説明

車輌用荷台の扉開閉装置

【課題】扉の開閉による影響を荷台の天面に与えない車輌用荷台の扉開閉装置を提供すること。
【解決手段】荷台の側部上方には、車輌前後方向に扉取付桟81が配置され、扉取付桟81の下方には、一対のガイドレール70が垂直方向に配置され、扉60を、上部扉61と下部扉62で構成し、上部扉61の下端と下部扉62の上端とを扉回動部材78で連結し、上部扉61の上端を本体回動部材79を介して扉取付桟81に取り付け、下部扉62の裏面側の下端に腕部73を設け、腕部73の端部には、ガイドレール70に沿って摺動するローラ73aを有し、扉取付桟81の下方で、ガイドレール70の車輌内方に、往復動作を行う開閉駆動源75を設け、開閉駆動源75の可動端を上部扉61の裏面に回動支点77aを介して取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消防自動車のような特殊車輌に用いられる車輌用荷台の扉開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車輌の後部に荷台を有し、この荷台の天面、側面、及び後面がパネルなどの部材で覆われる車輌において、天面も含めて側面を開放する開閉装置が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
一方、特許文献3では、荷台側面の扉が二つ折りになって開かれるとともに、扉の下部をレールに沿わせる構成が提案されている。
また、特許文献4では、荷台の後面の開閉扉ではあるが、開状態では二つ折りとなる扉構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−347442号公報
【特許文献2】特開2003−226140号公報
【特許文献3】特開平8−239060号公報
【特許文献4】特開2004−1768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各特許文献からも分かるように、車輌の荷台側面を大きく開く扉にあっては、天面も含めて開放するものであり、天面を資機材の載置場所や作業場所として利用することができない。
一方、特許文献4で提案されている後面の開閉扉の構成を荷台の側面に配置することも考えられるが、特許文献4では、扉のヒンジ近くにはね上げ力発生機構が設けられ、ヒンジの枢軸を回動軸としてはね上げる構成のため、大きな駆動力が必要となるとともに、この負荷に耐えうる扉でなければならない。
【0005】
そこで本発明は、大きな開口面を確保しつつ、天面へ資機材の載置場所を確保できるとともに、作業者への危険防止のため、2つ折の扉の下端が車輌から飛び出さない車輌用荷台の扉開閉装置を提供することを目的とする。
また本発明は、扉に照明を組み込み、資機材の搬出時の搬出場所の照明を確保できる車輌用荷台の扉開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の車輌用荷台の扉開閉装置は、車輌の後方に荷台を有し、前記荷台の天面及び側面がパネルによって覆われ、前記側面が扉によって開閉される車輌用荷台の扉開閉装置であって、前記荷台の側部上方には、車輌前後方向に扉取付桟が配置され、前記扉取付桟の下方には、一対のガイドレールが垂直方向に配置され、前記扉を、上部扉と下部扉で構成し、前記上部扉の下端と前記下部扉の上端とを扉回動部材で連結し、前記上部扉の上端を本体回動部材を介して前記扉取付桟に取り付け、前記下部扉の裏面側の下端に腕部を設け、前記腕部の端部には、前記ガイドレールに沿って摺動するローラを有し、前記扉取付桟の下方で、前記ガイドレールの車輌内方に、往復動作を行う開閉駆動源を設け、前記開閉駆動源の可動端を前記上部扉の裏面に回動支点を介して取り付けたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記ガイドレールの下端部に、上部に対して下部が車輌内方に位置するレール傾斜部を設け、前記レール傾斜部の傾斜方向を、前記扉の閉状態からの所定動作までにおける前記開閉駆動源の動作方向に対応させたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記開閉駆動源を構成するシリンダのロッド側端部を扉取付桟に対して回動自在に設けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記上部扉を、前記上部扉の下端を含む第1パネル面と、前記第1パネル面と連続する第2パネル面とで構成し、前記第1パネル面よりも前記第2パネル面の垂直方向に対する傾斜角を大きくし、前記開閉駆動源の可動端を前記第2パネル面に設けたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記扉の閉状態では、前記扉回動部材に対して、前記腕部の前記下部扉への取り付け位置、及び前記開閉駆動源の可動端の前記第2パネル面への取り付け位置を車輌内方としたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記下部扉に、車輌外方を光軸とする照明手段を設けたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記照明手段の光軸を水平より下方に向けたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項6又は請求項7に記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、明るさを検出する照度センサーと、前記扉の開閉状態を検出する扉センサーとを有し、前記照度センサーにより所定の暗さを検出し、前記扉センサーにより前記扉が開状態を検出すると前記照明手段を点灯させることを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項3に記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記扉取付桟の垂直方向に配置される一対の第1側部取付桟と、前記第1側部取付桟の車輌外方に配置される一対の第2側部取付桟とを備え、前記シリンダを前記第1側部取付桟に設け、前記ガイドレールを前記第1側部取付桟と前記第2側部取付桟との間に配置したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置において、前記下部扉が繊維強化プラスチックで構成され、前記下部扉の裏面外周には骨材が接合され、前記腕部を前記骨材にて連結し、前記腕部に一端が連結される補助部材の他端を前記骨材に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車輌用荷台の扉開閉装置によれば、荷台の側部上方に配置する扉取付桟に扉を設けることで、扉の開閉による影響を荷台の天面に与えないために、天面を資機材の載置場所や作業場所として利用することができ、下部扉の下端が腕部を介してガイドレールに沿って案内されるため、扉の下端が車輌から飛び出さず、開閉駆動源の往復動作による扉の開閉を安定して行うことができる。
また、本発明の車輌用荷台の扉開閉装置によれば、特に扉の初期における開動作を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による車輌用荷台の扉開閉装置を備える車輌の前方からの外観斜視図
【図2】同車輌の後方からの外観斜視図
【図3】同車輌の天面パネルを外した状態の平面図
【図4】本実施例による扉の正面図
【図5】同扉の裏面図
【図6】同車輌用荷台の扉開閉装置の要部斜視図
【図7】同車輌用荷台の扉開閉装置の要部正面図
【図8】同扉開閉装置の要部裏面図
【図9】同扉開閉装置で用いる骨組を示す要部斜視図
【図10】同車輌用荷台の扉開閉装置における扉閉状態を示す側面図
【図11】同扉開閉装置における扉開動作初期状態を示す側面図
【図12】同扉開閉装置における扉開動作後期状態を示す側面図
【図13】同扉開閉装置における扉開状態を示す側面図
【図14】同車輌用荷台の扉開閉装置を適用した車輌の後方を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置は、荷台の側部上方には、車輌前後方向に扉取付桟が配置され、扉取付桟の下方には、一対のガイドレールが垂直方向に配置され、扉を、上部扉と下部扉で構成し、上部扉の下端と下部扉の上端とを扉回動部材で連結し、上部扉の上端を本体回動部材を介して扉取付桟に取り付け、下部扉の裏面側の下端に腕部を設け、腕部の端部には、ガイドレールに沿って摺動するローラを有し、扉取付桟の下方で、ガイドレールの車輌内方に、往復動作を行う開閉駆動源を設け、開閉駆動源の可動端を上部扉の裏面に回動支点を介して取り付けたものである。本実施の形態によれば、荷台の側部上方に配置する扉取付桟に扉を設けることで、荷台の天面は扉の開閉による影響を受けないために、天面を資機材の載置場所や作業場所として利用することができる。また、本実施の形態によれば、下部扉の下部が腕部を介してガイドレールに沿って案内されるため、扉の下端が車輌から飛び出すことがないために安全性が高く、また開閉駆動源の往復動作による扉の開閉を安定して行うことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、ガイドレールの下端部に、上部に対して下部が車輌内方に位置するレール傾斜部を設け、レール傾斜部の傾斜方向を、扉の閉状態からの所定動作までにおける開閉駆動源の動作方向に対応させたものである。本実施の形態によれば、扉の初期における開動作を安定して行うことができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、開閉駆動源を構成するシリンダのロッド側端部を扉取付桟に対して回動自在に設けたものである。本実施の形態によれば、シリンダのロッドと反対側端部を扉取付桟に設ける場合と比較して、開閉駆動源の可動端の回動角度を小さくでき、狭い空間での開閉駆動源の設置が可能となる。
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、上部扉を、上部扉の下端を含む第1パネル面と、第1パネル面と連続する第2パネル面とで構成し、第1パネル面よりも第2パネル面の垂直方向に対する傾斜角を大きくし、開閉駆動源の可動端を第2パネル面に設けたものである。本実施の形態によれば、扉への荷重方向を開方向である上方に向けることができるため、特に扉の初期における開動作を安定して行うことができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、扉の閉状態では、扉回動部材に対して、腕部の下部扉への取り付け位置、及び開閉駆動源の可動端の第2パネル面への取り付け位置を車輌内方としたものである。本実施の形態によれば、扉回動部材が車輌外方に位置するため、特に扉の初期における開動作を安定して行うことができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、下部扉に、車輌外方を光軸とする照明手段を設けたものである。本実施の形態によれば、扉を閉じた状態だけでなく、扉を開いた状態においても、照明手段によって車輌周辺を照らすことができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、照明手段の光軸を水平より下方に向けたものである。本実施の形態によれば、扉を閉じた状態だけでなく、扉を開いた状態においても、荷台周辺を照らすことができるので夜間の資機材の積み降ろし作業が容易となる。
本発明の第8の実施の形態は、第6又は第7の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、明るさを検出する照度センサーと、扉の開閉状態を検出する扉センサーとを有し、照度センサーにより所定の暗さを検出し、扉センサーにより扉が開状態を検出すると照明手段を点灯させるものである。本実施の形態によれば、扉の開状態において車輌の荷台側方を照らすことができる。
本発明の第9の実施の形態は、第3の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、扉取付桟の垂直方向に配置される一対の第1側部取付桟と、第1側部取付桟の車輌外方に配置される一対の第2側部取付桟とを備え、シリンダを第1側部取付桟に設け、ガイドレールを第1側部取付桟と第2側部取付桟との間に配置したものである。本実施の形態によれば、ガイドレールを第2側部取付桟より車輌内方に配置することで、荷重変動の大きなガイドレールを確実に保持して安定させることができ、扉取付桟の垂直方向で第2側部取付桟の車輌内方に配置する第1側部取付桟にシリンダを設けることで扉のがたつきを少なくすることができる。
本発明の第10の実施の形態は、第1から第9の実施の形態による車輌用荷台の扉開閉装置において、下部扉が繊維強化プラスチックで構成され、下部扉の裏面外周には骨材が接合され、腕部を骨材にて連結し、腕部に一端が連結される補助部材の他端を骨材に連結したものである。本実施の形態によれば、下部扉に加わる開閉動作時の荷重負荷に十分に耐えることができ、扉を繊維強化プラスチックで構成することができる。
【実施例】
【0010】
以下本発明の一実施例による車輌用荷台の扉開閉装置について説明する。
図1は本実施例による車輌用荷台の扉開閉装置を備える車輌の前方からの外観斜視図、図2は同車輌の後方からの外観斜視図、図3は同車輌の天面パネルを外した状態の平面図である。
図1から図3を用いて本実施例による車輌の全体構成について説明する。
本実施例では、林野火災用消防車による車輌用荷台の扉開閉装置を示している。
本実施例による林野火災用消防車は、運転席を有するキャビンスペース10と、外部通信を行うとともに消火作業を行えるオペレーションデッキスペース20と、消火用資機材を搭載する荷台スペース50とを備えている。
車輌ボディは、キャビンスペース10及びオペレーションデッキスペース20を形成する車輌前部ボディ1と、荷台スペース50を形成する車輌後部ボディ2とから構成される。
車輌前部ボディ1の前方にキャビンスペース10を配置し、車輌前部ボディ1の後方にオペレーションデッキスペース20を配置している。
オペレーションデッキスペース20の車輌両側部には開口部21が形成され、開口部21には、セーフティーバー22が回動自在に設けられている。セーフティーバー22には放水銃23を備えている。
【0011】
図3に示すように、荷台スペース50の中央部には、水タンク51と放水ユニット52とが配置されている。水タンク51には消火用水が貯留され、放水ユニット52にはポンプ、コンプレッサー、及び泡薬剤が設けられている。水タンク51は荷台スペース50の前方に放水ユニット52は荷台スペース50の後方に配置している。
水タンク51と扉60との間のスペース及び放水ユニット52と扉60との間のスペースには、資機材を保管する昇降棚53を配置している。
荷台スペース50は、天面、側面、及び後面がパネルによって覆われ、側面が扉60によって開閉される。
車輌後部ボディ2の両側面には、それぞれの扉60及びそれぞれの扉60に設けられた照明手段65の制御を行う操作部65aを設けている。操作部65aには、扉60の開閉動作を指示する操作ボタンや、照明手段65の手動オンオフや自動オンオフを指示する操作ボタンが設けられている。また、この操作部65aに、昇降棚53の動作を指示する操作ボタンや、キャビンスペース10やオペレーションデッキスペース20の作業員に緊急警告を出力する非常ボタンを設けてもよい。
【0012】
図4は本実施例による扉の正面図、図5は同扉の裏面図である。
本実施例による扉60は、上部扉61と下部扉62で構成している。上部扉61と下部扉62は、繊維強化プラスチック(FRP)で成形されている。上部扉61と下部扉62は、ほぼ同じ高さ方向寸法で、同一の幅方向寸法で構成され、上部扉61と下部扉62とがほぼ重なり合う大きさで構成されている。上部扉61には開口部63が形成され、開口部63にはガラスや透光性耐熱プラスチックがはめ込まれている。また下部扉62には開口部64が形成され、開口部64にはガラスや透光性耐熱プラスチックがはめ込まれている。開口部64の一部には、照明手段65を設けている。
【0013】
図5に示すように、上部扉61の裏面には骨材66が、下部扉62の裏面には骨材67が接合されている。
骨材66として、一対の垂直方向骨材66a及び一対の水平方向骨材66bを有している。一対の垂直方向骨材66a及び一対の水平方向骨材66bによって上部扉61の外周を包囲している。また骨材66として、更に斜め方向骨材66c、66d、水平方向中骨材66e、及び垂直方向中骨材66fを有している。斜め方向骨材66cは車輌前方側の垂直方向骨材66aと下端側の水平方向骨材66bとを連結している。斜め方向骨材66dは、車輌後方側の垂直方向骨材66aと水平方向中骨材66eとを連結している。水平方向中骨材66eは、上部扉61を構成する第1パネル面61aと第2パネル面61bとの間に配置している。垂直方向中骨材66fは、上端側の水平方向骨材66bと水平方向中骨材66eとをそれぞれの中間位置で連結している。
【0014】
一方、骨材67として、一対の垂直方向骨材67a及び一対の水平方向骨材67bを有している。一対の垂直方向骨材67a及び一対の水平方向骨材67bは下部扉62の外周を包囲している。また骨材67として、更に斜め方向骨材67c、67dを有している。斜め方向骨材67cは車輌前方側の垂直方向骨材67aと上端側の水平方向骨材67bとを連結している。斜め方向骨材67dは、車輌後方側の垂直方向骨材67aと下端側の水平方向骨材67bとを連結している。
上端側の水平方向骨材66bには、複数の本体回動部材取付部68が設けられている。また、下端側の水平方向骨材66bと上端側の水平方向骨材67bには、複数の扉回動部材取付部69が設けられている。
【0015】
図6は本実施例による車輌用荷台の扉開閉装置の要部斜視図である。
図6では、扉60とガイドレール70とを示している。
一対のガイドレール70は、直線状に形成されて垂直方向に配置されるレール垂直部71と、このレール垂直部71の下端部に配置されるレール傾斜部72とから構成している。レール傾斜部72は、上部に対して下部が車輌内方に位置するようにレール垂直部71に対して傾斜している。
下部扉62の裏面側の両下端には、それぞれ腕部73が設けられている。腕部73の一端は垂直方向骨材67aに垂直に連結され、腕部73の他端はローラ73aを介してガイドレール70に摺動可能に取り付けられている。補助部材74の一端は垂直方向骨材67aに連結し、補助部材74の他端は腕部73に連結している。
【0016】
図7は本実施例による車輌用荷台の扉開閉装置の要部正面図、図8は同扉開閉装置の要部裏面図、図9は同扉開閉装置で用いる骨組を示す要部斜視図である。
図7及び図8は、荷台スペース50に載置する骨組80に扉60を取り付けた状態を示しており、図7は車輌外方から見たもので、図8は車輌内方から見たものである。
図7及び図8に示すように、扉60は、骨組80を構成する上面桟80aと下面桟80bの間に配置され、一対の第1側部取付桟82の間に配置される。一対のガイドレール70は、一対の第1側部取付桟82の対向する面に沿って配置される。また、一対の第1側部取付桟82には、扉60の開閉動作を行う開閉駆動源75が設けられている。
図9に示すように、骨組80は、上面桟80aと下面桟80bとの間に複数の桟を備えている。上面桟80aの上部には天面パネルが配置される。下面桟80bは荷台スペース50の荷台ベースに載置される。扉取付桟81は、荷台の側部上方に位置し、車輌前後方向に配置されている。本実施例では、上面桟80aと同じ高さとしているが、上面桟80aよりも低い位置でもよい。
骨組80の車輌両側面には、一対の第1側部取付桟82が配置されている。一対の第1側部取付桟82は、扉取付桟81の垂直方向に配置され、第1側部取付桟82と扉取付桟81とは同一平面内に配置している。一対の第2側部取付桟83は、第1側部取付桟82の車輌外方に配置している。
【0017】
図10から図13は本実施例による車輌用荷台の扉開閉装置における扉開閉状態を示す側面図である。
図10は同扉開閉装置における扉閉状態を示す側面図、図11は同扉開閉装置における扉開動作初期状態を示す側面図、図12は同扉開閉装置における扉開動作後期状態を示す側面図、図13は同扉開閉装置における扉開状態を示す側面図である。
図において、開閉駆動源75は、扉取付桟81の下方で、ガイドレール70の車輌内方に設けている。開閉駆動源75は、シリンダ76の一端にロッド77を備え、シリンダ76の他端から気体又は液体を注入と排出することで、ロッド77をシリンダ76に対して往復動させる。気体又は液体の注入と排出には電動ポンプを用いている。なお、電動ポンプによる油圧駆動や空圧駆動の他、モータの回転を直線運動に変換してロッド77を往復動させる機構でもよい。
開閉駆動源75を構成するロッド77の可動端は、上部扉61の裏面に回動支点77aを介して取り付ける。ここで上部扉61は、上部扉61の下端を含む第1パネル面61aと、第1パネル面61aと連続する第2パネル面61bとで構成されており、ロッド77の可動端は、回動支点77aを有する部材77bによって第2パネル面61bに位置する垂直方向骨材66aに取り付けられている。シリンダ77は、ロッド側端部において、回動支点76aを介して第1側部取付桟82に設けている。
扉回動部材78は、扉回動部材取付部69を用いて、上部扉61の下端と下部扉62の上端とを連結している。
本体回動部材79は、本体回動部材取付部68を用いて、上部扉61の上端を扉取付桟81に取り付けている。
【0018】
図10に示すように、第2パネル面61bの垂直方向に対する傾斜角bは、第1パネル面61aの垂直方向に対する傾斜角aよりも大きくしている。このように、第1パネル面61aよりも第2パネル面61bの垂直方向に対する傾斜角を大きくし、開閉駆動源75の可動端を第2パネル面61bに設けることで、扉60への荷重方向を開方向である上方に向けることができるため、特に扉60の初期における開動作を安定して行うことができる。
また図10に示すように、扉60の閉状態では、腕部73の下部扉62への取り付け位置X、及び開閉駆動源75の可動端の第2パネル面61bへの取り付け位置Yは、扉回動部材78よりも車輌内方としている。このように、腕部73の下部扉62への取り付け位置X、及び開閉駆動源75の可動端の第2パネル面61bへの取り付け位置Yを、扉回動部材78よりも車輌内方とすることで、特に扉の初期における開動作を安定して行うことができる。
また図10に二点破線で示すように、レール傾斜部72の傾斜方向を、扉60の閉状態からの所定動作までにおける開閉駆動源75の動作方向に対応させることで、扉60の初期における開動作を安定して行うことができる。
【0019】
以下に扉60の開動作について説明する。
図10に示す状態から開閉駆動源75を駆動することで、ロッド77が第2パネル面61bを押圧し、上部扉61が斜め上方向に移動する。上部扉61の動作とともに、扉回動部材78が回動を伴って斜め上方向に移動する。この動作に連動してローラ73aはレール傾斜部72を移動する。
更に開閉駆動源75の駆動を継続することで、図11、図12に示すように、ローラ73aはレール傾斜部72からレール垂直部71に移動し、レール垂直部71を上昇する。ローラ73aがレール垂直部71を上昇するに伴って、扉回動部材78及び本体回動部材79の回動角も大きくなる。一方、開閉駆動源75も、回動支点76aを中心にしてロッド77側が上方に移動する方向に回動する。
図13に示すように、ローラ73aがレール垂直部71の上端に到達すると扉60の開動作が終了する。開動作の終了は、ローラ73aの位置をリミットスイッチで検出する。なお、開動作の終了は、リミットスイッチ以外の方法による扉の開閉状態を検出する扉センサーであってもよい。
【0020】
扉60の閉動作は、図13の状態から、図12、図11の段階を経て図10の状態に移行することで行われる。
図13に示す状態から開閉駆動源75を逆方向に駆動することで、ロッド77が第2パネル面61bを引っ張り、上部扉61が斜め下方向に移動する。上部扉61の動作とともに、扉回動部材78が回動を伴って斜め下方向に移動する。この動作に連動してローラ73aはレール垂直部71を降下する。
更に開閉駆動源75の駆動を継続することで、図12、図11に示すように、ローラ73aはレール垂直部71を更に降下する。ローラ73aがレール垂直部71を降下するに伴って、扉回動部材78及び本体回動部材79が回動する。一方、開閉駆動源75も、回動支点76aを中心にしてロッド77側が下方に移動する方向に回動する。
ローラ73aがレール垂直部71からレール傾斜部72に移動し、図10に示すように、ローラ73aがレール傾斜部72の下端に到達すると扉60の閉動作が終了する。閉動作の終了は、ローラ73aの位置をリミットスイッチで検出する。なお、閉動作の終了は、リミットスイッチ以外の方法による扉の開閉状態を検出する扉センサーであってもよい。
【0021】
図14は本実施例による車輌用荷台の扉開閉装置を適用した車輌の後方を示す側面図である。
本実施例の車輌用荷台の扉開閉装置は、明るさを検出する照度センサーと、扉60の開閉状態を検出する扉センサーとを有し、照度センサーにより所定の暗さを検出し、扉センサーにより扉が開状態を検出すると照明手段65が点灯する。従って、図に示すように、夜間に扉60を開くと照明手段65が点灯し、照明手段65が車輌の荷台側方を照らすため、夜間作業を行いやすくなる。
なお、扉60を開いた状態だけでなく、扉60を閉じた状態においても、手動操作によって、照明手段65を点灯することで車輌周辺を照らすことができる。
照明手段65の光軸は、車輌外方で水平より下方に向けることが好ましい。照明手段65の光軸を水平より下方に向けることで、扉60を閉じた状態だけでなく、扉60を開いた状態においても、荷台周辺を照らすことができるので夜間の資機材の積み降ろし作業が容易となる。
【0022】
本実施例の車輌では、扉60の開動作が終了すると、昇降棚53が荷台スペース50から降下するように構成されている。林野火災用消防車の場合には、ベース車輌として四輪駆動や六輪駆動を用いることが多く、最低地上高さを十分に確保する必要性から、図示のように荷台スペース50が高い位置となる。従って、林野火災用消防車の場合には、昇降機構を備えた昇降棚53であることが有効である。
また消防車に適用する場合には、緊急性を要するため、昇降棚53の降下動作は、扉60の開動作途中の段階で開始することが好ましい。この場合には、昇降棚53の降下動作に影響を与えない扉60の開動作位置をあらかじめ設定し、扉60がこの設定位置に到達したことを検出手段が検出すると、駆動源の動作を開始する。なお、昇降機構については、既知の機構を適用することができるため、ここでの説明は省略する。
また、本実施例では、扉センサーにより扉60が開状態を検出すると照明手段65が点灯する場合で説明したが、扉60の開動作のスタートを検出し、開動作のスタートから開状態となるまでのいずれかのタイミングで照明手段65を点灯することも有効である。特に、昇降棚53の降下動作を、扉60の開動作の途中段階で開始する場合には、扉60が開状態となる前に照明手段65を点灯させることが好ましい。
また、図示のように、車輌の天面は、扉60の開閉動作の影響を受けないために、天面を資機材54の載置場所や作業場所として利用することができ、下部扉の下部が腕部を介してガイドレールに沿って案内されるため、開閉駆動源の往復動作による扉の開閉を安定して行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、消防自動車に用いられる車輌用荷台の扉開閉装置に適するが、救急車、キャンピングカーなどの特殊車輌に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
60 扉
61 上部扉
61a 第1パネル面
61b 第2パネル面
62 下部扉
65 照明手段
70 ガイドレール
72 レール傾斜部
73a ローラ
75 開閉駆動源
77 ロッド
81 扉取付桟
82 第1側部取付桟
83 第2側部取付桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌の後方に荷台を有し、前記荷台の天面及び側面がパネルによって覆われ、前記側面が扉によって開閉される車輌用荷台の扉開閉装置であって、
前記荷台の側部上方には、車輌前後方向に扉取付桟が配置され、
前記扉取付桟の下方には、一対のガイドレールが垂直方向に配置され、
前記扉を、上部扉と下部扉で構成し、
前記上部扉の下端と前記下部扉の上端とを扉回動部材で連結し、
前記上部扉の上端を本体回動部材を介して前記扉取付桟に取り付け、
前記下部扉の裏面側の下端に腕部を設け、
前記腕部の端部には、前記ガイドレールに沿って摺動するローラを有し、
前記扉取付桟の下方で、前記ガイドレールの車輌内方に、往復動作を行う開閉駆動源を設け、
前記開閉駆動源の可動端を前記上部扉の裏面に回動支点を介して取り付けたことを特徴とする車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項2】
前記ガイドレールの下端部に、上部に対して下部が車輌内方に位置するレール傾斜部を設け、
前記レール傾斜部の傾斜方向を、前記扉の閉状態からの所定動作までにおける前記開閉駆動源の動作方向に対応させたことを特徴とする請求項1に記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項3】
前記開閉駆動源を構成するシリンダのロッド側端部を扉取付桟に対して回動自在に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項4】
前記上部扉を、前記上部扉の下端を含む第1パネル面と、前記第1パネル面と連続する第2パネル面とで構成し、前記第1パネル面よりも前記第2パネル面の垂直方向に対する傾斜角を大きくし、前記開閉駆動源の可動端を前記第2パネル面に設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項5】
前記扉の閉状態では、前記扉回動部材に対して、前記腕部の前記下部扉への取り付け位置、及び前記開閉駆動源の可動端の前記第2パネル面への取り付け位置を車輌内方としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項6】
前記下部扉に、車輌外方を光軸とする照明手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項7】
前記照明手段の光軸を水平より下方に向けたことを特徴とする請求項6に記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項8】
明るさを検出する照度センサーと、前記扉の開閉状態を検出する扉センサーとを有し、前記照度センサーにより所定の暗さを検出し、前記扉センサーにより前記扉が開状態を検出すると前記照明手段を点灯させることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項9】
前記扉取付桟の垂直方向に配置される一対の第1側部取付桟と、前記第1側部取付桟の車輌外方に配置される一対の第2側部取付桟とを備え、
前記シリンダを前記第1側部取付桟に設け、前記ガイドレールを前記第1側部取付桟と前記第2側部取付桟との間に配置したことを特徴とする請求項3に記載の車輌用荷台の扉開閉装置。
【請求項10】
前記下部扉が繊維強化プラスチックで構成され、前記下部扉の裏面外周には骨材が接合され、前記腕部を前記骨材にて連結し、前記腕部に一端が連結される補助部材の他端を前記骨材に連結したことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の車輌用荷台の扉開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−201430(P2011−201430A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70802(P2010−70802)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)