説明

車載電力供給制御装置

【課題】イグニッションキーの装着/非装着に関係なく電源ソケットへの電力供給を行うことができ、電源ソケットへの電力供給を突然に停止することなく、バッテリ上がりを防止することができる車載電力供給制御装置を提供する。
【解決手段】車載電力供給制御装置10は、バッテリ1から電源ソケット3へ電力供給を行った経過時間が予め設定された基準時間を超えた場合に、表示パネル25又はクラクション26による警告を行う。また更に、電源ソケット3へ流れる電流量の時間積分値が予め定められた基準値を超えた場合に、スイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止する。警告を行うタイミングを規定する基準時間、車輌のエンジンスタート時における電源ソケット3の使用可否、及び電源ソケット3の使用可否等の設定は、ユーザが操作部21から入力できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌に搭載されたバッテリから電源ソケットに装着された外部機器への電力供給を制御する車載電力供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌には多数の電子機器が搭載されており、車輌の走行中(エンジン動作中)にはオルタネータにて発電された電力が電子機器へ供給され、車輌の停車中(エンジン停止中)にはバッテリに蓄積された電力が電子機器へ供給される。また車輌には、外部機器を装着するための電源ソケット(所謂、アクセサリソケット又はシガーソケット等)が設けられており、電源ソケットに装着された外部機器へオルタネータ又はバッテリから電力が供給される。これによりユーザは、車輌に予め搭載された電子機器のみでなく、自らの好みの外部機器を車輌内又は車輌近傍にて使用することができる。
【0003】
しかし、従来の車輌(例えば、イグニッションキーの回動操作によりエンジンの始動を行う車輌)においては、バッテリから車載機器及び電源ソケットに装着された外部機器への電力供給を行うために、ユーザはイグニッションキーを車輌に装着して回動位置をアクセサリ又はイグニッションとしておかなければならない。このため、例えばキャンプなどの際、ユーザが車輌の電源ソケットに冷蔵庫又はオーディオ装置等の外部機器を装着して車外で使用するときに、ユーザはイグニッションキーを車輌内に残したままこれらの外部機器を車外にて使用する場合がある。このような場合、ユーザ(車輌の所有者)が気付かない間に他人が車輌のエンジンを容易に始動させることができるという問題があり、これは車輌の盗難防止の観点から重大な問題である。
【0004】
そこで近年では、バッテリと電源ソケットとを直接的に接続して電力供給を行うことにより、ユーザがイグニッションキーを車輌から外した状態であっても、電源ソケットに装着した外部機器へバッテリの電力を供給することができる車輌が開発されている。この車輌の場合、イグニッションキーはユーザが所持することができるため、ユーザが車輌から離れた場合であっても他人がエンジンを始動させることはできず、車輌の盗難を防止することができる。しかし、このような構成の車輌においては、車輌の停車中にユーザが長時間に亘って電源ソケットに装着した外部機器を使用し易く、バッテリ上がりが生じる恐れがあるという問題がある。
【0005】
特許文献1においては、電源ソケットに電源プラグが装着されているときにバッテリの残容量検出を行い、バッテリの残容量が設定値以下の場合に、電源ソケット及びバッテリの間に接続されたスイッチをオフして、電源ソケットとバッテリとの接続を遮断する構成の電源管理システムが提案されている。この電源管理システムは、車輌の所有者によるバッテリ管理の下で電源ソケットへの電力供給を行い、イグニッションキーを差し込まなくても電源ソケットへ電力供給を行うことができるため、車輌の盗難を防止することができると共に、バッテリの残容量の許す限りで電源ソケットへの電力供給を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−314086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の電源管理システムにおいては、バッテリの残容量が予め定められた設定値以下となった場合に、バッテリから電源ソケットへの電力供給が遮断されるため、電源ソケットに装着して使用していた外部機器への電力供給が停止され、ユーザが使用していた外部機器が突然に動作を停止し、ユーザにとって非常に不便であるという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、イグニッションキーの装着/非装着に関係なく電源ソケットへの電力供給を行うことができると共に、電源ソケットへの電力供給を突然に停止することなく、且つ、バッテリ上がりを防止することができる車載電力供給制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車載電力供給制御装置は、車輌に搭載されたバッテリから、外部機器の電源プラグが着脱される前記車輌の電源ソケットへの電力供給を制御する車載電力供給制御装置において、前記電源ソケットに電源プラグが装着された外部機器の電力消費量に係る値を計測する計測手段と、前記バッテリ及び前記電源ソケットの間に介装されたスイッチと、前記計測手段が計測した値が第1の条件に達した場合に警告を行う警告手段と、前記計測手段が計測した値が、前記第1の条件と異なる第2の条件に達した場合に、前記スイッチにより前記電源ソケットへの電力供給を遮断する電力供給遮断手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車載電力供給制御装置は、前記計測手段が、前記バッテリから前記電源ソケットに電源プラグが接続された外部機器へ電力供給を行った時間及び電流量を計測するようにしてあり、前記警告手段は、前記計測手段が計測した時間が第1の条件に達した場合に警告を行うようにしてあり、前記電力供給遮断手段は、前記計測手段が計測した時間及び電流量の積又は積分値が第2の条件に達した場合に、電力供給を遮断するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車載電力供給制御装置は、前記第1の条件の入力を受け付ける受付手段を更に備え、前記警告手段は、前記受付手段が受け付けた第1の条件に応じて警告を行うようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車載電力供給制御装置は、前記車輌のエンジン始動時に前記電源ソケットへの電力供給を遮断する始動時遮断手段と、該始動時遮断手段による電力供給の遮断を行うか否かに係る設定を受け付ける受付手段とを更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る車載電力供給制御装置は、前記計測手段が、前記電源ソケットに電源プラグが接続された外部機器へ供給される電力に係る電流量を計測するようにしてあり、前記始動時遮断手段は、前記受付手段により遮断を行わない設定を受け付けたときであっても、前記計測手段が計測した電流量が所定量より多い場合には遮断を行うようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る車載電力供給制御装置は、前記電源ソケットへの電力供給を行うか否かに係る設定を受け付ける受付手段を更に備え、前記電力供給遮断手段は、前記受付手段が電力供給を行わない設定を受け付けた場合に、前記スイッチにより前記電源ソケットへの電力供給を遮断するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、車輌のバッテリから電源ソケットへの電力供給経路中にスイッチを設け、このスイッチのオン/オフを車載電力供給制御装置が切り替えることでバッテリから電源ソケットへの電力の供給/非供給を切り替える。また車載電力供給制御装置は、電源ソケットに装着された外部機器が消費する電力の量(電力消費量)に係る値を計測する。車載電力供給制御装置は、計測した電力消費量に係る値が第1の条件に達した場合に警告を行うと共に、計測した値が第2の条件に達した場合にはスイッチをオフして電源ソケットへの電力供給を遮断する。第1の条件及び第2の条件を適切に設定することにより、バッテリの残容量がある程度低下した段階でユーザに対する警告を行うことができ、その後に残容量が更に低下した段階で電力供給を遮断することができる。
これにより、ユーザはバッテリの残容量の低下を警告により認識することができ、電源ソケットに装着した外部機器への電力供給停止に備えることができる。また、警告を無視してユーザが外部機器を使用し続けた場合であっても、バッテリ上がりが生じる前に電力供給を停止することができる。よって、ユーザが長時間に亘って外部機器を使用した場合であってもバッテリ上がりを防止できるため、イグニッションキーの装着/非装着に関わらずバッテリから電源ソケットへの電力供給が可能な車輌構成とすることができる。
【0016】
また、本発明においては、電源ソケットに装着された外部機器の電力消費量に係る値として、バッテリから外部機器へ電力を供給した時間及び電流量を計測する。車載電力供給制御装置は、外部機器への電力供給時間が第1の条件に達した場合に警告を行い、時間及び電流量の積又は積分値が第2の条件に達した場合に電力供給の遮断を行う。
警告を行うタイミングを時間にて判断する構成とすることにより、ユーザが判断基準を認識し易く、また、電力供給遮断のタイミングを時間及び電流量の積又は積分値にて判断する構成とすることにより、バッテリの残容量に対して精度よく電力供給の遮断を行うことができる。
【0017】
電源ソケットに装着してバッテリからの電力供給により動作させる外部機器は多種多様であり、例えば外部機器によっては突然に電力供給を遮断されたとしても問題のないものもあり、データのバックアップなど動作停止までに行う必要がある処理が多く、警告から電力供給の遮断までに十分に長い時間を必要とするものもある。
そこで本発明においては、警告を行うか否かを判定する第1の条件をユーザが入力できる構成とし、車載電力供給制御装置は、ユーザによる第1の条件の入力を受け付け、受け付けた条件に応じて警告を行う。例えば車載電力供給制御装置が外部機器への電力供給時間に応じて警告を行う構成の場合、ユーザは車輌のエンジン停止から警告を発するまでの時間を第1の条件として入力することができる。これによりユーザは、電源ソケットに装着する外部機器の種別に応じた適切な条件を入力することができ、車載電力供給制御装置の警告機能に関する利便性を向上することができる。
【0018】
従来の車輌においては、ユーザがイグニッションキーを回動操作してエンジンを始動している際には、バッテリの電力をエンジン始動に用いる必要があるため、バッテリから車載機器への電力供給を一時的に遮断する機能が設けられており、このときには電源ソケットへの電力供給も遮断される。しかし、電源ソケットに装着した外部機器によっては一時的な電力供給の遮断が好ましくない場合もある。
そこで本発明においては、エンジン始動時にバッテリから電源ソケットへの電力供給を遮断するか否かに係る設定をユーザが入力できる構成とする。車載電力供給制御装置は、遮断を行わない設定を受け付けた場合、エンジン始動時であってもバッテリから電源ソケットへの電力供給を行う。
【0019】
ただし、エンジン始動時に電源ソケットへの電力供給を行う設定としたときに、電源ソケットに装着された外部機器による電力消費量が多い場合には、エンジンを始動することができない虞がある。
そこで本発明においては、電源プラグから外部機器へ供給される電力の電流量を計測し、この電流量が所定量より多い場合には、ユーザによりエンジン始動時に電源ソケットへの電力供給を行う設定がなされていても、車載電力供給制御装置は電源ソケットへの電力供給を遮断する。これにより車輌のエンジン始動が確実に行われる。
【0020】
また、本発明においては、バッテリから電源ソケットへの電力供給を行うか否かに係る設定をユーザが入力できる構成とする。電力供給を行わない設定を受け付けた場合、車載電力供給制御装置は、スイッチを遮断してバッテリから電源ソケットへの電力供給を行わない。これにより、ユーザは車輌の電源ソケットの使用を任意に禁止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による場合は、電源ソケットに装着された外部機器の電力消費量に係る値を計測し、計測した値が第1の条件に達した場合に警告を行い、更に第2の条件に達した場合にバッテリから電源ソケットへの電力供給を遮断する構成とすることにより、バッテリの残容量がある程度低下した段階でユーザに対する警告を行うことができ、その後に残容量が更に低下した段階で電力供給を遮断することができる。これにより、ユーザはバッテリの残容量の低下を警告により認識することができ、電源ソケットに装着した外部機器への電力供給停止に備えることができ、警告を無視してユーザが外部機器を使用し続けた場合であっても、バッテリ上がりが生じる前に電力供給を停止することができる。
よって、車輌をイグニッションキーの装着/非装着に関係なく電源ソケットへの電力供給を行う構成とした場合であっても、電源ソケットへの電力供給が突然に停止された外部機器が突然に停止することがなく、且つ、車輌のバッテリ上がりが発生することを防止することができるため、車輌の防犯性、電源ソケットによる外部機器の使用の利便性、及びエンジン始動の確実性等を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車載電力供給制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置にて受け付ける設定項目を示す図表である。
【図3】本発明に係る車載電力供給制御装置が行う電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る車載電力供給制御装置が行うエンジンスタート時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置が行うエンジン停止時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る車載電力供給制御装置が行うエンジン停止時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る車載電力供給制御装置が行うエンジン停止時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る車載電力供給制御装置の構成を示すブロック図である。図において1は、車輌に搭載されたバッテリであり、車輌のエンジン動作中にはオルタネータ(図示は省略する)が発電する電力を蓄積し、エンジン停止中には蓄積した電力を車載機器へ供給することができる。バッテリ1は、車輌中に敷設された電力線7を介して複数の車載機器に接続されると共に、本発明の車載電力供給制御装置10に接続されている。
【0024】
また、図において3は、車輌のセンタークラスター(インストルメントパネル、ダッシュボード)などに設けられる電源ソケットであり、図示の例では3つの電源ソケット3が車輌に設けられている。電源ソケット3は、外部機器50の電源プラグ51が挿入され、これにより装着された外部機器50へ電力供給を行うためのものである。外部機器50は、車輌に予め搭載された機器でなく、ユーザが持ち運ぶことができる電子機器であり、電源ソケット3に挿入するための電源プラグ51を備えているか、又は、電源プラグ51を有するアダプタなどを介して電源ソケット3に接続される。
【0025】
車載電力供給制御装置10は、車輌のセンタークラスターなどの近傍に配設され、バッテリ1に電力線7を介して接続されると共に、電源ソケット3に電力線8を介して接続されている。車載電力供給制御装置10は、制御部11、スイッチ12、電流測定部13及び通信部14等を備えて構成されている。
【0026】
制御部11は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置、並びにROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶素子を有して構成されており、予めROMに記憶されたプログラムを実行することによって、車載電力供給制御装置10内の各部の動作制御処理及び各種の演算処理を行って、電源ソケット3への電力供給制御処理を行う。また制御部11はタイマ11aを有しており、電力供給制御処理に係る種々の計時を行うことができる。例えば制御部11は、車輌のエンジンが停止し、且つ、電源ソケット3への電力供給を行った経過時間の計時をタイマ11aにて行うことができる。
【0027】
車載電力供給制御装置10は、バッテリ1から電源ソケット3への電力供給経路中に配されるものであり、一側に接続された電力線7を介してバッテリ1から供給される電力を、他側に接続された電力線8を介して電源ソケット3へ供給する。スイッチ12は、車載電力供給制御装置10内におけるバッテリ1から電源ソケット3への電力供給経路中に配され、この電力供給経路の接続/遮断を行うものであり、例えばFET(Field Effect Transistor)などの半導体素子を用いて実現される。スイッチ12は制御部11により接続/遮断が制御されており、制御部11はスイッチ12の接続/遮断を制御することによって、バッテリ1から電源ソケット3への電力の供給/非供給を制御することができる。
【0028】
電流測定部13は、車載電力供給制御装置10内におけるスイッチ12から電源ソケット3への電力供給経路中に配され、この電力供給経路を流れる電流の電流量を測定する。電流測定部13は、測定したアナログ値の電流量をA/D変換によりデジタル値に変換して制御部11へ与える(ただし、制御部11がA/D変換を行う構成であってもよい)。
【0029】
通信部14は、車輌に搭載されたCAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等のネットワークを構成する通信線9に接続され、ネットワークを介して他の車載機器との間でデータの送受信を行う。通信部14は、ネットワークを介して他の車載機器からのデータを受信して制御部11へ与えると共に、制御部11から与えられたデータを他の車載機器へ送信する。特に本実施の形態において、通信部14は、車輌のエンジン(図示は省略する)の動作状態に係る情報を他の車載機器から受信して制御部11へ与える。
【0030】
また、車輌のセンタークラスターには、操作部21及び表示パネル25が設けられている。操作部21は、一又は複数のプッシュスイッチ又はダイヤルスイッチ等で構成されており、ユーザの操作を受け付けて制御部11に操作内容を通知する。本実施の形態においては、車載電力供給制御装置10が行う電源ソケット3への電力供給の制御処理に係る種々の設定値をユーザが入力又は変更する際に操作部21が用いられる。表示パネル25は、液晶パネル又はPDP(Plasma Display Panel)等で構成されるものであり、カーナビゲーション装置などの表示パネルと共用であってよい。制御部11は、表示パネル25に文字又は画像等の表示を行うことができ、本実施の形態においては表示パネル25にユーザに対する警告メッセージを表示する。また、車輌にはクラクション26が搭載されており、車載電力供給制御装置10の制御部11はクラクション26の動作を制御して警告の音声を出力することができる。
【0031】
車載電力供給制御装置10は、車輌のエンジン(又はオルタネータ)が動作しているか否かについての情報を通信部14にてネットワークにより取得し、エンジンが動作している場合には、スイッチ12をオン(接続)してオルタネータから電力線7を介して与えられる電力を電源ソケット3へ供給する。エンジンが動作していない場合には、車載電力供給制御装置10は、エンジン停止からの経過時間を制御部11のタイマ11aにて計時すると共に、電流測定部13にて電源ソケット3への電流量を測定し、これらの経過時間及び電流量に基づいてスイッチ12のオン/オフを制御する。
【0032】
車輌のエンジンが動作していない場合、車載電力供給制御装置10の制御部11は、タイマ11aにて計時するエンジン停止からの経過時間が予め設定された基準時間Tを超えたか否かを判定する(第1の条件)。経過時間が基準時間Tを超えた場合、制御部11は表示パネル25に警告メッセージを表示し、及び/又は、クラクション26を鳴らしてユーザに対する警告を与える。
【0033】
また、制御部11は、電流測定部13が測定した電流量及びタイマ11aが掲示した経過時間から、電流量の時間積分値を算出する処理を行っており、車輌のエンジンが動作していない場合に電流量の時間積分値が基準値Sを超えたか否かを判定する(第2の条件)。電流量の積分値を算出することによって、制御部11は電源ソケット3に装着された外部機器50にて消費された電力量を知ることができ、バッテリ1の残容量を予測することができる。電流量の時間積分値が基準値Sを超えた場合、制御部11はスイッチ12をオフ(遮断)して、バッテリ1から電源ソケット3への電力供給を停止する。
【0034】
また、本実施の形態に係る車載電力供給制御装置10においては、電源ソケット3への電力供給の制御に係る種々の設定をユーザが操作部21を利用して行うことができる。図2は、本発明の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10にて受け付ける設定項目を示す図表である。実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10は、(1)電源ソケット3の使用の可否設定、(2)エンジンスタート時の電源ソケット3の使用の可否設定、(3)警告までの時間設定、及び(4)警告方法の設定の4つの設定を受け付ける。車載電力供給制御装置10が操作部21にて受け付けた設定は、制御部11の不揮発性のメモリ素子などに記憶され、記憶された設定は制御部11が制御処理を行う際に参照される。
【0035】
(1)電源ソケット3の使用の可否設定
ユーザは、車輌のエンジンが動作しているか否かに関わらず、電源ソケット3に外部機器50を装着して使用することを許可するか否か(車載電力供給制御装置10が電源ソケット3への電力供給を行うか否か)を、可/否の二者択一で設定することができる。電源ソケット3の使用を許可する設定(可)がなされた場合、車載電力供給制御装置10は、上述のように電流測定部13が測定した電流量及びタイマ11aによる経過時間に応じたスイッチ12の制御処理を行う。電源ソケット3の使用を許可しない設定(否)がなされた場合、車載電力供給制御装置10は、車輌のエンジンが動作しているか否かにかかわらず、スイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止し、電源ソケット3を使用不可能な状態とする。
【0036】
(2)エンジンスタート時の電源ソケット3の使用の可否設定
例えばユーザはイグニッションキーを装着して回動操作をすることにより車輌のエンジンを始動(スタート)させることができ、エンジンのスタートはバッテリ1に蓄積された電力を消費して行われる。電力消費量の多い車載機器又は外部機器50が動作している場合には、エンジンスタートのために十分な電力を得ることができずにエンジンスタートに失敗する虞があるため、従来の車輌ではエンジンスタート時にはバッテリ1から車載機器及び外部機器50への電力供給を停止していた。本発明の車載電力供給制御装置10は、車輌のエンジンスタート時であっても、電源ソケット3への電流量が許容範囲内であれば、電源ソケット3への電力供給を停止することなく外部機器50を使用することができる。
【0037】
ユーザは、エンジンスタート時に電源ソケット3の使用を許可するか否かを可/否の二者択一で設定することができる。エンジンスタート時に電源ソケット3の使用を許可する設定(可)がなされたとき、車載電力供給制御装置10は、エンジンスタート時であってもスイッチ12をオフすることなく電力供給を継続して行うが、電流測定部13にて測定される電流量が予め定められた基準値を超える場合には、スイッチ12をオフ(遮断)して電源ソケット3への電力供給を一時停止し、エンジンの動作開始後にスイッチ12をオン(接続)して電力供給を再開する。エンジンスタート時に電源ソケット3の使用を許可しない設定(否)がなされた場合、車載電力供給制御装置10は、スイッチ12をオフ(遮断)して電源ソケット3への電力供給を一時停止し、エンジンの動作開始後にスイッチ12をオン(接続)して電力供給を再開する。なお、車載電力供給制御装置10は、車輌のネットワークを介して他の車載機器から送信される情報を通信部14にて受信することにより、車輌のエンジンスタートが行われているか否かを判断することができる。また、イグニッションキーの回動位置に応じて出力される制御信号又はエンジンを始動するためのスターターを制御するための制御信号等を、車載電力供給装置10が直接的に又は間接的に取得して、エンジンスタートが行われているか否かを判断する構成としてもよい。
【0038】
(3)警告までの時間設定
上述のように、本発明の車載電力供給制御装置10は、タイマ11aにより計時される経過時間が基準時間Tを超えた場合に表示パネル25又はクラクション26によりユーザへの警告を発する機能を備えている。ユーザは、この警告を発するまでの時間の設定、即ち経過時間を判定するための基準時間Tの設定を変更することができ、車載電力供給制御装置10は基準時間Tの値の入力を操作部21にて受け付ける。ただし、基準時間Tには上限値が予め定められており、この上限値を超えた値の入力を車載電力供給制御装置10は受け付けない。
【0039】
(4)警告方法の設定
車載電力供給制御装置10は、表示パネル25へのメッセージ又は画像等の警告表示、又はクラクション26による警告音出力を行うが、ユーザはいずれの方法による警告を行わせるかを選択することができ、表示パネル25のみ、クラクション26のみ、又は両方の3つの設定から1つを選択することができる。車載電力供給制御装置10は、操作部21にて警告方法の選択設定を受け付け、受け付けた設定に従って警告を行う。
【0040】
図3は、本発明に係る車載電力供給制御装置10が行う電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。車載電力供給制御装置10の制御部11は、まず、不揮発性のメモリ素子などに記憶した設定を調べて、電源ソケット3の使用を許可する設定がなされているか否かを判定する(ステップS1)。電源ソケット3の使用が許可されていない場合(S1:NO)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS2)、電源ソケット3の使用を許可する設定がなされるまで待機する。
【0041】
電源ソケット3の使用を許可する設定がなされている場合(S1:YES)、制御部11は、スイッチ12をオン(接続)してバッテリ1から電源ソケット3への電力供給を行う(ステップS3)。その後、制御部11は、電流測定部13の測定結果から電源ソケット3への電流が流れているか否かを判定することにより、電源ソケット3に外部機器50が装着されて使用中であるか否かを判定し(ステップS4)、電源ソケット3が使用中でない場合には(S4:NO)、ステップS1へ処理を戻す。なお、電源ソケット3が使用中であるか否かの判定は、電流測定部13の測定結果に基づいて行う方法の他、例えば電源ソケット3に外部機器50の電源プラグ51が挿入されたことを機械式のスイッチにより判定するなどの方法で行うこともできる。
【0042】
電源ソケット3が使用中の場合(S4:YES)、制御部11は、通信部14にて受信する他の車載機器からの情報を基にエンジンスタート中(エンジンのスターターが動作中)であるか否かを判定する(ステップS5)。エンジンスタート中の場合(S5:YES)、制御部11は、エンジンスタート時の電力供給制御処理(詳細は後述する)を行って(ステップS6)、ステップS1へ処理を戻す。
【0043】
エンジンスタート中でない場合(S5:NO)、制御部11は、通信部14にて受信する他の車載機器からの情報を基にエンジン動作中であるか否かを更に判定する(ステップS7)。エンジンが動作中の場合(S7:YES)、制御部11はステップS1へ処理を戻す。また、エンジンが動作中でない場合(S7:NO)、制御部11は、エンジン停止時の電力供給制御処理(詳細は後述する)を行う(ステップS8)。その後、制御部11は、エンジン停止時の電力供給制御処理によりスイッチ12をオフ(遮断)したか否かを判定し(ステップS9)、スイッチ12をオフ(遮断)していない場合には(S9:NO)、ステップS1へ処理を戻し、スイッチ12をオフ(遮断)した場合には(S9:YES)、処理を終了する。
【0044】
なお、制御部11は、エンジン停止時の電力供給制御処理によってスイッチ12をオフ(遮断)してバッテリ1から電源ソケット3への電力供給を停止した場合、その後に車輌のエンジンが動作してオルタネータによる発電が行われた際にスイッチ12をオン(接続)する。ただし制御部11は、エンジンの動作開始から十分な時間が経過する前にエンジンが停止された場合には図3に示した処理を行わずにスイッチ12を再度オフ(遮断)し、エンジンの動作開始から十分な時間が経過した後にエンジンが停止された場合に図3に示した処理を行う。
【0045】
図4は、本発明に係る車載電力供給制御装置10が行うエンジンスタート時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すフローチャートのステップS6にて行う処理である。車載電力供給制御装置10の制御部11は、まず、不揮発性のメモリ素子などに記憶した設定を調べて、エンジンスタート時に電源ソケット3の使用を許可する設定がなされているか否かを判定する(ステップS21)。電源ソケット3の使用が許可されていない場合(S21:NO)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS24)、ステップS25へ処理を進める。
【0046】
エンジンスタート時に電源ソケット3の使用が許可する設定がなされている場合(S21:YES)、制御部11は、電流測定部13にてバッテリ1から電源ソケット3への電流量を測定し(ステップS22)、測定した電流量が基準値I以下であるか否かを判定する(ステップS23)。電流量が基準値Iを超える場合(S23:NO)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS24)、ステップS25へ処理を進める。
【0047】
電流測定部13にて測定した電流量が基準値I以下である場合(S23:YES)、又は、ステップS24にてスイッチ12をオフ(遮断)した後、制御部11は、通信部14にて受信する他の車載機器からの情報を基にエンジンスタート中であるか否かを判定する(ステップS25)。エンジンスタート中の場合(S25:YES)、制御部11はステップS21へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。エンジンスタート中でない場合(S25:NO)、制御部11は、スイッチ12をオン(接続)して電力供給を行い(ステップS26)、図3に示した処理へ戻る。
【0048】
図5は、本発明の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10が行うエンジン停止時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートであり、図3に示すフローチャートのステップS8にて行う処理である。なお、図示は省略するが、車載電力供給制御装置10の制御部11は、車輌のエンジンが停止され、且つ、バッテリ1から電源ソケット3への電力供給が開始された時点でタイマ11aの計時をスタートし、エンジン停止中であっても電源ソケット3が使用されずに電力が消費されていない場合にはタイマ11aの計時を一時停止し、エンジンが動作開始して十分な時間が経過した後にタイマ11aの計時をリセットする。即ち、制御部11はバッテリ1に蓄積された電力が消費されている時間をタイマ11aにて計時している。
【0049】
エンジン停止時の電力供給制御処理において、まず制御部11は、タイマ11aにて計時された経過時間を取得し(ステップS41)、電流測定部13にてバッテリ1から電源ソケット3への電流量を測定して(ステップS42)、得られた経過時間及び電流量を基に、電流量の時間積分値を算出する(ステップS43)。次いで、制御部11は、ステップS41にて取得した経過時間が設定された基準時間Tを超えるか否かを判定し(ステップS44)、経過時間が基準時間Tを超えない場合(S44:NO)、スイッチ12をオン(接続)状態としたまま、図3に示した処理へ戻る。
【0050】
経過時間が基準時間Tを超える場合(S44:YES)、制御部11は、予め設定された方法で警告を行い(ステップS45)、ステップS43にて算出した積分値が予め定められた基準値Sを超えるか否かを更に判定する(ステップS46)。なお、ステップS43にて算出する積分値はバッテリ1の電力使用量を表す値であり、基準値Sは電源ソケット3に装着された外部機器50にて消費することができる電力量の限界値である。積分値が基準値Sを超えない場合(S46:NO)、制御部11は、スイッチ12をオン(接続)状態としたまま、図3に示した処理へ戻る。積分値が基準値Sを超える場合(S46:YES)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS47)、図3に示した処理へ戻る。
【0051】
以上の構成の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10は、バッテリ1から電源ソケット3へ電力供給を行った経過時間が予め設定された基準時間Tを超えた(第1の条件が成立した)場合に、表示パネル25又はクラクション26による警告を行う構成とすることにより、ユーザはバッテリ1の残容量の低下を警告によって認識することができ、電源ソケット3に装着した外部機器50への電力供給停止に備えることができる。
【0052】
また更に、電源ソケット3へ流れる電流量の時間積分値が予め定められた基準値Sを超えた(第2の条件が成立した)場合に、スイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止する構成とすることにより、ユーザが警告を無視して外部機器50を使用し続けた場合であっても、バッテリ上がりが生じる前にバッテリ1からの電力供給を停止することができる。
【0053】
よって、実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10を車輌に搭載することで、電源ソケット3への電力供給が突然に停止されて外部機器50の動作が突然に停止することがなく、且つ、車輌のバッテリ上がりが発生することを防止できるため、車輌の防犯性、電源ソケットによる外部機器の使用の利便性、及びエンジン始動の確実性等を低下させることなく、イグニッションキーの装着/非装着に関係なくバッテリ1から電源ソケット3への電力供給を行う車輌構成とすることができる。即ち、車載電力供給制御装置10を搭載した車輌では、イグニッションキーを抜いた状態であっても電源ソケット3に外部機器50を装着して使用することができる。
【0054】
また、警告を行うタイミングを規定する基準時間T(第1の条件)を、ユーザが操作部21から入力して設定できる構成とすることにより、電源ソケット3に装着する外部機器50の種別などに応じた適切な条件をユーザが入力することができ、電力供給停止に先立って警告を行う車載電力供給制御装置10の機能の利便性を向上することができる。また、警告を行う第1の条件の判定として、バッテリ1から電源ソケット3への電力供給の経過時間を用いる構成とすることにより、電力量の積分値を用いる場合と比較して、ユーザが判定基準を認識しやすく、設定を入力し易いという利点がある。
【0055】
また、車輌のエンジンスタート時における電源ソケット3の使用可否をユーザが設定でき、電源ソケット3の使用を許可する設定がなされた場合には、車載電力供給制御装置10がエンジンスタート中であってもスイッチ12をオン(接続)して電源ソケット3への電力供給を行う構成とすることにより、エンジンスタート中の一時的な電力供給の停止が好ましくない外部機器50の利用が可能となり、電源ソケット3による外部機器50の利用に係る利便性を向上できる。また、エンジンスタート時の電源ソケット3の使用が許可されている場合であっても、電流測定部13にて測定した電流量が基準値Iを超える場合には、スイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止する構成とすることにより、車輌のエンジンスタートを確実に行うことができる。
【0056】
また、電源ソケット3の使用可否をユーザが設定でき、電源ソケット3が使用不可と設定された場合には、車載電力供給制御装置10がスイッチ12をオフ(遮断)して電源ソケット3への電力供給を行わない構成とすることにより、ユーザは電源ソケット3の使用を任意に禁止することができ、例えば電源ソケット3の無断使用などによって車輌のバッテリ上がりが発生することを防止できる。
【0057】
また、車輌のクラクション26を鳴らしてユーザへ警告を与える構成とすることにより、ユーザが車輌から離れた場所で外部機器50を使用している場合であっても、車載電力供給制御装置10がユーザに対する警告を確実に行うことができる。また、車輌の表示パネル25に文字又は画像等を表示してユーザへ警告を与える構成とすることにより、騒音などの問題が生じることなく、ユーザに対する警告を行うことができる。また、警告の方法として表示パネル25又はクラクション26のいずれを用いるかをユーザが設定できる構成とすることにより、車輌周辺の環境及び外部機器50の使用状況等に応じた適切な警告方法をユーザが選択することができる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、第1の条件(経過時間が基準時間Tを超えるか否か)が成立した場合に更に第2の条件(電流量の積分値が基準値Sを超えるか否か)が成立するか否かを判定する構成としたが、これに限るものではなく、第1の条件が成立しない場合であっても第2の条件が成立するか否かの判定を行う構成としてもよい。また、第2の条件として電流量の積分値を用いたが、これに限るものではなく、電流量と経過時間との積を用いてもよい。また、電流測定部13はバッテリ1から電源ソケット3への電流の電流量を測定する構成としたが、これに限るものではなく、更にバッテリ1から他の車載機器への電流量を測定する構成としてもよい。
【0059】
また、表示パネル25による警告表示、及びクラクション26による警告音出力によりユーザへの警告を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えばオーディオ装置のスピーカから音声メッセージを出力する、又は車輌のハザードランプを点灯させるなど、その他の方法により警告を行う構成としてもよい。また、図1において車載電力供給制御装置10が電力供給制御を行う電源ソケット3が3つの構成を示したが、これに限るものではなく、電源ソケット3は2つ以下又は4つ以上であってよい。また、操作部21、表示パネル25及びクラクション26が車載電力供給制御装置10の制御部11との間で直接的に信号などの入出力を行う構成としたが、これに限るものではなく、ネットワークを介して操作部21、表示パネル25及びクラクション26を車載電力供給制御装置10に接続する構成であってもよい。
【0060】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1に係る車載電力供給制御装置10は、第1の条件として経過時間が基準時間Tを超えるか否かを判定し、第2の条件として電流量の積分値が基準値Sを超えるか否かを判定する構成であるが、第1の条件及び第2の条件はこれに限らず、その他の種々の条件を用いてよい。実施の形態2に係る車載電力供給制御装置10は、実施の形態1とは異なる第1の条件及び第2の条件を判定に用いる構成である。
【0061】
実施の形態2に係る車載電力供給制御装置10は、タイマ11aが計時した経過時間が基準時間T1を超えるか否か(第1の条件)を判定して警告を行うと共に、経過時間が基準時間T2(ただし、T2>T1とする)を超えるか否か(第2の条件)を判定してスイッチ12をオフ(遮断)する。第1の条件の基準時間T1は、ユーザが設定することができる。第2の条件の基準時間T2は、例えば、バッテリ1に蓄積された電力を、想定される最大電流量で電源ソケット3から外部機器40が消費し続けた場合に、バッテリ1の残容量がエンジン始動に必要な最低限の容量にまで減少するのに要する時間などを用いることができ、車輌及び車載電力供給制御装置10の設計段階で予め算出した値を記憶しておく。
【0062】
また、車載電力供給制御装置10は、電流測定部13が測定した電流量が基準値I1を超えるか否か(第1の条件)を判定して警告を行うと共に、電流量が基準値I2(ただし、I2>I1とする)を超えるか否か(第2の条件)を判定してスイッチ12をオフ(遮断)する。この判定は、電源ソケット3へ瞬間的に流れる電流の電流量を制限するためのものであり、ユーザは使用する外部機器50の最大定格などに応じて第1の条件の基準値I1の値を設定する。又は、ユーザが第2の条件の基準値I2を設定し、この設定値に応じて第1の条件の基準値I1を車載電力供給制御装置10が決定する構成であってもよい。
【0063】
また更に、車載電力供給制御装置10は、タイマ11aが計時した経過時間及び電流測定部13が測定した電流量を基にバッテリ1から電源ソケット3へ流れた電流量の積分値を算出し、算出した積分値が基準値S1を超えるか否か(第1の条件)を判定して警告を行うと共に、積分値が基準値S2(ただし、S2>S1とする)を超えるか否か(第2の条件)を判定してスイッチ12をオフ(遮断)する。第1の条件の基準値S1は、ユーザが設定することができる。ただし、ユーザが積分値の基準値を直接的に入力することは難しいため、例えばバッテリの残容量80%などの値をユーザが入力し、この値から車載電力供給制御装置10が基準値S1を算出するなど、間接的に基準値S1を入力する構成としてもよい。第2の条件の基準値S2は、車輌のエンジン始動に必要なバッテリ1の残容量から予め算出して記憶しておく。
【0064】
図6及び図7は、本発明の実施の形態2に係る車載電力供給制御装置10が行うエンジン停止時の電力供給制御処理の手順を示すフローチャートである。エンジン停止時の電力供給制御処理において、まず制御部11は、タイマ11aにて計時された経過時間を取得し(ステップS61)、電流測定部13にてバッテリ1から電源ソケット3への電流量を測定して(ステップS62)、得られた経過時間及び電流量を基に、電流量の時間積分値を算出する(ステップS63)。
【0065】
次いで、制御部11は、ステップS61にて取得した経過時間が設定された基準時間T1を超えるか否か(第1の条件)を判定し(ステップS64)、経過時間が基準時間T1を超える場合(S64:YES)、経過時間が基準時間T2を超えるか否か(第2の条件)を更に判定する(ステップS65)。経過時間が基準時間T2を超えない場合(S65:NO)、即ち、基準時間T1<経過時間<基準時間T2の場合、制御部11は、予め設定された方法で警告を行い(ステップS66)、ステップS67へ処理を進める。経過時間が基準時間T2を超える場合(S65:YES)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS73)、処理を終了する。
【0066】
経過時間が基準時間T1を超えない場合(S64:NO)、又は、ステップS66にて警告を行った後、制御部11は、ステップS62にて測定した電流量が基準値I1を超えるか否か(第1の条件)を判定する(ステップS67)。電流量が基準値I1を超える場合(S67:YES)、制御部11は、電流量が基準値I2を超えるか否か(第2の条件)を更に判定する(ステップS68)。電流量が基準値I2を超えない場合(S68:NO)、即ち、基準値I1<電流量<基準値I2の場合、制御部11は、予め定められた方法で警告を行い(ステップS69)、ステップS70へ処理を進める。電流量が基準値I2を超える場合(S68:YES)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS73)、処理を終了する。
【0067】
電流量が基準値I1を超えない場合(S67:NO)、又は、ステップS69にて警告を行った後、制御部11は、ステップS63にて算出した積分値が基準値S1を超えるか否か(第1の条件)を判定し(ステップS70)、積分値が基準値S1を超えない場合には(S70:NO)、処理を終了する。積分値が基準値S1を超える場合(S70:YES)、制御部11は、積分値が基準値S2を超えるか否か(第2の条件)を更に判定する(ステップS71)。積分値が基準値S2を超えない場合(S71:NO)、即ち、基準値S1<積分値<基準値S2の場合、制御部11は、予め定められた方法で警告を行い(ステップS72)、処理を終了する。積分値が基準値S2を超える場合(S71:YES)、制御部11は、スイッチ12をオフ(遮断)して電力を非供給とし(ステップS73)、処理を終了する。
【0068】
以上の構成の実施の形態2に係る車載電力供給制御装置10は、経過時間、電流量及び積分値等の複数の値についてそれぞれ第1の条件及び第2の条件を判定し、各値が第1の条件に達した場合に警告を行うと共に、第2の条件に達した場合にスイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止する構成とすることによって、より確実にバッテリ上がりが生じる前にスイッチ12をオフ(遮断)して電力供給を停止することができ、電力供給停止の前に確実にユーザへの警告を行うことができる。
【0069】
なお、実施の形態2に係る車載電力供給制御装置のその他の構成は、実施の形態1に係る車載電力供給制御装置の構成と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0070】
1 バッテリ
3 電源ソケット
7、8 電力線
9 通信線
10 車載電力供給制御装置
11 制御部(警告手段、電力供給遮断手段、受付手段、始動時遮断手段)
11a タイマ
12 スイッチ
13 電流測定部(計測手段)
14 通信部
21 操作部(受付手段)
25 表示パネル(警告手段)
26 クラクション(警告手段)
50 外部機器
51 電源プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌に搭載されたバッテリから、外部機器の電源プラグが着脱される前記車輌の電源ソケットへの電力供給を制御する車載電力供給制御装置において、
前記電源ソケットに電源プラグが装着された外部機器の電力消費量に係る値を計測する計測手段と、
前記バッテリ及び前記電源ソケットの間に介装されたスイッチと、
前記計測手段が計測した値が第1の条件に達した場合に警告を行う警告手段と、
前記計測手段が計測した値が、前記第1の条件と異なる第2の条件に達した場合に、前記スイッチにより前記電源ソケットへの電力供給を遮断する電力供給遮断手段と
を備えること
を特徴とする車載電力供給制御装置。
【請求項2】
前記計測手段は、前記バッテリから前記電源ソケットに電源プラグが接続された外部機器へ電力供給を行った時間及び電流量を計測するようにしてあり、
前記警告手段は、前記計測手段が計測した時間が第1の条件に達した場合に警告を行うようにしてあり、
前記電力供給遮断手段は、前記計測手段が計測した時間及び電流量の積又は積分値が第2の条件に達した場合に、電力供給を遮断するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の車載電力供給制御装置。
【請求項3】
前記第1の条件の入力を受け付ける受付手段を更に備え、
前記警告手段は、前記受付手段が受け付けた第1の条件に応じて警告を行うようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載電力供給制御装置。
【請求項4】
前記車輌のエンジン始動時に前記電源ソケットへの電力供給を遮断する始動時遮断手段と、
該始動時遮断手段による電力供給の遮断を行うか否かに係る設定を受け付ける受付手段と
を更に備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の車載電力供給制御装置。
【請求項5】
前記計測手段は、前記電源ソケットに電源プラグが接続された外部機器へ供給される電力に係る電流量を計測するようにしてあり、
前記始動時遮断手段は、前記受付手段により遮断を行わない設定を受け付けたときであっても、前記計測手段が計測した電流量が所定量より多い場合には遮断を行うようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載の車載電力供給制御装置。
【請求項6】
前記電源ソケットへの電力供給を行うか否かに係る設定を受け付ける受付手段を更に備え、
前記電力供給遮断手段は、前記受付手段が電力供給を行わない設定を受け付けた場合に、前記スイッチにより前記電源ソケットへの電力供給を遮断するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の車載電力供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−274893(P2010−274893A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132382(P2009−132382)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)