283】
S830の処理の結果、乗員車両310の各乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できると判断される場合には(S830:Yes)、S832以降の処理へ移行するが、乗員車両310の各乗員部11とボデー411との接触または接触する恐れを回避できないと判断される場合には(S830:No)、S828の処理で検出した他車両およびボデー車両410との相対位置に基づいて、ボデー411の傾斜角θCを再算出した後(S831)、S832以降の処理へ移行する。なお、他車両およびボデー車両410との相対位置に基づくボデー411の傾斜角θCの再算出は、ROM72内に予め記憶された他車両およびボデー車両410との相対距離に応じた補正係数を記憶するテーブル(図示せず)を用いて、S829の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに補正係数を乗じることで行われる。
【0284】
S832以降の処理では、まず、S825又はS827の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、乗員部11の昇降量L(図25(b)参照)を算出する(S832)。なお、乗員部11の昇降量Lの算出式は、ROM72内に予め記憶されている(図示せず)。
【0285】
次いで、S828の処理で検出した他車両およびボデー車両410との相対位置と、S825又はS827の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAとに基づいて、ボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できるか否かを判断する(S833)。なお、ボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できるか否かの判断は、ボデー411と各乗員部11との相対位置が、ROM72内に予め記憶されたボデー411と乗員部11との所定の範囲を超える場合に、ボデー411が各乗員部11を収容できないと判断する。
【0286】
S833の処理の結果、ボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できると判断される場合には(S833:Yes)、S835以降の処理へ移行するが、ボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できないと判断される場合には(S833:No)、S829又はS831の処理で算出したボデー411の傾斜角θCに基づいて、ボデー411の昇降量H(図32(b)参照)を算出する(S834)。なお、ボデー411の傾斜角θCに基づくボデー411の昇降量Hの算出は、ROM72内に予め記憶されたボデー411の傾斜角θCとボデー411の昇降量Hとの関係式を記憶するテーブル(図示せず)を用いて行われる。
【0287】
ボデー411の昇降量Hを算出した後は、S824の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、S825又はS827の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAと、S832の処理で算出した乗員部11の昇降量Lとを情報通信装置54により連係走行において従属車両としての従属走行を行う他車両へ送信する(S835)。次いで、S824の処理で算出したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、S829又はS831の処理で算出したボデー411の傾斜角θCと、S834の処理で算出したボデー411の昇降量Hとを情報通信装置54によりボデー車両410へ送信する(S836)。なお、S834の処理をスキップした場合には、ボデー411の昇降量Hを0としてボデー車両410へ送信する。
【0288】
その後、S824の処理で算出したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52R)の駆動制御(回転数の制御)を行うと共に(S837)、S825又はS827の処理で算出した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S838)、この主導旋回制御処理を終了する。
【0289】
次に、図41(a)を参照して、乗員車両310の制御装置370で実行される従属旋回制御処理について説明する。図41(a)は、第8実施の形態における乗員車両310の制御装置370で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0290】
図41(a)に示す従属旋回制御処理(S813)は、上述したように、図39に示す旋回制御処理のS811の処理において、他車両との連係走行において主導車両としての主導走行を行わない、即ち、従属車両としての従属走行を行うと判断される場合に(S811:No)、実行される処理である。CPU71は、従属旋回制御処理(S813)に関し、まず、情報通信装置54により、Lモータ52L及びRモータ52Rの回転数と、乗員部11の傾斜角θAと、乗員部11の昇降量Lとを連係走行において主導車両としての主導走行を行う他車両から受信したか否かを判断する(S841)。その結果、受信していないと判断される場合には(S841:No)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0291】
一方、S841の処理において、受信したと判断される場合には(S841:Yes)、次いで、S841の処理で受信したLモータ52L及びRモータ52Rの回転数に基づいて、回転駆動装置52(Lモータ52L及びRモータ52)の駆動制御(回転数の制御)を行う(S842)。その後、S841の処理で受信した乗員部11の傾斜角θAに基づいて、アクチュエータ装置53(Fアクチュエータ53F及びBアクチュエータ53B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S843)、S841の処理で受信した乗員部11の昇降量Lに基づいて、乗員部昇降装置58(UDアクチュエータ58UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S844)、この従属旋回制御処理を終了する。
【0292】
次に、図41(b)を参照して、ボデー車両410の制御装置470で実行される旋回制御処理について説明する。図41(b)は、第8実施の形態におけるボデー車両410の制御装置470で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【0293】
第8実施の形態では、まず、情報通信装置154により、Lモータ152L及びRモータ152Rの回転数と、ボデー411の傾斜角θCと、ボデー411の昇降量Hとを乗員車両310から受信したか否かを判断する(S851)。その結果、受信していないと判断される場合には(S851:No)、この旋回制御処理を終了する。
【0294】
一方、S851の処理において、受信したと判断される場合には(S851:Yes)、次いで、S851の処理で受信したLモータ152L及びRモータ152Rの回転数に基づいて、回転駆動装置152(Lモータ152L及びRモータ152)の駆動制御(回転数の制御)を行う(S852)。その後、S851の処理で受信したボデー411の傾斜角θCに基づいて、アクチュエータ装置159(Fアクチュエータ159F及びBアクチュエータ159B)の駆動制御(伸縮量の制御)を行うと共に(S853)、S851の処理で受信したボデー411の昇降量Hに基づいて、ボデー昇降装置158(UDアクチュエータ158UD)の駆動制御(伸縮量の制御)を行い(S854)、この旋回制御処理を終了する。
【0295】
上述したように、本実施の形態におけるボデー車両410によれば、ボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できるか否かを収容判断手段(S833)により判断すると、その収容判断手段(S833)によりボデー411が乗員車両310の各乗員部11を収容できないと判断された場合には(S833:No)、ボデー411がその乗員車両310の各乗員部11を収容できるように昇降される。よって、乗員車両310の各乗員部11がボデー411からはみ出すことを防止できる。
【0296】
なお、図40に示すフローチャート(主導旋回制御処理)において、請求項4記載の収容判断手段としてはS833の処理が該当する。
【0297】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0298】
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0299】
上記各実施の形態では、各車両(乗員車両10,210,310及びボデー車両110,410)が情報通信装置54,154により走行情報を互いに送受信し合うことで連係走行する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各車両をボルト等を用いて機械的に連結する連結装置により連係走行するように構成しても良い。
【0300】
また、上記各実施の形態では、ジョイスティック装置51(操作レバー)の左右方向への操作状態(操作量)に基づいて、乗員部11の傾斜角θA、ボデー111の傾斜角θB(ボデー411の傾斜角θC)、乗員部11の昇降量L、或いは、ボデー411の昇降量Hを算出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、姿勢検出装置56により検出した情報に基づいて、乗員部11の傾斜角θA、ボデー111の傾斜角θB(ボデー411の傾斜角θC)、乗員部11の昇降量L、或いは、ボデー411の昇降量Hを算出するように構成しても良い。この場合には、旋回時に、乗員部11に実際に作用する遠心力から乗員部11の傾斜角θA、ボデー111の傾斜角θB(ボデー411の傾斜角θC)、乗員部11の昇降量L、或いは、ボデー411の昇降量Hを算出することができるので、遠心力と釣り合う乗員部11の傾斜角θA及びボデー111の傾斜角θB(ボデー411の傾斜角θC)を高精度に算出することができ、その結果、乗員部11の昇降量L及びボデー411の昇降量Hを高精度に算出することができる。
【0301】
また、上記各実施の形態では、各アクチュエータ53F,53B,153C,58UD,158UD,159F,159Bがボールねじ機構により伸縮式のアクチュエータとして構成される場合を説明したが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、他の機構を利用することは当然可能である。
【0302】
他の機構としては、例えば、クランク・スライダ機構(電動モータの回転運動をクランク機構により揺動運動に変換し、この揺動運動をスライダ機構により直線運動に変換することで、伸縮式のアクチュエータを得る機構)、ラック・ピニオン機構(電動モータによるピニオンの回転運動をラックに伝達し、ラックを直線運動させることにより、伸縮式のアクチュエータを得る構成)、或いは、カム機構(非円形のカムを電動モータで回転運動させ、その回転運動するカムが弾性ばね装置の力を受けながらすべり接触でリフタを直線運動させることにより、伸縮式のアクチュエータを得る機構)などが例示される。
【0303】
また、上記第1から第3実施の形態では、ボデー111を4節の平行リンク機構として構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、側柱部材111cに関節部を設けて、5節以上のリンク機構として構成しても良い。
【0304】
また、上記第4、第5、及び、第8実施の形態では、連係走行する2台の乗員車両310の内の連係走行において従属車両としての従属走行を行う乗員車両310の乗員部11を昇降させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、主導車両としての主導走行を行う乗員車両310の乗員部11を昇降させても良く、或いは、位置情報検出装置55により検出した他車両との相対位置から、旋回内側または旋回外側に位置するいずれか一方の乗員車両310の乗員部11を昇降させても良い。
【0305】
また、上記第4、第5、及び、第8実施の形態では、連係走行する2台の乗員車両310の内のいずれか一方の乗員車両310の乗員部11を昇降させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2台の乗員車両310の各乗員部11をそれぞれ昇降させても良い。この場合には、2台の乗員車両310の各乗員部11を互いに相反する方向へ昇降させる、即ち、旋回外側に位置する乗員車両310の乗員部11を上昇させる一方、旋回内側に位置する乗員車両310の乗員部11を下降させることで、旋回外側に位置する乗員車両310の乗員部11の上昇量を抑制することができるので、乗員車両310の重心位置を低くして、旋回外側に位置する乗員車両310の旋回性能の向上を図ることができる。なお、各乗員車両310の乗員部11の昇降量は、必ずしも1対1の割合に限られるものではなく、例えば、1対2や1対3の割合でも良い。
【0306】
また、上記第4、第5、及び、第8実施の形態では、各乗員P,Psが着座するそれぞれの座席11a(座面部11a1)の高さを一致させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、各乗員P,Psの目線の高さを検知する目線位置検出装置を備え、その目線位置検出装置により検出した各乗員P,Psの目線の高さを一致させるように乗員部11を昇降させても良い。この場合には、各乗員P,Psの座高の相違によらず目線の高さを一致させることができるので、更なる快適性の向上を実現することができる。
【0307】
また、上記第6から第8実施の形態では、ボデー411の傾斜角θCに基づいて、ボデー411の昇降量Hを算出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、地面とボデー411との間隔を検知するセンサを備え、そのセンサにより検出した地面とボデー411との間隔に応じて、ボデー411を昇降させても良い。この場合には、走行路面が左右方向に傾斜している場合においても、地面とボデー411との接触または接触する恐れを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0308】
【図1】(a)は、第1実施の形態における連係車両の正面図であり、(b)は、連係車両の側面図である。
【図2】乗員車両の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】乗員車両の車輪支持装置の正面図である。
【図4】乗員車両の車輪支持装置の上面図である。
【図5】乗員車両の車輪支持装置の傾斜動作を説明するための模式図であり、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。
【図6】ボデー車両の電気的構成を示したブロック図である。
【図7】(a)は、ボデー車両の車輪支持装置の正面図であり、(b)は、ボデー車両の車輪支持装置の上面図である。
【図8】(a)は、連結部材の正面図であり、(b)は、連結部材の側面図である。
【図9】ボデー車両の車輪支持装置の傾斜動作を説明するための模式図であり、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。
【図10】第1実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図11】第1実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)は、左旋回中の連係車両の正面図であり、(b)は、左旋回中のボデーが変形しない連係車両の正面図である。
【図13】第2実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図14】第2実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図15】第3実施の形態における連係車両の正面図である。
【図16】第3実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図17】(a)は、第3実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートであり、(b)は、第3実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図18】第4実施の形態における連係車両の正面図である。
【図19】第4実施の形態における乗員車両の電気的構成を示したブロック図である。
【図20】第4実施の形態における乗員車両の部分拡大図である。
【図21】(a)は、第4実施の形態における乗員部支持部材の第1部材の正面図であり、(b)は、第1部材の側面図である。(c)は、第4実施の形態における乗員部支持部材の第2部材の正面図であり、(d)は、第2部材の底面図である。
【図22】第4実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図23】第4実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図24】第4実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図25】(a)は、左旋回中の第4実施の形態における連係車両の正面図であり、(b)は、左旋回中の従来の連係車両の正面図である。
【図26】第5実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図27】第5実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図28】(a)は、本発明における車両の一実施の形態であるボデー車両を有する第6実施の形態における連係車両の正面図であり、(b)は、連係車両の側面図である。
【図29】第6実施の形態におけるボデー車両の電気的構成を示したブロック図である。
【図30】(a)は、第6実施の形態におけるボデー車両の車輪支持装置の正面図であり、(b)は、第6実施の形態におけるボデー車両の車輪支持装置の上面図である。
【図31】(a)は、第6実施の形態における連結部材の正面図であり、(b)は、連結部材の側面図である。
【図32】第6実施の形態におけるボデー車両の車輪支持装置の傾斜動作を説明するための模式図であり、(a)は中立位置にある状態を、(b)は傾斜された状態を、それぞれ示している。
【図33】第6実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図34】第6実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図35】(a)は、左旋回中の第6実施の形態における連係車両の正面図であり、(b)は、左旋回中のボデーが傾斜しない連係車両の正面図である。
【図36】第7実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図37】第7実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図38】第8実施の形態における連係車両の正面図である。
【図39】第8実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図40】第8実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される主導旋回制御処理を示すフローチャートである。
【図41】(a)は、第8実施の形態における乗員車両の制御装置で実行される従属旋回制御処理を示すフローチャートであり、(b)は、第8実施の形態におけるボデー車両の制御装置で実行される旋回制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0309】
11 乗員部(車体)
10,310 乗員車両(他車両)
155 位置情報検出装置(位置情報検出手段)
158 ボデー昇降装置(ボデー昇降手段)
158UD UDアクチュエータ(ボデー昇降手段の一部)
159 アクチュエータ装置(ボデー傾斜手段)
159F Fアクチュエータ(ボデー傾斜手段の一部)
159B Bアクチュエータ(ボデー傾斜手段の一部)
176 ボデー高さ検出装置(ボデー高さ検出手段)
177 ボデー傾斜量検出装置(ボデー傾斜量検出手段)
410 ボデー車両(車両)
411 ボデー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を傾斜させて旋回する他車両と連係して走行する車両であって、
前記他車両の車体の少なくとも一部を収容するボデーと、
前記他車両の旋回情報に基づいて、前記ボデーを傾斜させるボデー傾斜手段と、
そのボデー傾斜手段により前記ボデーをさせた場合に、前記ボデーを昇降させるボデー昇降手段と、
を備えていることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記旋回情報は、前記他車両の旋回操作に基づく前記車体の傾斜量であることを特徴とする請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記ボデーの高さを検出するボデー高さ検出手段と、
前記ボデーの傾斜量を検出するボデー傾斜量検出手段と、
前記ボデー傾斜手段により前記ボデーを傾斜させた場合に、前記ボデー高さ検出手段により検出した前記ボデーの高さと、前記ボデー傾斜量検出手段により検出した前記ボデーの傾斜量とに基づいて、前記ボデーが地面に接触するか否かを判断する接触判断手段と、を備え、
前記ボデー昇降手段は、前記接触判断手段により前記ボデーが地面に接触すると判断された場合に、前記ボデーを昇降させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
前記他車両の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
その位置情報検出手段により検出した前記他車両の位置情報と、前記他車両の旋回情報に基づいて、前記ボデーが前記他車両の車体の少なくとも一部を収容できるか否かを判断する収容判断手段と、を備え、
前記ボデー昇降手段は、前記収容判断手段により前記ボデーが前記他車両の車体の少なくとも一部を収容できないと判断された場合に、前記ボデーを昇降させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2007−245973(P2007−245973A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73443(P2006−73443)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)