説明

車載装置、通信方法及びプログラム

【課題】不具合に適切に対処することができる車載装置、通信方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】故障診断部150は、不具合を検出する。制御部180は、故障診断部150が不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルを通信ネットワークを介して取得し、対策ファイルを実行する。制御部180は、故障診断部150が不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを通信ネットワークを介して取得し、対策ファイル記憶部174に記憶する。制御部180は、故障診断部150が不具合を検出したときに、通信ネットワークを介した通信が不可能である場合、対策ファイル記憶部174に記憶される前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用故障診断装置が車両の不具合に対応するバーコードを表示し、携帯端末がこのバーコードを読み取って、この不具合の対処方法を外部のサーバから取得する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−275545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、不具合に対処するため、車載装置が不具合に対応するプログラムを自動的にダウンロードし、インストールすることも考えられる。しかし、インストールの途中でセルモータが始動すると、車載装置に定格電圧が供給されなくなり、インストールが失敗し、車載装置が起動できなくなる。
この場合、もはや特許文献1に開示された技術によって対処方法を取得することもできず、不具合に適切に対処することができなかった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、不具合に適切に対処することができる車載装置、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る車載装置は、
不具合を検出する検出部と、
前記検出部が不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行部と、
前記検出部が不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得部と、
前記検出部が不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
前記第1実行部、及び、前記第2実行部に電力を供給する給電部を更に備え、
前記第1実行部、及び、前記第2実行部は、前記給電部により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行可能であってもよい。
【0008】
前記検出部は、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出してもよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る通信方法は、
不具合を検出する検出工程と、
不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行工程と、
不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得工程と、
不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行工程と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
電力を供給する給電工程を更に備え、
前記第1実行工程、及び、前記第2実行工程は、前記給電工程により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行可能であってもよい。
【0011】
前記検出工程は、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
不具合を検出する検出手順と、
不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行手順と、
不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得手順と、
不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行手順と、
を実行させることを特徴とする。
【0013】
前記第1実行手順、及び、前記第2実行手順において、給電部により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行させてもよい。
【0014】
前記検出手順において、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不具合に適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカーオーディオ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ、機器情報記憶部、検出不具合記憶部を説明するための図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ、不具合情報ローカルDB、対策ファイル記憶部を説明するための図である。
【図5】図1に示すサーバの構成を示すブロック図である。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ、不具合情報サーバDB、対策ファイル記憶部を説明するための図である。
【図7】図2に示す制御部が実行する不具合対策処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートに続くフローチャートである。
【図9】(a)乃至(c)は、実行指示画面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る車載システム100を、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る車載システム100は、図1に示すように、車載装置としてのカーオーディオ装置10と、カーオーディオ装置10に接続可能な携帯電話20と、携帯電話20と通信可能な基地局30と、基地局30とサーバ50とを接続する通信ネットワーク40と、サーバ50と、を備えている。
カーオーディオ装置10は、ラジオ放送などを受信して音声を再生するほか、携帯電話20、基地局30及び通信ネットワーク40を介して、サーバ50と通信する。
【0019】
カーオーディオ装置10は、図2に示すように、ラジオ受信部110と、操作部120と、表示部130と、携帯電話20との接続I/F(Interface)140と、故障診断部150と、音声出力部160と、記憶部170と、制御部180と、を備えている。
なお、カーオーティオ装置10は、接続I/F140を介して携帯電話20と接続でき、携帯電話20に記憶される音楽データを再生できる。このとき、カーオーティオ装置10は、携帯電話20を介して音楽データをダウンロードできる。ユーザは、携帯電話20に記憶される音楽データを再生したい場合、適宜、カーオーディオ装置10と携帯電話20とを接続I/F(140)を介して接続する。
【0020】
ラジオ受信部110は、チューナ、デコーダ、ADC(Analog to Digital Converter)などから構成され、アンテナ110aを介して受信した所望の周波数の音声信号を復調・復号し、デジタル信号に変換した後、変換した音声信号(デジタル)を制御部180に供給する。
【0021】
操作部120は、操作ボタン等を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部180に供給する。
【0022】
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、制御部180の制御下、様々な画像を表示する。
【0023】
接続I/F140は、カーオーディオ装置10と携帯電話20とを接続するコネクタなどから構成され、カーオーディオ装置10から供給された情報を携帯端末20に供給し、携帯端末20から供給された情報をカーオーディオ装置10に供給する。
【0024】
故障診断部150は、カーオーディオ装置10を構成するハードウェアの故障(異常)を検出するセンサ、故障診断装置などから構成され、制御部180の制御下、ハードウェアの故障やソフトウェアの実行エラー等の不具合を検出し、検出結果を制御部180に通知する。
【0025】
音声出力部160は、DAC(Digital to Analog Converter)、アンプなどから構成され、制御部180から供給された音声信号(デジタル)をアナログ信号に変換し、変換した音声信号(アナログ)を増幅した後、増幅した音声信号をスピーカ160aに供給し、音声を出力させる。
【0026】
記憶部170は、フラッシュメモリなどから構成され、機器情報記憶部171と、検出不具合記憶部172と、不具合情報ローカルDB(Database)173と、対策ファイル記憶部174と、を備える。
【0027】
機器情報記憶部171は、図3(a)に示すように、カーオーディオ装置10の機種を識別する機種ID(Identifier)を記憶している。
検出不具合記憶部172は、図3(b)に示すように、カーオーディオ装置10の不具合を識別する不具合ID(Identifier)を記憶する。
【0028】
不具合情報ローカルDB173は、図4(a)に示すように、前述した不具合IDと、不具合に対処するためのファイル(対策ファイル)を識別する対策ファイルIDと、を対応付けて記憶する。
【0029】
対策ファイル記憶部174は、図4(b)に示すように、後述するサーバ50から取得した対策ファイルを記憶する。対策ファイルの一例として、カーオーディオ装置10のソフトウェアの不具合を修正するパッチ(修正プログラム:*.patch)や、カーオーディオ装置10のハードウェアの不具合に対する対処方法を記憶したテキストファイル(*.txt)がある。
【0030】
図2に示す制御部180は、CPU(Central Processing Unit)181、フラッシュメモリ182などから構成され、フラッシュメモリ182に記憶された制御プログラムをCPU181が実行することにより、カーオーディオ装置10の諸機能を実現する。
例えば、制御部180は、ラジオ受信部110から供給された音声信号を適宜補正し、補正した音声信号を音声出力部160に供給すること等により、ラジオ放送を受信して再生する機能を実現する。
また、制御部180は、フラッシュメモリ182に記憶された不具合対策プログラムをCPU181が実行することにより、不具合に対応する対策ファイルをサーバ50から適宜ダウンロードし、ユーザの操作指示に応答してインストールする。
制御部180が実行する制御の詳細については後述する。
【0031】
給電部190は、スイッチなどから構成され、イグニッションスイッチの状態に応じて、車両に搭載されたバッテリから供給される電力を制御部180に供給する。
イグニッションスイッチの状態は、一般的なイグニッションスイッチと同様に、ユーザがイグニッションキーを挿入して回転することにより、バッテリから供給される電力をカーオーディオ装置10などのアクセサリ機器に供給する状態(ACC−ON状態)、バッテリから供給される電力をエンジンの点火装置に供給する状態(IG−ON状態)、バッテリから供給される電力をセルモータに供給する状態(START状態)に切り替わる。
ここで、給電部190は、ACC−ON状態又はIG−ON状態の場合、制御部180に電力を供給するが、START状態の場合、制御部180に電力を供給しない又は制御部180が稼動するために必要な電力を供給しない。
【0032】
図1に示すサーバ50は、カーオーディオ装置10の要求に応答して対策ファイルを提供するコンピュータであり、図5に示すように、通信部510と、操作部520と、表示部530と、記憶部540と、制御部550と、を備える。
【0033】
通信部510は、Ethernet(登録商標)等の通信規格に応じた通信インタフェースなどから構成され、通信ネットワーク40、基地局30及び携帯電話20を介して、カーオーディオ装置10と通信する。
【0034】
操作部520は、キーボード、マウスなどから構成され、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部550に供給する。
【0035】
表示部530は、LCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、制御部550の制御下、様々な画像を表示する。
【0036】
記憶部540は、磁気ディスクなどから構成され、不具合情報サーバDB541と、対策ファイル記憶部542と、を備える。
【0037】
不具合情報サーバDB541は、図6(a)に示すように、不具合IDと、機種IDと、対策ファイルIDとを対応付けて記憶している。
ユーザは、新たな不具合に対応する対策ファイルを作成したときに、その不具合の不具合IDと、作成した対策ファイルを適用できるカーオーディオ装置10の機種IDと、対策ファイルの対策ファイルIDとを対応付けて不具合情報サーバDB541に追加的に記憶する。
【0038】
対策ファイル記憶部542は、図6(b)に示すように、サーバ50がカーオーディオ装置10に提供する対策ファイルを記憶している。
前述したように、新たな不具合に対応する対策ファイルを作成したときに、ユーザは、作成した対策ファイルを対策ファイル記憶部542に記憶する。
【0039】
制御部550は、CPU、メモリなどから構成され、メモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、カーオーディオ装置10の要求に応答して、対策ファイル記憶部542に記憶された対策ファイルをカーオーディオ装置10に提供する。
【0040】
次に、上記構成を有する車載システム100の動作をカーオーディオ装置10の動作を中心に説明する。
【0041】
カーオーディオ装置10は、一般的なラジオ受信機能を有するほか、自装置の不具合を検出し、検出した不具合に対応する対策ファイルをサーバ50から適宜ダウンロードし、ユーザの操作指示に応答して対策ファイルを実行するという特徴的な機能を有する。
以下、理解を容易にするため、カーオーディオ装置10の機種IDが「M001」である場合を例にして、カーオーディオ装置10のこのような特徴的な動作を説明する。
【0042】
制御部180は、電源投入後、図7に示す不具合対策処理を開始し、まず、不具合の検出結果を故障診断部150から取得する(ステップS1)。
具体的には、制御部180は、不具合を検出する旨の不具合検出指示信号を故障診断部150に供給する。故障診断部150は、制御部180から供給された不具合検出指示信号に応答して、カーオーディオ装置10の不具合を検出し、検出結果を制御部180に通知する。
ここで、故障診断部150は、不具合を検出した場合、不具合を検出した旨のメッセージとその不具合の不具合IDを検出結果に含める。一方、故障診断部150は、不具合を検出しない場合、不具合を検出しなかった旨のメッセージを検出結果に含める。
【0043】
制御部180は、取得した検出結果が不具合を検出した旨のメッセージを含むか否か、即ち、不具合があったか否かを判別する(ステップS2)。制御部180は、不具合がないと判別した場合(ステップS2;No)、サーバ50と通信可能か否かを判別する(ステップS3)。なお、携帯電話10がカーオーディオ装置10の接続I/F140に接続されていない場合や、携帯電話10が圏外であって通信が不可能な場合には、サーバ50と通信が不可能であると判別される。また、携帯電話10、基地局30、通信ネットワーク40、サーバ50のいずれかに不具合がある場合等にも、サーバ50と通信が不可能であると判別される。
【0044】
制御部180は、サーバ50と通信可能であると判別した場合(ステップS3;Yes)、機器情報記憶部171に記憶された機種ID「M001」に対応する対策ファイルをダウンロードしたい旨と、この機種ID「M001」に対応する不具合ID及び対策ファイルIDをダウンロードしたい旨の要求を含むダウンロード要求をサーバ50に送信する(ステップS4)。
【0045】
サーバ50の制御部550は、ダウンロード要求に応答して、図6(a)に示す不具合情報サーバDB541を参照することにより、カーオーディオ装置10の機種ID「M001」に対応する不具合ID及び対策ファイルIDを特定し、特定した対策ファイルIDが付された対策ファイルを対策ファイル記憶部542から読み出して、ダウンロード要求のあったカーオーディオ装置10に送信する。併せて、制御部550は、特定した不具合ID及び対策ファイルIDを、ダウンロード要求のあったカーオーディオ装置10に送信する。
【0046】
カーオーディオ装置10の制御部180は、最新の対策ファイルをサーバ50からダウンロードし、ダウンロードした対策ファイルを対策ファイル記憶部174に記憶する(ステップS5)。また、制御部180は、不具合ID及びこれに対応する対策ファイルIDをサーバ50からダウンロードし、不具合情報ローカルDB173を更新し(ステップS6)、不具合対策処理を終了する。
【0047】
具体的には、制御部180は、ダウンロードした不具合ID及びこれに対応する対策ファイルIDの組み合わせが不具合情報ローカルDB173に記憶されていない場合、この不具合IDと対策ファイルIDとを対応付けて不具合情報ローカルDB173に追加的に記憶する。また、制御部180は、ダウンロードした対策ファイルを対策ファイル記憶部174に記憶する。
【0048】
一方、制御部180は、ダウンロードした不具合ID及びこれに対応する対策ファイルIDの組み合わせが不具合情報ローカルDB173に記憶されている場合、この不具合ID及び対策ファイルIDを不具合情報ローカルDB173に記憶せず、対応する対策ファイルも対策ファイル記憶部174に記憶しない。
【0049】
制御部180は、前述したステップS3で、サーバ50と通信できないと判別した場合(ステップS3;No)、以後の処理をスキップし、不具合対策処理を終了する。
【0050】
以上のように、本発明のカーオーディオ装置10は、不具合が発生していなくても(ステップS2;No)、サーバ50と通信可能であるときに(ステップS3;Yes)、その時点で最新の対策ファイルサーバ50からダウンロードし、記憶部170に格納しておくことができる(ステップS4〜S6)。
【0051】
また、制御部180は、前述したステップS2で、不具合があったと判別した場合(ステップS2;Yes)、検出結果に含まれる不具合IDを、検出不具合記憶部172に上書き保存する(ステップS7)。続いて、制御部180は、前述したステップS3〜S6と同じ処理を実行する(ステップS8〜S11)。
具体的には、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信可能であるとき、ステップS8でYesとなり、最新の対策ファイルがカーオーディオ装置10にダウンロードされ(ステップS10)、不具合情報ローカルDB173が更新される(ステップS11)。一方、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信できないとき、ステップS8でNoとなり、制御部180はステップS12に処理を進める。
【0052】
制御部180は、検出不具合記憶部172に記憶された不具合IDに対応する対策ファイルIDを不具合情報ローカルDB173から検索する(図8のステップS12)。制御部180は、検索条件を満たす対策ファイルIDが発見されたか否か、即ち、不具合IDに対応する対策ファイルがあるか否かを判別する(ステップS13)。
【0053】
制御部180は、不具合IDに対応する対策ファイルがあると判別した場合(ステップS13;Yes)、対策ファイルを実行するか否かを指示する実行指示画面1300を表示部130に表示する(ステップS14)。
実行指示画面1300は、例えば、図9(a)に示すように、対策ファイルを実行する旨を指示する「はい」ボタン1301と、対策ファイルを実行しない旨を指示する「いいえ」ボタン1302と、メッセージを表示するテキストエリア1303と、を備えている。
【0054】
制御部180は、「はい」ボタン1301又は「いいえ」ボタン1302が押下されたか否か、即ち、ユーザから指示があったか否かを判別する(ステップS15)。制御部180は、ユーザから指示がないと判別した場合(ステップS15;No)、ステップS15を繰り返す。
一方、制御部180は、ユーザから指示があったと判別した場合(ステップS15;Yes)、押下されたボタンが「はい」ボタン1301であったか否か、即ち、対策ファイルを実行する旨の指示があったか否かを判別する(ステップS16)。
【0055】
制御部180は、対策ファイルを実行する旨の指示があったと判別した場合(ステップS16;Yes)、ステップS12の検索で発見された対策ファイルIDが付された対策ファイルを対策ファイル記憶部174から読み出して実行し(ステップS17)、不具合対策処理を終了する。
具体的には、対策ファイルが修正プログラム(*.patch)である場合、制御部180はこの修正プログラムを実行し、インストールを開始する。続いて、制御部180は、インストールが完了すると、図9(b)に示すように、修正プログラムのインストールが終了した旨のメッセージを表示部130に表示する。そして、制御部180は、実行指示画面の1300のOKボタン1304が押下されると、この画面を非表示とし、通常の初期画面等を表示する。
一方、対策ファイルがカーオーディオ装置10のハードウェアの不具合に対する対処方法を記憶したテキストファイル(*.txt)である場合、図9(c)に示すように、制御部180はこのテキストファイルをオープン(実行)し、不具合に対する対処方法を表示部130に表示する。そして、制御部180は、実行指示画面の1300のOKボタン1304が押下されると、この画面を非表示とし、通常の初期画面等を表示する。
【0056】
制御部180は、前述したステップS13で、不具合IDに対応する対策ファイルがないと判別した場合(ステップS13;No)、その旨のメッセージを表示し(ステップS19)、不具合対策処理を終了する。また、制御部180は、前述したステップS16で、対策ファイルを実行しない旨の指示があった場合(ステップS16;No)、不具合対策処理を終了する。
【0057】
このようにして、制御部180は、カーオーディオ装置10に不具合があり、且つ、サーバ50と通信可能な場合、カーオーディオ装置10に適用できる対策ファイルをサーバ50からダウンロードし、ダウンロードした対策ファイル(カーオーディオ装置10が正常のときダウンロードした対策ファイルを含む。)のうちから、検出した不具合に対応する対策ファイルを特定し、ユーザの操作指示に応答して実行する。
一方、制御部180は、カーオーディオ装置10に不具合があり、且つ、サーバ50と通信できない場合、カーオーディオ装置10に不具合が発生していないときに前もってダウンロードした対策ファイルのうちから、検出した不具合に対応する対策ファイルを特定し、ユーザの操作指示に応答して実行する。
【0058】
以上の具体的な動作を、図3、4、6、7を参照して具体的に説明する。
例えば、図3、4、6に示すように、各種DBにデータが記憶されており、不具合ID=1012の不具合が検出され、且つ、携帯電話20がカーオーディオ装置10に接続されていないとする。ここで、図4(b)に示すカーオーディオ装置10の対策ファイル記憶部174には、不具合ID=1012に対応する対策ファイル(F1012.patch)が記憶されているのに対し、図6(b)に示すサーバ50の対策ファイル記憶部542には、不具合ID=1012に対応する最新の対策ファイル(F1012−1.patch)が記憶されている。
【0059】
この場合、不具合ID=1012の不具合が検出されたため、ステップS2でYesとなり、携帯電話20がカーオーディオ装置10に接続されていないため、ステップS8でNoとなる。続いて、制御部180は、ステップS12で、図4に示す不具合情報ローカルDB173を参照し、不具合ID=1012に対応する対策ファイルIDを検索し、検索条件を満たす対策ファイルID「F1012」を発見し、ステップS13でYesとなる。その後、制御部180は、ユーザの操作指示に応答して(ステップS16;Yes)、対策ファイル(F1012.patch)を実行して、修正プログラムをインストールする。
【0060】
次に、図3、4、6に示すように、各種DBにデータが記憶されており、不具合ID=1012の不具合が検出され、且つ、携帯電話20がカーオーディオ装置10に接続されており、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信可能であるとする。
この場合、不具合ID=1012の不具合が検出されたため、ステップS2でYesとなるが、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信可能であるため、ステップS8でYesとなる。続いて、制御部180は、ステップS10で、不具合ID=1012に対応する最新の対策ファイル「F1012−1.patch」をダウンロードし、その後、ユーザの操作指示に応答して(ステップS16;Yes)、最新の対策ファイル(F1012−1.patch)を実行して、最新の修正プログラムをインストールする。
【0061】
一方、不具合が検出されなかったとする。
この場合、ステップS2でNoとなる。制御部180は、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信可能な場合(ステップS3;Yes)、最新の対策ファイル(F1012−1.patch等)を含む対策ファイルをダウンロードし(ステップS5)、カーオーディオ装置10がサーバ50と通信可能できない場合(ステップS3;No)、不具合対策処理を終了する。
【0062】
以上、説明したように、制御部180は、カーオーディオ装置10に不具合があり、且つ、サーバ50と通信可能な場合、カーオーディオ装置10に適用できる対策ファイルをサーバ50からダウンロードし、ダウンロードした対策ファイル(カーオーディオ装置10に不具合が発生していないときにダウンロードした対策ファイルを含む。)のうちから、検出した不具合に対応する対策ファイルを特定し、ユーザの操作指示に応答して実行する。
一方、制御部180は、カーオーディオ装置10に不具合があり、且つ、サーバ50と通信できない場合、カーオーディオ装置10が正常のときにダウンロードした対策ファイルのうちから、検出した不具合に対応する対策ファイルを特定し、ユーザの操作指示に応答して実行する。
【0063】
このため、対策ファイルを提供するサーバ50と通信可能な場合、サーバ50からダウンロードした最新の対策ファイルを実行することにより、検出した不具合に対して最適な対処をすることができる。一方、サーバ50と通信できない場合であっても、サーバ50と通信可能なときにダウンロードした対策ファイルを実行することにより、検出した不具合に対して次善の対処をすることができる。
【0064】
また、ソフトウェアの不具合を検出したときに、制御部180は、ユーザの操作指示に応答して、対策ファイルとしての修正プログラムを実行する。
このため、修正プログラムのインストール中であることを知らずに、ユーザがイグニッションスイッチをオンにし、セルモータを始動することが低減され、修正プログラムのインストールが失敗することを少なくすることができる。なお、修正プログラムのインストールの失敗を防止するために、修正プログラムのインストールにかかる時間を表示したり、インストール中はイグニッションスイッチを操作しないように注意喚起することが好ましい。
【0065】
(変形例)
上記実施形態では、制御部180は、カーオーディオ装置10の不具合を検出するが、不具合を検出する対象はこれに限定されず、例えば、カーオーディオ装置10を搭載する車両の不具合を検出するようにしてもよい。
具体的には、カーオーディオ装置10が、車両に設置されたODB(On-Board Diagnostic system)に接続する接続I/Fをさらに備え、ODBから車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果に基づいて車両の不具合を検出すればよい。この場合、対策ファイルとして、例えば、車両の不具合(エンジンオイルの不足、バッテリの電圧不足、点火タイミングの異常)に対する対処方法を記憶したテキストファイル(*.txt)を、サーバ50に登録すればよい。
【0066】
また、この発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記説明において示したハードウェアの構成及び動作は一例でありこれらに限定されるものではなく、適宜変更及び応用が可能である。
【0067】
上記実施形態では、カーオーディオ装置10は、携帯電話20を介してサーバ50と通信しているが、カーオーディオ装置10に通信モジュールを組み込み、この通信モジュールを介してサーバ50と通信するようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態では、理解を容易にするため、カーオーディオ装置10は、ラジオ放送を受信して再生することを前提としたが、これに限定されず、CDなどの記憶媒体に記憶されている音楽データを再生したり、テレビジョン放送を受信して再生するものであってもよい。
【0069】
上記実施形態では、車載装置がカーオーディオ装置10の場合を例にして車載システム100の動作を説明したが、車載装置はこれに限定されず、例えば、道案内をするナビゲーション装置であってもよい。また、車載装置が、前述したカーオーディオ装置10の機能と、ナビゲーション装置の機能を併せ持つようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態では、カーオーディオ装置10と携帯電話20とは接続I/F140を介して接続されているが、接続方法はこれに限定されず、例えば、IEEE802.15.1などの通信規格に応じた近距離無線通信装置を介して接続されていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、対策ファイルは、ソフトウェアの不具合を修正するプログラムやハードウェアの不具合に対する対処方法を記憶したテキストファイルであったが、対策ファイルの種別はこれに限定されず、PDFファイルやGIFであってもよい。
【0072】
なお、本発明の車載装置は、専用の装置を用いる必要はなく、通常のコンピュータにより実現することができる。例えばコンピュータに上記した各処理を実行させるためのプログラム及びデータを記録媒体(CD−ROM等)に記録して配布し、これをインストールしてOS(Operating System)上で実行することにより、本発明の車載装置を実現できる。また、プログラム及びデータの配布は、CD−ROM等に限らず、通信回線等を介して行われてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 車載装置
20 携帯電話
30 基地局
40 通信ネットワーク
50 サーバ
100 車載システム
110 ラジオ受信部
120 操作部
130 表示部
140 接続I/F
150 故障診断部
160 音声出力部
170 記憶部
171 機器情報記憶部
172 検出不具合記憶部
173 不具合情報ローカルDB
174 対策ファイル記憶部
180 制御部
190 給電部
510 通信部
520 操作部
530 表示部
540 記憶部
541 不具合情報サーバDB
542 対策ファイル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不具合を検出する検出部と、
前記検出部が不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行部と、
前記検出部が不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得部と、
前記検出部が不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記第1実行部、及び、前記第2実行部に電力を供給する給電部を更に備え、
前記第1実行部、及び、前記第2実行部は、前記給電部により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記検出部は、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
不具合を検出する検出工程と、
不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行工程と、
不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得工程と、
不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行工程と、
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項5】
電力を供給する給電工程を更に備え、
前記第1実行工程、及び、前記第2実行工程は、前記給電工程により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行可能である、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記検出工程は、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信方法。
【請求項7】
コンピュータに、
不具合を検出する検出手順と、
不具合を検出したときに、不具合に対処するための対策ファイルをネットワークを介して取得し、前記対策ファイルを実行する第1実行手順と、
不具合を検出しなかったときに、不具合に対処するための対策ファイルを前記ネットワークを介して取得し、記憶部に記憶する取得手順と、
不具合を検出したときに、前記ネットワークを介した通信が不可能である場合、前記記憶部に記憶された前記対策ファイルを読み出して、前記対策ファイルを実行する第2実行手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記第1実行手順、及び、前記第2実行手順において、給電部により電力が供給されているときに前記対策ファイルを実行させる、
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記検出手順において、
車両の故障を診断する故障診断装置から車両の故障の診断結果を取得し、取得した診断結果から車両の不具合を検出する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−121488(P2012−121488A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274831(P2010−274831)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】