説明

車線分離標洗浄機

【課題】走行中の車両に洗浄水がはねてしまうことを防止し、安全かつ効率よく車線分離標を洗浄することができる車線分離標洗浄機を提供する。
【解決手段】車線分離標洗浄機1は、車線分離標Mを洗浄する洗浄部10と、洗浄水を収納するタンク20と、タンク20から洗浄部10に洗浄水を案内する案内手段30とを備えている。洗浄部10は、筒状体11を有しており、筒状体11の内側にはブラシおよび洗浄水を噴射する噴射口が配設されている。筒状体11の上端側にはハンドル15が取り付けられており、ハンドル15には洗浄水の供給を制御する制御部16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路などにおいて暫定区間のセンターライン上などに配設されている車線分離標を洗浄する車線分離標洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路などでは、暫定区間のセンターライン上などに誘導標識柱として車線分離標が配設されている。車線分離標の表面には反射テープなどが粘着され、視認性が高められているが、車線分離標は風雨や車両の排気ガスなどにより汚れやすく、それにより視認性が低下してしまう。そこで、車線分離標は定期的に洗浄している。従来、車線分離標の洗浄は、主として、作業者がバケツに水と洗剤を入れ、ブラシで1本ずつ手作業により行っていた。また、清掃車による洗浄も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−288486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業員がブラシにより洗浄する場合には、作業員の腕や頭部が走行車線にはみ出てしまい、大変危険であるという問題があった。また、ブラシで洗浄するので、走行する車両に洗浄水がはねるおそれがあるという問題もあった。更に、清掃車により洗浄する場合には、道路を走行する他の車両に比べて清掃車の走行速度が遅いので、交通の妨げとなり、交通渋滞の要因にもなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、走行中の車両に洗浄水がはねてしまうことを防止し、安全かつ効率よく車線分離標を洗浄することができる車線分離標洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車線分離標洗浄機は、筒状体と、この筒状体の内側に配設され、中心部に筒状体の伸長方向に沿って車線分離標を挿入する挿入部が設けられたブラシと、筒状体の内側に設けられ、洗浄水を噴射する噴射口と、洗浄水を収納するタンクと、このタンクから噴射口に洗浄水を案内する案内手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車線分離標洗浄機によれば、筒状体の内側にブラシと洗浄水を噴射する噴射口とを設けるようにしたので、ブラシの挿入部に車線分離標を挿入して、噴射口から洗浄水を噴射し、筒状体を上下させることにより、簡単に、斑なく、効率よく車線分離標を洗浄することができる。また、作業員は筒状体を上下させるだけでいいので、作業中に作業員の腕や頭部が走行車線にはみ出てしまうことを防止することができ、安全に作業することができる。更に、筒状体の内側に設けた噴射口から洗浄水を噴射するので、走行中の車両に洗浄水がはねてしまうことを防止することもできる。加えて、場所をとらないので、交通の妨げとならず、交通渋滞の要因にもなることを防止することができる。
【0008】
また、筒状体にハンドルを取り付け、ハンドルに洗浄水の供給を制御する制御部を設けるようにすれば、作業員がハンドルを握りながら洗浄水の供給を制御することができる。よって、より簡便に作業を行うことができる。
【0009】
更に、ブラシを筒状体に対して着脱可能とすれば、ブラシの劣化に応じてブラシのみを交換して用いることができる。よって、簡単かつ安価に洗浄力を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車線分離標洗浄機の全体構成を表す図である。
【図2】図1に示した車線分離標洗浄機の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】図1に示した車線分離標洗浄機の一部を拡大分解して表す部分断面図である。
【図4】図2に示したI−I線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車線分離標洗浄機1の全体構成を表すものであり、図2は、車線分離標洗浄機1の一部の断面構造を拡大して表すものであり、図3は、車線分離標洗浄機1の一部の断面構造を拡大分解して表すものであり、図4は、図2に示したI−I線に沿った断面構造を表すものである。
【0013】
この車線分離標洗浄機1は、例えば、車線分離標Mを洗浄する洗浄部10と、洗浄水を収納するタンク20と、タンク20から洗浄部10に洗浄水を案内する案内手段30と、タンク20を運搬する台車40とを備えている。案内手段30は、例えば、ポンプ31と、洗浄水を流通させるホースなどの流通管32とを有している。洗浄水には、例えば、水または水に洗剤を入れたものが用いられる。
【0014】
洗浄部10は、例えば、筒状体11を有しており、筒状体11の内側にはブラシ12および洗浄水を噴射する噴射口13が配設されている。ブラシ12は、例えば、筒状体11の内周面に沿って配設されており、中心部に、筒状体11の伸長方向に沿って車線分離標Mの円柱状の標識部分を挿入する挿入部12Aが形成されている。ブラシ12の毛12Bは、例えば、筒状体11の内周面に沿って螺旋状に形成されている。また、図示しないが、ブラシ12の毛12Bは環状に形成してもよく、筒状体11の伸長方向または円周方向において複数に分割して形成してもよい。なお、図3では、ブラシ12の毛12Bの部分を梨地で示している。
【0015】
ブラシ12は、例えば、筒状体11の内周面に沿って突出して設けられた係止部11Aと、筒状体11の下端に配設された支持部材14との間に挟まれ、筒状体11に対して固定されている。支持部材14は、筒状体11に対して固定具11Bにより着脱可能に配設されており、これにより、ブラシ12は筒状体11に対して着脱可能とされている。
【0016】
噴射口13は、例えば、筒状体11の上端側に配設されており、複数設けられていることが好ましい。筒状体11の上端側には、また、ハンドル15が伸長して取り付けられている。ハンドル15は、例えば、逆U字型に形成されており、中空状とされている。ハンドル15の中には、例えば、流通管32が挿入されており、流通管32の先端は、噴射口13に接続されている。
【0017】
ハンドル15には、また、案内手段30による洗浄水の供給の開始または停止を制御する制御部16が設けられている。制御部16は、例えば、流通管32の途中に挿入するように接続されており、制御部16のレバー16Aを押すことにより、洗浄水を流通させて噴射口13から噴射させ、レバー16Aを離すことにより、洗浄水の流通を停止して噴射を終了させるようになっている。
【0018】
この車線分離標洗浄機1では、タンク20に洗浄水を入れて、車線分離標Mの設置場所まで運んだ後、作業員が洗浄部10のハンドル15を持ち、例えば図2に示したように、洗浄部10の挿入部12Aに車線分離標Mの標識部分を挿入して、洗浄部10を上下させることにより、車線分離標Mの標識部分を洗浄する。その際、制御部16のレバー16Aを握ることにより、噴射口13から洗浄水が噴射する。よって、作業員の動きは上下方向のみであり、作業員の腕や頭部が走行車線にはみ出てしまうことが防止される。また、筒状体11の内側で洗浄水は噴射されるので、洗浄水の飛び散りが防止される。洗浄によりブラシ12が劣化した場合には、例えば図3に示したように、支持部材14を取り外し、ブラシ12を新しいものに取り替える。
【0019】
このように本実施の形態によれば、筒状体11の内側にブラシ12と洗浄水を噴射する噴射口13とを設けるようにしたので、ブラシ12の挿入部12Aに車線分離標Mを挿入して、噴射口13から洗浄水を噴射し、筒状体11を上下させることにより、簡単に、斑なく、効率よく車線分離標Mを洗浄することができる。また、作業員は筒状体11を上下させるだけでいいので、作業中に作業員の腕や頭部が走行車線にはみ出てしまうことを防止することができ、安全に作業することができる。更に、筒状体11の内側に設けた噴射口13から洗浄水を噴射するので、走行中の車両に洗浄水がはねてしまうことを防止することもできる。加えて、場所をとらないので、交通の妨げとならず、交通渋滞の要因にもなることを防止することができる。
【0020】
また、筒状体11にハンドル15を取り付け、ハンドル15に洗浄水の供給を制御する制御部16を設けるようにすれば、作業員がハンドル15を握りながら洗浄水の供給を制御することができる。よって、より簡便に作業を行うことができる。
【0021】
更に、ブラシ12を筒状体11に対して着脱可能とすれば、ブラシ12の劣化に応じてブラシ12のみを交換して用いることができる。よって、簡単かつ安価に洗浄力を保つことができる。
【0022】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、制御部16の構成について具体的に説明したが、他の構成を有するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、各構成要素についても具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
車線分離標の洗浄に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1…車線分離標洗浄機、10…洗浄部、11…筒状体、11A…係止部、11B…固定具、12…ブラシ、12A…挿入部、12B…毛、13…噴射口、14…支持部材、15…ハンドル、16…制御部、16A…レバー、20…タンク、30…案内手段、31…ポンプ、32…流通管、40…台車、M…車線分離標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体と、
この筒状体の内側に配設され、中心部に前記筒状体の伸長方向に沿って車線分離標を挿入する挿入部が設けられたブラシと、
前記筒状体の内側に設けられ、洗浄水を噴射する噴射口と、
洗浄水を収納するタンクと、
このタンクから前記噴射口に洗浄水を案内する案内手段と
を備えたことを特徴とする車線分離標洗浄機。
【請求項2】
前記筒状体にはハンドルが取り付けられており、
このハンドルには、前記案内手段による洗浄水の供給を制御する制御部が設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の車線分離標洗浄機。
【請求項3】
前記ブラシは、前記筒状体に対して着脱可能に配設されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車線分離標洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−66230(P2012−66230A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215588(P2010−215588)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【特許番号】特許第4647719号(P4647719)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(509077200)株式会社ネクスコ・メンテナンス東北 (3)
【Fターム(参考)】