説明

車載用パネルスイッチ

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される車載用パネルスイッチに関し、小型で多様な制御ができるものを提供することを目的とする。
【解決手段】環状に形成された操作部21Fに複数の回転体25A〜25Hなどの検出部を設けて、操作部21Fに設けられた複数の検出部のうち隣り合う複数の検出部が連続して接触されたことを制御回路56が検出すると、情報表示部21L、21Mの表示が変化するように車載用パネルスイッチ60を構成するもので、小型で多様な制御が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる車載用パネルスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の空調システム、換気システムなどの操作に、パネルの前面等に表示された複数のボタンを押圧操作する車載用パネルスイッチが広く用いられている。
【0003】
このような従来の車載用パネルスイッチについて、図11を用いて説明する。
【0004】
ここで、同図は従来の車載用パネルスイッチの正面図であり、前面パネル10には「△」「▽」の記号が表示され、運転席側の設定温度の増減を行うための運転席側温度設定ボタン1Aと、助手席側の設定温度の増減を行うための助手席側温度設定ボタン1Bが配置されている。
【0005】
また、運転席側温度設定ボタン1Aと、助手席側温度設定ボタン1Bの間には、設定温度表示部3、A/Cボタン4と、内外切替ボタン5、風量設定ボタン6A〜6D、吹出モード変更ボタン7A〜7E、自動制御ボタン8と、空調ゾーン表示ボタン9が配置されている。
【0006】
ここで、A/Cボタン4はエアコン(図示せず)を作動するためのボタンで、内外切替ボタン5は内気・外気の換気の切替に用いるボタンである。また、風量設定ボタン6A〜6Dは吹出口からの風量の制御に用いるボタンで、吹出モード変更ボタン7A〜7Eは吹出口からの送風のON/OFF変更に用いるボタンである。さらに、自動制御ボタン8は「AUTO」と表示された風量の制御などを自動で行うために用いるボタンで、空調ゾーン表示ボタン9は運転席/助手席のいずれの空調が制御可能な状態にあるか表示するボタンである。
【0007】
そして、前面パネル10の後方には配線基板(図示せず)が配置され、配線基板前面に複数のプッシュスイッチ(図示せず)、複数の発光素子(図示せず)と、各プッシュスイッチおよび各発光素子に電気的に接続されたマイコン等の制御回路(図示せず)が配置され、車載用パネルスイッチ20が構成されている。
【0008】
なお、これらのプッシュスイッチと発光素子は、運転席側温度設定ボタン1Aや助手席側温度設定ボタン1Bなどの前面パネル10に配置された各ボタンの後方にそれぞれ配置されており、各ボタンの押圧の有無が各プッシュスイッチを介して制御回路で検出可能であると共に、各ボタンを下方から照光可能なものとなっている。
【0009】
このように構成された車載用パネルスイッチ20において、操作者が運転席側温度設定スイッチ1Aを操作すると、空調ゾーン表示ボタン9が点灯し運転席側の空調の設定が表示されていることが操作者に示される。
【0010】
また、その際、A/Cボタン4、風量設定ボタン6A〜6D、内外切替ボタン5、吹出モード変更ボタン7A〜7E、自動制御ボタン8は現在の運転席側の設定に対応して点灯あるいは消灯する。
【0011】
そして、操作者が助手席側温度設定スイッチ1Bを操作すると、空調ゾーン表示ボタン9が点滅し助手席側の空調の設定が表示されていることが操作者に示される。
【0012】
また、A/Cボタン4、風量設定ボタン6A〜6D、内外切替ボタン5、吹出モード変更ボタン7A〜7E、自動制御ボタン8は現在の助手席側の設定に対応して点灯あるいは消灯する。
【0013】
つまり、空調ゾーン表示ボタン9が点灯している場合は、運転席側の現在の設定が車載用パネルスイッチ20の各ボタンの点灯状況で示され、空調ゾーン表示ボタン9が点滅している場合は、助手席側の現在の設定が車載用パネルスイッチ20の各ボタンの点灯状況で示される。
【0014】
すなわち、空調ゾーン表示ボタン9により、設定温度表示部3、A/Cボタン4、風量設定ボタン6A〜6D、内外切替ボタン5、吹出モード変更ボタン7A〜7E、自動制御ボタン8を運転席側、助手席側の設定の表示に共有して、小型の車載用パネルスイッチ20を実現していた。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平8−318729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記従来の車載用パネルスイッチ20においては、吹出風量の段階ごとに風量設定ボタン6A〜6Dや、吹出モードの設定ごとに吹出モード変更ボタン7A〜7Eを設けているため、多様な制御をしようとすると車載用パネルスイッチ20にボタンの数が増え大型化するという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、小型で多様な制御が可能な車載用パネルスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0020】
本発明の請求項1記載の発明は、環状に形成された操作部に複数の検出部を設けて、操作部に設けられた複数の検出部のうち隣り合う複数の検出部が連続して接触されたことを制御回路が検出すると、情報表示部の表示が変化するように車載用パネルスイッチを構成するもので、小型で多様な制御が可能な車載用パネルスイッチを提供することができるという作用を有する。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、選択表示部をさらに備え、操作部に設けられた複数の検出部のうち所定の検出部に接触すると選択表示部の表示が変化し、所定の検出部に隣り合う複数の検出部に連続して接触すると情報表示部の表示が変化するよう構成するもので、操作者に操作部を用いた操作が、どのような機能を制御するために用いられる状態であるか通知することができるという作用を有する。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御回路は検出部の接触に加え操作方向を検出し、隣り合う複数の検出部が連続して接触された際の各検出部の操作方向が連続している場合に、制御回路が情報表示部の表示を変化させるよう構成するもので、操作者の意図を反映可能な車載用パネルスイッチを提供することができるという作用を有する。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、操作部の内側に押圧ボタンをさらに設けたもので、操作部の内側の領域を有効に活用することができるという作用を有する。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、操作部を操作部の周囲に対し、凹面または凸面で形成したもので、操作部から指が外れることが抑制されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、小型で多様な制御が可能な車載用パネルスイッチを提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態による車載用パネルスイッチの正面図
【図2】同車載用パネルスイッチの分解斜視図
【図3】同車載用パネルスイッチの要部断面図
【図4】同車載用パネルスイッチの要部断面図
【図5】同車載用パネルスイッチの動作を示す正面図
【図6】同車載用パネルスイッチの動作を示す正面図
【図7】同車載用パネルスイッチの動作を示す正面図
【図8】同車載用パネルスイッチの動作を示す正面図
【図9】同車載用パネルスイッチの他の実施の形態を示す要部断面図
【図10】同車載用パネルスイッチの他の実施の形態を示す要部断面図
【図11】従来の車載用パネルスイッチの正面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を用いて説明する。
【0028】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0029】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による車載用パネルスイッチの正面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、前面パネル21の中央には円孔21Aが設けられ、円孔21Aの右側には角孔21B、21C、左側には角孔21D、21Eが設けられている。
【0031】
また、円孔21Aを囲むように、やや凹んだ操作部21Fが環状に設けられ、操作部21Fには八箇所の円周を等分する位置にやや小さめの円孔21Gが設けられている。
【0032】
さらに、操作部21Fの外側で角孔21B、21Cとの間に、「D−TEMP」の文字、「MODE」の文字が後方から照光可能に表示された選択表示部21H、21Iが配置されている。また、操作部21Fの外側で角孔21D、21Eとの間に、「P−TEMP」の文字、ファンを表す記号が後方から照光可能に表示された選択表示部21J、21Kが配置されている。
【0033】
なお、「D−TEMP」は運転席側の温度設定、「MODE」は吹出口の設定、「P−TEMP」は助手席側の温度設定、ファンを表す記号は吹出口からの風量設定のそれぞれの機能に対応した表示である。
【0034】
そして、選択表示部21Hと選択表示部21Iの間には、運転席側の設定温度と、運転席および助手席の吹き出しモードなどの設定情報を表示する情報表示部21Lが、選択表示部21Jと選択表示部21Kの間には、助手席側の設定温度と、運転席および助手席の風量などの設定情報を表示する情報表示部21Mが配置されている。
【0035】
また、円筒状のガイド22が円孔21Aの内周に配置され、ガイド22の内側に押圧ボタン23、24が配置される。
【0036】
また、略球状の回転体25A〜25Hが円孔21Gから前面を露出させて配置され、回転体25A〜25Hの後方にはリング状の弾性シート26が回転体25A〜25Hと接するように配置されている。なお、回転体25A〜25Hは、特許請求の範囲に記載した検出部の一例である。
【0037】
さらに、リング状の第一の配線基板27が弾性シート26の後方に配置され、回転体25A〜25Hの後方に当る位置にGMR(Giant Magneto Resistive)素子などを用いた磁界検出回路28A〜28Hが配置されている。また、磁界検出回路28A〜28Hは、第一の配線基板27前面および後面の配線を介して、コネクタケーブル29に電気的に接続されている。なお、磁界検出回路28A〜28Hは、特許請求の範囲に記載した検出回路の一例である。
【0038】
また、情報表示部21L、21Mの後方には、方形枠状のスペーサシート31A、31Bと、スペーサシート31A、31Bの後方に液晶素子32A、32Bが配置されている。そして、液晶素子32A、32Bの表示はそれぞれ情報表示部21L、21Mから視認可能に構成されている。
【0039】
また、円孔21Aの右側に、後面開口で箱状の押圧ボタン40、41が角孔21Bから前面を露出して配置され、同様に後面開口で箱状の押圧ボタン42が角孔21Cから前面を露出して配置されている。なお、例えば押圧ボタン40の前面には車両のフロントガラスのヒーターを示す記号が表示され、押圧ボタン41の前面には車両のリアガラスのヒーターを示す記号が表示されている。また、押圧ボタン42の前面には内気を示す記号、「AUTO」の文字、外気を示す記号が並んで表示されている。
【0040】
さらに、円孔21Aの左側には、後部開口で箱状の押圧ボタン43、44が角孔21Dから前面を露出させ配置され、同様に後面開口で箱状の押圧ボタン45が角孔21Eから前面を露出させ配置されている。なお、例えば押圧ボタン43の前面には「A/C」の文字、押圧ボタン44の前面には「FR」の文字、押圧ボタン45の前面には「DUAL」の文字が表示されている。
【0041】
また、押圧ボタン40〜45には後方から導光体46が挿入され、導光体46の前面が押圧ボタン40〜45の前面で露出している。
【0042】
そして、角柱状の筐体51には、中央に略半円状の孔51Aが上下に並んで設けられ、孔51Aの左右に角孔51Bが設けられている。また、孔51A、角孔51Bの外周に沿って前方に突出したガイド壁が設けられており、孔51Aに押圧ボタン23、24が、角孔51Bに押圧ボタン40〜45が嵌合され、ガイド壁に沿って前後に動作可能なよう構成されている。
【0043】
さらに、第二の配線基板52が筐体51の後方に配置されている。この第二の配線基板52の前面には複数の発光ダイオードなどの発光素子53、複数のプッシュスイッチ54、コネクタ55、マイコン等の半導体素子から構成された制御回路56が配置され、後面には外部信号を出力する外部端子57が設けられている。
【0044】
ここで、複数の発光素子53は、押圧ボタン23、40〜45に挿入された導光体46の後方に、複数のプッシュスイッチ54は押圧ボタン23、24、40〜45に挿入された導光体46の後方に配置されている。そして、プッシュスイッチ54が押圧ボタン23、24、40〜45の押圧によりONすると、対応する発光素子53を制御回路56が点灯するものである。
【0045】
また、コネクタ55には、コネクタケーブル29が接続される。これにより、磁界検出回路28A〜28Hからの出力信号が制御回路56に入力され、この出力信号の変化から回転体25A〜25Hの回転の有無、回転方向を制御回路56が検出しうる。また、制御回路56は、回転体25A〜25Hの回転の有無、回転方向を検出し、外部端子57を介して出力する外部信号を生成するものである。
【0046】
また、制御回路56は外部信号を生成するとともに、選択表示部21H〜21Kの表示を変化させる。さらに、制御回路56は液晶素子32A、32Bの表示を変化させるので、情報表示部21L、21Mの表示が変化する。
【0047】
そして、後面カバー59には外部コネクタ59Aが設けられ、外部コネクタ59A内部に外部端子57を露出させるよう第二の配線基板52の後方から重ね、車載用パネルスイッチ60が構成されている。
【0048】
そして、このように構成された車載用パネルスイッチ60は、運転席あるいは助手席に着座した操作者が操作可能なように前面パネル21を運転席、助手席側に向けて、例えば、車両のインスツルメントパネル(図示せず)に配置される。
【0049】
さらに、車載用パネルスイッチ60は、外部端子57を介して車両のインスツルメントパネル内などに配置された車両のエアコンなどの被制御機器(図示せず)と接続される。そして、車載用パネルスイッチ60は、回転体25A〜25Hや押圧ボタン23、24、40〜45の操作に応じた外部信号を、外部端子57を介して出力し、被制御機器を制御する。
【0050】
次に、図3および図4の要部拡大断面図を用いて、回転体25A〜25Hの回転の有無と回転方向を検出する原理を説明する。
【0051】
ここで、図3に示すのは、図1のA−A線を通る断面図の一部となる要部断面図で、図4に示すのは図3のB−B線を通る断面図である。なお、回転体25Aと磁界検出回路28Aの周辺の構成は他の回転体25B〜25H、他の磁界検出回路28B〜28Hも同様であるので、同図を代表例として説明する。
【0052】
ここで、同図において、回転体25Aは外方へ突出した軸部251Aを備え、左右方向に回転可能なよう前面パネル21に保持されている。また、回転体25Aには、所定の回転角間隔で、交互に複数の磁極(S極、N極)が表面に現れるように着磁されている。
【0053】
また、前面パネル21の操作部21Fは所定の斜度を有して、周囲より凹んで設けられ、ガイド22に対しても凹んで配置されている。このため、操作者が指で回転体25Aを操作した場合に、操作部21Fから指がずれることが抑制されている。
【0054】
また、回転体25Aは、弾性シート26を介して第一の配線基板27と対向しており、ここで、第一の配線基板27の回転体25Aと対向した位置に、磁界検出回路28Aが配置されている。
【0055】
そして、磁界検出回路28Aの内部には二つの磁界検出素子281A、282Aが回転体25Aの回転方向に並んで配置されている。
【0056】
ここで、図4において、操作者が回転体25Aを時計回転方向に回転操作すると、S極とN極の境界面は、磁界検出素子281Aの対向位置Dを通過した後、磁界検出素子282Aの対向位置Eを通過するので、磁界検出素子281Aが検出する磁界強度に先に変化が現れた後、磁界検出素子282Aが検出する磁界強度に変化が現れる。これにより、磁界検出回路28Aの出力信号が変化し、回転体25Aが時計回転方向に回転したことを磁界検出回路28Aに接続された制御回路56が検出することが出来る。
【0057】
また、逆時計回転方向に回転操作すると、S極とN極の境界面は、磁界検出素子282Aの対向位置Eを通過した後、磁界検出素子281Aの対向位置Dを通過するので、磁界検出素子282Aが検出する磁界強度に先に変化が現れた後、磁界検出素子281Aが検出する磁界強度に変化が現れる。これにより、磁界検出回路28Aの出力信号が変化し、回転体25Aが逆時計回転方向に回転したことを制御回路56が検出することが出来る。
【0058】
次に、図5から図8の正面図を用いて、車載用パネルスイッチ60の動作について説明する。ここで、図5は吹出モードを変更する際の、図6は運転席側設定温度を変更する際の車載用パネルスイッチ60の表示の変化を説明する正面図である。また、図7は、助手席側設定温度を変更する際の、図8は風量設定を変更する際の車載用パネルスイッチ60の表示の変化を説明する正面図である。
【0059】
まず、図5を用いて、吹出モードを変更する際の表示の変化について説明する。ここで、吹出モードは例えば(表1)のように吹出モード1から吹出モード6までで設定されており、同図(a)では、吹出モード1に対応する「デフロスト吹出口=ON」「フェース吹出口=ON」「フット吹出口=ON」で設定された表示が、情報表示部21Lで視認されている。
【0060】
【表1】

【0061】
ここで、操作者が指を回転体25Dに接触し回転体25Dを回転すると、制御回路56が回転体25Dの回転を検出し、「MODE」の文字で示す選択表示部21Iを照光する。
【0062】
そして、操作者が操作部21F上で指をスライドさせ、矢印Fに沿って、回転体25C、25B、25Aの順で回転させると、回転体25C、25B、25Aの回転および回転方向を制御回路56が検出する。
【0063】
ここで、制御回路56は、回転体25C、25B、25Aのそれぞれの回転を検出すると、吹出モードを吹出モード2、吹出モード3、吹出モード4へと変化させ吹出モードの変化に合わせて、情報表示部21Lの表示を変化させる。
【0064】
そして、同図(b)で示すような「デフロスト吹出口=OFF」「フェース吹出口=ON」「フット吹出口=OFF」の吹出モード4に対応した表示が情報表示部21Lで視認される。
【0065】
つまり、操作部21F上で指をスライドさせ、矢印Fに沿って、回転体25C、25B、25Aの順で指のスライド方向に回転させることにより、吹出モードを変更することができるので、吹出モードごとにボタンを必要とせず、小型の車載用パネルスイッチ60を実現することができる。
【0066】
さらに、操作部21Fは環状に形成されているので、吹出モードの数が増えた場合であっても、回転体25A〜25Hの数を増やすことなく、多様な吹出モードに容易に対応することができる。
【0067】
次に、図6を用いて、運転席側設定温度を変更する際の表示の変化について説明する。ここで、同図(a)では、運転席側設定温度は「25.0」℃として情報表示部21Lに表示されている。
【0068】
ここで、操作者が指を回転体25Bに接触し回転体25Bを回転すると、制御回路56が回転体25Bの回転を検出し、「D−TEMP」の文字で示す選択表示部21Hを照光する。
【0069】
そして、操作者が操作部21F上で矢印Gに沿って、回転体25A、25H、25G、25Fの順に指をスライドさせると、回転体25A、25H、25G、25Fの回転および回転方向を制御回路56が検出する。
【0070】
そして、制御回路56は、回転体25A、25H、25G、25Fのそれぞれの回転を検出すると、運転席側設定温度を0.5℃刻みで増加させる。
【0071】
そして、例えば操作者が指で回転体25Fまで回転させると、同図(b)で示すように運転席側設定温度は「27.0」℃となる。
【0072】
すなわち、操作者が指をスライドさせる開始位置となる回転体25Bに対し、上方にある回転体25Aの方向に、まず指をスライドさせると、運転席側設定温度が増加するので、操作者の直感に合った操作が可能となる。
【0073】
さらに、図7を用いて、助手席側設定温度を変更する際の表示の変化について説明する。ここで、同図(a)では、助手席側設定温度は「25.0」℃として情報表示部21Mに表示されている。
【0074】
ここで、操作者が指を回転体25Hに接触し回転体25Hを回転すると、制御回路56が回転体25Hの回転を検出し、「P−TEMP」の文字で示す選択表示部21Jを照光する。
【0075】
そして、操作部21F上で指をスライドさせ、矢印Hに沿って、回転体25A、25B、25C、25D、25Eの順で指のスライド方向に回転させると、回転体25A、25B、25C、25D、25Eの回転および回転方向を制御回路56が検出する。
【0076】
そして、回転体25A、25B、25C、25D、25Eのそれぞれの回転を検出すると、制御回路56は、運転席側設定温度を0.5℃刻みで増加させる。
【0077】
そして、操作者が指で回転体25Eを回転させると、同図(b)で示すように助手席側設定温度は「27.5」℃となる。
【0078】
ここで、助手席側設定温度を増加させるための操作方向は、図6で運転席側設定温度を増加させた場合と操作方向と異なるが、操作者が指をスライドさせる開始位置となる回転体25Hに対し、上方にある回転体25Aの方向に、まず指をスライドさせると、助手席側設定温度が増加するようにしており、操作者の直感に合った操作が可能となっている。
【0079】
最後に、図8を用いて、風量設定を変更する際の表示の変化について説明する。ここで、同図(a)では、風量設定は六段階中の四段階目の強さとして情報表示部21Mに表示されている。なお、この風量設定を風量4とし、強さの段階が一段階上がるごとに、風量5、風量6となり、段階が一段階下がるごとに、風量3、風量2、風量1となる。
【0080】
ここで、操作者が指を回転体25Fに接触し回転体25Fを回転すると、制御回路56が回転体25Fの回転を検出し、ファンの記号で示す選択表示部21Kを照光する。
【0081】
そして、操作者が操作部21F上で指をスライドさせ、矢印Iに沿って、回転体25E、25D、25Cの順で回転させると、回転体25E、25D、25Cの回転および回転方向を制御回路56が検出する。
【0082】
そして、制御回路56は、回転体25E、25D、25Cのそれぞれの回転を検出すると、風量設定を風量3、風量2、風量1と一段階ずつ減少させる。
【0083】
そして、操作者が指で回転体25Cを回転させると、同図(b)で示すように風量設定は風量1として表示される。
【0084】
ここで、風量設定を減少させるための操作方向は、操作者が指をスライドさせる開始位置となる回転体25Fに対し、下方にある回転体25Eの方向に、まず指をスライドさせると、風量設定が減少するようにしており、操作者の直感に合った操作が可能となっているのは前記の図6、図7を用いて説明したのと同様である。
【0085】
また、操作部21Fは、図5〜図8を用いて説明したように、複数の機能に対する設定に共用することができるので、小型の車載用パネルスイッチに適した構造となっている。
【0086】
なお、前記の説明において、検出部として磁気検出方式の略球形の回転体25A〜25Hを例にとり説明したが、円柱形でも良く回転可能な形状であれば実施可能である。
【0087】
また、回転体25A〜25Hの回転方向を検出することにより、その前に操作した検出部の操作方向との一致を確認することで、操作者の意図に適合しているか否か制御回路56が判定することが可能となるという利点はあるが、情報表示部21L、21Mの表示を変化する本発明の実施において、回転方向の検出は必ずしも必要ではない。
【0088】
さらに、検出部と検出回路は磁気検出方式のものに限られない。例えば、図9の要部断面図に示す他の方式の検出回路でも可能である。
【0089】
ここで、同図(a)は、静電式の検出回路を用いるもので、同図において前面パネル61に設けられた操作部61Fに検出部62が配置される。この検出部62に対向する位置に電極63A、63Bが設けられる。この電極63Aは電界64を放射する電極で、電極63Bは電界64を吸収する電極であり、電極63A、63Bから検出回路が構成される。ここで、操作者が検出部62に接触すると、電極63Bから吸収される電界64の量が変化するため、検出部62への接触を検出しうる。
【0090】
また、同図(b)は、光学式の検出回路を用いるもので、同図において前面パネル66に設けられた操作部66Fに透光性の検出部67が配置される。この検出部67に対向する位置に発光部68A、受光部68Bが設けられ、これらの発光部68A、受光部68Bから検出回路が構成される。そして、操作者が検出部67に接触すると、光あるいはレーザー光などの光線69が、操作者の指などで反射し、受光部68Bで受光することで、検出部67への接触を検出しうる。
【0091】
さらに、同図(c)は、機械式の検出回路を用いるもので、同図において前面パネル71に設けられた操作部71Fに前後に可動する検出部72が配置される。この検出部72の後方に検出回路となるプッシュスイッチ73Aが配置され、検出部72の押圧をプッシュスイッチ73Aで検出しうる。なお、機械式の検出回路はプッシュスイッチ73A以外のメンブレンスイッチやスライドスイッチなど様々な機械式のスイッチを用いることも可能である。
【0092】
なお、前記の説明においては、操作部21Fはその周囲に対し、所定の斜面を備えて凹んでいるものとして説明したが、凹面でも凸面でも良く、様々な変形が可能である。例えば図10の断面図で示すように、同図(a)の操作部81Fのように前面パネル81に対して直角に凹んだ形状でも良いし、同図(b)の操作部82Fのように前面パネル82に対して直角に凸となる形状でも良い。なお、同図(a)の形状は特許請求の範囲に記載した凹面の一例で、同図(b)の形状は特許請求の範囲に記載した凸面の一例である。
【0093】
このように本実施の形態によれば、環状に形成された操作部21Fに複数の回転体25A〜25Gなどの検出部を設けて、操作部21Fに設けられた複数の検出部のうち隣り合う複数の検出部が連続して接触されたことを制御回路56が検出すると、情報表示部21L、21Mの表示が変化するように車載用パネルスイッチ60を構成するもので、小型で多様な制御が可能となる。
【0094】
また、選択表示部21H〜21Kをさらに備え、操作部21Fに設けられた複数の検出部のうち所定の検出部に接触すると選択表示部21H〜21Kの表示が変化し、所定の検出部に隣り合う複数の検出部に連続して接触すると情報表示部21L、21Mの表示が変化するよう構成するもので、操作者に操作部21Fを用いた操作が、どのような機能を制御するために用いられる状態であるか通知することができる。
【0095】
また、制御回路は検出部の接触に加え操作方向を検出し、隣り合う複数の検出部が連続して接触された際の各検出部の操作方向が連続している場合に、制御回路56が情報表示部21L、21Mの表示を変化させるよう構成するもので、操作者の意図をより反映することが可能となる。
【0096】
また、操作部21Fの内側に押圧ボタン23、24をさらに設けたもので、操作部の内側の領域を有効に活用することができる。
【0097】
さらに、操作部21Fを操作部21Fの周囲に対し、凹面または凸面で形成したもので、操作部から指が外れることが抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明による車載用パネルスイッチは、小型で多様な制御が可能という有利な効果を有し、主に車両のエアコンなどの被制御機器の操作のため有用である。
【符号の説明】
【0099】
21、61、66、71、81、82 前面パネル
21A、21G 円孔
21B、21C、21D、21E 角孔
21F、61F、66F、71F、81F、82F 操作部
21H、21I、21J、21K 選択表示部
21L、21M 情報表示部
22 ガイド
23、24、40、41、42、43、44、45 押圧ボタン
25A、25B、25C、25D、25E、25F、25G、25H 回転体
26 弾性シート
27 第一の配線基板
28A、28B、28C、28D、28E、28F、28G、28H 磁界検出回路
29 コネクタケーブル
31A、31B スペーサシート
32A、32B 液晶素子
40、41、42、43、44、45 押圧ボタン
46 導光体
51 筐体
51A 孔
51B 角孔
52 第二の配線基板
53 発光素子
54 プッシュスイッチ
55 コネクタ
56 制御回路
57 外部端子
59 後面カバー
59A 外部コネクタ
60 車載用パネルスイッチ
62、67、72 検出部
63A、63B 電極
64 電界
68A 発光部
68B 受光部
69 光線
73A プッシュスイッチ
251A 軸部
281A、282A 磁界検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出部が設けられた操作部と、前記検出部への接触により出力信号が変化する検出回路と、前記検出回路からの出力信号が入力される制御回路と、前記操作部への接触により表示が変化する情報表示部とを備え、
前記操作部は環状に形成され、前記操作部に設けられた複数の前記検出部のうち隣り合う複数の前記検出部が連続して接触されたことを前記制御回路が検出すると、前記情報表示部の表示が変化する車載用パネルスイッチ。
【請求項2】
選択表示部をさらに備え、前記操作部に設けられた複数の前記検出部のうち所定の前記検出部に接触すると前記選択表示部の表示が変化し、所定の前記検出部に隣り合う複数の前記検出部に連続して接触すると前記情報表示部の表示が変化する請求項1記載の車載用パネルスイッチ。
【請求項3】
前記制御回路は前記検出部の接触に加え操作方向を検出し、隣り合う複数の前記検出部が連続して接触された際の前記各検出部の操作方向が連続している場合に、前記制御回路が前記情報表示部の表示を変化させる請求項1記載の車載用パネルスイッチ。
【請求項4】
前記操作部の内側に押圧ボタンをさらに設けた請求項1記載の車載用パネルスイッチ。
【請求項5】
前記操作部は前記操作部の周囲に対し、凹面または凸面で形成された請求項1記載の車載用パネルスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−183842(P2012−183842A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46229(P2011−46229)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】