説明

車輪交換ガイド及びブレーキロック装置

【課題】
大型車両の重い車輪の取り付け・取り外しなどの作業において、車輪の持ち上げ・運搬など、また車輪取り付けボルトの穴合わせ作業は労力や熟練を要するものであり、これを容易に行える支援工具及び作業方法を提供する。
【解決手段】
全車輪をブレーキロックし安定した状態を維持して、テコの原理を利用し車輪(9)が容易に滑るガイドレールにより、車輪(9)の持ち上げ・運搬、また車輪取り付けボルト(4)と車輪取り付けボルト穴(8)の穴合わせなどの作業が熟練や体力などを必要とせず、容易に目的は達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪組み付け・取り外し時の作業性向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に近い公知例としては特願2003-205593号なるものがあるが、大型車などの重量車輪や、また複数車輪取り付け全浮動軸式を採用した車種の車輪交換作業などには好適なものではなかった。
【本発明に関連ある公知例】
【0003】
引用例 1:実開平6-3988
引用例 2:実開平5-363
引用例 3:実開平7-33706
引用例 4:実開平4-135803
引用例 5:特許願2003-205593
引用例 6:特許開2005-053253
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車輪交換作業は、腕力や握力また体力のない婦女子や不慣れの人には、容易にしかも安全な作業は期待できない。また体を屈んでの重い車輪持ち上げ作業を強いるため、特に大型重量車両の車輪交換などでは腰痛などを誘発することも多々あった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
重量仕様の大型車などの、複数車輪取り付け形式の全浮動型車軸方式を採用した車輪の交換作業において、重量のある車輪を車輪取り付け部から取り外したり、また車輪取り付け部へ輸送し車輪取り付けボルト位置と、車輪の取り付けボルト穴を容易に組み合わせるため、車輪交換作業時に全車輪のブレーキをロック状態に維持させ、車輪及び車体を安定した状態を保ちながらパイプ状の車輪交換ガイドで、テコの原理を用いて車輪の交換作業を容易かつ安全にする工具。
【発明の効果】
【0006】
請求項2記載の工具を使用することで、設備の整っていない所や不整地での重量車、RV車などの、重い車輪交換作業が安定した条件で容易に、特に大型重量車両などダブル車輪式全浮動型の車輪取り付け・取り外し作業などに一層の効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本考案の車輪交換ガイドを全体斜図で示したものである。ハンドル部(1)は作業時に手で握り易く滑らないよう加工し、またレール部(2)は車輪の車輪取り付けボルト穴(8)に通して車輪を輸送する部分で、重量車輪が滑り易く容易に輸送できるよう表面を仕上げ1本式とした。そして先端部(3)は車輪取り付けボルト(4)先端にあてがい、車輪の持ち上げ作業時に車輪取り付けボルト(4)を支点にする部分で、内面は容易に車輪取り付けボルト(4)に馴染み易いような形状にしてあり、作業時には外れにくいものとした。
【0008】
図2では本考案のブレーキロック装置により全車輪のブレーキをロック状態にする場合の実施例を示した。車輪交換作業中に全車輪のブレーキをロックすることで、車輪取り付け部の動きを固定維持できることから車輪交換ガイドのレール部(2)を1本式にできる。ブレーキロック装置はロッド(5)とブレーキペダル(13)にあてがう先端部(7)と、ステアリングハンドル(11)外周にセットするロックプレート(6)で構成してあり、ブレーキペダル(13)とステアリングハンドル(11)の間にセットし、車輪交換作業時に全車輪のブレーキをロック状態に維持するための装置で、全車輪をブレーキロック状態に維持することで車輪交換作業中に車両本体を安定させて作業ができる。
【0009】
図3はブレーキロック装置を斜図及び明細図で示したもので、図で説明するとロッド(5)片側の先端部(7)はブレーキペダル(13)を押し付ける部分で、押しつけ面はブレーキペダル(13)に対し滑らないようにしている。またロックプレート(6)は中央部より少しオフセットした位置に、ロッド(5)外径より大きめの穴を開けている。
【0010】
ブレーキロック装置を用いて全車輪のブレーキをロックす場合は、ブレーキペダル(13)を足で踏んだ状態で先端部(7)側をブレーキペダル(13)に、またステアリングハンドル(11)外周には、ロックプレート(6)のステアリングハンドルの力作用点(12)部分をあてがってセットする。そしてその状態でブレーキペダル(13)を踏んでいた足を離すと、ロックプレート(6)はステアリングハンドル(11)外周からの力で傾くため、ロッド(5)はロックプレート(6)の穴部分の、噛み部(6A)と噛み部(6B)で噛み込まれロックされ、結果としてロッド(5)はロックプレート(6)とロックされる。そのため足で踏んでいたブレーキペダル(13)から足を離しても、ブレーキペダル(13)はロッド(5)の先端部(7)で押された状態になるので、全車輪のブレーキはロック状態を維持する。
【0011】
また全車輪をブレーキロック状態から解放するときは、ブレーキペダル(13)を足で強く踏むと、ブレーキロック装置のロックプレート(6)の穴に、噛み込み部(6A)と噛み込み部(6B)で噛み込まれ、ロック状態にされていたロッド(5)とロックプレート(6)に緩みが少々でるため、緩んだロックプレート(6)を緩ませたまま、ロッド(5)先端部(7)方向に移動させて、ブレーキロック装置を車両本体から取り外した後、ブレーキペダル(13)に加えた足の力を抜けば全車輪のブレーキロックは解除する。
【0012】
以下、本考案の車輪交換ガイドを用いた車輪(9)交換作業を図で説明する。
図4は車輪交換ガイドを用い車輪取り付け部から、車輪(9)を取り外す時に上部に位置した車輪取り付けボルト(4)の頭部に、車輪交換ガイドの先端部(3)をあてがっている状態を概略図で示したものである。車輪(9)を車輪取り付け部より外すときは、まず車輪取り付けナットを、レンチなどにより予め緩めてから、ジャッキ(10)で車体部を持ち上げ、目的の車輪(9)が地面から離れるまで上げる。
【0013】
その後、車輪(9)を手で回して数個ある車輪取り付けボルト(4)の1個が真上の位置になるようにして止め、前述したブレーキロック装置を用い、ブレーキロック状態にするため、ステアリングハンドル(11)とブレーキペダル(13)の間にブレーキロック装置をセットして全車輪をブレーキロック状態にする。 その後、車輪取り付けボルト(4)を全て取り外す。そして車輪(9)が軽量な車種の車輪(9)を取り外すときは、そのまま車輪取り付け部より車輪(9)を取り外せば良い。
【0014】
図5は車輪交換ガイドを用いて重量車などの車輪(9)をレール(2)上を滑らせながら取り外す様子を示した概略図である。重量車両や大型車などの重い車輪(9)を取り外すときは、図4で示したように、真上に位置した車輪取り付けボルト(4)の先端部に車輪交換ガイド先端部(3)を引っかけあてがった状態を維持したまま、車輪取り付けボルト穴(8)を車輪取り付けボルト(4)から車輪交換ガイドの先端部(3)に、交わし滑り移動させてから徐々にレール部(2)上を滑らせて運搬する。その後ハンドル(1)を車輪(9)が地面に付くまで車輪取り付けボルト(4)を支点にして、テコの原理を利用して下げる。その後車輪交換ガイドを車輪(9)から取り外す。
【0015】
また、車輪(9)を車輪取り付け部に取り付けるときは、数本ある車輪取り付けボルト(4)の1個を真上の位置にした状態で、前述したブレーキロック装置で全車輪をブレーキロック状態にセットする。そして図5に示したように車輪(9)の車輪取り付けボルト穴(8)に、車輪(9)の外側より車輪交換ガイドの先端部(3)から串刺し状態に差し込み、その先端部(3)を真上に位置した車輪取り付けボルトの先端部(4)に引っかけはめ込み、その車輪取り付けボルト先端部(4)を支点にして、図6で示すようにハンドル部(1)を持ち上げることで、レール(2)上にある車輪(9)は、そのままレール(2)上を自重で滑りながら車輪取り付け部方向へ徐々に移動して行き、車輪(9)の車輪取り付けボルト穴(8)は車輪取り付けボルト(4)にはまりこむ。 なお、図6は車輪交換ガイドのハンドル部(1)を持ち上げることで、車輪(9)がレール部(2)上を滑り移動し、車輪取り付け部ボルト(4)へ車輪(9)の車輪取り付け穴(8)があまり込む状態を概略図で示したものである。
【0016】
その後、速やかに数個ある車輪取り付けボルト(4)に車輪取り付けナットを仮止めした後、車輪交換ガイドを取り外す。
【0017】
その後、車体を持ち上げていたジャッキ(10)を取り外し、車輪(9)が地面に接地し安定した状態で、車輪取り付けナットを規定の締め付けトルクで締め付ける。
【0018】
全ての作業終了後、ステアリングハンドル(11)とブレーキペダル(13)の間にセットしておいたブレーキロック装置を、前述した方法で車両から取り外す。なおブレーキロック装置は車輪交換作業中、全車輪のブレーキをロック状態にすることで、不整地での作業や車体がジャッキ上げなどで不安定になる車体を安定にし、また車輪取り付け部の回転をロック状態に維持できることから、車輪交換作業時に車輪取り付けボルト(4)の1個を真上に固定維持できるので、車輪交換ガイドのレールを1本にし、重い車輪(9)を容易に滑らせ運搬できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本考案の車輪交換ガイド全体斜図。
【図2】本考案のブレーキロック装置の実施例を示した図。
【図3】ブレーキロック装置の斜図および明細図。
【図4】車輪交換ガイドの先端部(3)を真上に位置した車輪取り付けボルト(4)にあてがった図。
【図5】車輪交換ガイドのレール部(2)を車輪取り付けボルト穴(8)に串刺にし、真上に位置した車輪取り付けボルト(4)に先端部(3)をあてがっている概略図。
【図6】車輪交換ガイドを用いて車輪(9)を持ち上げ滑らせて運搬している概略図。
【符号の説明】
【0020】
1 ハンドル部
2 レール部
3 先端部
4 真上に位置した車輪取り付けボルト
5 ロッド
6 ロックプレート
6A 噛み込み部
6B 噛み込み部
7 ブレーキペダル当て部
8 車輪取り付け穴
9 車輪
10 ジャッキ
11 ステアリングハンドル
12 ステアリングハンドルからの力作用点
13 ブレーキペダル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量のある車輪の交換作業時に、ガイドレール利用式の工具及びブレーキロック装置を用いて容易、安全に作業効率を上げる、車輪の取り付け・取り外しの方法及びそれに用いる工具。
【請求項2】
車輪交換作業時に、テコの原理を利用した1本の車輪交換ガイドを用いて、車輪の取り付け・取り外しを容易にする請求項1に記載の車輪交換ガイド。
【請求項3】
車輪交換作業時に、全車輪のブレーキをロックさせ、車輪を安定させた状態にして、車輪交換作業を安全確実に行うための請求項1に記載のブレーキロック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196772(P2007−196772A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15713(P2006−15713)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(802000019)株式会社新潟ティーエルオー (27)