車輪拘束装置
【課題】構造が簡単で部品点数が少なく、このため軽量であり、しかも操作が簡単な、車輪拘束装置を得る。
【解決手段】本体部11と長尺体12とを有する。本体部11は、車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体13と、この板状体13が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロック19、20とを一体に有する。長尺体12は、板状体11が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロック19、20が車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部11に施錠状態で固定される。
【解決手段】本体部11と長尺体12とを有する。本体部11は、車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体13と、この板状体13が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロック19、20とを一体に有する。長尺体12は、板状体11が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロック19、20が車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部11に施錠状態で固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輪拘束装置に関し、たとえば、駐車している車両の盗難を防止するために、その車輪を拘束して車両の移動を防止するための、車輪拘束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車輪拘束装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された車輪拘束装置は、ガイド軸に取り付けられた一方の係止ブロックに対して他方の係止ブロックをガイド軸に対して遠近移動可能に構成するとともに、車輪の回転方向に対する接地点の両側で両係止ブロックがタイヤに当接した状態で、ロック手段によって、他方の係止ブロックがタイヤから離れる方向に移動するのを防止している。そして、両係止ブロックには、これら両係止ブロックがタイヤに当接した状態で車輪の内側から外側にX字状に掛け渡して車輪を締付け拘束するためのチェーンが設けられている。さらに、このチェーンによる締付けを解除する部分を覆い隠す鍵付きのカバーが設けられている。
【特許文献1】特開平6−329004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の車輪拘束装置は、車輪の回転方向に対する接地点の両側で一方および他方の係止ブロックがタイヤに当接した状態で、他方の係止ブロックがタイヤから離れる方向に移動するのをロック手段により防止するものであるため、車輪の回転を確実に防止でき、したがってその車輪を確実に拘束することができる。
【0004】
しかし、ガイド軸に取り付けられた一方の係止ブロックに対して他方の係止ブロックをガイド軸に対して遠近移動可能に構成することが必要であり、ロック手段を設けることが必要であり、チェーンによる締付けを解除する部分を覆い隠す鍵付きのカバーを設けることが必要であるため、その構造が複雑であり、部品点数も多い。しかも、このように構造が複雑でしかも部品点数が多いことから、重量が大きい。
【0005】
また、車輪を拘束する際には、ガイド軸に沿った係止ブロックの位置決めや、ロック手段の操作や、チェーンをX字状に掛け渡す操作や、カバーの取り付け操作などが必要となり、その操作が煩雑である。
【0006】
そこで本発明は、構造が簡単で部品点数が少なく、このため軽量であり、しかも操作が簡単な、車輪拘束装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明の車輪拘束装置は、本体部と長尺体とを有し、本体部は、車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体と、この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロックとを一体に有し、長尺体は、板状体が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロックが車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部に施錠状態で固定されるものであることを特徴とする。
【0008】
このような構成であると、本体部と長尺体とを有し、本体部は板状体と一対のブロックとを一体に有するだけのものであり、長尺体は車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえでその一端側および他端側が本体部に固定されるだけのものであるため、構造が簡単で部品点数も少なく、またそのため軽量である。
【0009】
車輪を拘束するときには、車両の外側から本体部の板状体を車輪の外側の側面に近づけるだけで、この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されるとともに、一対のブロックが、所定の位置すなわち車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ配置される。そして長尺体を車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置したうえで本体部に施錠状態で固定させるだけの簡単な操作で、本体部と長尺体とによって車輪を拘束することができる。
【0010】
本発明によれば、ブロックが中空体であることが好適である。このように構成することで、よりいっそうの軽量化を図ることができる。
【0011】
本発明によれば、長尺体が鎖であることが好適である。このような構成であると、拘束装置をしっかりと車輪に装着して確実な拘束を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、構造が簡単で部品点数が少なく、このため軽量であり、しかも操作が簡単な、車輪拘束装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1および図2は、本発明の実施の形態の車輪拘束装置10の正面側および背面側の立体図である。この車輪拘束装置10は本体部11と、長尺体12とを有した構成である。
本体部11において、13は半円状に形成された板状体で、鋼材、アルミ材、硬質樹脂などの適宜の材料にて形成されている。この板状体13は半円の弦の位置を下端として上下方向に配置され、この板状体13の下端には水平方向の折り曲げ部14が一体に形成されている。板状体13の両端には、上下方向の矩形状の折り返し部15、15が、折り曲げ部14とは反対の方向に折り曲げられた状態でそれぞれ形成されている。そして、折り曲げ部14の底面16と折り返し部15の下端縁17とが面一に形成されており、これによって、これら底面16と下端縁17とを接地させることで、板状体13を上下方向に姿勢維持させることが可能である。
【0014】
折り曲げ部14は、板状体13をその下端部で補強する機能と、上記のように板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能とを兼備する。そして折り曲げ部14は、板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能を発揮するために所定の幅で形成されていることが必要であるが、板状体13をその下端部で補強する機能を発揮するためには、姿勢維持のためほどの幅寸法は必要ない。このため、折り曲げ部14は、板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能を発揮するために、その両端部が所定の幅寸法で出形されているが、その中央部は、板状体13をその下端部で補強する機能だけ備えていれば良いため、その両端部よりも小さな幅寸法となるように形成されている。18はその狭幅部で、このように狭幅部を形成することで板状体13すなわち本体部11の軽量化が図られている。
【0015】
一対の折り返し部15、15を利用して、第1および第2のブロック19、20が、それぞれ取り付けられている。これらのブロック19、20は、様々な形態で構成することができるが、図示のような中空の薄肉の四角柱体にて構成することが好ましい。これにより、たとえば中実の四角柱体にて構成した場合に比べて、本体部11の軽量化を図ることができる。図示の例では、板状体13、折り返し部15、ブロック19、20はいずれも金属材料にて形成されており、リベットなどの締結手段21を用いてブロック19、20が折り返し部15に固定されている。
【0016】
ブロック19、20における折り返し部15に固定されている側面とは反対側の側面と、板状体13の裏面とにわたって、アングル材22が設けられている。図示の例では、このアングル材22も金属材料にて形成されており、このアングル材22は、板状体13とブロック19、20とに対して、それぞれ締結手段21によって固定されている。これによって、第1および第2のブロック19、20が板状体13に一体的に固定されている。なお、軽金属や樹脂などによって構成する場合は、板状体13と第1および第2のブロック19、20との全体を一体形成したものを用いることもできる。
【0017】
第1および第2のブロック19、20の底面23も、折り曲げ部14の底面16や折り返し部15の下端縁17とともに面一に形成されている。これによって、本体部11を安定した状態で地面に設置することができる。
【0018】
長尺体12は、鋼製の鎖25によって構成されている。この鎖25の一端は、この鎖25を構成する環状のリンクを通るボルト26によって、第2のブロック20の先端部に取り付けられている。鎖25は、所定の長さに形成され、第2のブロック20の先端部への取り付け位置に近い部分の一定長さの範囲は、軟質の樹脂チューブ27によって覆われている。チューブ27は、鎖25に対して、この鎖25の長さ方向にスライド自在である。鎖25の他端には、樹脂チューブ27が鎖25から離脱するのを防止するための止め輪28が取り付けられている。
【0019】
板状体13における、鎖25の一端が取り付けられている第2のブロック20とは反対側の第1のブロックに対応する位置には、鎖25に施錠を施すための施錠手段としての南京錠30が取り付けられている。図示の南京錠30は、真鍮などにより形成されてU字形の足31と本体32とを有し、足31の一部分が固定部材33によって板状体13に固定されている。詳細には、固定部材33には、南京錠30におけるU字形の足31の一部分がはまり込むように湾曲して形成された溝34が設けられており、この溝34に足31の一部分をはめ込んだ状態で固定部材33をリベットなどの締結手段21によって板状体13に固定することで、南京錠30の足31の一部分が板状体13に固定されている。
【0020】
このような固定状態であるために、南京錠13は、板状体13に固定された足31に対して本体32が相対的に移動することで、施錠および開錠が行われる。そして、鎖25の他端側における環状のリンクに南京錠30の足31を通したうえで、この鎖25が施錠される。
【0021】
板状体13における、南京錠30よりも板状体13の中心側かつ下側の位置には、穴部35が貫通状態で形成されている。この穴部35は、鎖25を止め輪28とともに通すことが可能であるとともに、南京錠30に近い位置に斜め上側の縁部36を有するように形成されている。
【0022】
板状体13における中央部分の上部には、取っ手用の穴37が貫通状態で形成されている。板状体13における穴37よりも上側の部分によって、取っ手38が形成されている。取っ手38の下縁は、横断面U字形の軟質樹脂製のカバー39で覆われている。
【0023】
穴37よりも下側における板状体13の表面の部分には、黄色などの警戒色の着色が施されている。40はその着色部である。着色部40は、板状体13に着色樹脂シートを貼り付けることなどによって、容易に形成することができる。着色部40には、「車両保管中」などの注意書きを施した注意書き部41を設けることができる。この注意書き部41は、着色部40にステッカーを貼り付けるなどによって容易に形成することができる。
【0024】
穴37よりも下側における板状体13の裏面の部分には、クッション材42が貼り付けられている。
【0025】
図3〜図7は、車輪拘束装置10を自動車50のタイヤ51に装着して、このタイヤ51を拘束する手順を示す。52はタイヤ51のトレッド、53はホイール、54はホイールナットである。
【0026】
まず、図3に示すように、車輪拘束装置10をタイヤ51に近い位置の地面上に置き、鎖25の一端が取り付けられている第2のブロック20を、タイヤ51の前後の一方におけるトレッド51と地面との間に差し込む。
【0027】
次に、図4に示すように作業者49が両手で樹脂チューブ27を握ることで鎖25の一部分をつかみ、このチューブ27すなわち鎖25を、タイヤ51の上縁を乗り越えさせて、タイヤ51の内側の側面に沿って落とし込み、車軸よりも上側におけるタイヤ51の内側の側面に沿って配置させる。このとき、樹脂チューブ27を鎖25に沿ってスライドさせることで、樹脂チューブ27を車軸やブレーキパイプに対応して位置させ、それによって、鎖25が直接にこれらの部分に当たって傷をつけることを防止するようにする。
【0028】
次に、図5に示すように、鎖25の他端側を、タイヤ51の前後の他方における地面に近い位置のトレッド52に沿って配置させたうえで、この鎖25におけるさらに他端側を、板状体13の穴部35に通す。そして、図示のように鎖25の他端部を手前側にゆるく引張りながら、板状体13をタイヤ51に近づく方向に移動させ、かつ第1のブロック19を、タイヤ51の前後の他方におけるトレッド52と地面との間に差し込む。また板状体13すなわちクッション材42を、ホイール53に当てる。これにより、ホイール53に傷をつけずに、板状体13をホイール53に当てることができる。
【0029】
このように板状体13すなわちクッション材42をホイール53に当てた状態で、図6に示すように南京錠30が開錠していることを確認して、穴部35から出ている鎖25の部分のリンクを足31に被せる。そして、図7に示すように南京錠30を施錠すれば、タイヤ51への拘束装置10の取り付けが完了する。
【0030】
このとき、鎖25を穴部35に通すことで、鎖25をタイヤ51の周囲に巻いたような状態で配置することが好ましい。また鎖25は緊張させる必要はなく、多少の緩みを有した状態で南京錠30により施錠されることが好ましい。
【0031】
図8〜図11は、このように拘束装置10の取り付けが完了した状態を示すものである。このうち図8は、車輪の側方から見た図である。図示のように板状体13がホイールナット54を覆っている。図9は、南京錠30が設けられている第1のブロック19の側から見た立体図である。図10は、タイヤ51よりも内側から見た図である。図示のように、鎖25は車軸55よりも上側を回って配置されている。車軸55のまわりでは、図示のように鎖25に樹脂チューブ27が被せられているため、金属製の鎖25が車軸55やブレーキパイプなどの重要部品に直接接して損傷などを与えることを防止できる。図11は、第2のブロック20の側から見た立体図である。
【0032】
このようにすることで、車輪としてのタイヤ51を拘束することができ、自動車の走行を阻止することができる。
【0033】
たとえば、図示のように南京錠30を車両としての自動車50の前側に位置させた場合には、図10に示すようにタイヤ51の前側の部分のトレッド52を横断する形で鎖25が配置される。
【0034】
この状態で、運転者が誤って、または故意に、自動車50を前側に発進させようとすると、上述のように鎖25が緩く掛けられていることで、まずタイヤ51がこの鎖25のみに当たって、そのときの衝撃が感じられる。これによって、タイヤ51が拘束されていることが運転者に知らされる。運転者が誤って自動車50を発進させた場合には、つぎにタイヤ51が第1のブロック19に強く当たり、これにより誤発進の旨が理解されて、車を停止させることができる。
【0035】
運転者が故意に自動車50を発進させた場合において、トレッド52が鎖25や第1のブロック19に当たった後においてもなお停止させない場合は、まず図11に示す状態から第2のブロック20が鎖25に引張られてタイヤ51に接触し、その後は、タイヤ51の回転力にもとづき、拘束装置10の本体部11が、地面に接している第1のブロック19を中心として浮き上がる。その浮き上がり量は、第2のブロック20において大きくなる。これにより、図11から理解されるように第2のブロック20がタイヤ51と自動車50のフェンダ56との間に噛み込むように入り込む。その結果、タイヤ51が完全にロックされて、自動車51の走行が停止される。場合によっては、フェンダ56が破損される。
【0036】
このため、運転者が故意に自動車50を発進させた場合においてもこの自動車50の走行を確実に阻止することができる。これによって、自動車50の盗難を確実に防止することができる。
【0037】
上述のように自動車50の発進に伴ってトレッド52が鎖25に当たった場合には、それに対応する張力が鎖25に発生し、鎖25は穴部35の縁部36に引っ掛かる。拘束装置10の本体部11において、鎖25の張力の一部は穴部35の縁部36によって受けられ、その残部が南京錠30によって受けられる。このため、穴部35を介さずに南京錠30に直接に鎖25を掛ける場合に比べて、南京錠30に作用する力を半減させることができる。また、南京錠30は足31によって本体部11に固定され、しかもこの足31に鎖25が掛けられてその張力がU字形の足31の湾曲部またはその近傍に加えられるものであるため、この鎖25の張力を無理なく受け止めることができる利点がある。たとえば本体32に大きな力が加わると、南京錠30の機能が破壊されて開閉しなくなるおそれがあるが、上記のように構成することで、本体32には実質的な力が加わらないようにすることができる。大きな張力が作用した場合には、足31がたとえば変形することがあるが、本体32が損傷していなければ、南京錠30の開閉機能を損なわずに使用し続けることが可能である。反対に本体32が損傷してしまうと、錠として機能しなくなり、取り替えなどが必要になるような事態が発生する。
【0038】
図8に示すように、拘束装置10を取り付けた状態においては、板状体13がホイールナット54を覆っている。よって、自動車50からのタイヤ51の取り外しが不可能になる。このため、悪意のある者が自動車50からタイヤ51を外して拘束装置10を取り外そうとしても、その取り外しを阻止することができる利点がある。
【0039】
鎖25は、その一方の端部が南京錠30によって施錠されている。また、鎖25の他方の端部はボルト26によって第2のブロック20の先端部に取り付けられているが、この第2のブロック20の先端部はタイヤ51の裏面側に位置するために、悪意によってボルト26を緩めることが実質的に不可能である。このため、鎖25を本体部11から取り外して拘束装置10をタイヤ51から取り外すこともできない。
【0040】
拘束装置10をタイヤ51から取り外すには、南京錠30を開錠することでこの南京錠30から鎖25を解放させ、上記と逆の手順を実行するしか手段がない。よつて、拘束装置10によるタイヤ51の拘束状態を確実に維持することが可能である。
【0041】
拘束装置10を使用しないときには長尺の鎖25が邪魔になりやすいが、鎖25は、次のようにしてコンパクトにまとめることができる。すなわち、図1に示すように、板状体13において、第2のブロック20が取り付けられている部分のやや上側には、凹部44が形成されている。また南京錠30の本体32は板状体13から側方へ突出するように設けられており、板状体13における南京錠30よりも下側の部分にはアール部45が形成されている。これらのアール部45と凹部44とを利用して、図12および図13に示すように、鎖25を板状体13の周囲に巻きつけることができる。
【0042】
詳細に説明する。上述のように鎖25はその一端がボルト26によって第2のブロック20に固定されているため、その他端側を板状体13に巻きつける。まず、鎖25における第2のブロック20への固定部の近傍の部分を板状体13の裏側において第1のブロック19に接近させ、次に南京錠30よりも下側の部分におけるアール部45に掛けて反転させる。このとき、上述のように南京錠30の本体32が板状体13から突出しているため、鎖25がアール部45からずれ上がって板状体13から外れてしまうようなことはない。そのうえで、鎖25を板状体13の表面に沿って第2のブロック20に向かう方向に配置し、次いで凹部44に掛ける。さらに、板状体13の裏面に沿って再び第1のブロック19に接近させ、そのうえで鎖25の他端を南京錠30の足31に掛ける。この状態で南京錠30を施錠することで、鎖25を板状体13の周囲に巻きつけた状態でコンパクトに保持することができる。
【0043】
この状態で拘束装置10を保管などすれば、鎖25が散乱せずに好都合である。また、図14に示すように、この状態の拘束装置10の穴37に手を通して取っ手38を掴むことで、鎖25をコンパクトに保持した状態の拘束装置10を容易に運搬することができる。このとき、穴37の縁がカバー39で覆われているため、この縁が運搬者の手に食い込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態の車輪拘束装置の表面側の立体図である。
【図2】同車輪拘束装置の裏面側の立体図である。
【図3】同車輪拘束装置の装着作業を示す図である。
【図4】図3の次の段階の装着作業を示す図である。
【図5】図4の次の段階の装着作業を示す図である。
【図6】南京錠の開錠状態を示す図である。
【図7】南京錠の施錠状態を示す図である。
【図8】車輪拘束装置の装着状態を示す図である。
【図9】自動車の前側から見た装着状態を示す図である。
【図10】タイヤよりも内側から見た装着状態を示す図である。
【図11】自動車の後側から見た装着状態を示す図である。
【図12】鎖を本体部に巻き付けた状態を表面側から示す図である。
【図13】鎖を本体部に巻き付けた状態を裏面側から示す図である。
【図14】車輪拘束装置の運搬状態を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
11 本体部
12 長尺体
13 板状体
19 第1のブロック
20 第2のブロック
25 鎖
26 ボルト
30 南京錠
50 自動車
51 タイヤ
52 トレッド
55 車軸
【技術分野】
【0001】
本発明は車輪拘束装置に関し、たとえば、駐車している車両の盗難を防止するために、その車輪を拘束して車両の移動を防止するための、車輪拘束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車輪拘束装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された車輪拘束装置は、ガイド軸に取り付けられた一方の係止ブロックに対して他方の係止ブロックをガイド軸に対して遠近移動可能に構成するとともに、車輪の回転方向に対する接地点の両側で両係止ブロックがタイヤに当接した状態で、ロック手段によって、他方の係止ブロックがタイヤから離れる方向に移動するのを防止している。そして、両係止ブロックには、これら両係止ブロックがタイヤに当接した状態で車輪の内側から外側にX字状に掛け渡して車輪を締付け拘束するためのチェーンが設けられている。さらに、このチェーンによる締付けを解除する部分を覆い隠す鍵付きのカバーが設けられている。
【特許文献1】特開平6−329004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の車輪拘束装置は、車輪の回転方向に対する接地点の両側で一方および他方の係止ブロックがタイヤに当接した状態で、他方の係止ブロックがタイヤから離れる方向に移動するのをロック手段により防止するものであるため、車輪の回転を確実に防止でき、したがってその車輪を確実に拘束することができる。
【0004】
しかし、ガイド軸に取り付けられた一方の係止ブロックに対して他方の係止ブロックをガイド軸に対して遠近移動可能に構成することが必要であり、ロック手段を設けることが必要であり、チェーンによる締付けを解除する部分を覆い隠す鍵付きのカバーを設けることが必要であるため、その構造が複雑であり、部品点数も多い。しかも、このように構造が複雑でしかも部品点数が多いことから、重量が大きい。
【0005】
また、車輪を拘束する際には、ガイド軸に沿った係止ブロックの位置決めや、ロック手段の操作や、チェーンをX字状に掛け渡す操作や、カバーの取り付け操作などが必要となり、その操作が煩雑である。
【0006】
そこで本発明は、構造が簡単で部品点数が少なく、このため軽量であり、しかも操作が簡単な、車輪拘束装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明の車輪拘束装置は、本体部と長尺体とを有し、本体部は、車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体と、この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロックとを一体に有し、長尺体は、板状体が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロックが車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部に施錠状態で固定されるものであることを特徴とする。
【0008】
このような構成であると、本体部と長尺体とを有し、本体部は板状体と一対のブロックとを一体に有するだけのものであり、長尺体は車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえでその一端側および他端側が本体部に固定されるだけのものであるため、構造が簡単で部品点数も少なく、またそのため軽量である。
【0009】
車輪を拘束するときには、車両の外側から本体部の板状体を車輪の外側の側面に近づけるだけで、この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されるとともに、一対のブロックが、所定の位置すなわち車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ配置される。そして長尺体を車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置したうえで本体部に施錠状態で固定させるだけの簡単な操作で、本体部と長尺体とによって車輪を拘束することができる。
【0010】
本発明によれば、ブロックが中空体であることが好適である。このように構成することで、よりいっそうの軽量化を図ることができる。
【0011】
本発明によれば、長尺体が鎖であることが好適である。このような構成であると、拘束装置をしっかりと車輪に装着して確実な拘束を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、構造が簡単で部品点数が少なく、このため軽量であり、しかも操作が簡単な、車輪拘束装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1および図2は、本発明の実施の形態の車輪拘束装置10の正面側および背面側の立体図である。この車輪拘束装置10は本体部11と、長尺体12とを有した構成である。
本体部11において、13は半円状に形成された板状体で、鋼材、アルミ材、硬質樹脂などの適宜の材料にて形成されている。この板状体13は半円の弦の位置を下端として上下方向に配置され、この板状体13の下端には水平方向の折り曲げ部14が一体に形成されている。板状体13の両端には、上下方向の矩形状の折り返し部15、15が、折り曲げ部14とは反対の方向に折り曲げられた状態でそれぞれ形成されている。そして、折り曲げ部14の底面16と折り返し部15の下端縁17とが面一に形成されており、これによって、これら底面16と下端縁17とを接地させることで、板状体13を上下方向に姿勢維持させることが可能である。
【0014】
折り曲げ部14は、板状体13をその下端部で補強する機能と、上記のように板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能とを兼備する。そして折り曲げ部14は、板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能を発揮するために所定の幅で形成されていることが必要であるが、板状体13をその下端部で補強する機能を発揮するためには、姿勢維持のためほどの幅寸法は必要ない。このため、折り曲げ部14は、板状体13を上下方向に姿勢維持させる機能を発揮するために、その両端部が所定の幅寸法で出形されているが、その中央部は、板状体13をその下端部で補強する機能だけ備えていれば良いため、その両端部よりも小さな幅寸法となるように形成されている。18はその狭幅部で、このように狭幅部を形成することで板状体13すなわち本体部11の軽量化が図られている。
【0015】
一対の折り返し部15、15を利用して、第1および第2のブロック19、20が、それぞれ取り付けられている。これらのブロック19、20は、様々な形態で構成することができるが、図示のような中空の薄肉の四角柱体にて構成することが好ましい。これにより、たとえば中実の四角柱体にて構成した場合に比べて、本体部11の軽量化を図ることができる。図示の例では、板状体13、折り返し部15、ブロック19、20はいずれも金属材料にて形成されており、リベットなどの締結手段21を用いてブロック19、20が折り返し部15に固定されている。
【0016】
ブロック19、20における折り返し部15に固定されている側面とは反対側の側面と、板状体13の裏面とにわたって、アングル材22が設けられている。図示の例では、このアングル材22も金属材料にて形成されており、このアングル材22は、板状体13とブロック19、20とに対して、それぞれ締結手段21によって固定されている。これによって、第1および第2のブロック19、20が板状体13に一体的に固定されている。なお、軽金属や樹脂などによって構成する場合は、板状体13と第1および第2のブロック19、20との全体を一体形成したものを用いることもできる。
【0017】
第1および第2のブロック19、20の底面23も、折り曲げ部14の底面16や折り返し部15の下端縁17とともに面一に形成されている。これによって、本体部11を安定した状態で地面に設置することができる。
【0018】
長尺体12は、鋼製の鎖25によって構成されている。この鎖25の一端は、この鎖25を構成する環状のリンクを通るボルト26によって、第2のブロック20の先端部に取り付けられている。鎖25は、所定の長さに形成され、第2のブロック20の先端部への取り付け位置に近い部分の一定長さの範囲は、軟質の樹脂チューブ27によって覆われている。チューブ27は、鎖25に対して、この鎖25の長さ方向にスライド自在である。鎖25の他端には、樹脂チューブ27が鎖25から離脱するのを防止するための止め輪28が取り付けられている。
【0019】
板状体13における、鎖25の一端が取り付けられている第2のブロック20とは反対側の第1のブロックに対応する位置には、鎖25に施錠を施すための施錠手段としての南京錠30が取り付けられている。図示の南京錠30は、真鍮などにより形成されてU字形の足31と本体32とを有し、足31の一部分が固定部材33によって板状体13に固定されている。詳細には、固定部材33には、南京錠30におけるU字形の足31の一部分がはまり込むように湾曲して形成された溝34が設けられており、この溝34に足31の一部分をはめ込んだ状態で固定部材33をリベットなどの締結手段21によって板状体13に固定することで、南京錠30の足31の一部分が板状体13に固定されている。
【0020】
このような固定状態であるために、南京錠13は、板状体13に固定された足31に対して本体32が相対的に移動することで、施錠および開錠が行われる。そして、鎖25の他端側における環状のリンクに南京錠30の足31を通したうえで、この鎖25が施錠される。
【0021】
板状体13における、南京錠30よりも板状体13の中心側かつ下側の位置には、穴部35が貫通状態で形成されている。この穴部35は、鎖25を止め輪28とともに通すことが可能であるとともに、南京錠30に近い位置に斜め上側の縁部36を有するように形成されている。
【0022】
板状体13における中央部分の上部には、取っ手用の穴37が貫通状態で形成されている。板状体13における穴37よりも上側の部分によって、取っ手38が形成されている。取っ手38の下縁は、横断面U字形の軟質樹脂製のカバー39で覆われている。
【0023】
穴37よりも下側における板状体13の表面の部分には、黄色などの警戒色の着色が施されている。40はその着色部である。着色部40は、板状体13に着色樹脂シートを貼り付けることなどによって、容易に形成することができる。着色部40には、「車両保管中」などの注意書きを施した注意書き部41を設けることができる。この注意書き部41は、着色部40にステッカーを貼り付けるなどによって容易に形成することができる。
【0024】
穴37よりも下側における板状体13の裏面の部分には、クッション材42が貼り付けられている。
【0025】
図3〜図7は、車輪拘束装置10を自動車50のタイヤ51に装着して、このタイヤ51を拘束する手順を示す。52はタイヤ51のトレッド、53はホイール、54はホイールナットである。
【0026】
まず、図3に示すように、車輪拘束装置10をタイヤ51に近い位置の地面上に置き、鎖25の一端が取り付けられている第2のブロック20を、タイヤ51の前後の一方におけるトレッド51と地面との間に差し込む。
【0027】
次に、図4に示すように作業者49が両手で樹脂チューブ27を握ることで鎖25の一部分をつかみ、このチューブ27すなわち鎖25を、タイヤ51の上縁を乗り越えさせて、タイヤ51の内側の側面に沿って落とし込み、車軸よりも上側におけるタイヤ51の内側の側面に沿って配置させる。このとき、樹脂チューブ27を鎖25に沿ってスライドさせることで、樹脂チューブ27を車軸やブレーキパイプに対応して位置させ、それによって、鎖25が直接にこれらの部分に当たって傷をつけることを防止するようにする。
【0028】
次に、図5に示すように、鎖25の他端側を、タイヤ51の前後の他方における地面に近い位置のトレッド52に沿って配置させたうえで、この鎖25におけるさらに他端側を、板状体13の穴部35に通す。そして、図示のように鎖25の他端部を手前側にゆるく引張りながら、板状体13をタイヤ51に近づく方向に移動させ、かつ第1のブロック19を、タイヤ51の前後の他方におけるトレッド52と地面との間に差し込む。また板状体13すなわちクッション材42を、ホイール53に当てる。これにより、ホイール53に傷をつけずに、板状体13をホイール53に当てることができる。
【0029】
このように板状体13すなわちクッション材42をホイール53に当てた状態で、図6に示すように南京錠30が開錠していることを確認して、穴部35から出ている鎖25の部分のリンクを足31に被せる。そして、図7に示すように南京錠30を施錠すれば、タイヤ51への拘束装置10の取り付けが完了する。
【0030】
このとき、鎖25を穴部35に通すことで、鎖25をタイヤ51の周囲に巻いたような状態で配置することが好ましい。また鎖25は緊張させる必要はなく、多少の緩みを有した状態で南京錠30により施錠されることが好ましい。
【0031】
図8〜図11は、このように拘束装置10の取り付けが完了した状態を示すものである。このうち図8は、車輪の側方から見た図である。図示のように板状体13がホイールナット54を覆っている。図9は、南京錠30が設けられている第1のブロック19の側から見た立体図である。図10は、タイヤ51よりも内側から見た図である。図示のように、鎖25は車軸55よりも上側を回って配置されている。車軸55のまわりでは、図示のように鎖25に樹脂チューブ27が被せられているため、金属製の鎖25が車軸55やブレーキパイプなどの重要部品に直接接して損傷などを与えることを防止できる。図11は、第2のブロック20の側から見た立体図である。
【0032】
このようにすることで、車輪としてのタイヤ51を拘束することができ、自動車の走行を阻止することができる。
【0033】
たとえば、図示のように南京錠30を車両としての自動車50の前側に位置させた場合には、図10に示すようにタイヤ51の前側の部分のトレッド52を横断する形で鎖25が配置される。
【0034】
この状態で、運転者が誤って、または故意に、自動車50を前側に発進させようとすると、上述のように鎖25が緩く掛けられていることで、まずタイヤ51がこの鎖25のみに当たって、そのときの衝撃が感じられる。これによって、タイヤ51が拘束されていることが運転者に知らされる。運転者が誤って自動車50を発進させた場合には、つぎにタイヤ51が第1のブロック19に強く当たり、これにより誤発進の旨が理解されて、車を停止させることができる。
【0035】
運転者が故意に自動車50を発進させた場合において、トレッド52が鎖25や第1のブロック19に当たった後においてもなお停止させない場合は、まず図11に示す状態から第2のブロック20が鎖25に引張られてタイヤ51に接触し、その後は、タイヤ51の回転力にもとづき、拘束装置10の本体部11が、地面に接している第1のブロック19を中心として浮き上がる。その浮き上がり量は、第2のブロック20において大きくなる。これにより、図11から理解されるように第2のブロック20がタイヤ51と自動車50のフェンダ56との間に噛み込むように入り込む。その結果、タイヤ51が完全にロックされて、自動車51の走行が停止される。場合によっては、フェンダ56が破損される。
【0036】
このため、運転者が故意に自動車50を発進させた場合においてもこの自動車50の走行を確実に阻止することができる。これによって、自動車50の盗難を確実に防止することができる。
【0037】
上述のように自動車50の発進に伴ってトレッド52が鎖25に当たった場合には、それに対応する張力が鎖25に発生し、鎖25は穴部35の縁部36に引っ掛かる。拘束装置10の本体部11において、鎖25の張力の一部は穴部35の縁部36によって受けられ、その残部が南京錠30によって受けられる。このため、穴部35を介さずに南京錠30に直接に鎖25を掛ける場合に比べて、南京錠30に作用する力を半減させることができる。また、南京錠30は足31によって本体部11に固定され、しかもこの足31に鎖25が掛けられてその張力がU字形の足31の湾曲部またはその近傍に加えられるものであるため、この鎖25の張力を無理なく受け止めることができる利点がある。たとえば本体32に大きな力が加わると、南京錠30の機能が破壊されて開閉しなくなるおそれがあるが、上記のように構成することで、本体32には実質的な力が加わらないようにすることができる。大きな張力が作用した場合には、足31がたとえば変形することがあるが、本体32が損傷していなければ、南京錠30の開閉機能を損なわずに使用し続けることが可能である。反対に本体32が損傷してしまうと、錠として機能しなくなり、取り替えなどが必要になるような事態が発生する。
【0038】
図8に示すように、拘束装置10を取り付けた状態においては、板状体13がホイールナット54を覆っている。よって、自動車50からのタイヤ51の取り外しが不可能になる。このため、悪意のある者が自動車50からタイヤ51を外して拘束装置10を取り外そうとしても、その取り外しを阻止することができる利点がある。
【0039】
鎖25は、その一方の端部が南京錠30によって施錠されている。また、鎖25の他方の端部はボルト26によって第2のブロック20の先端部に取り付けられているが、この第2のブロック20の先端部はタイヤ51の裏面側に位置するために、悪意によってボルト26を緩めることが実質的に不可能である。このため、鎖25を本体部11から取り外して拘束装置10をタイヤ51から取り外すこともできない。
【0040】
拘束装置10をタイヤ51から取り外すには、南京錠30を開錠することでこの南京錠30から鎖25を解放させ、上記と逆の手順を実行するしか手段がない。よつて、拘束装置10によるタイヤ51の拘束状態を確実に維持することが可能である。
【0041】
拘束装置10を使用しないときには長尺の鎖25が邪魔になりやすいが、鎖25は、次のようにしてコンパクトにまとめることができる。すなわち、図1に示すように、板状体13において、第2のブロック20が取り付けられている部分のやや上側には、凹部44が形成されている。また南京錠30の本体32は板状体13から側方へ突出するように設けられており、板状体13における南京錠30よりも下側の部分にはアール部45が形成されている。これらのアール部45と凹部44とを利用して、図12および図13に示すように、鎖25を板状体13の周囲に巻きつけることができる。
【0042】
詳細に説明する。上述のように鎖25はその一端がボルト26によって第2のブロック20に固定されているため、その他端側を板状体13に巻きつける。まず、鎖25における第2のブロック20への固定部の近傍の部分を板状体13の裏側において第1のブロック19に接近させ、次に南京錠30よりも下側の部分におけるアール部45に掛けて反転させる。このとき、上述のように南京錠30の本体32が板状体13から突出しているため、鎖25がアール部45からずれ上がって板状体13から外れてしまうようなことはない。そのうえで、鎖25を板状体13の表面に沿って第2のブロック20に向かう方向に配置し、次いで凹部44に掛ける。さらに、板状体13の裏面に沿って再び第1のブロック19に接近させ、そのうえで鎖25の他端を南京錠30の足31に掛ける。この状態で南京錠30を施錠することで、鎖25を板状体13の周囲に巻きつけた状態でコンパクトに保持することができる。
【0043】
この状態で拘束装置10を保管などすれば、鎖25が散乱せずに好都合である。また、図14に示すように、この状態の拘束装置10の穴37に手を通して取っ手38を掴むことで、鎖25をコンパクトに保持した状態の拘束装置10を容易に運搬することができる。このとき、穴37の縁がカバー39で覆われているため、この縁が運搬者の手に食い込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態の車輪拘束装置の表面側の立体図である。
【図2】同車輪拘束装置の裏面側の立体図である。
【図3】同車輪拘束装置の装着作業を示す図である。
【図4】図3の次の段階の装着作業を示す図である。
【図5】図4の次の段階の装着作業を示す図である。
【図6】南京錠の開錠状態を示す図である。
【図7】南京錠の施錠状態を示す図である。
【図8】車輪拘束装置の装着状態を示す図である。
【図9】自動車の前側から見た装着状態を示す図である。
【図10】タイヤよりも内側から見た装着状態を示す図である。
【図11】自動車の後側から見た装着状態を示す図である。
【図12】鎖を本体部に巻き付けた状態を表面側から示す図である。
【図13】鎖を本体部に巻き付けた状態を裏面側から示す図である。
【図14】車輪拘束装置の運搬状態を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
11 本体部
12 長尺体
13 板状体
19 第1のブロック
20 第2のブロック
25 鎖
26 ボルト
30 南京錠
50 自動車
51 タイヤ
52 トレッド
55 車軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と長尺体とを有し、
本体部は、
車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体と、
この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロックとを一体に有し、
長尺体は、板状体が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロックが車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部に施錠状態で固定されるものであることを特徴とする車輪拘束装置。
【請求項2】
ブロックが中空体であることを特徴とする請求項1記載の車輪拘束装置。
【請求項3】
長尺体が鎖であることを特徴とする請求項1または2記載の車輪拘束装置。
【請求項1】
本体部と長尺体とを有し、
本体部は、
車両の車輪における外側の側面に沿って配置される板状体と、
この板状体が車輪における外側の側面に沿って配置されたときに、車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置される第1および第2のブロックとを一体に有し、
長尺体は、板状体が車輪における外側の側面に沿って配置され、かつ第1および第2のブロックが車輪における車両の前側のトレッド部分および後側のトレッド部分と地面との間にそれぞれ位置されたときに、車輪における車軸よりも上側の内側の側面に沿って配置されたうえで、本体部に施錠状態で固定されるものであることを特徴とする車輪拘束装置。
【請求項2】
ブロックが中空体であることを特徴とする請求項1記載の車輪拘束装置。
【請求項3】
長尺体が鎖であることを特徴とする請求項1または2記載の車輪拘束装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−101753(P2009−101753A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273375(P2007−273375)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(592069481)株式会社アトラスオート (2)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(592069481)株式会社アトラスオート (2)
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