説明

車椅子用昇降機の組立構造

【課題】現地にて組立る方式の車椅子用昇降機において、剛性を確保しつつ、組立作業をより簡単にし、設置おける作業者の労力の軽減を図った車椅子用昇降機組立構造の提供。
【解決手段】縦フレーム44a,44aに設けた空孔部44c,44cを用いて前記ガイド部材13,13に設けた雌螺子部13a,13aに螺子56,56を螺着させて、昇降ユニット4をベースフレーム7に組付ける。次に、前記昇降フレーム46に設けたピン材46d,46dと前記ベースユニット2のテーブル部3後部に設けた空孔部25,25を嵌合させて、昇降フレーム46をテーブル部3に係止させる。このとき、昇降フレーム46はテーブル部3に、該テーブル部3の後端面に沿うように配設される。然る後、テーブル部3後部に設けた空孔部26,26を用いて螺子57,57を昇降フレーム46の雌螺子部46e,46eに螺着させて、昇降ユニット4をテーブル部3に組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現地にて組立る方式の車椅子用昇降機において、組立作業をより簡単なものとして、搬入及び設置における作業者の労力の軽減を図った車椅子用昇降機の組立構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の人口が増加してきており、家庭内においての介護、自宅療養の必要性がますます増大している。そのために屋内から屋外へ車椅子で出る場合等に利用する車椅子用昇降機を設置することは、介護、療養上当然のことといえる。係る車椅子用昇降機は、搬送上の観点から、複数のユニットに分解可能とした構造の組立方式のものが好まれる。そして、これらのユニットを搬入された現地において、容易に組立られる設計となっている。例えば、ベースフレームと、このベースフレーム上に立設される支柱と、該支柱に昇降自在に具備される昇降部材と、この昇降部材に取付けられるテーブル部とから主に構成されている(例えば、特許文献1乃至2参照。)。
【0003】
特許文献1乃至特許文献2により提案された車椅子用昇降機は、各ユニットの組立にネジ等をあまり使用しておらず、容易に組立できるものとなっている。しかしながら、昇降機構を具備した支柱とテーブル部との連結部にガタが発生しやすい構造となっている。そのため、車椅子使用者にとっては、このガタによる不安感が恐怖心となり、段差を安全かつ安心して乗り越えることを可能とする車椅子用昇降機本来の効果をだすことができない場合がある。
【特許文献1】特開2001−002382号公報
【特許文献2】特開2000−288029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、現地で組立る方式の車椅子用昇降機において、しっかりとした剛性を確保しつつ、組立作業をより簡単なものとして、設置における作業者の労力の軽減を図った車椅子用昇降機の組立構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、少なくとも、ベースフレームに支持機構を介して昇降自在なテーブル部を構成してなるベースユニットと、前記テーブル部を昇降させるための昇降機構を備えた昇降ユニットからなる分解組立可能な車椅子用昇降機において、それぞれのユニットの組付部が嵌合可能となるように構成すると共に、螺子止め等により嵌合状態が解除されないように構成したことを特徴とする。
請求項2の発明は、前記ベースユニットと前記昇降ユニットとを組付ける際、前記ベースフレーム後部のガイド部材と昇降ユニットのボックスを構成する縦フレーム下端の開口部を嵌合させて、ベースフレームと昇降ユニットを係止させ、然る後、螺子にてベースフレームと昇降ユニットを固定させると共に、昇降ユニットの昇降フレームに設けたピン材と前記テーブル部後部に設けた空孔部を嵌合させて、昇降ユニットとテーブル部を係止させ、然る後、昇降ユニットとテーブル部を螺子にて固定させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ベースユニットを、ベースフレームに支持機構を介して昇降自在なテーブル部を支持させた構成とした。これによると、テーブル部の昇降中及び各昇降位置において、該テーブル部をグラつかせることなく略々水平に支持させることができる。よって、車椅子利用者が安心してテーブル部に乗っていることができる。また、テーブル部を垂直方向へのみ変位可能とできる。これにより、昇降ユニットとベースユニットを組付けた際に、昇降ユニットを前方へ引倒すような負荷が該昇降ユニットに掛からないようにできる。したがって、昇降ユニットとベースユニットとの組付けを簡単なものとすることができる。
また、それぞれのユニットの組付部が嵌合可能となるように構成すると共に、螺子止め等により嵌合状態が解除されないように構成した。これによると、前記ベースユニットと昇降ユニットを組付ける際、それぞれのユニットの組付部を嵌合させることで、ベースユニットに対する昇降ユニットの位置決めを簡単にできる。また、ベースユニットと昇降ユニットを組付部にて係止させることができることで、それぞれのユニットを支えながら螺子の螺着作業を行う必要はなく、作業者一人でもベースユニットと昇降ユニットとの組付けを容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、組付部において互いのユニットが嵌り込む状態となることで、数少ない螺子等による固定でも、ベースユニットと昇降ユニットとの組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、ベースユニットと昇降ユニットとの組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が安心して当該車椅子用昇降機を使用できる。
さらに、車椅子用昇降機を複数のユニットからなる分解組立可能な構成としたことで、ユニットごとの搬入が可能となり、作業者一人でも容易に搬入作業を行うことができる。
したがって、この車椅子用昇降機は、車椅子利用者が安心して利用できると共に作業者一人でも搬入、組立が容易にできる。
【0007】
請求項2の発明によれば、ベースユニットと昇降ユニットとを組付ける際、ベースフレーム後部のガイド部材と昇降ユニットのボックスを構成する縦フレーム下端の開口部を嵌合させて、ベースフレームと昇降ユニットを係止させる。然る後、螺子にてベースフレームと昇降ユニットを固定させるようにした。さらに、昇降ユニットの昇降フレームに設けたピン材とテーブル部後部に設けた空孔部を嵌合させて、昇降ユニットとテーブル部を係止させる。然る後、昇降ユニットとテーブル部を螺子にて固定させるようにした。このように昇降ユニットとベースユニットを組付ける際に、ガイド部材と開口部、ピン材と空孔部を嵌合させるようにしたことで、昇降ユニットのベースユニットに対する位置決めを簡単にできる。また、昇降ユニット及びベースユニットを支えながら螺子の螺着作業を行う必要はなく、作業者一人でも容易に昇降ユニットとベースユニットを組付けることができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、ガイド部材が開口部に、ピン材が空孔部に嵌り込む状態となることで、数少ない螺子による固定でも、昇降ユニットとベースユニットとの組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、昇降ユニットとベースユニットとの組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が当該車椅子用昇降機を安心して使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
現地にて組立る方式の車椅子用昇降機において、該車椅子用昇降機を複数のユニットからなる分解組立可能な構成とする。また、ベースユニットを、下段面に設置されるベースフレームに支持機構を介して昇降可能にテーブル部を支持させた構成とする。そして、前記ベースユニットと前記テーブル部を昇降させるための昇降機構を備えた昇降ユニットを組付ける際は、前記ベースフレーム後部のガイド部材と昇降ユニットのボックスを構成する縦フレーム下端の開口部を嵌合させて、ベースフレームと昇降ユニットを係止させる。然る後、螺子にてベースフレームと昇降ユニットを固定させる。また、昇降ユニットの昇降フレームに設けたピン材と前記テーブル部後部に設けた空孔部を嵌合させて、昇降ユニットとテーブル部を係止させる。然る後、昇降ユニットとテーブル部を螺子にて固定させるようにする。
【0009】
このように、車椅子用昇降機を複数のユニットからなる分解組立可能な構成とすることで、ユニットごとの搬入が可能となり、作業者一人でも容易に搬入作業を行うことができるようになる。
また、ベースユニットをベースフレームに支持機構を介して昇降可能にテーブル部を支持させた構成とする。これによると、テーブル部の昇降中及び各昇降位置において、該テーブル部をグラつかせることなく略々水平に支持させることができる。よって、車椅子利用者が安心してテーブル部に乗っていることができる。また、テーブル部を垂直方向へのみ変位可能とできる。これにより、昇降ユニットとベースユニットを組付けた際に、昇降ユニットを前方へ引倒すような負荷が該昇降ユニットに掛からないようにできる。したがって、昇降ユニットとベースユニットとの組付けを簡単なものとすることができる。
さらに、昇降ユニットとベースユニットを組付ける際、ガイド部材と開口部、ピン材と空孔部を嵌合させるようにしたことで、昇降ユニットのベースユニットに対する位置決めを簡単にできる。また、昇降ユニット及びベースユニットを支えながら螺子の螺着作業を行う必要はなく、作業者一人でも容易に昇降ユニットとベースユニットを組付けることができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、ガイド部材が開口部に、ピン材が空孔部に嵌り込む状態となることで、数少ない螺子による固定でも、昇降ユニットとベースユニットとの組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、昇降ユニットとベースユニットとの組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が当該車椅子用昇降機を安心して使用できる。
したがって、この車椅子用昇降機は、車椅子利用者が安心して利用できると共に作業者一人でも搬入、組立が容易にできる。
【実施例1】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる車椅子用昇降機を図面に基づいて説明する。第1図は車椅子用昇降機を示す斜視図である。第2図はベースフレームを示す斜視図である。第3図はテーブル部を示す斜視図である。第4図はベースユニットを示す斜視図である。第5図はベースユニットに安全装置を配設した状態を示す斜視図である。第6図は昇降ユニットを示す説明図である。第7図はベースユニットと昇降ユニットの組付構造を示す説明図である。第8図はスロープとテーブル部の組付構造を示す説明図である。第9図はブリッジとテーブル部の組付構造を示す説明図である。第10図は作動機構と昇降ユニットの組付構造を示す説明図である。第11図はスロープが下段面に掛渡された状態を示す背面図である。第12図は昇降時におけるスロープ及びブリッジの状態を示す背面図である。第13図はブリッジが上段面に掛渡された状態を示す背面図である。
【0011】
この車椅子用昇降機1は、段差の下段面LFに設置されるベースユニット2と、該ベースユニット2に具備された車椅子が搭乗可能なテーブル部3を昇降させる昇降ユニット4から主に構成されている。また、この車椅子用昇降機1には、段差の下段面LF又は上段面HFと前記テーブル部3との間での車椅子の乗降を容易にするためのスロープ5及びブリッジ6が具備されている。さらに、この車椅子用昇降機1には、前記テーブル部3が上昇された際に、該テーブル部3下方への異物の侵入を防止する安全装置A,Bが具備されている。
【0012】
まず、ベースユニット2について説明する。
このベースユニット2は、下段面LFに設置されるベースフレーム7と、該ベースフレーム7に対して前記テーブル部3を昇降可能に支持する支持機構8から構成されている。
【0013】
まず、ベースフレーム7は、第2図に示すように、主桁7aの両側端に横桁7b,7bの後部がそれぞれ固着されている。また、前記横桁7b,7b前部に正面視において略々コ字形状に曲折されたレール7c,7cが、それぞれのレール7c,7cの開放されている側が対向するように固着されている。さらに、前記レール7c,7c前端間には連結桁7dが固着されている。また、前記横桁7b,7bの前部及び後部にはアーム板9,9,10,10を介して下部に設置具11,11,・・・が止着された雌螺子部材12,12,・・・がそれぞれ固着されている。なお、前記横桁7b,7b後部に固着された前記アーム板9,9には空孔部9a,9aが穿たれている。また、前記横桁7b,7b後部上面には側面視において略々U字形状に曲折されたガイド部材13,13の両端が固着されている。なお、該ガイド部材13,13の前部には雌螺子部13a,13aが設けられている。また、前記主桁7a両側部前面には空孔部14a,14a,・・・が穿たれた軸受板14,14,・・・が、前記空孔部14a,14a,・・・の中心軸が一致するようにそれぞれ固着されている。さらに、前記連結桁7d両側部には前部にピン材15a,15aが固着された側面視において略々L字形状に曲折されたL型板15,15がそれぞれ固着されている。
【0014】
次に、テーブル部3は、第3図に示すように、平面視において略々矩形状のテーブル板16の下面中央部に格子状に組まれた補強具17が固着されている。また、前記テーブル板16両側部下面には平面視において略々鉤状の補強板18,18,19,19が、それぞれの後部に穿たれた空孔部18a,18a,19a,19aの中心軸が一致するように固着されている。さらに、前記テーブル板16の下面かつ前記補強具17の両側方には正面視において略々コ字形状に曲折されたレール20,20が、それぞれのレール20,20の開放されている側が対向するように固着されている。また、前記テーブル板16両側端部は下方へ曲折されており、この曲折された部分にはパイプ21,21がそれぞれ固着されている。また、その曲折された部分の前後部にはピン材22,22,・・・がそれぞれ固着されている。さらに、その曲折された部分の中間部には空孔部23,23が穿たれている。また、前記テーブル板16後端部は上方へ曲折されており、この曲折された部分の両側部には補強板24,24がそれぞれ固着されている。なお、その曲折された部分のテーブル板16と前記補強板24,24には両者を貫通する複数の空孔部25,25,26,26が穿たれている。また、前記テーブル板16前端部は側面視において鉤状に上方へ曲折されており、この曲折された部分の両側端に補強板27,27が固着されている。
【0015】
続いて、支持機構8は、第4図に示すように、第一杆体28,28の後部が前記ベースフレーム7の軸受板14,14,・・・の空孔部14a,14a,・・・に軸材29,29にて枢結されている。さらに、該第一杆体28,28の前部に枢結されたローラー28a,28aが前記テーブル部3のレール20,20内にて転動可能に枢結されている。また、第二杆体30,30の後部が前記テーブル部3の補強板18,18,19,19の空孔部18a,18a,19a,19aに軸材31,31にて枢結されている。さらに、該第二杆体30,30の前部に枢結されたローラー30a,30aが前記ベースフレーム7のレール7c,7c内にて転動可能に枢結されている。また、前記第一杆体28,28と第二杆体30,30の中間部が軸材32,32にて枢結されている。さらに、第一杆体28,28間には連結桁33,33が固着されている。すなわち、当該支持機構8は、側面視において第一杆体28,28と第二杆体30,30が略々X字を形成するように構成されたXフレーム型のリンク機構である。
このように構成された支持機構8は次のように動作される。例えばテーブル部3が上昇されると、第二杆体30,30後部が引上げられるようになる。これにより、第二杆体30,30前部が軸材31,31を中心に下方へ回動される。これに伴って、第二杆体30,30のローラー30a,30aが前記レール7c,7cに沿って後方へ転動されるようになる。また、これに伴って、第一杆体28,28と第二杆体30,30が軸材32,32にて枢結されていることで、第一杆体28,28中間部が押上げられるようになる。これにより、第一杆体28,28前部が軸材29,29を中心に上方へ回動される。これに伴って、第一杆体28,28のローラー28a,28aが前記レール20,20に沿って後方へ転動される。この際、連結桁33,33にて第一杆体28,28間が連結されていることで、第一杆体28,28及び第二杆体30,30はそれぞれ均等に作動される。すなわち、この支持機構8は、テーブル部3の上昇中及び各昇降位置において、該テーブル部3をグラつかせることなく略々水平に支持するように動作される。
【0016】
このようにベースユニット2は、支持機構8にてテーブル部3を支持させたことで、テーブル部3の昇降中及び各昇降位置において、該テーブル部3をグラつかせることなく略々水平に支持するようにされている。また、このベースユニット2は、テーブル部3のレール20,20をテーブル板16に幾らか後方下がりに設けている。これにより、このベースユニット2は、テーブル部3を上昇させた際、支持機構8にてテーブル部3前部が後部に対して幾らか高くなるようにされている。これは、テーブル部3が上昇された際、第一杆体28,28のローラー28a,28aによるテーブル板16の支持位置がテーブル板16の前後方向中間部へ移動することで、テーブル部3に搭乗した車椅子や車椅子利用者の荷重により、テーブル部3前部が下方へ垂れやすくなることへの対策である。これによって、テーブル部3が上昇された際に、テーブル部3前部がテーブル部3に搭乗した車椅子や車椅子利用者の荷重により垂れたとしても、テーブル部3を略々水平に保つようにしている。したがって、このベースユニット2は、テーブル部3に車椅子利用者が安心して乗っていることができるようにされている。
【0017】
次に、前記ベースユニット2のテーブル部3が上昇された際に、該テーブル部3下方への異物の侵入を防止する安全装置A,Bについて第5図を用いて説明する。
まず、安全装置Aは、カバーフレーム34内に枢結された軸材35がバネ(図示省略)にて一回転方向へ回転するように付勢されている。また、異物の侵入を防止するシート36が前記軸材35に、その一端側が固定されると共に巻き付けられている。さらに、前記シート36の他端部には該シート36の幅よりも長い取付具37が取付けられている。
このように構成された安全装置Aは、前記ベースユニット2を構成するテーブル部3のテーブル板16前端部の曲折させた部分にカバーフレーム34を螺子38,38にて止着させる。そして、前記ベースユニット2を構成するベースフレーム7のL型板15,15に設けたピン材15a,15aに前記取付具37を係止させる。このようにして、安全装置Aはベースユニット2に配設されている。
【0018】
次に、安全装置Bは、前記安全装置Aと略々同様の構成であり、平面視において略々コ字形状に曲折されたコ型フレーム39に枢結された軸材40がバネ(図示省略)にて一回転方向へ回転するように付勢されている。また、異物の侵入を防止するシート41が前記軸材40に、その一端側が固定されると共に巻き付けられている。さらに、前記シート41の他端側には該シート41の幅よりも長い棒材42が取付けられている。なお、前記コ型フレーム39の前部及び後部には前記ベースユニット2のテーブル部3を構成するテーブル板16側部に設けたピン材22,22,・・・に嵌合可能な空孔部39a,39aが穿たれている。
このように構成された安全装置Bは、前記ベースユニット2の後述するスロープ5が配設される側のテーブル部3側部に組付けられる。まず、前記テーブル部3のテーブル板16側部に設けたピン材22,22とコ型フレーム39の空孔部39a,39aを嵌合させて、該コ型フレーム39をテーブル部3に係止させる。そして、前記空孔部23を用いてコ型フレーム39中間部を螺子43にてテーブル板16に止着させる。また、前記ベースユニット2のベースフレーム7に設けたアーム板9の空孔部9aに前記棒材42後部を挿通させて係止させる。そして、前記棒材42前部を前記安全装置Aの取付具37に設けた空孔部37aに挿通させて係止させる。このようにして、安全装置Bはベースユニット2に組付けられる。
このように安全装置Bをベースユニット2に組付ける際、コ型フレーム39の空孔部39a,39aとピン材22,22を嵌合させるようにしたことで、安全装置Bのテーブル部3に対する位置決めを簡単にできる。また、コ型フレーム39を支えながら螺子43の螺着作業を行う必要はなく、コ型フレーム39をテーブル部3に容易に固定させることができる。さらに、前記棒材42を前記アーム板9の空孔部9aと取付具37の空孔部37aに挿通させて係止させるようにしたことで、棒材42を簡単にベースフレーム7に組付けることができる。これらによると、安全装置Bをベースユニット2に作業者一人でも容易に組付けることができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。
【0019】
このように構成された安全装置A,Bは、ベースユニット2のテーブル部3がベースフレーム7に対して上昇されると、シート36,41の端部がベースフレーム7に係止されていることから、軸材35,40に巻き取っていたシート36,41が繰出される。すると、ベースフレーム7とテーブル部3間にシート36,41が張られた状態となる。さらに、このとき、バネ(図示省略)に付勢力が蓄積される。また、テーブル部3が下降されると、バネ(図示省略)に蓄積された付勢力にてシート36,41が軸材35,40に巻取られて収納される。このように、安全装置A,Bは、テーブル部3が上昇された際、テーブル部3下方へ異物が侵入可能な車椅子用昇降機1の前面側と後述するスロープ5が配設される側をシート36,41にて覆うことができる。したがって、異物の侵入を防止できる。また、これによって、異物が侵入することで発生する事故や車椅子用昇降機1の故障を防ぐことができる。
【0020】
続いて、前記ベースユニット2のテーブル部3をベースフレーム7に対して昇降させるための昇降ユニット4について第6図(第6図は第一前カバーを外した状態を示す正面図である。)及び第7図を用いて説明する。
この昇降ユニット4は、略々箱形状のボックス44と、該ボックス44内部に構成される昇降機構45と、該昇降機構45にて前記テーブル部3を昇降させるための昇降フレーム46から構成されている。
【0021】
まず、ボックス44は、一対の縦フレーム44a,44aの上部間、中間部間、下部間に横フレーム44b,44b,44bがそれぞれ固着されている。また、前記縦フレーム44a,44a側面にはガイドパイプ47,47が、該ガイドパイプ47,47の上端と下端に固着されたアーム部材47a,47aとアーム板47b,47bを介して固着されている。さらに、前記縦フレーム44a,44a前面下部には空孔部44c,44cが穿たれている。また、前記縦フレーム44a,44a間に空間部を形成するように後カバー44dと第一前カバー44e、第二前カバー44f及び第三前カバー44gが配設されている。さらに、前記縦フレーム44a,44a上端間には蓋板48が配設されている。なお、前記縦フレーム44a,44aの下端部には、前記ベースユニット2のベースフレーム7後部に設けたガイド部材13,13が嵌合可能な開口部44h,44hが設けられている。
【0022】
次に、昇降機構45は、前記ボックス44下部の横フレーム44bにモーター49が固定されている。また、前記ボックス44の中間部と下部の横フレーム44b,44b間に設けられたプレート50,50に、軸材51の両端部が枢結されている。そして、前記軸材51の一端部はカップリング部材52を介して前記モーター49に連結されている。また、前記軸材51の下方において、中間部にドラム部53aが設けられた軸材53の両端部が前記プレート50,50に枢結されている。さらに、該軸材53に設けられている歯車53bと前記軸材51に設けられている歯車51aが噛合わされている。また、前記軸材53のドラム部53aには2本のロープ54,54が、その一端がそれぞれ固定されると共に巻き付けられている。さらに、該ロープ54,54は前記ボックス44内部に回転可能に設けられた複数の滑車55,55,・・・に掛渡されている。また、該ロープ54,54の他端側は後述する昇降フレーム46に設けられたボス部材46a,46aにそれぞれ取付けられている。
【0023】
続いて、昇降フレーム46は、平面視において略々L字形状に曲折されたL型プレート46b,46b間に連結プレート46cが固着されている。また、該L型プレート46b,46b後部には前記ボス部材46a,46aが固着されている。さらに、該L型プレート46b,46b前面にはピン材46d,46dと雌螺子部46e,46eが設けられている。なお、前記ピン材46d,46dは前記ベースユニット2のテーブル部3後部に設けた空孔部25,25に嵌合可能とされている。
【0024】
このように構成された昇降ユニット4は、図示しない制御装置にて昇降機構45のモーター49を動作させると、軸材51が回転される。これに伴って、歯車51a,53bが噛合わされていることで、軸材53も回転される。すると、軸材53が回転される方向に従ってドラム部53aにロープ54,54を巻取ったり、ドラム部53aからロープ54,54を繰出したりさせる。そして、ドラム部53aにロープ54,54が巻取られた際には、ロープ54,54に吊設された状態とされている昇降フレーム46が上昇される。また、ドラム部53aからロープ54,54が繰出された際には、昇降フレーム46が下降される。
また、この昇降ユニット4は、昇降機構45のロープ54,54を滑車55,55,・・・に掛渡すことで、モーター49を動作させた際に、前記ロープ54,54の昇降フレーム46を垂直方向に変位させるようにされている。
なお、図示しない制御装置は、前記モーター49を任意に発停できると共に、該モーター49の回転方向を選択できるようにしたものである。
また、本実施例においては、昇降機構45に2本のロープ54,54を用いているが、図示してはいないが、一本のロープを用いて昇降機構を構成することもできる。その場合は、まず、前記ロープの中間部を前記ドラム部53aに固定させる。そして、該ロープを前記ドラム部53aに巻き付ける。然る後、前記滑車55,55,・・・に前記ロープの端部側をそれぞれ掛渡させる。そして、前記ロープの両端部を前記昇降フレーム46に設けたボス部材46a,46aにそれぞれ取付ける。このようにしても、上述と同様の作用と効果を得ることができる昇降機構を構成できる。
【0025】
この昇降ユニット4は第7図に示すように前記ベースユニット2へ組付けられる。詳述すると、まず、前記ボックス44の縦フレーム44a,44a下端部の開口部44h,44hと前記ベースユニット2のベースフレーム7に設けたガイド部材13,13を嵌合させて、昇降ユニット4をベースフレーム7に係止させる。なお、開口部44a,44aとガイド部材13,13を嵌合させる際、少なくとも縦フレーム44a,44a前部側の内側面とガイド部材13,13の前面が接するように配設させる。また、このとき、ボックス44はベースフレーム7に、該ベースフレーム7の後部側一側に渡って配設される。然る後、縦フレーム44a,44aに設けた空孔部44c,44cを用いて前記ガイド部材13,13に設けた雌螺子部13a,13aに螺子56,56を螺着させて、昇降ユニット4をベースフレーム7に組付ける。次に、前記昇降フレーム46に設けたピン材46d,46dと前記ベースユニット2のテーブル部3後部に設けた空孔部25,25を嵌合させて、昇降フレーム46をテーブル部3に係止させる。このとき、昇降フレーム46はテーブル部3に、該テーブル部3の後端面に沿うように配設される。然る後、テーブル部3後部に設けた空孔部26,26を用いて螺子57,57を昇降フレーム46の雌螺子部46e,46eに螺着させて、昇降ユニット4をテーブル部3に組付ける。
なお、前記螺子56,56,57,57は、テーブルユニット2と昇降ユニット4の組付部において、各構成部材の嵌合状態が解除されないようにするために用いられている。
【0026】
このように昇降ユニット4をベースユニット2に組付けることで、ベースユニット2のテーブル部3は昇降ユニット4の昇降機構45を動作させると昇降されることとなる。
また、ベースユニット2は、テーブル部3を支持機構8にて昇降可能に支持させることで、テーブル部3が垂直方向へのみ変位可能としている。これにより、上述したように、テーブル部3を言わば片持ちの状態で支持するように昇降ユニット4を組付けても、昇降ユニット4には該昇降ユニット4を前方へ引倒すような負荷が掛からないようにされている。そのため、昇降ユニット4とベースユニット2との組付けを、上述したような簡単なものとすることができる。
さらに、昇降ユニット4は、昇降フレーム46を昇降させる際に、平面視において昇降ユニット4周り方向の力が昇降フレーム46に作用しないようにしている。これにより、テーブル部3を昇降ユニット4周り方向へ振り回すような力が発生しないようにされている。そのため、昇降ユニット4とベースユニット2との組付けを、上述したような簡単なものとすることができる。
また、昇降ユニット4をベースフレーム7に組付ける際、ガイド部材13,13と開口部44h,44hを嵌合させるようにしたことで、昇降ユニット4のベースフレーム7に対する位置決めを簡単にできる。さらに、昇降ユニット4及びベースフレーム7を支えることなく容易に螺子56,56の螺着作業を行えるようになり、昇降ユニット4とベースフレーム7との組付けを作業者一人でも容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、ガイド部材13,13が開口部44h,44hに嵌り込む状態となることで、数少ない螺子56,56による固定でも、昇降ユニット4とベースフレーム7との組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、昇降ユニット4とベースフレーム7との組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が安心して当該車椅子用昇降機1を使用できる。
さらに、昇降ユニット4をテーブル部3に組付ける際、ピン材46d,46dと空孔部25,25を嵌合させるようにしたことで、昇降フレーム46のテーブル部3に対する位置決めを簡単にできる。また、昇降フレーム46及びテーブル部3を支えることなく容易に螺子57,57の螺着作業を行えるようになり、昇降ユニット4とテーブル部3の組付けを作業者一人でも容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、ピン材46d,46dが空孔部25,25に嵌り込む状態となることで、数少ない螺子57,57による固定でも、昇降ユニット4とテーブル部3との組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、昇降ユニット4とテーブル部3との組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が安心して当該車椅子用昇降機1を使用できる。
【0027】
なお、本実施例においては、前記ベースフレーム7に昇降ユニット4を組付ける際、ガイド部材13,13と開口部44h,44hを嵌合させて、昇降ユニット4をベースフレーム7に係止させるようにしている。しかしながら、図示してはいないが、昇降ユニット4側にガイド部材又はピン材を設け、該ガイド部材又はピン材と嵌合可能な開口部又は空孔部をベースフレーム7側に設けるようにしても良い。また、昇降ユニット4とベースフレーム7にガイド部材又はピン材と開口部又は空孔部をそれぞれ設け、互いのガイド部材又はピン材と開口部又は空孔部が嵌合できるようにしても良い。これらのようにしても、上述と同様の作用と効果を得ることができる。また、上述したようなガイド部材又はピン材と空孔部又は開口部の設け方は、ベースユニット2のテーブル部3と昇降ユニット4の昇降フレーム46との組付部においても採用できる。また、その他のユニット間の組付部においても採用できる。
【0028】
次に、下段面LF又は上段面HFと前記ベースユニット2のテーブル部3との間での車椅子の乗降を容易にするためのスロープ5及びブリッジ6について説明する。
まず、スロープ5は、ベースユニット2よりも僅かに大きいピットを掘り、テーブル部3と下段面LFとの高さを同一とした状態で車椅子用昇降機1を設置する場合には必要のないものである。しかしながら、そのような工事をしない場合に、テーブル部3と下段面LFの僅かな段差を当該スロープ5にて穏やかな傾斜として、テーブル部3と下段面LF間での車椅子の乗降を容易にするためのものである。
このスロープ5は、第8図に示すように、脱輪防止のために前後端部が上方へ曲折されたスロープ板58の一側部に、パイプ59aの前後端に取付板59b,59cが固着された取付部材59が固定されている。また、該取付部材59前部の取付板59bには当該スロープ5の回動中心となる軸材59dが固着されている。また、該取付部材59後部の取付板59cには前記軸材59dの軸心と一致する中心軸を有する空孔部59eが穿たれている。また、前記取付板59cには雌螺子部59fが設けられている。
このように構成されたスロープ5は、下段面LFからテーブル部3へ乗り込む側のテーブル部3側部に設けたパイプ21に前記軸材59dを挿通させる。そして、一端部にローラー60aが枢結されたカム板60の中間部に固着された軸材60bを前記取付板59cの空孔部59eと前記パイプ21に挿通させて、スロープ5をパイプ21に回動可能に係止させる。然る後、カム板60に設けられた空孔部60cを用いてカム板60を前記取付板59cに螺子61にて止着させる。このようにして、スロープ5はテーブル部3に組付けられる。
このようにテーブル部3にスロープ5を組付ける際、軸材59d,60bをパイプ21に回動可能に係止させることで、スロープ5及びカム板60をテーブル部3に係止するようにした。これによると、スロープ5を支えることなく容易に螺子61の螺着作業を行うことができ、テーブル部3へのスロープ5の組付け作業を作業者一人でも容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。
【0029】
このスロープ5は、第11図から第13図に示すように、動作される。詳述すると、まず、第11図に示すように、テーブル部3が最低位置にあるときは、カム板60のローラー60aが前記昇降ユニット4のガイドパイプ47下端のアーム板47b下方に位置されている。この際、スロープ5は下段面LFとテーブル部3間に掛渡された状態となっている。そして、最低位置からテーブル部3が上昇されると、カム板60のローラー60aが前記アーム板47bに当接される。そして、テーブル部3が上昇されるに連れて、前記ローラー60aはアーム板47bにて相対的に押し下げられる。すると、前記軸材59d,60bを中心にスロープ5はその先端が上方へ徐々に回動される。そして、テーブル部3の上昇が進み、第12図及び第13図に示すように、前記ローラー60aがガイドパイプ47側面を転動するようになると、スロープ5は起立した状態が保持された状態となってテーブル部3と共に上昇される。スロープ5が起立された状態では、スロープ5が車止めの状態となり、仮にテーブル部3に乗っている車椅子のブレーキを掛け忘れていたとしても安全である。なお、テーブル部3の下降時には上述した上昇時の逆の作用となり、テーブル部3が最低位置に近づくと自動的にスロープ5の先端が下方回動され、スロープ5は下段面LFとテーブル部3間に掛渡された状態となる。
【0030】
続いて、ブリッジ6は、該ブリッジ6をテーブル部3と上段面HF間に掛渡すことで、テーブル部3と上段面HF間での車椅子の乗降を容易にするためのものである。このブッリジ6は前記スロープ5と略々同様の構成とされている。以下、ブリッジ6について第9図を用いて説明する。
ブリッジ6は、脱輪防止のために前後端部が上方に曲折されたブリッジ板62の一側部に、パイプ63aの前後端に取付板63b,63cが固着された取付部材63が固定されている。また、該取付部材63前部の取付板63bには当該ブリッジ6の回動中心となる軸材63dが固着されている。さらに、該取付部材63後部の取付板63cには前記軸材63dの軸心と一致する中心軸を有する空孔部63eが穿たれている。また、前記取付板63cには雌螺子部63fが設けられている。
このように構成されたブリッジ6は、テーブル部3のスロープ5取付け他端側の側部に設けたパイプ21に前記軸材63dを挿通させる。そして、軸材64の一端側を前記取付板63cの空孔部63eと前記パイプ21に挿通させて、ブリッジ6をパイプ21に回動可能に係止させる。然る後、複数の空孔部65a,65aが穿たれたカム片65の一方の空孔部65aに前記軸材64の他端側を挿通させる。そして、前記カム片65の他方の空孔部65aを用いてカム片65を前記取付板63cに螺子66にて止着させる。このようにして、ブリッジ6はテーブル部3に組付けられる。
このようにテーブル部3にブリッジ6を組付ける際、軸材63d,64をパイプ21に回動可能に係止させることで、ブリッジ6及びカム片65をテーブル部3に係止するようにした。これによると、ブリッジ6を支えることなく容易に螺子66の螺着作業を行うことができ、テーブル部3へのブリッジ6の組付け作業を作業者一人でも容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。
【0031】
次に、前記ブリッジ6をテーブル部3の昇降に伴って動作させる作動機構67について第10図を用いて説明する。
この作動機構67は、前記カム片65が内部を摺動可能な複数のガイド部材68,68と、前記カム片65が内部を摺動可能かつブリッジ6に回動動作をさせるためのガイド部材69から構成されている。
まず、ガイド部材68,68は、平面視において略々コ字形状に曲折された形状とされており、その一側面の上部と下部にピン材68a,68a,・・・が固着されたものである。なお、ガイド部材68,68の前記ピン材68a,68a,・・・は、前記昇降ユニット4のボックス44を構成するガイドパイプ47,47の側部に設けた空孔部47c,47c,・・・に嵌合可能とされている。このガイド部材68,68は、前記ブリッジ6が設けられた側の昇降ユニット4のガイドパイプ47に設けた空孔部47c,47c,・・・と前記ピン材68a,68a,・・・を嵌合させて係止される。そして、該ガイド部材68,68は、前記ガイドパイプ47に設けた雌螺子部47d,47dに螺子70,70を螺着させることで組付けられる。このようにガイド部材68,68をガイドパイプ47に組付ける際、前記ピン材68a,68a,・・・と空孔部47c,47c,・・・を嵌合させるようにした。これによると、ガイド部材68,68のガイドパイプ47に対する位置決めを簡単に行うことができる。また、ガイド部材68,68を支えることなく容易に螺子70,70の螺着作業を行うことができ、ガイド部材68,68のガイドパイプ47への組付け作業を作業者一人でも容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。
ガイド部材69は、平面視において略々C字形状に曲折された形状とされており、その前部に略々コ字形状に曲折された固定具69aが螺子69b,69bにて係止されたものである。このガイド部材69は、前記ガイド部材68,68を設けたガイドパイプ47の三面に沿うように配設させ、そして、螺子69b,69bにて固定具69aをガイドパイプ47前面に圧接させることで組付けられる。すなわち、このガイド部材69はガイドパイプ47の任意の位置に固定できるようにされている。
なお、この作動機構67を組付ける際、第11図と第12図に示すように、前記カム片65がガイド部材68,68,69内部を摺動できるように配設させる。
【0032】
このように構成された作動機構67はブリッジ6を次のように動作させる。まず、第11図に示すように、テーブル部3が最低位置にあるときは、前記カム片65がガイド部材68内部に当接されており、ブリッジ6は起立した状態で保持される。そして、テーブル部3が上昇されると、前記カム片65がガイド部材内部68,68,69に沿って摺動され、ブリッジ6は起立した状態が保持された状態でテーブル部3と共に上昇される。そして、テーブル部3が所望の高さに至ると、第13図に示すように、カム片65とガイド部材69との当接が解け、ブリッジ6はその先端が前記軸材63d,64を中心に下方へ回動される。そして、ブリッジ6は上段面HFとテーブル部3間に掛渡された状態となる。また、第13図に示す状態からテーブル部3が下降されると、相対的にカム片65がガイド部材69に押上げられるようになる。すると、ブリッジ6の先端が上方へ徐々に回動される。そして、テーブル部3の下降が進み、第12図に示すように、カム片65がガイド部材68,68,69の内部を摺動するようになると、ブリッジ6は起立された状態が保持されたままテーブル部3と共に下降される。なお、ブリッジ6が起立された状態では、ブリッジ6が車止めの状態となり、仮にテーブル部3に乗っている車椅子のブレーキを掛け忘れていたとしても安全である。また、テーブル部3が任意の高さに至ると、ブリッジ6が上段面HFとテーブル部3間に掛渡された状態となるようにするためには、前記ガイド部材68,68の数を調節する。又は、前記ガイド部材69をガイド部材68に幾らか重ねた状態で配設する。すなわち、テーブル部3が最低位置から上昇する間にカム片65がガイド部材68,68,69に沿って摺動する量を調節することで行う。
【0033】
このように当該車椅子用昇降機1は、スロープ5及びブリッジ6がベースユニット2のテーブル部3の昇降に合わせ自動的に起立、又は、テーブル部3と下段面LF又は上段面HF間に掛渡されるようにされている。したがって、車椅子用昇降機1の操作は図示しないリモコンのスイッチ操作だけで良く、当該車椅子用昇降機1は車椅子利用者にとっても取扱いしやすいものとされている。
なお、ここで言うスロープ及びブリッジとは、下段面LFとテーブル部3間で用いる場合はスロープ、上段面HFとテーブル部3間で用いる場合はブリッジと便宜上呼んでいるだけである。そのため、本実施例においては、ブリッジ6に設けたカム片65とスロープ5に設けたカム板60を入れ替えて組付ける。さらに、作動機構67を昇降ユニット4の反対側のガイドパイプ47に組付けることで、スロープ5とブリッジ6を入れ替えてテーブル部3に組付けたこととなる。
【0034】
最後に、本実施例における車椅子用昇降機1の組立方法について説明する。
まず、ベースユニット2を段差の下段面LFの設置場所に設置する。
次に、昇降ユニット4の縦フレーム44a,44a下端の開口部44h,44hとベースユニット2のベースフレーム7後部のガイド部材13,13を嵌合させ、ベースフレーム7に昇降ユニット4を係止させる。そして、縦フレーム44a,44aに設けた空孔部44c,44cを用いてガイド部材13,13に設けた雌螺子部13a,13aに螺子56,56を螺着させて、昇降ユニット4をベースフレーム7後部に組付ける。
然る後、昇降ユニット4の昇降フレーム46に設けたピン材46d,46dとベースユニット2のテーブル部3後部に設けた空孔部25,25を嵌合させ、昇降フレーム46をテーブル部3に係止させる。そして、テーブル部3後部の空孔部26,26を用いて螺子57,57を昇降フレーム46の雌螺子部46e,46eに螺着させて、昇降ユニット4をテーブル部3後部に組付ける。
そして、下段面LFからテーブル部3へ乗り込む側のテーブル部3側部に設けたパイプ21に、スロープ5の軸材59dを挿通させる。そして、カム板60の軸材60bをスロープ5の取付板59cに設けた空孔部59eと前記パイプ21に挿通させて、スロープ5をパイプ21に回動可能に係止させる。然る後、螺子61にてカム板60を前記取付板59cに止着させて、スロープ5をテーブル部3に組付ける。
また、スロープ5取付け他端側のテーブル部3側部に設けたパイプ21に、ブリッジ6の軸材63dを挿通させる。そして、軸材64の一端側をブリッジ6の前記取付板63cに設けた空孔部63eと前記パイプ21に挿通させて、ブリッジ6をパイプ21に回動可能に係止させる。然る後、カム片65の一方の空孔部65aに前記軸材64の他端側を挿通させて、カム片65を前記軸材64に係止させる。そして、前記カム片65の他方の空孔部65aを用いて螺子66にてカム片65を前記取付板63cに止着させて、ブリッジ6をテーブル部3に組付ける。
そして、作動機構67のガイド部材68,68のピン材68a,68a,・・・と前記ブリッジ6を組付けた側の昇降ユニット4のガイドパイプ47に設けた空孔部47c,47c,・・・を嵌合させて、ガイド部材68,68をガイドパイプ47に係止させる。そして、前記ガイドパイプ47の雌螺子部47d,47dに螺子70,70を螺着させることで、ガイド部材68,68をガイドパイプ47に組付ける。また、作動機構67のガイド部材69を、前記ガイド部材68,68を組付けた前記ガイドパイプ47の三面に沿うように配設させる。そして、該ガイド部材69前部に配設した固定具69aを螺子69b,69bにてガイドパイプ47に圧接させて、ガイド部材69をガイドパイプ47に組付ける。
また、安全装置Bのコ型フレーム39の空孔部39a,39aとスロープ5取付け側のテーブル部3側部に設けたピン材22,22を嵌合させて、コ型フレーム39をテーブル部3に係止させる。そして、螺子43にてコ型フレーム39中間部をテーブル部3に止着させる。然る後、シート41端部に設けた棒材42後部を、ベースフレーム7のアーム板9に設けた空孔部9aに挿通させて係止させる。さらに、前記棒材42前部をベースユニット2に設けられている前記安全装置Aの取付具37に設けた空孔部37aに挿通させて係止させ、安全装置Bをベースフレーム7とテーブル部3間に組付ける。
【0035】
このように、本発明にかかる車椅子用昇降機1は、それぞれのユニットをコンパクトかつ各ユニットを一人で運べるように構成している。これにより、ユニットごとの搬入が可能となり、作業者一人でも容易に搬入作業を行うことができる。
また、この車椅子用昇降機1は、ベースユニット2をベースフレーム7に対して昇降可能にテーブル部3を支持機構8にて支持させた構成としている。これにより、テーブル部3を垂直方向へのみ変位可能としている。したがって、この車椅子用昇降機1は、昇降ユニット4を前方へ引倒すような負荷が該昇降ユニット4に掛からない構成となっている。これによると、昇降ユニット4とベースユニット2との組付けを上述したような簡単なものとすることができる。
さらに、この車椅子用昇降機1は、各ユニット間の組付けを行う際に、それぞれのユニットの構成部材を嵌合させることだけで、各ユニットを所定の組付け位置に係止できるようにされている。これによると、一方のユニットの他方のユニットに対する位置決めを簡単にできる。また、それぞれのユニットを支えながら螺子の螺着作業を行う必要がなく、作業者一人でも各ユニット間の組付けを容易に行うことができる。したがって、作業者の労力を軽減できる。また、各ユニットの構成部材が互いに嵌り込む状態となることで、数少ない螺子による固定でも、各ユニット間の組付部においてしっかりとした剛性を確保できる。これによると、各ユニットの組付部におけるガタつきをなくすことができ、車椅子利用者が安心して当該車椅子用昇降機1を使用できる。
すなわち、当該車椅子用昇降機1を設置するためには、作業者一人による搬入、組立で良く、設置における効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】車椅子用昇降機を示す斜視図。
【図2】ベースフレームを示す斜視図。
【図3】テーブル部を示す斜視図。
【図4】ベースユニットを示す斜視図。
【図5】ベースユニットに安全装置を配設した状態を示す斜視図。
【図6】昇降ユニットを示す説明図。
【図7】ベースユニットと昇降ユニットの組付構造を示す説明図。
【図8】スロープとテーブル部の組付構造を示す説明図。
【図9】ブリッジとテーブル部の組付構造を示す説明図。
【図10】作動機構と昇降ユニットの組付構造を示す説明図。
【図11】スロープが下段面に掛渡された状態を示す背面図。
【図12】昇降時におけるスロープ及びブリッジの状態を示す背面図。
【図13】ブリッジが上段面に掛渡された状態を示す背面図。
【符号の説明】
【0037】
1 車椅子用昇降機
2 ベースユニット
3 テーブル部
4 昇降ユニット
7 ベースフレーム
8 支持機構
13 ガイド部材
25 空孔部
44 ボックス
44a 縦フレーム
44h 開口部
45 昇降機構
46 昇降フレーム
46d ピン材
56 螺子
57 螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ベースフレームに支持機構を介して昇降自在なテーブル部を構成してなるベースユニットと、前記テーブル部を昇降させるための昇降機構を備えた昇降ユニットからなる分解組立可能な車椅子用昇降機において、それぞれのユニットの組付部が嵌合可能となるように構成すると共に、螺子止め等により嵌合状態が解除されないように構成したことを特徴とする車椅子用昇降機の組立構造。
【請求項2】
前記ベースユニットと前記昇降ユニットとを組付ける際、前記ベースフレーム後部のガイド部材と昇降ユニットのボックスを構成する縦フレーム下端の開口部を嵌合させて、ベースフレームと昇降ユニットを係止させ、然る後、螺子にてベースフレームと昇降ユニットを固定させると共に、昇降ユニットの昇降フレームに設けたピン材と前記テーブル部後部に設けた空孔部を嵌合させて、昇降ユニットとテーブル部を係止させ、然る後、昇降ユニットとテーブル部を螺子にて固定させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車椅子用昇降機の組立構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−334197(P2006−334197A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163717(P2005−163717)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会、テレビ大阪株式会社主催の「高齢者・障害者の快適な生活を提案する総合福祉展バリアフリー2005(開催日:平成17年4月21日から同年4月23日)」に出品
【出願人】(394006129)株式会社いうら (63)