説明

車載通信システム及び車載通信方法

【課題】ECUを複数の群に分けて車内通信回線に接続し、データベースを有する車載通信装置を群毎に接続し、各車載通信装置がデータベースから読み出したデータを各ECUへ送信する構成とした場合に各車載通信装置が有するデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システム及び車載通信方法を提供する。
【解決手段】車載通信装置1a以外の車載通信装置1b,1c,1dは、自身が有するデータベース11b,11c,11dから読み出したデータを通信線2を介して車載通信装置1aへ送信する。車載通信装置1aは、車載通信装置1b,1c,1dから送信されたデータを集約して新たな内容のデータベース11aを生成し、生成されたデータベース11aの内容を車載通信装置1b,1c,1dへ送信する。これにより、データベース11a,11b,11c,11dの内容が同一の内容に同期される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ECU(Electronic Control Unit)を複数の群に分け、群毎に車内通信回線に接続してある車載通信システムに関し、特に、各ECUから送信されるデータを記録し、また各ECUへデータを送信するためのデータベースを有する複数の車載通信装置を群毎に備え、更に各車載通信装置間を通信線を介して接続する構成とした場合に、各車載通信装置が有する各データベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システム及び車載通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載される機器の増加及び運転補助機能の増加に従い、搭載機器又は運転補助機能を電気的に制御するECUの数及び種類が増大する傾向にある。
【0003】
従って、ECUの数の増大に伴いECUが接続される車内通信回線で送受信されるデータの量も増大する。車内通信回線で送受信されるデータ量の増大はコリジョン(衝突)によるデータの遅延又は欠落を招く。データの著しい遅延又は欠落は、ECUによるブレーキ制御等の運転補助機能に対して致命的な場合がある。
【0004】
そこで、ECUを複数の群に分け、異なる車内通信回線にECUを群毎に接続する構成が一般的である。また、ECUの増大に対して効率的に車内通信回線を利用するために、ECUの群を送受信するデータの種類で分別し、群毎に通信速度の異なる車内通信回線に接続する構成もある。これらの構成では、異なる車内通信回線間はデータの送受信を制御するゲートウェイ装置により接続される。
【0005】
特許文献1には、ECUを複数の群に分けて群毎に車内通信回線に接続し、車内通信回線を更にゲートウェイ装置で接続する構成とし、送受信されるデータに優先順位を識別するための優先度情報を付加し、ゲートウェイ装置が異なる車内通信回線間でデータを送受信する場合に受信したデータの優先度情報から優先度を判別して優先度が高いデータを優先的に送信し、車内通信回線の通信負荷が増加した場合でも優先度が高いデータの送信が大きく遅れないようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−159568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ECUを複数の群に分けて、各ECU間をゲートウェイ装置を介して接続する場合、一の群の中のECUが更新するデータの内容は、更新された後にゲートウェイ装置を介して他の群のECUへ送信されるまでの間に、一の群と他の群とではデータの内容が一致しない時間がある。さらに、複数の群がゲートウェイ装置に直列的に接続される場合は、一の群と他の群とでデータの内容に段階的に時間差が生じる虞があった。
【0007】
即ち、本来は同一の内容のデータが各ECUで使用できるはずであったにも拘わらず、通信負荷を抑えるために各ECUを複数の群に分けることによって、各ECUが使用するデータの一貫性が失われる虞があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の群に分けられたECU等の各車載装置から送信されるデータを集約して記録するためのデータベースを有し、各車載装置を接続する車内通信回線とは別の通信線にもバス型に接続する車載通信装置を群毎に備える構成とし、各車載通信装置の内の一の車載通信装置が、他の車載通信装置から送信されたデータを自身が有するデータベースに集約し、集約されたデータベースの内容を他の車載通信装置へ送信することにより、各車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させ、各車載装置が群毎に車載通信装置から取得するデータの内容に一貫性を持たせることができる車載通信システム及び車載通信方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、各車載通信装置は、自身が有するデータベース全体を送信し、一の車載通信装置から新たに生成されたデータベースを受信して更新する構成とすることにより、簡易な構成で車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、各車載通信装置が自身が有するデータベースの内の所定データのみ送信する構成とすることにより、車載通信装置間を接続する通信線の通信負荷を抑えて車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、各車載通信装置が自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみ送信する構成とすることにより、車載通信装置間を接続する通信線の通信負荷を抑えて車載通信装置が夫々有するデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、一の車載通信装置が各車載通信装置がデータベースの内のいずれのデータを更新するのかを各車載通信装置毎に記憶しておくことにより、新たなデータベースを生成する際に、データ毎にいずれの車載通信装置から送信されたデータを使用すべきかを判別して、データベースを同一且つ最新の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、各車載通信装置が送信するデータがデータベースの内のいずれのデータなのかを特定することができる情報を送信することにより、一の車載通信装置が新たなデータベースを生成する際に、データ毎にいずれの車載通信装置から送信されたデータを使用すべきかを判別して、データベースを最新の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、各車載通信装置が、データベースの内のいずれのデータが更新されたのかを特定することができる情報を送信することにより、一の車載通信装置が新たなデータベースを生成する際に、データ毎にいずれの車載通信装置から送信されたデータのいずれのデータを使用すべきかを判別して、データベースを最新の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、一の車載通信装置以外の各車載通信装置毎に、全データを送信するのか、定められたデータのみ送信するのか、更新したデータのみ送信するのかを夫々設定することが可能な構成とすることにより、データベースの内の更新するデータの量、種別等の属性によって効率よく送信して、データベースを同一且つ最新の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、各車載通信装置の内のいずれか一が送信する開始の指示に従って、各車載通信装置がデータの送信を開始することにより、車載通信線間の通信線に対する通信負荷を低減させてデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、一の車載通信装置以外の車載通信装置は、定められた送信の優先度に従って自身が有するデータベースの内からデータを送信することにより、車載通信装置間の通信線におけるデータの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、一の車載通信装置以外の車載通信装置は定められた順序に従って自身が有するデータベースの内からデータを送信することにより、車載通信装置間の通信線におけるデータの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、一の車載通信装置以外の車載通信装置は定められた時刻に自身が有するデータベースの内からデータを送信することにより、車載通信装置間の通信線におけるデータの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【0020】
また、本発明の他の目的は、一の車載通信装置以外の車載通信装置は時分割に定められた送信期間に自身が有するデータベースの内からデータを送信することにより、車載通信装置間の通信線におけるデータの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる車載通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
第1発明に係る車載通信システムは、データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた前記車載装置を夫々群毎に接続する車内通信回線とを含む車載通信システムにおいて、群毎の前記車内通信回線に接続されており、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベースを有し、且つ前記車内通信回線とは別の通信線にバス型に接続されている車載通信装置を群毎に備え、各車載通信装置は、自身が有するデータベースの内のデータを他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段を備え、前記複数の車載通信装置の内の一の車載通信装置は、他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを受信する手段と、前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータ及び/又は自身が有するデータベースに基づいて新たにデータベースを生成する生成手段と、生成されたデータベースを前記他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段とを備え、前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースを前記一の車載通信装置から送信されたデータベースに更新するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
第2発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の全データを前記通信線を介して送信するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
第3発明に係る車載通信システムは、各車載通信装置には、データベースの内の所定のデータが車載通信装置毎に設定されてあり、前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の前記所定のデータのみを前記通信線を介して前記一の車載通信装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
第4発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみを前記通信線を介して前記一の車載通信装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
第5発明に係る車載通信システムは、前記一の車載通信装置は、車載通信装置毎に設定されているデータベースの内の所定のデータを夫々記憶する手段を備え、前記他の車載通信装置から送信されたデータから前記他の車載通信装置に設定されている所定のデータ、及び/又は、自身が有するデータベースの内から前記所定のデータを読み出す手段を備え、前記生成手段は、読み出されたデータを夫々新たなデータベースの内の前記所定のデータとして生成するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
第6発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置は、送信するデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を送信する手段を備え、前記生成手段は、前記他の車載通信装置から送信されたデータを新たなデータベースの内の前記特定情報により特定されるデータとして生成するようにしてあることを特徴とする。
【0027】
第7発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータが、データベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を前記一の車載通信装置へ送信する手段を備え、前記一の車載通信装置は、他の車載通信装置から送信されたデータから、送信された前記特定情報により特定されるデータを読み出す手段を備え、前記生成手段は、読み出されたデータを新たなデータベースの内の前記特定されるデータとして生成するようにしてあることを特徴とする。
【0028】
第8発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の全データを送信するようにしてあり、前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の設定されている所定のデータのみを送信するようにしてあり、前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみ、及び送信するデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を送信するようにしてあり、前記一の車載通信装置は、前記他の車載通信装置毎に、全データの送信、所定のデータのみの送信、又は更新されたデータのみの送信のいずれの送信によるのかを記憶する手段と、車載通信装置毎に設定されているデータベースの内の所定のデータを夫々記憶する手段と、全データの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータから前記他の車載通信装置に設定されている所定のデータを読み出す手段と、所定データのみの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータを前記車載通信装置に設定されている所定のデータとして読み出す手段と、更新されたデータのみの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータを、送信された前記特定情報により特定されるデータとして読み出す手段とを備え、前記生成手段は、読み出されたデータを新たなデータベースの内の前記所定のデータ又は前記特定されるデータとして生成するようにしてあることを特徴とする。
【0029】
第9発明に係る車載通信システムは、各車載通信装置のいずれか一は、送信開始の指示を送信する手段を備え、前記他の車載通信装置は、前記指示を受信した場合にデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0030】
第10発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置には、夫々優先度が設定されており、他の車載通信装置は、設定された優先度に従った順にデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0031】
第11発明に係る車載通信システムは、前記他の車載通信装置には、送信順序が設定されており、他の車載通信装置は、設定された送信順序に従ってデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0032】
第12発明に係る車載通信システムは、各車載通信装置には、送信時刻が夫々に設定されており、前記他の車載通信装置は、設定された送信時刻にデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0033】
第13発明に係る車載通信システムは、各車載通信装置には、時分割された送信期間が設定されており、前記他の車載通信装置は、設定された送信期間にデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0034】
第14発明に係る車載通信方法は、データを送受信する複数の車載装置と、各車載装置を複数の群に分けて群毎に接続する車内通信回線とから構成される車載通信システムを用い、一の群に含まれる車載装置から送信されるデータを他の群に含まれる車載装置へ送信する車載通信方法において、前記車載通信システムに、前記車内通信回線とは別の通信線にバス型に接続されており、且つ群毎の前記車内通信回線に接続されて各車載装置から送信されるデータを記録するデータベースを有する複数の車載通信装置を群毎に備えて用い、前記複数の車載通信装置の内の一の車載通信装置以外の他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内のデータを前記一の車載通信装置へ前記通信線を介して送信し、前記一の車載通信装置は、前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを受信し、受信したデータ及び自身が有するデータベースに基づいて新たにデータベースを生成し、生成したデータベースを前記他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信し、前記他の車載通信装置は、前記一の車載通信装置から送信されたデータベースを前記通信線を介して受信し、自身が有するデータベースを受信したデータベースに更新することを特徴とする。
【0035】
第1発明及び第14発明では、データを送受信する車載装置が複数の群に分けられて、群毎に車内通信回線に接続される構成の車載通信システムに対し、群毎の車内通信回線に接続して各車載装置から送信されるデータを記録するデータベースを有する車載通信装置が更に含まれる。各車載通信装置は、車載装置間及び車載装置と車載通信装置とを接続する車内通信回線とは別の通信線を介してバス型に接続される。各車載通信装置からは、夫々が有するデータベースの内からデータが通信線を介して送信される。各車載通信装置の内の一の車載通信装置によって、他の車載通信装置から通信線を介して送信されるデータ及び/又は自身が有するデータベースから読み出したデータに基づいて新たにデータベースが生成され、生成されたデータベースが通信線を介して他の車載通信装置へ送信される。各車載通信装置は通信線にバス型に接続されているので、一の車載通信装置から送信された新たなデータベースは、他の車載通信装置で同時に受信され、夫々更新される。
【0036】
第2発明では、他の車載通信装置から自身が有するデータベース全体が送信される。
【0037】
第3発明では、他の車載通信装置から自身が有するデータベースの内の設定された所定のデータのみが送信される。
【0038】
第4発明では、他の車載通信装置から自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみが送信される。
【0039】
第5発明では、各車載通信装置毎に設定された所定のデータを記憶している一の車載通信装置により、他の車載通信装置から送信される全データ又は所定のデータのみのデータから、各車載通信装置毎に設定されている所定のデータが読み出される。一の車載通信装置が有するデータベースの内からは、設定されている所定のデータが読み出される。読み出されたデータは夫々、新たに生成されるデータベースの内の所定のデータとして判別されて記録される。
【0040】
第6発明では、他の車載通信装置からはデータベースの内からのデータのみならず、送信されるデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを特定するための特定情報が送信される。したがって、一の車載通信装置では、他の車載通信装置から送信される全データ、所定のデータのみのデータ又は更新されたデータのみのデータを、新たなデータベースの内のいずれのデータとして記録するかが特定され、新たなデータベースを生成される。
【0041】
第7発明では、他の車載通信装置からはデータベースの内からのデータのみならず、更新したデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを特定するための特定情報が送信される。したがって、一の車載通信装置では、他の車載通信装置から送信される全データ又は所定のデータのみのデータから特定情報で特定されるデータが読み出されて、新たなデータベースの内のいずれのデータとして記録するかが特定される。また、他の車載通信装置から更新されたデータのみのデータが送信される場合は、そのデータを新たなデータベースの内のいずれのデータとして記録するかが特定されて、新たなデータベースが生成される。
【0042】
第8発明では、他の車載通信装置毎に全データを送信するのか、定められた所定のデータのみ送信するのか、更新したデータのみ送信するのかが、他の車載通信装置からデータを受信する一の車載通信装置に設定される。また、一の車載通信装置には、各車載通信装置毎にデータベースの内の所定のデータが夫々設定されている。一の車載通信装置により、全データを送信すると設定された車載通信装置から受信したデータから設定されている所定のデータが読み出されて新たなデータベースの内の所定のデータとして記録される。所定のデータのみを送信すると設定された車載通信装置から受信したデータは、新たなデータベースの内の設定されている所定のデータとして記録される。更新されたデータのみ送信すると設定された車載通信装置からは送信されたデータは、データベースの内のいずれのデータであるのかを特定するための特定情報が送信されるので、新たなデータベースの内の特定情報によって特定されたデータとして記録される。
【0043】
第9発明では、各車載通信装置のいずれか一から送信された送信開始の指示の受信をトリガに他の車載通信装置から自身が備えるデータベースから読み出したデータの送信が行なわれる。
【0044】
第10発明では、一の車載通信装置へデータベースに記録されたデータを送信する他の車載通信装置から、設定されている優先度に従ってデータが送信される。
【0045】
第11発明では、一の車載通信装置へデータベースに記録されているデータを送信する他の車載通信装置から、夫々に設定された送信順序に従ってデータが送信される。
【0046】
第12発明では、一の車載通信装置へデータベースに記録されているデータを送信する他の車載通信装置から、夫々に設定された送信時刻にデータが送信される。
【0047】
第13発明では、一の車載通信装置へデータベースに記録されているデータを送信する他の車載通信装置から、時分割されて各車載通信装置に割り当てるように設定された送信期間にデータが送信される。
【発明の効果】
【0048】
第1発明及び第14発明による場合は、車載通信システムにおいて、ECU等の各車載装置から送信されたデータを記録したデータベースを有する車載通信装置から、データベースの内のデータが各車載通信装置を接続する通信線を介して送信され、一の車載通信装置が他の車載通信装置から送信されたデータを集約して新たなデータベースを送信する。バス型に接続されていることで、一の車載通信装置から送信される新たなデータベースを同時に受信することができるので、各車載通信装置が有するデータベースの内容が同一の内容に同期される時間があることを担保することでき、異なる群に接続している各車載装置が車載通信装置から取得するデータの内容に一貫性を持たせることができる。
【0049】
第2発明による場合は、一の車載通信装置以外の他の車載通信装置は、自身が有するデータベースからデータを選別することなく全データを送信する簡易な構成によって、新たに生成されて送信されるデータベースを他の車載通信装置とほぼ同時に取得することができる。したがって、簡易な構成によって各車載通信装置が有するデータベースの内容を同一の内容に同期させることができる。
【0050】
第3発明による場合は、一の車載通信装置以外の他の車載通信装置は設定された所定のデータのみを送信するので、車載通信装置間を接続する通信線に送出されるデータ量が低減される。したがって、車載通信装置間を接続する通信線の通信負荷を抑えて各車載通信装置が夫々有するデータベースの内容を同一の内容に同期させることができる。
【0051】
第4発明による場合は、一の車載通信装置以外の他の車載通信装置は更新されたデータのみを送信するので、車載通信装置間を接続する通信線に送出されるデータ量が低減される。したがって、車載通信装置間を接続する通信線の通信負荷を抑えて各車載通信装置が夫々有するデータベースの内容を同一の内容に同期させることができる。
【0052】
第5発明による場合、各車載通信装置毎にデータベースの内のいずれのデータを更新するのかを所定のデータとして設定しておくことにより、各所定のデータとしてそのデータを更新する車載通信装置から送信されたデータを使用して新たなデータベースを生成するので、生成されたデータベースは最新の内容である。したがって、データベースを同一且つ最新の内容に同期させることができる。
【0053】
第6発明による場合は、他の車載通信装置から全データが送信された場合であっても、所定のデータが送信された場合であっても、又は更新されたデータのみが送信された場合であっても、送信されたデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを特定することができるので、データ毎にいずれの車載通信装置から送信されたデータを使用すべきかを判別してデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0054】
第7発明による場合は、他の車載通信装置から全データが送信された場合であっても、所定のデータが送信された場合であっても、又は更新されたデータのみが送信された場合であっても、送信されたデータから更新されたデータを特定し、データベースの内のいずれのデータであるかを特定することができるので、最新のデータとして最適なデータを使用してデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0055】
第8発明による場合は、各車載通信装置毎にどのようにデータを送信するのかを設定することが可能である。したがって、各車載通信装置は、データベースの内で更新するデータの量が多い場合はデータを全て送信するようにし、更新するデータの種別が一部のみである場合は種別を設定してその種別のみのデータを送信するようにする等、更新するデータの属性によって効率よくデータを送信してデータベースを同一且つ最新の内容に同期させることができる。
【0056】
第9発明による場合は、各車載通信装置のいずれか一からの送信開始の指示をきっかけにデータを送信する、逆に送信開始の指示が来るまではデータを送信しないので、各車載通信装置間を接続する通信線への負荷が低減させてデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0057】
第10発明による場合は、一の車載通信装置へデータベースに記録されたデータを送信する他の車載通信装置は夫々、自身より優先度の高い車載通信装置からデータが送信されてからデータを送信する。したがって、各車載通信装置からのデータの衝突が回避され、効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0058】
第11発明による場合は、一の車載通信装置へデータベースに記録されたデータを送信する他の車載通信装置は設定された送信順序に従ってデータを送信するので、各車載通信装置からのデータの衝突が回避され、効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0059】
第12発明による場合は、一の車載通信装置へデータベースに記録されたデータを送信する他の車載通信装置は設定された送信時刻にデータを送信するので、各送信時刻をずらして設定することにより、各車載通信装置からのデータの衝突が回避される。したがって、データの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【0060】
第13発明による場合は、車載通信装置毎に設定された送信期間中にデータを送信する。車載通信装置毎に設定された送信期間は、各車載通信装置に割り当てるように時分割された期間が設定されているので、各車載通信装置は割り当てられた送信期間にデータを送信し、即ち各車載通信装置から送信されるデータは衝突しない。したがって、データの衝突を回避して効率よくデータベースを同一の内容に同期させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0062】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る車載通信システムの構成を示す構成図である。車載通信システムは、複数の群に分けられた車載装置であるECU(Electronic Control Unit)4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…と、群毎に各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…を接続している車内通信回線3a,3b,3c,3dと、各車内通信回線3a,3b,3c,3dに夫々接続している車載通信装置1a,1b,1c,1dと、各車載通信装置1a,1b,1c,1dを幹線として接続している通信線2とを含み、幹線型の車載ネットワークを構成している。
【0063】
各車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々通信線2にバス型に接続されている。これに対し、各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…、及び車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々の車内通信回線3a,3b,3c,3dに接続しているが、その接続形態(トポロジー)はバス型、スター型、ディジーチェーン型等、いずれの形態でもよい。
【0064】
各車載通信装置1a,1b,1c,1dは夫々、データベース11a,11b,11c,11dとして使用する記録領域を備えた通信装置である。車載通信装置1aは、車内通信回線3aに接続しているECU4a,4a…から送信されたデータをデータベース11aに記録し、データベース11aから読み出されたデータをECU4a,4a…へ送信する。
【0065】
通信線2は、車載通信装置1a,1b,1c,1dをバス型に接続する例えば同軸ケーブルである。車内通信回線3a,3b,3c,3dは各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…、及び車載通信装置1a,1b,1c,1dを接続するためのケーブルであり、その接続形態に適したケーブルが使用される。
【0066】
ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…は、測定値、計算値、制御値等の各種物理量の数値情報を含むデータの送信又はエンジン、ブレーキ等のマイクロコンピュータによる制御が可能な装置である。例えば一のECU4aはABS(Antilock Brake System)として機能し、車輪の回転速度(車輪速)を検知する図示しないセンサと接続されている。一のECU4aは、車両の制動時にセンサを介して検知した車輪速に基づいてブレーキを制御すると共に、車輪速の測定値を含むデータを他のECU4a,…及び車載通信装置1aへ送信する。
【0067】
ここで、ECU4aから送信された車輪速のデータを他の車内通信回線3b,3c,3dに接続している各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…でも使用する場合、車載通信装置1aは車輪速のデータを他の車載通信装置1b,1c,1dのデータベース11b,11c,11dにも記録させ、各車載通信装置1b,1c,1dが各ECU4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…へ送信させることが必要になる。そのため、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されるデータを受信する都度、他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信し、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが受信して、夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dに記録するようにして実現することができる。
【0068】
ところで、データベース11a,11b,11c,11dに記録されるデータの内の、異なる群に分けられている各ECU4a,4b,4c,4dが同時に受信するデータが同一の内容であることが望ましい場合がある。夫々のデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同一の内容に同期されていないことが問題になる。例えば、データベース11aに記録されている車輪速のデータに含まれる速度の数値が、データベース11bに記録されている車輪速のデータに含まれる速度の数値と異なることが問題になる場合がある。
【0069】
この場合、前述した各車載通信装置1a,1b,1c,1dが各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…からデータを受信する都度、他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信して各データベース11a,11b,11c,11dに記録させるようにしたときは、一のデータが他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信されてデータベース11a,11b,11c,11dに記録された瞬間のその一のデータについて考えれば、そのデータの内容、即ち具体的な測定値、計算値、制御値は各車載通信装置1a,1b,1c,1dのデータベース11a,11b,11c,11dで同一である。しかしながら、各データベース11a,11b,11c,11dには種々のデータが記録されているので、通信線2を介した各車載通信装置1a,1b,1c,1d間での送受信による交換がデータ全てについて完了するまでは、データベース11a,11b,11c,11dが同一の内容に同期され、データベース11a,11b,11c,11dの内の任意のデータが同一の内容であることは担保されない。
【0070】
そこで、本発明に係る車載通信システムでは、一の車載通信装置1aが各車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dを集約し、集約したデータベースを他の車載通信装置1b,1c,1dへ分配するように送信する。図2は、本発明に係る車載通信システムの車載通信装置1a,1b,1c,1d間でデータベースを集約して分配するための構成を概念的に表わす模式図である。図2(a)は、各車載通信装置1b,1c,1dから一の車載通信装置1aへデータベース11a,11b,11c,11dが集約される流れを白矢印で表わしている。破線の円筒形は、新たに集約されるデータベースを表わしている。車載通信装置1b,1c,1dが夫々自身が有するデータベース11b,11c,11dを一の車載通信装置1aへ送信し、一の車載通信装置1aが、自身が有するデータベース11aと共に他の車載通信装置1b,1c,1dから送信されたデータベース11b,11c,11dを集約する。
【0071】
図2(b)は、新たに集約されたデータベースが各車載通信装置1b,1c,1dへ分配するように送信される流れを白矢印で表わしている。一の車載通信装置1aは、集約されたデータベースを通信線2へ送出することで他の車載通信装置1a,1b,1c,1dへ送信する。車載通信装置1a,1b,1c,1dは通信線2にバス型に接続されているので、送信されたデータベースを車載通信装置1a,1b,1c,1dでほぼ同時に受信し、夫々が有するデータベース11b,11c,11dとして更新することができる。
【0072】
本発明に係る車載通信システムでは、図2に示したような、車載通信装置1a,1b,1c,1dによるデータベース11b,11c,11dの内のデータの送信、一の車載通信装置1aによる集約されたデータベースの他の車載通信装置1b,1c,1dへの送信が定期的に行なわれる。これにより、本発明の車載通信システムでは、夫々のデータベース11a,11b,11c,11dの内容が同一に同期されている時間があることを担保する。以下に夫々の処理について具体的に説明する。
【0073】
図3は、本発明に係る車載通信装置1a,1b,1c,1dの内部構成を示すブロック図である。車載通信装置1aは、以下に示す各構成部の動作を制御する制御部10aと、各構成部に電力を供給する電源回路12aと、メモリからなる記憶部13aと、車内通信回線3aに接続されている第1通信制御部14aと、通信線2に接続されている第2通信制御部15aとを備える。他の車載通信装置1b,1c,1dも車載通信装置1aと同様の内部構成であるので詳細な説明を省略する。
【0074】
制御部10aは、図示しない車輌のオルタネータ、バッテリー等から電源回路12aを介して電力の供給を受け、記憶部13aに記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、各構成部を制御する。
【0075】
記憶部13aには、制御部10aがECU4a,4a,…から受信したデータを記録するデータベース11aのための記録領域が設けられている。制御部10aは、受信したデータから「車輪速」等の属性毎に、対応する具体的な測定値、計算値、制御値を読み出してデータベース11aに記録する。以下に説明する実施の形態では、データベース11a,11b,11c,11dの構造が定められている構成とする。即ち、データ毎にデータベース11a,11b,11c,11dの内の領域(アドレス)が設定されており、例えばデータベース11aの内のアドレス1番地に記録されているデータは「車輪速」であり、他のアドレス3番地に記録されているデータは「オイル温度」であると特定することができるようにされている。
【0076】
なお、これに限らずデータベース11aは、属性名等、データの属性の識別情報と識別情報に対応付けられた具体的な値とが組にして記録される構成でもよい。
【0077】
また、記憶部13aには、各ECU4a,4a,…から送信されるデータが所定のデータとして記憶されている。車載通信装置1aが車内通信回線3aを介して接続されている各ECU4a,4a,…からデータを受信してデータベース11aに記録することによって更新される所定のデータ、更新される可能性のある所定のデータが各車載通信装置1a,1b,1c,1d毎に設定されており、その所定のデータがデータベース11aのうちのいずれのデータであるのかが記憶部13aに記憶されている。例えば、「車輪速」を検知するセンサと接続されているECU4aが車載通信装置1aに接続されている場合、車載通信装置1aの記憶部13aには「車輪速」のデータが車載通信装置1aに設定されている所定のデータとして記憶される。具体的には、記憶部13aには所定のデータが記録されるデータベース11aの内の領域、又は所定のデータの属性名が記憶される。
【0078】
なお、記憶部13aに所定のデータとして記憶されているデータは、接続されているECU4a,4a,…から受信して更新されるデータ又は更新される可能性があるデータとした。しかしながら、これに限らず、車載通信装置1aが制御又は演算の処理を行なう場合、自らが制御又は演算を行なった結果更新されるデータも所定のデータとして記憶する構成でもよい。
【0079】
第1通信制御部14aは、車内通信回線3aを介して接続している各ECU4a,4a,…とのデータの送受信を実現する。制御部10aは、第1通信制御部14aにより各ECU4a,4a,…からデータを受信し、データを送信する。
【0080】
また、第2通信制御部15aは、通信線2を介してバス型に接続している他の車載通信装置1b,1c,1dとのデータの送受信を実現する。制御部10aは、第2通信制御部15aによりデータベース11aから読み出したデータを送信し、他の車載通信装置1b,1c,1dから送信されたデータを受信する。
【0081】
上述のように構成される本発明の車載通信システムにおいて、車載通信装置1a,1b,1c,1dが夫々有するデータベース11a,11b,11c,11dを同一の内容に同期させる処理について以下に説明する。
【0082】
なお、車載通信装置1a,1b,1c,1dのハードウェア構成は上述の通り、同様の構成である。しかし、車載通信装置1a,1b,1c,1dの内の一の車載通信装置1aと他の車載通信装置1b,1c,1dとでは処理手順が異なる。一の車載通信装置1aは、他の車載通信装置1b,1c,1dから送信されるデータを集約して新たなデータベースを生成するマスタとして動作する。したがって、一の車載通信装置1aと他の車載通信装置1b,1c,1dとを区別し、夫々の処理手順について以下に説明する。
【0083】
車載通信装置1aは第2通信制御部15aにより、他の車載通信装置1b,1c,1dにデータベース11b,11c,11dからのデータの送信を指示する指示信号を通信線2に送出する。車載通信装置1aは、指示信号に応じて他の車載通信装置1b,1c,1dから送信されたデータベース11b,11c,11dを受信して、受信したデータベース11b,11c,11dを使用し、新たなデータベースを生成して他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信する。車載通信装置1aは、指示信号を例えば10ミリ秒の一定周期の都度送信し、新たなデータベースの生成と他の車載通信装置1b,1c,1dへの送信を繰り返す。
【0084】
そこで、車載通信装置1aの記憶部13aには、自身に設定されている所定のデータのみならず、他の車載通信装置1b,1c,1dに設定されている所定のデータも記憶されている。これにより、各車載通信装置1b,1c,1dから送信されるデータベース11b,11c,11dから、夫々いずれのデータを読み出して新たなデータベースに採用すべきかを判別することができる。
【0085】
図4は、実施の形態1における車載通信装置1aの制御部10aが他の車載通信装置1b,1c,1dからデータを受信して新たなデータベースを生成する処理手順の例を示すフローチャートである。
【0086】
マスタとして動作する車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dへデータベース11a,11b,11c,11dの送信開始を指示する信号を第2通信制御部15aにより送信する(ステップS11)。車載通信装置1aの制御部10aは、通信線2を介して他の車載通信装置1b,1c,1dからデータが送信されているか否かを判断する(ステップS12)。車載通信装置1aの制御部10aは、データが送信されていないと判断した場合(S12:NO)、処理をステップS12へ戻してデータが送信されていると判断するまで待機する。車載通信装置1a,1b,1c,1dは通信線2にバス型に接続されているので、他の車載通信装置1a,1b,1c,1dのいずれかからデータが送信されている場合、それを検知することができる。
【0087】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dからデータが送信されていると判断した場合(S12:YES)、送信されているデータを受信し、記憶部13aに一時的に記憶する(ステップS13)。
【0088】
次に車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てからデータを受信したか否かを判断する(ステップS14)。車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てからデータを受信していないと判断した場合(S14:NO)、処理をステップS12へ戻して他の車載通信装置1b,1c,1dからデータを受信する処理を継続する。
【0089】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てからデータを受信したと判断した場合(S14:YES)、記憶部13aに一時的に記憶しているデータを使用して新たにデータベースを生成する(ステップS15)。ステップS15における制御部10aによる新たなデータベースの生成の詳細については後述する。
【0090】
車載通信装置1aの制御部10aは、記憶部13aのデータベース11aをステップS15で生成された新たなデータベースに更新し(ステップS16)、他の車載通信装置1b,1c,1dへステップS15で生成された新たなデータベースを送信し(ステップS17)、処理を終了する。
【0091】
なお、図4のフローチャートに示した例では、車載通信装置1aの制御部10aは新たなデータベースを記憶部13aのデータベース11aと別個に生成し、記憶部13aのデータベース11aを新たなデータベースに更新する。本発明はこれに限らず、記憶部13aのデータベース11aを新たに生成されるデータベースとして、データベース11aの内の所定の領域の内容を他の車載通信装置1b,1c,1dから受信したデータに変更する構成でもよい。
【0092】
図5は、実施の形態1における車載通信装置1bの制御部10bが、データベース11bからデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。他の車載通信装置1c,1dの制御部10c,10d処理手順は車載通信装置1bの制御部10bの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0093】
車載通信装置1bの制御部10bは、マスタとして動作する車載通信装置1aからの送信開始を指示する信号を受信したか否かを判断する(ステップS21)。車載通信装置1bの制御部10bは、送信開始を指示する信号を受信していないと判断した場合(S21:NO)、処理をステップS21へ戻して送信開始を指示する信号を受信したと判断するまで待機する。
【0094】
車載通信装置1bの制御部10bは、送信開始を指示する信号を受信したと判断した場合(S21:YES)、記憶部13bからデータベース11b全体を読み出す(ステップS22)。
【0095】
車載通信装置1bの制御部10bは、自身のデータの送信の優先度が他の車載通信装置1c,1dよりも高いか否かにより、送信権の調停に勝ったか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23における自身のデータの送信の優先度が他の車載通信装置1c,1dよりも高いか否かの判断は、車載LANの代表例であるCAN(Control Area Network)における調停のように、送信するデータの前に優先度を決める信号を付加して送信を試み、自身が送信するデータが実際に通信線2に送信されているか否かを判断することにより判断してもよい。先に優先度を表わす信号を送出して、他の車載通信装置から送信された信号が表わす優先度よりも自身の優先度が高いか否かを判断してもよい。
【0096】
車載通信装置1bの制御部10bは、送信の優先度が他の車載通信装置1c,1dよりも低く、調停に負けたと判断した場合(S23:NO)、他の車載通信装置1c,1dからの送信が終了するまで待機し(ステップS24)、処理をステップS23へ戻して送信権の調停に勝ったと判断するまでステップS23及びステップS24の処理を継続する。なお、各車載通信装置1a,1b,1c,1dは、通信線2にバス型に接続されているので他の車載通信装置1a,1b,1c,1dからデータの送信が終了したか否かを判別することができる。
【0097】
車載通信装置1bの制御部10bは、送信の優先度が他の車載通信装置1c,1dよりも高く、送信権の調停に勝ったと判断した場合(S23:YES)、ステップS22で読み出されたデータベース11b全体をデータとして通信線2を介して一の車載通信装置1aへ送信する(ステップS25)。
【0098】
次に車載通信装置1bの制御部10bは、新たに生成されたデータベースが車載通信装置1aから送信されているか否かを判断する(ステップS26)。車載通信装置1bの制御部10bは、ステップS25においてデータを送信した後、車載通信装置1aから何らかの送信が行なわれた場合は、データベースが送信されていると判断する。車載通信装置1aから新たに生成されたデータベースを送信する場合には、送信する前に新たなデータベースが送信されることを示す信号が送信されるようにすることにより、新たなデータベースが送信されているか否かを判断することもできる。
【0099】
車載通信装置1bの制御部10bは、新たに生成されたデータベースが送信されていないと判断した場合(S26:NO)、処理をステップS26へ戻し、他の車載通信装置1c,1dからのデータベース11c,11dの送信及び車載通信装置1aによる新たなデータベースの生成処理が終了して、新たに生成されたデータベースが送信されていると判断されるまで待機する。
【0100】
車載通信装置1bの制御部10bは、新たに生成されたデータベースが送信されていると判断した場合(S26:YES)、新たに生成され送信されているデータベースを受信する(ステップS27)。車載通信装置1bの制御部10bは、記憶部13bのデータベース11bを受信した新たなデータベースに更新し(ステップS28)、処理を終了する。
【0101】
図4及び図5のフローチャートに示した車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、マスタとして動作する一の車載通信装置1aで新たなデータベースが一度に生成され、バス型に接続されている他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信される。したがって、新たに生成されたデータベースが車載通信装置1b,1c,1dでほぼ同時に受信され、夫々のデータベース11a,11b,11c,11dとして更新される。
【0102】
ここで、図4のフローチャートのステップS15に示した車載通信装置1aの制御部10aが、図5のフローチャートのステップS25で送信されたデータを使用して新たなデータベースを生成する処理の詳細について以下に説明する。図6は、実施の形態1における車載通信装置1aの制御部10aが新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。各円筒形はデータベース11a,11b,11c,11dを表わしており、網掛け部分は夫々に設定されている所定のデータ、即ちデータベース11a,11b,11c,11dの内の所定の領域を表わしている。
【0103】
実施の形態1では、車載通信装置1b,1c,1dからデータベース11b,11c,11d全体がデータとして送信される。図6に示す図の上方の四つの各円筒形は、各車載通信装置1aの記憶部13aに記憶されているデータベース11a、及び各車載通信装置1b,1c,1dから送信された夫々のデータベース11b,11c,11d全体である。
【0104】
車載通信装置1aの制御部10aは、新たなデータベースの生成処理において、記憶部13aに一時的に記憶されている各データベース11b,11c,11d全体から、夫々必要なデータを読み出して新たなデータベースとして生成し直す。夫々必要なデータとは、車載通信装置1aの記憶部13aに記憶されている各車載通信装置1a,1b,1c,1d毎の所定のデータである。即ち、図6の模式図に示した矢印の流れのように、新たに生成するデータベースの内の一の領域のデータは、車載通信装置1bから送信されたデータベース11bの該当領域から読み出したデータを記録し、他の一の領域のデータは、車載通信装置1cから送信されたデータベース11cの該当領域から読み出したデータを記録し、他の一の領域のデータは、自身の記憶部13bに記憶されているデータベース11aの該当領域から読み出したデータを記録する。
【0105】
このような本発明に係る車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されて更新されたデータが夫々反映された新たなデータベースが生成され、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容が新たに生成されたデータベースの内容に同一に同期される。
【0106】
また、車載通信装置1b,1c,1dは、車載通信装置1aへデータを送信する際、記憶部13b,13c,13dに夫々記憶されているデータベース11b,11c,11dからいずれかのデータを選択して読み出す処理を行なうことなく、データベース11b,11c,11d全体を夫々読み出す簡易な構成で各車載通信装置1a,1b,1c,1dが有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるという本発明の課題を解決することができる。
【0107】
さらに、一の車載通信装置1aへデータを送信する他の車載通信装置1b,1c,1dは、データを送信する際に夫々に設定されている送信の優先度に従って送信するので、データの送信の衝突が回避され、秩序をもって効率よくデータを送信することができる。
【0108】
(実施の形態2)
実施の形態1では、車載通信装置1b,1c,1dから車載通信装置1aへ送信されるデータとして、夫々有しているデータベース11b,11c,11d全体が送信される構成とした。これに対して以下に説明する実施の形態2では、車載通信装置1b,1c,1dから、夫々のデータベース11b,11c,11dの内から記憶部13b,13c,13dに記憶されている所定のデータのみが読み出されて送信される。
【0109】
また、実施の形態1では、車載通信装置1bの制御部10bは、データを送信する際、他の車載通信装置1c,1dと比べて送信の優先度が高いか否かを判断し、優先度が高いと判断した場合に送信する構成とした。これに対して以下に説明する実施の形態2では、車載通信装置1b,1c,1dは、記憶部13,13c,13dに記憶されてある送信順序にしたがって送信する。
【0110】
実施の形態2における車載通信システムの構成は、実施の形態1における車載通信システムと同様であるので詳細な説明を省略する。実施の形態2では、車載通信装置1b,1c,1dが車載通信装置1aへ送信するデータの内容、それに伴う車載通信装置1aでの新たなデータベースの生成の方法が実施の形態1と異なる。また、車載通信装置1b,1c,1dが車載通信装置1aへデータを送信する際の送信順序の決定のされ方が異なるので、以下に各車載通信装置1a,1b,1c,1dの処理手順について実施の形態1と同一の符号を用いて説明する。
【0111】
実施の形態2においては、車載通信装置1b,1c,1dの記憶部131b,13c,13dには、夫々の送信順序が記憶されている。
【0112】
車載通信装置1aの制御部10aの処理は、車載通信装置1b,1c,1dから送信されるデータの内容が異なることに伴って、新たなデータベースを生成する処理が異なる。それ以外については、実施の形態1において図4のフローチャートに示した処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。新たなデータベースを生成する処理の詳細については後述する。
【0113】
図7は、実施の形態2における車載通信装置1bの制御部10bが、データベース11bから所定のデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。他の車載通信装置1c,1dの制御部10c,10dの処理手順は車載通信装置1bの制御部10bの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0114】
なお、図7のフローチャートに示す実施の形態2における車載通信装置1bの制御部10bの処理手順は、ステップS31、及びステップS36からステップS38までの処理は、図5のフローチャートに示した実施の形態1における車載通信装置1bの制御部10bのステップS21、及びステップS26からステップS28までの処理と同様であるため詳細な説明を省略し、ステップS32からステップS35までの処理手順について以下に説明する。
【0115】
車載通信装置1bの制御部10bは、送信開始を指示する信号を受信したと判断した場合(S31:YES)、記憶部13bのデータベース11bから、所定のデータを読み出す(ステップS32)。具体的には、記憶部13bに記憶してあるデータベース11bの内の所定の領域のデータを読み出す。
【0116】
車載通信装置1bの制御部10bは、記憶部13bに記憶してある送信順序を読み出して、自身が送信する番であるか否かを判断する(ステップS33)。車載通信装置1b,1c,1dは通信線2にバス型に接続されているので、送信開始の指示信号を受信してから、他の車載通信装置1c,1dから送信がされたか否かを検知することができる。したがって、記憶部13bに記憶されている送信順序が1番である場合は他の車載通信装置1c,1dから送信がされていなくとも自身が送信する番であると判断することができ、記憶されている送信順序が2番である場合は、他の車載通信装置1c,1dのいずれかからの送信が終了するまでは自身が送信する番でないと判断することができる。
【0117】
車載通信装置1bの制御部10bは、自身が送信する番でないと判断した場合(S33:NO)、他の車載通信装置1c,1dからの送信が終了するまで待機し(ステップS34)、処理をステップS33へ戻して自身が送信する番であると判断するまでステップS33及びステップS34の処理を継続する。
【0118】
車載通信装置1bの制御部10bは、自身が送信する番であると判断した場合(S33:YES)、ステップS32で読み出された所定のデータを送信する(ステップS35)。
【0119】
実施の形態2における車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されて更新されたデータが夫々反映されたデータベースが生成される。マスタとして動作する一の車載通信装置1aで新たなデータベースが一度に生成され、バス型に接続されている他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信される。したがって、新たに生成されたデータベースが車載通信装置1b,1c,1dでほぼ同時に受信され、夫々のデータベース11a,11b,11c,11dとして更新される。
【0120】
実施の形態2において車載通信装置1aの制御部10aが新たなデータベースを生成する処理の詳細について以下に説明する。図8は、実施の形態2における車載通信装置1aの制御部10aが新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。破線の各円筒形はデータベース11a,11b,11c,11dを表わしており、実線の網掛け部分は夫々に設定されている所定のデータ、即ちデータベース11a,11b,11c,11dの内の所定の領域を表わしている。
【0121】
実施の形態2では、車載通信装置1b,1c,1dからデータベース11b,11c,11dの内の所定のデータが送信される。図8に示す図の上方の四つの各円筒形は、各車載通信装置1a,1b,1c,1d夫々のデータベース11a,11b,11c,11dであり、網掛けがされている各円筒形は、車載通信装置1aのデータベース11aの内の所定のデータ、及び各車載通信装置1b,1c,1dから送信された夫々に設定されているデータベース11b,11c,11dの内の所定のデータである。
【0122】
車載通信装置1aの制御部10aは、記憶部13aに記憶されているデータベース11aの内の所定のデータ、及び記憶部13aに一時的に記憶されている各車載通信装置1b,1c,1dの所定のデータから新たなデータベースを生成する。図8の模式図に示した矢印の流れのように、車載通信装置1aの制御部10aは、データベース11aの内から読み出した所定のデータを、新たなデータベースの内の該当領域に記録する。また、車載通信装置1aの制御部10aは、車載通信装置1bから送信されたデータを、車載通信装置1bに設定されている所定のデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記録する。車載通信装置1aの制御部10aは同様に、車載通信装置1cから送信されたデータを、車載通信装置1cに設定されている所定のデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記録し、車載通信装置1dから送信されたデータを、車載通信装置1dに設定されている所定のデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記録する。
【0123】
このような本発明に係る車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されて更新されたデータが夫々反映された新たなデータベースが生成され、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容が新たに生成されたデータベースの内容に同一に同期される。
【0124】
また、車載通信装置1b,1c,1dは、車載通信装置1aへデータを送信する際、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dから記憶部13b,13c,13dに夫々記憶されている所定のデータを読み出し、所定のデータのみ送信する。したがって、通信線2に送信されるデータ量を低減させて各車載通信装置1a,1b,1c,1dが有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるという本発明の課題を解決することができる。
【0125】
さらに、一の車載通信装置1aへデータを送信する他の車載通信装置1b,1c,1dは、データを送信する際に夫々に設定されている送信の優先順序に従って送信するので、データの送信の衝突が回避され、秩序をもって効率よくデータが送信される。
【0126】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、車載通信装置1b,1c,1dがデータを送信するトリガとして、マスタとして動作する一の車載通信装置1aが送信開始の指示信号を送信する構成とした。これに対し、以下に説明する実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1dがデータを送信するトリガとして、夫々に設定された送信時刻(周期)に到達したか否かを判断する。
【0127】
また、実施の形態1では、車載通信装置1b,1c,1dが送信するデータの内容としてデータベース11b,11c,11d全体がデータとして送信される構成とした。実施の形態2では、夫々のデータベース11b,11c,11dの内の記憶部に記憶されている所定のデータのみが読み出されて送信される構成とした。これらに対し、以下に説明する実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1dは、夫々が有するデータベース11b,11c,11dの内の更新されたデータのみ車載通信装置1aへ送信する。
【0128】
さらに、実施の形態1及び実施の形態2では夫々、車載通信装置1b,1c,1dがデータを送信する順序は、優先度、送信順序に従うようにしてある構成とした。これに対し、以下に示す実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1d夫々に対応するように時分割された送信期間中に送信する。
【0129】
実施の形態3における車載通信システムの構成は、実施の形態1及び2における車載通信システムと同様であるので詳細な説明を省略する。実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1dが車載通信装置1aへデータの送信を開始するトリガ、送信するデータの内容、それに伴う車載通信装置1aでの新たなデータベースの生成の方法が実施の形態1及び2と異なる。また、車載通信装置1b,1c,1dが車載通信装置1aへデータを送信する際の送信順序の決定のされ方が実施の形態1及び2異なる。以下に各車載通信装置1a,1b,1c,1dの処理手順について実施の形態1及び2と同一の符号を用いて説明する。
【0130】
なお、実施の形態3においては、車載通信装置1b,1c,1dは夫々に設定された送信時刻が到来したか否かをデータの送信開始のトリガとする。したがって、車載通信装置1b,1c,1dの記憶部13b,13c,13dには、夫々に設定された送信時刻が記憶されている。車載通信装置1b,1c,1dは定期的にデータベース11b,11c,11dから読み出したデータを車載通信装置1aへ送信するので、車載通信装置1b,1c,1dの記憶部13b,13c,13dには、送信周期とその周期の起点時刻が記憶されていてもよい。車載通信装置1b,1c,1dの記憶部13b,13c,13dに記憶される送信時刻又は送信周期の起点時刻は、同一の時刻が設定されていてもよいし、車載通信装置1b,1c,1d夫々が送信するタイミングがずれるように設定されていてもよい。
【0131】
また、車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dは、夫々に設定された送信時刻が到来したか否かを判断するために送信タイマとして機能する。
【0132】
実施の形態3では、通信線2に対し、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが通信線2を送信のために占有できる送信期間が時分割で設定されている。図9は、実施の形態3における通信線2での、各車載通信装置1a,1b,1c,1d夫々に設定された送信期間の例を模式的に示す模式図である。各四角形の長径方向は夫々時分割にされた送信期間を表わし、各四角形にラベルされた英字は送信期間が割り当てられている車載通信装置1a,1b,1c,1dを区別して表わしている。
【0133】
図9に示すように、車載通信装置1bはデータを車載通信装置1aへ送信する場合、「B」がラベルされている送信期間中のみ送信することができる。同様に車載通信装置1cは「C」がラベルされている送信期間中のみデータを送信することができ、車載通信装置1dは「D」がラベルされている送信期間中のみデータを送信することができる。車載通信装置1aも新たに生成したデータベースを送信する際は、「A」がラベルされている送信期間中のみ送信することができるので、データベースを分割して送信する。
【0134】
なお、通信線2によるデータの送受信は図9のように示したタイムトリガ方式を採用した車載ネットワーク通信のFlexRay(登録商標)に従う構成でもよいが、FlexRayに限るものではない。
【0135】
図10は、実施の形態3における車載通信装置1aの制御部10aが他の車載通信装置1b,1c,1dからデータを受信して新たなデータベースを生成する処理手順の例を示すフローチャートである。
【0136】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dからデータベース11b,11c,11dの内のデータが送信されているか否かを判断する(ステップS41)。車載通信装置1aの制御部10aは、データが送信されていないと判断した場合(S41:NO)、処理をステップS41へ戻してデータが送信されていると判断するまで待機する。
【0137】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1dからデータが送信されていると判断した場合(S41:YES)、送信されているデータ及び送信されるデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを示す特定情報を受信し、記憶部13aに一時的に記憶する(ステップS42)。特定情報については、後述の車載通信装置1b,1c,1dの処理手順とともに説明する。
【0138】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てから全てのデータを受信したか否かを判断する(ステップS43)。車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てから全てのデータを受信していないと判断した場合(S43:NO)、処理をステップS41へ戻して車載通信装置1b,1c,1d全てから全てのデータを受信する処理を継続する。
【0139】
実施の形態3では、各車載通信装置1b,1c,1dは時分割された送信期間中のみ送信することが可能なので、送信期間に全てのデータを送信できない場合、複数回に分けてデータを送信する。
【0140】
車載通信装置1aの制御部10aは、他の車載通信装置1b,1c,1d全てからデータを受信したと判断した場合(S43:YES)、記憶部13aに一時的に記憶しているデータを使用して新たにデータベースを生成する(ステップS44)。ステップS44における制御部10aによる新たなデータベースの生成の詳細については後述する。
【0141】
車載通信装置1aの制御部10aは、自身のデータベース11aをステップS44で生成された新たなデータベースに更新し(ステップS45)、他の車載通信装置1b,1c,1dへステップS44で生成された新たなデータベースを送信し(ステップS46)、処理を終了する。
【0142】
図11は、実施の形態3における車載通信装置1bの制御部10bが、データベース11bから更新されたデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。他の車載通信装置1c,1dの制御部10c,10dの処理手順は車載通信装置1bの制御部10bの処理手順と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0143】
車載通信装置1bの制御部10bは送信タイマとして機能することにより、記憶部13bに記憶されている送信時刻に到達したか否かを判断する(ステップS51)。車載通信装置1bの制御部10bは、送信時刻に到達していないと判断した場合は(S51:NO)、処理をステップS51へ戻して送信時刻に到達したと判断するまで待機する。
【0144】
車載通信装置1bの制御部10bは、送信時刻に到達したと判断した場合(S51:YES)、記憶部13bのデータベース11bの内から、更新されたデータを抽出して読み出す(ステップS52)。車載通信装置1bの制御部10bは、ステップS52において読み出したデータについて、データベース11bの内の読み出し先の領域を特定することができる特定情報を記憶部13bに一時的に記憶しておく。特定情報は、送信するデータが新しく生成されるデータベースの内のいずれのデータであるのかを特定することができる情報であり、データベース11bに記録される場合の領域(アドレス)を特定する情報でもよいし、データの属性名又はID(Identifier)でもよい。
【0145】
ステップS52における更新されたデータの抽出は、車載通信装置1bの制御部10bが接続している各ECU4b,4b,…からデータを受信した場合にそのデータのデータベースに記録される領域(アドレス)、データの属性名又はIDを記憶部13bに記憶しておき、更新されたデータを判別できるようにしておく。車載通信装置1bの制御部10bが制御によって更新したデータについても同様に記憶してもよい。後述のステップS54における送信が終了したデータについては記憶部13bでの記憶を削除する。
【0146】
車載通信装置1bの制御部10bは、通信線2に対し車載通信装置1bに設定された送信期間であるか否かを判断する(ステップS53)。車載通信装置1bの制御部10bは、設定された送信期間でないと判断した場合(S53:NO)、処理をステップS53に戻して送信期間であると判断するまで待機する。
【0147】
車載通信装置1bの制御部10bは、設定された送信期間であると判断した場合(S53:YES)、ステップS52で読み出されたデータ及び記憶部13bに記憶した特定情報を送信期間中に送信できるように分割して車載通信装置1aへ送信する(ステップS54)。
【0148】
車載通信装置1bの制御部10bは、ステップS52で読み出されたデータ及び特定情報を全て送信したか否かを判断する(ステップS55)。車載通信装置1bの制御部10bは、ステップS52で読み出されたデータ及び特定情報を全て送信していないと判断した場合(S55:NO)、処理をステップS53へ戻して次の送信期間であると判断するまで待機する。
【0149】
車載通信装置1bの制御部10bは、ステップS52で読み出されたデータ及び特定情報を全て送信したと判断した場合(S55:YES)、新たに生成されたデータベースが車載通信装置1aから送信されているか否かを判断する(ステップS56)。
【0150】
車載通信装置1bの制御部10bは、新たに生成されたデータベースが送信されていないと判断した場合(S56:NO)、処理をステップS56へ戻し、車載通信装置1b,1c,1dからの送信及び車載通信装置1aによる新たなデータベースの生成処理が終了して、新たに生成されたデータベースが送信されていると判断されるまで待機する。
【0151】
車載通信装置1bの制御部10bは、新たに生成されたデータベースが送信されていると判断した場合(S56:YES)、新たに生成され送信されているデータベースを受信する(ステップS57)。車載通信装置1bの制御部10bは、記憶部13bのデータベース11bを受信した新たなデータベースに更新し(ステップS58)、処理を終了する。
【0152】
新たに生成されたデータベースを全て受信したか否かを、車載通信装置1aから送信の終了を示す信号を送信するようにすることで判断させることも可能である。
【0153】
実施の形態3における車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが接続している各ECU4a,4a…,4b,4b…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されて更新されたデータが夫々反映されたデータベースが生成される。マスタとして動作する一の車載通信装置1aで新たなデータベースが一度に生成され、バス型に接続されている他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信される。したがって、新たに生成されたデータベースが車載通信装置1b,1c,1dでほぼ同時に受信され、夫々のデータベース11a,11b,11c,11dとして更新される。
【0154】
実施の形態3において車載通信装置1aの制御部10aが新たなデータベースを生成する処理の詳細について以下に説明する。図12は、実施の形態3における車載通信装置1aの制御部10aが新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。破線の各円筒形はデータベース11a,11b,11c,11d及び夫々に設定されている所定のデータを表わしている。網掛け部分は更新されたデータを表わし、破線の円筒形に対する位置は夫々、各データベース11a,11b,11c,11d、及び新たなデータベースに占める領域を表わしている。
【0155】
実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1dからデータベース11b,11c,11dの内の更新されたデータが送信される。また、車載通信装置1b,1c,1dからは更新されたデータが送信されると共に、更新されたデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを特定するための特定情報が送信される。
【0156】
車載通信装置1aの制御部10aは、特定情報に基づいて夫々のデータを新たなデータベースに記録して生成する。図12の模式図に示した矢印の流れのように、車載通信装置1aの制御部10aは、データベース11aの内の更新されたデータを記憶しておき、新たなデータベースの内の該当領域に記憶する。また、車載通信装置1aの制御部10aは、車載通信装置1bから送信されたデータを、共に送信された特定情報で特定されるデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記憶する。車載通信装置1aの制御部10aは同様に、車載通信装置1cから送信されたデータを、共に送信された特定情報で特定されるデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記録し、車載通信装置1dから送信されたデータを、共に送信された特定情報で特定されるデータとして新たなデータベースの内の該当領域に記録する。
【0157】
このような本発明に係る車載通信装置1a,1b,1c,1dの各制御部10a,10b,10c,10dの処理により、各車載通信装置1a,1b,1c,1dが接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…から送信されて更新されたデータが夫々反映された新たなデータベースが生成され、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容が新たに生成されたデータベースの内容に同一に同期される。
【0158】
また、車載通信装置1b,1c,1dは、車載通信装置1aへデータを送信する際、夫々が有するデータベース11a,11b,11c,11dから更新されたデータのみを読み出して送信する。したがって、通信線2に送信されるデータ量を低減させて各車載通信装置1a,1b,1c,1dが有するデータベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるという本発明の課題を解決することができる。
【0159】
さらに、一の車載通信装置1aへデータを送信する他の車載通信装置1b,1c,1dは、データを送信する際に夫々に設定されている送信期間中のみ送信するので、データの送信の衝突が回避され、効率よくデータが送信される。
【0160】
実施の形態3では、車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dは、更新されたデータを送信すると共に特定情報を送信する構成とした。しかしながら、本発明はこれに限らず、車載通信装置1b,1c,1dの制御部10b,10c,10dはデータベース11b,11c,11d全体を送信する場合、所定のデータを読み出して送信する場合も、更新されたデータを特定する特定情報を送信してもよい。これにより、車載通信装置1aの制御部10aは、送信されたデータから更新されたデータを読み出して新たなデータベースを生成することができる。
【0161】
また、特定情報は更新されたデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを示す情報とは限らない。特定情報として、送信するデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを示す情報を送信する構成でもよい。この場合、所定のデータのみを読み出して送信する場合、及び更新されたデータのみを読み出して送信する場合に送信されるデータがデータベースの内のいずれのデータであるのかを車載通信装置1aの制御部10aが検知して新たなデータベースを生成することができる。
【0162】
実施の形態1乃至3では、車載通信装置1b,1c,1dがデータを送信するトリガとして、一の車載通信装置1aが送信開始の指示を送信する構成、及び設定された送信時刻(周期)に到達したか否かを判断する構成を説明した。また、車載通信装置1b,1c,1dが送信するデータの内容として、データベース11b,11c,11d全体をデータとして送信する構成、夫々のデータベース11b,11c,11dの内の記憶部に記憶されている所定のデータのみを読み出して送信する構成、及び夫々のデータベース11b,11c,11dの内の更新されたデータのみ抽出して送信する構成を説明した。さらに、車載通信装置1b,1c,1dがデータを一の車載通信装置1aへ送信する際の送信順序の決め方として、設定された優先度に従って送信する構成、設定された送信順序に従って送信する構成、及び時分割された送信期間中に送信する構成を説明した。夫々のデータを送信するトリガの構成、送信するデータの内容の構成及び送信する際の送信順序の決め方の構成は、実施の形態1乃至3の実施例で示した組み合わせに限らないのは勿論である。
【0163】
各車載通信装置1b,1c,1dが送信するデータの内容については、各車載通信装置1b,1c,1dによって夫々異なる構成でもよい。ただし、各車載通信装置1b,1c,1dによって送信するデータの内容が異なる構成では、各車載通信装置1b,1c,1dから送信されるデータを受信する車載通信装置1aには、夫々がどの内容で送信するのかを識別できる情報を記憶しておく。車載通信装置1aの記憶部13aに車載通信装置1bからはデータベース11b全体が送信されることが識別できる情報が記憶されている場合、車載通信装置1aの制御部10aは、車載通信装置1bから送信されたデータをデータベース11bとして読み出し、読み出したデータから車載通信装置1bに設定されている所定の領域を更に読み出して新たなデータベースに記録する。
【0164】
なお、実施の形態1乃至3では、車載通信装置1aがマスタとして動作するように構成した。しかしながら、本発明はこれに限らず、車載通信装置1a,1b,1c,1dのいずれがマスタとして動作してもよい。
【0165】
また、図4のフローチャートで示したように、マスタとして動作する車載通信装置1aが送信開始を指示する指示信号を他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信する構成とした。しかしながら、本発明はマスタとして動作する車載通信装置1a以外の他の車載通信装置1bが送信開始を指示する指示信号を送信する構成でもよい。例えば車載通信装置1b,1c,1dのいずれかで送信開始の周期を記憶しておき、周期が到来する都度、他の車載通信装置1b,1c,1dへ送信開始の指示信号を送信する構成でもよい。
【0166】
なお、実施の形態1乃至3では、車載通信装置1a,1b,1c,1dは各ECUとは異なる装置として構成した。しかしながら、車載通信装置は各群の各ECUの内の一であってもよく、データベースを記憶部に設け、他の群の同様なデータベースを有するECUと接続されている構成であってもよい。
【0167】
なお、実施の形態1乃至3では、車載通信装置1a,1b,1c,1dは同一の構成のデータベース11a,11b,11c,11dを有し、車載通信装置1aはデータベース全体を新たに生成して、車載通信装置1a,1b,1c,1dで全体を更新することにより、データベース11a,11b,11c,11dの内容は完全に一致しているように構成した。しかしながら、本発明では、データベース11a,11b,11c,11dの内容は完全に一致しなくてもよい。少なくとも、異なる群に接続している各ECU4a,4a,…,4b,4b,…,4c,4c,…,4d,4d,…が共通して使用するデータを記憶しておき、そのデータについての各データベース11a,11b,11c,11dの内容を同一の内容に同期させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明に係る車載通信システムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る車載通信システムの車載通信装置間でデータベースを集約して分配するための構成を概念的に表わす模式図である。
【図3】本発明に係る車載通信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1における車載通信装置の制御部が他の車載通信装置からデータを受信して新たなデータベースを生成する処理手順の例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における車載通信装置の制御部が、データベースからデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における車載通信装置の制御部が新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。
【図7】実施の形態2における車載通信装置の制御部が、データベースから所定のデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2における車載通信装置の制御部が新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。
【図9】実施の形態3における通信線での、各車載通信装置夫々に設定された送信期間の例を模式的に示す模式図である。
【図10】実施の形態3における車載通信装置の制御部が他の車載通信装置からデータを受信して新たなデータベースを生成する処理手順の例を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態3における車載通信装置の制御部が、データベースから更新されたデータを読み出して送信し、新たに生成されたデータベースを受信して同一の内容に同期させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態3における車載通信装置の制御部が新たなデータベースを生成する処理を概念的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0169】
1a,1b,1c,1d 車載通信装置
10a,10b,10c,10d 制御部
11a,11b,11c,11d データベース
13a,13b,13c,13d 記憶部
2 通信線
3a,3b,3c,3d 車内通信回線
4a,4b,4c,4d ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送受信する複数の車載装置と、複数の群に分けられた前記車載装置を夫々群毎に接続する車内通信回線とを含む車載通信システムにおいて、
群毎の前記車内通信回線に接続されており、各車載装置と前記車内通信回線を介して送受信されるデータを記録するデータベースを有し、且つ前記車内通信回線とは別の通信線にバス型に接続されている車載通信装置を群毎に備え、
各車載通信装置は、自身が有するデータベースの内のデータを他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段を備え、
前記複数の車載通信装置の内の一の車載通信装置は、他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを受信する手段と、
前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータ及び/又は自身が有するデータベースに基づいて新たにデータベースを生成する生成手段と、
生成されたデータベースを前記他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信する手段と
を備え、
前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースを前記一の車載通信装置から送信されたデータベースに更新するようにしてあること
を特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の全データを前記通信線を介して送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
各車載通信装置には、データベースの内の所定のデータが車載通信装置毎に設定されてあり、
前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の前記所定のデータのみを前記通信線を介して前記一の車載通信装置へ送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項4】
前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみを前記通信線を介して前記一の車載通信装置へ送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項5】
前記一の車載通信装置は、車載通信装置毎に設定されているデータベースの内の所定のデータを夫々記憶する手段を備え、
前記他の車載通信装置から送信されたデータから前記他の車載通信装置に設定されている所定のデータ、及び/又は、自身が有するデータベースの内から前記所定のデータを読み出す手段を備え、
前記生成手段は、読み出されたデータを夫々新たなデータベースの内の前記所定のデータとして生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項6】
前記他の車載通信装置は、送信するデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を送信する手段を備え、
前記生成手段は、前記他の車載通信装置から送信されたデータを新たなデータベースの内の前記特定情報により特定されるデータとして生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項7】
前記他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータが、データベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を前記一の車載通信装置へ送信する手段を備え、
前記一の車載通信装置は、他の車載通信装置から送信されたデータから、送信された前記特定情報により特定されるデータを読み出す手段を備え、
前記生成手段は、読み出されたデータを新たなデータベースの内の前記特定されるデータとして生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項8】
前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の全データを送信するようにしてあり、
前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の設定されている所定のデータのみを送信するようにしてあり、
前記他の車載通信装置の一は、自身が有するデータベースの内の更新されたデータのみ、及び送信するデータがデータベースの内のいずれのデータであるかを特定するための特定情報を送信するようにしてあり、
前記一の車載通信装置は、前記他の車載通信装置毎に、全データの送信、所定のデータのみの送信、又は更新されたデータのみの送信のいずれの送信によるのかを記憶する手段と、
車載通信装置毎に設定されているデータベースの内の所定のデータを夫々記憶する手段と、
全データの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータから前記他の車載通信装置に設定されている所定のデータを読み出す手段と、
所定データのみの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータを前記車載通信装置に設定されている所定のデータとして読み出す手段と、
更新されたデータのみの送信によると記憶されている他の車載通信装置から送信されたデータを、送信された前記特定情報により特定されるデータとして読み出す手段と
を備え、
前記生成手段は、読み出されたデータを新たなデータベースの内の前記所定のデータ又は前記特定されるデータとして生成するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項9】
各車載通信装置のいずれか一は、送信開始の指示を送信する手段を備え、
前記他の車載通信装置は、前記指示を受信した場合にデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項10】
前記他の車載通信装置には、夫々優先度が設定されており、
他の車載通信装置は、設定された優先度に従った順にデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項11】
前記他の車載通信装置には、送信順序が設定されており、
他の車載通信装置は、設定された送信順序に従ってデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項12】
各車載通信装置には、送信時刻が夫々に設定されており、
前記他の車載通信装置は、設定された送信時刻にデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項13】
各車載通信装置には、時分割された送信期間が設定されており、
前記他の車載通信装置は、設定された送信期間にデータを送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至9、及び請求項12のいずれかに記載の車載通信システム。
【請求項14】
データを送受信する複数の車載装置と、各車載装置を複数の群に分けて群毎に接続する車内通信回線とから構成される車載通信システムを用い、一の群に含まれる車載装置から送信されるデータを他の群に含まれる車載装置へ送信する車載通信方法において、
前記車載通信システムに、前記車内通信回線とは別の通信線にバス型に接続されており、且つ群毎の前記車内通信回線に接続されて各車載装置から送信されるデータを記録するデータベースを有する複数の車載通信装置を群毎に備えて用い、
前記複数の車載通信装置の内の一の車載通信装置以外の他の車載通信装置は、自身が有するデータベースの内のデータを前記一の車載通信装置へ前記通信線を介して送信し、
前記一の車載通信装置は、前記他の車載通信装置から前記通信線を介して送信されたデータを受信し、
受信したデータ及び自身が有するデータベースに基づいて新たにデータベースを生成し、
生成したデータベースを前記他の車載通信装置へ前記通信線を介して送信し、
前記他の車載通信装置は、前記一の車載通信装置から送信されたデータベースを前記通信線を介して受信し、
自身が有するデータベースを受信したデータベースに更新すること
を特徴とする車載通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−201386(P2008−201386A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42940(P2007−42940)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)